説明

電子機器、接触操作制御プログラムおよび接触操作制御方法

【課題】利用者に対して多様な操作方法を提供すること。
【解決手段】携帯電話端末(電子機器)1は、表示部を有する筐体と、前記筐体のいずれか2つの面それぞれに設けられた第1の検出部および第2の検出部と、前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれでタッチが生じ、更にそれぞれの検出部で表示部の所定の端部に向けたスイープ操作が検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去する制御部とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、接触操作制御プログラムおよび接触操作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、直感的な操作を可能にするとともに、キーボードのように物理的に大きな面積を必要とするデバイスを具備しない小型の電子機器を実現するために、タッチパネルが広く利用されるようになっている。タッチパネルを備える電子機器では、タッチパネルによって検出されるタップ等の動作に対して特定の処理が割り当てられる(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−164794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、タッチパネルによって検出される動作は、タップ、フリック、スイープ等の数種類に過ぎない。このため、タッチパネルを備える従来の電子機器では、利用者に対して多様な操作方法を提供することができなかった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、利用者に対して多様な操作方法を提供することができる電子機器、接触操作制御プログラムおよび接触操作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、表示部を有する筐体と、前記筐体のいずれか2つの面それぞれに設けられた第1の検出部および第2の検出部と、前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれでタッチが生じ、更にそれぞれの検出部で表示部の所定の端部に向けたスイープ操作が検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去する制御部とを備える。
【0007】
ここで、前記制御部は、前記表示部は、筐体の第1の面に配され、前記第1の検出部は、前記第1の面に隣接する前記筐体の第2の面に配され、前記第2の検出部は、前記第1の面および前記第2の面に隣接する前記筐体の第3の面に配され、前記制御部は、前記表示部の所定の端部の近傍に位置する、前記第2の面および前記第3の面が接する位置である第1の位置に向けて変位する操作が、前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれにおいて検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去することが好ましい。
【0008】
また、前記制御部は、前記第1の検出部に対する前記第1の位置に向けて変位する操作である第1の操作、および前記第2の検出部に対する前記第1の位置に向けて変位する操作である第2の操作、の少なくとも一方が検出されなくなった後に、所定の機能を起動させることが好ましい。
【0009】
また、前記制御部は、前記第1の操作が検出されなくなった時間と前記第2の操作が検出されなくなった時間との差が所定の時間よりも長い場合に、前記所定の機能の起動を行わないことが好ましい。
【0010】
また、前記制御部は、前記第1の操作が検出されなくなった位置と前記第1の位置との距離と、前記第2の操作が検出されなくなった位置と前記第1の位置との距離との少なくとも一方が所定の長さよりも長い場合に、前記所定の機能の起動を行わないことが好ましい。
【0011】
また、前記制御部は、前記第1の操作と前記第2の操作の少なくとも一方において移動方向の反転が検出された場合に、前記所定の機能の起動を行わないことが好ましい。
【0012】
また、前記制御部は、前記第1の検出部が前記第1の操作を検出してから所定時間以内に、前記第2の検出部が前記第2の操作を検出した場合に、前記所定の機能の起動を行うことが好ましい。
【0013】
また、前記制御部は、前記表示部の前記所定の端部にオブジェクトを表示し、前記表示部に表示されている画像を前記オブジェクトに向けて移動させるとともに縮小させることが好ましい。
【0014】
また、前記制御部は、前記第1の検出部および前記第2の検出部で検出される操作の力の強さに応じて前記表示部に表示されている画像を移動させる速度を制御することが好ましい。
【0015】
また、前記制御部は、前記第1の位置と、前記第1の位置の対角の位置にある第2の位置とを結ぶ直線を中心に湾曲または屈曲した前記画像を表示させることが好ましい。
