電子楽器の鍵
【課題】無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を備えた電子楽器の鍵を提供する。
【解決手段】電子楽器の白鍵10の上面部11に上面模様部15を形成し、側面部12に側面模様部16を形成し、前面部14に前面模様部18を形成した。上面模様部15を、白鍵10の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる線状凸部15aで構成し、側面模様部16を、白鍵10の長手方向に延びる線状凸部16aで構成した。そして、側面模様部16を構成する線状凸部16aの延びる方向が同じになるようにした。また、前面模様部18を、水平方向に対して傾斜して左右に延びる線状凸部18aで構成した。
【解決手段】電子楽器の白鍵10の上面部11に上面模様部15を形成し、側面部12に側面模様部16を形成し、前面部14に前面模様部18を形成した。上面模様部15を、白鍵10の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる線状凸部15aで構成し、側面模様部16を、白鍵10の長手方向に延びる線状凸部16aで構成した。そして、側面模様部16を構成する線状凸部16aの延びる方向が同じになるようにした。また、前面模様部18を、水平方向に対して傾斜して左右に延びる線状凸部18aで構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子楽器が備える鍵の中には、高級感を出すために、木目模様の凹凸を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。この鍵は、黒鍵を構成しており、射出成形によって成形される。そして、成形後に、鍵の上面と側面とをサンドペーパで削り加工することにより、不規則な断面V字状の溝からなる木目調の凹凸模様が形成される。また、鍵の前面には、射出成形の際に、木の導管の端面に相当する凹凸模様が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−169361号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、前述した従来の鍵では、木目調の模様を、サンドペーパで鍵の所定の面を削り加工することにより形成した不規則な断面V字状の溝で構成しているため、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を形成することは困難であった。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を備えた電子楽器の鍵を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る電子楽器の鍵の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(10)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部(15a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(11)に形成された上面模様部(15)と、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(16a,17a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(12,13)に形成された一対の側面模様部(16,17)とで構成し、かつ、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことにある。
【0007】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる上面に、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成し、両側面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部をそれぞれ形成している。そして、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしている。このため、鍵の延びる方向と、鍵の上面と側面とにそれぞれ形成された凹部や凸部からなる線状部が延びる方向とが略一致するようになり、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この場合の線状部の傾斜角度は、好ましくは±20度に設定することであり、さらに好ましくは±10度に設定することである。
【0008】
すなわち、年輪を有する木材における年輪の中心側から外周側にかかる部分を縦方向に切断したときには、その切断面に、縦方向に延びる複数の線からなる柾目模様が現れるが、その柾目模様を構成する各線の間隔は、木材の根に近い方から先端側に行くほど僅かではあるが徐々に狭くなっていく。このため、柾目模様を構成する各線は、木材の延びる方向に対して僅かに傾斜して見える。したがって、鍵の上面に形成する凹部や凸部からなる線状部を、鍵の長手方向に対して±30度の角度の範囲で傾斜させることにより、上面模様部がより本物の木材の柾目模様や追い柾目模様(柾目と板目(年輪の接線方向に切断した面)との中間の形状)に近いものとなる。そして、線状部の傾斜角度が±30度よりも小さくなるほど、より本物の木材の柾目模様や追い柾目模様に近いものとなる。
【0009】
また、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向を同じにすることにより、両側面が1個の木材で構成されているように見える。そして、この両側面模様部と上面模様部とを模様がつながるように合わせることにより、さらに、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を得ることができる。また、この電子楽器の鍵では、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。なお、鍵の上面と両側面とに形成される凹部からなる線状部や凸部からなる線状部は、各面に1個だけ形成してもよいが、複数個形成することがより好ましい。また、鍵の前面には、木目模様と調和のとれる凹凸模様、例えば、格子模様のような工業製品に適した凹凸模様や、木の導管のような凹凸模様を形成することができる。
【0010】
また、本発明に係る電子楽器の鍵では、鍵の前面(14)に、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部(18a)との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部(18)を形成することが好ましい。これによると、鍵の前面に形成された前面模様部が年輪のように現れる。したがって、上面模様部と、両側面模様部に、さらに年輪に似た前面模様部を加えることによって、鍵全体の外観を無垢材に近いものにすることができる。
【0011】
本発明に係る電子楽器の鍵の他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(20)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(25a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(21)に形成された上面模様部(25)と、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(26a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(22)に形成された一対の側面模様部(26)とで構成し、かつ、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことにある。
【0012】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる上面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成し、両側面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部をそれぞれ形成している。そして、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしている。このため、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。
【0013】
すなわち、上面模様部は、年輪を有する木材を年輪の接線方向に縦方向に切断したときに現れる板目模様のように見え、一対の側面模様部は、それぞれ表裏両面が板目模様になるように木材を切断したときのその板材の両側の断面に現れる柾目模様や追い柾目模様のように見える。これによって、年輪に酷似した凹凸模様を、鍵の上面と両側面とに形成することができ、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を備えた鍵を得ることができる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。なお、鍵の上面と両側面とに形成される凹部からなる線状部や凸部からなる線状部は、各面に1個だけ形成してもよいが、複数個形成することがより好ましい。また、鍵の前面には、木目模様と調和のとれる凹凸模様、例えば、格子模様のような工業製品に適した凹凸模様や木の導管のような凹凸模様を形成することができる。
【0014】
また、本発明に係る電子楽器の鍵では、鍵の前面(24)に、左右に延びる凹部からなる線状部と、左右に延びる凸部からなる線状部(28a,28b)との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部(28)を形成することが好ましい。これによると、鍵の前面に形成された前面模様部が年輪のように現れる。したがって、上面模様部と、両側面模様部に、さらに年輪に似た前面模様部を加えることによって、鍵全体の外観を無垢材に近いものにすることができる。なお、この場合の左右に延びる線状部としては、水平方向に延びる線状部であってもよいし、上方または下方に湾曲しながら左右に延びる線状部であってもよい。
【0015】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(30)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部(35a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(31)に形成された上面模様部(35)と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(36a,37a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(32,33)に形成された一対の側面模様部(36,37)とで構成し、かつ、一対の側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことにある。
【0016】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる上面に、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成し、両側面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部をそれぞれ形成している。そして、一対の側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしている。このため、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この場合、上面模様部を構成する線状部の傾斜角度は±20度に設定することが好ましく、より好ましくは±10度に設定することである。これによって、凹凸模様がさらに本物の木材の模様に近いものとなる。
【0017】
すなわち、上面模様部は、柾目模様や追い柾目模様のように現れ、一対の側面模様部は、それぞれ板目模様のように現れる。これによって、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を得ることができる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。なお、鍵の上面と両側面とに形成される凹部からなる線状部や凸部からなる線状部は、各面に1個だけ形成してもよいが、複数個形成することがより好ましい。また、鍵の前面には、木目模様と調和のとれる凹凸模様、例えば、格子模様のような工業製品に適した凹凸模様や木の導管のような凹凸模様を形成することができる。
【0018】
