説明

電子棚札および商品情報提示システム

【課題】 顧客の購入実績情報がなくても、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの商品情報を顧客別に提示することができる電子棚札を提供する。
【解決手段】 店舗サーバ50は、顧客識別装置20が取得した顧客識別情報を、トランシーバ30および電子棚札サーバ40を経由して電子棚札10から受け取ると、受け取った顧客識別情報が特定する顧客情報が、予め定める提示条件を満足するか否かを判断する。店舗サーバ50は、顧客識別情報が特定する顧客情報が、予め定める提示条件を満足すると、特別価格を生成し、生成した特別価格を店舗管理データベース51に記憶するとともに、電子棚札サーバ40およびトランシーバ30を経由して電子棚札10に送信する。電子棚札10は、受け取った特別価格を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品に関する情報を表示する電子棚札および商品情報提示システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スーパーマーケットあるいは百貨店などでは、商品名あるいは価格などの商品情報を電子的に表示することができる電子棚札が用いられる。この電子棚札は、商品の種類毎に設置され、電子棚札サーバなどの管理装置から有線あるいは無線によって送られてくる新たな価格情報に更新することができるので、人手によって値札を付け替える作業などを省くことができる。
【0003】
顧客の購入意欲を上げるために、タイムサービスあるいは閉店前の値下げなどが行われるが、これらは電子棚札に表示する販売価格を特定の時間に変更して、すべての顧客に対する販売価格を変更するものであり、顧客別に販売価格を変更するものではない。
【0004】
第1の従来の技術として、商品に関する情報を顧客に応じてアクティブに変更して提示することができる商品と顧客情報の連携システムがある。この商品と顧客情報の連携システムでは、電子棚札は、ICカードなどの顧客情報カードから顧客情報を受信すると、受信した顧客情報に対応した商品に関する情報、たとえば価格を表示するものである。顧客情報は、顧客が獲得した獲得ポイント数あるいは顧客が過去に購入した商品の積算金額である。さらにICカードは、電子棚札に表示された商品に関する情報、あるいは電子棚札へのアクセス時間などの情報を電子棚札から受信して記憶し、精算時、記憶したそれらの情報をPOSなどのレジに送信する。POSは、顧客に提示した価格で精算あるいはアクセス時間がサービス時間帯であるときに値引きをして精算する(たとえば特許文献1参照)。
【0005】
第2の従来の技術として、いわゆる「あたり販売」を行う電子式キャッシュレジスタがある。この電子式キャッシュレジスタは、精算時に、顧客が選んだ商品が「あたり販売」の対象の商品であると、乱数を用いて、または精算回数、販売商品点数、もしくは精算合計金額など予め定める精算に関連する情報を用いて、「あたり」であるか否かを決定する。「あたり」であると決定されたとき、その商品の価格あるいは精算合計金額の値引きを行う。電子式キャッシュレジスタが「あたり」であるか否かを決定するので、その商品が「あたり」であるか否かを顧客に見破られることがない(たとえば特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2002−83368号公報
【特許文献2】特開昭61−198395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
第1の従来の技術は、ICカードから取得した顧客情報、たとえば顧客が獲得した獲得ポイント数あるいは顧客が過去に購入した商品の積算金額などの購入実績情報に応じて、商品に関する価格などの情報を電子棚札に表示するものである。すなわち顧客に応じて電子棚札に表示される価格などの情報は、顧客の購入実績情報に基づいて生成される情報であり、購入実績情報がないと生成できないという問題がある。
【0008】
第2の従来の技術は、商品の価格あるいは精算合計金額の値引きを精算時に行うものであり、顧客が商品を選択する際に価格の値引きを提示することはできないという問題がある。
【0009】
本発明の目的は、顧客の購入実績情報がなくても、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの商品情報を顧客別に提示することができる電子棚札および商品情報提示システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、顧客を識別するための顧客識別情報を取得する取得手段と、
取得手段によって取得された顧客識別情報を外部装置に送信する送信手段と、
送信手段によって送信された顧客識別情報に応答して外部装置から返信される応答情報を受信する受信手段と、
受信手段によって受信された応答情報に応じて、顧客へ提示するための提示情報を出力する出力手段とを含むことを特徴とする電子棚札である。
【0011】
本発明に従えば、取得手段によって、顧客を識別するための顧客識別情報が取得され、送信手段によって、取得手段によって取得された顧客識別情報が外部装置に送信され、受信手段によって、送信手段によって送信された顧客識別情報に応答して外部装置から返信される応答情報が受信され、出力手段によって、受信手段によって受信された応答情報に応じて、顧客へ提示するための提示情報が出力される。
【0012】
このように、取得した顧客識別情報を外部装置たとえば店舗サーバなどに送信し、送信した顧客識別情報に応答して外部装置から返信される応答情報に応じて、顧客に提示するための提示情報を出力するので、第1の従来の技術のような顧客の購入実績情報がなくても、顧客識別情報が取得されただけで、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することができる。
【0013】
また本発明は、前記応答情報は、顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足するか否かを示す情報であり、
前記受信手段によって受信された応答情報が、顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足することを示していると、提示情報を生成する生成手段をさらに含み、
前記出力手段は、生成手段によって生成された提示情報を出力することを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足するときに、提示情報を生成する生成手段を有するので、各電子棚札が提示情報を生成することができる。
【0015】
また本発明は、前記出力手段によって出力される提示情報を記録する記録手段をさらに含むことを特徴とする。
