説明

電子機器および制御プログラム

【課題】外部装置からの通信によって省エネルギモードから復帰する場合の省エネルギ効果を高める。
【解決手段】省エネモード中に公衆電話回線を介して既定装置から着呼があった場合、動作モードを省エネモードから通常モードへと移行させると共に、フラグをONとする。所定の通信の終了後、既定装置との接続を切断し、フラグを確認する。フラグがONであれば、即座に、動作モードを通常モードから省エネルギモードに移行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動作モードとして通常モードに対して消費電力を削減した省エネモードを有する電子機器および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナ機能、プリンタ機能、コピー機能、FAX機能など複数の機能を1の筐体で実現したMFP(Multi Function Printer)といった画像形成装置において、待機状態時などの消費電力を削減することで、省エネルギー化が行われている。また、従来、この画像形成装置の状態を、通信を用いた遠隔管理により監視することが行われていた。
【0003】
画像形成装置の遠隔管理に適用可能な通信として、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)を通信プロトコルとして用いる通信方式が知られている。一例として、画像形成装置と、画像形成装置に対して遠隔位置にある管理装置とをLAN(Local Area Network)などのネットワークを介して接続し、管理装置と画像形成装置との間で、TCP/IPを用いて通信を行う。そして、管理装置から画像形成装置に対して所定のコマンドなどを送信し、送信したコマンドに対する画像形成装置の応答を管理装置にて受信することで、遠隔操作による画像形成装置の状態監視が実現できる。
【0004】
ここで、画像形成装置において、OS(Operating System)のカーネルにてTCP/IP処理を行う技術が既に知られている。また、OSのカーネルにおいてTCP/IP処理をサブシステム化(チップ化)し、メインシステムが電源OFF状態(省エネルギ状態)であってもサブシステムには電源を供給するようにした技術が既に知られている。この場合、外部からネットワークを介して送信されるパケットをサブシステムにおいて検知し、メインシステムに対する電源をサブシステムから制御することで、メインシステムを省エネルギ状態から通常状態に復帰させる。
【0005】
図8は、従来技術による画像形成装置400の一例の構成を示す。画像形成装置400は、コントローラ部430、サブシステム部440およびPSU(Power Supply Unit)470が接続される。PSU470は、後述する電源制御部445の制御に従い、コントローラ部430およびサブシステム440に対して電源を供給する。
【0006】
コントローラ部430は、メインCPU(Central Processing Unit)415、SDRAM(Synchronous Dynamic Random-Access Memory)411、フラッシュメモリ412、HDD(Hard Disk Drive)413、遠隔管理システム用メモリ417およびPCI(Peripheral Component Interconnect Bus)448を有し、これらがASIC(Application Specific Integrated Circuit)416に対して互いに通信可能に接続される。
【0007】
同様に、ASIC416に対して、操作パネル414が接続されると共に、FCU421およびプロッタ/スキャナエンジン部424が接続されると共に、それぞれ例えばUSB(Universal Serial Bus)およびIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394に対応するデータI/F422および423が接続される。FCU421は、G3規格やG4規格でファックス通信を行う。プロッタ/スキャナエンジン部424は、プリンタ機能やスキャナ機能を実行する。周辺機425は、例えばADF(Auto Document Feeder)であり、画像形成装置400の筐体において、プリンタ/スキャナ部に取り付けられて使用される。ASIC416は、接続される、メインCPU415の制御対象である各部の共有化を図り、これら各部の間でのデータ転送を調停する。
【0008】
メインCPU415は、フラッシュメモリ412やHDD413に予め記憶されたプログラムなどに従い、SDRAM411をワークメモリとして用いて、ASIC416に接続される各部の動作を制御する。例えば、メインCPU415は、操作パネル414に対するユーザ操作に応じて、FCU421やプロッタ/スキャナエンジン部424を制御して、ファックス通信や、印刷およびコピー機能などを実行させることができる。
【0009】
PCI448は、公衆電話回線網500を介した通信を行うモデム401が接続される。画像形成装置400の公衆電話回線網500を介した遠隔操作は、このモデム401での通信により、遠隔管理システム用メモリ417を用いて行われる。
【0010】
サブシステム部440は、サブCPU441、RAM(Random Access Memory)442、ROM(Read Only Memory)443、遠隔管理システム用メモリ444、電源制御部445およびPCI446を有し、これらがインターフェイスASIC447により互いに通信可能に接続される。インターフェイスASIC447は、接続される、サブCPU441の制御対象である各部の共有化を図り、これら各部の間でのデータ転送を調停する。
【0011】
サブCPU441は、ROM443に予め記憶されたプログラムに従い、RAM442をワークメモリとして用い、インターフェイスASIC447に接続される各部の動作を制御する。電源制御部445は、PSU470の動作を制御する。また、PCI446に対して、LAN(Local Area Network)やインターネットといったネットワークに対する接続を制御するNIC(Network Interface Card)402が接続される。
【0012】
このような構成において、画像形成装置400の動作が省エネルギモードの場合には、電源制御部445の制御により、例えばコントローラ部430に対する電源の供給をOFFとし、サブシステム部440のみに電源を供給する。省エネルギモード時に、画像形成装置400に対してネットワークを介して送信されたパケットが、NIC402により受信されると、その旨が、PCI446およびインターフェイスASIC447を介してサブCPU441に通知される。サブCPU441は、この通知に応じて電源制御部445を制御して、コントローラ部430に対する電源の供給をONとする。