また、本発明に係る電子楽器の鍵では、鍵の前面(34)に、上下に延びる凹部からなる線状部と、上下に延びる凸部からなる線状部(38a,38b)との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部(38)を形成することが好ましい。これによると、鍵の前面に形成された前面模様部が年輪のように現れる。したがって、上面模様部と、両側面模様部に、さらに年輪に似た前面模様部を加えることによって、鍵全体の外観を無垢材に近いものにすることができる。この場合の上下に延びる線状部としては、垂直方向に延びる線状部であってもよいし、左右に湾曲しながら上下に延びる線状部であってもよい。
【0019】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(40)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(45a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(41)に形成された上面模様部(45)と、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(46a,47a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(42,43)に形成された一対の側面模様部(46,47)と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部(48a)との少なくとも一方の線状部で構成され鍵の前面(44)に形成された前面模様部(48)とで構成したことにある。
【0020】
本発明に係る電子楽器の鍵では、上面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成するとともに、両側面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部を形成している。そして、鍵の前面に、水平方向に対して傾斜して延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される前面模様部を形成している。このため、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。すなわち、上面模様部と側面模様部とは、柾目模様や追い柾目模様のように現れ、前面模様部は、年輪模様のように現れる。したがって、上面模様部、両側面模様部および前面模様部の全体の外観が一体となって無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様になる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。
【0021】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(50)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(55a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(51)に形成された上面模様部(55)と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(56a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(52)に形成された一対の側面模様部(56)と、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凹部からなる線状部と、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凸部からなる線状部(58a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の前面(54)に形成された前面模様部(58)とで構成し、かつ、上面模様部を構成する線状部と一対の側面模様部を構成する各線状部との湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことにある。
【0022】
本発明に係る電子楽器の鍵では、上面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部が形成されるとともに、両側面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部が形成されている。そして、上面模様部および両側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしている。また、鍵の前面には、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凹部や凸部からなる線状部で構成される前面模様部が形成されている。
【0023】
このため、上面模様部および両側面模様部で板目模様の風合いを表現でき、前面模様部で年輪の風合いを表現できる。したがって、上面模様部、両側面模様部および前面模様部の全体の外観が一体となって無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様になる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。
【0024】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、鍵の上面、一対の側面および前面のうちの隣接する面に形成された線状部の端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしたことにある。これによると、鍵の各面に形成され各面の縁部に到達する各線状部が隣接する面に形成された線状部と繋がるため、鍵の凹凸模様が、さらに実際の無垢材の表面に現れる模様に近いものになる。また、線状部を、特に凹部で構成した場合には、演奏時に、演奏者の汗が鍵の上面に落ちると、その汗は、上面の線状部から側面の線状部に伝わって流れていく。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図2】図1に示した白鍵の上面に形成された上面模様部を示した拡大図である。
【図3】図1に示した白鍵の両側面に形成された側面模様部を示した拡大図である。
【図4】図1に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図6】図5に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図7】第2実施形態の変形例に係る白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図9】図8に示した白鍵の両側面に形成された側面模様部を示した拡大図である。
【図10】図8に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図11】第3実施形態の変形例に係る白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図13】図12に示した白鍵の両側面に形成された側面模様部を示した拡大図である。
【図14】図12に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図16】図15に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電子楽器の鍵を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る白鍵10を示している。この白鍵10は、電子楽器(図示せず)の上面における手前側(演奏者側)に黒鍵とともに複数個並べられるもので、それぞれ長手方向を前後に向けて設置される。この白鍵10は、硬質の合成樹脂を一体成形することにより形成されており、上面部11と、左右一対の側面部12,13(図3参照)と前面部14とで構成されている。上面部11の左側部の後部側には黒鍵を配置するための切り欠き凹部11aが形成され、上面部11の上面後端には、前部側よりも低くなった段部11bが形成されている。この段部11bは、白鍵10を電子楽器の本体に揺動可能に支持させる際に用いられる。なお、前記切り欠き凹部11aの位置は鍵盤における白鍵が割り当てられる位置によって異り、黒鍵に隣接しない白鍵には切り欠き凹部は設けられていない。
【0027】
側面部12は、L形の板状部分で構成されており、L形の長辺側の外縁部を上面部11の右側部に沿わせて、上面部11に一体的に組付けられている。また、側面部13は、側面視が側面部12と同じL形に形成されており、上縁部を上面部11の左側部の前部側と切り欠き凹部11aの縁部に沿わせた段違い状の板状部分で構成されている。前面部14は、上面部11の先端縁部よりも僅かに後方部分から下方に延びる略正方形の板状部分で構成されており、右側部は側面部12の前端部に連結され、左側部は側面部13の前端部に連結されている。
【0028】
白鍵10の上面部11の表面には、上面模様部15が形成され、側面部12,13の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部16,17が形成されている。また、前面部14の表面には前面模様部18が形成されている。上面模様部15は、白鍵10の前後方向に延びる線状凸部15aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。各線状凸部15aは、略直線状に延びており、図2に矢印aで示した白鍵10(上面部11)の長手方向に対する角度bが30度以内になる範囲で傾斜している。すなわち、上面部11に形成された上面模様部15を構成する各線状凸部15aは、手前側から見た状態で、前部よりも後部が右側に位置するように傾斜している。
【0029】
側面部12に形成された側面模様部16は、図3に示したように、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵10の前方から後方に延びる線状凸部16aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成され、側面部13に形成された側面模様部17も、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵10の前方から後方に延びる線状凸部17aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成されている。この側面模様部16を構成する各線状凸部16aと、側面模様部17を構成する各線状凸部17aとは、ともに手前側から見た状態で、前部よりも後部が下側に位置するように傾斜しており、一方の側面側から見た状態では、各線状凸部16aと、各線状凸部17aとは重なる位置にある。なお、図3では、側面模様部17および各線状凸部17aを明確に示すために、上面模様部15および前面模様部18の図示は省略している。
【0030】
また、上面模様部15を構成する線状凸部15aのうちの右側の端部が上面部11の右側の縁部に到達している線状凸部15aと、側面模様部16を構成する線状凸部16aのうちの上側の端部が側面部12の上側の縁部に到達している線状凸部16aとは、上面部11と側面部12とが交わる縁部で繋がっている。同様に、上面模様部15を構成する線状凸部15aのうちの左側の端部が上面部11の左側の縁部に到達している線状凸部15aと、側面模様部17を構成する線状凸部17aのうちの上側の端部が側面部13の上側の縁部に到達している線状凸部17aとは、上面部11と側面部13とが交わる縁部で繋がっている。
【0031】
前面部14に形成された前面模様部18は、図4に示したように、水平方向に対して、左側よりも右側が下方に位置するように傾斜して左右に延びる線状凸部18aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。この線状凸部18aのうちの上側の端部が、前面部14の上側の縁部に到達している線状凸部18aと、上面模様部15を構成する線状凸部15aのうちの前側の端部が上面部11前側の縁部に到達している線状凸部15aとは、前面部14と上面部11とが交わる縁部で繋がっている。
【0032】
そして、線状凸部18aのうちの右側の端部が、前面部14の右側の縁部に到達している線状凸部18aと、側面模様部16を構成する線状凸部16aのうちの前側の端部が側面部12の前側の縁部に到達している線状凸部16aとは、前面部14と側面部12とが交わる縁部で繋がり、線状凸部18aのうちの左側の端部が、前面部14の左側の縁部に到達している線状凸部18aと、側面模様部17を構成する線状凸部17aのうちの前側の端部が側面部13の前側の縁部に到達している線状凸部17aとは、前面部14と側面部13とが交わる縁部で繋がっている。
【0033】