【0016】
本発明に従えば、提示された提示情報を記録する記録手段を有するので、商品を選択したときに提示された提示情報を、精算時に確認することができる。
【0017】
また本発明は、商品に関する商品情報を表示する電子棚札と、
顧客を識別するための顧客識別情報を取得する取得手段と、
顧客に提示され、かつ商品情報に含まれる提示情報を生成するための生成手段と、
取得手段によって取得された顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足すると、生成手段に提示情報を生成させ、生成手段によって生成された提示情報を電子棚札に表示させる制御手段とを含むことを特徴とする商品情報提示システムである。
【0018】
本発明に従えば、電子棚札によって、商品に関する商品情報が表示され、取得手段によって、顧客を識別するための顧客識別情報が取得され、生成手段によって、顧客に提示され、かつ商品情報に含まれる提示情報が生成され、制御手段によって、取得手段によって取得された顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足すると、生成手段によって提示情報が生成され、生成手段によって生成された提示情報が電子棚札に表示される。
【0019】
このように、制御手段は、取得手段によって取得された顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足すると、生成手段によって提示情報を生成し、生成した提示情報を電子棚札に表示するので、第1の従来の技術のような顧客の購入実績情報がなくても、顧客識別情報が取得されただけで、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することができる。
【0020】
また本発明は、情報を提示するための提示手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記生成手段によって生成された提示情報を提示手段に提示させることを特徴とする。
【0021】
本発明に従えば、提示情報を提示手段たとえば通信端末装置に提示するので、顧客が所有する通信端末装置に提示することができる。
【0022】
また本発明は、情報を記録するための記録手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記生成手段によって生成された提示情報を記録手段に記録させることを特徴とする。
【0023】
本発明に従えば、提示された特別価格などの提示情報を記録する記録手段を有するので、商品を選択したときに提示された特別価格などの提示情報を、精算時に確認ことができる。
【0024】
また本発明は、前記生成手段によって生成された提示情報を記憶する記憶手段と、
購入される商品の金額を精算する精算手段とをさらに含み、
前記制御手段は、前記記憶手段に提示情報が記憶されている商品については、記憶手段に記憶された提示情報に基づいて、精算手段に精算させることを特徴とする。
【0025】
本発明に従えば、記憶手段に提示情報が記憶されている商品については、その提示情報に基づいて精算するので、商品が選択されたときに提示した特別価格で精算することができる。
【0026】
また本発明は、前記予め定める提示条件は、予め定める時間内に提示情報を提示した回数が予め定める回数以内であるという条件であることを特徴とする。
【0027】
本発明に従えば、予め定める提示条件を、予め定める時間内に提示情報を提示した回数が予め定める回数以内であるという条件であることとしているので、特別価格などの提示情報を一人の顧客に提示する回数を制限することができる。
【0028】
また本発明は、前記記憶手段に記憶された提示情報は、顧客識別情報が示す顧客別かつ商品別に記憶され、
前記制御手段は、前記記憶手段に同じ商品について複数の提示情報が記憶されていると、その複数の提示情報のうち顧客にとって最も有利な提示情報に基づいて、前記精算手段に精算させることを特徴とする。
【0029】
本発明に従えば、顧客に提示した提示情報を顧客別および商品別に記憶し、同じ顧客に複数の提示情報を提示しているときは、提示した複数の提示情報のうち最も有利な提示情報、たとえば最も安価な特別価格に基づいて精算するので、顧客が同じ商品に複数回アクセスしたときは、顧客に提示した特別価格のうち最も安価な特別価格で商品を提供することができる。
【0030】
また本発明は、前記提示情報は、値引き後の価格あるいは値引く価格を示す情報を含むことを特徴とする。
【0031】
本発明に従えば、提示情報たとえば特別価格は、値引き後の価格、あるいは値引く価格を含むので、安くなる金額を顧客にわかり易い形で提示することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することによって、顧客がその商品を購入しようという購入意欲を上げることができるので、顧客が買い物過程において売場に立ち寄る割合を示す立ち寄り率、およびその商品に注目する割合を示す視認率を向上することができ、ひいては顧客あたりの購入金額を示す客単価を向上することができる。
【0033】
また本発明によれば、各電子棚札が提示情報を生成することができるので、外部装置たとえばサーバは、複数の電子棚札のために特別価格などの提示情報を生成する必要がなく、通信回線およびサーバの負荷を軽減することができる。
【0034】
また本発明によれば、商品を選択したときに提示された提示情報を、精算時に確認することができるので、提示した特別価格などの提示情報についてのトラブルを防止することができる。
【0035】
また本発明によれば、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することによって、顧客がその商品を購入しようという購入意欲を上げることができるので、顧客が買い物過程において売場に立ち寄る割合を示す立ち寄り率、およびその商品に注目する割合を示す視認率を向上することができ、ひいては顧客あたりの購入金額を示す客単価を向上することができる。
【0036】
また本発明によれば、顧客が所有する通信端末装置に提示することができるので、顧客は、その顧客に提示された提示情報を他の人に知られることなく認識することができる。
【0037】
また本発明によれば、商品を選択したときに提示された特別価格などの提示情報を、精算時に確認ことができるので、提示した特別価格についてのトラブルを防止することができる。
【0038】
また本発明によれば、商品が選択されたときに提示した特別価格で精算することができるので、顧客は、商品を選択したときに提示された特別価格で商品を購入することができる。
【0039】
また本発明によれば、特別価格などの提示情報を一人の顧客に提示する回数を制限することができるので、最大の割引になるまで同じ顧客が繰り返して利用することを防止することができる。
