説明

電子機器、プリント回路板

【課題】 電磁波の影響を低減した電子機器を提供する。
【解決手段】 電子機器は、複数の回路部品を備えるプリント回路板と、前記プリント回路板上に設けられる導電性のシールドケースと、前記プリント回路板上で前記シールドケースの内側に設けられるチューナと、前記シールドケースの外側で前記プリント回路板に設けられる第1のグランド部と、前記シールドケースの内側で前記プリント回路板に設けられる第2のグランド部と、を備える。前記第1のグランド部は、前記シールドケースを介して前記第2のグランド部と電気的に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、チューナを有した電子機器およびプリント回路板に関する。
【背景技術】
【0002】
チューナ等の高周波部品およびシールドケースを備えた電子機器が存在している(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−79590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、チューナ等の高周波部品は、外界からの電磁波による影響を受け易く、外界から照射される電磁波の高周波部品への影響の低減や、逆に高周波部品から外界に照射される電磁波の低減に関する改良へのニーズが存在していた。
【0005】
本発明は、電磁波の影響を低減した電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電子機器は、複数の回路部品を備えるプリント回路板と、前記プリント回路板上に設けられる導電性のシールドケースと、前記プリント回路板上で前記シールドケースの内側に設けられるチューナと、前記シールドケースの外側で前記プリント回路板に設けられる第1のグランド部と、前記シールドケースの内側で前記プリント回路板に設けられる第2のグランド部と、を備え、前記第1のグランド部は、前記シールドケースを介して前記第2のグランド部と電気的に接続される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施形態にかかる電子機器の一例であるテレビを示した斜視図。
【図2】図1に示すテレビのメイン基板(プリント回路板)を表面方向から示した斜視図。
【図3】図2に示すメイン基板(プリント回路板)を裏面方向から示した下面図。
【図4】図2に示すメイン基板(プリント回路板)をシールドケースの天板部を取り外した状態を示した斜視図。
【図5】図2に示すメイン基板を分解して示した斜視図。
【図6】図2に示すメイン基板上のシールドケースを水平方向に切断して示した断面図。
【図7】第2の実施形態にかかる電子機器の一例であるテレビのメイン基板(プリント回路板)を分解して示した斜視図。
【図8】第3の実施形態にかかる電子機器の一例であるテレビのメイン基板(プリント回路板)をシールドケースの天板部を取り外した状態で示した上面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1から図6を参照して、電子機器の一例であるテレビの第1の実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態にかかるテレビ11は、長方形の外観を有した薄型の表示装置である。図1に示すように、テレビ11は、表示部12(ディスプレイ部)と、表示部12を支持する支持部の一例であるスタンド13と、を備えている。
【0009】
表示部12は、表示パネル14と、表示パネル14の背面に設けられたメイン基板15(プリント回路板)および電源基板16と、表示パネル14、メイン基板15、電源基板16の周囲を覆ったケース17と、を備えている。
【0010】
表示パネル14は、本実施形態では、例えば、方形板状の液晶パネルで構成されている。表示パネル14は、例えばプラズマディスプレイパネル、有機ELパネル等の他の種類のディスプレイパネルでもよい。
【0011】
図2から図5に示すように、メイン基板15(プリント回路板)は、方形板状の基板本体21と、基板本体21上に実装された複数の回路部品22(CPU、ROM、RAMなど)と、基板本体21上に実装された第1のチューナ23および第2のチューナ24と、第1のチューナ23および第2のチューナ24の周囲を取り囲むように基板本体21上に設けられるシールドケース18と、シールドケース18の上部から突出するように設けられた一対の接続用の端子25と、シールドケース18の外側に設けられた第1のグランド部26と、シールドケース18の内側に設けられた第2のグランド部27と、第1のグランド部26から第2のグランド部27に向けて突出する第1の突出部31と、第2のグランド部27から第1のグランド部26に向けて突出する第2の突出部32と、基板本体21に設けられた細長い穴状の複数のスロット33と、を備えている。このように、本実施形態では、メイン基板15(プリント回路板)上に第1のチューナ23および第2のチューナ24が実装されており、チューナ用のプリント回路板を別途に必要としない。
