説明

電子機器、及び電波受信モジュール

【課題】使用態様が変化した場合であっても、アンテナにおけるユーザの前方の受信感度が最も強くなる電子機器、及び、電波受信モジュールを提供する。
【解決手段】電子機器は、電波受信モジュール10を備えている。電波受信モジュール10は、第一アンテナ11、第二アンテナ12、及びマイクロ波受信モジュール13を備えている。第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、直方体状のマイクロ波受信モジュール13の面に、第一アンテナ11及び第二アンテナ12の延設方向が互いに直交するように設けられている。このため、第一アンテナ11の受信感度が高い方向と、第二アンテナ12の受信感度が高い方向とは直交する。電波受信モジュール10は、広域に亙って強い受信感度を示す。電波受信モジュール10が電子機器に格納された場合、電子機器の取り付け角度に依らず、ユーザの前方に強い受信感度を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のアンテナを備えた電子機器、及び電子機器に組み込まれる電波受信モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
検出対象となる目標物から送信される電波を受信することによって目標物とユーザとの接近関係を特定し、特定した接近関係に関する情報をユーザに対して報知する制御を行う電子機器が知られている。目標物として、例えば、車両速度を測定する装置などが挙げられる。目標物は、交通事故の発生し易い危険な場所に設置される場合が多い。従って電子機器は、例えば目標物への接近を、車両を運転するユーザに知らせることで、交通事故の発生しやすい場所においてユーザに安全運転を促すことができる。このように、目標物とユーザとの接近関係をユーザに知らせることは、ユーザの安全運転に寄与するものである。目標物と接近関係にあるか否かは、例えば、目標物から電波が出射される場合であれば、その目標物の発する電波を受信した場合に接近関係にあると判断するものや、例えばGPSのように、位置を特定可能な電波を受信して、ユーザの位置(例えば電子機器の位置をユーザの位置とみなした位置)を特定し、予め記憶した目標物の位置と特定したユーザの位置とが所定の範囲内にある場合に接近関係にあると判断するものなどがある。
【0003】
電子機器には、このような電波を受信するためのアンテナが設けられている。電子機器が車両に取り付けられる場合、電子機器は、アンテナの受信感度がこのような接近関係を判断するための電波の飛来方向に対して最も強くなるように、車両に取り付けられることが好ましい。例えば、目標物から電波が出射される場合であれば、その目標物の電波の発射向きと車両に取り付けた際のアンテナの向きとの関係を、例えばGPSのように、ユーザの位置を特定可能な電波を受信する場合であれば、その電波の発射向きと車両に取り付けた際のアンテナの向きとの関係をできるだけ対向するようにすることが望ましい。
【0004】
これに対し、電子機器が車両に取り付けられる場合の取り付け方法が、ユーザによって異なる場合がある。例えば自動車用の電子機器の場合、電子機器は、ダッシュボード、バックミラー、フロントガラス等に取り付けられる可能性がある。また例えば自動二輪車用の電子機器の場合、電子機器は、ガソリンタンク、ハンドルの中央部、ミラーの支柱等に取り付けられる可能性がある。車両に対する電子機器の取り付け方法が異なると、車両前方に対する電子機器の取り付け角度も異なってくる。例えば電子機器は、ダッシュボード上の水平面に取り付けられる場合と、前方に向かって下方に傾斜したフロントガラスに取り付けられる場合とでは、車両前方に対する電子機器の取り付け角度は異なる。さらに取り付け角度は、ユーザの利用態様に応じても変化する。例えば、自動二輪車用のハンドルの中央部に電子機器が取り付けられる場合、電子機器に設けられたディスプレイをユーザが見やすいように、電子機器の取り付け角度はユーザによって調整される。このため、ユーザの運転姿勢に応じて、車両前方に対する電子機器の取り付け角度も変化する。
【0005】
以上のように電子機器の取り付け角度が変化した場合でも、アンテナの受信感度が車両前方に向けて常に最も強くなるようにする必要がある。例えば、特許文献1に記載された技術を利用し、5つのアンテナ素子の全体によって広い受信範囲をカバーできるように複数のアンテナを配置することによって、電子機器の取り付け角度が変化した場合でも、常にいずれかのアンテナが車両前方をカバーするように構成することができる。。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−336580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子機器は、通常、専用のマウント部品等によって車両に取り付けられるため、電子機器の取り付け方法は、いくつかのパターンに限定される。このため、車両前方に対する電子機器の取り付け角度も、いくつかのパターンに制限される。従って、電子機器は、想定される取り付け角度で車両に取り付けられた状態で、最も強い受信感度を示す方向が車両前方を向くように、アンテナを設けておけば良い。
【0008】
例えば、自動二輪車のハンドル中央に電子機器が取り付けられる場合、ユーザは、後傾した状態でもディスプレイが見やすいように、ディスプレイを運転者側(車両後方側)に向けるか、又は、前傾した状態でもディスプレイが見やすいように、ディスプレイを上方に向けることが想定される。従って電子機器は、ディスプレイをユーザ側(車両後方側)に向けた状態と、ディスプレイを上方に向けた状態との間で電子機器の取り付け角度が調整された場合に、車両前方に強い受信感度を有するようにアンテナを設けておけば良いことになる。
【0009】
しかしながら、特許文献1では、全ての方向に対して受信感度を有するように、多数のアンテナを電子機器に設けてある。このためこの技術をそのまま利用した場合、アンテナのコストが余計に発生し、電子機器を安価に提供することができないという問題点がある。
【0010】
本発明の目的は、使用態様が変化した場合であっても、アンテナにおける受信対象とする電波の受信感度が最も強くなる電子機器、及び、電波受信モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第一態様に係る電子機器は、第一方向に最も強い受信感度を有する第一アンテナと、前記第一方向と異なる第二方向に最も強い受信感度を有する第二アンテナとを備えた電子機器であって、前記ユーザに対する前記第一アンテナ及び前記第二アンテナの向きが其々異なる第一状態及び第二状態となるように、前記電子機器の状態を変化させることが可能な場合において、前記第一状態となった場合に、前記第一方向は前記ユーザの前方を向き、前記第二状態となった場合に、前記第二方向は前記ユーザの前方を向くことを特徴とする。
【0012】
第一態様によれば、電子機器の状態が第一状態及び第二状態に変化する場合であっても、電子機器に設けられたアンテナの受信感度が最も強い方向を、ユーザの前方に常に向けることができる。このため電子機器は、ユーザに対する状態に依らず、電波を送信する目標物を確実に検出することができる。
【0013】
また第一態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナは、平面上に形成されたアンテナであるとよい。これによって、アンテナの設置スペースを節約することができるので、電子機器を小型化することが可能となる。また平面上に形成されたアンテナでは、グランドを平面上に広く設けることができるので、アンテナの特性を安定化させることができる。
【0014】
また第一態様において、前記第一アンテナを含む仮想的な平面が、前記第二アンテナと交差しているとよい。通常、平面上に設けられたアンテナは、平面に直交する向きに強い受信感度示す。このため、第一アンテナを含む仮想的な平面と第二アンテナとを交差させることによって、第一アンテナにおいて受信感度の最も強い方向と、第二アンテナにおいて受信感度の最も強い方向とを確実に相違させることができる。
【0015】
また第一態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを介して電波を受信する箱状のモジュールであって、第一平面、前記第一平面に対向する第二平面、及び、前記第一平面端部と前記第二平面端部との間に亙って設けられた第三平面を有する無線モジュールを備えるとよい。前記第一アンテナは、前記第一平面上に、且つ前記第一平面と平行に設けられるとよい。前記第二アンテナは、前記第三平面上に、且つ前記第三平面と平行に設けられるとよい。第一アンテナ及び第二アンテナは、箱状の無線モジュールの表面に直接設けられることになるので、第一アンテナ及び第二アンテナを安定な状態で固定することができる。また、第一アンテナ、第二アンテナ、及び無線モジュールをコンパクトにまとめることができるので、電子機器を小型化することが可能となる。さらに、無線モジュールと、第一アンテナ及び第二アンテナとを近接させることができるので、双方間の信号線の長さを短くすることができる。従って、信号線を電気信号が伝達する場合の伝送損を小さくすることができる。また、無線モジュールと第一アンテナ及び第二アンテナとを接続する場合のインピーダンスマッチングを容易化することができる。
