説明

電子機器の筐体構造

【課題】本発明は、少なくとも2個の部材で構成した筐体を各部材の爪部で構成している突起部で嵌合する構造において、組立性、耐落下性、耐振動性等に優れ、かつ分解が容易な嵌合構造を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の電子機器の筐体構造は、少なくとも第1ケースと第2ケースの2個を1または複数の爪部で嵌合する略直方体または多面体の電子機器であって、第1ケースは内側に少なくとも1つの爪部を有し、第2ケースは外向きに少なくとも1つの爪部を有し、第1ケースの爪部と第2ケースの爪部は所定の衝撃で生じる撓み量に応じて配置することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の筐体構造に関し、特に嵌合に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器内の各ユニットの嵌合用爪の嵌合長さを十分確保できるように大きくし、嵌合用爪をたわませることなくユニットをスライドさせる実装構造にすることにより、過度の落下衝撃等が加わっても、嵌合部が外れることがないようにしていた。(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−64284号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の従来技術には、落下衝撃性の高い電子機器の実装構造ではあるが、分解の容易性までは考慮がなされていなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子機器の筐体構造は、少なくとも第1ケースと第2ケースの2個を1または複数の爪部で嵌合する略直方体または多面体の電子機器であって、第1ケースは内側に少なくとも1つの爪部を有し、第2ケースは外向きに少なくとも1つの爪部を有し、第1ケースの爪部と第2ケースの爪部は所定の衝撃で生じる撓み量に応じて配置することを特徴とする。
【0006】
また、本発明の電子機器の筐体構造は、第1ケースと第2ケースが少なくとも2つの面に少なくとも各1個の爪部を配置することを特徴とする。
【0007】
さらに、本発明の電子機器の筐体構造は、2つの面が略対向していることを特徴とする。
【0008】
さらにまた、本発明の電子機器の筐体構造は、爪部が筐体の重心に対して配置することを特徴とする。
【0009】
また、さらに本発明の電子機器の筐体構造は、爪部が最大の撓み量の約50%の比率の位置に配置することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明の電子機器の筐体構造は、爪部が嵌合している面と略平行している辺の約20%から約80%の位置に配置することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少なくとも2個の部材で構成した筐体を各部材の爪部で構成している突起部で嵌合する構造において、組立性、耐落下性、耐振動性等に優れ、かつ分解が容易な嵌合構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例である電子機器の構造を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施例である電子機器の嵌合用爪部の撓みを説明するための説明図である。
【図3】本発明の一実施例である電子機器の嵌合用爪部の配置と爪部の撓み量の関係を示す図である。
【図4】本発明の他の一実施例である電子機器の構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の他の一実施例である電子機器の嵌合用爪部の撓みを説明するための説明図である。
【図6】本発明の更に他の一実施例である電子機器の上カバーを示す斜視図である。
【図7】底面が開口している直方体に衝撃が加わった場合の撓みの概念を説明するための説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
一般的な底面が開口している直方体に衝撃が加わった場合の撓みの概念について、図7を用いて説明する。図7は、底面が開口している直方体に衝撃が加わった場合の撓みの概念を説明するための説明図で、図7(A)が上カバー710の上面図であり、図7(B)が上カバー710の側面図である。
図7において、上カバー710は、長辺L1が辺x11と辺x12、短辺L3が辺y11と辺y12、高さL2で構成していて、底面が開口している直方体である。
上カバー710に衝撃等が加わった場合の撓み量は、長辺L1方向においては中央部分が最大f3maxとなり、高さL2方向においては底面方向が最大f3maxとなる。短辺L3方向においても撓みは生じるが、長辺L1方向より小である。
【実施例1】
【0014】
本発明による電子機器の筐体構造の一実施例について図1を用いて説明する。