【0016】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る接触操作制御プログラムは、表示部を有する筐体と、前記筐体のいずれか2つの面それぞれに設けられた第1の検出部および第2の検出部とを備える電子機器に、前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれでタッチが生じ、更にそれぞれの検出部で表示部の所定の端部に向けたスイープ操作が検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させるステップと、前記画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去するステップを実行させる。
【0017】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る接触操作制御方法は、表示部を有する筐体と、前記筐体のいずれか2つの面それぞれに設けられた第1の検出部および第2の検出部とを備える電子機器によって実行される接触操作制御方法であって、前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれでタッチが生じ、更にそれぞれの検出部で表示部の所定の端部に向けたスイープ操作が検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させるステップと、前記画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去するステップとを含む。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る電子機器、接触操作制御プログラムおよび接触操作制御方法は、利用者に対して多様な操作方法を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、携帯電話端末の外観を示す斜視図である。
【図2】図2は、携帯電話端末の外観を示す正面図である。
【図3】図3は、携帯電話端末の機能的な構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、側面接触センサによって検出される操作に応じて主制御部が実行する制御の例を示す図である。
【図5】図5は、側面接触動作定義データの一例を示す図である。
【図6】図6は、引き抜き動作の検出時の携帯電話端末の動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、引き抜き動作の検出時にオブジェクトを表示する例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、電子機器の一例として携帯電話端末について説明するが、本発明の適用対象は携帯電話端末に限定されるものではなく、タッチパネルを備える各種装置、例えば、PHS(Personal Handyphone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0021】
(実施形態)
まず、図1および図2を参照しながら、本発明に係る電子機器の一実施形態である携帯電話端末1の外観について説明する。図1は、携帯電話端末1の外観を示す斜視図である。図2は、携帯電話端末1の外観を示す正面図である。図1および図2に示すように、携帯電話端末1は、面積が他の面よりも広い2つの面を有する略六面体形状の筐体を有し、その筐体の表面にタッチパネル2と、入力部3と、側面接触センサ4と、スピーカ7と、マイク8とを備える。
【0022】
タッチパネル2は、面積が最も広い面の1つに設けられ、文字、図形、画像等を表示するとともに、指、スタイラス、ペン等(以下、単に「指」という)を用いてタッチパネル2に対して行われる各種操作を検出する。なお、タッチパネル2が各種操作を検出する方式は、静電容量式、感圧式等の任意の方式であってよい。入力部3は、所定の機能が割り当てられたボタン3A、ボタン3Bおよびボタン3C等の複数のボタンからなる。スピーカ7は、通話相手の音声や、各種プログラムによって再生される音楽や効果音等を出力する。マイク8は、通話時や音声による操作の受付時に音声を取得する。
【0023】
側面接触センサ4は、タッチパネル2が設けられている面と接する面に設けられ、指を用いて側面接触センサ4に対して行われる各種操作を検出する。側面接触センサ4は、タッチパネル2が設けられている面が正面であるものとして、右側面に設けられた右側面センサ22と、左側面に設けられた左側面センサ24と、上側面に設けられた上側面センサ26と、下側面に設けられた下側面センサ28とを含む。右側面センサ22等が各種操作を検出する方式は、静電容量式、感圧式等の任意の方式であってよい。
【0024】
携帯電話端末1は、タッチパネル2に加えて側面接触センサ4を備えることにより、以下に説明するように、直感的で使い勝手のよい多様な操作方法を利用者に提供する。
【0025】
次に、図3を参照しながら、携帯電話端末1の機能的な構成について説明する。図3は、携帯電話端末1の機能的な構成を示すブロック図である。図3に示すように携帯電話端末1は、タッチパネル2と、入力部3と、側面接触センサ4と、電源部5と、通信部6と、スピーカ7と、マイク8と、記憶部9と、主制御部10と、RAM(Random Access Memory)11とを有する。
【0026】
タッチパネル2は、表示部2Bと、表示部2Bに重畳されたタッチセンサ2Aとを有する。タッチセンサ2Aは、指を用いてタッチパネル2に対して行われた各種操作を、操作が行われた場所のタッチパネル2上での位置とともに検出し、主制御部10に通知する。タッチセンサ2Aによって検出される操作には、タップ操作やスイープ操作が含まれる。表示部2Bは、例えば、液晶ディスプレイ(LCD、Liquid Crystal Display)や、有機EL(Organic Electro−Luminescence)パネルなどで構成され、文字や図形等を表示する。
