説明

電子機器の操作パネル

【課題】電子機器の操作パネルが備えるタッチスイッチに利用者が意図せずに触れてしまった場合であっても、利用者が意図しない動作を電子機器が実行することを防ぐ。
【解決手段】化粧パネル33には、表面33aの凹部33bと裏面33cの凸部33fとが対となるように形成されている。一方、タッチパネル34には、化粧パネル33の凸部33fを挿入可能な挿通孔34bと、挿通孔34bの周縁部34cから挿通孔34b内部に向けて延出する4つの舌片34dとが形成され、各舌片34dの表面それぞれには電極38がそれぞれ取り付けられている。さらに、タッチパネル34は、化粧パネル33の凸部33fが挿通孔34bに挿入される状態で化粧パネル33の裏面33cに両面テープ39を介して貼り付けられることにより、各舌片34dおよび電極38が化粧パネル33の凸部33fに接触または近接する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチスイッチを備える電子機器の操作パネルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、利用者による操作指示を受け付けるためのタッチスイッチを備え、電子機器に搭載される操作パネルが知られている。
このような電子機器の操作パネルにおいては、利用者によるタッチスイッチへのタッチ操作を検知可能な静電容量スイッチが化粧パネルの裏面に配置され、利用者がタッチスイッチ(化粧パネルの表面)を軽く触れただけで、そのタッチスイッチへのタッチ操作を静電容量スイッチが検知する(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−46276号公報(第8,9頁、図5,6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のような電子機器の操作パネルにおいては、利用者がタッチスイッチ(化粧パネルの表面)に意図せずに触れてしまった場合には、静電容量スイッチがそのタッチスイッチへのタッチ操作を検知し、利用者が意図しない動作を電子機器が実行することがあった。特に、例えば電子機器がカラオケ装置である場合に、利用者が意図せずにタッチスイッチとしての演奏停止スイッチや電源スイッチなどに触れたことに起因して演奏停止や電源オフなどの動作がカラオケ演奏中に行われた場合には、歌唱中の利用者に不愉快な思いをさせてしまう。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、電子機器の操作パネルが備えるタッチスイッチに利用者が意図せずに触れてしまった場合であっても、利用者が意図しない動作を電子機器が実行することを防ぐことにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に係る電子機器の操作パネル(10:この欄においては、発明に対する理解を容易にするため、必要に応じて「発明を実施するための形態」欄で用いた符号を付すが、この符号によって請求の範囲を限定することを意味するものではない。)は、電子機器に取り付け可能であり、開口部(31a)を有する筐体(31)と、前記筐体内部に配置され、前記開口部から外部へ可視光を照射可能な発光部(36)がその実装面に実装される基板(32)と、透過性を有する材料で板状に形成され、少なくとも前記筺体の前記開口部の一部を覆うとともに前記発光部の前方に位置するよう配置され、利用者によるタッチ操作を受けるタッチスイッチ(338)がその表面のうちの前記発光部前方の部分に形成される化粧パネル(33)と、透過性および弾性を有する材料でシート状に形成され、前記基板と前記化粧パネルとの間に配置され、利用者による前記タッチスイッチへのタッチ操作によってオンオフが切り替わる静電容量スイッチ(38)を有するタッチパネル(34)と、前記筐体内部に配置され、当該操作パネルが搭載される電子機器からの指示に基づき前記発光部を制御して可視光を照射させるとともに、前記静電容量スイッチからの出力信号に基づき前記タッチスイッチへのタッチ操作の有無を検知してその旨を示す信号を前記電子機器(1)へ出力可能な制御部(35)と、を備える。
【0007】
