電子楽器の鍵
【課題】視覚および触覚の双方で、凹凸の変化を感じることができる線模様を備えた電子楽器の鍵を提供する。
【解決手段】白鍵の表面に凹凸模様を形成した。そして、凹凸模様を、微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様と、微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様の少なくとも一方で構成した。凹凸模様を、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、複数の面模様間に生じる線模様で構成した。凹凸模様を、面模様と、面模様に隣接して配置される平坦面と、面模様,と平坦面との間に生じる線模様で構成した。凹凸模様を、段違いの平坦面と、平坦面間に位置する傾斜面で構成した。
【解決手段】白鍵の表面に凹凸模様を形成した。そして、凹凸模様を、微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様と、微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様の少なくとも一方で構成した。凹凸模様を、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、複数の面模様間に生じる線模様で構成した。凹凸模様を、面模様と、面模様に隣接して配置される平坦面と、面模様,と平坦面との間に生じる線模様で構成した。凹凸模様を、段違いの平坦面と、平坦面間に位置する傾斜面で構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子楽器が備える鍵の中には、高級感を出すために、木目模様の凹凸を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。この鍵は、黒鍵を構成しており、射出成形によって成形される。そして、成形後に、鍵の表面をサンドペーパで削り加工することにより、不規則な断面V字状の溝からなる木目調の凹凸模様が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−169361号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、前述した従来の鍵では、木目調の模様を、サンドペーパで鍵の所定の面を削り加工することにより形成した断面V字状の溝で構成しているため、視覚的にも触覚的にも凹凸感に乏しく、凹凸やその変化を感じにくいものであった。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、視覚および触覚の双方で、凹凸やその変化を感じることができる線模様を備えた電子楽器の鍵を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る電子楽器の鍵の構成上の特徴は、上面(11)、前面(12)および両側面(13)の少なくとも一つの面に凹凸模様(15)が形成された電子楽器の鍵(10)において、複数の微小凹部(17a)を配列することにより形成される谷線部からなる線模様(17)と、複数の微小凸部(16a)を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様(16)との少なくとも一方で凹凸模様を構成したことにある。
【0007】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる面に形成する凹凸模様を、複数の微小凹部で形成される谷線部からなる線模様、および複数の微小凸部で形成される尾根線部からなる線模様のどちらか一方または双方で構成している。このため、鍵に谷線部からなる線模様を形成した場合には、線模様の内部に線状の影が現れ、鍵に尾根線部からなる線模様を形成した場合には、鍵の面における線模様に沿った部分に線状の影が現れる。また、鍵に谷線部からなる線模様と尾根線部からなる線模様との双方を形成した場合には、一方の線模様の内部に線状の影が現れ鍵の面における他方の線模様に沿った部分に線状の影が現れる。
【0008】
これによって、鍵の外観に、陰影による凹凸の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、この電子楽器の鍵では、複数の微小凹部や複数の微小凸部で線模様が形成されるため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じ易くなる。なお、複数の微小凹部や複数の微小凸部における、隣接する微小凹部や微小凸部は互いに接近させて配置する。これによって、断続的に配置された複数の微小凹部や微小凸部を連続した線として認識できる。
【0009】
本発明に係る電子楽器の鍵の他の構成上の特徴は、上面(21)、前面(22)および両側面(23)の少なくとも一つの面に凹凸模様(25)が形成された電子楽器の鍵(20)において、複数の微小凹部(27a)と複数の微小凸部(26a)との少なくとも一方を組み合わせて形成され、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様(26,27)と、複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様(28)とで凹凸模様を構成したことにある。
【0010】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる面に形成する凹凸模様を、微小凹部と微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成された複数の面模様と、模様パターンを不連続にして連続に配置された複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで構成している。このため、境界線からなる線模様を挟んで各面模様の模様パターンが急に変化する。例えば、各面模様の模様パターンが方向性を備えている場合には、線模様を挟んで2つの面模様の模様パターンの方向が異なるようになる。
【0011】
また、境界線からなる線模様を挟んで、一方の面模様の模様パターンが縞模様で構成され、他方の面模様の模様パターンが水玉模様で構成されるような場合には、線模様を挟んで、各面模様の模様パターンが急に変化する。また、線模様は、2つの面模様の各部分の連続性が中断される点を結んで形成されるものであるため、くっきりとした線状に現れる。このため、鍵の外観に、面模様と線模様とからなる凹凸模様の凹凸の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても凹凸やその変化を感じ易くなる。
【0012】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様(35)が形成された電子楽器の鍵において、複数の微小凹部(37a)と複数の微小凸部(36a)との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様(36,37)と、面模様に隣接して配置される平坦面(34)と、面模様と平坦面との間に生じる境界線からなる線模様(38)とで凹凸模様を構成したことにある。
【0013】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる面に形成する凹凸模様を、微小凹部と微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成された面模様と、平坦面と、面模様と平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで構成している。このため、面模様の模様パターンが平坦面によって急に中断されるとともに、面模様と平坦面との間に境界線からなる線模様が現れる。この線模様は、面模様の各部分の連続性が中断される点を結んで形成されるものであるため、くっきりとした線状に現れる。これによって、鍵の外観に、凹凸模様の部分と平坦な部分との変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても面模様における凹凸の変化と平滑面における滑らかさとの双方の感触を感じることができる。
【0014】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様(44,45)が形成された電子楽器の鍵において、段違いの複数の面(44a,46,47)と、複数の面の間に位置する段差からなる線模様(44b,48)とで凹凸模様を構成したことにある。これによると、複数の面における低い面から高い面に向けて立ち上がる面によって発生される光の反射により、段差による線模様を明確に認識できるようになる。また、触覚においても、段差を構成する立ち上がり面を感触で明確に感じとることができる。なお、この場合の複数の面は、平坦面であってもよいし、凹凸模様が形成された面であってもよい。
【0015】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、鍵の平面視による面積が鍵の下方から上方に行くほど小さくなるようにして段差からなる線模様を前面(42)および両側面(43)に設け、かつ段差を構成する面を外周側に向かう下り傾斜になった傾斜面(44b)で構成したことにある。
【0016】
本発明では、前面および両側面に形成された段差からなる線模様が、鍵の平面視による面積が下方から上方に行くほど小さくなるようにして設けられている。このため、鍵を成形する際に、前面や両側面にアンダーカットが生じて成形された鍵を成形型から抜き難くなるといったことを防止できる。この結果、成形された鍵を成形型から抜く操作がスムーズになり、生産性の向上と品質の確保とが図れる。また、段差を構成する面を外周側に向かう下り傾斜になった傾斜面に形成するため、段部の縁部に欠損が生じることを防止できる。