【0016】
また第一態様において、前記無線モジュールの前記第二平面において接触し、前記無線モジュールを支持する支持基板を備えるとよい。前記支持基板のうち前記第二アンテナと近接する部分には、前記第二アンテナが前記支持基板と交差する方向に通過可能な空間部が存在するとよい。これによって、空間部に第二アンテナを通過させることができる。第二アンテナを大きくしても、第二アンテナは支持基板に接触しない。このため、第二アンテナの形状の自由度を高めることができる。また、第二アンテナに支持基板が接触してしまうことで第二アンテナの特性が変化してしまうことを防止できる。さらに、第二アンテナを大きくして受信感度を高めることができる。
【0017】
また第一態様において、前記第一アンテナ、前記第二アンテナ、前記無線モジュール、及び前記支持基板を覆う筐体を備えるとよい。前記第二アンテナのうち、前記仮想的な平面から前記第一方向に突出した部分、及び、前記支持基板に対して前記無線モジュールが支持されている側と反対側に突出した部分は、前記筐体に接触しないような長さとするとよい。これによって、第二アンテナが筐体に接触することで第二アンテナの電気特性が変わってしまい、第二アンテナの指向性が変化してしまうことを防止できる。また、第二アンテナが筐体に繰り返し接触することで第二アンテナ又は筐体が破損することを防止できる。
【0018】
また第一態様において、前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いており、前記第一方向が前記ユーザの上方を向いている状態で、前記ユーザの前方から到来する電波が前記第二アンテナによって遮蔽されるとよい。これによって、第一アンテナのうち少なくとも一部分に電波が照射されないことになる。ここで、目標物がユーザに対して上方に設置されている場合、ユーザが目標物に近づくに従い、目標物から発せられる電波の到来方向は、ユーザの前方から上方に移動する。上述のように第一アンテナ及び第二アンテナが設置されている場合、電波がユーザの前方から到来する状態では、電波の到来方向に対して第一アンテナは第二アンテナの背後に配置することになるので、第一アンテナのうち少なくとも一部分に電波は照射されない。このため、第一アンテナを介して受信された電波の強度は弱くなる。一方、電波がユーザの上方から到来する状態では、第一アンテナへの電波の照射を第二アンテナが邪魔することがなくなるので、電波は第一アンテナに直接照射されることになり、第一アンテナを介して受信された電波の強度は強くなる。このように、目標物に対してユーザが近づくに従い、第一アンテナを介して受信された電波の強度は変化する。従って電子機器は、第一アンテナを介して受信される電波の強度の変化を検出することによって、目標物とユーザとの間の距離を正確に把握することができる。
【0019】
また第一態様において、前記第一アンテナを含む仮想的な平面に、前記第二アンテナの端部が接しているとよい。これによって、電波の到来方向に対して、第一アンテナ及び第二アンテナのうち一方のアンテナが他方のアンテナの背後に隠れてしまう位置関係となることを防止することができる。従って、目標物から発せられた電波を、第一アンテナ及び第二アンテナの双方で良好に受信することができる。
【0020】
また第一態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを介して電波を受信する箱状のモジュールであって、第一平面、前記第一平面に対向する第二平面、及び、前記第一平面端面と前記第二平面端面との間に亙って設けられた第三平面を有する無線モジュールを備えるとよい。前記第一アンテナは、前記第一平面上に、且つ前記第一平面と平行に設けられるとよい。前記第二アンテナは、前記第三平面上に、且つ前記第三平面と平行に設けられるとよい。これによって、第一アンテナ及び第二アンテナは、箱状の無線モジュールの表面に直接設けられることになるので、第一アンテナ及び第二アンテナを安定な状態で固定することができる。また、第一アンテナ、第二アンテナ、及び無線モジュールをコンパクトにまとめることができるので、電子機器を小型化することが可能となる。さらに、無線モジュールと、第一アンテナ及び第二アンテナとを近接させることができるので、双方間の信号線の長さを短くすることができる。従って、信号線を電気信号が伝達する場合の伝送損を小さくすることができる。また、無線モジュールと第一アンテナ及び第二アンテナとを接続する場合のインピーダンスマッチングを容易化することができる。
【0021】
また第一態様において、前記無線モジュールの前記第二平面において接触し、前記無線モジュールを支持する支持基板を備えるとよい。前記支持基板のうち前記第二アンテナと近接する部分には、前記第二アンテナが前記支持基板と交差する方向に通過可能な空間部が存在するとよい。これによって、空間部に第二アンテナを通過させることができる。第二アンテナを大きくしても、第二アンテナは支持基板に接触しない。このため、第二アンテナの形状の自由度を高めることができる。また、第二アンテナに支持基板が接触してしまうことで第二アンテナの特性が変化してしまうことを防止できる。さらに、第二アンテナを大きくして受信感度を高めることができる。
【0022】
また第一態様において、前記第一アンテナ、前記第二アンテナ、前記無線モジュール、及び前記支持基板を覆う筐体を備えるとよい。前記第二アンテナのうち前記支持基板に対して前記無線モジュールが支持されている側と反対側に突出した部分は、前記筐体に接触しないような長さとするとよい。これによって、第二アンテナが筐体に接触することによって第二アンテナの電気特性が変わってしまい、第二アンテナの指向性が変化してしまうことを防止できる。また、第二アンテナが筐体に繰り返し接触することで第二アンテナ又は筐体が破損することを防止できる。
【0023】
また第一態様において、前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いており、前記第一方向が前記ユーザの上方を向いている状態で、前記ユーザの前方から到来する電波は前記第二アンテナによって遮蔽されることなく、前記第一アンテナに照射されるとよい。目標物がユーザに対して上方に設置されている場合、ユーザが目標物に近づくに従い、目標物から発せられる電波の到来方向は、ユーザの前方から上方に移動する。しかしながら上述のように第一アンテナ及び第二アンテナが設置されている場合、電波がユーザの前方及び上方から到来する両状態において、電波は第一アンテナ及び第二アンテナに良好に照射される。第一アンテナに対する電波の照射を、第二アンテナが邪魔してしまうような現象は発生しない。このため、目標物とユーザとの接近関係に依存せず、第一アンテナ及び第二アンテナの両方で、目標物から発せられた電波を良好に受信することができる。
【0024】
また第一態様において、前記第一アンテナと前記第二アンテナとが接触しているとよい。これによって、第一アンテナと第二アンテナとを最大限近接させることができる。従って、第一アンテナ及び第二アンテナを設けるスペースを小さくすることができるので、電子機器を小型化することが可能となる。
【0025】
また第一態様において、前記第一方向と前記第二方向とは直交しているとよい。これによって、第一状態と第二状態とで、電子機器を取り付けた場合の角度が90度変更される場合であっても、アンテナの受信感度が最も強い方向を、常にユーザ前方に向けることができる。
【0026】
例えば、自動二輪車のハンドル中央に電子機器が取り付けられる場合、運転者は、後傾した状態でディスプレイが見やすいように、ディスプレイを運転者側(自動二輪車の後方側)に向けるか、又は、前傾した状態でディスプレイが見やすいように、ディスプレイを上方に向けることが想定される。従って電子機器は、ディスプレイを運転者側に向けた状態と、ディスプレイを上方に向けた状態との間で角度が調整されることになるので、角度の最大変化量は約90度になる。従って、第一方向と第二方向とが直交するように第一アンテナ及び第二アンテナを設けておくことによって、いずれの状態に電子機器が調整された場合であっても、アンテナの受信感度が最も強くなる方向を、常にユーザ前方に向けておくことが可能となる。
【0027】
また第一態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち一方が水平偏波アンテナであり、他方が垂直偏波アンテナであるとよい。車両速度を計測する計測装置のうち、路面に近い位置に設置される計測装置、例えばレーダ式固定オービスや移動オービス等から出力される電波は、垂直偏波又は円偏波であることが多い。一方、路面から上方に離れた位置に設置される計測装置、例えば新Hシステムから出力される電波は、水平偏波であることが多い。従って、垂直偏波アンテナと水平偏波アンテナとを両方設けることによって、種類の異なる計測装置から送信される電波を良好に受信することができる。
【0028】