【0027】
入力部3は、物理的なボタン等を通じて利用者の操作を受け付け、受け付けた操作に対応する信号を主制御部10へ送信する。側面接触センサ4は、右側面センサ22と、左側面センサ24と、上側面センサ26と、下側面センサ28とを含み、これらのセンサに対して行われた各種操作を、操作が行われた場所の位置とともに検出し、主制御部10に通知する。電源部5は、蓄電池または外部電源から得られる電力を、主制御部10を含む携帯電話端末1の各機能部へ供給する。
【0028】
通信部6は、基地局によって割り当てられるチャネルを介し、基地局との間でCDMA方式などによる無線信号回線を確立し、基地局との間で電話通信及び情報通信を行う。スピーカ7は、主制御部10から送信される音声信号を音声として出力する。マイク8は、利用者等の音声を音声信号へ変換して主制御部10へ送信する。
【0029】
記憶部9は、例えば、不揮発性メモリや磁気記憶装置であり、主制御部10での処理に利用されるプログラムやデータを保存する。記憶部9に記憶されるプログラムには、メールプログラム9Aと、ブラウザプログラム9Bと、画面制御プログラム9Cと、接触操作制御プログラム9Dとが含まれる。また、記憶部9に記憶されるデータには、側面接触動作定義データ9Eが含まれる。記憶部9は、携帯電話端末1の基本的な機能を実現するオペレーティングシステムプログラムやアドレス帳データ等のその他のプログラムやデータも記憶する。なお、記憶部9は、メモリカード等の可搬の記憶媒体と、記憶媒体の読み取り装置との組み合わせとして構成されていてもよい。
【0030】
メールプログラム9Aは、電子メール機能を実現するための機能を提供する。ブラウザプログラム9Bは、WEBブラウジング機能を実現するための機能を提供する。画面制御プログラム9Cは、他のプログラムが提供する機能と協業して、タッチパネル2に文字や図形等を表示させる。接触操作制御プログラム9Dは、タッチセンサ2Aおよび側面接触センサ4によって検出される各種の接触操作に応じた処理を実行するための機能を提供する。側面接触動作定義データ9Eは、側面接触センサ4の検出結果に応じて起動される機能についての定義を保持する。
【0031】
主制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話端末1の動作を統括的に制御して各種の機能を実現する。具体的には、主制御部10は、記憶部9に記憶されているデータやRAM11に展開したデータを必要に応じて参照しつつ、記憶部9に記憶されているプログラムに含まれる命令を実行して、表示部2Bや、通信部6等を制御することによって各種機能を実現する。なお、主制御部10が実行するプログラムや参照するデータは、通信部6による無線通信でサーバ装置からダウンロードすることとしてもよい。
【0032】
主制御部10は、例えば、メールプログラム9Aを実行することによって、電子メール機能を実現する。また、主制御部10は、接触操作制御プログラム9Dを実行することによって、タッチセンサ2Aおよび側面接触センサ4によって検出される各種の接触操作に応じて対応する処理を実行する機能を実現する。また、主制御部10は、画面制御プログラム9Cを実行することによって、各種機能で用いられる画面等をタッチパネル2に表示させる機能を実現する。なお、主制御部10は、オペレーティングシステムプログラムによって提供されるマルチタスク機能によって、複数のプログラムを並行して実行できるものとする。
【0033】
RAM11は、主制御部10によって実行されるプログラムの命令、主制御部10が参照するデータ、主制御部10の演算結果等が一時的に記憶される記憶領域として利用される。
【0034】
次に、図4を参照しながら、側面接触センサ4によって検出される操作に応じて主制御部10が実行する制御の例について説明する。図4は、側面接触センサ4によって検出される操作に応じて主制御部10が実行する制御の例を示す図である。図4に示すステップS11では、メールプログラム9Aが提供する機能によって、3件のメールの件名がタッチパネル2に一覧表示されている。この状態において利用者がメールの1件をタップすることによって選択すると、ステップS12に示すように、タップされたメールの詳細が画像Pとして表示される。
【0035】
ここで、ステップS13およびステップS14に示すように、利用者が、上側面センサ26に人差し指を接触させ、接触位置P1を頂点A1の方向へ移動させるとともに、右側面センサ22に親指を接触させ、接触位置P2を頂点A1の方向へ移動させる操作を行ったものとする。この操作は、頂点A1から先端が飛び出しているものを人差し指と親指とで摘んで引き抜く動作に類似しているため、以下の説明では、この操作を「引き抜き動作」と呼ぶことがある。なお、「頂点」とは、側面と側面とが角をなして接している場合はその角を意味するものとし、側面と側面とが曲面をなして接している場合はその曲面を意味するものとする。
【0036】
引き抜き動作が実行されることにより、上側面センサ26は、頂点A1の方向へ接触位置P1が移動する操作を検出し、検出結果を主制御部10へ通知する。また、頂点A1を挟んで上側面センサ26と隣接する右側面センサ22は、頂点A1の方向へ接触位置P2が移動する操作を検出し、検出結果を主制御部10へ通知する。
【0037】