【0017】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、上面(51)、前面(52)および両側面(53)の少なくとも一つの面に凹凸模様(55)が形成された電子楽器の鍵(50)において、複数の微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様(57)と、複数の微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様(56)との少なくとも一方で構成される第1の凹凸模様部と、複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成され互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第2の凹凸模様部(55a)と、複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様と、面模様に隣接して配置される平坦面と、面模様と平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第3の凹凸模様部(55b)と、段違いの複数の面と複数の面の間に位置する段差からなる線模様とで構成される第4の凹凸模様部(55c)とのうちの2つ以上の凹凸模様部を組み合わせて凹凸模様を構成したことにある。
【0018】
本発明に係る電子楽器の鍵では、模様パターンの異なる種々の部分凹凸模様を組み合わせて凹凸模様が構成されるため、鍵の面における各部分を異なる凹凸模様にすることができる。これによって、変化に富む凹凸模様を備えた電子楽器の鍵を得ることができる。
【0019】
また、本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、凹凸模様が形成される面を平滑基準面(14,24,34)としたときの平滑基準面に対する凹凸模様の凹凸の縁部に形成される傾斜面(16c,17c,48)の傾斜角度を70度〜90度の範囲にしたことにある。これによると、凹凸模様を正面から見たときの幅が陰影を現すために十分なものになる。このため、陰影が顕著に現れて視覚的に好ましいものになるとともに、触覚的にも段差を感じ易い好ましいものになる。
【0020】
また、本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、凹凸模様における線模様に沿った各部分の凹凸方向の幅を不均一にしたことにある。これによると、線模様における凹部や凸部の中でさらに高低の変化を持たせることができ、より微細な変化を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る鍵を示した斜視図である。
【図2】図1に示した鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図3】微小凸部の周囲の傾斜面の傾斜角度を示した説明図である。
【図4】微小凹部の周囲の傾斜面の傾斜角度を示した説明図である。
【図5】微小凸部の高低差を示した説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る鍵を示した斜視図である。
【図7】図6に示した鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図10】図9に示した段差の傾斜面の傾斜角度を示した説明図である。
【図11】図9に示した段差部分の高低差を示した説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る鍵を示した斜視図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電子楽器の鍵を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る白鍵10を示している。この白鍵10は、電子楽器(図示せず)の上面における手前側(演奏者側)に黒鍵とともに複数個並べられるもので、それぞれ長手方向を前後に向けて設置される。この白鍵10は、硬質の合成樹脂を一体成形することにより形成されており、上面部11と、前面部12と、左右一対の側面部13(一方しか図示せず)とで構成されている。上面部11の左側部の後部側には黒鍵を配置するための切り欠き凹部11aが形成され、上面部11の上面後端には、前部側よりも低くなった段部11bが形成されている。この段部11bは、白鍵10を電子楽器の本体に揺動可能に支持させる際に用いられる。なお、前記切り欠き凹部11aの位置は白鍵に割り当てられる位置によって異なる。
【0023】
前面部12は、上面部11の先端縁部よりも僅かに後方部分から下方に延びる略正方形の板状部分で構成されている。左右一対の側面部13の一方(図1の手前側に位置する側面部13)は、L形の板状部分で構成されており、L形の長辺側の外縁部を上面部11の右側部に沿わせ、L形の短辺側の外縁部を前面部12の右側部に沿わせて、上面部11と前面部12とに一体的に組付けられている。また、他方の側面部13は、側面視が一方の側面部13と同じL形に形成されており、上縁部を上面部11の左側部の前部側と切り欠き凹部11aの縁部に沿って沿わせ、前縁部を前面部12の左側部に沿わせた段違い状の板状部分で構成されている。
【0024】
白鍵10の外観となる上面部11、前面部12および一対の側面部13の表面には、それぞれ凹凸模様15が形成されている。この凹凸模様15は、白鍵10の前後方向または上下方向に延びる尾根線部からなる線模様16と谷線部からなる線模様17(図2参照)とを交互に配置することによって縞模様に形成されている。線模様16は、大きさの異なる複数の微小凸部16aを一点鎖線で示した仮想線16b上に配置して構成されており、各微小凸部16aは互いに僅かな間隔を保って設けられている。複数の微小凸部16aが、上面部11、前面部12および側面部13の表面における平坦部14から突出していることと、互いに接近して配置されていることで、線模様16は、連続する尾根状の線として認識される。
【0025】
線模様17は、大きさの異なる複数の微小凹部17aを一点鎖線で示した仮想線17b上に配置して構成されており、各微小凹部17aは互いに僅かな間隔を保って設けられている。複数の微小凹部17aが、平坦部14から窪んでいることと、互いに接近して配置されていることで、線模様17は、連続する谷状の線として認識される。殆どの微小凸部16aと微小凹部17aは、仮想線16b,17bに沿った方向の長さの方が、仮想線16b,17bに直交する方向の長さよりも長くなっている。
【0026】
微小凸部16aと微小凹部17aとの仮想線16b,17bに沿った方向の長さは、それぞれ0.1mm〜80mm、望ましくは、0.2mm〜50mm、さらに望ましくは0.3mm〜20mmに設定され、微小凸部16aと微小凹部17aとの仮想線16b,17bに直交する方向の長さは、それぞれ0.03mm〜0.5mm、望ましくは、0.05mm〜0.3mm、さらに望ましくは0.08mm〜0.2mmに設定されている。また、各微小凸部16aの間隔および各微小凹部17aの間隔は、それぞれ0.03mm〜5mm、望ましくは、0.05mm〜3mm、さらに望ましくは0.08mm〜2mmに設定されている。
【0027】
図3は、微小凸部16aの周囲に形成される傾斜面16cの垂直線(平坦部14に直交する線)に対する傾斜角度aを示しており、この傾斜角度aは0〜20度の範囲に設定されている。すなわち、平坦部14に対する傾斜面16cの傾斜角度は、70〜90度になる。また、図4は、微小凹部17aの周囲に形成される傾斜面17cの垂直線に対する傾斜角度bを示しており、この傾斜角度bも0〜20度の範囲に設定されている。図5は、微小凸部16aの一例を示しており、微小凸部16aの中には、高さcと高さdのように異なる高さの部分が含まれるものもある。また、図示は省略するが、微小凹部17aの中にも、深さの異なる部分が含まれるものがある。そして、各線模様16,17間の間隔は、それぞれ0.03mm〜22mm、望ましくは、0.05mm〜12mm、さらに望ましくは0.08mm〜8mmに設定されている。
【0028】
なお、この白鍵10を一体成形する射出成形機には、固定型と可動型とからなる金型が備わっており、金型の成形面に、凹凸模様15に対応する凹凸模様、すなわち、凹凸模様15と凹凸が逆になる凹凸模様が形成されている。このため、白鍵10の成形が容易になる。また、白鍵10が備わった電子楽器を演奏する際には、まず、上面部11と前面部12とに形成された凹凸模様15が見え、押鍵操作をしたときに、隣の白鍵10の側面部13に形成された凹凸模様15が見える。このため、電子楽器の美観が向上するとともに、押鍵操作の際に凹凸模様15が変化して見えるようになり、演奏が楽しくなる。また、押鍵時に、指が上面部11の凹凸模様15に触れることによっても、触感に変化が生じて興趣に富むものとなる。
【0029】
このように、本実施形態に係る白鍵10では、複数の微小凸部16aで形成される尾根線部からなる線模様16と、複数の微小凹部17aで形成される谷線部からなる線模様17とを交互に配置して構成される凹凸模様15を、上面部11、前面部12および一対の側面部13の表面に形成している。このため、平坦部14における線模様16に沿った部分に線状の影が現れ、線模様17の内部に線状の影が現れる。このように、平坦部14に対して突出した線模様16と窪んだ線模様17とにより、白鍵10の外観に、凹凸の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても凹凸の変化を感じ易くなり、これによって、演奏が楽しいものとなる。
【0030】
なお、本実施形態では、上面部11、前面部12および一対の側面部13のすべてに凹凸模様15を設けているが、これは、上面部11、前面部12および一対の側面部13のいずれか一部に設けてもよい。例えば、側面部13だけに凹凸模様15を設けると、演奏をしていないときには、凹凸模様15が形成されていない鍵を備えた電子楽器と同じ外観をしているが、演奏時にだけに凹凸模様15が見えるようになり、面白味がいっそう増すようになる。また、触覚を重視する場合には、上面部11だけに凹凸模様15を設けてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、凹凸模様15を、線模様16と、線模様17との双方で構成しているが、凹凸模様15を、尾根線部からなる線模様16だけで構成したり、谷線部からなる線模様17だけで構成したりしてもよい。さらに、一つの線模様のなかに、尾根線部と谷線部とを含ませてもよい。また、線模様16,17の延びる方向は、白鍵10の前後方向または上下方向に限らずどの方向にしてもよいし、線模様16,17を直線でなく曲線に形成してもよい。また、この凹凸模様15を形成する鍵は、白鍵10でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵10と黒鍵との双方にしてもよい。