【0040】
また本発明によれば、顧客が同じ商品に複数回アクセスしたときは、顧客に提示した特別価格のうち最も安価な特別価格で商品を提供することができるので、顧客がその商品を購入しようという購入意欲を上げることができる。
【0041】
また本発明によれば、安くなる金額を顧客にわかり易い形で提示することができるので、顧客の購入意欲を上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
図1は、本発明の実施の一形態である価格提示システム1の概略の構成を示す。商品情報提示システムである価格提示システム1は、複数の電子棚札10、複数の顧客識別装置20、トランシーバ30、電子棚札サーバ40、店舗サーバ50、POS(Point Of
Sale)60、顧客識別装置70、およびスキャナ71を含む。
【0043】
電子棚札10は、商品に関する商品情報たとえば販売価格などの情報を表示する装置である。電子棚札10は、顧客識別装置20から顧客識別情報を受け取ると、受け取った顧客識別情報をトランシーバ30に送信し、さらにトランシーバ30から受け取った商品情報を表示する。各電子棚札10には、それぞれ顧客識別装置20が接続されている。電子棚札10の詳細は、図2で後述する。
【0044】
顧客識別装置20は、顧客を識別するための顧客識別情報を取得する装置であり、取得した顧客識別情報を電子棚札10に送る。顧客識別情報は、たとえば指紋、静脈、網膜、虹採、音声、掌形、DNA(Deoxyribonucleic Acid)、顔、筆跡、および耳介などのいずれかの生体情報、磁気ストライプに記録された磁気情報、紙など記録媒体に記録された文字、バーコード、もしくは二次元コードなどの記録情報、光学記録メディアのピットとして記録された情報、IC(Integrated Circuit)チップに記録された情報、装置の操作パネルなどの操作ボタンから入力された情報、または装置に記憶された情報でかつRFID(Radio Frequency Identification)、Bluetooth、もしくは赤外線などの無線によって送信される情報である。顧客識別情報は、これらのいくつかを組み合わせた情報であってもよい。
【0045】
取得手段である顧客識別装置20は、これらの顧客識別情報を取得する装置であり、たとえばスーパーマーケットもしくは百貨店などの会員カードなど顧客識別情報が記憶されたカードから顧客識別情報を取得するカードリーダなどの取得装置、またはRFIDを用いて顧客識別情報を送信可能な携帯電話機などから顧客識別情報を取得する取得装置である。図1に示した実施の形態では、顧客識別装置20は、電子棚札10と独立した装置であるが、電子棚札10に含めてもよい。
【0046】
トランシーバ30は、たとえば天井などに設置され、無線通信によって情報を送受信する通信装置である。トランシーバ30は、電子棚札サーバ40から受信した商品情報を、指示された電子棚札10に送信し、電子棚札10から受信した情報、たとえば顧客識別情報を電子棚札サーバ40に送る。
【0047】
電子棚札サーバ40は、商品名および商品の価格などの商品情報を、商品名と電子棚札10とを対応付けて記憶する電子棚札管理データベース41を含み、各電子棚札10に表示させる商品毎の商品情報を管理する。電子棚札サーバ40は、各電子棚札10に、それぞれの電子棚札10に対応する商品情報をトランシーバ30によって送信する。さらに、トランシーバ30から受け取った顧客識別情報を、たとえばLAN(Local Area
Network)などの通信回線で接続される店舗サーバ50に送り、店舗サーバ50から受け取った商品情報、たとえば後述する特別価格などの提示情報を、顧客識別情報が送られてきた電子棚札10にトランシーバ30を介して送信する。
【0048】
店舗サーバ50は、店舗管理データベース51を含み、商品および顧客を管理する。店舗管理データベース51は、商品情報を記憶する後述する価格テーブル、顧客が電子棚札にアクセスした時間などを記憶する顧客利用履歴テーブルを含み、さらに顧客識別情報によって特定される顧客情報を記憶する。商品情報は、たとえば商品名、商品コード、および通常販売価格などの情報を含み、顧客情報は、たとえば顧客識別情報、顧客名、および顧客毎の購入実績などの情報を含む。提示情報は、商品情報に含まれる情報であり、たとえば値引きされた価格などを顧客に提示するための情報である。通常販売価格は、商品の値引きなしの販売価格である。
【0049】
店舗サーバ50は、電子棚札サーバ40から受け取った顧客識別情報が特定する顧客情報が、予め定める提示条件を満足すると、特別価格などの提示情報を生成し、生成した提示情報を店舗管理データベース51に記憶するとともに、電子棚札サーバ40に送信し、電子棚札10に一定時間表示するよう指示する。特別価格は、たとえば値引きされた価格である。
【0050】
さらに、店舗サーバ50は、店舗サーバ50に接続されたPOS60が精算を行う際、POS60から知らされた商品名が、設定時間内に特別価格などの提示情報を提示した商品の商品名であると、その提示情報をPOS60に知らせる。
【0051】
POS60は、販売される商品およびその価格などの情報が入力されると、精算を行う装置であり、販売価格を表示するための液晶ディスプレイなどの表示装置、ならびに数字などの情報を入力する入力キー、入力した情報を取り消すキャンセルキー、および精算の終了を指示する精算キーなどを含む入力装置を含む。POS60には、顧客識別装置70およびスキャナ71が接続されている。顧客識別装置70は、顧客識別装置20と同じ種類の装置であり、取得した顧客識別情報をPOS60に送る。スキャナ71は、商品に貼り付けられたバーコードなどを読取る読取り装置であり、読取ったバーコードが示すスキャン情報、たとえば商品名あるいは商品コードおよび通常販売価格などのスキャン情報をPOS60に送る。
【0052】
POS60は、顧客識別装置70から受け取った顧客識別情報、スキャナ71から受け取ったスキャン情報、および精算金額などの精算情報を店舗サーバ50に送る。POS60は、精算する商品が顧客に特別価格などの提示情報が提示されている商品である旨を、店舗サーバ50から知らされると、店舗サーバ50から送られる特別価格で精算する。
【0053】
図2は、本発明の実施の他の形態である電子棚札10の概略の構成を示す。電子棚札10は、商品に関する商品情報を表示する装置であり、取得手段11、送信手段12、受信手段13、および出力手段14を含む。
【0054】
取得手段11は、たとえば図1に示した顧客識別装置20であり、取得した顧客識別情報を送信手段12に渡す。送信手段12は、たとえば無線通信によって情報を送信する送信装置であり、取得手段11から渡された顧客識別情報を外部装置たとえば図1に示した店舗サーバ50に送信する。
【0055】
