説明

電子楽器のスタンド

【課題】従来製品に比べて製造工数が少なく、デザイン的に不恰好にならず、部屋の壁から離して設置された場合でも倒れにくい電子楽器のスタンドを提供すること。
【解決手段】滑り止め部材18,19の案内溝18c,19cを貫通させたビス20を、側板14の取付孔14d,14eに取り付けることにより、滑り止め部材18,19を電子楽器1の前後方向に移動可能に構成した。この場合、滑り止め部材18を電子楽器1の前方(演奏者側)へ突出させることによって電子楽器1の前方へは電子楽器1を転倒しにくくすることができ、一方、滑り止め部材19を電子楽器1の後方(演奏者側とは反対側)へ突出させることによって電子楽器1の後方へは電子楽器1を転倒しにくくすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来製品に比べて製造工数が少なく、デザイン的に不恰好にならず、部屋の壁から離して設置された場合でも倒れにくい電子楽器のスタンドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、鍵盤を有する電子楽器の両端付近それぞれを下方から支持可能な一対の側板と、これら一対の側板を連結する背板と、を備える電子楽器のスタンドが知られている。なお、電子楽器の中にはその重量が約60kgと重いものもあり、電子楽器のスタンドの上に設置された電子楽器が子供などにもたれかかられて転倒するおそれがある。
【0003】
そこで、このような電子楽器のスタンドの中には、子供などにもたれかかられて転倒するのを防止するため、一対の側板の下部におけるスタンドの前後方向にそれぞれ形成された一対の案内溝と、各案内溝の内部を移動可能な棒状の転倒防止部材とを備え、電子楽器および電子楽器のスタンドを設置する際に、転倒防止部材を電子楽器の前後方向に側板から突出させることにより電子楽器を転倒しにくくすることができるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2003−280633号公報(第2頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような電子楽器のスタンドにおいては、各側板が案内溝および転倒防止部材を備えるため、その分製造工数が多くなるという問題があった。
また、上述のような電子楽器のスタンドにおいては、転倒防止部材を側板から突出させる場合に側板がその突出した転倒防止部材を支持する必要があるために側板や転倒防止部材を大型化する必要があり、これら大型化した側板や転倒防止部材がかさばるとともにデザイン的にも不恰好になるという問題があった。
【0005】
なお、例えば保育園や幼稚園などの広い部屋において電子楽器を壁から離して設置する場合には、電子楽器が子供などにもたれかかられて転倒するおそれがあるため、仮に製造工数が増大したりデザイン的に不恰好となったりしても上述のような電子楽器の転倒防止機能が必要であるが、例えば一般家庭などで電子楽器を壁に沿って設置する場合には上述のような電子楽器の転倒防止機構は不要なものであった。
【0006】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、従来製品に比べて製造工数が少なく、デザイン的に不恰好にならず、部屋の壁から離して設置された場合でも倒れにくい電子楽器のスタンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る電子楽器のスタンドは、鍵盤(1a:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための最良の形態」欄で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)を有する電子楽器(1)の両端付近それぞれを下方から支持可能な一対の側板(14,14)と、側板と電子楽器が設置される床面(1000)との間に少なくともその一部が配置されることによって側板が床面上を滑るのを防止する接触面(18a,19a)を有する滑り止め部材(18,19)と、を備えた電子楽器のスタンドであって、滑り止め部材が、図2(a)に例示する「突出位置」と図2(b)に例示する「収納位置」との間を移動可能に構成されていることを特徴とする。なお、突出位置とは、電子楽器を転倒しにくくするために電子楽器が転倒するおそれがある方向へ接触面の一部が側板から突出する位置のことを云い、収納位置とは、側板の下に位置する接触面の部分が上述の突出位置に位置する場合よりも多くなる位置のことを云う。
【0008】
