説明

電子機器の配線構造、電子機器

【課題】安全性の確保に寄与することのできる電子機器の配線構造を提供する。
【解決手段】電子機器の配線構造は、一次側の電力の伝達に使用される第1のハーネスが配線される第1の配線経路と二次側の電力の伝達に使用される第2のハーネスが配線される第2の配線経路とが形成された構造を有し、前記第1の配線経路にかかわる構造は、前記第1のハーネスが配線された場合に当該第1のハーネスと当該構造とが一体化された状態となるよう形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器の配線構造、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置においては、例えば5Vや24V等の直流の電圧(低電圧)を、各種の画像形成部材を駆動する駆動モータなど二次側の電力供給先に供給するために、低電圧供給電源(LVPS)が用いられている。この低電圧供給電源(LVPS)は、コンセントより供給される商用電源である例えば100Vの交流電圧をスイッチング素子によってオンオフ(ON/OFF)し、このオンオフにより得られる電圧を変圧器によって変圧し、さらに変圧後の電圧を整流器によって整流して直流の電圧(低電圧)を生成する。このようにして得られる直流の電圧が上記二次側の電力供給先に向けて供給される。
【0003】
なお、このような装置としては、例えば特許文献1に記載されたものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−258715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、安全性の確保に寄与することのできる電子機器の配線構造を提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、安全性を確保することのできる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の電子機器の配線構造は、一次側の電力の伝達に使用される第1のハーネスが配線される第1の配線経路と二次側の電力の伝達に使用される第2のハーネスが配線される第2の配線経路とが形成された構造を有し、前記第1の配線経路にかかわる構造は、前記第1のハーネスが配線された場合に当該第1のハーネスと当該構造とが一体化された状態となるよう形成されている、ことを特徴とする。
【0008】
上記課題を解決するため、請求項2に記載の本発明の電子機器は、一次側の電力を二次側の電力に変換する電源回路を有する電源基板と、前記一次側の電力を当該電力の供給先へ伝達する第1のハーネスが配線される第1の配線経路と前記二次側の電力を当該電力の供給先へ伝達する第2のハーネスが配線される第2の配線経路とが形成された配線構造と、を有し、前記配線構造においては、前記第1の配線経路にかかわる構造は、前記第1の配線経路に前記第1のハーネスが配線された場合に当該第1のハーネスと当該構造とが一体化された状態となるよう形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、上記請求項2に記載の発明において、前記第1の配線経路にかかわる構造は、前記第1の配線経路に配線された前記第1のハーネスが当該第1の配線経路から離脱するのを規制する構造に形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、上記請求項2または3に記載の発明において、前記電源基板と前記配線構造とが取り付けられる取り付け部材、を更に備え、前記配線構造においては、前記第1の配線経路は前記第2の配線経路よりも低い位置に形成され、前記配線構造と前記電源基板とは、前記第1の配線経路にかかわる構造と前記電源基板の周辺部分とが接触または近接した状態で前記取り付け部材に取り付けられ、さらに、前記配線構造と前記電源基板とが前記取り付け部材に取り付けられている状態のときは、前記取り付け部材に取り付けられる前の前記配線構造の場合に比較して、前記第1のハーネスが前記第1の配線経路から離脱するのを規制する度合いが高くなっている、ことを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明は、上記請求項4に記載の発明において、前記取り付け部材の下方側の予め定められた位置に着脱するように設けられる交換ユニット、を更に備え、前記取り付け部材に取り付けられた前記配線構造および前記電源基板が取り外された後に、当該取り付け部材が取り外された場合に、前記交換ユニットの上方側が開放される、ことを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明は、上記請求項2〜5の何れか一項に記載の発明において、前記電源基板の前記電源回路の二次側には、過電流から当該電源回路あるいは二次側の電力の供給先を保護する保護手段が設