受信手段13は、無線通信によって情報を受信する受信装置であり、店舗サーバ50から応答情報を受信すると、受信した応答情報を出力手段14に渡す。応答情報は、店舗サーバ50が、電子棚札10から受信した顧客識別情報が特定する顧客情報が予め定める提示条件を満足するときに生成する特別価格などの提示情報である。電子棚札10と店舗サーバ50とは、たとえば図1に示したように、トランシーバ30および電子棚札サーバ40を経由して情報が送受信される。
【0056】
出力手段14は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示装置、あるいは液晶ディスプレイなどの表示装置を有しかつRFIDなどの非接触の通信方式を用いて情報を送受信可能な携帯電話機などの通信端末装置と情報を送受信する通信装置である。出力手段14は、受信手段13から渡された応答情報つまり提示情報を、表示装置に表示して顧客に提示、通信装置によって通信端末装置に送信し、通信端末装置の表示装置に表示して顧客に提示、あるいは電子棚札10の表示装置および通信端末装置の表示装置に表示して顧客に提示する。
【0057】
このように、取得した顧客識別情報を店舗サーバ50などの外部装置に送信し、送信した顧客識別情報に応答して外部装置から返信される応答情報に応じて、顧客に提示するための提示情報を出力するので、特許文献1に記載されているような顧客の購入実績情報がなくても、顧客識別情報が取得されただけで、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することができる。したがって、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することによって、顧客がその商品を購入しようという購入意欲を上げることができるので、顧客が買い物過程において売場に立ち寄る割合を示す立ち寄り率、およびその商品に注目する割合を示す視認率を向上することができ、ひいては顧客あたりの購入金額を示す客単価を向上することができる。
【0058】
図3は、図2に示した電子棚札10の外観を模式的に示す。図3(a)に示した電子棚札10は、出力手段である表示装置15、取得手段である顧客識別装置20、および記録手段である図示しない印刷装置を含む。表示装置15は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示装置であり、顧客識別装置20は、たとえば会員カード80から顧客識別情報を取得するカードリーダである。印刷装置は、たとえば印刷紙81などの記録媒体に印刷するプリンタである。表示装置15に一時的に表示された特別価格などの提示情報は、印刷装置によって印刷紙81に記録される。図3(a)に示した表示装置15には、通常販売価格である商品情報「ヘアケアシャンプー 800円」が表示されている。
【0059】
図3(b)に示した電子棚札10は、液晶ディスプレイなどの表示装置15、取得手段である顧客識別装置20、および通信端末装置82に情報を記録するする記録手段である図示しない通信装置を含む。顧客識別装置20は、たとえば会員カード80から顧客識別情報を取得するカードリーダである。通信端末装置82は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示装置83および半導体メモリなどの図示しない記憶装置を含み、かつRFIDなどの非接触の通信方式を用いて情報を送受信可能な携帯電話機である。
【0060】
記録手段である図示しない通信装置は、表示装置15に一時的に表示された特別価格などの提示情報を通信端末装置82に記録する。すなわち、通信装置が提示情報を通信端末装置82に送信すると、通信端末装置82は受信した提示情報を、通信端末装置82の記憶装置に記録する。通信装置は、提示情報を通信端末装置82に表示させるときは、提示情報を通信端末装置82に出力させる出力手段である。
【0061】
図3(b)に示した表示装置15には、通常販売価格である商品情報「ヘアケアシャンプー 800円」が表示されている。通信端末装置82の表示装置83には、提示情報「おめでとう シャンプー 750円」が表示され、値引きした価格である特別価格が示されている。通信端末装置82は、表示装置83に表示した特別価格などの提示情報を図示しない記憶装置に記録する。
【0062】
このように、提示された特別価格などの提示情報を印刷紙81などに記録する印刷装置あるいは通信端末装置82の記憶装置に記録する通信装置などの記録手段を有するので、商品を選択したときに提示された特別価格などの提示情報を、精算時に確認することができる。したがって、提示した特別価格などの提示情報についてのトラブルを防止することができる。
【0063】
図1を参照して、価格提示システム1では、顧客識別装置20は電子棚札10と独立した装置であるが、図2に示した電子棚札10のように、電子棚札10が顧客識別装置20を含んでいてもよい。
【0064】
さらに、価格提示システム1は、図3(b)に示した通信端末装置82を含んでもよい。通信端末装置82を含む場合、電子棚札10は、提示手段である通信端末装置82に対する出力手段および記録手段である図示しない通信装置を含む。出力手段である通信装置は、提示情報を通信端末装置82に送信して、通信端末装置82に提示する。すなわち提示情報を通信端末装置82の表示装置に表示することによって顧客に提示する。この場合電子棚札10の表示装置にも表示してもよいし、通信端末装置82の表示装置にのみ表示してもよい。さらに記録手段である通信装置は、提示情報を通信端末装置82に送信して、通信端末装置82の記憶装置に記録する。あるいは、価格提示システム1が図3(a)に示した電子棚札10を含む場合は、記録手段である印刷装置によって提示情報を印刷紙81に記録する。
【0065】
このように、提示情報を提示手段である通信端末装置82に提示するので、顧客が所有する通信端末装置82に提示することができる。したがって、顧客は、その顧客に提示された提示情報を他の人に知られることなく認識することができる。
【0066】
さらに、提示された特別価格などの提示情報を印刷紙81などに記録する印刷装置あるいは通信端末装置82の記憶装置に記録する通信装置などの記録手段を有するので、商品を選択したときに提示された特別価格などの提示情報を、精算時に確認ことができる。したがって、提示した特別価格についてのトラブルを防止することができる。
【0067】
図4は、図1に示した価格提示システム1が処理する特別価格提示工程を示すフローチャートである。各電子棚札10には対応する商品の通常販売価格つまり商品の値引きなしの販売価格が電子棚札サーバ40によって表示されている状態で、電子棚札10の顧客識別装置20に顧客識別情報が入力されると、たとえば顧客が顧客の会員カードを電子棚札10のカードリーダに読ませると、ステップS1に移る。
【0068】