【0012】
図4に示すように、第1のチューナ23(チューナ)は、いわゆる高周波部品であって、例えば衛星放送の受信回路(第1の受信回路34)の一部を構成している。同様に、第2のチューナ24(チューナ)は、いわゆる高周波部品であって、例えば地上波のアナログ・デジタル放送の受信回路(第2の受信回路35)の一部を構成している。第1のチューナ23および第2のチューナ24は、シールドケース18の内側に設けられている。
【0013】
図5に示すように、複数のスロット33は、第2のグランド部27の周囲を取り囲むように、ある一定の間隔で配置されている。言い換えると、複数のスロット33は、第1のグランド部26と第2のグランド部27との間に配置されており、シールドケース18の内側の領域をメイン基板15の他の領域から区画している。スロット33の内周面は、絶縁性の材料で被覆されている。複数のスロット33は、メイン基板15の他の領域からシールドケース18の内側の領域を物理的に分離することで、シールドケース18の内側と外側の領域で電磁波が相互に行き来してしまうことを防止する。
【0014】
第1のグランド部26は、導体の層(銅の薄膜)によって基板本体21上に平面状に形成されている。第1の突出部31は、基板本体21上に設けられており、シールドケース18と電気的に接続されている。第2のグランド部27は、導体の層(銅の薄膜)によって基板本体21上に平面状に形成されている。図6に示すように、第2のグランド部27は、第1のチューナ23(第1の受信回路34)に対応した第1の部分27Aと、第2のチューナ24(第2の受信回路35)に対応した第2の部分27Bと、を含んでいる。第1の部分27Aは、第2の部分27Bとは分離している。第2の突出部32は、基板本体21上に設けられており、シールドケース18と電気的に接続されている。
【0015】
シールドケース18は、導電性の材料、例えば、板金(めっき鋼板)を箱状に折り曲げて形成されている。シールドケース18は、枠状になった側部41と、側部41に対して取り外し可能な天板部42と、側部41の内側を2つの領域に仕切る仕切部43と、側部41に設けられた第1の突起44および第2の突起45と、を有している。
【0016】
図4、図5に示すように、仕切部43は、導電性の材料、例えば、一枚の板金(めっき鋼板)中央部で折り曲げて形成されており、2枚の片によって2重になったシールドを構成する。仕切部43は、第1の片43Aと、これと分離した第2の片43Bと、第1の片43Aと第2の片43Bとを連結している連結片43Cと、を有している。第1の片43Aは、これから突出したピンによって第2のグランド部27の第1の部分27Aと電気的に接続されている。同様に、第2の片43Bは、これから突出したピンによって第2のグランド部27の第2の部分27Bと電気的に接続されている。仕切部43は、衛星放送の受信回路(第1の受信回路34)と地上波のアナログ・デジタル放送の受信回路(第2の受信回路35)との間を仕切っており、これらが互いの電磁波で干渉しあうことを防止する。
【0017】
図5に示すように、第1の突起44は、第1の突出部31に向けて突出し、第1の突出部31に設けられた第1のスルーホール31Aの内側に通されており、半田を介して第1の突出部31と電気的に接続される。これによって、シールドケース18は、第1のグランド部26と電気的に接続されている。また、第2の突起45は、第2の突出部32に向けて突出し、第2の突出部32に設けられた第2のスルーホール32Aの内側に通されており、半田を介して第2の突出部32と電気的に接続される。このため、シールドケース18は、第2のグランド部27と電気的に接続されている。したがって、本実施形態では、第1のグランド部26は、シールドケース18を介して第2のグランド部27と電気的に接続されている。
【0018】
第1の実施形態によれば、テレビ11は、複数の回路部品22を備えるプリント回路板と、プリント回路板上に設けられる導電性のシールドケース18と、プリント回路板上でシールドケース18の内側に設けられるチューナと、シールドケース18の外側でプリント回路板に設けられる第1のグランド部26と、シールドケース18の内側でプリント回路板に設けられる第2のグランド部27と、を備え、第1のグランド部26は、シールドケース18を介して第2のグランド部27と電気的に接続される。
【0019】