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、安全性の確保に寄与することができる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、安全性を確保することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、第1のハーネスと配線構造以外の部材との接触を抑制することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、配線構造および電源基板が取り付け部材に取り付けられているときに、第1のハーネスが配線構造から取り外されるのを抑制することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、第1のハーネスを配線構造から取り外すことなく、交換ユニットに対する所望の作業を実施することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、本発明を採用しない場合に比較して、第2のハーネスと配線構造以外の部材との接触に起因する電源回路の二次側の短絡の事象が発生した場合であっても、当該電源回路または当該電源回路の二次側の電力が供給される供給先を過電流から保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態に係る画像形成装置の構成を示す構成図である。
【図2】実施の形態に係る電源基板の有する電源回路の構成を示す構成図である。
【図3】実施の形態に係る絶縁ガイドを示す斜視図である。
【図4】実施の形態に係る絶縁ガイドを他の方向から見た場合の当該絶縁ガイドを示す斜視図である。
【図5】実施の形態に係る絶縁ガイドの正面を示す正面図である。
【図6】実施の形態に係る絶縁ガイドの異なる複数の部位のそれぞれの断面を示す断面図である。
【図7】実施の形態に係る絶縁ガイドが板金に取り付けられた状態の様子を示す斜視図である。
【図8】実施の形態に係る絶縁ガイドおよび電源基板が板金に取り付けられた様子を示す斜視図である。
【図9】実施の形態に係る絶縁ガイドが板金に取り付けられた状態を他の方向から見た様子を示す斜視図である。
【図10】実施の形態に係る絶縁ガイドおよび電源基板が板金に取り付けられた状態を他の方向から見た様子を示す斜視図である。
【図11】実施の形態に係る絶縁ガイドと電源基板と交換ユニットとの関係を説明する図である。
【図12】実施の形態に係る第1のハーネスおよび第2のハーネスが配線された絶縁ガイドと電源基板とが板金に取り付けられた電源ユニットの様子を示す図である。
【図13】実施の形態に係る第1のハーネスおよび第2のハーネスが配線された絶縁ガイドと電源基板とが板金に取り付けられた電源ユニットの一部を拡大した様子を示す図である。
【図14】実施の形態に係る第1のハーネスおよび第2のハーネスが配線された絶縁ガイドの正面の一部を示す図である。
【図15】実施の形態に係る画像形成装置の交換ユニットに対する所望の作業を実施する場合の電源ユニットの取り外しおよび取り付けの方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
実施の形態に係わる画像形成装置について、図1を参照して説明する。
【0022】
画像形成装置1は、電子機器の機能を果たすものであり、図1に示すように、電源ユニット10、制御系20、画像形成部30、および給紙装置40を備えている。
【0023】
電源ユニット10は、一次側の電力を二次側の電力に変換するものであり、一次側の電力を当該電力の供給先(電力消費負荷)へ供給するとともに二次側の電力を当該電力の供給先(電力消費負荷)へ供給する。
【0024】
電源ユニット10は、一次側の電力および二次側の電力のそれぞれの伝達に使用されるハーネスが配線される絶縁ガイド100と、一次側の電力を二次側の電力に変換する電源回路を有する電源基板200と、絶縁ガイド100および電源基板200が取り付けられる取り付け部材としての板金300とを有している。なお、電源ユニット10の詳細については後述する。
【0025】
制御系20は、例えば図示しないコンピュータからの印刷データを取得して画像形成(印刷)形式の画像データ(ラスタデータ)に変換するとともに、色変換や階調補正など画像処理を実施する図示しない第1の制御部と、この第1の制御部からの画像データと制御情報に基づき、画像形成部30による画像形成を制御する図示しない第2の制御部とを備えている。
【0026】