主制御部10は、このように、隣接する2つの側面で同じ位置へ向かって接触位置が移動する操作が検出された場合、接触操作制御プログラム9Dが提供する機能に基づいて、タッチパネル2に表示されている画像を変化させる。具体的には、主制御部は、ステップS14に示すように、接触位置P1およびP2の移動に合わせて、タッチパネル2に表示されている画像Pを頂点A1の方向へ移動させる。
【0038】
このとき、引き抜き動作が検出されていることを示すために、画像Pが頂点A1に吸い込まれていくかのように、画像Pを変形させて表示させることが好ましい。あるいは、頂点A1と、頂点A1の対角とを結ぶ直線を中心にしわ等の筋目が寄ったように画像Pを変形させて表示させることが好ましい。
【0039】
そして、利用者の指が携帯電話端末1から離れ、接触位置P1およびP2が検出されなくなると、主制御部10は、接触操作制御プログラム9Dが提供する機能に基づいて、所定の機能を起動させる。どの機能を起動させるかについては、側面接触動作定義データ9Eを参照して決定される。
【0040】
図5は、側面接触動作定義データ9Eの一例を示す図である。図9に示すように、側面接触動作定義データ9Eでは、引き抜き動作が検出された位置毎、かつ、引き抜き動作の検出時にタッチパネル2に画面を表示させているプログラム毎に、引き抜き動作が検出された際に起動させる機能が定義されている。例えば、図9に示す側面接触動作定義データ9Eでは、メールプログラム9Aが画面を表示させている間に引き抜き動作が検出された場合、検出位置に応じて、メールを削除する機能、送信する機能、閉じる機能またはプログラムを終了する機能を起動させることが定義されている。
【0041】
図4に示す例では、メールプログラム9Aが画面を表示させている間に右上の側面で引き抜き動作が検出されたことにより、側面接触動作定義データ9Eにしたがって、表示中のメールを削除する機能が起動される。その結果、ステップS15に示すように、画像Pとして表示されていたメールが削除され、タッチパネル2には、1件少なくなった2件のメールの件名が一覧表示されている。
【0042】
このように、携帯電話端末1は、側面接触センサ4によって検出される引き抜き動作に応じて、タッチパネル2に表示されている画像を変化させるとともに、所定の機能を起動させることができるように構成されている。このため、携帯電話端末1は、タッチパネル2だけでは提供することができない多様な操作方法を利用者に提供することができる。なお、引き抜き動作にともなって、表示中の画像が引き抜かれるようにタッチパネル2に表示されるため、直感的な操作を実現するためには、引き抜き動作に対して情報の削除、消去、送信等の機能を割り当てることが好ましい。
【0043】
次に、図6を参照しながら、引き抜き動作の検出時の携帯電話端末1の動作について説明する。図6は、引き抜き動作の検出時の携帯電話端末1の動作を示すフローチャートである。図6に示す処理手順は、接触操作制御プログラム9Dが提供する機能に基づいて繰り返し実行される。
【0044】
携帯電話端末1の主制御部10は、ステップS101として、側面接触センサ4によっていずれかの側面への接触が検出されたかを判定する。側面への接触が検出されていない場合(ステップS101,No)、特に処理は実行されない。側面への接触が検出されている場合(ステップS101,Yes)、主制御部10は、ステップS102として、接触位置が移動しているかを判定する。接触位置が移動していない場合(ステップS102,No)、接触は引き抜き動作によるものでないないと考えられるため、特に処理は実行されない。
【0045】
接触位置が移動している場合(ステップS102,Yes)、主制御部10は、ステップS103として、接触が検出された一方の側面に隣接する他方の側面への接触が、一方の側面に対する接触から所定時間以内に検出されたかを判定する。隣接する側面への接触が所定時間以内に検出されない場合(ステップS103,No)、主制御部10は、ステップS104として、ステップS101の時点から所定時間(前述した所定時間とは異なってもよい)が経過したかを判定し、経過していなければ(ステップS104,No)、ステップS103の判定を再実行する。所定時間が経過した場合(ステップS104,Yes)、接触は引き抜き動作によるものでないとみなして、主制御部10は、特に処理を実行しない。
【0046】
隣接する側面への接触が検出された場合(ステップS103,Yes)、主制御部10は、ステップS105として、接触位置が、ステップS102で検出された検出位置の移動先の頂点と同一の頂点へ向かって移動しているかを判定する。同一の頂点への接触位置の移動が検出されない場合(ステップS105,No)、主制御部10は、ステップS104として、ステップS101の時点から所定時間が経過したかを判定し、経過していなければ(ステップS104,No)、ステップS103の判定を再実行する。所定時間が経過した場合(ステップS104,Yes)、接触は引き抜き動作によるものでないとみなして、主制御部10は、特に処理を実行しない。
【0047】
同一の頂点への接触位置の移動が検出された場合(ステップS105,Yes)、主制御部10は、ステップS106として、表示部2Bに表示されている画像を、接触位置の移動量に応じて、接触位置の移動方向の頂点へ向けて移動させる。そして、主制御部10は、ステップS107として、側面への接触が解除されたかを判定し、接触が解除されていない場合(ステップS107,No)、ステップS106の画面制御を継続して実行する。