このような本発明によれば、従来から備える滑り止め部材を「突出位置」と「収納位置」との間で移動可能に構成しているので、新たな加工としては例えば滑り止め部材に溝を設けるだけでよい。また、従来構成の電子楽器のスタンドのように、転倒防止部材を側板から突出させる場合に側板がその突出した転倒防止部材を支持する必要があるために側板や転倒防止部材を高硬度または大型化する必要がなく、大型化した側板や転倒防止部材がかさばるとともにデザイン的にも不恰好になるということがない。したがって、従来製品に比べて製造工数が少なく、デザイン的に不恰好にならず、部屋の壁から離して設置された場合でも倒れにくい電子楽器のスタンドを提供することができる。
【0009】
この場合、上述の「電子楽器が転倒するおそれがある方向」としては、次のような方向が挙げられる。すなわち、(イ)電子楽器が転倒するおそれがある方向とは、電子楽器における中央から鍵盤が配置されている側へ向かう方向(つまり、電子楽器における演奏者側)であることが考えられる(請求項2)。このようにすれば、電子楽器における演奏者側へは電子楽器を転倒しにくくすることができる。(ロ)また、電子楽器が転倒するおそれがある方向とは、電子楽器における中央から鍵盤が配置されている側へ向かう方向とは反対の方向(つまり、電子楽器における後側)であることが考えられる。このようにすれば、例えば電子楽器が壁からは離されて設置されている場合でも、電子楽器における後側へは電子楽器を転倒しにくくすることができる。(ハ)なおその他にも、電子楽器が転倒するおそれがある方向とは、電子楽器における左側や右側であることが考えられる。このようにすれば、電子楽器における左側や右側へは電子楽器を転倒しにくくすることができる。
【0010】
また、上述の滑り止め部材が「突出位置」と「収納位置」との間を移動可能な構成としては、次のような具体例が考えられる。すなわち、(ニ)滑り止め部材の貫通孔を貫通させたビスで滑り止め部材を側板に取り付けることが考えられる。具体的には、請求項3のように、ビスを取り付け可能な取付孔(14d)を側板に形成し、滑り止め部材が突出位置と収納位置との間に位置する際に取付孔と連通する貫通孔(18c,19c)を滑り止め部材に形成し、その貫通孔を貫通させたビス(20)を取付孔に取り付けることにより、滑り止め部材が突出位置と収納位置との間を移動可能に構成することが考えられる。このようにすれば、側板の取付孔に取り付けたビスを緩めた場合には滑り止め部材を移動させることができ、側板の取付孔に取り付けたビスを締めた場合には滑り止め部材を移動させにくくなるので、滑り止め部材の位置決めを容易にすることができる。
【0011】
この場合、上述の取付孔については、(ニ−1)図2に例示するように、側板(14)の下面(14a)からその内部に向けて形成することが考えられる(請求項4)。このようにすれば、ビスや貫通孔が露出しないので、電子楽器のスタンドの外観がよい。ただし、滑り止め部材の位置を調整する際には当該電子楽器のスタンドを持ち上げてビスを緩めたり締めたりする必要がある。また、上述の取付孔については、(ニー2)図3に例示するように、側板(114)の側面(114a)からその内部に向けて形成することが考えられる(請求項5)。このようにすれば、例えば当該電子楽器のスタンドを持ち上げなくても、ビスを緩めたり締めたりすることができ、滑り止め部材の位置を容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[第一実施形態]
図1は、電子楽器のスタンド(以下、スタンドと称す。)10を示す斜視図である。また、図2(a)は収納位置にある滑り止め部材18を示す斜視図であり、図2(b)は突出位置にある滑り止め部材18を示す斜視図であり、図2(c)は側板14および滑り止め部材18を示す斜視図であり、図2(d)は滑り止め部材18のAA断面図である。
【0013】
なお、この図1では電子楽器1を二点鎖線で図示しており、また、以降、この電子楽器1において、鍵盤1aが配置されて演奏者が演奏する側(図1で手前側)を「前側」とし、演奏者が演奏する側の反対側(図1では向こう側)を「後側」とし、演奏者側から見た電子楽器1の右側、左側をそれぞれ「右側」、「左側」とする。
【0014】
[スタンド10の構成の説明]
スタンド10は、図1に示すように、板状の背板12、背板12の両端付近にそれぞれ連設された一対の板状の側板14,14、および側板14,14が床面1000上を滑るのを防止する滑り止め部材18,19を備えており、その形状は略コの字状である。
【0015】
[側板14の構成の説明]
このうち側板14,14は、背板12に対してビスや木ねじなどによって連結されており、電子楽器1の左右端近傍を下方から支持できる。また、背板12と側板14,14とを分離すれば、例えばこれらを積み重ねるなどスタンド10をコンパクトにできる。
【0016】
また、図2に示すように、側板14の下面14aの前部14bには、ビス20を取り付けるための2つの取付孔14dがその内部に向けて形成されている。また、側板14の下面14aの後部14cには、ビス20を取り付けるための2つの取付孔14d(図示省略)がその内部に向けて形成されている。
【0017】
[滑り止め部材18,19の構成の説明]