各線状凸部15a〜18aにおける上面部11、側面部12,13および前面部14のそれぞれの表面平坦部19からの突出長さは、それぞれ0.01mm〜1mm、好ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。また、各線状凸部15aの間隔はそれぞれ0.03mm〜22mm、好ましくは0.05mm〜12mm、さらに好ましくは0.08mm〜8mmに設定され、各線状凸部16a,17aの間隔はそれぞれ0.03mm〜22mm、好ましくは0.05mm〜12mm、さらに好ましくは0.08mm〜8mmに設定され、各線状凸部18aの間隔はそれぞれ0.03mm〜22mm、好ましくは0.05mm〜12mm、さらに好ましくは0.08mm〜8mmに設定されている。上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18は、このように間隔を保った複数の線状凸部15a〜18aでそれぞれ構成されているため、実際の無垢材の表面に現れる自然な木目模様のように見える。
【0034】
なお、この白鍵10を一体成形する射出成形機には、固定型と可動型とからなる金型が備わっており、金型の成形面に、上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18に対応する凹凸模様、すなわち、上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18と凹凸が逆になる凹凸模様が形成されている。このため、白鍵10の成形が容易になる。
【0035】
また、白鍵10が備わった電子楽器を演奏する際には、まず、上面部11に形成された上面模様部15と前面部14に形成された前面模様部18とが見え、押鍵操作をしたときに、隣の白鍵10の側面部12,13に形成された側面模様部16,17が見える。このため、電子楽器の美観が向上するとともに、押鍵操作の際に、上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18が変化して見えるようになり、演奏が楽しくなる。また、押鍵時に、指が上面部11の上面模様部15に触れることによっても、触感に変化が生じて興趣に富むものとなる。
【0036】
このように、本実施形態に係る白鍵10では、白鍵10の延びる方向と、白鍵10の上面部11と側面部12,13とにそれぞれ形成された線状凸部15a〜17aが延びる方向とが略一致するとともに、白鍵10の前面部14に形成された前面模様部18が年輪のように見える。そして、上面部11、側面部12,13および前面部14のうちの隣接する面に形成された線状凸部15a〜18aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わっている。このため、白鍵10をあたかも本物の材木で構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。また、この白鍵10では、上面模様部15、側面部12,13および前面部14がそれぞれ白鍵10の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。さらに、演奏時に、演奏者の汗が鍵の上面に落ちると、その汗は、上面部11の線状凸部15aから側面部12,13の線状凸部16a,17aに伝わって流れていく。
【0037】
なお、本実施形態では、前面部14にも木目調の前面模様部18を設けているが、前面部14に形成する前面模様部18は、他の凹凸模様で構成してもよい。例えば、格子状の凹凸模様や木の導管のような凹凸模様で前面模様部を構成することができる。また、本実施形態では、上面模様部15等を、線状凸部15a〜18aで構成しているが、線状凸部15a〜18aに代えて、溝状の線状凹部で上面模様部15等を構成してもよい。さらに、上面模様部15等を線状凸部15a〜18aと線状凹部との双方を含む形状にしてもよい。
【0038】
また、各線状凸部15a〜18aが白鍵10に対して傾く方向は、前述した方向と逆方向であってもよい。さらに、白鍵10を成形する際に、二色の樹脂材料を用いて、白鍵10の色が部分的に異なるようにしてもよい。例えば、薄い茶色の樹脂材料とやや濃い茶色の樹脂材料とを用いると、上面模様部15等がより一層木材の木目模様に近づく。また、上面部11、側面部12,13および前面部14のうちの隣接する面に形成された線状凸部15a〜18aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わらないようにすることもできる。さらに、この上面模様部15等を形成する鍵は、白鍵10でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵10と黒鍵との双方にしてもよい。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る白鍵20を示している。この白鍵20では、上面部21の表面に、上面模様部25が形成され、左右一対の側面部22(一方しか図示せず)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部26が形成されている。また、前面部24の表面には前面模様部28が形成されている。上面模様部25は、白鍵20の前部側から後部側に延びたのちに湾曲して前部側に戻る線状凸部25aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。すなわち、上面模様部25においては、上面部21の左右方向の中央側に位置する線状凸部25aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部25aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部25aが配置されている。
【0040】
また、一方の側面部22(図5の手前側に位置する側面部)に形成された側面模様部26は、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵20の前方から後方に延びる線状凸部26aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成され、他方の側面部22に形成された側面模様部26も、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵20の前方から後方に延びる線状凸部26aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成されている。
【0041】
両側面模様部26を構成する各線状凸部26aは、図3に示した各線状凸部16a,17aと同様の構成をしている。そして、一方の側方から見た状態では、両側面模様部26の各線状凸部26aは重なる位置にある。また、上面模様部25を構成する線状凸部25aのうちの端部が上面部21の左右の縁部に到達している線状凸部25aと、両側面模様部26を構成する線状凸部26aのうちの上側の端部が両側面部22の上側の縁部に到達している線状凸部26aとは、上面部21と両側面部22とが交わる縁部でそれぞれ繋がっている。
【0042】
前面部24に形成された前面模様部28は、図6に示したように、中央側が上方に凸状になって左右方向に延びる線状凸部28aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。この線状凸部28aのうちの上側の端部が、前面部24の上側の縁部に到達している線状凸部28aと、上面模様部25を構成する線状凸部25aのうちの前側の端部が上面部21前側の縁部に到達している線状凸部25aとは、前面部24と上面部21とが交わる縁部で繋がっている。
【0043】
そして、線状凸部28aのうちの端部が、前面部24の左右の縁部に到達している線状凸部28aと、両側面模様部26を構成する線状凸部26aのうちの前側の端部が両側面部22の前側の縁部に到達している線状凸部26aとは、前面部24と両側面部22とそれぞれが交わる縁部で繋がっている。この白鍵20のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0044】
このように、本実施形態に係る白鍵20では、上面部21に板目模様の凹凸からなる上面模様部25を形成し、両側面部22に追い柾目模様の凹凸からなる側面模様部26を形成し、前面部24に年輪模様の凹凸からなる前面模様部28を形成している。そして、上面部21、両側面部22および前面部24のうちの隣接する面に形成された線状部25a,26a,28aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも本物の材木で白鍵20を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵20におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0045】
なお、本実施形態では、前面模様部28を、図6に示したように、中央側が上方に凸状になって左右方向に延びる複数の線状凸部28aで構成しているが、これに代えて、図7に示したように、水平方向に真っ直ぐに延びる線状凸部28bを上下に間隔を保って複数配置することによって前面模様部28を構成してもよい。また、前面部24に形成する前面模様部28は、格子模様のような凹凸模様や、木の導管のような凹凸模様で構成してもよい。さらに、各線状凸部25aの湾曲部分が白鍵20に対して向く方向は、前述した方向と逆方向であってもよい。また、本実施形態は、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
【0046】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る白鍵30を示している。この白鍵30では、上面部31の表面に、上面模様部35が形成され、側面部32,33(図9参照)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部36,37が形成されている。また、前面部34の表面には前面模様部38が形成されている。上面模様部35は、図2に示した上面模様部15と同様の構成をしており、白鍵30の前後方向に延びる線状凸部35aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。各線状凸部35aは、略直線状に延びており、白鍵30の長手方向に対する角度が30度以内になる範囲で傾斜している。
【0047】
側面模様部36は、白鍵30の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部36aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。すなわち、側面模様部36においては、側面部32の上下方向の中央側に位置する線状凸部36aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部36aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部36aが配置されている。また、側面部33に形成された側面模様部37も、白鍵30の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部37aを間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。この側面模様部36を構成する各線状凸部36aと、側面模様部37を構成する各線状凸部37aとを、一方の側方から見た状態では、各線状凸部36aと、各線状凸部37aとは略重なる位置にある。
【0048】
なお、図9では、側面模様部37および各線状凸部37aを明確に示すために、上面模様部35と前面模様部38との図示は省略している。また、上面部31の右側の縁部に端部が到達している線状凸部35aと、側面部32の上側の縁部に端部が到達している線状凸部36aとは、上面部31と側面部32とが交わる縁部で繋がり、上面部31の左側の縁部に端部が到達している線状凸部35aと、側面部33の上側の縁部に端部が到達している線状凸部37aとは、上面部31と側面部33とが交わる縁部で繋がっている。
【0049】
前面部34に形成された前面模様部38は、図10に示したように、中央側が左側に凸状になるように湾曲して上下に延びる線状凸部38aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。この線状凸部38aのうちの上側の端部が、前面部34の上側の縁部に到達している線状凸部38aと、上面部31の前側の縁部に端部が到達している線状凸部35aとは、前面部34と上面部31とが交わる縁部で繋がっている。
【0050】