図1は本発明の一実施例である電子機器の構造を示す斜視図である。図1は嵌合のための爪部を上カバー110と下カバー120に各2個配置した場合である。
図1(A)は、上カバー110を上面から見た斜視図であり、上カバー110は長辺L1、短辺L3、高さL2、底面が開口している直方体である。上面は辺x11,辺x12,辺y11,辺y12で構成している。側面は辺z11,辺z12,辺z13,辺z14で構成している。底面は辺x13,辺x14,辺y13,辺y14で構成している。
【0015】
図1(B)は、上カバー110を底面から見た斜視図であり、嵌合用の爪部111と爪部112を配置している。
爪部111は幅がa1であり、辺x12からL21の長さと、辺z14またはz13のb11の長さの位置に配置している。なお、b11は辺z14とz13の近い方の辺とする。
爪部112は幅がa2であり、辺x11からL22の長さと、辺z11またはz12のb12の長さの位置に配置している。なお、b12は辺z11とz12の近い方の辺とする。
【0016】
図1(C)は、下カバー120を上から見た斜視図であり、下カバー120は長辺L1、短辺L3で略平板の直方体である。下カバー120は嵌合用の柱状の爪部121および爪部122を配置している。爪部121は幅がa5であり、高さがL25である。爪部122は幅がa6であり、高さがL26である。なお、爪部121および爪部122は、柱状であるため、L1方向の位置による撓み量の増減がほとんどない。
【0017】
次に、上カバー110と下カバー120を嵌合した状態で所定の衝撃等が加わった場合に撓みが発生して、嵌合が外れる現象について図2を用いて説明する。図2は本発明の一実施例である電子機器の嵌合用爪部の撓みを説明するための説明図である。
図2(A)は撓みがない状態を説明するための嵌合爪部の断面図である。図2(B)は撓みが有る状態を説明するための嵌合爪部の断面図である。
【0018】
図2(A)において、上カバー110の爪部112は下カバー120の爪部122と嵌合した状態である。上カバー110の角度k11と、下カバー120の角度k12は90°である。
図2(B)は、上カバー110と下カバー120を嵌合した状態で衝撃等が加わった場合に撓みが発生した状態を示している。
上カバー110の撓み量はc12であり、簡略的に角度で表すとk11からk11’と変化して90°より大きくなった場合である。
下カバー120の撓み量はc22であり、簡略的に角度で表すとk12からk12’と変化して90°より小さくなった場合である。
【0019】
図2(B)において、上カバー110と下カバー120の爪部が嵌合している間隔がc2からd2と変化して、爪部112の奥行きc112と爪部122の奥行きc122の関係が式1を満たした場合に、嵌合が外れることになる。
d2>c112+c122 ・・・ (式1)
【0020】
図2は、爪部112と爪部122の撓み量による嵌合が外れる内容について記載しているが、爪部111と爪部121の関係も同様である。
【0021】
次に、爪部の配置と撓み率の関係について図1と図3を用いて説明する。図3は本発明の一実施例である電子機器の嵌合用爪部の配置と爪部の撓み量の関係を示す図である。
図3は上カバー110の爪部112の配置における撓み比率Gの関係を示す図である。横軸がL2に対するL22の位置であり、数値の0が辺x11に接する位置であり、数値の1.0が辺x13に接する位置である。縦軸が爪部112の撓み比率を(%)で表示している。所定の衝撃等を加えた場合に、0%は撓みがないことを示し、100%は撓み量が最大となることを示している。
【0022】
撓み量δは式2により求めることができる。ここでWは爪部の撓みにかかる力であり、Lは爪部の位置の比率であり、Eは材質により異なる縦弾性係数であり、Iは形状により異なる断面二次モーメントである。
δ=WxL/(3xExI) ・・・ (式2)
【0023】
図3は、撓み比率の一例として式2のLのみを使用してb12/L1=0.5即ち図1のL1の中央位置における撓み比率を表したグラフである。L1の中央位置は撓み量δが最大(f3max)となることから、この中央位置を1とした時の長さ方向の比率pを式3から求めることができる。
p=1−2x|0.5−b12/L1| ・・・ (式3)
【0024】
図3のb12/L1=0.4はL1の中央位置から左右のいずれかに20%(p=0.8)移動させた場合の撓み比率を表したグラフである。b12/L1=0.3はL1の中央位置から左右のいずれかに40%(p=0.6)移動させた場合の撓み比率gを表したグラフである。このL1の中央位置から左右のいずれかに移動させた時の総合撓み比率Gを表したグラフである。
【0025】
L2方向の位置による撓み比率gは、式4から求めることができる。
g=(L22/L2) ・・・ (式4)
【0026】
L1方向の位置による撓み比率g’は、式5から求めることができる。
g’=p ・・・ (式5)
【0027】