滑り止め部材18は、例えばABSなどの樹脂製であり、略直方体の形状を有している。また、滑り止め部材18は、各側板14の下面14aにおける前部14bに取り付けられている。なお、滑り止め部材18を構成するABSなどの樹脂材料については、強度もあり設置面が柔らかい素材であるため、スタンド10が設置される床面1000に傷を付けにくい。
【0018】
このうち滑り止め部材18の下面18aについては、特許請求の範囲における「接触面」に該当し、滑り止め部材18が側板14の下面14aの前部14bに取り付けられた際には、側板14が床面1000上を滑るのを防止する機能を有する。
【0019】
また、滑り止め部材18には、その下面18aから上面18bに向けて貫通する長孔状の案内溝18cが形成されている。なお、この案内溝18cは、特許請求の範囲における「貫通孔」に該当する。この案内溝18cは、次のように構成されている。すなわち、案内溝18cは、滑り止め部材18を側板14の下面14aの前部14bに取り付けた際に、側板14の下面14aの前部14bに形成された2つの取付孔14dに連通するとともに、側板14の下面14aの前部14bに取り付けた状態で電子楽器1を転倒しにくくするために電子楽器1の前方へ移動させた位置(突出位置、図2(a)参照)と側板14の下に位置する下面18aの部分が上述の突出位置にある場合よりも多くなる位置(収納位置、図2(b)参照)との間で滑り止め部材18を移動させた際にも、2つの取付孔14dに連通するよう形成されている。また、案内溝18cにおける下面18a側の開口部18dの幅寸法L1は、図2(d)に示すように、ビス20の頭部20aの径寸法および軸部20bの径寸法よりも大きくなるよう形成されている。また、案内溝18cにおける上面18b側の開口部18eの幅寸法L2は、ビス20の軸部20bの径寸法よりも大きく、頭部20aの径寸法よりも小さくなるよう形成されている。また、案内溝18cにおける下面18a側の開口部18dの深さ寸法L3は、案内溝18cを貫通させたビス20の頭部20aが滑り止め部材18の下面18aよりも内部に隠れるよう形成されている。したがって、ビス20を用いて側板14の下面14aに滑り止め部材18を取り付けた際に、ビス20の頭部20aが床面1000に当接することがない。
【0020】
以上のように構成された滑り止め部材18は、次のように側板14へ取り付ける。すなわち、図2(c)に示すように、滑り止め部材18を、その上面18bが側板14の下面14aの前部14bと対向し、且つ案内溝18cの上面14b側の開口部18eが側板14の下面14aの前部14bの2つの取付孔14dと連通する姿勢とする。この際、滑り止め部材18の位置は、収納位置(図2(a)参照)となるようにする。次に、2つのビス20を、滑り止め部材18の案内溝18cを下面18aから貫通させ、側板14の下面14aの前部14bの2つの取付孔14dにそれぞれ取り付ける。
【0021】
なお、滑り止め部材19については、滑り止め部材18と同様の構成を有しており、滑り止め部材18が側板14の下面14aの前部14bに取り付けられているのに対して、滑り止め部材19は側板14の下面14aの後部14cに取り付けられているという具合に、その構成や側板14への取り付け方法は滑り止め部材18に対して前後対照であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0022】
[滑り止め部材18,19の位置調整手法の説明]
次に、滑り止め部材18,19の位置調整について説明する。
滑り止め部材18の位置を調整するには、まず、側板14の下面14aの前部14bの取付孔14dに取り付けられた2つのビス20を緩め、滑り止め部材18が電子楽器1の前後方向へ移動可能な状態とする。ここで、滑り止め部材18を、電子楽器1の前方へ移動させる。この場合、滑り止め部材18を、収納位置(図2(a)参照)と突出位置(図2(b)参照)との間の任意の位置まで移動させることができる。そして、先に緩めたビス20を締める。すると、滑り止め部材18は固定されて電子楽器1の前後方向へは移動しなくなる。
【0023】
なお、滑り止め部材19の位置調整手法については、上述のように滑り止め部材18と同様の構成を有しており、滑り止め部材18が側板14の下面14aの前部14bに取り付けられているのに対して滑り止め部材19は側板14の下面14aの後部14cに取り付けられているという具合に、その位置調整時の移動方向は滑り止め部材18に対して前後対照であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0024】
[効果]