【0013】
図8に示した従来技術による画像形成装置400では、外部の管理装置からのパケット受信のケースしか考慮されていない。ここで、モデム401によりTCP/IPおよびPPP(Point-to-Point Protocol)を利用して、公衆電話回線網500を介して、管理装置とダイヤルアップ通信を行う遠隔管理システムについて考える。この遠隔管理システムでは、画像形成装置400の被管理機能において、PPP処理がOSのカーネルにおいて実行される。そのため、下記の何れかの制約が生じてしまう。
【0014】
第1に、外部の管理装置からの着呼に対して随時応答し、ダイヤルアップ通信できるようにするため、常にコントローラ部430の電源をONとしなければならない。第2に、画像形成装置400の動作モードが省エネルギモードであって、コントローラ部430の電源がOFFとされていると、外部の管理装置からの着呼に応答できない。
【0015】
これに対して、特許文献1には、確認制御によりISDN網から送られてくる信号によっては省エネルギモードから通常モードに復帰しないように、復帰条件を一時変更するようにした省エネルギモード付き装置が開示されている。特許文献1によれば、省エネルギモード時における着信メールの確認制御により不必要に通常モードに復帰することが防がれ、省エネルギ機能による省エネルギ効果を有効に得ることが可能となる。
【0016】
また、省エネルギモード時に外部からの通信を検知し、検知された通信が既定装置からのものである場合に、動作モードを省エネルギモードから通常モードに自動的に復帰させる技術が提案されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、上述のような、省エネルギモードを有する機器では、動作モードの通常モードから省エネルギモードへの移行は、ユーザ操作といった、外部からの機器への要求の有無に応じて自動的に行われる場合が多い。より具体的には、通常モードにおいてユーザ操作が行われない時間を計測し、計測された時間が一定時間に達した場合に、動作モードが自動的に省エネルギモードに移行される。
【0018】
外部の管理装置などから通信を介してなされた要求に応じて、動作モードが自動的に省エネルギモードから通常モードに復帰した場合についても同様である。この場合でも、従来は、通常モードに復帰してから一定時間が経過してからでないと、動作モードが省エネルギモードに移行せず、省エネルギモードに戻るまでに時間を要するという問題点があった。
【0019】
特に、外部装置との通信は、機器の利用者が意図しないタイミングで発生するため、想定の省エネルギ効果が得られないおそれがあるという問題点があった。
【0020】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、外部装置からの通信によって省エネルギモードから復帰する場合の省エネルギ効果を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、動作モードとして、第1のモードと、第1のモードよりも消費電力を削減した第2のモードとを有する電子機器であって、第2のモードの場合に動作が抑制される主ユニットと、副ユニットとを備え、副ユニットは、通信回線を介して通信を行う通信手段と、予め定められた既定装置との間での通信が第2のモード中に要求された場合に、動作モードを第2のモードから第1のモードへと移行させ、通信の終了に応じたタイミングで、動作モードを第1のモードから第2のモードに移行させる動作モード制御手段とを有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、動作モードとして、第1のモードと、第1のモードよりも消費電力を削減した第2のモードとを備えると共に、第2のモードの場合に動作が抑制される主ユニットと、プログラムを実行するプロセッサを有する副ユニットとを備える電子機器を制御する制御プログラムであって、通信回線を介して通信を行う通信ステップと、予め定められた既定装置との間での通信が第2のモード中に要求された場合に、動作モードを第2のモードから第1のモードへと移行させて通信を行い、通信の終了に応じたタイミングで、動作モードを第1のモードから第2のモードに移行させる動作モード制御ステップとをプロセッサに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、外部装置からの通信によって省エネルギモードから復帰する場合の省エネルギ効果を高めることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、実施形態に適用可能な遠隔管理システムの構成を概略的に示すブロック図である。
【図2】図2は、実施形態に適用可能な管理装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、実施形態に適用可能な電子機器としての画像形成装置の一例の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、実施形態に適用可能な画像形成装置のソフトウェアの構成の例を示す略線図である。
【図5】図5は、実施形態による、管理装置と画像形成装置との間でなされる通信手順の一例を示すシーケンス図である。
【図6】図6は、実施形態による画像形成装置における処理を示す一例のフローチャートである。
【図7】図7は、実施形態の変形例による、管理装置と画像形成装置との間でなされる通信手順の一例を示すシーケンス図である。
【図8】図8は、従来技術による画像形成装置の一例の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
(実施形態に適用可能な構成)
以下に添付図面を参照して、電子機器および電子機器の制御方法の実施形態を詳細に説明する。図1は、実施形態に適用可能な遠隔管理システムの構成を概略的に示す。画像形成装置100は、例えば、印刷機能、スキャナ機能、ファックス通信機能など複数の機能を1の筐体で実現したMFP(Multi Function Printer)である。管理装置300は、例えば一般的なコンピュータである。画像形成装置100および管理装置300は、それぞれ例えばATコマンドに対応したモデム101および301が接続され、これらモデム101および301により、公衆電話回線網200を介しての通信が可能となっている。管理装置300は、モデム301を用いた通信により、公衆電話回線網200を介して画像形成装置100を遠隔管理することができる。
