説明

電子棚札等のための電力管理システム

ESLラベルが基地局を通してサーバと通信する電力管理システムを開示する。各ESLラベルがサーバと通信する頻度及び時間を、最新の価格とその関連情報に更新するのに必要な最小限の通信のためと、同時にESLラベルのために消費される電池の電力を最小にするために最適化される。そのシステムの基地局及びサーバは、配線された電源によって動作されるのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
この発明は電力管理システムに関し、特に電子棚札(ESL)等に使用するための電力管理システムに関する。)
【0002】
ESLシステムは、小売業及び同様な環境で受け入れられ始めている。ESLシステムは、商品の価格が消費者に見えるように表示されるLED及び/又はLCD表示器を備え、従来の価格表示システムに置き替わってきている。
そのようなESLシステムの利点は、価格変更の度に小売環境全体で紙の価格ラベルを取り替え又は更新するのではなく、小売環境の何百何千もの商品の価格設定をサーバで管理できることである。さらに、価格データに加えて他のメッセージを中央のオペレータによって設定して消費者に表示できる。
【0003】
ESLシステムの使用により、管理サーバは電子的にESLラベルと通信して、そのラベルに表示する価格を含むがそれに限らない情報を更新することができる。中央のサーバ及びデータベースシステムが、ESLラベルに対する価格及び情報の維持と更新機能の全てを行なえるようにすることにより、小売店の店員に棚に行って紙のラベルを交換することを要求する従来のシステムと比較して、より多く中央に制御された一貫した環境が作られる。
【0004】
ESLシステムにおける一つの重要な問題は、ESLラベルに対して便利な長期の電力管理を提供することに関する。第一に、ESLラベルそれ自体は、電線による電力(hardwired power)ではなく、電池動作するのが好ましい。これは、各小売棚上の多数のESLラベルの全てに電力供給線を引き回すのは適切ではないからである。さらに、たとえそのような電力線を引き回せたとしても、棚のスペース配分を変えるように商品が移動及び/又は陳列変えされた場合には、ESLラベルと共にその電力線も移動しなければならないであろう。
【0005】
小売店の店員は従って電池の電力でESLラベルを動作させることを望んでいる。しかしながら、ESLラベル及び/又は基地局とサーバ間で行われる通信のために、電池の電力は比較的速く消耗し、そのESLラベルは電池交換を必要とする。サーバがESLラベルと通信するたびに、そのESLラベルがアクノウレッジ又は同様なメッセージを返信するため、電池の電力が消費される。
【0006】
何千又は何万もの商品を販売する小売環境では、常に店全体における交換が必要な電池を有するであろうから、上記のことは重大な欠点である。上記のことから、頻繁なバッテリの交換を避けるために、より適切なESLの電力管理システムの技術が必要である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】小売環境におけるESLシステムの基本的構成例を示す概念図である。
【図2】この発明による典型的な方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は、ESLラベルシステムの種々の構成要素を示すブロック図である。図1の配置は、グループR1〜R3に編成されて示される多数のESLラベルと、いくつかの基地局1〜3、及び中央のサーバ10を含んでいる。その多数のESLラベル及び複数の基地局のグループ化が典型的な目的のためのみであることが理解されるであろう。
【0009】
オペレーションにおいては、ESLシステムで表示されるデータ、例えば商品名、価格情報等はサーバ10に保存され、それらのデータは自動又は手動の手段によって入力されてもよく、ESLラベルに配布される前にオペレータの承認を必要としてもよい。また、その価格情報は外部のデータベース等の遠隔のコンピュータで作ることもできる。
【0010】
基地局1〜3は、ESLラベルの関連するグループR1〜R3と通信する。その基地局とESLラベルの階層制は、この発明に重要ではないが、小売環境における多数のESLラベルの物理的位置によっては、一つの基地局が全てのESLラベルと有効に通信するのが難しくなるので、複数の基地局を使用するのが好ましい。
【0011】
この発明の実施形態によれば、ESLラベルと基地局及びサーバ間で必要な通信は、サーバ10からESLラベルへ情報を伝達する必要ある場合にのみ行うように最小限にされる。特に、各グループR1〜R3のESLラベルは、関連する基地局と、そしてサーバ10と、所定の回数又は頻度で通信するように事前プログラムとして組み込まれている。例えば、ESLラベルがその基地局を通してサーバ10と1日に1回通信するようにプログラムしてもよい。任意のESLラベルが基地局と通信する回数及び頻度は、同じ基地局又は異なる基地局を使用する他のESLラベルのそれと同じであっても異なっていてもよい。