また第一態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち、受信感度の強い方向が前記ユーザの前方を向いているアンテナが垂直偏波アンテナであり、前記ユーザの上方を向いているアンテナが水平偏波アンテナであるとよい。受信感度の強い方向が前記ユーザの前方を向いているアンテナを垂直偏波アンテナとすることによって、路面に近い位置に設置される計測装置から出力される電波を、計測装置から離れた位置からでも良好に受信することができる。また、受信感度の強い方向が前記ユーザの上方を向いているアンテナを水平偏波アンテナとすることによって、路面の上方に設置される計測装置にユーザが近づいた場合に、この計測装置から出力される電波を良好に受信することができる。
【0029】
また第一態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを結合した結合アンテナは、前記第一方向及び前記第二方向に亙って強い指向性を有するとよい。これによって、電子機器の状態を、第一状態及び第二状態の間で連続的に変化させた場合でも、結合アンテナは、ユーザ前方に向けて常に強い受信感度を示す。従って、目標物から発せられる電波を常に良好に受信することができる。
【0030】
また第一態様において、前記電子機器は、前記ユーザの運転する車両に対し、前記第一状態及び前記第二状態で取り付けることが可能であるとよい。前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち少なくとも一方を介して受信した電波に基づいて、前記ユーザに対し、前記車両の運転を支援する情報を報知する制御を行う制御手段を備えるとよい。これによって電子機器は、目標物と車両との接近関係をユーザに通知することができるので、ユーザの安全運転に寄与することができる。
【0031】
本発明の第二態様に係る電波受信モジュールは、第一方向に最も強い受信感度を有する第一アンテナと、前記第一方向と異なる第二方向に最も強い受信感度を有する第二アンテナと、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを介して電波を受信する箱状のモジュールであって、第一平面、前記第一平面に対向する第二平面、及び、前記第一平面端部と前記第二平面端部との間に亙って設けられた第三平面を有する無線モジュールとを備え、電子機器に格納される電波受信モジュールであって、前記第一アンテナは、前記第一平面上に、且つ前記第一平面と平行に設けられており、前記第二アンテナは、前記第三平面上に、且つ前記第三平面と平行に設けられており、ユーザに対する前記第一アンテナ及び前記第二アンテナの向きが其々異なる第一状態及び第二状態となるように、前記電子機器の状態を変化させることが可能な場合において、前記電子機器が前記第一状態となった場合に、前記第一方向は前記ユーザの前方を向き、前記電子機器が前記第二状態となった場合に、前記第二方向は前記ユーザの前方を向くことを特徴とする。
【0032】
第二態様によれば、電波受信モジュールが格納された電子機器の状態が第一状態及び第二状態に変化する場合であっても、電波受信モジュールに設けられたアンテナの受信感度が最も強い方向を、ユーザ前方に常に向けることができる。このため電波受信モジュールは、取り付け方法に依らず、電波を送信する目標物からの電波を確実に受信することができる。
【0033】
また、第一アンテナ、第二アンテナ、及び無線モジュールをコンパクトにまとめることができるので、電波受信モジュールを小型化することが可能となる。さらに、無線モジュールと、第一アンテナ及び第二アンテナとを近接させることができるので、双方間の信号線の長さを短くすることができる。従って、信号線を電気信号が伝達する場合の伝送損を小さくすることができる。また、無線モジュールと第一アンテナ及び第二アンテナとを接続する場合のインピーダンスマッチングを容易化することができる。
【0034】
また第二態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナは、平面上に形成されたアンテナであるとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0035】
また第二態様において、前記第一アンテナを含む仮想的な平面が、前記第二アンテナと交差しているとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0036】
また第二態様において、前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いている状態で、前記ユーザの前方から到来する電波が前記第二アンテナによって遮蔽されるとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0037】
また第二態様において、前記第一アンテナを含む仮想的な平面に、前記第二アンテナの端部が接しているとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0038】
また第二態様において、前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いている状態で、前記ユーザの前方から到来する電波は前記第二アンテナによって遮蔽されることなく、前記第一アンテナに届くとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0039】
また第二態様において、前記第二アンテナのうち、前記無線モジュールの前記第二平面に近接する端部は、前記無線モジュールの前記第二平面において接触して前記無線モジュールを支持する支持基板よりも、前記無線モジュール側に位置するとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0040】
また第二態様において、前記第一アンテナと前記第二アンテナとが接触しているとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0041】
また第二態様において、前記第一方向と前記第二方向とは直交しているとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0042】
また第二態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち一方が水平偏波アンテナであり、他方が垂直偏波アンテナであるとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0043】
また第二態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち、受信感度の強い方向が前記ユーザの前方を向いているアンテナが垂直偏波アンテナであり、前記ユーザの上方を向いているアンテナが水平偏波アンテナであるとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【0044】
また第二態様において、前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを結合した結合アンテナは、前記第一方向及び前記第二方向に亙って強い指向性を有するとよい。これによって、第一態様と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】電子機器1の概要を示す斜視図である。
【図2】電波受信モジュール10を後側且つ上側から見た斜視図である。
【図3】第一状態での電波受信モジュール10の左側面図である。
【図4】第二状態での受信モジュール10の左側面図である。
【図5】変形例における第二状態での電波受信モジュール10の左側面である。
【図6】変形例における第二状態での電波受信モジュール30の左側面である。
【図7】評価した電波受信モジュール10(1)を示す写真である。
【図8】評価した電波受信モジュール10(2)を示す写真である。
【図9】評価した電波受信モジュール10(3)を示す写真である。
【図10】電波受信モジュール10(1)の指向性を示すグラフである。
【図11】電波受信モジュール10(2)の指向性を示すグラフである。
【図12】電波受信モジュール10(3)の指向性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。これらの図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられるものである。記載されている装置の構成は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0047】
図1を参照し、電子機器1について説明する。図1の上側、下側、左側、右側、手前側、及び奥行き側を、其々、電子機器1の上側、下側、左側、右側、正面側、及び背面側という。電子機器1は、速度違反取締用のマイクロ波レーダーの電波を受信して警告を発したり、ループコイル式速度違反取締機等の電波を出さない速度違反取締機の位置をGPS衛星からの電波を受信して警告を発する。電子機器1は、例えば周知のレーダー探知機である。なお以下では、電子機器1が自動二輪車のハンドル中央に取り付けられることを想定して説明する。しかしながら本発明は、自動二輪車のハンドル中央に取り付けられるという使用態様に限定されない。例えば電子機器1は、自動二輪車のガソリンタンクやサイドミラーに取り付けられてもよい。また、自動車のダッシュボードやフロントガラスに取り付けられてもよい。さらに例えば電子機器1は、ユーザの胸ポケット等に直接入れられて使用されてもよい。以下、自動二輪車を単に車両ともいう。