このうちの前記化粧パネルには、利用者の指先を包囲可能な内周面(33d)と前記内周面に囲まれる底部(33e)とを有する凹部(33b)と、前記化粧パネルの前記凹部が形成される面とは反対側の面(33c)から前記発光部へ向けて突出するとともに前記内周面に沿う形状の外周面(33g)と前記底部に沿う形状の頂部(33h)とを有する凸部(33f)とが対になって形成される。また、前記タッチパネルには、前記凸部を挿入可能な挿通孔(34b)と、前記挿通孔の周縁部(34c)から前記挿通孔内部に向けて延出する複数の舌片(34d)とが形成され、前記静電容量スイッチが前記複数の舌片と同数存在し、且つ前記複数の舌片には前記静電容量スイッチがそれぞれ取り付けられる。
【0008】
さらに、前記タッチパネルは、前記化粧パネルの前記凸部が前記挿通孔に挿入される状態で前記化粧パネルに取り付けられることにより、前記複数の舌片が前記外周面に接触するとともに前記静電容量スイッチが前記外周面に近接または接触する。そして、前記制御部は、前記静電容量スイッチのうちの二つ以上の静電容量スイッチが同時にオンとなった場合に前記タッチスイッチへのタッチ操作がなされたと判定してその旨を示す信号を前記電子機器へ出力する。
【0009】
なお、利用者の指先が化粧パネルの表面に触れただけの場合や利用者の指先が化粧パネルの凹部の奥まで挿入されていない場合などの利用者が意図せずにタッチスイッチに触れてしまったと想定される場合には、複数の静電容量スイッチのうちの二つ以上の静電容量スイッチが同時にオンとなることはなく、制御部もタッチスイッチへのタッチ操作がなされたと判定しない。もちろんこの場合には、制御部は、タッチスイッチへのタッチ操作がなされたと判定した旨を示す信号を電子機器へ出力することはない。
【0010】
したがって、本発明の電子機器の操作パネルによれば、利用者が意図せずにタッチスイッチに触れてしまった場合であっても、利用者が意図しない動作を電子機器が実行することを防ぐことができる。
【0011】
また、本発明の電子機器の操作パネルによれば、静電容量スイッチの感度を調整することで、タッチスイッチの種別に応じて誤動作防止レベルを様々に変更できるので、使用状況に応じた対応することができる。
【0012】
また、請求項2に係る電子機器の操作パネルは、前記制御部は、前記静電容量スイッチの全てが同時にオンとなったことを所定の期間連続して検知した場合には、前記タッチスイッチへのタッチ操作がなされたと判定した旨の信号を出力することを特徴とする。
【0013】
このように構成された本発明の電子機器の操作パネルによれば、静電容量スイッチの全てが同時にオンになる状態とは、化粧パネルの凹部に挿入された指が凹部のいずれかの側面に偏らず、指が凹部中心に挿入されている状態であると考えられるので、利用者が操作する意思があって指を挿入したと判断できるから、より正確に動作することができる。
【0014】
また、請求項3に係る電子機器の操作パネルは、前記タッチパネルは、前記化粧パネルの裏面の凸部より外側の部分に当接されることによって、前記化粧パネルに取り付けられることを特徴とする。
【0015】
このように構成された本発明の電子機器の操作パネルによれば、タッチパネル自体が化粧パネルの裏面の凸部によって撓んで凸部の斜面(外周面)に当接する。このことにより、タッチパネルの化粧パネルへの取付を行う作業者が、化粧パネルの凸部となる化粧パネルの裏面上部から簡単にタッチパネルを正確に取り付けられる。
【0016】
また、請求項4に係る電子機器の操作パネルは、前記タッチパネルには、前記複数の舌片が、前記挿通孔の周縁部の等角度で分割される位置から前記挿通孔内部に向けて延出するように形成されることを特徴とする。
【0017】
このように構成された本発明の電子機器の操作パネルによれば、前記複数の舌片それぞれに取り付けられる前記複数の舌片と同数の静電容量スイッチが挿入孔内部に等角度で配置される。このことにより、静電容量スイッチの全てが同時にオンになる状態とは、化粧パネルの凹部に挿入された指が凹部のいずれかの側面に偏らず、指が凹部中心に挿入されている状態であると考えられるので、利用者が操作する意思があって指を挿入したと判断できるから、より正確に動作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】カラオケ装置1の構成を示すブロック図である。