【0026】
なお、図1においては、公衆電話回線網200に対して1の画像形成装置100が接続され、1の管理装置300がこの1の画像形成装置100を管理するように示されているが、これはこの例に限定されない、すなわち、複数の画像形成装置100を公衆電話回線網200に接続し、1の管理装置300がこの複数の画像形成装置100を管理するようにしてもよい。
【0027】
この遠隔管理システムにおいて、管理装置300から画像形成装置100の遠隔操作を実現するために、管理装置300および画像形成装置100それぞれに、RPC(Remote Procedure Call)により、相互実装するアプリケーションのメソッドに対する処理の要求、応答を送受信できるようにしている。また、管理装置300および画像形成装置100それぞれに対して、PPP(Point-to-Point Protocol)、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、SOAP(Simple Object Access Protocol)、HTTP(Hyper Text Transfer Protocol)などのプロトコルを実装し、PPP接続確立後に、TCP/IP、SOAP/HTTPS通信を行うことによって、RPCが実現される。
【0028】
また、PPP接続において、セキュリティの配慮上、外部からの直接的な画像形成装置100とのパケット通信を禁止する。管理装置300から画像形成装置100の遠隔管理を行うためには、例えば、管理装置300からダイヤルアップにより画像形成装置100を呼び出し、画像形成装置100が着呼後に回線を切断し、画像形成装置100が保持している特定した相手(管理装置300)に発呼する。
【0029】
図2は、本実施形態に適用可能な管理装置300の一例の構成を示す。管理装置300は、一般的なコンピュータを利用して構成することが可能である。図2の例では、管理装置300は、制御部311、記憶部312、バス315、操作部316および通信部317を有する。通信部317には、モデム301が接続される。
【0030】
制御部311は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびHDD(ハードディスクドライブ)などを有し、CPUが、HDDやROMに予め記憶されるプログラムに従い、RAMをワークエリアとして用いて、管理装置300の全体の動作を制御する。操作部316は、マウスなどのポインティングデバイスやキーボード、ディスプレイを有し、ユーザ操作を受け付けると共に、ユーザに対して情報を提示する。
【0031】
記憶部312は、例えばHDDや不揮発性の半導体メモリからなり、パラメータ記憶エリア313および情報記憶エリア314を有する。パラメータ記憶エリア313は、操作部316に対するユーザ操作により入力されたデータが記憶される。情報記憶エリア314は、例えば画像形成装置100といった被管理装置の情報が記憶される。
【0032】
通信部317は、制御部311の命令に従いモデム301を制御して、公衆電話回線網200を介して被管理装置である画像形成装置100と通信を行う。
【0033】
図3は、本実施形態に適用可能な電子機器としての画像形成装置100の一例の構成を示す。画像形成装置100は、主ユニットであるコントローラ部130と、副ユニットであるサブシステム部140とを有し、PSU(Power Supply Unit)170が、後述する電源制御部145の制御に従い、これらコントローラ部130およびサブシステム部140に対して電源を供給する。
【0034】
コントローラ部130は、この画像形成装置100の主動作を実行する部分であって、メインCPU115、SDRAM(Synchronous Dynamic Random-Access Memory)111、フラッシュメモリ112およびHDD113、遠隔管理システム用メモリ117を有し、これらがASIC(Application Specific Integrated Circuit)116によって互いに通信可能に接続される。
【0035】
SDRAM111は、各種のプログラムが記憶されると共に、メインCPU115が処理時に利用するメモリである。フラッシュメモリ112は、不揮発性の半導体メモリであって、ブートプログラムやOS(Operating System)イメージが予め記憶される。また、フラッシュメモリ112は、不揮発性が必要とされる各種のデータ、例えばこの画像形成装置100の機種名、機番、IPアドレスなどが記憶される。
【0036】
また、遠隔管理システム用メモリ117は、この画像形成装置100の遠隔管理を行うために用いられる情報が記憶される。例えば、遠隔管理システム用メモリ117に対して、コントローラ部130の状態を示す情報が記憶される。この状態情報は、例えば後述するプロッタ/スキャナエンジン部124やFCU121の稼働履歴などを含む。遠隔管理システム用メモリ117に記憶されるこの情報は、画像形成装置100において、コントローラ部130の状態が変わる度に更新される。
【0037】
さらに、ASIC116に対して、操作パネル114が接続されると共に、FCU121およびプロッタ/スキャナエンジン部124が接続されると共に、それぞれ例えばUSB(Universal Serial Bus)およびIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)1394に対応するデータI/F122および123が接続される。周辺機125は、例えばADF(Auto Document Feeder)であり、画像形成装置100の筐体において、プリンタ/スキャナ部に取り付けられて使用される。ASIC116は、接続される、メインCPU115の制御対象である各部の共有化を図り、これら各部の間でのデータ転送を調停する。
【0038】
FCU121は、コントローラ部130の制御に従い、G3規格やG4規格でファックス通信を行う。プロッタ/スキャナエンジン部124は、コントローラ部130の制御に従い、プリンタ機能やスキャナ機能を実現する。操作パネル114は、ユーザ操作を受け付けるための操作子と、ユーザに対して情報を伝えるための表示部とを有する。
【0039】