【0032】
さらに、前述した白鍵10の上面後端には、段部11bが形成されているが、この段部11bを設けずに、白鍵10の上面は前端から後端にかけて連続した平面に形成してもよい。また、白鍵10の前面部12は、上面部11の先端縁部よりも後方部分から下方に延びて上面部11の先端縁部が前面部12よりも前方に突出しているが、この突出した部分は除去してもよい。
【0033】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る白鍵20を示している。この白鍵20の外観となる上面部21、前面部22および一対の側面部23の表面には、それぞれ全体として縞模様のように見える凹凸模様25が形成されている。この凹凸模様25は、白鍵10の前後方向または上下方向にそれぞれ延び、左右または上下に交互に配置された複数の面模様26,27と、面模様26,27の境界部分に現れる複数の線模様28とで構成されている。図7に示したように、面模様26は、複数の微小凸部26aを線状に並べて形成される複数の小線模様26bで構成されており、各小線模様26bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。
【0034】
各小線模様26bは、上面部21、前面部22および側面部23の表面の平坦部24の縁部に対して傾斜して延びている。すなわち、図7の状態では、各小線模様26bの上端よりも下端が右側に位置している。面模様27は、複数の微小凹部27aを線状に並べて形成される複数の小線模様27bで構成されており、各小線模様27bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。各小線模様27bは、小線模様26bと反対側に傾斜している。すなわち、図7の状態では、各小線模様27bの上端よりも下端が左側に位置している。このように構成された面模様26と面模様27とが交互に配置されている。
【0035】
このため、複数の微小凸部26aで構成される各小線模様26bと、複数の微小凹部27aで構成される各小線模様27bとがそれぞれジグザグ状に延び、ジグザグ状に延びる複数の線模様が一定間隔で配置されている。そして、面模様26の領域と面模様27の領域とで、小線模様26bと小線模様27bとの延びる方向が変わるとともに、その凹凸が逆になるため、それぞれの小線模様26bと小線模様27bとの交点が鮮明になる。そして、鮮明に現れる交点が連続することにより、線模様28がくっきりと現れる。
【0036】
微小凸部26aは円形の凸部で構成されており、直径は0.03mm〜0.5mm、望ましくは、0.05mm〜0.3mm、さらに望ましくは0.08mm〜0.2mmに設定され、高さは0.01mm〜1mm、望ましくは、0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。また、各微小凸部26a間の間隔(隣接する微小凸部26aの中心点間の長さ)は、0.06mm〜80mm、望ましくは、0.1mm〜50mm、さらに望ましくは0.16mm〜20mmに設定されている。
【0037】
微小凹部27aは円形の窪みで構成されており、直径は0.03mm〜0.5mm、望ましくは、0.05mm〜0.3mm、さらに望ましくは0.08mm〜0.2mmに設定され、深さは0.01mm〜1mm、望ましくは、0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。また、各微小凹部27a間の間隔(隣接する微小凹部27aの中心点間の長さ)は、0.06mm〜80mm、望ましくは、0.1mm〜50mm、さらに望ましくは0.16mm〜20mmに設定されている。
【0038】
さらに、各線模様28間の間隔は、0.03mm〜22mm、望ましくは、0.05mm〜12mm、さらに望ましくは0.08mm〜8mmに設定され、各小線模様26b間の間隔および各小線模様27b間の間隔は、0.06mm〜160mm、望ましくは、0.1mm〜160mm、さらに望ましくは0.16mm〜160mmに設定されている。この白鍵20のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0039】
このように、本実施形態に係る白鍵20では、複数の微小凸部26aからなる複数の小線模様26bで構成される面模様26と、複数の微小凹部27aからなる複数の小線模様27bで構成される面模様27とを交互に配置して、その境界に線模様28を形成した凹凸模様25を、上面部21、前面部22および一対の側面部23の表面に形成している。このため、線模様28を挟んで各面模様26,27の模様パターンが急に変化する。この結果、白鍵20の外観に、凹凸模様25の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても凹凸の変化を感じ易くなる。この白鍵20におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0040】
なお、本実施形態では、上面部21、前面部22および一対の側面部23のすべてに凹凸模様25を設けているが、この凹凸模様25は、上面部21、前面部22および一対の側面部23のいずれか一部に設けてもよい。また、本実施形態では、面模様26を、複数の微小凸部26aで構成し、面模様27を、複数の微小凹部27aで構成しているが、面模様26,27の双方を、微小凸部26aだけで構成したり、微小凹部27aだけで構成したりしてもよい。また、面模様26,27の双方に、微小凸部26aと微小凹部27aとを混在させてもよい。さらに、面模様26,27の形状や延びる方向も前述した実施形態に限るものでなく、適宜変更することができる。
【0041】
要は、隣り合った面模様の模様パターンを異なるものにして、その境界線として現れる線模様を浮き出させることができるものであればよい。また、この凹凸模様25を形成する鍵は、白鍵20でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵20と黒鍵との双方にしてもよい。さらに、本実施形態では、各小線模様26b,27bを、それぞれ互いの間隔を一定にして平行に配置しているが、これらの小線模様26b,27bは、ともに間隔が異なるように配置してもよいし、必ずしも平行していなくてもよい。また、複数の微小凸部26aで構成される各小線模様26bと、複数の微小凹部27aで構成される各小線模様27bとをそれぞれ一定間隔でジグザグ状に延ばしているが、このジグザグ状に延びる複数の線模様も一定間隔でなくてもよい。
【0042】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る白鍵(図6に示した白鍵20と同様に現れる)に形成された凹凸模様35を示している。この凹凸模様35は、白鍵の前後方向または上下方向にそれぞれ延び、左右または上下に間隔を保って交互に配置された複数の面模様36,37と、白鍵の縁部側および面模様36,37間にそれぞれ設けられた平坦面34と、面模様36,37と平坦面34との境界部分にそれぞれ現れる複数の線模様38とで構成されている。面模様36は、複数の微小凸部36aを線状に並べて形成される複数の小線模様36bで構成されており、各小線模様36bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。
【0043】
各小線模様36bは、平坦面34の長手方向に対して傾斜して延びており、図8の状態では、上端よりも下端が左側に位置している。面模様37は、複数の微小凹部37aを線状に並べて形成される複数の小線模様37bで構成されており、各小線模様37bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。各小線模様37bは、小線模様36bと反対側に傾斜している。すなわち、図8の状態では、各小線模様37bの上端よりも下端が右側に位置している。このように構成された面模様36,37と平坦面34とはそれぞれ同じ幅に設定されている。そして、面模様36と面模様37とが間隔を保って交互に配置され、その間隔の部分が平坦面34で構成されている。
【0044】
このため、複数の微小凸部36aで構成される各小線模様36bと、複数の微小凹部37aで構成される各小線模様37bとがそれぞれ方向を変えて平坦面34を介して断続的なジグザグ状に延び、断続的なジグザグ状に延びる複数の線模様が一定間隔で配置されている。そして、面模様36,37と平坦面34との間にそれぞれ、境界線で構成される線模様38が連続した状態で現れている。この場合も、面模様36,37の模様パターンが平坦面34によって中断されることにより、線模様38が鮮明に現れる。微小凸部36aの形状、大きさおよびその配置の間隔は、前述した第2実施形態の微小凸部26aと同じで、微小凹部37aの形状、大きさおよびその配置の間隔は、前述した第2実施形態の微小凹部27aと同じである。また、この白鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。
【0045】
このように、本実施形態に係る白鍵では、複数の微小凸部36aからなる面模様36と、複数の微小凹部37aからなる面模様37とを間隔を保って交互に配置し、さらに、面模様36,37間に平坦面34を設けている。このため、面模様36と面模様37との模様パターンが平坦面34によって急に中断されるとともに、面模様36,37と平坦面34との間が、境界線からなる線模様38の部分で急に変化する。この白鍵におけるそれ以外の作用効果は、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0046】