画像形成部30は、図1に示すように、像保持体としての感光体ドラム31、感光体ドラム31の表面を所望の極性の電位に帯電させる帯電手段としての帯電装置32、帯電された感光体ドラム31に向けて画像データに対応するレーザ光(露光光)を照射して感光体ドラム31表面上に静電潜像を形成する露光手段としての光走査装置33、感光体ドラム31に形成された静電潜像に現像剤(トナー)を与えて現像する現像手段としての現像装置34、感光体ドラム31に形成されたトナー像を用紙など記録媒体に転写させる転写手段としての転写ローラ(転写装置)35、トナー像が転写された記録媒体に対し熱および圧力を与えてトナー像を定着させる定着手段としての定着装置(フューザー)36、および感光体ドラム31の周面上の残留トナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置37を備えている。
【0027】
また、画像形成部30は、DCサーボモータ、ステッピングモータなどモータ38を備えている。
【0028】
DCサーボモータは、感光体ドラム31の駆動用モータ、現像装置34のトナー撹拌に用いられるモータ、転写ローラ(定着装置)36のローラ駆動用モータなどとして適用される。
【0029】
また、ステッピングモータは、駆動系のフィード(搬送)用モータ、光走査装置33の位置調整(レジ)用モータなどとして適用される。
【0030】
なお、図1では、上述したDCサーボモータやステッピングモータなど複数のモータを総称してモータ38としている。
【0031】
給紙装置40は、例えばA4サイズやB5サイズなど定形サイズの記録媒体を収容し、指定される定形サイズの記録媒体を画像形成部30へ供給する。
【0032】
制御系20、定着装置36の発熱源およびモータ38には、それぞれ電源ユニット10から各構成要素が動作するのに適した所望の電圧(所望の電力)が供給されるようになっている。なお、モータ38は、詳細は後述するインターロックスイッチ203を介して所望の電圧(所望の電力)が供給される。
【0033】
次に、電源ユニット10の詳細について説明する。
【0034】
電源基板200の有する電源回路200Aは、一次側の電力を二次側の電力に変換するものであり、図2に示すように、整流器(入力側整流器)210、コンデンサ(入力側電解コンデンサ)220、変圧器(トランス)230、スイッチング素子240、整流器(出力側整流器)250、コンデンサ(出力側電解コンデンサ)260、過電流保護回路270およびスイッチ(SW)素子280を備えている。
【0035】
なお、実施の形態においては、電源回路200Aの一次側には漏電遮断器(漏電ブレーカ)は設けられていない。
【0036】
整流器210は、コネクタCN11Cを介して供給される商用電源(交流電源)等の入力電源からの交流電圧(電流)を整流する。
【0037】
コンデンサ220は、整流された電圧(電流)を平滑化する。
【0038】
変圧器230は、平滑化された電圧を一次巻き線M1と二次巻き線M2との巻き数比に応じて変圧する。変圧器230には、複数種類の出力電圧が得られるように、一次巻き線と複数の二次巻き線とが巻かれている。
【0039】
スイッチング素子240は、図示しないスイッチング制御部から発せられる高周波パルス信号によって高速でオンオフのスイッチング動作を繰り返す。
【0040】
その結果、変圧器230の一次巻き線M1に高周波パルス電流が通電され、二次巻き線M2には誘導起電力が発生する。
【0041】
この誘導起電力は整流器250によって直流に整流され、更にコンデンサ260によって平滑化された後、コネクタCN21Bを介して直流電圧として電力供給先(電力消費負荷)に供給される。
【0042】
過電流保護回路270は、保護手段の機能を果たすものであり、電源基板200の電源回路200Aの二次側に設けられ、電源回路200Aの出力電流が規定値以上流れないように、電源回路200あるいは二次側の電力供給先例えばモータ38を保護する。また、過電流保護回路270は、例えば二次側の短絡に起因する過電流から当該電源回路200あるいは二次側の電力供給先例えばモータ38を保護する。過電流保護回路270としては、例えば継電器(リレー)やヒューズなどが挙げられる。
【0043】
ここで、変圧器230の二次巻き線M2、整流器250、コンデンサ260および過電流保護回路270は、二次回路を構成する。
【0044】
この実施の形態では、上記二次回路と同様に、他の所望の出力電圧を得るための他の二次回路が形成されている。
【0045】
電源回路200Aで生成される直流電圧は、その電圧値に応じてモータ38、光走査装置33、制御系20に向けて供給される。
【0046】
ところで、一端にコネクタCN11Aが接続され他端にコネクタCN12Aが接続された第1のハーネス201のコネクタCN11Aが、電源基板200に設けられたコネクタCN11Bと接続されている。第1のハーネス201のコネクタCN12Aが、一端が定着装置36の発熱源(加熱ヒータなど)に接続され他端にコネクタCN12Bが接続されたハーネスのコネクタCN12Bと接続されている。
【0047】
コネクタCN11Cを介して供給される交流電源等の入力電源からの交流電圧(電流)は、スイッチ(SW)素子280、コネクタCN11B、第1のハーネス201、およびコネクタCN12Bを介して定着装置36へ提供される。