【0012】
あるいは、ESLラベルは、夜間以外の指定時刻に1日に2回、その基地局を通してサーバ10と通信するようにプログラムされてもよい。指定時刻の組合せ及び/又は通信間隔の時間が、最初に組み込まれるときにESLラベルにプログラムされてもよい。そのようなプログラミングは、価格及び/又は他の情報が更新される必要がある時ごとにサーバと通信しようとする目的でなされるが、そのような更新が必要以上の頻度でないことが好ましい。
【0013】
基地局を通してのサーバ10との通信頻度が多すぎると、過大で不要な電力損失及び電池の消耗をもたらすであろう。しかしながら、通信頻度が低すぎると、ESLラベルに表示された価格及び/又は他の情報の失効をもたらすであろう。
【0014】
特定のESLタイマが、サーバ10との通信が必要であることを示したときに、そのESLラベルが「起動し(wakes up) 」、非常に短い低い消費電力の信号をサーバ10に送信し、そのESLラベルを識別させる。するとサーバ10はそのESLラベルに、その後の特定の時刻と、更新するのに必要な情報を送る特定の通信チャンネルとを含むメッセージを送信する。各基地局及び/又はESLラベルは複数のチャンネルで通信することができ、あるいは各ESLラベルは互いに異なるチャンネルで通信できるので、上記特定の通信チャンネルが必要である。あるいは、もし更新するデータがない場合は、サーバは単に上記の信号を確認した信号をそのESLラベルへ返信するか、又は単に何もしなくてもよい。
【0015】
そのサーバ10は、各特定のESLラベルとの通信が要求される頻度と、価格及び/又は他の情報の更新が要求される頻度との関係を記録する(keep track)。サーバはそのため、価格の更新が、例えば、ESLラベルがサーバにコンタクトするたびごとには起こっていないかどうかを認識できるソフトウェアを有している。言い換えれば、特定のESLラベルが必要以上の頻度でサーバにコンタクトすると、サーバはそれを認識できる。
【0016】
そのような認識に応じて、特定のESLに保存された情報を更新するために、ESLラベルがサーバにコンタクトする頻度及び/又は回数を、サーバがそのESLラベルに送信できる。そこで、もしサーバが、ESLラベルが1日に4回そのサーバにコンタクトしているが、平均すると、価格又は他の情報は、その回数の25%(すなわち1日1回)更新されるだけであると判断すると、そのときサーバは、そのESLがその後1日に1回あるいは、1日に2回だけサーバにコンタクトするように、そのESLにおける情報を変更することができる。
【0017】
別の実施形態においては、サーバは、特定のESLラベルがサーバにコンタクトする頻度が多すぎると認識したときには、単に見えるように表示及び/又は聞こえるように警告メッセージをオペレータに対してすることができ、それによって、そのような通信が行われる頻度をオペレータが更新するのを可能にする。上記のいずれも、ESLラベルとサーバとの更新のための通信頻度を低減するために使われることに注目されたい。
【0018】
他の実施形態では、適切な時間に最初にサーバにコンタクトする必要はない。その代わりに、各ESLラベルはサーバがコンタクトする特定の回数でプログラムされる。サーバ自身は、全てのESLラベルのコンタクト回数の全てをデータベースに格納保持している。適切なときに、ESLラベルが「起動」し、サーバはその時そのESLラベルにコンタクトする。この方法は、各ESLラベル内に時計が必要であり、サーバが高度に同期する必要があるため、前述の方法に比べて好ましくない。また、その回数又は頻度を変更する際には、サーバは、ESLラベルが新しいスケジュールによっていつ起動するかの情報をそのESLラベルに送信しなければならないであろう。
【0019】
サーバ10とESLラベルが通信する回数に加えて、そのような通信が行われる特定の通信チャンネルが事前に特定又は同意されていてもよい。特に、ESLラベルが通信のためにサーバ10にコンタクトするとき、サーバ10は、同じ通信チャンネルで直接応答して、価格及び他の情報がその後の特定時刻に特定の通信チャンネルで更新されることを、その特定のESLラベルに通知し得る。これは、異なる周波数又は他のチャンネルによってそのような通信を多重化して、基地局が同じグループの多数の異なるESLと同時に通信することが可能になる。
【0020】
図2はこの発明の好ましい例のフローチャートを示す。図2の配置においては、この方法がステップ201でスタートすると、サーバ10は、基地局1〜3の1つを通してESLの1つからのコンタクトを受信する。サーバ10は先ず、ステップ203でそのESL内の情報(例えば価格)の更新が必要かどうかを決定する。次に、ステップ204で、通信の頻度及び/又はタイミングを変更する必要があるか否かを決定する。ステップ205は、更新を行う前にオペレータに通知して、オペレータに承認を求めることを可能にする任意のステップである。
【0021】