なお、本実施形態においても、凹凸模様35は、白鍵の上面部、前面部および一対の側面部のすべてに設ける必要はなく、上面部、前面部および一対の側面部のいずれか一部に設けてもよい。また、本実施形態では、面模様36を、複数の微小凸部36aで構成し、面模様37を、複数の微小凹部37aで構成しているが、面模様36,37の双方を、微小凸部36aだけで構成したり、微小凹部37aだけで構成したりしてもよい。また、面模様36,37の双方に、微小凸部36aと微小凹部37aとを混在させてもよい。さらに、面模様36,37の形状も前述した実施形態に限るものでなく、適宜変更することができる。例えば、面模様36,37を同じ構成にしてもよい。また、この凹凸模様35を形成する鍵は、白鍵でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵と黒鍵との双方にしてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、各小線模様36b,37bを、それぞれ互いの間隔を一定にして平行に配置しているが、これらの小線模様36b,37bは、ともに間隔が異なるように配置してもよいし、必ずしも平行していなくてもよい。また、複数の微小凸部36aで構成される各小線模様36bと、複数の微小凹部37aで構成される各小線模様37bとをそれぞれ一定間隔でジグザグ状に延ばしているが、このジグザグ状に延びる複数の線模様も一定間隔でなくてもよい。さらに、面模様36,37と平坦面34との幅も異なる幅にしてもよい。
【0048】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る白鍵(図6に示した白鍵20と同様に現れる)に形成された凹凸模様45を示している。この凹凸模様45は、白鍵の前後方向または上下方向にそれぞれ延び、左右に交互に配置された面位置の異なる段違いの平坦面46,47と、平坦面46と平坦面47との境界部分にそれぞれ設けられた傾斜面48とで構成されている。傾斜面48で、本発明に係る線模様が構成される。平坦面46,47は、それぞれ同じ幅に設定されている。
【0049】
また、図10は、窪んだ位置にある平坦面47から突出した位置にある平坦面46に向けて立ち上がる傾斜面48の垂直線(平坦面47に直交する線)に対する傾斜角度eを示しており、この傾斜角度eは0〜20度、望ましくは1〜10度、さらに望ましくは3〜5度の範囲に設定されている。また、傾斜面48の垂直方向の高さは、0.01mm〜1mm、望ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。この白鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。
【0050】
この白鍵によると、平坦面47から平坦面46に向けて立ち上がる傾斜面48によって、特有の反射光が生じ、この反射光によって段差による線模様をよりはっきりと認識できる。また、押鍵時の触覚においても、傾斜面48をはっきりと感じとることができる。この白鍵におけるそれ以外の作用効果は、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。なお、本実施形態においても、凹凸模様45は、白鍵の上面部、前面部および一対の側面部のすべてに設ける必要はなく、上面部、前面部および一対の側面部のいずれか一部に設けてもよい。また、平坦面46,47および傾斜面48が延びる方向は、白鍵の前後方向または上下方向に限らず、左右方向でもよいし、斜め方向でもよい。さらに、図11に示したように、傾斜面48の中に、高さfと高さgのように異なる高さの部分を含ませてもよい。また、平坦面46,47に代えて、表面に凹凸模様が形成された面を用いてもよい。
【0051】
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態に係る黒鍵のキートップ部40を示している。このキートップ部40は、鍵本体部(図示せず)とともに、硬質の合成樹脂を一体成形することにより形成されている。キートップ部40は、鍵本体部の前部側部分の上部に形成されており、上面部41と、前面部42と、左右一対の側面部43(一方しか図示せず)と、後面部(図示せず)とを備えている。このキートップ部40では、上面部41と後面部との表面が平滑面で構成され、前面部42と、両側面部43との表面に凹凸模様44が形成されている。この凹凸模様44は、キートップ部40の前後方向または左右方向にそれぞれ延び、上下に配置された面位置の異なる段違いの平坦面44aと、各平坦面44aの境界部分にそれぞれ設けられた細長い段状の傾斜面44bとで構成されている。
【0052】
このキートップ部40は、幅が下方から上方に行くにしたがって小さくなり、前面部42が上部よりも下部の方が前方に突出している。このためキートップ部40の平面視による面積は下方から上方に行くほど小さくなる。また、平坦面44a間の段差を構成する傾斜面44bは、外周側に向かう下り傾斜になっている。この傾斜面44bの水平方向に対する傾斜角度は0〜20度、望ましくは1〜10度、さらに望ましくは3〜5度の範囲に設定されている。また、傾斜面44bの水平方向の長さは、0.01mm〜1mm、望ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。
【0053】
なお、このキートップ部40を備えた黒鍵を一体成形する射出成形機には、固定型と可動型とからなる成形型が備わっており、黒鍵を成形する際には、一方の型を黒鍵の上下方向に移動させるようにして黒鍵を成形型から抜くことが行われる。キートップ部40の前面部42と、両側面部43との表面に凹凸模様44が形成されているが、キートップ部40の平面視による面積は下方から上方に行くほど小さくなっており、平坦面44a間の段差を構成する傾斜面44bは、外周側に向かう下り傾斜になっている。このため、黒鍵を成形する際に、前面部42や両側面部43にアンダーカットが生じて成形された黒鍵を成形型から抜き難くなるといったことを防止できる。この結果、成形された黒鍵を成形型から抜く操作がスムーズになり、生産性の向上と品質の確保とが図れる。このキートップ部70を備えた黒鍵におけるそれ以外の作用効果については、前述した各実施形態と同様である。
【0054】
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態に係る白鍵50を示している。この白鍵50の外観となる上面部51、前面部52および一対の側面部53の表面には、それぞれ全体として格子模様のように見える凹凸模様55が形成されている。この凹凸模様55は、図14に示したように構成されており、前述した線模様16と同様の尾根線状の線模様からなる凹凸模様部56と、線模様17と同様の谷線状の線模様からなる凹凸模様部57と、凹凸模様25と同様の凹凸模様からなる凹凸模様部55aと、凹凸模様35と同様の凹凸模様からなる凹凸模様部55bと、凹凸模様45と同様の凹凸模様からなる凹凸模様部55cとを備えている。この白鍵50のそれ以外の部分の構成については、前述した第1実施形態の白鍵10と同じである。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0055】
この白鍵50では、外観として現れる上面部51、前面部52および側面部53に形成する凹凸模様55の各部分を、異なる凹凸模様で構成している。このため、変化に富む凹凸模様55が形成された白鍵50を得ることができる。また、この場合も、凹凸模様55は、上面部51、前面部52および側面部53のいずれか一部に設けてもよい。さらに、この凹凸模様55を形成する鍵は、白鍵でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵と黒鍵との双方にしてもよい。なお、本発明においては、連続した線状になっていなくても、各面模様の模様パターンが急に変化する境界部分も線模様に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0056】
10,20,50…白鍵、11,21,41,51…上面部、12,22,42,52…前面部、13,23,43,53…側面部、14,24…平坦部、15,25,35,44,45…凹凸模様、16,17,28,38,56,57…線模様、16a,26a,36a…微小凸部、16c…傾斜面、17a,27a,37a…微小凹部、17c…傾斜面、26,27,36,37…面模様、34,44a,46,47…平坦面、40…キートップ部、44b,48…傾斜面、55a,55b,55c…凹凸模様部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子楽器が備える鍵の中には、高級感を出すために、木目模様の凹凸を形成したものがある(例えば、特許文献1参照)。この鍵は、黒鍵を構成しており、射出成形によって成形される。そして、成形後に、鍵の表面をサンドペーパで削り加工することにより、不規則な断面V字状の溝からなる木目調の凹凸模様が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−169361号公報
【発明の概要】
【0004】
しかしながら、前述した従来の鍵では、木目調の模様を、サンドペーパで鍵の所定の面を削り加工することにより形成した断面V字状の溝で構成しているため、視覚的にも触覚的にも凹凸感に乏しく、凹凸やその変化を感じにくいものであった。
【0005】
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、視覚および触覚の双方で、凹凸やその変化を感じることができる線模様を備えた電子楽器の鍵を提供することである。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0006】
前述した目的を達成するため、本発明に係る電子楽器の鍵の構成上の特徴は、上面(11)、前面(12)および両側面(13)の少なくとも一つの面に凹凸模様(15)が形成された電子楽器の鍵(10)において、複数の微小凹部(17a)を配列することにより形成される谷線部からなる線模様(17)と、複数の微小凸部(16a)を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様(16)との少なくとも一方で凹凸模様を構成したことにある。
【0007】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる面に形成する凹凸模様を、複数の微小凹部で形成される谷線部からなる線模様、および複数の微小凸部で形成される尾根線部からなる線模様のどちらか一方または双方で構成している。このため、鍵に谷線部からなる線模様を形成した場合には、線模様の内部に線状の影が現れ、鍵に尾根線部からなる線模様を形成した場合には、鍵の面における線模様に沿った部分に線状の影が現れる。また、鍵に谷線部からなる線模様と尾根線部からなる線模様との双方を形成した場合には、一方の線模様の内部に線状の影が現れ鍵の面における他方の線模様に沿った部分に線状の影が現れる。
【0008】