そして、前面部34の右側の縁部に端部が到達している線状凸部38aと、側面部32の前側の縁部に端部が到達している線状凸部36aとは、前面部34と側面部32とが交わる縁部で繋がり、前面部34の左側の縁部に端部が到達している線状凸部38aと、側面部33の前側の縁部に端部が到達している線状凸部37aとは、前面部34と側面部33とが交わる縁部で繋がっている。この白鍵20のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0051】
このように、本実施形態に係る白鍵30では、上面部31に柾目模様の凹凸からなる上面模様部35を形成し、側面部32,33に板目模様の凹凸からなる側面模様部36,37を形成し、前面部34に年輪模様の凹凸からなる前面模様部38を形成している。そして、上面部31、側面部32,33および前面部34のうちの隣接する面に形成された線状凸部35a〜38aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも本物の無垢材で白鍵30を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵30におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0052】
なお、本実施形態では、前面模様部38を、図10に示したように、中央側が左側に凸状になるように湾曲して上下方向に延びる複数の線状凸部38aで構成しているが、これに代えて、図11に示したように、垂直方向に真っ直ぐに延びる線状凸部38bを左右に間隔を保って複数配置することによって前面模様部38を構成してもよい。また、本実施形態は、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。さらに、本実施形態では、側面模様部36を構成する各線状凸部36aと、側面模様部37を構成する各線状凸部37aとが、一方の側方から見た状態で略重なる位置にあるようにしているが、側面模様部36と側面模様部37とは、1本の木材の両側面に形成される模様として違和感を生じない範囲であれば互いにずれていてもよい。
【0053】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態に係る白鍵40を示している。この白鍵40では、上面部41の表面に、上面模様部45が形成され、側面部42,43(図13参照)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部46,47が形成されている。また、前面部44の表面には前面模様部48が形成されている。上面模様部45は、白鍵40の前後方向に延びる線状凸部45aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。
【0054】
側面模様部46は、白鍵40の前後方向に延びる線状凸部46aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成され、側面模様部47も、白鍵40の前後方向に延びる線状凸部47aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。そして、前面模様部48は、図14に示したように、前面部44の右上から左下に延びる線状凸部48aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されており、各線状凸部48aは、中央側が右下方に凸状になる湾曲した線状に形成されている。
【0055】
また、各線状凸部48aにおける前面部44の下側の縁部を除いた各縁部に到達している各端部は、それぞれ上面部41および側面部42,43に形成された線状凸部45a〜47aの対応する端部と、前面部44と、上面部41および側面部42,43のいずれかとが交わる縁部で繋がっている。この白鍵40のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0056】
このように、本実施形態に係る白鍵40では、上面部41および側面部42,43にそれぞれ柾目模様の凹凸からなる上面模様部45および側面模様部46,47を形成し、前面部44に年輪模様の凹凸からなる前面模様部48を形成している。そして、上面部41、側面部42,43に形成された線状凸部45a〜47aと、前面部44に形成された線状凸部48aとの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも本物の無垢材で白鍵40を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵40におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。なお、本実施形態も、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
【0057】
(第5実施形態)
図15は、本発明の第5実施形態に係る白鍵50を示している。この白鍵50では、上面部51の表面に、上面模様部55が形成され、左右一対の側面部52(一方しか図示せず)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部56が形成されている。また、前面部54の表面には前面模様部58が形成されている。上面模様部55は、白鍵50の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部55aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。すなわち、上面模様部55においては、上面部51の左右方向の中央側に位置する線状凸部55aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部55aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部55aが配置されている。
【0058】
一対の側面模様部56は、ともに白鍵50の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部56aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されており、側面部52の上下方向の中央側に位置する線状凸部56aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部56aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部55aが配置されている。この一対の側面模様部56を構成する各線状凸部56aは、図9に示した各線状凸部36a,37aと同様の構成をしており、両側面模様部56を構成する各線状凸部56aを、一方の側方から見た状態では、両側面模様部56の各線状凸部56aは略重なる位置にある。また、線状凸部35aと、線状凸部36aとのそれぞれ隣接する面の縁部に到達する端部どうしはその縁部で繋がっている。
【0059】
前面部54に形成された前面模様部58は、図16に示したように、中央側が小さく外周側に行くほど大きくなった複数の環状の線状凸部58aを間隔を保って配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。なお、この場合の環状の線状凸部58aには、完全に環状になってなく、前面部54の縁部で途切れているものも含むものとする。そして、外周側に位置する線状凸部58aにおける前面部54の下側の縁部を除いた各縁部に到達している端部は、それぞれ上面部51および側面部52に形成された線状凸部55a,56aの対応する端部と、前面部54と、上面部51および側面部52のいずれかとが交わる縁部で繋がっている。この白鍵50のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0060】
このように、本実施形態に係る白鍵50では、上面部51および両側面部52に板目模様の凹凸からなる上面模様部55および側面模様部56を形成し、前面部54に年輪模様の凹凸からなる前面模様部58を形成している。そして、上面部51、両側面部52および前面部54のうちの隣接する面に形成された線状部55a,56a,58aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも丸太の中心部分からなる本物の無垢材で白鍵50を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵50におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0061】
なお、本実施形態も、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。また、本実施形態では、両側面模様部56を構成する各線状凸部56aが、一方の側方から見た状態で略重なる位置にあるようにしているが、両側面模様部56は、1本の木材の両側面に形成される模様として違和感を生じない範囲であれば互いにずれていてもよい。
【0062】
さらに、前述した白鍵10,20,30,40,50の上面後端には、それぞれ段部11bが形成されているが、この段部11bを設けずに、白鍵10,20,30,40,50の上面は前端から後端にかけて連続した平面に形成してもよい。また、白鍵10,20,30,40,50の前面部14,24,34,44,54は、それぞれ上面部11,21,31,41,51の先端縁部よりも後方部分から下方に延びて上面部11,21,31,41,51の先端縁部が前面部14,24,34,44,54よりも前方に突出しているが、この突出した部分は除去してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10,20,30,40,50…白鍵、11,21,31,41,51…上面部、12,13,22,32,33,42,43,52…側面部、14,24,34,44,54…前面部、15,25,35,45,55…上面模様部、15a,16a,17a,18a,25a,26a,28a,28b,35a,36a,37a,38a,38b,45a,46a,47a,48a,55a,56a,58a…線状凸部、16,17,26,36,37,46,47,56…側面模様部、18,28,38,48,58…前面模様部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子楽器が備える鍵の中には、高級感を出すために、木目模様の凹凸を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。この鍵は、黒鍵を構成しており、射出成形によって成形される。そして、成形後に、鍵の上面と側面とをサンドペーパで削り加工することにより、不規則な断面V字状の溝からなる木目調の凹凸模様が形成される。また、鍵の前面には、射出成形の際に、木の導管の端面に相当する凹凸模様が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−169361号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、前述した従来の鍵では、木目調の模様を、サンドペーパで鍵の所定の面を削り加工することにより形成した不規則な断面V字状の溝で構成しているため、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を形成することは困難であった。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を備えた電子楽器の鍵を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る電子楽器の鍵の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(10)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部(15a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(11)に形成された上面模様部(15)と、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(16a,17a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(12,13)に形成された一対の側面模様部(16,17)とで構成し、かつ、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことにある。
【0007】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる上面に、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成し、両側面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部をそれぞれ形成している。そして、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしている。このため、鍵の延びる方向と、鍵の上面と側面とにそれぞれ形成された凹部や凸部からなる線状部が延びる方向とが略一致するようになり、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この場合の線状部の傾斜角度は、好ましくは±20度に設定することであり、さらに好ましくは±10度に設定することである。