ステップ206でその更新が行われ、ESLデータが特定のESLタグに送信される。制御はそれからステップ207の判断に移り、サーバは同じか又は異なるESLラベルからの新たなコンタクトを待つ。好ましい実施形態においては、そのサーバ及びどの基地局も配線による電力で動作するため、電力管理の問題はない。
【0022】
サーバ10によってなされる警告及び任意の自動調整のシステムによって、各ESLラベルとサーバ10との間の通信が、価格及び他の情報が古くならないように保証するのに充分な頻度で行われるが、しかし、その通信が電池の電力を使い果たすほど頻繁過ぎないようになされるべきである。また、各ESL又はESLのグループのための通信及び価格更新が維持されるように、そのシステムは、より頻繁な更新を必要とするESLラベルは、それらが関連する基地局を通してより頻繁にサーバ10と通信するように、その通信をカスタマイズできる。
【0023】
この発明の一実施形態において、サーバは、ESLラベルが1日に1回サーバにコンタクトするので、例えばNo.1.2のESLラベルがサーバにコンタクトしたと識別して、10日間に10回通信するのを容易にする。しかしながら、そのESLラベルにおける価格又は他の情報が2回だけしか変更されなかったと判断されたとする。
【0024】
こうした状況下では、サーバは、ESLラベルNo.1.2が5日毎に1回だけサーバ10と通信するように、オペレータに通知するか又は自動的にその条件を変更することができる。調整は、そのESLラベルが更新の履歴に示される頻度より若干多い頻度で通信を可能にするのが好ましい。従って、このシステムは、ESLラベルの価格又は他の情報が更新された履歴に見られる最大頻度よりもう10パーセント多い頻度にするように通信を自動的に調整することができる。
【0025】
この発明の他の実施形態においては、調整は、価格又は他の情報が更新された頻度と丁度同じ頻度で通信を行うことを保証することができるが、この実施形態は通信の長い履歴があって、オペレータが、そのESLラベルがそれ以上頻繁に通信を必要とすることはないであろうと合理的に確信できる場合にのみ、実行されるのが好ましい。
【0026】
この発明の他の実施形態においては、システムは必要に応じて例外あるいは「アドホック(特別の)」更新を可能にする。特に、店員又はマネージャが、特定のESLラベルの通常のスケジュールの一部ではない別の時に、ESLの更新を1回以上を望むことも可能である。これは幾つかの方法の1つによって実現し得る。
【0027】
第一の方法は、ESLラベルに信号を送り、そのESLラベルにサーバシステムに対して問い合わせを行なわせるために、携帯端末が使用される。これは、携帯端末が別の周波数又はチャンネルでESLラベルに信号を送ることによって、あるいはサーバとの通信のための通常のスケジュールに優先して、価格更新のためにサーバと即時に通信させるESLラベル自体のスイッチのON操作によって実現し得る。また、端末からESLラベルにワイヤをプラグインして、その後その携帯端末にESLラベルに伝達されるコマンドを入力することによっても実現できる。
【0028】
他の特別な方法においては、携帯用装置がサーバと直接通信して、そのサーバにESLラベルへの価格又はスケジュール情報の即時更新を行なわせることができる。ESLラベルがそのような更新を確実に受信できるようにするために、ESLラベルはサーバからの信号を受信できるように携帯用装置によって起動されるか、あるいはいつでもサーバからデータを受信できるモードに維持される必要がある。
【0029】
この発明の好ましい実施形態を上述したが、種々の他の変更及び追加が当業者にとって明らかであろう。そのような変更において、この技術は単にESLラベルシステム以外の領域にも適用することが可能である。例えば、種々のクライアント又は他のタイプのコンピュータシステムを管理及び/又は通信する任意のホストも、同様にこの発明の技術の利点が得られる。
そのような変更又は追加は、添付の特許請求の範囲に包含されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
販売環境に複数のESLタグを配置し、少なくとも2つの前記ESLタグがサーバにコンタクトする異なるレートを割り当てられ、
前記各ESLタグによって前記サーバにコンタクトし、
前記割り当てられたレートが、前記サーバにコンタクトしているESLラベルのために変更すべきか否かを決定し、
変更すべきであれば、前記サーバにコンタクトしている前記ESLラベルにメッセージを送信することによって、該ESLタグに割り当てられたレートを変更することからなる方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記変更が、前記サーバから基地局を通して前記ESLタグにコマンド信号を送信することを含む方法。
【請求項3】
請求項2に記載の方法において、
前記変更が、前記ESLタグと関連した価格データを変更することを含む方法。
【請求項4】
請求項3に記載の方法において、
さらに、少なくとも1つのESLラベルが前記サーバにコンタクトする第1の頻度とESLデータが更新される第2の頻度とを時間に亘って監視し、