これによって、鍵の外観に、陰影による凹凸の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、この電子楽器の鍵では、複数の微小凹部や複数の微小凸部で線模様が形成されるため、視覚だけでなく、触覚においても凹凸やその変化を感じ易くなる。なお、複数の微小凹部や複数の微小凸部における、隣接する微小凹部や微小凸部は互いに接近させて配置する。これによって、断続的に配置された複数の微小凹部や微小凸部を連続した線として認識できる。
【0009】
本発明に係る電子楽器の鍵の他の構成上の特徴は、上面(21)、前面(22)および両側面(23)の少なくとも一つの面に凹凸模様(25)が形成された電子楽器の鍵(20)において、複数の微小凹部(27a)と複数の微小凸部(26a)との少なくとも一方を組み合わせて形成され、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様(26,27)と、複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様(28)とで凹凸模様を構成したことにある。
【0010】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる面に形成する凹凸模様を、微小凹部と微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成された複数の面模様と、模様パターンを不連続にして連続に配置された複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで構成している。このため、境界線からなる線模様を挟んで各面模様の模様パターンが急に変化する。例えば、各面模様の模様パターンが方向性を備えている場合には、線模様を挟んで2つの面模様の模様パターンの方向が異なるようになる。
【0011】
また、境界線からなる線模様を挟んで、一方の面模様の模様パターンが縞模様で構成され、他方の面模様の模様パターンが水玉模様で構成されるような場合には、線模様を挟んで、各面模様の模様パターンが急に変化する。また、線模様は、2つの面模様の各部分の連続性が中断される点を結んで形成されるものであるため、くっきりとした線状に現れる。このため、鍵の外観に、面模様と線模様とからなる凹凸模様の凹凸の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても凹凸やその変化を感じ易くなる。
【0012】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様(35)が形成された電子楽器の鍵において、複数の微小凹部(37a)と複数の微小凸部(36a)との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様(36,37)と、面模様に隣接して配置される平坦面(34)と、面模様と平坦面との間に生じる境界線からなる線模様(38)とで凹凸模様を構成したことにある。
【0013】
本発明に係る電子楽器の鍵では、外観として現れる面に形成する凹凸模様を、微小凹部と微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成された面模様と、平坦面と、面模様と平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで構成している。このため、面模様の模様パターンが平坦面によって急に中断されるとともに、面模様と平坦面との間に境界線からなる線模様が現れる。この線模様は、面模様の各部分の連続性が中断される点を結んで形成されるものであるため、くっきりとした線状に現れる。これによって、鍵の外観に、凹凸模様の部分と平坦な部分との変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても面模様における凹凸の変化と平滑面における滑らかさとの双方の感触を感じることができる。
【0014】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様(44,45)が形成された電子楽器の鍵において、段違いの複数の面(44a,46,47)と、複数の面の間に位置する段差からなる線模様(44b,48)とで凹凸模様を構成したことにある。これによると、複数の面における低い面から高い面に向けて立ち上がる面によって発生される光の反射により、段差による線模様を明確に認識できるようになる。また、触覚においても、段差を構成する立ち上がり面を感触で明確に感じとることができる。なお、この場合の複数の面は、平坦面であってもよいし、凹凸模様が形成された面であってもよい。
【0015】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、鍵の平面視による面積が鍵の下方から上方に行くほど小さくなるようにして段差からなる線模様を前面(42)および両側面(43)に設け、かつ段差を構成する面を外周側に向かう下り傾斜になった傾斜面(44b)で構成したことにある。
【0016】
本発明では、前面および両側面に形成された段差からなる線模様が、鍵の平面視による面積が下方から上方に行くほど小さくなるようにして設けられている。このため、鍵を成形する際に、前面や両側面にアンダーカットが生じて成形された鍵を成形型から抜き難くなるといったことを防止できる。この結果、成形された鍵を成形型から抜く操作がスムーズになり、生産性の向上と品質の確保とが図れる。また、段差を構成する面を外周側に向かう下り傾斜になった傾斜面に形成するため、段部の縁部に欠損が生じることを防止できる。
【0017】
本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、上面(51)、前面(52)および両側面(53)の少なくとも一つの面に凹凸模様(55)が形成された電子楽器の鍵(50)において、複数の微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様(57)と、複数の微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様(56)との少なくとも一方で構成される第1の凹凸模様部と、複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成され互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第2の凹凸模様部(55a)と、複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様と、面模様に隣接して配置される平坦面と、面模様と平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第3の凹凸模様部(55b)と、段違いの複数の面と複数の面の間に位置する段差からなる線模様とで構成される第4の凹凸模様部(55c)とのうちの2つ以上の凹凸模様部を組み合わせて凹凸模様を構成したことにある。
【0018】
本発明に係る電子楽器の鍵では、模様パターンの異なる種々の部分凹凸模様を組み合わせて凹凸模様が構成されるため、鍵の面における各部分を異なる凹凸模様にすることができる。これによって、変化に富む凹凸模様を備えた電子楽器の鍵を得ることができる。
【0019】
また、本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、凹凸模様が形成される面を平滑基準面(14,24,34)としたときの平滑基準面に対する凹凸模様の凹凸の縁部に形成される傾斜面(16c,17c,48)の傾斜角度を70度〜90度の範囲にしたことにある。これによると、凹凸模様を正面から見たときの幅が陰影を現すために十分なものになる。このため、陰影が顕著に現れて視覚的に好ましいものになるとともに、触覚的にも段差を感じ易い好ましいものになる。
【0020】
また、本発明に係る電子楽器の鍵のさらに他の構成上の特徴は、凹凸模様における線模様に沿った各部分の凹凸方向の幅を不均一にしたことにある。これによると、線模様における凹部や凸部の中でさらに高低の変化を持たせることができ、より微細な変化を生じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の第1実施形態に係る鍵を示した斜視図である。
【図2】図1に示した鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図3】微小凸部の周囲の傾斜面の傾斜角度を示した説明図である。
【図4】微小凹部の周囲の傾斜面の傾斜角度を示した説明図である。
【図5】微小凸部の高低差を示した説明図である。
【図6】本発明の第2実施形態に係る鍵を示した斜視図である。
【図7】図6に示した鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図8】本発明の第3実施形態に係る鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図9】本発明の第4実施形態に係る鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【図10】図9に示した段差の傾斜面の傾斜角度を示した説明図である。
【図11】図9に示した段差部分の高低差を示した説明図である。
【図12】本発明の第5実施形態に係る黒鍵のキートップ部を示した斜視図である。
【図13】本発明の第6実施形態に係る鍵を示した斜視図である。
【図14】本発明の第6実施形態に係る鍵に形成された凹凸模様を示した拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態に係る電子楽器の鍵を図面を用いて説明する。図1は、同実施形態に係る白鍵10を示している。この白鍵10は、電子楽器(図示せず)の上面における手前側(演奏者側)に黒鍵とともに複数個並べられるもので、それぞれ長手方向を前後に向けて設置される。この白鍵10は、硬質の合成樹脂を一体成形することにより形成されており、上面部11と、前面部12と、左右一対の側面部13(一方しか図示せず)とで構成されている。上面部11の左側部の後部側には黒鍵を配置するための切り欠き凹部11aが形成され、上面部11の上面後端には、前部側よりも低くなった段部11bが形成されている。この段部11bは、白鍵10を電子楽器の本体に揺動可能に支持させる際に用いられる。なお、前記切り欠き凹部11aの位置は白鍵に割り当てられる位置によって異なる。