【0008】
すなわち、年輪を有する木材における年輪の中心側から外周側にかかる部分を縦方向に切断したときには、その切断面に、縦方向に延びる複数の線からなる柾目模様が現れるが、その柾目模様を構成する各線の間隔は、木材の根に近い方から先端側に行くほど僅かではあるが徐々に狭くなっていく。このため、柾目模様を構成する各線は、木材の延びる方向に対して僅かに傾斜して見える。したがって、鍵の上面に形成する凹部や凸部からなる線状部を、鍵の長手方向に対して±30度の角度の範囲で傾斜させることにより、上面模様部がより本物の木材の柾目模様や追い柾目模様(柾目と板目(年輪の接線方向に切断した面)との中間の形状)に近いものとなる。そして、線状部の傾斜角度が±30度よりも小さくなるほど、より本物の木材の柾目模様や追い柾目模様に近いものとなる。
【0009】
また、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向を同じにすることにより、両側面が1個の木材で構成されているように見える。そして、この両側面模様部と上面模様部とを模様がつながるように合わせることにより、さらに、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を得ることができる。また、この電子楽器の鍵では、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。なお、鍵の上面と両側面とに形成される凹部からなる線状部や凸部からなる線状部は、各面に1個だけ形成してもよいが、複数個形成することがより好ましい。また、鍵の前面には、木目模様と調和のとれる凹凸模様、例えば、格子模様のような工業製品に適した凹凸模様や、木の導管のような凹凸模様を形成することができる。
【0010】
また、本発明に係る電子楽器の鍵では、鍵の前面(14)に、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部(18a)との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部(18)を形成することが好ましい。これによると、鍵の前面に形成された前面模様部が年輪のように現れる。したがって、上面模様部と、両側面模様部に、さらに年輪に似た前面模様部を加えることによって、鍵全体の外観を無垢材に近いものにすることができる。
【0011】
本発明に係る電子楽器の鍵の他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(20)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(25a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(21)に形成された上面模様部(25)と、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(26a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(22)に形成された一対の側面模様部(26)とで構成し、かつ、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことにある。
【0012】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる上面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成し、両側面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部をそれぞれ形成している。そして、一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしている。このため、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。
【0013】
すなわち、上面模様部は、年輪を有する木材を年輪の接線方向に縦方向に切断したときに現れる板目模様のように見え、一対の側面模様部は、それぞれ表裏両面が板目模様になるように木材を切断したときのその板材の両側の断面に現れる柾目模様や追い柾目模様のように見える。これによって、年輪に酷似した凹凸模様を、鍵の上面と両側面とに形成することができ、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を備えた鍵を得ることができる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。なお、鍵の上面と両側面とに形成される凹部からなる線状部や凸部からなる線状部は、各面に1個だけ形成してもよいが、複数個形成することがより好ましい。また、鍵の前面には、木目模様と調和のとれる凹凸模様、例えば、格子模様のような工業製品に適した凹凸模様や木の導管のような凹凸模様を形成することができる。
【0014】
また、本発明に係る電子楽器の鍵では、鍵の前面(24)に、左右に延びる凹部からなる線状部と、左右に延びる凸部からなる線状部(28a,28b)との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部(28)を形成することが好ましい。これによると、鍵の前面に形成された前面模様部が年輪のように現れる。したがって、上面模様部と、両側面模様部に、さらに年輪に似た前面模様部を加えることによって、鍵全体の外観を無垢材に近いものにすることができる。なお、この場合の左右に延びる線状部としては、水平方向に延びる線状部であってもよいし、上方または下方に湾曲しながら左右に延びる線状部であってもよい。
【0015】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(30)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部(35a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(31)に形成された上面模様部(35)と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(36a,37a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(32,33)に形成された一対の側面模様部(36,37)とで構成し、かつ、一対の側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことにある。
【0016】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる上面に、鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成し、両側面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部をそれぞれ形成している。そして、一対の側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしている。このため、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この場合、上面模様部を構成する線状部の傾斜角度は±20度に設定することが好ましく、より好ましくは±10度に設定することである。これによって、凹凸模様がさらに本物の木材の模様に近いものとなる。
【0017】
すなわち、上面模様部は、柾目模様や追い柾目模様のように現れ、一対の側面模様部は、それぞれ板目模様のように現れる。これによって、無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様を得ることができる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。なお、鍵の上面と両側面とに形成される凹部からなる線状部や凸部からなる線状部は、各面に1個だけ形成してもよいが、複数個形成することがより好ましい。また、鍵の前面には、木目模様と調和のとれる凹凸模様、例えば、格子模様のような工業製品に適した凹凸模様や木の導管のような凹凸模様を形成することができる。
【0018】
また、本発明に係る電子楽器の鍵では、鍵の前面(34)に、上下に延びる凹部からなる線状部と、上下に延びる凸部からなる線状部(38a,38b)との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部(38)を形成することが好ましい。これによると、鍵の前面に形成された前面模様部が年輪のように現れる。したがって、上面模様部と、両側面模様部に、さらに年輪に似た前面模様部を加えることによって、鍵全体の外観を無垢材に近いものにすることができる。この場合の上下に延びる線状部としては、垂直方向に延びる線状部であってもよいし、左右に湾曲しながら上下に延びる線状部であってもよい。
【0019】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(40)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(45a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(41)に形成された上面模様部(45)と、鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部(46a,47a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(42,43)に形成された一対の側面模様部(46,47)と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部(48a)との少なくとも一方の線状部で構成され鍵の前面(44)に形成された前面模様部(48)とで構成したことにある。
【0020】
本発明に係る電子楽器の鍵では、上面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部を形成するとともに、両側面に、鍵の長手方向に延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部を形成している。そして、鍵の前面に、水平方向に対して傾斜して延びる凹部や凸部からなる線状部で構成される前面模様部を形成している。このため、あたかも本物の材木で鍵を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。すなわち、上面模様部と側面模様部とは、柾目模様や追い柾目模様のように現れ、前面模様部は、年輪模様のように現れる。したがって、上面模様部、両側面模様部および前面模様部の全体の外観が一体となって無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様になる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。
【0021】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵(50)において、凹凸模様を、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(55a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の上面(51)に形成された上面模様部(55)と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部(56a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の両側面(52)に形成された一対の側面模様部(56)と、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凹部からなる線状部と、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凸部からなる線状部(58a)との少なくとも一方の線状部で構成され、鍵の前面(54)に形成された前面模様部(58)とで構成し、かつ、上面模様部を構成する線状部と一対の側面模様部を構成する各線状部との湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことにある。
【0022】