【0048】
スイッチ(SW)素子280は、定着装置36の図示しない加熱ヒータ制御部の指示に従って、開状態(非導通状態)または閉状態(導通状態)に切り替わり、定着装置36への通電をオン/オフ制御するものであり、例えば、トライアックで構成される。
【0049】
また、一端にコネクタCN21Aが接続され他端にコネクタCN22Aが接続された第2のハーネス202のコネクタCN21Aが、電源基板200に設けられたコネクタCN21Bと接続されている。第2のハーネス202のコネクタCN22Aが、一端がモータ38に接続され他端にコネクタCN22Bが接続されたハーネスのコネクタCN22Bと接続されている。モータ38とコネクタCN22Bとの間には、インターロックスイッチ203が設けられている。
【0050】
インターロックスイッチ203は、図示しない開閉蓋(画像形成装置本体のカバー)に取り付けられ、この開閉蓋が閉状態のときはオン状態(通電状態)となり、この開閉蓋が開状態のときはオフ状態(非通電状態)となる。つまりインターロックスイッチ203は、上記開閉蓋の開閉の状態に応じて通電を断続する機能を有している。
【0051】
次に、絶縁ガイド100について、図3を参照して説明する。
【0052】
絶縁ガイド100は、絶縁部材で構成され、図3に示すようにL字状の形状に形成されている。
【0053】
絶縁ガイド100は、一次側の電力の伝達に使用される第1のハーネス201が配線される第1の配線経路101と二次側の電力の伝達に使用される第2のハーネス202が配線される第2の配線経路102とが形成された構造を有し、第1の配線経路101にかかわる構造は、第1のハーネス201が配線された場合に当該第1のハーネス201と当該構造とが一体化された状態となるよう形成されている。
【0054】
第1のハーネス201は、一次側のハーネスであり、上述したように電源回路200Aでの一次側の電力を当該電力の供給先(電力供給先)例えば定着装置36の発熱源へ伝達する(図2参照)。
【0055】
第2のハーネス202は、二次側のハーネスであり、上述したように電源回路200Aでの二次側の電力を当該電力の供給先(電力供給先)例えばモータ38(この例ではインターロックスイッチ203を介してモータ38)へ伝達する(図2参照)。
【0056】
第1の配線経路101と第2の配線経路102とは並列に形成されているとともに(図3、図5および図6参照)、第1の配線経路101は第2の配線経路102よりも低い位置に形成されている(図6参照)。
【0057】
第1の配線経路101にかかわる構造は、側面部材110および側面部材120と底面部材130とで凹部状に形成されている(図6参照)。
【0058】
また、第1の配線経路101にかかわる構造は、第1の配線経路101に配線された第1のハーネス201が第1の配線経路101から離脱するのを規制する構造に形成されている。
【0059】
すなわち、第1の配線経路101にかかわる構造においては、側面部材110は、図3に示すように、予め定められた長さ(第1の配線経路101の長手方向の長さ)111Aの開口部111(図5参照)が、側面部材110の第1の配線経路101の長手方向に、予め定められた間隔で複数形成されている。
【0060】
ところで、第1の配線経路101の幅は、2本の第1のハーネス201が並列に配線されるべく、図5に示すように側面部材110と側面部材120の互いに対向する2つの側面の間の距離(長さ)L1となっている。
【0061】
なお、第1のハーネス201は側面部材110の開口部111を利用して配線されるので、第1の配線経路101の幅は、少なくとも、図5に示すように側面部材120における側面部材110と対向する側面と側面部材110における側面部材120と対向する側面とは反対の側面との間の距離(長さ)L1Aを含むことになる。従って、第1の配線経路101の幅は、長さL1と長さL1Aとを含むことになる。
【0062】
また、側面部材120は、予め定められた長さ(第1の配線経路101の長手方向の長さ)121Aと幅121Bのコの字形の部材121(図5参照)が、図3に示すように、側面部材120の第1の配線経路101の長手方向に、上記開口部111に対向するように予め定められた間隔で複数形成されている。
【0063】
底面部材130とコの字形の部材121における底面部材130と対向する面との距離は、第1のハーネス201が第1の配線経路101に配線するのに必要な最低限の距離に設定されている。
【0064】
なお、部材121は、第1のハーネス201が第1の配線経路101から離脱するのを規制する部材としての機能を有する。そのため、これ以降の説明においては、部材121を規制部材121と表記する。
【0065】