【0023】
前面部12は、上面部11の先端縁部よりも僅かに後方部分から下方に延びる略正方形の板状部分で構成されている。左右一対の側面部13の一方(図1の手前側に位置する側面部13)は、L形の板状部分で構成されており、L形の長辺側の外縁部を上面部11の右側部に沿わせ、L形の短辺側の外縁部を前面部12の右側部に沿わせて、上面部11と前面部12とに一体的に組付けられている。また、他方の側面部13は、側面視が一方の側面部13と同じL形に形成されており、上縁部を上面部11の左側部の前部側と切り欠き凹部11aの縁部に沿って沿わせ、前縁部を前面部12の左側部に沿わせた段違い状の板状部分で構成されている。
【0024】
白鍵10の外観となる上面部11、前面部12および一対の側面部13の表面には、それぞれ凹凸模様15が形成されている。この凹凸模様15は、白鍵10の前後方向または上下方向に延びる尾根線部からなる線模様16と谷線部からなる線模様17(図2参照)とを交互に配置することによって縞模様に形成されている。線模様16は、大きさの異なる複数の微小凸部16aを一点鎖線で示した仮想線16b上に配置して構成されており、各微小凸部16aは互いに僅かな間隔を保って設けられている。複数の微小凸部16aが、上面部11、前面部12および側面部13の表面における平坦部14から突出していることと、互いに接近して配置されていることで、線模様16は、連続する尾根状の線として認識される。
【0025】
線模様17は、大きさの異なる複数の微小凹部17aを一点鎖線で示した仮想線17b上に配置して構成されており、各微小凹部17aは互いに僅かな間隔を保って設けられている。複数の微小凹部17aが、平坦部14から窪んでいることと、互いに接近して配置されていることで、線模様17は、連続する谷状の線として認識される。殆どの微小凸部16aと微小凹部17aは、仮想線16b,17bに沿った方向の長さの方が、仮想線16b,17bに直交する方向の長さよりも長くなっている。
【0026】
微小凸部16aと微小凹部17aとの仮想線16b,17bに沿った方向の長さは、それぞれ0.1mm〜80mm、望ましくは、0.2mm〜50mm、さらに望ましくは0.3mm〜20mmに設定され、微小凸部16aと微小凹部17aとの仮想線16b,17bに直交する方向の長さは、それぞれ0.03mm〜0.5mm、望ましくは、0.05mm〜0.3mm、さらに望ましくは0.08mm〜0.2mmに設定されている。また、各微小凸部16aの間隔および各微小凹部17aの間隔は、それぞれ0.03mm〜5mm、望ましくは、0.05mm〜3mm、さらに望ましくは0.08mm〜2mmに設定されている。
【0027】
図3は、微小凸部16aの周囲に形成される傾斜面16cの垂直線(平坦部14に直交する線)に対する傾斜角度aを示しており、この傾斜角度aは0〜20度の範囲に設定されている。すなわち、平坦部14に対する傾斜面16cの傾斜角度は、70〜90度になる。また、図4は、微小凹部17aの周囲に形成される傾斜面17cの垂直線に対する傾斜角度bを示しており、この傾斜角度bも0〜20度の範囲に設定されている。図5は、微小凸部16aの一例を示しており、微小凸部16aの中には、高さcと高さdのように異なる高さの部分が含まれるものもある。また、図示は省略するが、微小凹部17aの中にも、深さの異なる部分が含まれるものがある。そして、各線模様16,17間の間隔は、それぞれ0.03mm〜22mm、望ましくは、0.05mm〜12mm、さらに望ましくは0.08mm〜8mmに設定されている。
【0028】
なお、この白鍵10を一体成形する射出成形機には、固定型と可動型とからなる金型が備わっており、金型の成形面に、凹凸模様15に対応する凹凸模様、すなわち、凹凸模様15と凹凸が逆になる凹凸模様が形成されている。このため、白鍵10の成形が容易になる。また、白鍵10が備わった電子楽器を演奏する際には、まず、上面部11と前面部12とに形成された凹凸模様15が見え、押鍵操作をしたときに、隣の白鍵10の側面部13に形成された凹凸模様15が見える。このため、電子楽器の美観が向上するとともに、押鍵操作の際に凹凸模様15が変化して見えるようになり、演奏が楽しくなる。また、押鍵時に、指が上面部11の凹凸模様15に触れることによっても、触感に変化が生じて興趣に富むものとなる。
【0029】
このように、本実施形態に係る白鍵10では、複数の微小凸部16aで形成される尾根線部からなる線模様16と、複数の微小凹部17aで形成される谷線部からなる線模様17とを交互に配置して構成される凹凸模様15を、上面部11、前面部12および一対の側面部13の表面に形成している。このため、平坦部14における線模様16に沿った部分に線状の影が現れ、線模様17の内部に線状の影が現れる。このように、平坦部14に対して突出した線模様16と窪んだ線模様17とにより、白鍵10の外観に、凹凸の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても凹凸の変化を感じ易くなり、これによって、演奏が楽しいものとなる。
【0030】
なお、本実施形態では、上面部11、前面部12および一対の側面部13のすべてに凹凸模様15を設けているが、これは、上面部11、前面部12および一対の側面部13のいずれか一部に設けてもよい。例えば、側面部13だけに凹凸模様15を設けると、演奏をしていないときには、凹凸模様15が形成されていない鍵を備えた電子楽器と同じ外観をしているが、演奏時にだけに凹凸模様15が見えるようになり、面白味がいっそう増すようになる。また、触覚を重視する場合には、上面部11だけに凹凸模様15を設けてもよい。
【0031】
また、本実施形態では、凹凸模様15を、線模様16と、線模様17との双方で構成しているが、凹凸模様15を、尾根線部からなる線模様16だけで構成したり、谷線部からなる線模様17だけで構成したりしてもよい。さらに、一つの線模様のなかに、尾根線部と谷線部とを含ませてもよい。また、線模様16,17の延びる方向は、白鍵10の前後方向または上下方向に限らずどの方向にしてもよいし、線模様16,17を直線でなく曲線に形成してもよい。また、この凹凸模様15を形成する鍵は、白鍵10でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵10と黒鍵との双方にしてもよい。
【0032】
さらに、前述した白鍵10の上面後端には、段部11bが形成されているが、この段部11bを設けずに、白鍵10の上面は前端から後端にかけて連続した平面に形成してもよい。また、白鍵10の前面部12は、上面部11の先端縁部よりも後方部分から下方に延びて上面部11の先端縁部が前面部12よりも前方に突出しているが、この突出した部分は除去してもよい。
【0033】
(第2実施形態)
図6は、本発明の第2実施形態に係る白鍵20を示している。この白鍵20の外観となる上面部21、前面部22および一対の側面部23の表面には、それぞれ全体として縞模様のように見える凹凸模様25が形成されている。この凹凸模様25は、白鍵10の前後方向または上下方向にそれぞれ延び、左右または上下に交互に配置された複数の面模様26,27と、面模様26,27の境界部分に現れる複数の線模様28とで構成されている。図7に示したように、面模様26は、複数の微小凸部26aを線状に並べて形成される複数の小線模様26bで構成されており、各小線模様26bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。
【0034】
各小線模様26bは、上面部21、前面部22および側面部23の表面の平坦部24の縁部に対して傾斜して延びている。すなわち、図7の状態では、各小線模様26bの上端よりも下端が右側に位置している。面模様27は、複数の微小凹部27aを線状に並べて形成される複数の小線模様27bで構成されており、各小線模様27bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。各小線模様27bは、小線模様26bと反対側に傾斜している。すなわち、図7の状態では、各小線模様27bの上端よりも下端が左側に位置している。このように構成された面模様26と面模様27とが交互に配置されている。
【0035】
このため、複数の微小凸部26aで構成される各小線模様26bと、複数の微小凹部27aで構成される各小線模様27bとがそれぞれジグザグ状に延び、ジグザグ状に延びる複数の線模様が一定間隔で配置されている。そして、面模様26の領域と面模様27の領域とで、小線模様26bと小線模様27bとの延びる方向が変わるとともに、その凹凸が逆になるため、それぞれの小線模様26bと小線模様27bとの交点が鮮明になる。そして、鮮明に現れる交点が連続することにより、線模様28がくっきりと現れる。
【0036】
微小凸部26aは円形の凸部で構成されており、直径は0.03mm〜0.5mm、望ましくは、0.05mm〜0.3mm、さらに望ましくは0.08mm〜0.2mmに設定され、高さは0.01mm〜1mm、望ましくは、0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。また、各微小凸部26a間の間隔(隣接する微小凸部26aの中心点間の長さ)は、0.06mm〜80mm、望ましくは、0.1mm〜50mm、さらに望ましくは0.16mm〜20mmに設定されている。
【0037】
微小凹部27aは円形の窪みで構成されており、直径は0.03mm〜0.5mm、望ましくは、0.05mm〜0.3mm、さらに望ましくは0.08mm〜0.2mmに設定され、深さは0.01mm〜1mm、望ましくは、0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。また、各微小凹部27a間の間隔(隣接する微小凹部27aの中心点間の長さ)は、0.06mm〜80mm、望ましくは、0.1mm〜50mm、さらに望ましくは0.16mm〜20mmに設定されている。
【0038】
さらに、各線模様28間の間隔は、0.03mm〜22mm、望ましくは、0.05mm〜12mm、さらに望ましくは0.08mm〜8mmに設定され、各小線模様26b間の間隔および各小線模様27b間の間隔は、0.06mm〜160mm、望ましくは、0.1mm〜160mm、さらに望ましくは0.16mm〜160mmに設定されている。この白鍵20のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0039】