本発明に係る電子楽器の鍵では、上面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される上面模様部が形成されるとともに、両側面に、鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部や凸部からなる線状部で構成される側面模様部が形成されている。そして、上面模様部および両側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしている。また、鍵の前面には、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凹部や凸部からなる線状部で構成される前面模様部が形成されている。
【0023】
このため、上面模様部および両側面模様部で板目模様の風合いを表現でき、前面模様部で年輪の風合いを表現できる。したがって、上面模様部、両側面模様部および前面模様部の全体の外観が一体となって無垢材に近い自然な木目調の凹凸模様になる。また、本発明においても、凹凸模様が鍵の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。
【0024】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、鍵の上面、一対の側面および前面のうちの隣接する面に形成された線状部の端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしたことにある。これによると、鍵の各面に形成され各面の縁部に到達する各線状部が隣接する面に形成された線状部と繋がるため、鍵の凹凸模様が、さらに実際の無垢材の表面に現れる模様に近いものになる。また、線状部を、特に凹部で構成した場合には、演奏時に、演奏者の汗が鍵の上面に落ちると、その汗は、上面の線状部から側面の線状部に伝わって流れていく。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図2】図1に示した白鍵の上面に形成された上面模様部を示した拡大図である。
【図3】図1に示した白鍵の両側面に形成された側面模様部を示した拡大図である。
【図4】図1に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図6】図5に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図7】第2実施形態の変形例に係る白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図9】図8に示した白鍵の両側面に形成された側面模様部を示した拡大図である。
【図10】図8に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図11】第3実施形態の変形例に係る白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図12】本発明の第4実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図13】図12に示した白鍵の両側面に形成された側面模様部を示した拡大図である。
【図14】図12に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【図15】本発明の第5実施形態に係る白鍵を示した斜視図である。
【図16】図15に示した白鍵の前面に形成された前面模様部を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電子楽器の鍵を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る白鍵10を示している。この白鍵10は、電子楽器(図示せず)の上面における手前側(演奏者側)に黒鍵とともに複数個並べられるもので、それぞれ長手方向を前後に向けて設置される。この白鍵10は、硬質の合成樹脂を一体成形することにより形成されており、上面部11と、左右一対の側面部12,13(図3参照)と前面部14とで構成されている。上面部11の左側部の後部側には黒鍵を配置するための切り欠き凹部11aが形成され、上面部11の上面後端には、前部側よりも低くなった段部11bが形成されている。この段部11bは、白鍵10を電子楽器の本体に揺動可能に支持させる際に用いられる。なお、前記切り欠き凹部11aの位置は鍵盤における白鍵が割り当てられる位置によって異り、黒鍵に隣接しない白鍵には切り欠き凹部は設けられていない。
【0027】
側面部12は、L形の板状部分で構成されており、L形の長辺側の外縁部を上面部11の右側部に沿わせて、上面部11に一体的に組付けられている。また、側面部13は、側面視が側面部12と同じL形に形成されており、上縁部を上面部11の左側部の前部側と切り欠き凹部11aの縁部に沿わせた段違い状の板状部分で構成されている。前面部14は、上面部11の先端縁部よりも僅かに後方部分から下方に延びる略正方形の板状部分で構成されており、右側部は側面部12の前端部に連結され、左側部は側面部13の前端部に連結されている。
【0028】
白鍵10の上面部11の表面には、上面模様部15が形成され、側面部12,13の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部16,17が形成されている。また、前面部14の表面には前面模様部18が形成されている。上面模様部15は、白鍵10の前後方向に延びる線状凸部15aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。各線状凸部15aは、略直線状に延びており、図2に矢印aで示した白鍵10(上面部11)の長手方向に対する角度bが30度以内になる範囲で傾斜している。すなわち、上面部11に形成された上面模様部15を構成する各線状凸部15aは、手前側から見た状態で、前部よりも後部が右側に位置するように傾斜している。
【0029】
側面部12に形成された側面模様部16は、図3に示したように、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵10の前方から後方に延びる線状凸部16aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成され、側面部13に形成された側面模様部17も、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵10の前方から後方に延びる線状凸部17aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成されている。この側面模様部16を構成する各線状凸部16aと、側面模様部17を構成する各線状凸部17aとは、ともに手前側から見た状態で、前部よりも後部が下側に位置するように傾斜しており、一方の側面側から見た状態では、各線状凸部16aと、各線状凸部17aとは重なる位置にある。なお、図3では、側面模様部17および各線状凸部17aを明確に示すために、上面模様部15および前面模様部18の図示は省略している。
【0030】
また、上面模様部15を構成する線状凸部15aのうちの右側の端部が上面部11の右側の縁部に到達している線状凸部15aと、側面模様部16を構成する線状凸部16aのうちの上側の端部が側面部12の上側の縁部に到達している線状凸部16aとは、上面部11と側面部12とが交わる縁部で繋がっている。同様に、上面模様部15を構成する線状凸部15aのうちの左側の端部が上面部11の左側の縁部に到達している線状凸部15aと、側面模様部17を構成する線状凸部17aのうちの上側の端部が側面部13の上側の縁部に到達している線状凸部17aとは、上面部11と側面部13とが交わる縁部で繋がっている。
【0031】
前面部14に形成された前面模様部18は、図4に示したように、水平方向に対して、左側よりも右側が下方に位置するように傾斜して左右に延びる線状凸部18aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。この線状凸部18aのうちの上側の端部が、前面部14の上側の縁部に到達している線状凸部18aと、上面模様部15を構成する線状凸部15aのうちの前側の端部が上面部11前側の縁部に到達している線状凸部15aとは、前面部14と上面部11とが交わる縁部で繋がっている。
【0032】
そして、線状凸部18aのうちの右側の端部が、前面部14の右側の縁部に到達している線状凸部18aと、側面模様部16を構成する線状凸部16aのうちの前側の端部が側面部12の前側の縁部に到達している線状凸部16aとは、前面部14と側面部12とが交わる縁部で繋がり、線状凸部18aのうちの左側の端部が、前面部14の左側の縁部に到達している線状凸部18aと、側面模様部17を構成する線状凸部17aのうちの前側の端部が側面部13の前側の縁部に到達している線状凸部17aとは、前面部14と側面部13とが交わる縁部で繋がっている。
【0033】
各線状凸部15a〜18aにおける上面部11、側面部12,13および前面部14のそれぞれの表面平坦部19からの突出長さは、それぞれ0.01mm〜1mm、好ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに好ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。また、各線状凸部15aの間隔はそれぞれ0.03mm〜22mm、好ましくは0.05mm〜12mm、さらに好ましくは0.08mm〜8mmに設定され、各線状凸部16a,17aの間隔はそれぞれ0.03mm〜22mm、好ましくは0.05mm〜12mm、さらに好ましくは0.08mm〜8mmに設定され、各線状凸部18aの間隔はそれぞれ0.03mm〜22mm、好ましくは0.05mm〜12mm、さらに好ましくは0.08mm〜8mmに設定されている。上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18は、このように間隔を保った複数の線状凸部15a〜18aでそれぞれ構成されているため、実際の無垢材の表面に現れる自然な木目模様のように見える。
【0034】
なお、この白鍵10を一体成形する射出成形機には、固定型と可動型とからなる金型が備わっており、金型の成形面に、上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18に対応する凹凸模様、すなわち、上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18と凹凸が逆になる凹凸模様が形成されている。このため、白鍵10の成形が容易になる。
【0035】
また、白鍵10が備わった電子楽器を演奏する際には、まず、上面部11に形成された上面模様部15と前面部14に形成された前面模様部18とが見え、押鍵操作をしたときに、隣の白鍵10の側面部12,13に形成された側面模様部16,17が見える。このため、電子楽器の美観が向上するとともに、押鍵操作の際に、上面模様部15、側面模様部16,17および前面模様部18が変化して見えるようになり、演奏が楽しくなる。また、押鍵時に、指が上面部11の上面模様部15に触れることによっても、触感に変化が生じて興趣に富むものとなる。
【0036】
このように、本実施形態に係る白鍵10では、白鍵10の延びる方向と、白鍵10の上面部11と側面部12,13とにそれぞれ形成された線状凸部15a〜17aが延びる方向とが略一致するとともに、白鍵10の前面部14に形成された前面模様部18が年輪のように見える。そして、上面部11、側面部12,13および前面部14のうちの隣接する面に形成された線状凸部15a〜18aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わっている。このため、白鍵10をあたかも本物の材木で構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。また、この白鍵10では、上面模様部15、側面部12,13および前面部14がそれぞれ白鍵10の表面に形成されているため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じとることができる。さらに、演奏時に、演奏者の汗が鍵の上面に落ちると、その汗は、上面部11の線状凸部15aから側面部12,13の線状凸部16a,17aに伝わって流れていく。
【0037】
なお、本実施形態では、前面部14にも木目調の前面模様部18を設けているが、前面部14に形成する前面模様部18は、他の凹凸模様で構成してもよい。例えば、格子状の凹凸模様や木の導管のような凹凸模様で前面模様部を構成することができる。また、本実施形態では、上面模様部15等を、線状凸部15a〜18aで構成しているが、線状凸部15a〜18aに代えて、溝状の線状凹部で上面模様部15等を構成してもよい。さらに、上面模様部15等を線状凸部15a〜18aと線状凹部との双方を含む形状にしてもよい。
【0038】