【0048】
電子機器1は、筐体2、及び表示部3を備えている。筐体2の形状は、左右方向を長手方向とする略直方体である。表示部3は、筐体2の正面側に設けられている。電子機器1は、車両のハンドル中央に取り付けられた状態で、車両に対する取り付け角度を矢印4のように切り替えることができる。これによって電子機器1は、車両の前方に電子機器1の背面側(図1の奥行き側)を向けた状態と、車両の前方に電子機器1の上側(図1の上側)を向けた状態との間で自由に取り付け角度を切り替えることができる。従って運転者は、電子機器1の表示部3を、車両の後方(ハンドルに対して運転者が着座する側)に向けた状態と、車両の上方に向けた状態との間のいずれかの状態に切り替えることができる。例えば運転者は、後傾した姿勢で運転する場合でも表示部3が見やすいように、表示部3を車両の後方に向けるか、又は、前傾した姿勢で運転する場合でも表示部3が見やすいように、表示部3を上方に向ける。このように運転者は、運転姿勢に応じて電子機器1の取り付け角度を切り替えることによって、表示部3に表示される画像が見やすいように調整できる。
【0049】
なお上述のように、電子機器1は車両のハンドルに取り付けられるので、車両の種類によっても、車両に対する電子機器1の取り付け角度が異なる場合がある。
【0050】
筐体2内には、上側及び背面側に近接する位置に、速度測定装置の発するマイクロ波を検知する第一アンテナ11及び第二アンテナ12(図2等参照)が設けられている。また、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を介してマイクロ波を受信するマイクロ波受信モジュール13(図2等参照)が設けられている。また、図示外のGPS受信モジュール、GPS用アンテナ、無線受信モジュール、無線受信用アンテナ、制御部、データベース、及びスピーカ等が設けられている。
【0051】
制御部は、CPU、EEPROM、RAMから構成されている。電子機器1における機能は、EEPROMに記憶されたプログラムをCPUが実行することによって実現される。制御部は、通常、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能を実現する処理を実行することによって、待ち受け画面又はレーダースコープを表示部3に表示している。また制御部は、発生したイベントに応じて、GPS警報機能、レーダー波警報機能、無線警報機能等の各機能を実現する処理を実行する。
【0052】
GPS警報機能は、待ち受け画面表示機能またはレーダースコープ表示機能の実行中に、データベースに記憶された目的物の緯度経度とGPS受信モジュールによって検出した現在位置の緯度経度から両者の距離を求め、求めた距離がデータベースに記憶された接近警報距離になった場合に、データベースに記憶された写真または模式図のデータを読み出して表示部3に表示させるとともに、データベースに記憶された音声データを読み出してスピーカから接近警報音声を出力する接近報知を行なう機能である。
【0053】
こうした目的物としては、固定式速度測定装置(レーダーのようにレーダー波(マイクロ波)を発する速度測定装置やループコイルのように、レーダー波を発しない速度測定装置を含む)、制限速度切替りポイント、取締エリア、検問エリア、駐禁監視エリア、Nシステム、交通監視システム、交差点監視ポイント、信号無視抑止システム、警察署、事故多発エリア、車上狙い多発エリア、急/連続カーブ(高速道)、分岐/合流ポイント(高速道)、ETCレーン事前案内(高速道)、サービスエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、パーキングエリア(高速道)、ハイウェイオアシス(高速道)、スマートインターチェンジ(高速道)、PA/SA内 ガソリンスタンド(高速道)、トンネル(高速道)、ハイウェイラジオ受信エリア(高速道)、県境告知、道の駅、ビューポイントパーキング等があり、これらの目的物の位置を示す緯度経度情報と目的物の種別情報と表示部3に表示する模式図または写真のデータとスピーカから出力する音声の音声データとを対応付けてデータベースに記憶している。
【0054】
レーダー波警報機能は、マイクロ波受信モジュール13によって速度測定装置(移動式レーダー等のレーダー波を発する速度測定装置)から発せられる周波数帯のマイクロ波に対応する信号が検出された場合に、表示部3に対して警報画面を表示するとともに、スピーカから警報音を出力する警報機能である。
【0055】
無線警報機能は、無線受信モジュールによって、緊急車両等の発する無線を受信した場合に、その走行等の妨げとならないよう、警報を発する機能である。無線警報機能においては、取締無線、カーロケ無線、デジタル無線、特小無線、署活系無線、警察電話、警察活動無線、レッカー無線、ヘリテレ無線、消防ヘリテレ無線、消防無線、救急無線、高速道路無線、警備無線等の周波数をスキャンし、スキャンした周波数で、無線を受信した場合には、データベースに無線種別ごとに記憶されたその周波数に対応する無線を受信した旨の模式図を警報画面として表示部3に表示するとともに、データベースに無線種別ごとに記憶された音声データを読み出して、スピーカからその無線の種別を示す警報音声を出力する。
【0056】
図2から図4を参照し、電波受信モジュール10の詳細について説明する。図3の上側、下側、奥行き側、手前側、左側、及び右側が、其々、電波受信モジュール10の上側、下側、左側、右側、前側、及び後側に相当する。電波受信モジュール10は、図3の右側が電子機器1の背面側を向いた状態で、電子機器1の筐体2内に格納される。電波受信モジュール10が筐体2内に格納された状態で、支持基板18(後述)の前側(図3の左側)に、表示部3が配置した状態になる。電波受信モジュール10は、第一アンテナ11、第二アンテナ12、及びマイクロ波受信モジュール13を備えている。
【0057】
第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、速度測定装置から発せられる周波数帯のマイクロ波を良好に受信することができるパッチアンテナである。第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、平面状の基板表面に複数のパッチ部を備えた構造を有している。パッチアンテナを用いることで、構造を簡単にすることができ、且つ、アンテナの機械的強度を強めることができる。また、第一アンテナ11及び第二アンテナ12の設置スペースを節約することができるので、電子機器1を小型化することが可能となる。また、一般的にパッチアンテナはグランドを基板表面に広く設けることができるので、アンテナの特性を安定化させることができる。
【0058】
マイクロ波受信モジュール13は、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を介してマイクロ波を受信するための無線モジュールである。マイクロ波受信モジュール13は、受信したマイクロ波の信号レベルを検出し、Received Signal Strength Indication(RSSI)として出力する。制御部は、マイクロ波受信モジュール13から出力されたRSSIの電圧レベルに基づいて、受信されたマイクロ波の信号レベルを認識し、マイクロ波を送信した速度測定装置と車両との間の距離を予測することができる。
【0059】
マイクロ波受信モジュール13の形状は略直方体である。図3に示すように、マイクロ波受信モジュール13は支持基板18に実装されている。マイクロ波受信モジュール13は、略直方体を構成する平板の表面であって、第一平面131、第二平面132、第三平面133、及び第四平面134を有している。第一平面131、第二平面132、第三平面133、及び第四平面134は、其々、マイクロ波受信モジュール13の後側、前側、上側、及び下側の平板の表面に相当する。第一平面131及び第二平面132は対向している。第三平面133及び第四平面134は対向している。第三平面133及び第四平面134は、第一平面131と第二平面132との間に亙って設けられている。第一アンテナ11は、第一平面131に密着することによって、第一平面131と平行に設けられている。第二アンテナ12は、第三平面133に密着することによって、第三平面133と平行に設けられている。第一アンテナ11及び第二アンテナ12の延設方向は、互いに直交している。
【0060】
第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、直方体状のマイクロ波受信モジュール13の表面に直接密着しているので、第一アンテナ11及び第二アンテナ12とマイクロ波受信モジュール13との接触面積は大きい。このため、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を安定した状態で固定することができる。また、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を固定する台座等が不要となるので、第一アンテナ11、第二アンテナ12、及びマイクロ波受信モジュール13をコンパクトにまとめることができる。これによって、電子機器1を小型化することが可能となる。さらに、第一アンテナ11及び第二アンテナ12とマイクロ波受信モジュール13とを接近させることができるので、第一アンテナ11とマイクロ波受信モジュール13、及び、第二アンテナ12とマイクロ波受信モジュール13との間の信号線の長さを短くすることができる。従って、電気信号が信号線を伝達する場合の伝送損を小さくすることができる。また、第一アンテナ11及び第二アンテナ12とマイクロ波受信モジュール13とを接続する場合のインピーダンスマッチングを容易化することができる。