メインCPU115は、フラッシュメモリ112やHDD113に予め記憶されたプログラムなどに従い、SDRAM111をワークメモリとして用いて、ASIC116に接続される各部の動作を制御する。例えば、メインCPU115は、操作パネル114に対するユーザ操作に応じて、FCU121やプロッタ/スキャナエンジン部124を制御して、ファックス通信や、印刷およびコピー機能などを実行させることができる。
【0040】
サブシステム部140は、サブCPU141、RAM142、ROM143、遠隔管理システム用メモリ144、電源制御部145およびPCI(Peripheral Component Interconnect Bus)146Aおよび146Bを有し、これらがインターフェイスASIC147により互いに通信可能に接続される。インターフェイスASIC147は、接続される、サブCPU141の制御対象である各部の共有化を図り、これら各部の間でのデータ転送を調停する。
【0041】
サブCPU141は、ROM143に予め記憶されたプログラムに従い、RAM142をワークメモリとして用い、インターフェイスASIC147に接続される各部の動作を制御する。電源制御部145は、PSU170の動作を制御する。遠隔管理システム用メモリ144は、コントローラ部130が有する遠隔管理システム用メモリ117に記憶される、コントローラ部130の状態情報がバックアップされる。また、遠隔管理システム用メモリ144は、この画像形成装置100に対して遠隔管理を行う管理装置300の識別情報が記憶される。管理装置300の識別情報は、例えば、管理装置300(モデム301)の発信者電話番号(発信者番号)である。
【0042】
PCI146Aは、LAN(Local Area Network)やインターネットといったネットワークに対する接続を制御するNIC(Network Interface Card)102が接続される。また、PCI146Bは、公衆電話回線網200を介した通信を行うモデム101が接続される。画像形成装置100は、モデム101を用いて、管理装置300と公衆電話回線網200を介して通信を行うことにより、管理装置300による遠隔管理を受ける。
【0043】
また、サブシステム部140のサブCPU141とコントローラ部130のメインCPU115とは、インターフェイスASIC147およびASIC116を介して互いに通信可能とされている。
【0044】
図4は、この画像形成装置100のソフトウェアの構成の例を示す。コントローラ部130のソフトウェアは、アプリケーションモジュール層、サービスモジュール層、汎用OS層を有する。アプリケーションモジュール層は、画像形成装置100における各種機能を利用するためのアプリケーションモジュールが含まれる。この例では、NRS(ニューリモートサービス)を利用するためのNRSアプリケーション151、コピー機能を利用するためのコピーアプリケーション152、FAX機能を利用するためのファックスアプリケーション153、プリンタ機能を利用するためのプリンタアプリケーション154、スキャナ機能を利用するためのスキャナアプリケーション155、ネットワークファイル機能を利用するためのネットワークファイルアプリケーション156およびウェブ上のアプリケーションを利用するためのウェブアプリケーション157がアプリケーションモジュール層に含まれる。
【0045】
なお、NRSアプリケーション151は、ネットワークを介してデータを送受信する際のデータの変換など、ネットワークを介した遠隔管理に関する機能およびスケジューラ機能を有するアプリケーションである。より詳細には、NRSアプリケーション151は、各種カウンタ情報を含めた被管理装置の状態を示す情報や、ファームウェアバージョン情報を管理装置300に通知する機能を有する。また、NRSアプリケーション151は、ファームウェア更新やコマンドの実行などの要求を、メソッド単位で送信する機能を有する。さらに、NRSアプリケーション151は、管理装置300に対して、異常通報、サプライ通報、起動通報を定期的または任意のタイミングで実行する機能を有する。
【0046】
サービスモジュール層は、アプリケーションモジュール層の各アプリケーションを利用するための各種サービスプログラムを含む。より具体的には、サービスモジュール層は、操作パネル114を制御するOCSモジュール160と、エンジンユニット(プロッタ/スキャナエンジン部124)を制御するECSモジュール161と、メモリ制御を行うMCSモジュール162と、ネットワークとアプリケーションモジュール層の各アプリケーションとの仲介処理を行わせるNCSモジュール163と、ファクシミリ機能を実現するFCSモジュール164と、コマンド内容に応じたアプリケーションモジュール層の各アプリケーションの起動管理および終了管理を行うSCSモジュール165と、HDDやコントローラボード上のメモリに記憶している画像ファイルをSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)やFTP(File Transfer Protocol)を用いて送受信するDCSモジュール166と、機器利用者が登録した宛先情報や当該宛先情報に対応するユーザ情報などを管理するUCSモジュール167とを有する。
【0047】
また、サービスモジュール層は、上述の各モジュールと汎用OSとの仲介を行うSRMモジュール270およびIMHモジュール171を有する。より詳細には、SRMモジュール270は、システムの制御およびリソースの管理を行う。また、IMHモジュール171は、一時的に画像データを入れておくメモリを管理する。
【0048】
汎用OS172は、例えばUnix(登録商標)、Linux(登録商標)などのオペレーティングシステムである。汎用OS172は、RAPI(Remote Application Programming Interface)−I/Fを介して、サービスモジュール層とハードウェア(プロッタ/スキャナエンジン部124)との仲介を行う。また、汎用OS172は、サブシステム互換I/F173を有し、サブシステムI/Fを介して、サービスモジュール層とサブシステム部140との仲介を行う。
【0049】
コントローラ部130において、各プログラムは、メインCPU115がASIC116を介してフラッシュメモリ112内のブートプログラムを起動させさらにOSイメージを読み出し、読み出したOSイメージをSDRAM111上にロードして汎用OS172に展開し、汎用OS172を起動させる。さらに、必要に応じて、フラッシュメモリ112内の各アプリケーションやサービスなどのプログラムを読み出し、SDRAM111にロードして展開し、起動させることにより、各機能を実現することができる。