ステップS1では、顧客識別装置20は顧客が入力した顧客識別情報を取得し、取得した顧客識別情報を電子棚札10に送る。ステップS2では、電子棚札10は、顧客識別装置20から顧客識別情報を取得する。
【0069】
ステップS3では、電子棚札10は、取得した顧客識別情報を、トランシーバ30および電子棚札サーバ40を経由して店舗サーバ50に送信する。ステップS4では、店舗サーバ50は、受信した顧客識別情報が示す顧客が、店舗サーバ50に登録された顧客つまり店舗管理データベース51に登録された顧客か否かを判定する。店舗サーバ50に登録された顧客のとき、ステップS5に進み、店舗サーバ50に登録された顧客でないとき終了する。
【0070】
ステップS5では、店舗サーバ50は、顧客識別情報によって特定される顧客情報が予め定める提示条件を満足するか否かを、たとえば予め定める時間内に提示情報を提示した回数つまり顧客が電子棚札10にアクセスした利用回数が、予め設定された利用回数以内か否かによって判定する。予め定める時間は、たとえば30分間あるいは当日限りという時間制限である。予め設定された利用回数は、たとえば10回/日であり、これは一人の顧客に対する1つの商品についての回数、商品を問わず一人の顧客に対する回数、あるいは顧客を問わず1つの商品についての回数などである。提示情報を提示した回数が設定された利用回数以内のとき、ステップS6に進み、提示情報を提示した回数が設定された利用回数を超えているとき、ステップS16に進む。
【0071】
このように、予め定める提示条件を、予め定める時間内に提示情報を提示した回数が予め定める回数以内であるという条件であることとしているので、特別価格などの提示情報を一人の顧客に提示する回数を制限することができる。したがって、最大の割引になるまで同じ顧客が繰り返して利用することを防止することができる。
【0072】
ステップS6では、店舗サーバ50は、0〜100の整数のうちいずれか1つの整数を乱数で発生する。具体的には、たとえば乱数生成プログラムを実行することによって乱数を発生させる。ステップS7では、乱数を用いて発生させた整数を百分率表示としたとき、その百分率表示の値が予め定める割引率の範囲内に入るか否かを判定する。割引率は、値引き額を通常販売価格で除算して百分率表示したものである。予め定める割引率の範囲内に入るとき、ステップS8に進み、予め定める割引率の範囲内に入らないとき、ステップS6に戻る。
【0073】
図5は、図1に示した店舗管理データベース51に記憶される価格テーブルの一例を示す。価格テーブルは、商品を識別するための商品コード、品名つまり商品名、商品の値引きなしの販売価格である通常販売価格、最小限の割引率を示す特別価格下限割引率、および最大限の割引率を示す特別価格上限割引率などの情報を、商品コード毎に記憶するテーブルである。
【0074】
図5には、品名、通常販売価格、特別価格下限割引率、および特別価格上限割引率が、商品コード「253」について、それぞれ「ヘアケアシャンプー」、「800円」、「35%」、および「100%」と示され、商品コード「254」について、それぞれ「リンスインシャンプー」、「600円」、「20%」、および「99%」と示され、ならびに商品コード「255」について、それぞれ「ナチュラルシャンプー」、「500円」、「50%」、および「80%」と示されている。したがって、たとえば商品コード「253」の割引率の範囲は、35%〜100%である。
【0075】
図4を参照して、ステップS8では、店舗サーバ50は、ステップS6で乱数を用いて生成した割引率に基づいて、(通常販売価格−通常販売価格×割引率)を計算する。ステップS9では、ステップS8で計算した結果に基づいて、特別価格を生成する。ステップS10では、店舗サーバ50は、生成した特別価格を特別提示価格として、店舗管理データベース51に、顧客を識別するための顧客ID、顧客名、商品コード、品名、顧客が電子棚札10にアクセスした時間を表すアクセス時間、および顧客が電子棚札10にアクセスしたアクセス回数と関連付けて記憶する。
【0076】
図6は、図1に示した店舗管理データベース51に記憶される顧客利用履歴テーブルの一例を示す。顧客利用履歴テーブルは、顧客ID、顧客名、商品コード、品名、アクセス回毎の特別価格、およびアクセス回毎のアクセス時間などの情報を、顧客IDおよび商品コードの組合せ毎に記憶するテーブルである。特別価格は、特別提示価格である。この例では、アクセスしたアクセス回数を記憶する代わりに、何回目のアクセスであるかを示す位置に特別価格およびアクセス時間を記憶することによって、アクセスした回数がわかるようになっている。
【0077】
図6には、顧客ID「1245」つまり顧客「○○花子」に対して、2つの商品への利用履歴が示されている。商品コード「253」つまり品名「ヘアケアシャンプー」について、1回目の特別価格「600円」、1回目のアクセス時間「12:35」、2回目の特別価格「560円」、2回目のアクセス時間「12:40」、3回目の特別価格「550円」、および3回目のアクセス時間「12:50」が示され、商品コード「254」つまり品名「リンスインシャンプー」について、1回目の特別価格「550円」、1回目のアクセス時間「12:37」、2回目の特別価格「530円」、および2回目のアクセス時間「12:41」が示されている。
【0078】
図4を参照して、ステップS11では、店舗サーバ50は、電子棚札サーバ40およびトランシーバ30経由で、電子棚札10に特別価格への変更表示指示を出す。ステップS12では、電子棚札10は、変更後の価格を表示し、表示した価格をプリンタなどで印刷紙81に記録あるいは携帯電話機などに送信して携帯電話機の記憶装置に記録する。
【0079】
図7は、図3に示した電子棚札10の表示装置15に表示された商品情報の例を示す。図7(a)は、通常販売価格を示す商品情報であり、「ヘアケアシャンプー 800円」と表示されている。図7(b)は、値引き後の価格を示す提示情報であり、「○○様特別提供価格 ヘアケアシャンプー 550円 おめでとうございます!」と表示され、図7(c)は、割引率を示す提示情報であり、「○○様特別提供価格 ヘアケアシャンプー 30%引き おめでとうございます!」と表示され、図7(d)は、値引く価格を示す提示情報であり、「○○様特別提供価格 ヘアケアシャンプー 250円引き おめでとうございます!」と表示されている。
【0080】
このように、特別価格などの提示情報は、値引き後の価格、割引率、あるいは値引く価格を含むので、安くなる金額を顧客にわかり易い形で提示することができる。したがって、顧客の購入意欲を上げることができる。
【0081】