【0061】
図2に示すように、第一アンテナ11は、マイクロ波受信モジュール13の第一平面131(図3参照)と接触する側と反対側の面に、パッチ部111、112びストリップライン113を備えている。パッチ部111、112は、正方形状の導体箔である。ストリップライン113は、パッチ部111、112とマイクロ波受信モジュール13とを接続するための伝送路である。第一アンテナ11は、複数のパッチ部111、112を設けることによって受信感度を高めている。第一アンテナ11は、平面に対して鉛直方向、且つ、パッチ部111、112が設けられている側に指向性を有しており、この方向の受信感度が高くなる。第一アンテナ11は、電波受信モジュール10が電子機器1の筐体2内に格納された状態で、電子機器1の背面方向に最も強い受信感度を有する。以下、図3に示すように、第一アンテナ11の最も強い受信感度を示す方向を、第一方向21という。
【0062】
図2に示すように、第二アンテナ12は、マイクロ波受信モジュール13の第三平面133(図3参照)と接触する側と反対側の面に、第一アンテナ11と同一形状のパッチ部121、122、及びストリップライン123を備えている。第二アンテナ12は、平面に対して鉛直方向、且つ、パッチ部121、122が設けられている側に指向性を有しており、この方向の受信感度が高くなる。第二アンテナ12は、電波受信モジュール10が電子機器1の筐体2内に格納された状態で、電子機器1の上方向に最も強い受信感度を示す。以下、図3に示すように、第二アンテナ12のうち最も強い受信感度を示す方向を、第二方向22という。
【0063】
図3に示すように、第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、第一アンテナ11の上端114と第二アンテナ12の下面とが接触している。このようにして電波受信モジュール10は、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を可能な限り近接させている。これによって、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を設けるために必要なスペースを小さくすることができるので、電子機器1を小型化することが可能となる。
【0064】
電波受信モジュール10が筐体2内に格納された状態では、第一方向21は電子機器1の背面方向に相当し、第二方向は電子機器1の上方向に相当する。このため、電子機器1の背面側が、車両の進行方向24即ち運転者の前方を向くように電子機器1の取り付け角度が調整された場合、第一方向21は車両の進行方向24を向き、第二方向22は、車両の上方を向く。従って第一アンテナ11は、車両の前方から到来するマイクロ波を良好に受信することができる。以下、第一方向21が車両の進行方向24を向くように電子機器1が車両に取り付けられた状態を、第一状態ともいう。
【0065】
一方、図4に示すように、電子機器1の上側が、車両の進行方向24即ち運転者の前方を向くように電子機器1の取り付け角度が調節された場合、第一方向21は、車両の下方を向き、第二方向22は、車両の進行方向24を向く。従って第二アンテナ12は、車両の前方から到来するマイクロ波を良好に受信することができる。以下、第二方向22が車両の進行方向24を向くように電子機器1が車両に取付けられた状態を、第二状態ともいう。
【0066】
以上のように、運転者による表示部3の視認性や車両の種類に応じて、車両に対する電子機器1の取り付け角度が変更された場合でも、第一アンテナ11及び第二アンテナ12のうち少なくとも一方を介し、車両の前方から到来するマイクロ波を良好に受信することができる。また詳細は後述するが、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を設けることによって、電子機器1は、第一方向及び第二方向に亙って強い受信感度を示す。これによって電子機器1は、取り付け角度に依らずマイクロ波を常に良好に受信することができる。従って電子機器1は、マイクロ波を送信する速度測定装置を確実に検出することができる。
【0067】
通常、アンテナは、その設置環境により指向性を持ってしまう場合が多い。マイクロ波を受信するためのアンテナとして指向性を持つアンテナが電子機器1に使用される場合、受信感度の最も強い方向(以下、「指向軸」ともいう。)を、速度測定装置から送信される電波の到来方向に向ける必要がある。通常、アンテナの指向軸は、車両の前方に向けられる。アンテナの指向軸を車両の前方に向けるための方式として、主に以下の三つの方式がある。
【0068】
第一の方式として、指向軸の異なるアンテナを複数用意し、複数のアンテナのうち、実際にマイクロ波を受信するアンテナを任意に切り替える方式がある。アンテナを切り替える方法として、複数のアンテナのうち受信レベルの高いアンテナに適宜切り替える方法がある。また別の方法として、接地面によって使用するアンテナを切り替える方法がある。この方法では、受信レベルに基づいてアンテナを切り替えるのではなく、電波の到来方向を予想し、受信する事前にアンテナを切り替えておくことになる。
【0069】
第二の方式として、反射器を用いることによって指向軸を変える方式がある。この方式では、アンテナの設置状態を変更することなく、指向性を広げることもできる。
【0070】
第三の方式として、アンテナを回転させる方式がある。この方式では、指向性の強いアンテナが用いられ、電波の到来方向が特定される。
【0071】
電子機器1の場合、マイクロ波は車両の前方から到来することが想定される。従って多くの場合、車両の前方に指向軸を有するように、電子機器1のアンテナは設置される。なお一部のレーダー探知機は、車両の前方の他に、車両の後方に指向軸を有するアンテナを備えている。これらのように、アンテナの指向軸は水平軸方向に限定される。電子機器1の取り付け状態に併せてアンテナの指向軸を調整した複数のレーダー探知機が知られている。例えば、ミラー型に代表される背面アンテナタイプ、ホーンアンテナ型を周到し、セパレート型やソーラ型に見られるタイプなどがある。
【0072】
電子機器1が、想定した取り付け状態と異なる取り付け角度で取り付けられた場合、マイクロ波の到来方向と指向軸とが相違するため、速度測定装置の検出感度が低下する場合がある。この解決策として、例えば、上述した第二の方式を用い、指向軸を複数設定することも考えられる。しかしながら、電子機器1に反射器を内蔵すると、筐体2が大きくなってしまい、構造も複雑になる。また、外部に反射器を設置した場合、煩雑な印象を受けやすい。
【0073】
これに対して電子機器1では、第一アンテナ11及び第二アンテナ12の指向軸が双方で異なるように、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を配置する。このことは、複数のパッチアンテナを含むアンテナのうち一部分を、他の部分と指向軸が異なるように加工することを意味する。イメージ的には、電子機器1に設けられる第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、パッチ部を4つ有する4パッチアンテナを真ん中から90度に折り曲げた構成を有している。これによって、アンテナ全体の指向性を広げることができるので、電子機器1の取り付け状態が角度された場合であっても、常に車両の前方に指向軸が向くようにすることができる。
【0074】
本実施形態のように、自動二輪車に電子機器1が取り付けられる場合、運転者は、電子機器1に設けられた表示部3の視認性を高めるために、電子機器1の取り付け角度を調節する場合がある。運転者の運転姿勢によって、表示部3に向ける視線の角度も異なるためである。また本実施形態では、自動二輪車のハンドル中央に電子機器1が取り付けられていることを想定しているので、自動二輪車の種類によって、電子機器1の取り付け角度が変化する場合もある。このような場合でも、電子機器1の取り付け状態と運転者の視線を考慮して、アンテナの指向性を車両の前方に広げることができる。このため、自動二輪車に使用される電子機器1を、表示部3とアンテナとが分離したセパレート型にする必要がなくなる。
【0075】
図3に示すように、第二アンテナ12のうち後側(図3の右側)の端124は、第一アンテナ11よりも後側に突出している。言い換えれば、第一アンテナ11を含む仮想的な平面23を定義した場合、第二アンテナ12は、平面23と交差していることになる。また、第二アンテナ12のうち前側(図3の左側)の端125は、マイクロ波受信モジュール13が実装された支持基板18よりも前側に突出している。支持基板18のうち第二アンテナ12に近接する部分には、第二アンテナ12の端125が前側に突出可能なように、第二アンテナ12を前側に通過させるための空間部181が存在している。これによって、第二アンテナ12を前方向に大きくしても、第二アンテナ12は支持基板18に接触しない。従って、第二アンテナ12が取り得る形状の自由度を高めることができる。また、第二アンテナ12に支持基板18が接触してしまうことで第二アンテナ12の特性が変化してしまうことを防止できる。さらに、第二アンテナ12を大きくすることができるので、第二アンテナ12の受信感度を更に高めることができる。