【0050】
サブシステム部140は、TCP/IP180、PPP181、NRSダイヤルアップ制御モジュール182およびモデムドライバ183などを含み、通信系デバイスの共有化を図る。また、サブシステム部140は、汎用OS172とは独立したOSを有する(図示しない)。
【0051】
サブシステム部140においても、コントローラ部130と同様に、各プログラムは、サブCPU141がインターフェースASIC147を介してROM143内のブートプログラムを起動させさらにOSイメージを読み出し、読み出したOSイメージをRAM142にロードしてOSに展開して起動させる。さらに、必要に応じて、ROM143内の各アプリケーションやサービスなどのプログラムを読み出し、RAM142にロードして展開し、起動させることにより、各機能を実現することができる。
【0052】
(動作モードの移行処理)
ここで、動作モードの通常モードから省エネルギモードへの移行処理について、概略的に説明する。画像形成装置100は、通常モード時において、操作パネル114に対するユーザ操作や、ユーザによるLANなどネットワークを介した要求によりFCU121やプロッタ/スキャナエンジン部124を作動させて、FAX通信機能や印刷機能、コピー機能、スキャン機能といった各機能による動作を実行させる。このような、ユーザ要求により画像形成装置100における各機能の動作が実行された場合、実行後から予め定められた移行待機時間を経過するまでにさらに各機能の実行要求が無ければ、画像形成装置100は、動作モードを通常モードから省エネルギモードに移行させる。この場合の、予め定められた移行待機時間は、例えば数分乃至数10分程度とされる。
【0053】
(通信手順)
図5は、本実施形態による、管理装置300と画像形成装置100との間でなされる通信手順の一例を示す。先ず、本実施形態による通信を行う前提として、画像形成装置100において、サブシステム部140のサブCPU141がモデム101に対して初期設定のためのATコマンドを出力し、モデム101によるデータ通信を行うための初期設定を実施する(SEQ100およびSEQ101)。同様に、管理装置300において、通信部317がモデム301に対して初期設定のためのATコマンドを出力し、モデム301によるデータ通信を行うための初期設定を実施する(SEQ102およびSEQ103)。これらの初期設定により、画像形成装置100のモデム101と、管理装置300のモデム301とが、公衆電話回線網200を介して接続可能な状態となる。
【0054】
ここでは、初期設定の後に、画像形成装置100の動作モードが省エネルギモードに移行したものとする。省エネルギモードでは、サブシステム部140がコントローラ部130の動作を抑制することで、コントローラ部130や、コントローラ部130に制御されるFCU121およびプロッタ/スキャナエンジン部124における消費電力を削減する。
【0055】
コントローラ部130の動作の抑制は、例えばコントローラ部130に対する電源供給を抑制することで実現できる。より詳細には、画像形成装置100において、動作モードが省エネルギモードに移行されると、例えば、サブシステム部140において、サブCPU141が電源制御部145に対して、コントローラ部130への電源供給を抑制するように命令する。電源制御部145は、この命令に応じてPSU170を制御して、コントローラ部130に対する電源供給を抑制(例えば電源供給の停止)する。
【0056】
コントローラ部130の動作の抑制は、コントローラ部130に対する電源供給の抑制に限られない。例えば、省エネルギモード時に、コントローラ部130の動作を制御するためのクロック信号のクロック周波数を、通常モード時に対して低くすることで、コントローラ部130の動作を抑制し、消費電力を削減することができる。また、コントローラ部130において電源を供給する部分を制限することで、動作を抑制し、消費電力を削減してもよい。さらには、これらを組み合わせて動作の抑制を行い消費電力の削減を実現することも考えられる。
【0057】
管理装置300が画像形成装置100を公衆電話回線網200を介して遠隔管理する際には、例えば、管理装置300は、画像形成装置100に対して通信の要求を行う。すなわち、管理装置300において、通信部317は、画像形成装置100のモデム101を発呼するための所定のATコマンド(例えばATDxxxxxとする)をモデム301に出力する(SEQ110)。モデム301は、このATコマンドに対応する発呼先すなわち画像形成装置100のモデム101の電話番号にダイヤルする(SEQ111)。
【0058】
この発呼により、公衆電話回線網200を介して、画像形成装置100のモデム101に対して順次発信者番号(発信者の電話番号)通知が伝達されると共に、リンギングの信号が伝達される(SEQ112)。モデム101は、上述の初期設定後、着呼検出を常時行っている(ステップS10)。管理装置300からのリンギングの信号がモデム101に伝達されると、モデム101は、着呼を検出する。
【0059】
モデム101は、着呼を検出すると、着呼の発信元が予め定められた既定装置であるか否かを判定する。すなわち、モデム101は、着呼を検出すると、リンギングの信号と共に伝達された発信者番号をサブシステム部140のサブCPU141に渡す(SEQ113)。サブCPU141は、渡された発信者番号が、遠隔管理システム用メモリ144に記憶されている発信者番号と一致するか否かを判定する(ステップS11)。若し、一致しないと判定した場合は、サブCPU141は、モデム101に対して通信の切断を要求する。
【0060】
一方、着呼により取得された発信者番号と、遠隔管理システム用メモリ144に記憶される発信者番号とが一致すると判定した場合、着呼の発信元が既定装置であると判断できる。この場合、サブCPU141は、この画像形成装置100の現在の動作モードが省エネルギモードであるか否かを判定する。画像形成装置100の現在の動作モードは、例えば遠隔管理システム用メモリ144に保持される動作モードフラグを参照し、当該フラグが省エネルギモードを示しているか否かを判定することで知ることができる。
【0061】
そして、省エネルギモードであると判定した場合、サブCPU141は、コントローラ部130に対して、動作モードを省エネルギモードから通常モードに復帰させる要求を出し(SEQ114)、省エネモード復帰フラグを、通常モードに復帰したことを示す値「ON」に設定する(ステップS20)。省エネモード復帰フラグは、例えば遠隔管理システム用メモリ144に記憶される。コントローラ部130は、SEQ114による省エネルギモードからの復帰要求を受け付けた旨をサブシステム部140に通知する(SEQ115)。