【図2】操作パネル10の構成を示すブロック図である。
【図3】操作パネル10の構成を示す概略構成図であり、(a)は化粧パネル33の正面図であり、(b)はタッチパネル34の構成を示す概略説明図である。
【図4】(a)は図3(a)のAA断面図であり、(b)は図3(a)のBB断面図(1)であり、(c)は図3(a)のBB断面図(2)である。
【図5】タッチスイッチ処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施形態を図面とともに説明する。
[1.カラオケ装置1の構成の説明]
図1に示すように、電子機器としてのカラオケ装置1は、筐体2、カラオケ装置1全体の制御を司るCPU14、及びこのCPU14に接続された以下の各部、すなわちカラオケ曲及びドラマや映画などのコンテンツの予約操作などを行うための操作パネル10、画像情報等を映像化して外部のモニタ24に出力する映像処理部11、MPEG映像データの再生手段となるMPEGデコーダ12、カラオケ演奏用の楽曲データや映像データその他各種データを記憶しているハードディスク(HDD)13、システムプログラムや各種の設定に必要な設定データなどを記憶しておくメモリ15、LANインターフェース16、時刻管理をするRTC(Real Time Clock )17、MIDIデータ(楽曲データ)に基づく演奏再生を行うMIDI音源部18、MIDI音源部18による再生音及びマイク23から入力された利用者の歌声をミキシングする等して適宜音声処理を施し、アンプ20で増幅した後にスピーカ22から出力させる音声処理部19を備えている。
【0020】
また、筐体2は、その正面に開口部2aを有しており、この開口部2aに操作パネル10が取り付けられている。
[2.操作パネル10の構成の説明]
図2に示すように、操作パネル10は、筐体31と、基板32と、化粧パネル33と、タッチパネル34と、を備える。
【0021】
[2.1.筐体31の構成の説明]
筐体31は、カラオケ装置1の筐体2に取り付けられた際の正面に開口部31aを有する箱形状に形成されている。
【0022】
[2.2.基板32の構成の説明]
基板32は、筐体31内部に配置され、パネルマイコン35や、筐体31の開口部31aから外部へ可視光を照射可能な8個の発光部としてのLED36、ICチップ37などの各種電子部品がその実装面32aに実装される。なお、図2ではLED36を1個のみ図示している。
【0023】
また、基板32の実装面32aに実装されるパネルマイコン35には、ICチップ37を介してタッチパネル34に取り付けられた11個の静電容量スイッチとしての電極38が接続されている。なお、図2では電極38を1個のみ図示している。
【0024】
また、8個のLED36は、それぞれが化粧パネル33の表面33aに形成されたタッチスイッチ331〜338の後方に配置されるように基板32の実装面32aに実装される。
【0025】
[2.3.化粧パネル33の構成の説明]
化粧パネル33は、透過性を有するアクリルなどの樹脂材料で略方形の板状に形成され、筐体31の開口部31aを覆うとともに基板32のLED36の前方に位置するよう配置される。
【0026】
さらに、図3(a)に示すように、化粧パネル33の表面33aには、利用者によるタッチ操作を受けるタッチスイッチ331〜338が形成される。
まず、化粧パネル33の表面33aの正面から向かって左側部分には電源スイッチを示すマークが表示されるとともに、その下側に「電源」と表示される。この化粧パネル33のマークの部分が電源スイッチ331となっている。なお、電源スイッチ331は、利用者によるカラオケ装置1の電源状態をオンオフさせる指示を受け付けるためのスイッチである。
【0027】
また、化粧パネル33の表面33aの中央中段には、正面から向かって左から順に、「ミュージック音量」、「マイク音量」、「マイクエコー音量」と表示され、その上側(上段)および下側(下段)それぞれに各スイッチを示すマークが表示される。この化粧パネル33の各マークの部分が、正面から向かって上段の左から順に、ミュージック音量スイッチ(増加)332、マイク音量スイッチ(増加)334、マイクエコー音量スイッチ(増加)336となっており、下段の左から順に、ミュージック音量スイッチ(減少)333、マイク音量スイッチ(減少)335、マイクエコー音量スイッチ(減少)337となっている。