【0076】
なお電波受信モジュール10では、第二アンテナ12のうち後側の端124及び前側の端125が、電波受信モジュール10を収容する筐体2に接触しないように、第二アンテナ12の前後方向の長さが調整されている。具体的には、第二アンテナ12のうち後側の端124が筐体2の背面側の壁の内面に接触しないように、且つ、第二アンテナ12のうち前側の端125が筐体2の正面側の壁の内面に接触しないように、第二アンテナ12の前後方向の長さが調節されている。これによって、第二アンテナ12が筐体2に接触することによって第二アンテナ12の電気特性が変わってしまい、第二アンテナ12の指向性が変化してしまうことを防止できる。また、第二アンテナ12が筐体2に繰り返し接触することで第二アンテナ12又は筐体2が破損することを防止できる。さらに、第二アンテナ12の前後方向の長さを、筐体2に接触しない範囲で延ばし、筐体2の前後方向の長さと略同一とすることによって、第二アンテナ12の受信感度を高めることができる。
【0077】
以上説明したように、電子機器1は、車両に対する電子機器1の取り付け角度が変化し、電子機器1が第一状態(図1参照)及び第二状態(図2参照)の間で変化した場合でも、アンテナの受信感度が最も強い方向を、車両の前方に常に向けることができる。このため電子機器1は、車両に対する取り付け角度に依らず、マイクロ波を送信する速度測定装置を確実に検出することができる。
【0078】
第一アンテナ11及び第二アンテナ12を異なる角度で筐体2内に格納しているので、電子機器1は、広い範囲に強い受信感度を有している。このため、アンテナを常に車両の前方に向けるために、アンテナを外付けにする必要がない。電子機器1の取り付け角度が変化しても、電子機器1に内蔵されたアンテナは常に車両の前方に強い指向性を有するためである。従って、電子機器1を構成する部品数や製造工数を抑制できるので、コストを抑制でき、電子機器1を安価に提供することができる。
【0079】
第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、基板平面に直交する向きに強い受信感度示す。従って、第一アンテナ11を含む仮想的な平面23と第二アンテナ12とを交差させることによって、第一アンテナ11において受信感度の強い方向である第一方向21と、第二アンテナ12において受信感度の強い方向である第二方向22とを確実に相違させることができる。また、第一アンテナ11及び第二アンテナ12の延設方向は互いに直交しているので、第一状態と第二状態とで、電子機器1の取り付け角度が90度変更された場合であっても、アンテナの受信感度が最も強い方向を、常に車両の進行方向24に向けることができる。
【0080】
例えば、自動二輪車用のハンドル中央に電子機器1が取り付けられる場合、運転者は、後傾した姿勢で表示部3が見やすいように、表示部3を運転者側(車両の後方)に向ける(図3参照)か、又は、前傾した姿勢で表示部3が見やすいように、表示部3を車両の上方に向ける(図4参照)ことが想定される。従って電子機器1は、表示部3を運転者側(車両の後方)に向けた状態(図3参照)と、車両の上方に向けた状態(図4参照)との間で取り付け角度が調整されることになるので、角度の最大変化量は約90度になる。従って、第一方向21と第二方向22とが直交するように第一アンテナ11及び第二アンテナ12を設けておくことによって、いずれの状態に電子機器1が調整された場合であっても、アンテナの受信感度が最も強くなる方向を、常に車両の進行方向24に向けておくことが可能となる。
【0081】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されず、種々の変更が可能である。上述では、第一アンテナ11及び第二アンテナ12はパッチアンテナであったが、第一アンテナ11及び第二アンテナ12はパッチアンテナ以外のアンテナ、例えば、ダイポールアンテナであってもよい。第一アンテナ11の延設方向と第二アンテナ12の延設方向とのなす角は90°に限定されない。互いの方向が交差していれば、90°以外の任意の角度であってもよい。第一アンテナ11の延設方向と第二アンテナ12の延設方向とのなす角は、電子機器1の取り付け状態が変化する場合における変化の程度に応じて調整されてもよい。例えばユーザが、電子機器1をX°回転させて使用する場合、第一アンテナ11の延設方向と第二アンテナ12の延設方向とのなす角はX°であるとよい。第一アンテナ11の下端115の位置は、マイクロ波受信モジュール13の下側の第四平面134よりも下側に位置していてもよい。これによって、第一アンテナ11の上下方向の長さを大きくすることができるので、第一アンテナ11の受信感度を高めることができる。
【0082】
第二アンテナ12の前側の端125は、支持基板18よりも後側、即ち、マイクロ波受信モジュール13が配置する側に位置していてもよい。これによって第二アンテナ12は、支持基板18よりも後側に突出しないことになる。これによって、例えば空間部181が設けられていない支持基板18にマイクロ波受信モジュール13が取り付けられた場合でも、第二アンテナ12が支持基板18に接触することを防止できる。従って、第二アンテナ12に支持基板18が接触してしまうことで第二アンテナ12の特性が変化してしまうことを防止できる。
【0083】
第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、マイクロ波を受信するためのアンテナに限定されず、例えば、GPS衛星からの電波を受信するためのアンテナとして、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を使用してもよい。
【0084】
上述の実施形態では、電子機器1に設けられる第一アンテナ11及び第二アンテナ12は別体で構成されていた。これに対し、第一アンテナ11及び第二アンテナ12は、パッチ部を4つ有する共通の4パッチアンテナによって構成されていてもよい。そして、この4パッチアンテナを真ん中から90度に折り曲げることによって、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を形成させてもよい。
【0085】
電子機器1の筐体2内における電波受信モジュール10の配置は、上述の例に限定されない。例えば図5に示すように、第一方向21が電子機器1の上方に対応し、第二方向22が電子機器1の後方に対応するように、筐体2内に電波受信モジュール10が格納されてもよい。またこのような向きで電波受信モジュール10が筐体2内に格納された場合であって、電子機器1の背面側が車両の進行方向24を向くように、電子機器1が車両に取り付けられてもよい。なおこの状態は、第二方向22が車両の進行方向24を向くことになるので、第二状態に相当する。
【0086】
図5に示す状態で、速度測定装置25が車両に対して上方に設置されている場合を仮定する。車両が進行方向24に移動して速度測定装置25に近づくに従い、速度測定装置25から発せられるマイクロ波の到来方向は、車両の前方から上方に移動する(矢印26)。マイクロ波が車両の前方から到来する状態では、マイクロ波の到来方向に対して第一アンテナ11は第二アンテナ12の背後に配置することになる。第二アンテナ12の上側の端124がマイクロ波を遮蔽するので、第一アンテナ11のうち一部分にマイクロ波は照射されない。このため、第一アンテナ11を介して受信されたマイクロ波の強度は弱くなる。
【0087】
一方、速度測定装置から送信されたマイクロ波が車両の上方から到来する状態では、第一アンテナ11へのマイクロ波の照射を第二アンテナ12が邪魔することがなくなるので、マイクロ波は第一アンテナ11に直接照射されることになり、第一アンテナ11を介して受信されたマイクロ波の強度は強くなる。このように、速度測定装置25に対して車両が近づくに従い、第一アンテナ11を介して受信されたマイクロ波の強度は徐々に強くなる。従って電子機器1は、第一アンテナ11を介して受信される電波の強度の変化を検出することによって、速度測定装置25と車両との間の距離を正確に把握することができる。
【0088】
また、図5に示す状態で、第一アンテナ11及び第二アンテナ12のうち一方を水平偏波アンテナとし、他方を垂直偏波アンテナとしてもよい。車両速度を計測する計測装置のうち、路面に近い位置に設置される計測装置、例えばレーダー式固定オービスや移動オービス等から出力されるマイクロ波は、垂直偏波又は円偏波であることが多い。一方、路面から上方に離れた位置に設置される計測装置、例えば新Hシステムから出力される電波は、水平偏波であることが多い。従って、垂直偏波アンテナと水平偏波アンテナとを両方設けることによって、種類の異なる計測装置から送信される電波を良好に受信することができる。さらに、第一アンテナ11を水平偏波アンテナとし、第二アンテナ12を垂直偏波アンテナとしてもよい。第二アンテナ12を垂直偏波アンテナとすることによって、垂直偏波アンテナにおける受信感度の最も強い方向を、車両の前方に向けることができる。このため、路面に近い位置に設置される計測装置から出力される電波を、計測装置から離れた位置からでも良好に受信することができる。また、第一アンテナ11を水平偏波アンテナとすることによって、水平偏波アンテナにおける受信感度の最も強い方向を、車両の上方に向けることができる。このため、路面の上方に設置される計測装置に車両が近付いた場合に、この計測装置から出力される電波を良好に受信することができる。