図1の辺x11、辺z12、辺x13、z11で囲まれた面の総合撓み比率Gは、式6から求めることができる。
G=gxg’ ・・・ (式6)
【0028】
次に本発明の一実施例の詳細について図1〜図3を用いて説明する。
図1および図2において、上カバー110と下カバー120を嵌合した状態で所定の衝撃が加わった場合に、下カバー120の爪部122に撓みが発生せず、上カバー110のみに撓みが発生した場合、嵌合状態を維持できるL22を求めるための一実施例について説明する。なお、L26はL22に連動(L26=L2−L22)して増減するものとする。
【0029】
撓みが発生した時の条件は、L1=50mm、L2=30mm、L3=40mm、爪部112の幅a2=4mm、爪部112の奥行きc122=2.0mm、c2=2.0mm、b12=23mm、最大の撓み量f3max=4.0mmとする。
上記条件から、撓み量c22=0、撓み量c12=f3max=4.0mmとなる。
【0030】
嵌合の境界点におけるL22’を求める。嵌合の境界点においては式7が成立する。
d2=c112+c122 ・・・ (式7)
【0031】
撓み比率g’を求める。
爪部112は幅a2=4mmがあるため、L1の中央から2mm移動した点(b12=23mm)が衝撃を加えた場合の最終的に嵌合が外れる点となる。
式3からp=約0.93となり、式6からg’=約0.8となる。
【0032】
式8から爪部112の位置L22’を求める。図3から求めても良い。
L22’=(c122/(c12xg’))(1/3)xL2 ・・・ (式8)
式8から爪部112の位置L22’は、約25.6mmとなる。
【0033】
上述条件の衝撃等が加わった場合に、L22がL22’未満の場合は嵌合が外れることがなく、L22がL22’以上の場合は嵌合が外れることになる。
【0034】
次に、嵌合に余裕度を持たせるための一実施例について説明する。
嵌合の余裕度は、最大の撓み量f3maxに余裕度jを乗じる。それから上述の式を用いて計算することにより、余裕度jを考慮したL22を求めることができる。
例えば、余裕度j=5%とすると、L22は、25.2mmとなる。
余裕度jは、5%〜20%程度とする。余裕度jを大きくし過ぎると、組立性や分解性が悪くなる。
【0035】
図1および図2において、上カバー110と下カバー120を嵌合した状態で所定の衝撃等が加わった場合に、上カバー110の爪部112に撓みが発生せず、下カバー120の爪部122のみに撓みが発生した場合、嵌合状態を維持できるL26を求めるための一実施例について説明する。なお、L22はL26に連動(L22=L2−L26)して増減するものとする。
【0036】
撓みが発生した時の条件は、L1=50mm、L2=30mm、L3=40mm、爪部122の幅a2=4mm、爪部122の奥行き2mm、c2=2mm、L26’’=15mm、最大の撓み量f3max=2.6mmとする。
上記条件から、撓み量c12=0、撓み量c22=f3max=2.6mmとなる。
【0037】
嵌合の境界点におけるL26’を求める。嵌合の境界点においては上述の式7が成立する。
上記条件から、撓みが発生した場合の角度k12’を式9から求める。
k12’=cos−1(c22/L26’’) ・・・ (式9)
式9からk12’は、約80°なる。
【0038】
嵌合の境界点であるL26’は、式10から求める。
L26’=c122/cos(k12’) ・・・ (式10)
式10からL26’は、約11.5mmとなる。
【0039】
上述条件で所定の衝撃等が加わった場合に、L26がL26’未満の場合は嵌合が外れることがなく、L26がL26’以上の場合は嵌合が外れることになる。
【0040】
次に、嵌合に余裕度を持たせるための一実施例について説明する。
嵌合の余裕度は、最大の撓み量f3maxに余裕度iを乗じる。それから上述の式を用いて計算することにより、余裕度iを考慮したL26を求めることができる。
例えば、余裕度i=5%とすると、L26は、約11.0mmとなる。
余裕度iは、5%〜20%程度とする。余裕度iを大きくし過ぎると、組立性や分解性が悪くなる。
【0041】
さらに、上カバー110と下カバー120を嵌合した状態で衝撃等が加わった場合に、上カバー110の爪部112と、下カバー120の爪部122の両方に撓みが発生した場合は、式3〜式10に基づいて連立方程式を作成することにより、L22とL26を求めることができる。
【実施例2】
【0042】
本発明による電子機器の筐体構造の他の一実施例について図4を用いて説明する。
図4は本発明の他の一実施例である電子機器の構造を示す斜視図である。図4は嵌合のための爪部を上カバー210と下カバー220に各4個配置した場合である。
図4(A)は、上カバー210を上面から見た斜視図であり、上カバー210は長辺L1、短辺L3、高さL2、底面が開口している直方体である。上面は辺x11,辺x12,辺y11,辺y12で構成している。側面は辺z11,辺z12,辺z13,辺z14で構成している。底面は辺x13,辺x14,辺y13,辺y14で構成している。