【0028】
なお、ミュージック音量スイッチ332,333は、利用者によるミュージック音量を増減させる指示を受け付けるためのスイッチである。また、マイク音量スイッチ334,335は、利用者によるマイク音量を増減させる指示を受け付けるためのスイッチである。また、マイクエコー音量スイッチ336,337は、利用者によるマイクエコー音量を増減させる指示を受け付けるためのスイッチである。
【0029】
さらに、化粧パネル33の表面33aの正面から向かって右側部分には凹部33bが形成されるとともに、この凹部33bの周囲に演奏停止スイッチを示すマークが表示され、さらに、このマークの下側に「演奏停止」と表示される。この化粧パネル33の凹部33bおよびマークの部分が演奏停止スイッチ338となっている。なお、演奏停止スイッチ338は、利用者によるカラオケ装置1のカラオケ演奏を停止させる指示を受け付けるためのスイッチである。
【0030】
[2.4.タッチパネル34の構成の説明]
タッチパネル34は、図3(b)に示すように、透過性および弾性を有するPETなどの樹脂材料でシート状に形成される。また、タッチパネル34の表面34aには、電極38が、薄膜電極として形成されている。さらに、タッチパネル34の表面34aは、両面テープ39を介して化粧パネル33の裏面33cに取り付けられている。
【0031】
なお、電極38は、化粧パネル33へのタッチ操作を行う利用者の指先との距離が小さいほど対地間の静電容量(筐体31が金属製であった場合には筐体31間の静電容量)が増加するスイッチである。
【0032】
また、各電極38には、タッチパネル34上に配置されるパターンが接続されている。そして、各電極38は、タッチパネル34と基板32とをコネクタなどで接続した際に、基板32の実装面32aに実装されるICチップ37に上述のパターンを介して接続される。
[3.タッチスイッチ331〜338の構成および動作の説明]
次に、タッチスイッチ331〜338の構成および動作について、タッチスイッチ331〜337、タッチスイッチ338の順に説明する。
【0033】
[3.1.タッチスイッチ331〜337の構成および動作の説明]
タッチスイッチ331〜337は、図3(a)に示すように、化粧パネル33の表面33aのうちの平坦な部分に形成され、これらタッチスイッチ331〜337の後方には、タッチパネル34の表面34aに取り付けられた電極38がそれぞれ配置され、さらに後方には基板32の実装面32aに実装されたLED36がそれぞれ配置される。なお、電極38は、化粧パネル33の裏面33cに接触するか、両面テープ39を介して化粧パネル33の裏面33cに近接する。
【0034】
一方、パネルマイコン35は、タッチスイッチ331〜337それぞれの後方に配置される電極38の静電容量の増減を検知するICチップ37から、静電容量が所定の閾値より増加した場合には利用者の指がタッチスイッチに近づいたことを示す信号を受信する。そして、パネルマイコン35は、受け取った信号に基づき、電極38に対応するタッチスイッチについては利用者によるタッチ操作が行われたと判定し、一方、信号を受信しない場合は、電極38に対応するタッチスイッチについては利用者によるタッチ操作が行われていないと判定する。さらに、パネルマイコン35は、判定結果が前回判定時の判定結果と相違する場合に、今回の判定結果を示す信号をカラオケ装置1のCPU14へ出力する。
【0035】
[3.2.タッチスイッチ338の構成および動作の説明]
また、タッチスイッチ338は、図3(b)に示すように、化粧パネル33の表面33aのうちの凹部33bおよびその周囲に形成され、このタッチスイッチ338の後方には、タッチパネル34の表面34aに取り付けられた4個の電極38が配置され、さらに後方には基板32の実装面32aに実装されたLED36が配置される。
【0036】