【0048】
側面への接触が解除された場合(ステップS107,Yes)、主制御部10は、ステップS108として、それぞれの側面で接触が解除された時間の時間差が所定時間(前述した所定時間とは異なってもよい)よりも長いかを判定する。時間差が所定時間よりも長い場合(ステップS108,Yes)、利用者が意図せずに行った動作である可能性が高いため、主制御部10は、ステップS109として、表示部2Bに表示されている画像を側面への接触が検出される前の状態へ戻す。このように接触が解除された時間の時間差を検査することにより、誤動作の発生を抑止することができる。
【0049】
時間差が所定時間以下の場合(ステップS108,No)、主制御部10は、ステップS110として、接触位置の移動方向の頂点と、それぞれの側面での接触の解除位置のとの距離を取得する。そして、取得した距離が閾値よりも大きい場合、すなわち、接触が頂点から閾値よりも遠い位置で解除された場合(ステップS111,Yes)、利用者が意図せずに行った動作である可能性が高いため、主制御部10は、ステップS109として、表示部2Bに表示されている画像を側面への接触が検出される前の状態へ戻す。このように接触が解除された位置と頂点との距離を検査することにより、誤動作の発生を抑止することができる。
【0050】
なお、ステップS111では、少なくとも一方の側面において接触が解除された位置と頂点との距離が閾値よりも大きい場合に距離が閾値よりも大きいと判定することとしてもよい。また、ステップS111では、両方の側面でおいて接触が解除された位置と頂点との距離が閾値よりも大きい場合に距離が閾値よりも大きいと判定することとしてもよい。
【0051】
取得した距離が閾値よりも小さい場合(ステップS111,No)、主制御部10は、ステップS112として、表示部2Bに画面を表示させているプログラムに当該操作に対応する処理を実行させる。
【0052】
上述してきたように、本実施形態に係る携帯電話端末1は、側面に対する操作を受け付けるとともに、側面で受け付けた操作に応じて処理を実行するように構成されているので、利用者に対して多様な操作方法を提供することができる。
【0053】
なお、上記の実施形態で示した本発明の態様は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意に変更することができる。例えば、上記の実施形態では、タッチパネル2が設けられた面に隣接する4つの側面のそれぞれに指の接触を検出する接触センサを設けることとしたが、接触センサは少なくとも隣接する2つの側面に設けられていればよい。例えば、図4に示した利用者の操作は、頂点A1を介して隣接する右側面センサ22と上側面センサ26があれば検出することができる。
【0054】
また、側面に設けられる接触センサは、側面全体への接触を検出できなくてもよい。例えば、右側面センサ22は、携帯電話端末1の右側面の上半分への接触のみを検出できるように設けられてもよい。右側面センサ22が、右側面の上半分への接触しか検出できない場合でも、図4に示した利用者の操作を検出することは可能である。
【0055】
また、上記の実施形態では、表示手段としてタッチパネルを有する電子機器に本発明を適用する例について説明したが、本発明は、表示手段として、タッチセンサが重畳されていない単なる表示パネルを有する電子機器に適用することもできる。
【0056】
また、図7に示すように、接触位置P1およびP2の頂点A1への移動が検出された場合に、タッチパネル2の頂点A1の近傍にゴミ箱アイコンI1等のオブジェクトを表示し、接触位置P1およびP2の移動に合わせて、タッチパネル2に表示されていた画像Pがオブジェクトに吸い込まれるように画面制御を行ってもよい。ここで、表示されるオブジェクトは、引き抜き動作によって起動される機能に対応するものであることが好ましい。引き抜き動作によって起動される機能に対応するオブジェクトを表示することにより、利用者は、引き抜き動作を完了させる前に、引き抜き動作によって起動される機能を確認することができる。
【0057】
また、上記の実施形態では接触が解除された時間の時間差や接触が解除された位置と頂点との距離に基づいて引き抜き動作にともなう制御を取り消す例を示したが、移動方向の反転が検出された場合に引き抜き動作にともなう制御を取り消すこととしてもよい。移動方向の反転の検出を契機として制御を取り消すことにより、利用者は、引き抜き動作の実行中に自らの意思で引き抜き動作を確実に取り消すことが可能になる。
【0058】
また、上記の実施形態では、表示部に表示されている画像を接触位置の移動量に合わせて移動させることとしたが、検出される接触の力の強さに応じて画像を移動させる速度を制御してもよい。
【0059】
また、引き抜き動作が行われる面は、例えば、表示面と当該表示面の対面、側面と当該側面の対面等といった、筐体が有する面のうち任意の面であってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1 携帯電話端末
2 タッチパネル
2A タッチセンサ
2B 表示部
3 入力部
4 側面接触センサ
22 右側面センサ
24 左側面センサ
26 上側面センサ
28 下側面センサ
9 記憶部
9A メールプログラム
9B ブラウザプログラム
9C 画面制御プログラム
9D 接触操作制御プログラム
9E 側面接触動作定義データ
10 主制御部
11 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する筐体と、