前記第2の頻度が前記第1の頻度の所定割合を下回った場合には、前記第1の頻度を変更させることを含む方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記第1の頻度を変更させることは、オペレータに表示するための警告メッセージを発し、その結果、該オペレータが新しい第1の頻度を選択することを可能にすることを含む方法。
【請求項6】
請求項4に記載の方法において、
前記第1の頻度を変更させることは、前記第2の頻度が所定割合を越えるような値まで前記第1の頻度を自動的に下げることを含む方法。
【請求項7】
販売環境に複数のESLタグを配置し、
前記ESLラベルがサーバにコンタクトすべき時間がストアされるスケジュールを各ESLラベルに提供し、
ESLラベルがサーバにコンタクトする際に、前記スケジュールを変更することにより、前記ESLラベルを再プログラムすることからなる方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記スケジュールが定期的ではない方法。
【請求項9】
請求項7に記載の方法において、
あるESLタグ用の前記スケジュールを変更する決定に応答して、他の前記ESLタグの関連するスケジュールも変更すべきことを決定し、
前記サーバに変更情報をストアし、前記他のタグが前記サーバとコンタクトしたときに、前記スケジュール変更を実行する方法。
【請求項10】
請求項7に記載の方法において、
前記変更は、前記ESLラベルが遅れた情報を含むことなく、前記ESLラベルができるだけ低い頻度で前記サーバにコンタクトするように、前記スケジュールを変更することである方法。
【請求項11】
販売環境に複数のESLタグを配置し、
各ESLラベルは予め決められたスケジュールでサーバと通信するようにプログラムされており、
前記サーバにアクセス可能な記憶装置に前記ESLタグのスケジュールを保存し、該スケジュールに従って該ESLタグと通信し、
前記スケジュールが、少なくとも1つのESLラベルにのために通信を必要とする頻度が多すぎて、価格更新情報が前記少なくとも1つのESLラベルに送られる割合が、該ESLラベルが前記サーバと通信する回数の規定割合に満たないかどうかを決定し、そうであれば、前記ESLタグに保存された前記スケジュールを変更することからなる方法。
【請求項12】
請求項11に記載の方法において、
前記スケジュールが、異なるESLタグに対しては異なっている方法。
【請求項13】
請求項11に記載の方法において、
前記スケジュールが、時間及び複数の通信チャンネルのうちの選択された1つの両方を含む方法。
【請求項14】
基地局と複数のESLラベルとの間の通信を容易にする方法であって、
ESLラベルが所定時間に更新モードになり、該更新モードは前記ESLラベルが、更新価格情報と前記所定の時間を変更する第二の更新情報がもしあればそれも受けるために、ホストコンピュータと通信するモードであることと、
ESLラベルを所望の時間に前記更新モードにするのをオペレータに可能にする作動可能なスイッチを作動させることとを有する方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、
前記作動可能なスイッチが携帯端末に接続され、ESLラベルと無線で通信する方法。
【請求項16】
請求項14に記載の方法において、
前記作動可能なスイッチが携帯端末に接続され、ESLラベルと有線で通信する方法。
【請求項17】
請求項14に記載の方法において、
前記作動可能なスイッチが直接前記ESLラベルに接続される方法。
【請求項18】
販売環境に複数のESLタグを配置し、
少なくとも2つの前記ESLタグがサーバにコンタクトする異なるレートを割り当てられ、
前記各ESLタグによって前記サーバにコンタクトし、
前記サーバで前記割り当てられたレートが前記サーバにコンタクトしているESLラベルのために変更すべきかどうかを決定し、
もしそうであれば、前記ESLタグ用に割り当てられたレートを変更することと、
さらに、前記サーバに携帯用端末から通信して、該サーバに、前記割り当てられたレートによる以外の時間に前記ESLタグを更新させるための情報を知らせることからなる方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−528467(P2011−528467A)
【公表日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−518691(P2011−518691)
【出願日】平成20年7月15日(2008.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2008/070053
【国際公開番号】WO2010/008378
【国際公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(391062872)株式会社オプトエレクトロニクス (70)
【出願人】(592252968)オプチコン インコーポレイテッド (31)
【Fターム(参考)】