説明

電子機器及びプログラム

【課題】燃料電池とその外部とを連通する連通口の開閉状態に応じて燃料電池の運転を制御できるようにする。
【解決手段】中央制御部11は、吸排気口5の開閉状態を開閉検出部6によって検出されると、この開閉状態に基づいて燃料電池21の運転制御を行う。すなわち、吸排気口5の開閉状態と燃料電池21の運転制御とを連動させ、吸排気口5が開状態にあれば、燃料電池21の運転を許可し、吸排気口5が閉状態にあれば、燃料電池21の運転を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、燃料電池を有する電子機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末装置の多機能化及び画面サイズの大型化などに伴って電池容量の増大が要望されているが、この要望に応じたものとして、例えば、二次電池及び燃料電池を内蔵
したハイブリッドバッテリ式の携帯端末装置が知られている。この燃料電池(メタノール燃料電池)の運転(発電動作)時には、外気(酸素)が必要となるため、その吸気口は必須な要素となり、また、発電時に排出される水蒸気や二酸化炭素などを外部に放出するための排気口も必須な要素となる。
ところで、従来では、運転状況に応じて吸気口(排気口)の開口の程度を調整する開口調整部を備える燃料電池が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−116185号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述した先行技術において、吸気口(排気口)の開口調整部は、温度が低い場合に開口の程度を小さくして酸化剤の流量が少なくなるように制御し、発電時には開口の程度を大きくして酸化剤の流量が多くなるように制御するようにしたもので、状況に応じて開口の程度を調整する技術であった。
【0004】
ところで、防水機能を備える携帯端末などに燃料電池が搭載されていると、ゴミや水の侵入を防ぐためにも吸気口や排気口を塞ぐ機構が必要となる。この場合、燃料電池の運転時(発電時)には吸気口や排気口を開き、防水機能が必要なときには燃料電池の運転を停止し、吸気口や排気口を閉じる必要がある。このような携帯端末において燃料電池の運転が停止している状態では、燃料電池で充電された二次電池からの電力供給で端末装置の使用が可能となるため、ユーザにあっては吸気口や排気口の開閉状態を注意しつつ、二次電池の残量を気にしながら端末装置を使わなければならないという問題があった。
【0005】
この発明の課題は、燃料電池とその外部とを連通する連通口の開閉状態に応じて燃料電池の運転を制御できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、燃料電池を有する電子機器において、前記燃料電池とその外部とを連通する連通口を開閉する連通口開閉手段と、この連通口開閉手段による連通口の開閉状態を検出する開閉検出手段と、この開閉検出手段によって検出された連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う運転制御手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、前記連通口は、前記燃料電池の運転に必要な酸化剤を供給する吸気口、当該燃料電池の運転に伴って生成される副生成物を放出する排気口のうち、少なくともその何れか一方である、ことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、前記連通口は、前記燃料電池の運転に必要な酸化剤を供給する吸気口と当該燃料電池運転に伴って生成される副生成物を放出する排気口とを兼用する吸排気口である、ことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記運転制御手段は、前記開閉検出手段によって前記連通口が開状態にあると検出された場合に前記燃料電池の運転を許可し、前記連通口が閉状態にあると検出された場合に前記燃料電池の運転を抑制する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記運転制御手段は、前記開閉検出手段によって前記連通口が閉状態から開状態に変化したことが検出された際に、前記燃料電池の運転を開始する、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記運転制御手段は、前記開閉検出手段によって前記連通口が開状態から閉状態に変化したことが検出された際に、前記燃料電池の運転を停止する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記燃料電池によって充電される二次電池の充電残量を検出する充電検出手段を更に備え、前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記充電検出手段によって検出された二次電池の充電残量に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、ようにしたことを特徴とする請求項7記載の発明であってもよい。
【0013】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記燃料電池の燃料残量を検出する燃料検出手段を更に備え、前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記燃料検出手段によって検出された燃料残量に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、ようにしたことを特徴とする請求項8記載の発明であってもよい。
【0014】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、特定条件に応じて前記燃料電池を運転すべきことを設定する運転設定手段を更に備え、前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記運転設定手段による設定内容に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、ようにしたことを特徴とする請求項9記載の発明であってもよい。