【0062】
さらに、サブCPU141は、SEQ114で通常モードへの復帰要求をコントローラ部130に出すと、電源制御部145に対して省エネルギモードによる電源供給の抑制を解除するよう要求する。電源制御部145は、この要求に応じてPSU170を制御し、コントローラ部130への電源供給を再開する。コントローラ部130は、電源の供給が再開されると、コントローラ部130各部の動作を復帰させ、通常モードの動作とする(ステップS21)。
【0063】
一方、サブシステム部140において、サブCPU141は、SEQ114の省エネルギモードからの復帰要求と並行して、モデム101に対して、管理装置300との回線を切断するように命令する(SEQ116)。サブCPU141は、モデム101により回線が切断されたことを示すメッセージNOCARRIERを受け取ると(SEQ117)、遠隔管理システム用メモリ144に予め保持される発信者番号すなわちモデム301(管理装置300)の電話番号に対してダイヤルするように、モデム101に対して要求する(コールバック、SEQ118)。
【0064】
モデム101は、この要求を受けて、当該発信者番号にダイヤルする(SEQ119)。このダイヤルにより、管理装置300のモデム301に対してリンギングの信号が伝達される(SEQ120)。モデム301は、リンギングの信号が伝達されると、メッセージRINGを通信部317に送信する(SEQ121)。通信部317は、このメッセージRINGに応じて着信応答のための所定のATコマンド(例えばATA)をモデム301に出力する(SEQ122)。モデム301は、受け取ったATコマンドに応じてオフフックした(SEQ123)後、アンサートーンをモデム101に対して送信する(SEQ124)。
【0065】
モデム101がモデム301からのアンサートーンを受け取ると、モデム101とモデム301との間でネゴシエーションが行われ(ステップS12)、モデム101とモデム301との間で接続状態が確立される。接続状態が確立されると、その旨を示すメッセージCONNECTがモデム301から通信部317に送信される(SEQ125)。同様に、メッセージCONNECTがモデム101からサブシステム部140のサブCPU141に対して送信され(SEQ126)、さらに、サブCPU141からコントローラ部130に送信される(SEQ127)。
【0066】
コントローラ部130のメインCPU115は、このメッセージCONNECTを受け取ると、モデム101を用いて公衆電話回線網200を介して管理装置300のモデム301と通信を行う。この通信により、画像形成装置100と管理装置300との間で、SOAP/HTTP通信により、コマンドのやりとりが行われる(ステップS13)。例えば、管理装置300から画像形成装置100に対してコマンドgetDeviceControllerInfomationによる要求を送信し、画像形成装置100がコントローラ部130の状態情報を収集して応答するなどのやりとりが行われる。
【0067】
管理装置300と画像形成装置100との間での所定のやりとりが終了すると、画像形成装置100において、コントローラ部130は、サブシステム部140に対して管理装置300との間の回線を切断するように要求する(SEQ128)。この要求に応じて、サブシステム部140のサブCPU141は、モデム101に対して回線の切断を要求する(SEQ129)。
【0068】
また、サブシステム部140は、SEQ128によるコントローラ部130からの回線切断要求を受け取ると、遠隔管理システム用メモリ144に記憶される省エネモード復帰フラグをチェックする(ステップS22)。その結果、当該省エネモード復帰フラグが値「ON」であれば、コントローラ部130に対して省エネルギモードへの移行を要求する(SEQ130)と共に、電源制御部145に対して、コントローラ部130に対する電源の供給を抑制するように要求する。電源制御部145は、この要求に応じてPSU170を制御して、コントローラ部130に対する電源の供給を抑制する。これにより、動作モードが省エネルギモードに移行される(ステップS23)。
【0069】
なお、この例では、サブシステム部140は、ステップS22による省エネモード復帰フラグのチェックの直後のタイミングで、コントローラ部130に対して省エネモードへの移行を要求している。これはこれに限らず、サブシステム部140は、ステップS22による省エネモード復帰フラグのチェックから予め定められた移行時間を経たタイミングで、コントローラ部130に対する省エネルギモードへの移行要求を出してもよい。
【0070】
この場合、例えば、予め定められた当該移行時間を、遠隔管理システム用メモリ144に記憶させておく。サブCPU141は、ステップS22で省エネモード復帰フラグが値「ON」であることを確認すると、遠隔管理システム用メモリ144に記憶される移行時間が経過するのを待機して、SEQ130の、コントローラ部130に対する省エネルギモードへの移行要求を出す。
【0071】
このように、回線切断から所定時間の経過後に省エネルギモードへの移行要求を出すことで、コントローラ部130は、省エネルギモードへの移行に必要な様々な処理を、省エネルギモードへの移行要求を受け取る前に実行することができる。
【0072】
上述したSEQ129での回線切断要求に応じてモデム101により回線が切断される。回線が切断されることにより、メッセージNOCARRIERがモデム101からサブCPU141を介してコントローラ部130に送信される(SEQ131、SEQ132)。同様に、管理装置300においても、メッセージNOCARRIERがモデム301から通信部317に対して送信される(SEQ133)。
【0073】
(実施形態による処理)
図6は、本実施形態による画像形成装置100における処理を示す一例のフローチャートを示す。このフローチャートによる処理は、サブシステム部140において実行される。図6のフローチャートの処理に先立って、サブシステム部140は、省エネモード復帰フラグを初期化する。
【0074】
ステップS100で、サブシステム部140は、公衆電話回線網200からの着呼が検知されるのを待機する。着呼が検知された場合、処理をステップS101に移行させ、ステップS100で検知された着呼が既定の装置からのものであるか否かを判定する。より具体的には、サブシステム部140において、モデム101は、着呼の発信元の発信者番号を取得し、サブCPU141に渡す。サブCPU141は、モデム101から渡された発信者番号が、遠隔管理システム用メモリ144に予め記憶されている発信者番号と一致するか否かを判定する。