【0089】
上述では、第一アンテナ11を含む仮想的な平面23と第二アンテナ12とは交差していた。第二アンテナ12の端124は、第一アンテナ11に対して、マイクロ波受信モジュール13が配置されている側と反対側に突出していた。これに対し、第二アンテナ12と仮想的な平面23とは交差していなくてもよく、第二アンテナ12の端124は、マイクロ波受信モジュール13が配置されている側と反対側に突出していなくてもよい。以下、本発明の変形例について説明する。
【0090】
図6を参照し、本発明の変形例における電波受信モジュール30の詳細について説明する。図5で示した実施形態における電波受信モジュール10と同様部分については、説明を省略している。電波受信モジュール30は、第一アンテナ31、第二アンテナ32、及びマイクロ波受信モジュール13を備えている。
【0091】
電波受信モジュール30が、図5で示した電波受信モジュール10と異なる点は、第二アンテナ32のうち上側の端324が、第一アンテナ31に対して上側に突出していない点にある。端324は、第一アンテナ31を含む仮想的な平面23に接した状態になっており、第一アンテナ31と端324とは、同一の平面23上に位置している。これによって、図5にて示した電波受信モジュール10とは異なり、マイクロ波の到来方向に対して第二アンテナ32が第一アンテナ31の背後に隠れてしまう位置関係となることを防止できる。従って、電子機器1が車両の進行方向24に移動して速度測定装置25に近付いた場合、速度測定装置25から発せられたマイクロ波を、第一アンテナ11及び第二アンテナ12の双方で良好に受信することができる。
【0092】
また、第二アンテナ32のうち下側の端325が、電波受信モジュール30が格納された筐体2に接触しないように、第二アンテナ12の延設方向の長さは調整されている。具体的には、第二アンテナ12のうち下側の端325が筐体2の下側壁の内面に接触しないように、第二アンテナ12の上下方向の長さが調節されている。これによって、第二アンテナ32が筐体2に接触することで第二アンテナ32の電気特性が変わってしまい、第二アンテナ32の指向性が変化してしまうことを防止できる。また、第二アンテナ32が筐体2に繰り返し接触することで第二アンテナ32又は筐体2が破損することを防止できる。なおその他の構成及び効果は、図5で示した電波受信モジュール10と同様である。
【0093】
図6で示した電波受信モジュール30において、第一アンテナ31のうち後側の端314は、第二アンテナ32よりも後側に突出していてもよい。これによって、第一アンテナ31を大きくできるので、第一アンテナ31の受信感度を高めることができる。
【0094】
電子機器1は、車両に取り付けられる場合に限定されず、ユーザが直接所持してもよい。このような場合でも、ユーザが電子機器1を所持する場合の態様によって、ユーザの前方に対する電子機器1の角度は異なる。例えばユーザは、電子機器1を手で持ち、表示部3を上に向けた状態で表示部3を視認しながら使用する場合が想定される。この場合、電子機器1の上側が、ユーザの前方を向いた状態になる。また例えば、ユーザの胸ポケットに電子機器1を入れ、スピーカから出力される音声のみを聞く場合が想定される。この場合、電子機器1の正面側又は背面側が、ユーザの前方を向いた状態になる。このように、ユーザの前方に対する電子機器1の向きは、電子機器1の使用態様によって相違する。しかしながらこのような場合でも、電子機器1において想定される使用態様を考慮して第一アンテナ11及び第二アンテナ12を設けておくことによって、電子機器1がユーザの前方に対して常に強い受信感度を示すようにできる。従って電子機器1は、ユーザによって所持された場合でも、目標物の位置に関する正確な情報をユーザに報知することができる。
【0095】
なお、電子機器1に設けられ、表示部3及びスピーカを制御してユーザに速度測定装置に関する情報を報知する処理を行う制御を行う制御部が、本発明の「制御手段」に相当する。
【実施例1】
【0096】
以下、図7から12を参照し、上述の電波受信モジュール10における第一アンテナ11及び第二アンテナ12の指向性を評価した結果について説明する。
【0097】
<評価モジュール>
以下の三つの電波受信モジュール10を作成し、指向性を評価した。
(1)マイクロ波受信モジュール13に第一アンテナ11及び第二アンテナ12を取り付けた電波受信モジュール10
(2)マイクロ波受信モジュール13に第一アンテナ11のみを取り付けた電波受信モジュール10
(3)マイクロ波受信モジュール13に第二アンテナ12のみを取り付けた電波受信モジュール10
電波受信モジュール10(1)(2)、及び(3)を、其々、図7、8、及び9に示す。
【0098】
<測定方法>
上述の電波受信モジュール10(1)〜(3)を回転ステージ(明立精機(株)製)上に載せた。マイクロ波出力源(Signal Generator(HP83640B、HP製)、及びホーンアンテナ(The Electro Mechanics製))から、10.525GHzのマイクロ波を出力し、回転ステージ上に載せた電波受信モジュール10(1)〜(3)に照射した。この状態で、回転ステージを10°ずつ合計360°回転させながら、電波受信モジュール10から出力されるRSSIを検出した。検出結果を円グラフにプロットすることによって、第一アンテナ11及び第二アンテナ12の受信感度の指向特性を評価した。電波受信モジュール10(1)(2)、及び(3)を使用した場合の評価結果を、其々、図10、11、及び12に示す。
【0099】
<評価結果>
第一アンテナ11のみを取り付けた電波受信モジュール10(2)では、図11に示すように、第一方向21に最も強い受信感度を示すことがわかった。また、第二アンテナ12のみを取り付けたの電波受信モジュール10(3)では、図12に示すように、第二方向22に最も強い受信感度を示すことがわかった。
【0100】
これらに対し、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を取り付けた電波受信モジュール10(1)では、第一方向21から第二方向22側に30°傾斜した方向である第三方向27に最も強い受信感度を示すことがわかった。また受信感度は、第一方向21から第二方向22に亙る広い角度範囲で強くなることがわかった。さらに、第一方向21に対して第二方向22及び第三方向27と反対側の方向、及び第二方向22に対して第一方向21及び第三方向27と反対側の方向にも、30〜40°の範囲で強い受信感度を示すことがわかった。このように電波受信モジュール10(3)では、第一アンテナ11及び第二アンテナ12を結合アンテナとしてみた場合に、非常に広い角度範囲で受信感度が強くなることがわかった。以上の評価結果から、電波モジュール10の第一方向21から第二方向22までの間の何れかの方向が車両の進行方向を向いている場合に、車両の前方から到来するマイクロ波を常に良好に受信できることが明らかになった。
【符号の説明】
【0101】
1 電子機器
2 筐体
10、30 電波受信モジュール
11、31 第一アンテナ
12、32 第二アンテナ
13 マイクロ波受信モジュール
18 支持基板
21 第一方向
22 第二方向
23 平面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向に最も強い受信感度を有する第一アンテナと、
前記第一方向と異なる第二方向に最も強い受信感度を有する第二アンテナと
を備えた電子機器であって、
前記ユーザに対する前記第一アンテナ及び前記第二アンテナの向きが其々異なる第一状態及び第二状態となるように、前記電子機器の状態を変化させることが可能な場合において、前記第一状態となった場合に、前記第一方向は前記ユーザの前方を向き、前記第二状態となった場合に、前記第二方向は前記ユーザの前方を向くことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナは、平面上に形成されたアンテナであることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第一アンテナを含む仮想的な平面が、前記第二アンテナと交差していることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを介して電波を受信する箱状のモジュールであって、第一平面、前記第一平面に対向する第二平面、及び、前記第一平面端部と前記第二平面端部との間に亙って設けられた第三平面を有する無線モジュールを備え、
前記第一アンテナは、前記第一平面上に、且つ前記第一平面と平行に設けられ、
前記第二アンテナは、前記第三平面上に、且つ前記第三平面と平行に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記無線モジュールの前記第二平面において接触し、前記無線モジュールを支持する支持基板を備え、