このように、本実施形態に係る白鍵20では、複数の微小凸部26aからなる複数の小線模様26bで構成される面模様26と、複数の微小凹部27aからなる複数の小線模様27bで構成される面模様27とを交互に配置して、その境界に線模様28を形成した凹凸模様25を、上面部21、前面部22および一対の側面部23の表面に形成している。このため、線模様28を挟んで各面模様26,27の模様パターンが急に変化する。この結果、白鍵20の外観に、凹凸模様25の変化がくっきりと現れ、興趣に富むものとなる。また、触覚においても凹凸の変化を感じ易くなる。この白鍵20におけるそれ以外の作用効果については、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0040】
なお、本実施形態では、上面部21、前面部22および一対の側面部23のすべてに凹凸模様25を設けているが、この凹凸模様25は、上面部21、前面部22および一対の側面部23のいずれか一部に設けてもよい。また、本実施形態では、面模様26を、複数の微小凸部26aで構成し、面模様27を、複数の微小凹部27aで構成しているが、面模様26,27の双方を、微小凸部26aだけで構成したり、微小凹部27aだけで構成したりしてもよい。また、面模様26,27の双方に、微小凸部26aと微小凹部27aとを混在させてもよい。さらに、面模様26,27の形状や延びる方向も前述した実施形態に限るものでなく、適宜変更することができる。
【0041】
要は、隣り合った面模様の模様パターンを異なるものにして、その境界線として現れる線模様を浮き出させることができるものであればよい。また、この凹凸模様25を形成する鍵は、白鍵20でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵20と黒鍵との双方にしてもよい。さらに、本実施形態では、各小線模様26b,27bを、それぞれ互いの間隔を一定にして平行に配置しているが、これらの小線模様26b,27bは、ともに間隔が異なるように配置してもよいし、必ずしも平行していなくてもよい。また、複数の微小凸部26aで構成される各小線模様26bと、複数の微小凹部27aで構成される各小線模様27bとをそれぞれ一定間隔でジグザグ状に延ばしているが、このジグザグ状に延びる複数の線模様も一定間隔でなくてもよい。
【0042】
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る白鍵(図6に示した白鍵20と同様に現れる)に形成された凹凸模様35を示している。この凹凸模様35は、白鍵の前後方向または上下方向にそれぞれ延び、左右または上下に間隔を保って交互に配置された複数の面模様36,37と、白鍵の縁部側および面模様36,37間にそれぞれ設けられた平坦面34と、面模様36,37と平坦面34との境界部分にそれぞれ現れる複数の線模様38とで構成されている。面模様36は、複数の微小凸部36aを線状に並べて形成される複数の小線模様36bで構成されており、各小線模様36bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。
【0043】
各小線模様36bは、平坦面34の長手方向に対して傾斜して延びており、図8の状態では、上端よりも下端が左側に位置している。面模様37は、複数の微小凹部37aを線状に並べて形成される複数の小線模様37bで構成されており、各小線模様37bは、互いの間隔を一定にして平行に配置されている。各小線模様37bは、小線模様36bと反対側に傾斜している。すなわち、図8の状態では、各小線模様37bの上端よりも下端が右側に位置している。このように構成された面模様36,37と平坦面34とはそれぞれ同じ幅に設定されている。そして、面模様36と面模様37とが間隔を保って交互に配置され、その間隔の部分が平坦面34で構成されている。
【0044】
このため、複数の微小凸部36aで構成される各小線模様36bと、複数の微小凹部37aで構成される各小線模様37bとがそれぞれ方向を変えて平坦面34を介して断続的なジグザグ状に延び、断続的なジグザグ状に延びる複数の線模様が一定間隔で配置されている。そして、面模様36,37と平坦面34との間にそれぞれ、境界線で構成される線模様38が連続した状態で現れている。この場合も、面模様36,37の模様パターンが平坦面34によって中断されることにより、線模様38が鮮明に現れる。微小凸部36aの形状、大きさおよびその配置の間隔は、前述した第2実施形態の微小凸部26aと同じで、微小凹部37aの形状、大きさおよびその配置の間隔は、前述した第2実施形態の微小凹部27aと同じである。また、この白鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。
【0045】
このように、本実施形態に係る白鍵では、複数の微小凸部36aからなる面模様36と、複数の微小凹部37aからなる面模様37とを間隔を保って交互に配置し、さらに、面模様36,37間に平坦面34を設けている。このため、面模様36と面模様37との模様パターンが平坦面34によって急に中断されるとともに、面模様36,37と平坦面34との間が、境界線からなる線模様38の部分で急に変化する。この白鍵におけるそれ以外の作用効果は、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。
【0046】
なお、本実施形態においても、凹凸模様35は、白鍵の上面部、前面部および一対の側面部のすべてに設ける必要はなく、上面部、前面部および一対の側面部のいずれか一部に設けてもよい。また、本実施形態では、面模様36を、複数の微小凸部36aで構成し、面模様37を、複数の微小凹部37aで構成しているが、面模様36,37の双方を、微小凸部36aだけで構成したり、微小凹部37aだけで構成したりしてもよい。また、面模様36,37の双方に、微小凸部36aと微小凹部37aとを混在させてもよい。さらに、面模様36,37の形状も前述した実施形態に限るものでなく、適宜変更することができる。例えば、面模様36,37を同じ構成にしてもよい。また、この凹凸模様35を形成する鍵は、白鍵でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵と黒鍵との双方にしてもよい。
【0047】
さらに、本実施形態では、各小線模様36b,37bを、それぞれ互いの間隔を一定にして平行に配置しているが、これらの小線模様36b,37bは、ともに間隔が異なるように配置してもよいし、必ずしも平行していなくてもよい。また、複数の微小凸部36aで構成される各小線模様36bと、複数の微小凹部37aで構成される各小線模様37bとをそれぞれ一定間隔でジグザグ状に延ばしているが、このジグザグ状に延びる複数の線模様も一定間隔でなくてもよい。さらに、面模様36,37と平坦面34との幅も異なる幅にしてもよい。
【0048】
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る白鍵(図6に示した白鍵20と同様に現れる)に形成された凹凸模様45を示している。この凹凸模様45は、白鍵の前後方向または上下方向にそれぞれ延び、左右に交互に配置された面位置の異なる段違いの平坦面46,47と、平坦面46と平坦面47との境界部分にそれぞれ設けられた傾斜面48とで構成されている。傾斜面48で、本発明に係る線模様が構成される。平坦面46,47は、それぞれ同じ幅に設定されている。
【0049】
また、図10は、窪んだ位置にある平坦面47から突出した位置にある平坦面46に向けて立ち上がる傾斜面48の垂直線(平坦面47に直交する線)に対する傾斜角度eを示しており、この傾斜角度eは0〜20度、望ましくは1〜10度、さらに望ましくは3〜5度の範囲に設定されている。また、傾斜面48の垂直方向の高さは、0.01mm〜1mm、望ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。この白鍵のそれ以外の部分の構成については、前述した白鍵10と同一である。
【0050】
この白鍵によると、平坦面47から平坦面46に向けて立ち上がる傾斜面48によって、特有の反射光が生じ、この反射光によって段差による線模様をよりはっきりと認識できる。また、押鍵時の触覚においても、傾斜面48をはっきりと感じとることができる。この白鍵におけるそれ以外の作用効果は、前述した第1実施形態に係る白鍵10と同様である。なお、本実施形態においても、凹凸模様45は、白鍵の上面部、前面部および一対の側面部のすべてに設ける必要はなく、上面部、前面部および一対の側面部のいずれか一部に設けてもよい。また、平坦面46,47および傾斜面48が延びる方向は、白鍵の前後方向または上下方向に限らず、左右方向でもよいし、斜め方向でもよい。さらに、図11に示したように、傾斜面48の中に、高さfと高さgのように異なる高さの部分を含ませてもよい。また、平坦面46,47に代えて、表面に凹凸模様が形成された面を用いてもよい。
【0051】
(第5実施形態)
図12は、本発明の第5実施形態に係る黒鍵のキートップ部40を示している。このキートップ部40は、鍵本体部(図示せず)とともに、硬質の合成樹脂を一体成形することにより形成されている。キートップ部40は、鍵本体部の前部側部分の上部に形成されており、上面部41と、前面部42と、左右一対の側面部43(一方しか図示せず)と、後面部(図示せず)とを備えている。このキートップ部40では、上面部41と後面部との表面が平滑面で構成され、前面部42と、両側面部43との表面に凹凸模様44が形成されている。この凹凸模様44は、キートップ部40の前後方向または左右方向にそれぞれ延び、上下に配置された面位置の異なる段違いの平坦面44aと、各平坦面44aの境界部分にそれぞれ設けられた細長い段状の傾斜面44bとで構成されている。
【0052】
このキートップ部40は、幅が下方から上方に行くにしたがって小さくなり、前面部42が上部よりも下部の方が前方に突出している。このためキートップ部40の平面視による面積は下方から上方に行くほど小さくなる。また、平坦面44a間の段差を構成する傾斜面44bは、外周側に向かう下り傾斜になっている。この傾斜面44bの水平方向に対する傾斜角度は0〜20度、望ましくは1〜10度、さらに望ましくは3〜5度の範囲に設定されている。また、傾斜面44bの水平方向の長さは、0.01mm〜1mm、望ましくは0.02mm〜0.5mm、さらに望ましくは0.05mm〜0.3mmに設定されている。