図4を参照して、ステップS13では、店舗サーバ50は、一定時間すなわち顧客が表示された特別価格を認識することができる時間、たとえば数十秒経過するのを待つ。ステップS14では、店舗サーバ50は、電子棚札サーバ40から通常価格表示指示つまり通常販売価格の表示指示を出す。ステップS15では、電子棚札10は、通常販売価格を表示して終了する。ステップS16では、店舗サーバ50は、エラーメッセージ、たとえば「本日の利用回数は終了いたしました。」というメッセージを、電子棚札サーバ40およびトランシーバ30経由で電子棚札10におくり、電子棚札10に表示して終了する。
【0082】
図8は、特別価格を生成する他の処理工程を示すフローチャートである。このフローチャートは、図4に示したフローチャートのステップS6〜ステップS9のステップの代わりに処理されるステップであり、ステップS5で、提示情報を提示した回数が設定された利用回数以内のとき、ステップT1に進む。
【0083】
ステップT1では、店舗サーバ50は、通常販売価格から、等間隔の金額で割引を行った価格をn個生成し、生成したn個の価格に、1〜nの番号を対応させる。ステップT2では、1〜nの整数のうちいずれか1つの整数を乱数によって発生する。具体的には、たとえば乱数生成プログラムを実行することによって乱数を発生させる。ステップT3では、乱数によって発生させた整数に対応する番号の価格を特別価格として終了する。この後、図1に示したステップS10に進む。
【0084】
図9は、図8に示した処理工程によって特別価格を決定する一例を示す。通常販売価格「800円」に対して、10円間隔で割引を行った4つの価格「790円」、「780円」、「770円」、および「760円」を生成し、それぞれに番号「#1」、「#2」、「#3」、および「#4」を対応させる。次に1〜4の整数のうちいずれか1つの整数を乱数で発生させる。乱数によって発生させた整数に対応する番号の価格を電子棚札10に表示する。
【0085】
図10は、特別価格を生成するさらに他の処理工程を示すフローチャートである。このフローチャートは、図4に示したフローチャートのステップS6以降のステップの代わりに処理されるステップであり、ステップS5で、提示情報を提示した回数が設定された利用回数以内のとき、ステップU1に進む。
【0086】
ステップU1では、店舗サーバ50は、通常販売価格から、等間隔の金額で割引を行った価格をn個生成する。ステップU2では、生成した価格の順番を、乱数を用いてならび換える。たとえば生成した価格に、1〜nの番号を対応させておき、乱数発生プログラムによって、1〜nの整数のうちいずれか1つの整数を発生し、発生させた整数に対応する番号の価格を抜き出し、1番の番号を割り当てる。次に残った価格について、新たに1〜n−1の番号を対応させておき、乱数発生プログラムによって、1〜n−1の整数のうちいずれか1つの整数を発生し、発生させた整数に対応する番号の価格を抜き出し、2番の番号を割り当てる。残りのn−2個の価格について、乱数を用いて、同様に番号を割り当てることによって、価格をランダムにならべ換えることができる。
【0087】
ステップU3では、店舗サーバ50は、ならべ換えた価格をサークル状に配列して電子棚札10に表示し、選択されたことを指し示す情報たとえばポインタを表示して指し示す価格を高速に順次移動する。高速にとは、たとえば顧客にストップ指示をさせた場合、顧客が電子棚札10にストップを指示して期待する価格を表示させることができない程度の速さである。
【0088】
ステップU4では、店舗サーバ50は、ストップ条件が成立したか否かを判定する。ストップ条件が成立すると、ステップU5に進み、ストップ条件が成立しないと、ステップU3に戻る。ストップ条件は、たとえばランダムに設定した時間が経過したことをストップ条件とする。ランダムに設定する時間は、たとえば乱数生成プログラムを実行することによって求める。あるいは、電子棚札10にストップボタンを設けておいて、顧客がそのボタンを操作されたことを、ストップ条件としてもよい。あるいは、ならべ換えた価格指し示すポインタを高速に順次移動している間に、新たに顧客識別情報が取得されたことを、ストップ条件としてもよい。
【0089】
ステップU5では、店舗サーバ50は、ポインタの移動を停止し、ポインタが指し示す価格を特別価格とする。ステップU6では、店舗サーバ50は、生成した特別価格を特別提示価格として、店舗管理データベース51に、顧客を識別するための顧客ID、顧客名、商品コード、品名、顧客が電子棚札にアクセスした時間を表すアクセス時間、および顧客が電子棚札10にアクセスしたアクセス回数と関連付けて記憶する。
【0090】
ステップU7では、店舗サーバ50は、一定時間すなわち顧客が表示された特別価格を認識することができる時間、たとえば数十秒経過するのを待つ。ステップU8では、店舗サーバ50は、電子棚札サーバ40から通常価格表示指示つまり通常販売価格の表示指示を出す。ステップU9では、電子棚札10は、通常販売価格を表示して終了する。
【0091】
図11は、図10に示した処理工程によって特別価格を決定する一例を示す。通常販売価格「800円」に対して、10円間隔で割引を行った5つの価格「790円」、「780円」、「770円」、「760円」、および「750円」を生成し、乱数を用いて通常販売価格を含めた6つの価格をならび換える。図11に示した例では、電子棚札10に、ならび換えた6つの価格、すなわち「800円」、「760円」、「780円」、「750円」、「790円」、「770円」の価格がサークル状に配列されて表示され、選択された価格を指し示す情報たとえばポインタがこれらの価格を順次指し示す。ストップ条件が成立すると、店舗サーバ50は、ポインタを停止する。このときポインタによって指し示されている価格、この例では、「750円」が特別価格になる。
【0092】
図10および図11に示した特別価格の生成では、ルーレットのように、ならび換えた価格をすべて電子棚札10に表示して、ポインタを移動させて特別価格を選択したが、たとえばスロットマシンの表示のように、ならび換えた価格を1ずつ電子棚札10に高速に順次表示して、ストップ条件が成立したときに、次の価格の表示を停止してもよい。
【0093】
このように、制御手段である店舗サーバ50は、取得手段によって取得された顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足すると、生成手段である店舗サーバ50によって特別価格などの提示情報を生成し、生成した提示情報を電子棚札10に表示するので、特許文献1に記載されているような顧客の購入実績情報がなくても、顧客識別情報が取得されただけで、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することができる。したがって、顧客が商品を選択する際に、値引き価格などの提示情報を顧客別に提示することによって、顧客がその商品を購入しようという購入意欲を上げることができるので、顧客が買い物過程において売場に立ち寄る割合を示す立ち寄り率、およびその商品に注目する割合を示す視認率を向上することができ、ひいては顧客あたりの購入金額を示す客単価を向上することができる。