【0043】
図4(B)は、上カバー210を底面から見た斜視図であり、嵌合用に爪部111〜爪部114の4個を配置している。爪部111は幅がa1であり、辺x12からL21の長さと、辺z14からb11の長さの位置に配置している。 爪部112は幅がa2であり、辺x11からL22の長さと、辺z11からb12の長さの位置に配置している。爪部113は幅がa3であり、辺x12からL23の長さと、辺z13からb13の長さの位置に配置している。爪部114は幅がa4であり、辺x11からL24の長さと、辺z12からb14の長さの位置に配置している。
【0044】
図4(C)は、下カバー220を上から見た斜視図であり、下カバー220は長辺L1、短辺L3で略平板の直方体である。下カバー220は嵌合用の柱状の爪部121〜爪部124の4個を配置している。爪部121は幅がa5であり、高さがL25である。爪部122は幅がa6であり、高さがL26である。爪部123は幅がa7であり、高さがL27である。爪部124は幅がa8であり、高さがL28である。なお、爪部121〜爪部124は、柱状であるため、L1方向の位置による撓み量の増減がほとんどない。
【0045】
次に、上カバー210と下カバー220を嵌合した状態で衝撃等が加わった場合に撓みが発生して、嵌合が外れる現象について図5を用いて説明する。図5は本発明の他の一実施例である電子機器の嵌合用爪部の撓みを説明するための説明図である。
図5(A)は撓みがない状態を説明するための嵌合爪部の断面図である。図5(B)は撓みが有る状態を説明するための嵌合爪部の断面図である。
【0046】
図5(A)において、上カバー210の爪部112は下カバー220の爪部122と嵌合した状態である。上カバー210の角度k21と、下カバー220の角度k22は90°である。
図5(B)は、上カバー210と下カバー220を嵌合した状態で衝撃等が加わった場合に撓みが発生した状態を示している。
上カバー210の撓み量はc12であり、簡略的に角度で表すとk21からk21’と変化して90°より大きくなった場合である。
下カバー220の撓み量はc22であり、簡略的に角度で表すとk22からk22’と変化して90°より小さくなった場合である。
【0047】
図5(B)において、上カバー210と下カバー220の爪部が嵌合している間隔がc2からd2と変化して、爪部112の奥行きc112と爪部122の奥行きc122の関係が式1を満たした場合に、嵌合が外れることになる。
【0048】
図5は、爪部112と爪部122の撓み量による嵌合が外れる内容について記載しているが、爪部111と爪部121の関係、爪部113と爪部123の関係、爪部114と爪部124の関係も同様である。
【0049】
次に本発明の他の一実施例の詳細について図3〜図5を用いて説明する。
図4および図5において、上カバー210と下カバー220を嵌合した状態で所定の衝撃等が加わった場合に、下カバー220の爪部122に撓みが発生せず、上カバー210のみに撓みが発生した場合、嵌合状態を維持できるL22を求めるための一実施例について説明する。なお、L26はL22に連動(L26=L2−L22)して増減するものとする。
【0050】
撓みが発生した時の条件は、L1=50mm、L2=30mm、L3=40mm、爪部112の幅a2=4mm、爪部112の奥行きc122=2.0mm、c2=2.0mm、b12=23mm、最大の撓み量f3max=6.0mm、b12/L1=0.4(b12=20mm、p=0.8)とする。
上記条件から、撓み量c22=0、撓み量c12=f3max=6.0mmとなる。
【0051】
次に、b12/L1=0.4(p=0.8)の位置による撓み比率g’を式5から求めると、g’=約0.51となる。
【0052】
嵌合の境界点におけるL22’を式8から求める。
式8から爪部112の位置L22’は、約26.0mmとなる。
【0053】
上述条件で所定の衝撃等が加わった場合に、L22がL22’未満の場合は嵌合が外れることがなく、L22がL22’以上の場合は嵌合が外れることになる。
嵌合に余裕度を持たせるための一実施例については上述と同様である。
【0054】
図4および図5において、上カバー210と下カバー220を嵌合した状態で所定の衝撃等が加わった場合に、上カバー210の爪部112に撓みが発生せず、下カバー220の爪部122に撓みが発生した場合は、上述の上カバー110と下カバー120を嵌合した状態で所定の衝撃等が加わった場合に、上カバー110に撓みが発生せず、下カバー120の爪部122に撓みが発生した場合と同様である。
【0055】
また、上カバー210と下カバー220を嵌合した状態で衝撃等が加わった場合に、下カバー220の爪部122にも撓みが発生した場合は、式3〜式10に基づいて連立方程式を作成することにより、爪部112と爪部122の配置を決めることができる。
【実施例3】
【0056】
本発明による電子機器の筐体構造の更に他の一実施例について説明する。