前記筐体のいずれか2つの面それぞれに設けられた第1の検出部および第2の検出部と、
前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれでタッチが生じ、更にそれぞれの検出部で表示部の所定の端部に向けたスイープ操作が検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去する制御部と
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記表示部は、筐体の第1の面に配され、
前記第1の検出部は、前記第1の面に隣接する前記筐体の第2の面に配され、
前記第2の検出部は、前記第1の面および前記第2の面に隣接する前記筐体の第3の面に配され、
前記制御部は、前記表示部の所定の端部の近傍に位置する、前記第2の面および前記第3の面が接する位置である第1の位置に向けて変位する操作が、前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれにおいて検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の検出部に対する前記第1の位置に向けて変位する操作である第1の操作、および前記第2の検出部に対する前記第1の位置に向けて変位する操作である第2の操作、の少なくとも一方が検出されなくなった後に、所定の機能を起動させることを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の操作が検出されなくなった時間と前記第2の操作が検出されなくなった時間との差が所定の時間よりも長い場合に、前記所定の機能の起動を行わないことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記制御部は、前記第1の操作が検出されなくなった位置と前記第1の位置との距離と、前記第2の操作が検出されなくなった位置と前記第1の位置との距離との少なくとも一方が所定の長さよりも長い場合に、前記所定の機能の起動を行わないことを特徴とする請求項3または4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の操作と前記第2の操作の少なくとも一方において移動方向の反転が検出された場合に、前記所定の機能の起動を行わないことを特徴とする請求項3から5のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記第1の検出部が前記第1の操作を検出してから所定時間以内に、前記第2の検出部が前記第2の操作を検出した場合に、前記所定の機能の起動を行うことを特徴とする請求項3から6のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記表示部の前記所定の端部にオブジェクトを表示し、前記表示部に表示されている画像を前記オブジェクトに向けて移動させるとともに縮小させることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項9】
前記制御部は、前記第1の検出部および前記第2の検出部で検出される操作の力の強さに応じて前記表示部に表示されている画像を移動させる速度を制御することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項10】
前記制御部は、前記第1の位置と、前記第1の位置の対角の位置にある第2の位置とを結ぶ直線を中心に湾曲または屈曲した前記画像を表示させることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の電子機器。
【請求項11】
表示部を有する筐体と、
前記筐体のいずれか2つの面それぞれに設けられた第1の検出部および第2の検出部とを備える電子機器に、
前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれでタッチが生じ、更にそれぞれの検出部で表示部の所定の端部に向けたスイープ操作が検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させるステップと、
前記画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去するステップと
を実行させることを特徴とする接触操作制御プログラム。
【請求項12】
表示部を有する筐体と、
前記筐体のいずれか2つの面それぞれに設けられた第1の検出部および第2の検出部とを備える電子機器によって実行される接触操作制御方法であって、
前記第1の検出部および前記第2の検出部それぞれでタッチが生じ、更にそれぞれの検出部で表示部の所定の端部に向けたスイープ操作が検出された場合、表示中の画像を前記所定の端部の方向に移動させるステップと、
前記画像を前記所定の端部の方向に移動させた後に、前記画像を前記表示部から消去するステップと
を含むことを特徴とする接触操作制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−174252(P2012−174252A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39101(P2011−39101)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】