また、各線状凸部15a〜18aが白鍵10に対して傾く方向は、前述した方向と逆方向であってもよい。さらに、白鍵10を成形する際に、二色の樹脂材料を用いて、白鍵10の色が部分的に異なるようにしてもよい。例えば、薄い茶色の樹脂材料とやや濃い茶色の樹脂材料とを用いると、上面模様部15等がより一層木材の木目模様に近づく。また、上面部11、側面部12,13および前面部14のうちの隣接する面に形成された線状凸部15a〜18aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わらないようにすることもできる。さらに、この上面模様部15等を形成する鍵は、白鍵10でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵10と黒鍵との双方にしてもよい。
【0039】
(第2実施形態)
図5は、本発明の第2実施形態に係る白鍵20を示している。この白鍵20では、上面部21の表面に、上面模様部25が形成され、左右一対の側面部22(一方しか図示せず)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部26が形成されている。また、前面部24の表面には前面模様部28が形成されている。上面模様部25は、白鍵20の前部側から後部側に延びたのちに湾曲して前部側に戻る線状凸部25aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。すなわち、上面模様部25においては、上面部21の左右方向の中央側に位置する線状凸部25aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部25aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部25aが配置されている。
【0040】
また、一方の側面部22(図5の手前側に位置する側面部)に形成された側面模様部26は、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵20の前方から後方に延びる線状凸部26aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成され、他方の側面部22に形成された側面模様部26も、下方に緩やかに湾曲しながら白鍵20の前方から後方に延びる線状凸部26aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある追い柾目模様に形成されている。
【0041】
両側面模様部26を構成する各線状凸部26aは、図3に示した各線状凸部16a,17aと同様の構成をしている。そして、一方の側方から見た状態では、両側面模様部26の各線状凸部26aは重なる位置にある。また、上面模様部25を構成する線状凸部25aのうちの端部が上面部21の左右の縁部に到達している線状凸部25aと、両側面模様部26を構成する線状凸部26aのうちの上側の端部が両側面部22の上側の縁部に到達している線状凸部26aとは、上面部21と両側面部22とが交わる縁部でそれぞれ繋がっている。
【0042】
前面部24に形成された前面模様部28は、図6に示したように、中央側が上方に凸状になって左右方向に延びる線状凸部28aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。この線状凸部28aのうちの上側の端部が、前面部24の上側の縁部に到達している線状凸部28aと、上面模様部25を構成する線状凸部25aのうちの前側の端部が上面部21前側の縁部に到達している線状凸部25aとは、前面部24と上面部21とが交わる縁部で繋がっている。
【0043】
そして、線状凸部28aのうちの端部が、前面部24の左右の縁部に到達している線状凸部28aと、両側面模様部26を構成する線状凸部26aのうちの前側の端部が両側面部22の前側の縁部に到達している線状凸部26aとは、前面部24と両側面部22とそれぞれが交わる縁部で繋がっている。この白鍵20のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0044】
このように、本実施形態に係る白鍵20では、上面部21に板目模様の凹凸からなる上面模様部25を形成し、両側面部22に追い柾目模様の凹凸からなる側面模様部26を形成し、前面部24に年輪模様の凹凸からなる前面模様部28を形成している。そして、上面部21、両側面部22および前面部24のうちの隣接する面に形成された線状部25a,26a,28aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも本物の材木で白鍵20を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵20におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0045】
なお、本実施形態では、前面模様部28を、図6に示したように、中央側が上方に凸状になって左右方向に延びる複数の線状凸部28aで構成しているが、これに代えて、図7に示したように、水平方向に真っ直ぐに延びる線状凸部28bを上下に間隔を保って複数配置することによって前面模様部28を構成してもよい。また、前面部24に形成する前面模様部28は、格子模様のような凹凸模様や、木の導管のような凹凸模様で構成してもよい。さらに、各線状凸部25aの湾曲部分が白鍵20に対して向く方向は、前述した方向と逆方向であってもよい。また、本実施形態は、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
【0046】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る白鍵30を示している。この白鍵30では、上面部31の表面に、上面模様部35が形成され、側面部32,33(図9参照)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部36,37が形成されている。また、前面部34の表面には前面模様部38が形成されている。上面模様部35は、図2に示した上面模様部15と同様の構成をしており、白鍵30の前後方向に延びる線状凸部35aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。各線状凸部35aは、略直線状に延びており、白鍵30の長手方向に対する角度が30度以内になる範囲で傾斜している。
【0047】
側面模様部36は、白鍵30の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部36aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。すなわち、側面模様部36においては、側面部32の上下方向の中央側に位置する線状凸部36aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部36aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部36aが配置されている。また、側面部33に形成された側面模様部37も、白鍵30の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部37aを間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。この側面模様部36を構成する各線状凸部36aと、側面模様部37を構成する各線状凸部37aとを、一方の側方から見た状態では、各線状凸部36aと、各線状凸部37aとは略重なる位置にある。
【0048】
なお、図9では、側面模様部37および各線状凸部37aを明確に示すために、上面模様部35と前面模様部38との図示は省略している。また、上面部31の右側の縁部に端部が到達している線状凸部35aと、側面部32の上側の縁部に端部が到達している線状凸部36aとは、上面部31と側面部32とが交わる縁部で繋がり、上面部31の左側の縁部に端部が到達している線状凸部35aと、側面部33の上側の縁部に端部が到達している線状凸部37aとは、上面部31と側面部33とが交わる縁部で繋がっている。
【0049】
前面部34に形成された前面模様部38は、図10に示したように、中央側が左側に凸状になるように湾曲して上下に延びる線状凸部38aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。この線状凸部38aのうちの上側の端部が、前面部34の上側の縁部に到達している線状凸部38aと、上面部31の前側の縁部に端部が到達している線状凸部35aとは、前面部34と上面部31とが交わる縁部で繋がっている。
【0050】
そして、前面部34の右側の縁部に端部が到達している線状凸部38aと、側面部32の前側の縁部に端部が到達している線状凸部36aとは、前面部34と側面部32とが交わる縁部で繋がり、前面部34の左側の縁部に端部が到達している線状凸部38aと、側面部33の前側の縁部に端部が到達している線状凸部37aとは、前面部34と側面部33とが交わる縁部で繋がっている。この白鍵20のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0051】
このように、本実施形態に係る白鍵30では、上面部31に柾目模様の凹凸からなる上面模様部35を形成し、側面部32,33に板目模様の凹凸からなる側面模様部36,37を形成し、前面部34に年輪模様の凹凸からなる前面模様部38を形成している。そして、上面部31、側面部32,33および前面部34のうちの隣接する面に形成された線状凸部35a〜38aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも本物の無垢材で白鍵30を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵30におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0052】
なお、本実施形態では、前面模様部38を、図10に示したように、中央側が左側に凸状になるように湾曲して上下方向に延びる複数の線状凸部38aで構成しているが、これに代えて、図11に示したように、垂直方向に真っ直ぐに延びる線状凸部38bを左右に間隔を保って複数配置することによって前面模様部38を構成してもよい。また、本実施形態は、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。さらに、本実施形態では、側面模様部36を構成する各線状凸部36aと、側面模様部37を構成する各線状凸部37aとが、一方の側方から見た状態で略重なる位置にあるようにしているが、側面模様部36と側面模様部37とは、1本の木材の両側面に形成される模様として違和感を生じない範囲であれば互いにずれていてもよい。
【0053】
(第4実施形態)
図12は、本発明の第4実施形態に係る白鍵40を示している。この白鍵40では、上面部41の表面に、上面模様部45が形成され、側面部42,43(図13参照)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部46,47が形成されている。また、前面部44の表面には前面模様部48が形成されている。上面模様部45は、白鍵40の前後方向に延びる線状凸部45aを左右に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。
【0054】
側面模様部46は、白鍵40の前後方向に延びる線状凸部46aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成され、側面模様部47も、白鍵40の前後方向に延びる線状凸部47aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある柾目模様に形成されている。そして、前面模様部48は、図14に示したように、前面部44の右上から左下に延びる線状凸部48aを上下に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されており、各線状凸部48aは、中央側が右下方に凸状になる湾曲した線状に形成されている。
【0055】
また、各線状凸部48aにおける前面部44の下側の縁部を除いた各縁部に到達している各端部は、それぞれ上面部41および側面部42,43に形成された線状凸部45a〜47aの対応する端部と、前面部44と、上面部41および側面部42,43のいずれかとが交わる縁部で繋がっている。この白鍵40のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0056】