上述の化粧パネル33の凹部33bは、利用者の指先を包囲可能な内周面33dと内周面33dに囲まれる底部33eとを有する。また、化粧パネル33の凹部33bが形成される表面33aとは反対側の裏面33cには凸部33fが凹部33bと対となるように形成されている。この凸部33fは、裏面33cからLED36へ向けて突出するとともに対となる凹部33bの内周面33dに沿う形状を有する外周面33gと、対となる凹部33bの底部33eに沿う形状を有する頂部33hとを有する。
【0037】
また、タッチパネル34には、化粧パネル33の凸部33fを挿入可能な挿通孔34bと、挿通孔34bの周縁部34cから挿通孔34b内部に向けて延出する4つの舌片34dとが形成されている。なお、本実施形態では、タッチパネル34には、複数の舌片34dが、挿通孔34bの周縁部34cの等角度で分割される位置から挿通孔34b内部に向けて延出するように形成される。
そして、タッチパネル34の表面34aでもある各舌片34dの表面それぞれには、舌片34dと同数存在する電極38(図3(b)では電極A〜Dと図示)がそれぞれ取り付けられている。
【0038】
さらに、タッチパネル34は、化粧パネル33の凸部33fが挿通孔34bに挿入される状態で化粧パネル33の裏面33cに両面テープ39を介して貼り付けられることにより、各舌片34dが化粧パネル33の凸部33fの外周面33gに接触するとともに、各舌片34dの表面34aそれぞれに取り付けられた各電極38が、化粧パネル33の外周面33gに接触するか、両面テープ39を介して化粧パネル33の外周面33gに近接する。
【0039】
そして、パネルマイコン35は、タッチスイッチ処理を実行する。以下に、タッチスイッチ処理について、図5のフローチャートを参照して説明する。
まず、パネルマイコン35は、タッチスイッチ338の後方に配置される4個の電極38それぞれに静電容量を示す信号を、ICチップ37を介して受け取る(S105〜S120)。なおこの場合、パネルマイコン35が、4個の電極38それぞれの静電容量が所定の閾値より増加した場合にはどの電極38に利用者の指が近づいたかをICチップ37から信号にて知らせてもらうようにしてもよい。そして、パネルマイコン35は、受け取った信号に基づき、静電容量が閾値を越える電極38が二つ以上あるか否かを判断する(S125)。静電容量が閾値を越える電極38が二つ以上ある場合には、パネルマイコン35は、タッチスイッチ338に対して利用者によるタッチ操作が行われたと判定する(S125:YES)。一方、静電容量が閾値を越える電極38が一つ未満である場合には、パネルマイコン35は、タッチスイッチ338に対して利用者によるタッチ操作が行われていないと判定する(S125:NO)。さらに、パネルマイコン35は、前回判定時の判定結果を記憶するフラグを参照して、判定結果が前回判定時の判定結果と相違するか否かを判断する(S135、S155)。判定結果が前回判定時の判定結果と同一である場合には(S135:NO、S155:NO)、パネルマイコン35は、何もせずにそのままリターンする。一方、判定結果が前回判定時の判定結果と相違する場合には(S135:YES、S155:YES)、パネルマイコン35は、今回の判定結果を示す信号をカラオケ装置1のCPU14へ出力し(S140、S160)、フラグを今回の判定結果を示す内容に書き換え(S145、S165)、リターンする。
【0040】
また、利用者によるタッチ操作が、更に正確であるか否か(タッチスイッチ338の中心を一定期間中押し続けているかどうか)を判定するには、S125のYES条件を「電極38が全てオンである」こととして、S135のNO判断が何回連続したか、つまり維持したかによって、電極38が全てオンである状態を所定の期間中維持したか否かを判断することによって判定すればよい。
【0041】
[3.3.タッチスイッチ331〜338のLED点灯動作の説明]
また、パネルマイコン35は、当該操作パネル10が搭載されるカラオケ装置1のCPU14からの信号を受信した場合には、その信号に応じた処理を実行する。
【0042】
例えば、受信した信号が11個のLED36の何れかを点灯する旨の指示を示す場合には、該当するLED36を制御して可視光を前方に照射させるといった具合である。この場合にLED36から照射された可視光は、タッチパネル34および化粧パネル33を通過して前方に進行し、可視光が通過した化粧パネル33のタッチスイッチを点灯させることで、そのタッチスイッチに対応付けられている機能が実行されていることを知らせることができる。