前記支持基板のうち前記第二アンテナと近接する部分には、前記第二アンテナが前記支持基板と交差する方向に通過可能な空間部が存在することを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記第一アンテナ、前記第二アンテナ、前記無線モジュール、及び前記支持基板を覆う筐体を備え、
前記第二アンテナのうち、前記仮想的な平面から前記第一方向に突出した部分、及び、前記支持基板に対して前記無線モジュールが支持されている側と反対側に突出した部分は、前記筐体に接触しないような長さとしたことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いており、前記第一方向が前記ユーザの上方を向いている状態で、
前記ユーザの前方から到来する電波が前記第二アンテナによって遮蔽されることにより、前記第一アンテナのうち少なくとも一部分に電波が照射されないことを特徴とする請求項3から6のいずれかに記載の電子機器。
【請求項8】
前記第一アンテナを含む仮想的な平面に、前記第二アンテナの端部が接していることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項9】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを介して電波を受信する箱状のモジュールであって、第一平面、前記第一平面に対向する第二平面、及び、前記第一平面端部と前記第二平面端部との間に亙って設けられた第三平面を有する無線モジュールを備え、
前記第一アンテナは、前記第一平面上に、且つ前記第一平面と平行に設けられ、
前記第二アンテナは、前記第三平面上に、且つ前記第三平面と平行に設けられていることを特徴とする請求項8に記載の電子機器。
【請求項10】
前記無線モジュールの前記第二平面において接触し、前記無線モジュールを支持する支持基板を備え、
前記支持基板のうち前記第二アンテナと近接する部分には、前記第二アンテナが前記支持基板と交差する方向に通過可能な空間部が存在することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。
【請求項11】
前記第一アンテナ、前記第二アンテナ、前記無線モジュール、及び前記支持基板を覆う筐体を備え、
前記第二アンテナのうち前記支持基板に対して前記無線モジュールが支持されている側と反対側に突出した部分は、前記筐体に接触しないような長さとしたことを特徴とする請求項10に記載の電子機器。
【請求項12】
前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いており、前記第一方向が前記ユーザの上方を向いている状態で、
前記ユーザの前方から到来する電波は前記第二アンテナによって遮蔽されることなく、前記第一アンテナに照射されることを特徴とする請求項8から11のいずれかに記載の電子機器。
【請求項13】
前記第一アンテナと前記第二アンテナとが接触していることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載の電子機器。
【請求項14】
前記第一方向と前記第二方向とは直交していることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の電子機器。
【請求項15】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち一方が水平偏波アンテナであり、他方が垂直偏波アンテナであることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の電子機器。
【請求項16】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち、受信感度の強い方向が前記ユーザの前方を向いているアンテナが垂直偏波アンテナであり、前記ユーザの上方を向いているアンテナが水平偏波アンテナであることを特徴とする請求項15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを結合した結合アンテナは、前記第一方向及び前記第二方向に亙って強い指向性を有することを特徴とする請求項1から16のいずれかに記載の電子機器。
【請求項18】
前記電子機器は、前記ユーザの運転する車両に対し、前記第一状態及び前記第二状態で取り付けることが可能であって、
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち少なくとも一方を介して受信した電波に基づいて、前記ユーザに対し、前記車両の運転を支援する情報を報知する制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする請求項1から17のいずれかに記載の電子機器。
【請求項19】
第一方向に最も強い受信感度を有する第一アンテナと、
前記第一方向と異なる第二方向に最も強い受信感度を有する第二アンテナと、
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを介して電波を受信する箱状のモジュールであって、第一平面、前記第一平面に対向する第二平面、及び、前記第一平面端部と前記第二平面端部との間に亙って設けられた第三平面を有する無線モジュールと
を備え、電子機器に格納される電波受信モジュールであって、
前記第一アンテナは、前記第一平面上に、且つ前記第一平面と平行に設けられており、
前記第二アンテナは、前記第三平面上に、且つ前記第三平面と平行に設けられており、
ユーザに対する前記第一アンテナ及び前記第二アンテナの向きが其々異なる第一状態及び第二状態となるように、前記電子機器の状態を変化させることが可能な場合において、前記電子機器が前記第一状態となった場合に、前記第一方向は前記ユーザの前方を向き、前記電子機器が前記第二状態となった場合に、前記第二方向は前記ユーザの前方を向くことを特徴とする電波受信モジュール。
【請求項20】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナは、平面上に形成されたアンテナであることを特徴とする請求項19に記載の電波受信モジュール。
【請求項21】
前記第一アンテナを含む仮想的な平面が、前記第二アンテナと交差していることを特徴とする請求項20に記載の電波受信モジュール。
【請求項22】
前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いている状態で、
前記ユーザの前方から到来する電波が前記第二アンテナによって遮蔽されることにより、前記第一アンテナのうち少なくとも一部分に電波が届かないことを特徴とする請求項21に記載の電波受信モジュール。
【請求項23】
前記第一アンテナを含む仮想的な平面に、前記第二アンテナの端部が接していることを特徴とする請求項20に記載の電波受信モジュール。
【請求項24】
前記電子機器を前記第二状態とすることによって、前記第二方向が前記ユーザの前方を向いている状態で、
前記ユーザの前方から到来する電波は前記第二アンテナによって遮蔽されることなく、前記第一アンテナに届くことを特徴とする請求項23に記載の電波受信モジュール。
【請求項25】
前記第二アンテナのうち、前記無線モジュールの前記第二平面に近接する端部は、
前記無線モジュールの前記第二平面において接触して前記無線モジュールを支持する支持基板よりも、前記無線モジュール側に位置することを特徴とする請求項19から24のいずれかに記載の電波受信モジュール。
【請求項26】
前記第一アンテナと前記第二アンテナとが接触していることを特徴とする請求項19から25のいずれかに記載の電波受信モジュール。
【請求項27】
前記第一方向と前記第二方向とは直交していることを特徴とする請求項19から26のいずれかに記載の電波受信モジュール。
【請求項28】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち一方が水平偏波アンテナであり、他方が垂直偏波アンテナであることを特徴とする請求項19から27のいずれかに記載の電波受信モジュール。
【請求項29】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナのうち、受信感度の強い方向が前記ユーザの前方を向いているアンテナが垂直偏波アンテナであり、前記ユーザの上方を向いているアンテナが水平偏波アンテナであることを特徴とする請求項28に記載の電波受信モジュール。
【請求項30】
前記第一アンテナ及び前記第二アンテナを結合した結合アンテナは、前記第一方向及び前記第二方向に亙って強い指向性を有することを特徴とする請求項19から29のいずれかに記載の電波受信モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−85058(P2013−85058A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−222595(P2011−222595)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(391001848)株式会社ユピテル (238)
【Fターム(参考)】