この構成によれば、シールドケース18によってチューナを覆うことができるため、外部からの電磁波のノイズがチューナに影響したり、逆にチューナからの電磁波が外部に漏出したりすることを防止できる。同様に、第1のグランド部26と第2のグランド部27との間で電位を同じにできるため、例えば、第1のグランド部26側から第2のグランド部27側に向けて電磁波が照射されたり、逆に第2のグランド部27側から第1のグランド部26側に向けて電磁波が照射されたりすることを防止できる。また、上記構成では、シールドケース18を介して迂回するように第1のグランド部26と第2のグランド部27とが電気的に接続されている。このため、プリント回路板に第1のグランド部26と第2のグランド部27とを連続的に形成した場合に比して、例えば第1のグランド部26側から発振された電磁波がそのまま第2のグランド部27側に到達したり、第2のグランド部27側から発振された電磁波がそのまま第1のグランド部26側に到達したりすることが防止される。これらによって、電磁波による悪影響を極力防止して、電子機器の高性能化を実現できる。
【0020】
また、テレビ11は、第1のグランド部26と第2のグランド部27との間の位置でプリント回路板に設けられる複数のスロット33を備える。この構成によれば、シールドケース18の内側とシールドケース18の外側との間を物理的に分離させることができ、シールドケース18の内側と外側との間の電磁波による相互干渉を防止できる。
【0021】
テレビ11は、プリント回路板上でシールドケース18の内側に設けられる第2のチューナ24と、シールドケース18に設けられるとともにチューナと第2のチューナ24との間を仕切る仕切部43と、を備える。この構成によれば、チューナおよび第2のチューナ24の間で、電磁波による相互干渉を生ずることを防止して、電子機器の高性能化を実現できる。
【0022】
テレビ11は、第1のグランド部26から突出する第1の突出部31と、第2のグランド部27から突出する第2の突出部32と、シールドケース18に設けられ第1の突出部31に向けて突出して第1の突出部31と電気的に接続される第1の突起44と、シールドケース18に設けられ第2の突出部32に向けて突出して第2の突出部32と電気的に接続される第2の突起45と、を備える。
【0023】
この構成によれば、簡単な構造によって、第1のグランド部26と第2のグランド部27とをシールドケース18で迂回するように接続する構成を実現できる。
【0024】
続いて図7を参照して、電子機器の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態の電子機器の一例であるテレビ11は、シールドケース18に仕切部43がない点、チューナの数が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明或いは図示を省略する。第2の実施形態のテレビ11は、図1に示すものと同様の外観を有する。
【0025】
第2の実施形態では、メイン基板15(プリント回路板)上に第1のチューナ23(チューナ)が1個のみ実装されている。第1のチューナ23は、例えば衛星放送の受信回路(第1の受信回路34)の一部を構成している。
【0026】
シールドケース18は、導電性の材料、例えば、板金(めっき鋼板)を箱状に折り曲げて形成されている。シールドケース18は、枠状になった側部41と、側部41に対して取り外し可能な天板部42と、側部41に設けられた第1の突起44および第2の突起45と、を有している。
【0027】
本実施形態によれば、チューナが1つのみである場合であっても、シールドケース18の内部と外部との間において、電磁波の相互干渉を生ずることを有効に防止することができる。
【0028】
続いて図8を参照して、電子機器の第3の実施形態について説明する。第3の実施形態の電子機器の一例であるテレビ11は、チューナの数が異なる点で第1の実施形態のものと異なっているが、他の部分は第1の実施形態と共通している。このため、主として異なる部分について説明し、共通する部分については共通の符号を付して説明或いは図示を省略する。第3の実施形態のテレビ11は、図1に示すものと同様の外観を有する。
【0029】
メイン基板15(プリント回路板)は、方形板状の基板本体21と、基板本体21上に実装された複数の第1のチューナ23および複数の第2のチューナ24と、複数の第1のチューナ23および複数の第2のチューナ24の周囲を取り囲むように基板本体21上に設けられるシールドケース18と、シールドケース18の上部から突出するように設けられた一対の接続用の端子25と、シールドケース18の外側に設けられた第1のグランド部26と、シールドケース18の内側で第2のグランド部27と、第1のグランド部26から第2のグランド部27に向けて突出する第1の突出部31と、第2のグランド部27から第1のグランド部26に向けて突出する第2の突出部32と、基板本体21に設けられた細長い穴状の複数のスロット33と、を備えている。