[4.実施形態の効果]
このように本実施形態のカラオケ装置1によれば、利用者の指先が化粧パネル33のタッチスイッチ338の周囲に触れただけの場合や利用者の指先が化粧パネル33の凹部33bの奥まで挿入されていない場合などの利用者が意図せずにタッチスイッチ338に触れてしまったと想定される場合には、タッチスイッチ338の後方に配置された4個の電極38のうちの二つ以上の電極38が同時にオンとなることはなく、パネルマイコン35もタッチスイッチ338へのタッチ操作がなされたと判定しない。もちろんこの場合には、パネルマイコン35は、タッチスイッチ338へのタッチ操作がなされたと判定した旨を示す信号をカラオケ装置1のCPU14へ出力することはない。したがって、利用者が意図せずにタッチスイッチ338周囲に触れてしまった場合であっても、利用者が意図しない動作をカラオケ装置1が実行することを防ぐことができるという、誤動作しにくい操作パネルをカラオケ装置1に提供できる。
【0043】
また、本実施形態のカラオケ装置1によれば、タッチスイッチ338の後方に配置された4個の電極38全てがオンであることを検出した場合にタッチスイッチ338へのタッチ操作がなされたと判断したり、電極38がオンである期間や電極38の静電容量を判定するための所定の閾値を変更することによって感度を調整することで、タッチスイッチ338の種別に応じて誤動作防止レベルを様々に変更できる。よって、例えばカラオケボックスなどに親子が来店し、本来は親がカラオケ装置1を操作するところをタッチスイッチ338に子供が一瞬、指を突っ込むなどのタッチ操作を行っても、タッチスイッチ338の凹部33bの中心部(底部33e)を一定期間押していないと動作しないなど、誤動作せずに使用状況に応じた対応することができるという、誤動作しにくい操作パネル10をカラオケ装置1に提供できる。
[5.他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のような様々な態様にて実施することが可能である。
【0044】
(1)本発明は、カラオケ装置だけでなく、他の電子機器に適用可能である。
(2)本発明は、演奏停止スイッチだけでなく、その他の機能を停止させるスイッチにも適用可能である。また、本発明は、電源スイッチにも適用可能である。また、本発明は、一時停止機能などの特定の機能を再度実行させるスイッチにも適用可能である。
【0045】
(3)上記実施形態では、タッチパネル34の表面34aが両面テープ39を介して化粧パネル33の裏面33cに取り付けられているが、これには限らず、タッチパネル34の表面34aを、接着剤を用いて化粧パネル33の裏面33cに取り付けてもよい。
【0046】
(4)また、図4(c)に例示するように、タッチパネル34の表面34aを、タッチパネル34に形成された孔34eに挿通されるビス40の先頭を化粧パネル33の裏面33cの凸部33fより外側の部分に形成された孔33iに取り付けることにより、化粧パネル33の裏面33cに取り付けてもよい。
【0047】
また、ビス40によるねじ止めの位置が化粧パネル33の裏面33cの凸部33fより外側となるように構成されることにより、タッチパネル34自体が凸部33fによって撓んで凸部33fの斜面(外周面33g)に当接する。このことにより、ビス40によるねじ止め作業を行う作業者が、化粧パネル33の凸部33fとなる化粧パネル33の裏面33c上部から簡単にタッチパネル34を正確に取り付けられるので、簡単に誤動作しにくい操作パネル10をカラオケ装置1に提供できる。
【符号の説明】
【0048】