このように第一実施形態のスタンド10によれば、滑り止め部材18,19の案内溝18c,19cを貫通させたビス20を、側板14の取付孔14d,14eに取り付けることにより、滑り止め部材18,19を電子楽器1の前後方向に移動可能に構成することにより、従来から備える滑り止め部材18,19を「突出位置」と「収納位置」との間で移動可能に構成しているので、新たな加工としては例えば滑り止め部材に溝を設けるだけでよい。また、従来構成の電子楽器のスタンドのように、転倒防止部材を側板から突出させる場合に側板がその突出した転倒防止部材を支持する必要があるために側板や転倒防止部材を高硬度または大型化する必要がなく、大型化した側板や転倒防止部材がかさばるとともにデザイン的にも不恰好になるということがない。この場合、第一実施形態のスタンド10は、滑り止め部材18を電子楽器1の前方(演奏者側)へ突出させることによって電子楽器1の前方へは電子楽器1を転倒しにくくすることができ、一方、滑り止め部材19を電子楽器1の後方(演奏者側とは反対側)へ突出させることによって電子楽器1の後方へは電子楽器1を転倒しにくくすることができる。したがって、従来製品に比べて製造工数が少なく、デザイン的に不恰好にならず、部屋の壁から離して設置された場合でも倒れにくいスタンド10を提供することができる。
【0025】
また、第一実施形態のスタンド10によれば、滑り止め部材18,19の案内溝18c,19cを貫通させたビス20を、側板14の下面14aの前部14bおよび後部14cそれぞれに形成された取付孔14dに取り付けることにより、滑り止め部材18,19を電子楽器1の前後方向に移動可能に構成しているので、ビス20を緩めた場合には滑り止め部材18,19を移動させることができ、一方、ビス20を締めた場合には滑り止め部材18,19を移動させにくくでき、したがって、滑り止め部材18,19の位置決めを容易にすることができる。
【0026】
[他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0027】
(1)上記実施形態の滑り止め部材18,19については、例えばABSなどの樹脂材料を用いた一層構造を有しているが、これには限られず、滑り止め部材18,19を、例えば上面側を金属プレートとし、下面側をゴム材料または樹脂材料を用いた複層構造としてもよい。このように構成しても上記実施形態と同様の作用効果を奏する。但し、上記実施形態の滑り止め部材18,19のような一層構造に比べて、二層構造の場合には、金属プレートとゴム材料とを張り合わせる必要があり、製造が面倒である。
【0028】
(2)上記実施形態のスタンド10では、滑り止め部材18を電子楽器1の前方(演奏者側)へ突出させることによって電子楽器1の前方へは電子楽器1を転倒しにくくすることができ、一方、滑り止め部材19を電子楽器1の後方(演奏者側とは反対側)へ突出させることによって電子楽器1の後方へは電子楽器1を転倒しにくくすることができるが、これには限られず、電子楽器1が転倒しやすい方向であれば、その方向に滑り止め部材18,19を突出されることが可能に構成してもよい。例えば、電子楽器1がその左右方向に転倒しやすい場合には、滑り止め部材18,19を電子楽器1の左右方向に突出されるように構成するのである。このように構成しても上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0029】
(3)上記実施形態のスタンド10では、各側板14に取り付けられた滑り止め部材18,19の双方が移動可能に構成しているが、これには限られず、各側板14に取り付けられた滑り止め部材18,19の一方のみを移動可能に構成してもよい。このように構成しても上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0030】
(4)上記実施形態のスタンド10では、滑り止め部材18,19の案内溝18c,19cを貫通させたビス20を、側板14の下面14aの取付孔14dに取り付けることにより、滑り止め部材18,19を電子楽器1の前後方向に移動可能に構成しているが、これには限られず、図3(a)に例示するように、側板114の側面114aに滑り止め部材118,119を電子楽器1の前後方向へ移動可能に取り付けるよう構成してもよい。
【0031】
具体的には、図3に例示するように、側板114の側面114aの前部114bには、ビス20を取り付けるための2つの取付孔114dがその内部に向けて形成されている。また、側板114の側面114aの後部114cには、ビス20を取り付けるための2つの取付孔114d(図示省略)がその内部に向けて形成されている。
【0032】
一方、滑り止め部材118は、例えばABSなどの樹脂製であり、滑り止め部118aおよび取付部118bからなる略L状の形状を有している。このうち、取付部118bには、滑り止め部材18の案内溝18cと同様の案内溝118cが形成されている。
【0033】
以上のように構成された滑り止め部材118は、案内溝118cを貫通させたビス20を側板114の取付孔114dに取り付けることにより、側板114の側面114aに電子楽器1の前後方向へ移動可能に取り付けられている。
【0034】