【0030】
シールドケース18は、枠状になった側部41と、側部41に対して取り外し可能な天板部42と、側部41(シールドケース18)の内側を4つの領域に仕切る仕切部43と、側部41に設けられた第1の突起44および第2の突起45と、を有している。
【0031】
第1のチューナ23は、例えば衛星放送の受信回路(第1の受信回路34)の一部を構成している。本実施形態では、第1のチューナ23の数は、2個であるがこれに限定されるものではなく、第1のチューナ23を3個以上にしてもよい。また、第2のチューナ24は、例えば地上波のアナログ・デジタル放送の受信回路(第2の受信回路35)の一部を構成している。本実施形態では、第2のチューナ24の数は、2個であるがこれに限定されるものではなく、第2のチューナ24を3個以上にしてもよい。
【0032】
本実施形態によれば、チューナの数が複数個であっても、チューナ同士、或いはシールドケース18の内部と外部との間で、電磁波の相互干渉を生ずることを防止できる。
【0033】
電子機器は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。さらに、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0034】
11…テレビ、15…メイン基板、21…基板本体、22…回路部品、23…第1のチューナ、24…第2のチューナ、26…第1のグランド部、27…第2のグランド部、31…第1の突出部、32…第2の突出部、33…スロット、43…仕切部、44…第1の突起、45…第2の突起。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の回路部品を備えるプリント回路板と、
前記プリント回路板上に設けられる導電性のシールドケースと、
前記プリント回路板上で前記シールドケースの内側に設けられるチューナと、
前記シールドケースの外側で前記プリント回路板に設けられる第1のグランド部と、
前記シールドケースの内側で前記プリント回路板に設けられる第2のグランド部と、
を備え、
前記第1のグランド部は、前記シールドケースを介して前記第2のグランド部と電気的に接続される電子機器。
【請求項2】
前記第1のグランド部と前記第2のグランド部との間の位置で前記プリント回路板に設けられる複数のスロットを備える請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記プリント回路板上で前記シールドケースの内側に設けられる第2のチューナと、
前記シールドケースに設けられるとともに前記チューナと前記第2のチューナとの間を仕切る仕切部と、
を備える請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1のグランド部から突出する第1の突出部と、
前記第2のグランド部から突出する第2の突出部と、
前記シールドケースに設けられ前記第1の突出部に向けて突出して前記第1の突出部と電気的に接続される第1の突起と、
前記シールドケースに設けられ前記第2の突出部に向けて突出して前記第2の突出部と電気的に接続される第2の突起と、
を備える請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
複数の回路部品を備える基板本体と、
前記基板本体上に設けられる導電性のシールドケースと、
前記基板本体上で前記シールドケースの内側に設けられるチューナと、
前記シールドケースの外側で前記基板本体に設けられる第1のグランド部と、
前記シールドケースの内側で前記基板本体に設けられる第2のグランド部と、
を備え、
前記第1のグランド部は、前記シールドケースを介して前記第2のグランド部と電気的に接続されるプリント回路板。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−16556(P2013−16556A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146576(P2011−146576)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【特許番号】特許第5085771号(P5085771)
【特許公報発行日】平成24年11月28日(2012.11.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】