規制部材121の長さ121Aは、開口部111の長さ111Aよりも短く設定されている。しかも、規制部材121における開口部111と対向する端部と側面部材110における開口部111に隣接する端部とで形成される空間(領域)例えば後述する図13の符号205Aの点線で囲まれる空間(領域)が、当該電源ユニット10の製作者(工場の作業員など)が第1のハーネス201を第1の配線経路101に配線するのに必要な最低限の空間(領域)となるよう、側面部材110および開口部111と規制部材121とが設けられている。
【0066】
第2の配線経路102にかかわる構造は、側面部材120および側面部材140と底面部材150とで凹部状に形成されている(図6参照)。
【0067】
また、第2の配線経路102にかかわる構造においては、第2の配線経路102に配線された第2のハーネス202が当該第2の配線経路102から離脱するのを規制する凸部状の規制部材141が、側面部材140の当該第2の配線経路102の長手方向に、予め定められた間隔で複数配設されている。規制部材141の凸部の長さは、側面部材120と側面部材140の互いに対向する2つの側面の間の距離(長さ)またはこの長さよりも予め定められる長さだけ短い長さに設定されている(図5および図6参照)。
【0068】
底面部材150と規制部材141における底面部材150と対向する面との距離は、第2のハーネス202を第2の配線経路102に配線するのに必要な最低限の距離に設定されている。
【0069】
しかも、規制部材141における規制部材121と対向する端部と側面部材120における規制部材121に隣接する端部とで形成される空間(領域)例えば後述する図13の符号205Bの点線で囲まれる空間(領域)が、当該電源ユニット10の製作者(工場の作業員など)あるいはメンテナンス要員が第2の配線経路102に配線された第2のハーネス202の配線あるいは取り外しを容易に行える空間(領域)となるよう、側面部材120および規制部材121と規制部材141とが設けられている。
【0070】
ところで、第2の配線経路102の幅は、2本の第2のハーネス202が並列に配線されるべく、図5に示すように側面部材120と側面部材140の互いに対向する2つの側面の間の距離(長さ)L2となっている。
【0071】
なお、第2のハーネス202は規制部材141の凸部の先端を回り込むようにして配線(あるいは取り外し)されるので、第2の配線経路102の幅は、少なくとも、図5に示すように側面部材140における側面部材120と対向する側面と側面部材120における側面部材140と対向する側面とは反対の側面との間の距離(長さ)L2Aを含むことになる。従って、第2の配線経路102の幅は、長さL2と長さL2Aとを含むことになる。
【0072】
ここで、図3に示す絶縁ガイド100を矢印100Aの方向(正面の方向)から見た様子を図4に示し、絶縁ガイド100の正面の一部を図5に示す。
【0073】
また、図5に示す絶縁ガイド100の異なる複数の部位(位置)のA−A断面〜D−D断面を図6に示す。すなわち、A−A断面を図6(a)に示し、B−B断面を図6(b)に示し、C−C断面を図6(c)に示し、D−D断面を図6(d)に示す。
【0074】
第1のハーネス201および第2のハーネス202が配線されていない状態の絶縁ガイド100を板金300に取り付けた様子を図7に示す。この場合、絶縁ガイド100は、ビスなど固定部材が使用されることなく、板金300の4つの側面部材のうち3つの側面部材を利用して着脱されるように設けられる。
【0075】
なお、板金300には、電源基板200をネジ止めにより固定するための雌ネジを有する6つの固定部材204が設けられている。
【0076】
図7に示す状態からさらに電源回路200Aに対応する実装部品が設けられた電源基板200を板金300に取り付けた様子(電源ユニット10の状態)を図8に示す。電源基板200には、上記6つの固定部材204の配置位置に対応して、ネジ(雄ネジ)204Aが貫通するための6つの穴が形成されている。そのため、電源基板200は、上記6つの固定部材204の雌ネジの部位と上記6つの穴との位置が合った状態で、6つのネジ204Aにより板金300に固定される。
【0077】
ここで、図7に示す状態を矢印100Bの方向(正面の方向)から見た様子を図9に示し、図8に示す電源ユニット10を矢印100Cの方向(正面の方向)から見た電源ユニット10を図10に示す。
【0078】
ところで、絶縁ガイド100と電源基板200とは、図11に示すように、第1の配線経路101にかかわる構造と電源基板200の周辺部分とが接触または近接した状態で板金300に取り付けられている。
【0079】
また、絶縁ガイド100と電源基板200とが板金300に取り付けられている状態のときは、板金300に取り付けられる前の絶縁ガイド100の場合に比較して、第1のハーネス201が第1の配線経路101から離脱するのを規制する度合いが高くなっている。
【0080】
板金300の下方側の予め定められた位置には、交換ユニットとしての光走査装置33が着脱するように設けられる。板金300は、画像形成装置1の図示しない装置本体の予め定められた位置の部位に例えばネジ止めにより固定される。