【0075】
若し、モデム101から渡された発信者番号が、遠隔管理システム用メモリ144に予め記憶されている発信者番号と一致しないと判定した場合、既定の装置からの着呼ではないと判断できる。この場合、サブシステム部140は、処理を後述するステップS106に移行させる。
【0076】
一方、モデム101から渡された発信者番号が、遠隔管理システム用メモリ144に予め記憶されている発信者番号と一致すると判定した場合、既定の装置からの着呼であると判断できる。そのため、サブシステム部140は、処理をステップS102に移行させ、画像形成装置100の現在の動作モードが省エネルギモードか否かを判定する。例えば、サブシステム部140において、サブCPU141は、遠隔管理システム用メモリ144に保持されている動作モードフラグに基づき、現在の動作モードを判定する。若し、現在の動作モードが通常モードであって、省エネルギモードではないと判定した場合、サブシステム部140は、処理を後述するステップS105に移行させる。
【0077】
一方、現在の動作モードが省エネルギモードであると判定した場合、サブシステム部140は、処理をステップS103に移行させる。ステップS103で、サブシステム部140は、コントローラ部130への電源の供給を再開させてコントローラ部130の動作抑制を解除し、動作モードを、省エネルギモードから通常モードへ復帰させる。より詳細には、サブCPU141は、現在の動作モードが省エネルギモードであると判定した場合、電源制御部145に対してコントローラ部130に対する電源供給の抑制を解除するよう要求する。電源制御部145は、この要求に応じてPSU170を制御し、コントローラ部130に対する電源の供給を再開する。そして、処理をステップS104に移行させる。
【0078】
ステップS104で、サブシステム部140は、遠隔管理システム用メモリ144に記憶される省エネモード復帰フラグの値を、動作モードが省エネルギモードから通常モードへ復帰したことを示す値「ON」に設定する。
【0079】
ステップS104で省エネモード復帰フラグの設定が行われると、処理がステップS105に移行される。ステップS105で、サブシステム部140は、コントローラ部130の状態情報を管理装置300に対して送信する。例えば、サブシステム部140は、コントローラ部130の遠隔管理システム用メモリ117に保持されている状態情報を取得し、取得した当該情報を、モデム101を用いて公衆電話回線網200を介して管理装置300に送信する。これに限らず、例えば、サブシステム部140は、コントローラ部130に対して状態情報を収集するように要求してもよい。状態情報を送信したら、処理をステップS106に移行させる。
【0080】
ステップS106で、サブシステム部140は、公衆電話回線網200による接続を切断する。そして、次のステップS107で、サブシステム部140は、遠隔管理システム用メモリ144に記憶される省エネモード復帰フラグが値「ON」であるか否かを判定する。若し、省エネモード復帰フラグが値「ON」ではないと判定した場合、処理をステップS100に戻す。
【0081】
一方、ステップS107で省エネモード復帰フラグが値「ON」であると判定した場合、サブシステム部140は、処理をステップS108に移行させる。ステップS108で、サブシステム部140は、動作モードを省エネルギモードに移行させるように要求を出す。すなわち、サブシステム部140は、コントローラ部130に対して動作モードを省エネルギモードに移行させる要求を出すと共に、電源制御部145に対してコントローラ部130に対する電源の供給を抑制するように要求する。電源制御部145は、この要求に従いPSU170を制御して、コントローラ部130に対する電源の供給を抑制する。これにより、動作モードが省エネルギモードに移行される。
【0082】
サブシステム部140は、動作モードを省エネルギモードに移行させると、省エネモード復帰フラグの値を初期化して、処理をステップS100に戻す。
【0083】
このように、本実施形態によれば、動作モードが省エネルギモード時に既定装置からの通信を受けた場合に、動作モードを省エネルギモードから通常モードに復帰させる。そして、通信終了後に、予め定められた時間の経過を待たずに、即座に動作モードを通常モードから省エネルギモードに移行させる。そのため、省エネルギモードによる消費電力削減の効果をより高めることができる。
【0084】
なお、上述では、本実施形態が公衆電話回線網200を介して通信を行う場合に適用されるように説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、本実施形態は、LANやインターネットを介して通信を行う場合にも適用できる。この場合、通信元が既定装置であるか否かは、例えばIP(Internet Protocol)アドレスにより知ることができる。
【0085】
例えば、管理装置300と画像形成装置100とがLANで接続される場合を考える。管理装置300側では、通信部317に接続される図示されないNICにより、LANに接続される。また、画像形成装置100側では、NIC102と当該LANとが接続される。画像形成装置100は、省エネルギモード時に管理装置300からのLANを介した通信を受けると、動作モードを省エネルギモードから通常モードに移行させる。そして、管理装置300との間の通信が終了すると、画像形成装置100は、予め定められた時間の経過を待たずに、即座に動作モードを通常モードから省エネルギモードに移行させる。この例においても、通常モードから即座に省エネルギモードに移行するため、省エネルギモードによる消費電力削減の効果をより高めることができる。
【0086】
(実施形態の変形例)
次に、上述の実施形態の変形例について説明する。図7は、本変形例による、管理装置300と画像形成装置100との間でなされる通信手順の一例を示す。なお、図7において、上述した図5の通信手順と共通する部分には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。また、本変形例では、図1〜図4を用いて説明した、遠隔管理システム、管理装置300および画像形成装置100の構成、ならびに、図6を用いて説明した処理をそのまま用いることができるので、これらの詳細な説明を省略する。
【0087】