【0094】
図12は、図1に示した価格提示システム1が処理する精算工程を示すフローチャートである。POS60の顧客識別装置70に顧客識別情報が入力されると、たとえば顧客あるいは店員が顧客の会員カードを顧客識別装置70であるカードリーダに読ませると、ステップW1に移る。
【0095】
ステップW1では、顧客識別装置70は顧客識別情報を取得し、取得した顧客識別情報をPOS60に送る。ステップW2では、POS60は、顧客識別装置70から顧客識別情報を取得する。ステップW3では、POS60は、顧客識別装置70から取得した顧客識別情報を店舗サーバ50に送信する。
【0096】
ステップW4では、店舗サーバ50は、店舗管理データベース51に記憶されている顧客利用履歴テーブルを参照して、POS60から受信した顧客識別情報が示す顧客に特別価格を提示したか否かを判定する。特別価格を提示したとき、ステップW5に進み、特別価格を提示していないとき、ステップW7に進む。ステップW5では、POS60から受信した顧客識別情報が示す顧客に特別価格を提示した時間が、設定時間内たとえばPOS60から顧客識別情報を受信した時間よりも前30分以内であるか否かを判定する。設定時間内であるとき、ステップW6に進み、設定時間内でないとき、ステップW7に進む。
【0097】
ステップW6では、店舗サーバ50は、店舗管理データベース51に記憶されている顧客利用履歴テーブルから、商品毎に、POS60から受信した顧客識別情報が示す顧客に設定時間内に提示した特別価格のうち最も安価な特別価格を抽出し、抽出した特別価格と商品名あるいは商品コードと対応付けた抽出情報をPOS60に送信する。
【0098】
ステップW7では、スキャナ71は、1つの商品をスキャンする。たとえば顧客が購入する商品に貼り付けられたバーコードを読み取り、読取ったバーコードが示すスキャン情報、たとえば商品名あるいは商品コードおよび通常販売価格などのスキャン情報をPOS60に送る。ステップW8では、POS60は、スキャナ71でスキャンされた商品が特別価格を提示する商品か否かを判定する。具体的には、スキャナ71から受け取ったスキャン情報に含まれる商品名あるいは商品コードが、店舗サーバ50から受け取った抽出情報に含まれる商品名あるいは商品コードであると、特別価格を提示する商品であると判定する。特別価格を提示する商品であるとき、ステップW9に進み、特別価格を提示する商品でないとき、ステップW12に進む。
【0099】
ステップW9では、POS60は、特別価格を表示して、精算時の価格とする。具体的には、たとえばPOS60の液晶ディスプレイなどの表示装置に、店舗サーバ50から受け取った抽出情報に含まれる特別価格を表示し、表示した特別価格を、スキャナ71から受け取ったスキャン情報に含まれる通常販売価格に代えて、精算時の価格とする。ステップW10では、POS60は、スキャナ71がすべての商品をスキャンしたか否かを判定する。具体的には、たとえばPOS60の入力装置に設けられている精算キーが押されて、精算の終了が指示されたとき、すべての商品のスキャンが終了したと判定する。すべての商品をスキャンしたとき、ステップW11に進み、すべての商品をスキャンしていないとき、ステップW7に戻る。
【0100】
ステップW11では、POS60は、精算した合計価格を表示し、顧客に請求して終了する。すなわち、POS60は、合計金額をPOS60の液晶ディスプレイなどの表示装置に表示することによって、顧客に請求して終了する。ステップW12では、POS60は、通常販売価格を表示して、精算時の価格としてステップW10に進む。具体的には、たとえばPOS60の液晶ディスプレイなどの表示装置に、スキャナ71から受け取ったスキャン情報に含まれる通常販売価格を表示し、表示した通常販売価格を精算時の価格とする。
【0101】
このように、記憶手段である店舗管理データベース51に特別価格などの提示情報が記憶されている商品については、その提示情報に基づいて精算するので、商品が選択されたときに提示した特別価格で精算することができる。したがって、顧客は、商品を選択したときに提示された特別価格で商品を購入することができる。
【0102】
さらに、顧客に提示した提示情報を顧客別および商品別に記憶し、同じ顧客に複数の提示情報を提示しているときは、提示した複数の提示情報のうち最も有利な提示情報、たとえば最も安価な特別価格に基づいて精算するので、顧客が同じ商品に複数回アクセスしたときは、顧客に提示した特別価格のうち最も安価な特別価格で商品を提供することができる。したがって、顧客がその商品を購入しようという購入意欲を上げることができる。
【0103】
図13は、本発明の実施のさらに他の形態である電子棚札90の概略の構成を示す。上述した実施のいずれの形態でも、店舗サーバ50が特別価格を生成したが、電子棚札90は、店舗サーバ50に代わって特別価格を生成する。電子棚札90は、図2に示した電子棚札10に、特別価格を生成する生成手段91を追加したものである。
【0104】
取得手段11および送信手段12は、電子棚札10と同じ処理を行うので説明は省略する。受信手段13は、無線通信によって情報を受信する受信装置であり、外部装置たとえば店舗サーバ50から応答情報を受信すると、受信した応答情報を生成手段91に渡す。応答情報は、店舗サーバ50が、電子棚札10から受信した顧客識別情報が特定する顧客情報が予め定める提示条件を満足するときに返信する情報であり、顧客識別情報が特定する顧客情報が予め定める提示条件を満足する旨と、顧客識別情報が送信された電子棚札90に対応する商品について、価格テーブルに含まれるその商品の特別価格下限割引率および特別価格上限割引率とを含む情報である。
【0105】
生成手段91は、たとえば図示しないCPU(Central Processing Unit)と半導体メモリなどの記憶装置から構成され、CPUが記憶装置に記憶されたプログラムを実行することによって、特別価格を生成する。生成手段91は、受信手段13から受け取った応答情報が、店舗サーバ50に送信した顧客識別情報が示す顧客情報が予め定める提示条件を満足することを示していると、受信した応答情報に含まれる特別価格下限割引率および特別価格上限割引率の範囲の特別価格などの提示情報を生成する。特別価格の生成は、たとえば図4に示したフローチャートのステップS6〜ステップS9の処理工程と同じ処理、図8に示したフローチャートの処理工程と同じ処理、あるいは図9に示したフローチャートのステップU1〜ステップU5の処理工程と同じ処理によって生成される。生成手段91は、生成した特別価格などの提示情報を送信手段12によって、店舗サーバ50に送信するとともに、出力手段14に渡す。店舗サーバ50は、電子棚札90から特別価格などの提示情報を受信すると、送信された特別価格を精算時のために店舗管理データベース51の顧客利用履歴テーブルに記憶する。