【0081】
そして、板金300に取り付けられた絶縁ガイド100および基板200が取り外された後に、当該板金300が取り外された場合に、光走査装置33の上方側が開放される。
【0082】
第1のハーネス201および第2のハーネス202が配線された絶縁ガイド100と電源基板200とが板金300の予め定められた配置位置に取り付けられた様子(電源ユニット10)を、図12に示す。
【0083】
また、図12に示す電源ユニット10の符号205で示される点線で囲まれた部分を拡大した様子を、図13に示す。図13に示す電源ユニット10の絶縁ガイド100に注目した場合の絶縁ガイド100の上面(正面)の様子を、図14に示す。
【0084】
電源ユニット10においては、図13に示す符号205Aで示される点線で囲まれた部分の空間(領域)を利用して、第1のハーネス201を第1の配線経路101から離脱されないようになっている。
【0085】
すなわち、第1のハーネス201および第2のハーネス202が配線された絶縁ガイド100および電源基板200が板金300に取り付けられた状態においては、絶縁ガイド100に配線された第1のハーネス201のコネクタCN11Aが電源基板200のコネクタCN11Bから取り外された場合であっても、上記符号205Aで示される点線で囲まれた部分の空間(領域)を利用して、第1のハーネス201の第1の配線経路101にかかわる構造(絶縁ガイド100)からの取り外しは行えない。
【0086】
また、第1のハーネス201および第2のハーネス202が配線された絶縁ガイド100および電源基板200が板金300に取り付けられた状態においては、絶縁ガイド100に配線された第2ハーネス202のコネクタCN21Aが電源基板200のコネクタCN21Bから取り外された場合に、上記符号205Bで示される点線で囲まれた部分の空間(領域)を利用して、第2のハーネス202の第2の配線経路102にかかわる構造(絶縁ガイド100)からの取り外しが行える。
【0087】
次に、画像形成装置1の交換ユニット(この例では光走査装置33)に対する所望の作業を実施する場合の電源ユニット10の取り外しおよび取り付けの方法について、図15を参照して説明する。
【0088】
前提条件として、絶縁ガイド100および電源基板200が板金300に取り付けられ、さらに第1のハーネス201および第2のハーネス202の各両端のコネクタが、それぞれに対応する相手のコネクタに接続されているものとする。
【0089】
メンテナンス要員は、次の(1)〜(9)の作業を実施する。
【0090】
(1)最初に、第1のハーネス201のコネクタCN11Aを電源基板200上のコネクタCN11Bから取り外すとともに(#1参照)、第2のハーネス202のコネクタCN21Aを電源基板200上のコネクタCN21Bから取り外す(#1参照)。
【0091】
(2)次に、第2のハーネス202を絶縁ガイド100(の第2の配線経路102にかかわる構造)から取り外す(#2参照)。
【0092】
(3)続いて、第1のハーネス201が取り付けられている絶縁ガイド100を板金300から取り外す(#3参照)。
【0093】
(4)さらに、電源基板200の6つのネジ204Aを取り外した後、この電源基板200を板金300から取り外し、その後、板金300を上記装置本体から取り外す。
【0094】
(5)そして、交換ユニットとしての光走査装置33に対する所望の作業例えばメンテナンスや部品交換などの作業を実施する。
【0095】
(6)上述したようにして作業を終了した場合、板金300を上記装置本体にビス止めにより取り付けた後、その板金300に電源基板200をビス止めにより取り付ける。
【0096】
(7)取り外し中の絶縁ガイド100の第2の配線経路102に第2のハーネス202を配線する。
【0097】
(8)第1の配線経路101にかかわる構造に一体化されている第1のハーネス201が配線されているのに加えて、第2のハーネス202が配線された絶縁ガイド100を、板金300に取り付ける。
【0098】
(9)最後に、第1のハーネス201のコネクタCN11Aを電源基板200上のコネクタCN11Bに接続するとともに、第2のハーネス202のコネクタCN21Aを電源基板200上のコネクタCN21Bに接続する。
【0099】
以上説明したように実施の形態では、絶縁ガイド(の第1の配線経路にかかわる構造)に配線された第1のハーネス(一次側のハーネス)は当該絶縁ガイドと一体化された状態となる。
【0100】
そのため、絶縁ガイドを着脱するように板金に取り付ける場合に、配線されている第1のハーネスと板金との接触あるいは挟み込みの事象が抑制される。しかも、このような事象に起因する第1のハーネスの被覆部材(絶縁部分)に対するキズの発生が抑制される。これにより、第1のハーネスと板金との絶縁が確保されるとともに、第1のハーネスと第2のハーネスとの絶縁が確保される。すなわち、電気的安全性が確保される。
【0101】