【0053】
なお、このキートップ部40を備えた黒鍵を一体成形する射出成形機には、固定型と可動型とからなる成形型が備わっており、黒鍵を成形する際には、一方の型を黒鍵の上下方向に移動させるようにして黒鍵を成形型から抜くことが行われる。キートップ部40の前面部42と、両側面部43との表面に凹凸模様44が形成されているが、キートップ部40の平面視による面積は下方から上方に行くほど小さくなっており、平坦面44a間の段差を構成する傾斜面44bは、外周側に向かう下り傾斜になっている。このため、黒鍵を成形する際に、前面部42や両側面部43にアンダーカットが生じて成形された黒鍵を成形型から抜き難くなるといったことを防止できる。この結果、成形された黒鍵を成形型から抜く操作がスムーズになり、生産性の向上と品質の確保とが図れる。このキートップ部70を備えた黒鍵におけるそれ以外の作用効果については、前述した各実施形態と同様である。
【0054】
(第6実施形態)
図13は、本発明の第6実施形態に係る白鍵50を示している。この白鍵50の外観となる上面部51、前面部52および一対の側面部53の表面には、それぞれ全体として格子模様のように見える凹凸模様55が形成されている。この凹凸模様55は、図14に示したように構成されており、前述した線模様16と同様の尾根線状の線模様からなる凹凸模様部56と、線模様17と同様の谷線状の線模様からなる凹凸模様部57と、凹凸模様25と同様の凹凸模様からなる凹凸模様部55aと、凹凸模様35と同様の凹凸模様からなる凹凸模様部55bと、凹凸模様45と同様の凹凸模様からなる凹凸模様部55cとを備えている。この白鍵50のそれ以外の部分の構成については、前述した第1実施形態の白鍵10と同じである。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。
【0055】
この白鍵50では、外観として現れる上面部51、前面部52および側面部53に形成する凹凸模様55の各部分を、異なる凹凸模様で構成している。このため、変化に富む凹凸模様55が形成された白鍵50を得ることができる。また、この場合も、凹凸模様55は、上面部51、前面部52および側面部53のいずれか一部に設けてもよい。さらに、この凹凸模様55を形成する鍵は、白鍵でなく、黒鍵にしてもよいし、白鍵と黒鍵との双方にしてもよい。なお、本発明においては、連続した線状になっていなくても、各面模様の模様パターンが急に変化する境界部分も線模様に含まれるものとする。
【符号の説明】
【0056】
10,20,50…白鍵、11,21,41,51…上面部、12,22,42,52…前面部、13,23,43,53…側面部、14,24…平坦部、15,25,35,44,45…凹凸模様、16,17,28,38,56,57…線模様、16a,26a,36a…微小凸部、16c…傾斜面、17a,27a,37a…微小凹部、17c…傾斜面、26,27,36,37…面模様、34,44a,46,47…平坦面、40…キートップ部、44b,48…傾斜面、55a,55b,55c…凹凸模様部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様と、複数の微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様との少なくとも一方で前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項2】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成され、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、前記複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項3】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様と、前記面模様に隣接して配置される平坦面と、前記面模様と前記平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項4】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
段違いの複数の面と、前記複数の面の間に位置する段差からなる線模様とで前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項5】
前記鍵の平面視による面積が前記鍵の下方から上方に行くほど小さくなるようにして前記段差からなる線模様を前記前面および前記両側面に設け、かつ前記段差を構成する面を外周側に向かう下り傾斜になった傾斜面で構成した請求項4に記載の電子楽器の鍵。
【請求項6】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様と、複数の微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様との少なくとも一方で構成される第1の凹凸模様部と、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成され、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、前記複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第2の凹凸模様部と、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様と、前記面模様に隣接して配置される平坦面と、前記面模様と前記平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第3の凹凸模様部と、
段違いの複数の面と、前記複数の面の間に位置する段差からなる線模様とで構成される第4の凹凸模様部と
のうちの2つ以上の凹凸模様部を組み合わせて前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項7】
前記凹凸模様が形成される面を平滑基準面としたときの前記平滑基準面に対する前記凹凸模様の凹凸の縁部に形成される傾斜面の傾斜角度を70度〜90度の範囲にした請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載の電子楽器の鍵。
【請求項8】
前記凹凸模様における前記線模様に沿った各部分の凹凸方向の長さを不均一にした請求項1ないし7のうちのいずれか一つに記載の電子楽器の鍵。
【請求項1】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様と、複数の微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様との少なくとも一方で前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項2】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成され、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、前記複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項3】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様と、前記面模様に隣接して配置される平坦面と、前記面模様と前記平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項4】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
段違いの複数の面と、前記複数の面の間に位置する段差からなる線模様とで前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項5】
前記鍵の平面視による面積が前記鍵の下方から上方に行くほど小さくなるようにして前記段差からなる線模様を前記前面および前記両側面に設け、かつ前記段差を構成する面を外周側に向かう下り傾斜になった傾斜面で構成した請求項4に記載の電子楽器の鍵。
【請求項6】
上面、前面および両側面の少なくとも一つの面に凹凸模様が形成された電子楽器の鍵において、
複数の微小凹部を配列することにより形成される谷線部からなる線模様と、複数の微小凸部を配列することにより形成される尾根線部からなる線模様との少なくとも一方で構成される第1の凹凸模様部と、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成され、互いの模様パターンを不連続にして連続に配置される複数の面模様と、前記複数の面模様間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第2の凹凸模様部と、
複数の微小凹部と複数の微小凸部との少なくとも一方を組み合わせて形成される面模様と、前記面模様に隣接して配置される平坦面と、前記面模様と前記平坦面との間に生じる境界線からなる線模様とで構成される第3の凹凸模様部と、
段違いの複数の面と、前記複数の面の間に位置する段差からなる線模様とで構成される第4の凹凸模様部と
のうちの2つ以上の凹凸模様部を組み合わせて前記凹凸模様を構成したことを特徴とする電子楽器の鍵。
【請求項7】
前記凹凸模様が形成される面を平滑基準面としたときの前記平滑基準面に対する前記凹凸模様の凹凸の縁部に形成される傾斜面の傾斜角度を70度〜90度の範囲にした請求項1ないし6のうちのいずれか一つに記載の電子楽器の鍵。
【請求項8】
前記凹凸模様における前記線模様に沿った各部分の凹凸方向の長さを不均一にした請求項1ないし7のうちのいずれか一つに記載の電子楽器の鍵。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−58492(P2012−58492A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201574(P2010−201574)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】
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