【0106】
出力手段14は、たとえば液晶ディスプレイなどの表示装置、あるいは液晶ディスプレイなどの表示装置を有しかつRFIDなどの非接触の通信方式を用いて情報を送受信可能な携帯電話機などの通信端末装置と情報を送受信する通信装置である。出力手段14は、生成手段91から渡された特別価格などの提示情報を電子棚札90の表示装置に表示して顧客に提示、通信装置によって通信端末装置に送信し、通信端末装置の表示装置に表示して顧客に提示、あるいは電子棚札90の表示装置に表示および通信端末装置の表示装置に表示して顧客に提示する。
【0107】
このように、顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足するときに、特別価格などの提示情報を生成する生成手段を有するので、各電子棚札90が提示情報を生成することができる。したがって、店舗サーバ50などの外部装置は、複数の電子棚札のために特別価格などの提示情報を生成する必要がなく、通信回線およびサーバの負荷を軽減することができる。
【0108】
上述した実施のいずれの形態でも、顧客に提示する提示情報は販売価格の値引きなどの特別価格であったが、特別価格以外のものでもよい。たとえば「2つ購入すれば1つおまけ」など顧客の購入意欲を上げる内容の情報をいくつか用意しておいて、これらから1つランダムに選択するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】本発明の実施の一形態である価格提示システム1の概略の構成を示す。
【図2】本発明の実施の他の形態である電子棚札10の概略の構成を示す。
【図3】図2に示した電子棚札10の外観を模式的に示す。
【図4】図1に示した価格提示システム1が処理する特別価格提示工程を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した店舗管理データベース51に記憶される価格テーブルの一例を示す。
【図6】図1に示した店舗管理データベース51に記憶される顧客利用履歴テーブルの一例を示す。
【図7】図3に示した電子棚札10の表示装置15に表示された商品情報の例を示す。
【図8】特別価格を生成する他の処理工程を示すフローチャートである。
【図9】図8に示した処理工程によって特別価格を決定する一例を示す。
【図10】特別価格を生成するさらに他の処理工程を示すフローチャートである。
【図11】図10に示した処理工程によって特別価格を決定する一例を示す。
【図12】図1に示した価格提示システム1が処理する精算工程を示すフローチャートである。
【図13】本発明の実施のさらに他の形態である電子棚札90の概略の構成を示す。
【符号の説明】
【0110】
1 価格提示システム
10,90 電子棚札
11 取得手段
12 送信手段
13 受信手段
14 出力手段
15 表示装置
20,70 顧客識別装置
30 トランシーバ
40 電子棚札サーバ
50 店舗サーバ
60 POS
71 スキャナ
80 会員カード
81 印刷紙
82 通信端末装置
91 生成手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客を識別するための顧客識別情報を取得する取得手段と、
取得手段によって取得された顧客識別情報を外部装置に送信する送信手段と、
送信手段によって送信された顧客識別情報に応答して外部装置から返信される応答情報を受信する受信手段と、
受信手段によって受信された応答情報に応じて、顧客へ提示するための提示情報を出力する出力手段とを含むことを特徴とする電子棚札。
【請求項2】
前記応答情報は、顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足するか否かを示す情報であり、
前記受信手段によって受信された応答情報が、顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足することを示していると、提示情報を生成する生成手段をさらに含み、
前記出力手段は、生成手段によって生成された提示情報を出力することを特徴とする請求項1に記載の電子棚札。
【請求項3】
前記出力手段によって出力される提示情報を記録する記録手段をさらに含むことを特徴とする請求項1または2に記載の電子棚札。
【請求項4】
商品に関する商品情報を表示する電子棚札と、
顧客を識別するための顧客識別情報を取得する取得手段と、
顧客に提示され、かつ商品情報に含まれる提示情報を生成するための生成手段と、
取得手段によって取得された顧客識別情報によって特定される情報が予め定める提示条件を満足すると、生成手段に提示情報を生成させ、生成手段によって生成された提示情報を電子棚札に表示させる制御手段とを含むことを特徴とする商品情報提示システム。
【請求項5】
情報を提示するための提示手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記生成手段によって生成された提示情報を提示手段に提示させることを特徴とする請求項4に記載の商品情報提示システム。
【請求項6】
情報を記録するための記録手段をさらに含み、
前記制御手段は、前記生成手段によって生成された提示情報を記録手段に記録させることを特徴とする請求項4に記載の商品情報提示システム。
【請求項7】
前記生成手段によって生成された提示情報を記憶する記憶手段と、
購入される商品の金額を精算する精算手段とをさらに含み、
前記制御手段は、前記記憶手段に提示情報が記憶されている商品については、記憶手段に記憶された提示情報に基づいて、精算手段に精算させることを特徴とする請求項4に記載の商品情報提示システム。
【請求項8】
前記予め定める提示条件は、予め定める時間内に提示情報を提示した回数が予め定める回数以内であるという条件であることを特徴とする請求項4に記載の商品情報提示システム。
【請求項9】
前記記憶手段に記憶された提示情報は、顧客識別情報が示す顧客別かつ商品別に記憶され、
前記制御手段は、前記記憶手段に同じ商品について複数の提示情報が記憶されていると、その複数の提示情報のうち顧客にとって最も有利な提示情報に基づいて、前記精算手段に精算させることを特徴とする請求項7に記載の商品情報提示システム。
【請求項10】
前記提示情報は、値引き後の価格あるいは値引く価格を示す情報を含むことを特徴とする請求項4に記載の商品情報提示システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−122288(P2007−122288A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−311914(P2005−311914)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】