なお、滑り止め部材119については、滑り止め部材118と同様の構成を有しており、滑り止め部材118が側板14の側面114aの前部114bに設けられた取付孔114dに取り付けられているのに対して滑り止め部材119は側板114の側面114aの後部114cに設けられた取付孔114d(図示省略)に取り付けられているという具合に、その構成や側板114への取り付け方法は滑り止め部材118に対して前後対照であるので、ここでは詳細な説明は省略する。
【0035】
このようにすれば、スタンド10を持ち上げなくても、ビス20を容易に緩めたり締めたりすることができ、滑り止め部材118,119の位置を容易に調整することができる。
【0036】
(5)また、上記実施形態のスタンド10において、滑り止め部材18,19を電子楽器1の前後方向へよりスムーズに移動させるため、側板14の下面や側面に溝をその内部に向けて形成し、その溝の内部に滑り止め部材18の一部を位置させるよう構成してもよい。このように構成しても上記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】実施例の電子楽器のスタンドを示す斜視図であり、その滑り止め部材が収納位置にあるところを示している。
【図2】(a)は収納位置にある滑り止め部材を示す斜視図であり、(b)は突出位置にある滑り止め部材を示す斜視図であり、(c)は側板および滑り止め部材を示す斜視図であり、(d)は滑り止め部材のAA断面図である。
【図3】(a)は収納位置にある別実施形態の滑り止め部材を示す斜視図であり、(b)は突出位置にある別実施形態の滑り止め部材を示す斜視図であり、(c)は別実施形態の側板および滑り止め部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0038】
1・・・電子楽器、1a・・・鍵盤、10・・・スタンド、12・・・背板、14,114・・・側板、14a,114a・・・側板の下面、14b,114b・・・下面の前部、14c,114c・・・下面の後部、14d,114d・・・取付孔、18,19,118,119・・・滑り止め部材、18a,19a・・・滑り止め部材の下面、18b,19b・・・滑り止め部材の上面、18c,19c,118c,119c・・・案内溝、18d・・・下面側の開口部、18e・・・上面側の開口部、20・・・ビス、20a・・・頭部、20b・・・軸部、118a,119a・・・滑り止め部、118b,119b・・・取付部、1000・・・床面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍵盤を有する電子楽器の両端付近それぞれを下方から支持可能な一対の側板と、
前記側板と前記電子楽器が設置される床面との間に少なくともその一部が配置されることによって前記側板が前記床面上を滑るのを防止する接触面を有する滑り止め部材と、
を備えた電子楽器のスタンドであって、
前記滑り止め部材は、前記電子楽器が転倒するおそれがある方向へ前記接触面の一部が前記側板から突出するよう位置することで前記電子楽器を転倒しにくくする突出位置と前記側板の下に位置する前記接触面の部分が前記突出位置に位置する場合よりも多い収納位置との間を移動可能に構成されていること
を特徴とする電子楽器のスタンド。
【請求項2】
請求項1に記載の電子楽器のスタンドにおいて、
前記電子楽器が転倒するおそれがある方向とは、前記電子楽器における中央から前記鍵盤が配置されている側へ向かう方向であること
を特徴とする電子楽器のスタンド。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電子楽器のスタンドにおいて、
前記側板には、ビスを取り付け可能な取付孔が形成されており、
前記滑り止め部材には、前記滑り止め部材が前記突出位置と前記収納位置との間に位置する際に前記取付孔と連通する貫通孔が形成され、前記貫通孔を貫通させた前記ビスを前記取付孔に取り付けることにより、前記突出位置と前記収納位置との間を移動可能に構成されていること
を特徴とする電子楽器のスタンド。
【請求項4】
請求項3に記載の電子楽器のスタンドにおいて、
前記取付孔は、前記側板の下面からその内部に向けて形成されていることを特徴とする電子楽器のスタンド。
【請求項5】
請求項3に記載の電子楽器のスタンドにおいて、
前記取付孔は、前記側板の側面からその内部に向けて形成されていることを特徴とする電子楽器のスタンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−184300(P2006−184300A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−374423(P2004−374423)
【出願日】平成16年12月24日(2004.12.24)
【出願人】(000001410)株式会社河合楽器製作所 (563)
【Fターム(参考)】