また、メンテナンス要員が例えば交換ユニット(光走査装置)に対する所望の作業(メンテナンスや部品交換など)を実施するに際し、第1のハーネスを絶縁ガイドから取り外すことなく、板金に取り付けられた絶縁ガイドの取り外しが行える。しかも、前記所望の作業が終了した後に、前記取り外された絶縁ガイドが板金に取り付けられることにより、第1のハーネスも配線されたことになるので、第1のハーネスの誤配線が抑制される。
【0102】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではないと考えるべきである。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明の電子機器は、電子写真プロセス方式あるいはインクジェット方式により、モノクロ印刷およびカラー印刷の少なくとも一方の印刷を実行する画像形成装置に適用するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0104】
1 画像形成装置
10 電源ユニット
20 制御系
30 画像形成部
33 光走査装置
36 定着装置
38 モータ
100 絶縁ガイド
101 第1の配線経路
102 第2の配線経路
110,120,140 側面部材
111 開口部
121,141 規制部材
130,150 底面部材
200 電源基板
200A 電源回路
201 第1のハーネス
202 第2のハーネス
270 過電流保護回路
300 板金
CN11A,CN11B,CN12A,CN12B コネクタ
CN21A,CN21B,CN22A,CN22B コネクタ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側の電力の伝達に使用される第1のハーネスが配線される第1の配線経路と二次側の電力の伝達に使用される第2のハーネスが配線される第2の配線経路とが形成された構造を有し、
前記第1の配線経路にかかわる構造は、前記第1のハーネスが配線された場合に当該第1のハーネスと当該構造とが一体化された状態となるよう形成されている、
ことを特徴とする電子機器の配線構造。
【請求項2】
一次側の電力を二次側の電力に変換する電源回路を有する電源基板と、
前記一次側の電力を当該電力の供給先へ伝達する第1のハーネスが配線される第1の配線経路と前記二次側の電力を当該電力の供給先へ伝達する第2のハーネスが配線される第2の配線経路とが形成された配線構造と、
を有し、
前記配線構造においては、前記第1の配線経路にかかわる構造は、
前記第1の配線経路に前記第1のハーネスが配線された場合に当該第1のハーネスと当該構造とが一体化された状態となるよう形成されている、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
前記第1の配線経路にかかわる構造は、
前記第1の配線経路に配線された前記第1のハーネスが当該第1の配線経路から離脱するのを規制する構造に形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電源基板と前記配線構造とが取り付けられる取り付け部材、を更に備え、
前記配線構造においては、
前記第1の配線経路は前記第2の配線経路よりも低い位置に形成され、
前記配線構造と前記電源基板とは、
前記第1の配線経路にかかわる構造と前記電源基板の周辺部分とが接触または近接した状態で前記取り付け部材に取り付けられ、
さらに、前記配線構造と前記電源基板とが前記取り付け部材に取り付けられている状態のときは、前記取り付け部材に取り付けられる前の前記配線構造の場合に比較して、前記第1のハーネスが前記第1の配線経路から離脱するのを規制する度合いが高くなっている、
ことを特徴とする請求項2または3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記取り付け部材の下方側の予め定められた位置に着脱するように設けられる交換ユニット、を更に備え、
前記取り付け部材に取り付けられた前記配線構造および前記電源基板が取り外された後に、当該取り付け部材が取り外された場合に、前記交換ユニットの上方側が開放される、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電源基板の前記電源回路の二次側には、過電流から当該電源回路あるいは二次側の電力の供給先を保護する保護手段が設けられている、
ことを特徴とする請求項2〜5の何れか一項に記載の電子機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−155063(P2011−155063A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−14411(P2010−14411)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】