1…カラオケ装置、2…筐体、2a…開口部、10…操作パネル、11…映像処理部、12…MPEGデコーダ、13…HDD、14…CPU、15…メモリ、16…LANインターフェース、17…RTC、18…MIDI音源部、19…音声処理部、20…アンプ、22…スピーカ、23…マイク、24…モニタ、31…筐体、31a…開口部、32…基板、32a…基板の実装面、33…化粧パネル、33a…化粧パネルの表面、33b…凹部、33c…化粧パネルの裏面、33d…凹部の内周面、33e…凹部の底部、33f…凸部、33g…凸部の外周面、33h…凸部の頂部、33i…孔、34…タッチパネル、34a…タッチパネルの表面、34b…挿通孔、34c…挿通孔の周縁部、34d…舌片、34e…孔、35…パネルマイコン、36…LED、37…ICチップ、38…電極、39…両面テープ、40…ビス、331…タッチスイッチ(電源スイッチ)、332,333…タッチスイッチ(ミュージック音量スイッチ)、334,335…タッチスイッチ(マイク音量スイッチ)、336,337…タッチスイッチ(マイクエコー音量スイッチ)、338…タッチスイッチ(演奏停止スイッチ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に取り付け可能であり、開口部を有する筐体と、
前記筐体内部に配置され、前記開口部から外部へ可視光を照射可能な発光部がその実装面に実装される基板と、
透過性を有する材料によって板状に形成され、少なくとも前記筺体の前記開口部の一部を覆うとともに前記発光部の前方に位置するよう配置され、利用者によるタッチ操作を受けるタッチスイッチがその表面のうちの前記発光部前方の部分に形成される化粧パネルと、
透過性および弾性を有する材料によってシート状に形成され、前記基板と前記化粧パネルとの間に配置され、利用者による前記タッチスイッチへのタッチ操作によってオンオフが切り替わる静電容量スイッチを有するタッチパネルと、
前記筐体内部に配置され、当該操作パネルが搭載される電子機器からの指示に基づき前記発光部を制御して可視光を照射させるとともに、前記静電容量スイッチからの出力信号に基づき前記タッチスイッチへのタッチ操作の有無を検知してその旨を示す信号を前記電子機器へ出力可能な制御部と、
を備える電子機器の操作パネルであって、
前記化粧パネルには、利用者の指先を包囲可能な内周面と前記内周面に囲まれる底部とを有する凹部と、前記化粧パネルの前記凹部が形成される面とは反対側の面から前記発光部へ向けて突出するとともに前記内周面に沿う形状の外周面と前記底部に沿う形状の頂部とを有する凸部とが対になって形成され、
前記タッチパネルには、前記凸部を挿入可能な挿通孔と、前記挿通孔の周縁部から前記挿通孔内部に向けて延出する複数の舌片とが形成され、前記静電容量スイッチが前記複数の舌片と同数存在し、且つ前記複数の舌片には前記静電容量スイッチがそれぞれ取り付けられ、
さらに、
前記タッチパネルは、前記化粧パネルの前記凸部が前記挿通孔に挿入される状態で前記化粧パネルに取り付けられることにより、前記複数の舌片が前記外周面に接触するとともに前記静電容量スイッチが前記外周面に近接または接触し、
前記制御部は、前記静電容量スイッチのうちの二つ以上の静電容量スイッチが同時にオンとなった場合に前記タッチスイッチへのタッチ操作がなされたと判定してその旨を示す信号を前記電子機器へ出力すること
を特徴とする電子機器の操作パネル。
【請求項2】
前記制御部は、前記静電容量スイッチの全てが同時にオンとなったことを所定の期間連続して検知した場合には、前記タッチスイッチへのタッチ操作がなされたと判定した旨の信号を出力することを特徴とする請求項1に記載の電子機器の操作パネル。
【請求項3】
前記タッチパネルは、前記化粧パネルの裏面の凸部より外側の部分に当接されることによって、前記化粧パネルに取り付けられることを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器の操作パネル。
【請求項4】
前記タッチパネルには、前記複数の舌片が、前記挿通孔の周縁部の等角度で分割される位置から前記挿通孔内部に向けて延出するように形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電子機器の操作パネル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−205438(P2010−205438A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46658(P2009−46658)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】