このように、本実施形態に係る白鍵40では、上面部41および側面部42,43にそれぞれ柾目模様の凹凸からなる上面模様部45および側面模様部46,47を形成し、前面部44に年輪模様の凹凸からなる前面模様部48を形成している。そして、上面部41、側面部42,43に形成された線状凸部45a〜47aと、前面部44に形成された線状凸部48aとの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも本物の無垢材で白鍵40を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵40におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。なお、本実施形態も、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。
【0057】
(第5実施形態)
図15は、本発明の第5実施形態に係る白鍵50を示している。この白鍵50では、上面部51の表面に、上面模様部55が形成され、左右一対の側面部52(一方しか図示せず)の表面には、それぞれ左右対称の側面模様部56が形成されている。また、前面部54の表面には前面模様部58が形成されている。上面模様部55は、白鍵50の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部55aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されている。すなわち、上面模様部55においては、上面部51の左右方向の中央側に位置する線状凸部55aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部55aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部55aが配置されている。
【0058】
一対の側面模様部56は、ともに白鍵50の前部から後部に延びたのちに湾曲して前部に戻る湾曲した線状凸部56aを前後に間隔を保って複数配置することによって凹凸のある板目模様に形成されており、側面部52の上下方向の中央側に位置する線状凸部56aの湾曲部よりも外部側に位置する線状凸部56aの湾曲部の方が後方に位置するようにして複数の線状凸部55aが配置されている。この一対の側面模様部56を構成する各線状凸部56aは、図9に示した各線状凸部36a,37aと同様の構成をしており、両側面模様部56を構成する各線状凸部56aを、一方の側方から見た状態では、両側面模様部56の各線状凸部56aは略重なる位置にある。また、線状凸部35aと、線状凸部36aとのそれぞれ隣接する面の縁部に到達する端部どうしはその縁部で繋がっている。
【0059】
前面部54に形成された前面模様部58は、図16に示したように、中央側が小さく外周側に行くほど大きくなった複数の環状の線状凸部58aを間隔を保って配置することによって凹凸のある年輪模様に形成されている。なお、この場合の環状の線状凸部58aには、完全に環状になってなく、前面部54の縁部で途切れているものも含むものとする。そして、外周側に位置する線状凸部58aにおける前面部54の下側の縁部を除いた各縁部に到達している端部は、それぞれ上面部51および側面部52に形成された線状凸部55a,56aの対応する端部と、前面部54と、上面部51および側面部52のいずれかとが交わる縁部で繋がっている。この白鍵50のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0060】
このように、本実施形態に係る白鍵50では、上面部51および両側面部52に板目模様の凹凸からなる上面模様部55および側面模様部56を形成し、前面部54に年輪模様の凹凸からなる前面模様部58を形成している。そして、上面部51、両側面部52および前面部54のうちの隣接する面に形成された線状部55a,56a,58aの端部どうしが隣接する面の縁部で交わるようにしている。このため、あたかも丸太の中心部分からなる本物の無垢材で白鍵50を構成したかのような視覚と触覚とを得ることができる。この白鍵50におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0061】
なお、本実施形態も、前述した第1実施形態において説明した各変形例と同じように、変形することができる。また、本実施形態では、両側面模様部56を構成する各線状凸部56aが、一方の側方から見た状態で略重なる位置にあるようにしているが、両側面模様部56は、1本の木材の両側面に形成される模様として違和感を生じない範囲であれば互いにずれていてもよい。
【0062】
さらに、前述した白鍵10,20,30,40,50の上面後端には、それぞれ段部11bが形成されているが、この段部11bを設けずに、白鍵10,20,30,40,50の上面は前端から後端にかけて連続した平面に形成してもよい。また、白鍵10,20,30,40,50の前面部14,24,34,44,54は、それぞれ上面部11,21,31,41,51の先端縁部よりも後方部分から下方に延びて上面部11,21,31,41,51の先端縁部が前面部14,24,34,44,54よりも前方に突出しているが、この突出した部分は除去してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10,20,30,40,50…白鍵、11,21,31,41,51…上面部、12,13,22,32,33,42,43,52…側面部、14,24,34,44,54…前面部、15,25,35,45,55…上面模様部、15a,16a,17a,18a,25a,26a,28a,28b,35a,36a,37a,38a,38b,45a,46a,47a,48a,55a,56a,58a…線状凸部、16,17,26,36,37,46,47,56…側面模様部、18,28,38,48,58…前面模様部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部とで構成し、かつ、
前記一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項2】
前記鍵の前面に、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部を形成した請求項1に記載の電子楽器の鍵。
【請求項3】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部とで構成し、かつ、
前記一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項4】
前記鍵の前面に、左右に延びる凹部からなる線状部と、左右に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部を形成した請求項3に記載の電子楽器の鍵。
【請求項5】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部とで構成し、かつ、
前記一対の側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項6】
前記鍵の前面に、上下に延びる凹部からなる線状部と、上下に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部を形成した請求項5に記載の電子楽器の鍵。
【請求項7】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部と、
水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され前記鍵の前面に形成された前面模様部と
で構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項8】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部と、
内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凹部からなる線状部と、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の前面に形成された前面模様部とで構成し、かつ、
前記上面模様部を構成する線状部と前記一対の側面模様部を構成する各線状部との湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項9】
前記鍵の上面、一対の側面および前面のうちの隣接する面に形成された線状部の端部どうしが前記隣接する面の縁部で交わるようにした請求項1ないし8のうちのいずれか一つに記載の電子楽器の鍵。
【請求項1】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部とで構成し、かつ、
前記一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項2】
前記鍵の前面に、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部を形成した請求項1に記載の電子楽器の鍵。
【請求項3】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部とで構成し、かつ、
前記一対の側面模様部を構成する各線状部の延びる方向が同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項4】
前記鍵の前面に、左右に延びる凹部からなる線状部と、左右に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部を形成した請求項3に記載の電子楽器の鍵。
【請求項5】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して±30度の範囲の角度で略直線状に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部とで構成し、かつ、
前記一対の側面模様部を構成する各線状部の湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項6】
前記鍵の前面に、上下に延びる凹部からなる線状部と、上下に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成された前面模様部を形成した請求項5に記載の電子楽器の鍵。
【請求項7】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に延びる凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部と、
水平方向に対して傾斜して左右に延びる凹部からなる線状部と、水平方向に対して傾斜して左右に延びる凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され前記鍵の前面に形成された前面模様部と
で構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項8】
表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
前記凹凸模様を、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の上面に形成された上面模様部と、
前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凹部からなる線状部と、前記鍵の長手方向に対して一方から他方に向かい湾曲したのちに一方に戻る凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の両側面に形成された一対の側面模様部と、
内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凹部からなる線状部と、内側から外側に向かって間隔を保って配置された複数の環状の凸部からなる線状部との少なくとも一方の線状部で構成され、前記鍵の前面に形成された前面模様部とで構成し、かつ、
前記上面模様部を構成する線状部と前記一対の側面模様部を構成する各線状部との湾曲部分の前後方向の向きが同じになるようにしたことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項9】
前記鍵の上面、一対の側面および前面のうちの隣接する面に形成された線状部の端部どうしが前記隣接する面の縁部で交わるようにした請求項1ないし8のうちのいずれか一つに記載の電子楽器の鍵。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2012−47931(P2012−47931A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−189184(P2010−189184)
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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