図1の下カバー120および図4の下カバー220は、上述において、長辺L1、短辺L3で略平板の直方体として説明したが、上カバー110および上カバー210と同じ形状とすることもできる。この場合の撓み量と爪部の配置は、上カバー110および上カバー210と同様となる。
【実施例4】
【0057】
本発明は、組立性、耐落下性、耐振動性等に優れ、かつ分解が容易な嵌合構造を提供することを目的としているため、耐落下性、耐振動性等に優れているための爪部の配置の一実施例について図4と図5を用いて説明する。
図5において、爪部112は、撓み量の50%以下になる位置に配置することが実験結果から耐落下性、耐振動性等に優れている。
【0058】
また、図1の爪部112、図4の爪部112と爪部114は、L1の長さに対して約20%〜約80%の位置に配置するとことが実験結果から耐落下性、耐振動性等に優れている。
【0059】
図4において、爪部111と爪部113が配置している面と略対向している面の対称とする位置に爪部112と爪部114を配置することにより、耐落下性、耐振動性等が向上する。
【0060】
さらに、筐体の重心に対して、爪部111〜爪部114を配置することにより、耐落下性、耐振動性等が向上する。
【0061】
次に、組立性の向上および分解が容易な嵌合構造について図4を用いて説明する。
爪部111〜爪部114の配置は、耐落下性、耐振動性等を重視し過ぎると組立性や分解性が悪くなる可能性があるため、組立性や分解性を考慮した配置とする。例えば、耐落下性や耐振動性等の余裕度を小さくした爪部111〜爪部114の配置とする。
【実施例5】
【0062】
図6は、本発明の一実施例である上カバーを補強した場合の斜視図である。
図6の上カバー310は、上カバー110や上カバー210と比較して撓み量を小さくするために、筐体の内側又は外側に補強構造用のリブや突起を設けたものである。
上カバー310にリブv1〜リブv4を設けることにより、上カバー310の撓み量を小さくすることができる。このことにより、耐落下性、耐振動性等が向上する。
【0063】
本発明の実施例の説明では、筐体外形を直方体で説明したが、多面体でも略直方体でも本発明を適用できることは云うまでもない。
また、本発明の実施例の説明および図面では、爪部の接触部分の形状を四角形としたが、半円でも三角形でも本発明を適用できることは云うまでもない。
以上本発明について詳細に説明したが、本発明は、ここに記載された電子機器の筐体構造に限定されるものではなく、上述の式や図面の内容を適宜に組み合わせることにより、電子機器の用途に応じた最適な嵌合構造の筐体とすることができる。このため、上記以外の電子機器の筐体構造にも広く適用することができることは云うまでもない。
【符号の説明】
【0064】
110,210,310:上カバー、120,220:下カバー、111〜114,121〜124:爪部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1ケースと第2ケースの2個を1または複数の爪部で嵌合する略直方体または多面体の電子機器において、
前記第1ケースは、内側に少なくとも1つの爪部を有し、
前記第2ケースは、外向きに少なくとも1つの爪部を有し、
前記第1ケースの爪部と前記第2ケースの爪部は、所定の衝撃で生じる撓み量に応じて配置することを特徴とする電子機器の筐体構造。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器の筐体構造において、
前記第1ケースと前記第2ケースは、少なくとも2つの面に少なくとも各1個の爪部を配置することを特徴とする電子機器の筐体構造。
【請求項3】
請求項2に記載の電子機器の筐体構造において、
前記2つの面は、略対向していることを特徴とする電子機器の筐体構造。
【請求項4】
請求項2乃至請求項3に記載の電子機器の筐体構造において、
爪部は、筐体の重心に対して配置することを特徴とする電子機器の筐体構造。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の電子機器の筐体構造において、
爪部は、最大の撓み量の約50%の比率の位置に配置することを特徴とする電子機器の筐体構造。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5に記載の電子機器の筐体構造において、
爪部は、爪部が嵌合している面と略平行している辺の約20%から約80%の位置に配置することを特徴とする電子機器の筐体構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−190820(P2012−190820A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50381(P2011−50381)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】