上述の実施形態では、図5を用いて説明したように、サブシステム部140は、管理装置300からの通信により動作モードが通常モードに復帰した後に、動作モードを省エネルギモードに移行させる要求を、管理装置300との通信を行った回線が切断された直後にコントローラ部130に対して出していた(図5のSEQ130)。
【0088】
これに対し、本変形例では、図7にステップS23’として示されるように、サブシステム部140がSEQ131でのメッセージNOCARRIERの受信後のタイミングで、動作モードを省エネルギモードに移行させるようにしている。
【0089】
より詳細には、サブシステム部140は、モデム101からメッセージNOCARRIERを受信すると、受信したメッセージNOCARRIERをコントローラ部130に送信する(SEQ132)と共に、遠隔管理システム用メモリ144に記憶される省エネモード復帰フラグをチェックする(ステップS22)。その結果、当該省エネモード復帰フラグの値が「ON」であれば、コントローラ部130に対して省エネルギモードへの移行を要求する(SEQ140)。この要求に従い、コントローラ部130は、動作モードを省エネルギモードへ移行させる(ステップS23’)。それと共に、サブシステム部140は、コントローラ部130に対する電源の供給を抑制するように要求する。電源制御部145は、この要求に応じてPSU170を制御して、コントローラ部130に対する電源の供給を抑制する。
【0090】
なお、この変形例においても、上述の実施形態と同様に、サブシステム部140によるコントローラ部130に対する省エネルギモードへの移行要求を出すタイミングを、ステップS22による省エネモード復帰フラグのチェックの直後に限らず、当該チェックから予め定められた移行時間を経た時点としてもよい。
【0091】
この場合、例えば、予め定められた当該移行時間を、遠隔管理システム用メモリ144に記憶させておく。サブCPU141は、ステップS22で省エネモード復帰フラグが値「ON」であることを確認すると、遠隔管理システム用メモリ144に記憶される移行時間が経過するのを待機して、SEQ140の、コントローラ部130に対する省エネルギモードへの移行要求を出す。
【0092】
メッセージNOCARRIERの受信後に省エネルギモードへの移行処理が開始されるため、例えば通信エラーなどの予期せぬ原因により回線が切断された場合などにも対応できる。
【符号の説明】
【0093】
100 画像形成装置
101,301 モデム
115 メインCPU
116 ASIC
117,144 遠隔管理システム用メモリ
121 FCU
124 プロッタ/スキャナエンジン部
130 コントローラ部
140 サブシステム部
141 サブCPU
145 電源制御部
146A,146B PCI
147 インターフェイスASIC
170 PSU
200 公衆電話回線網
300 管理装置
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2000−295386号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動作モードとして、第1のモードと、該第1のモードよりも消費電力を削減した第2のモードとを有する電子機器であって、
前記第2のモードの場合に動作が抑制される主ユニットと、
副ユニットと
を備え、
前記副ユニットは、
通信回線を介して通信を行う通信手段と、
予め定められた既定装置との間での前記通信が前記第2のモード中に要求された場合に、前記動作モードを該第2のモードから前記第1のモードへと移行させ、該通信の終了に応じたタイミングで、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに移行させる動作モード制御手段と
を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記動作モード制御手段は、
前記既定装置に対して前記通信を終了させる旨を通知する前記タイミングで、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに移行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記動作モード制御手段は、
前記既定装置に対する前記通信が終了した旨が通知された前記タイミングで、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに移行させる
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記動作モード制御手段は、
前記タイミングの直後に、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに移行させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記動作モード制御手段は、
前記タイミングの後、予め定められた時間を経過した時点で、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに移行させる
ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記通信手段は、公衆電話回線網を用いた前記通信を行う
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の電子機器。
【請求項7】
動作モードとして、第1のモードと、該第1のモードよりも消費電力を削減した第2のモードとを備えると共に、前記第2のモードの場合に動作が抑制される主ユニットと、プログラムを実行するプロセッサを有する副ユニットとを備える電子機器を制御する制御プログラムであって、
通信回線を介して通信を行う通信ステップと、
予め定められた既定装置との間での前記通信が前記第2のモード中に要求された場合に、前記動作モードを該第2のモードから前記第1のモードへと移行させて該通信を行い、該通信の終了に応じたタイミングで、前記動作モードを前記第1のモードから前記第2のモードに移行させる動作モード制御ステップと
を前記プロセッサに実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−55523(P2013−55523A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192623(P2011−192623)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】