【0015】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記連通口を開状態にすべきことを促す誘導報知を行う開誘導報知手段を更に備え、この開誘導報知手段は、前記運転制御手段による前記燃料電池の運転開始に先立って、前記開閉検出手段によって前記連通口が閉状態にあることが検出されていれば、前記連通口を開状態にすべきことを促す誘導報知を行う、ようにしたことを特徴とする請求項10記載の発明であってもよい。
【0016】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記連通口を閉状態にすべきことを促す誘導報知を行う閉誘導報知手段を更に備え、この閉誘導報知手段は、前記燃料電池が停止している際に、前記開閉検出手段によって前記連通口が開状態にあることが検出されていれば、前記連通口を閉状態にすべきことを促す誘導報知を行う、ようにしたことを特徴とする請求項11記載の発明であってもよい。
【0017】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記連通口を自動開口する自動開口手段を更に備え、前記自動開口手段は、前記運転制御手段による前記燃料電池の運転開始に先立って、前記開閉検出手段によって前記連通口が閉状態にあることが検出されていれば、前記連通口を閉状態から開状態に変更する、ようにしたことを特徴とする請求項12記載の発明であってもよい。
【0018】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、前記連通口を自動閉口する自動閉口手段を更に備え、前記自動閉口手段は、前記燃料電池が停止している際に、前記開閉検出手段によって前記連通口が開状態にあることが検出されていれば、前記連通口を開状態から閉状態に変更する、ようにしたことを特徴とする請求項13記載の発明であってもよい。
【0019】
請求項1〜3の何れかに従属する発明として、外部機器を接続するための接続端子部を開閉する接続部開閉手段を更に備え、前記連通口開閉手段は、前記接続部開閉手段を兼ねた構成で、前記連通口を開閉すると共に前記接続端子部を開閉する、ようにしたことを特徴とする請求項14記載の発明であってもよい。
【0020】
請求項14に従属する発明として、前記接続端子部に外部機器が接続されているか否かを検出する接続検出手段を更に備え、前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記接続検出手段によって検出された接続状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、ようにしたことを特徴とする請求項15記載の発明であってもよい。
【0021】
また、上述した課題を解決するために請求項16記載の発明は、コンピュータに対して、燃料電池とその外部とを連通する連通口を開閉する開閉手段による連通口の開閉状態を検出する機能と、前記検出された連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う機能と、を実現させるためのプログラム特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
この発明によれば、燃料電池とその外部とを連通する連通口の開閉状態に応じて燃料電池の運転を制御することができ、燃料電池を運転していないときには、ゴミや水の侵入を防ぎ、燃料電池を運転するときには安全に稼働することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(実施形態1)
以下、図1〜図7を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
この実施形態は、燃料電池を有する電子機器として携帯電話機に適用した場合を例示したもので、図1は、燃料電池を有する携帯電話機の外観図、(a)はその正面図、(b)はその側面図である。
この携帯電話機は、図1(a)に示すように、2つの筐体、つまり、操作部筐体1と表示部筐体2とを開閉可能に取り付けた折り畳み自在なもので、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)のほか、音楽/動画コンテンツを再生するコンテンツ再生機能などの各種の機能を備えている。
【0024】
この操作部筐体1の一側部には、図1(b)に示すように、燃料電池用の吸排気口を開閉する吸排気口開閉部3が設けられている。この吸排気口開閉部3は、操作部筐体1の一側部においてその側面に沿った方向(上下方向)に摺動可能なもので、スライド式の吸排気口開閉用カバーによって構成され、その一端部には開閉操作用の突出部3aが設けられている。なお、吸排気口開閉部3は、その突出部3aが上方向(表示部筐体2側の方向)に位置しているときには開の状態となり、逆に、突出部3aが下方向に位置しているときには閉の状態となる(図1(b)参照)。
【0025】
図2は、吸排気口開閉部3の付近を拡大して示した図である。
吸排気口開閉部3は、操作部筐体1の一側面部に形成された底浅の凹部(矩形状切欠部)4の全体を覆う(密閉)するもので、開閉操作用の突出部3aに指先を引っ掛けて手動でスライド移動させることが可能なほか、自動的なスライド移動も可能な構成となっている。また、吸排気口開閉部3は、防水パッキン(図示せず)を介して取り付けられ、凹部4を密閉した状態では防水機能を発揮する構成となっている。
【0026】
また、吸排気口開閉部3は、凹部4を閉じた状態ではフック部(図示せず)と係合することによって閉状態を保持し、凹部4を開けた状態でもフック部(図示せず)と係合することによって開いた状態を保持するようになっている。したがって、吸排気口開閉部3をスライドさせて凹部4を開閉する際には、フック部の係合を解除する必要がある。つまり、手動でスライド移動させるときには、突出部3aを押し込んでフック部の係合を解除してからスライド操作を行い、自動でスライド移動させるときにはフック部を作動させてその係合を解除してから吸排気口開閉部3をスライド移動させるようにしている。
【0027】
凹部4内には燃料電池用の吸排気口5が設けられている。この吸排気口5は、燃料電池(メタノール燃料電池)とその外部とを連通する連通口を構成するもので、運転(発電動作)時に外気を供給する吸気口と水蒸気や二酸化炭素などを外部に排出する排気口とを兼用する構成となっている。また、凹部4内には吸排気口5の開閉を検出する開閉検出部6が設けられている。この開閉検出部6は、吸排気口開閉部3のスライド移動に応じて凹部4を開閉した際に、その開閉状態を検出するもので、接触状態を検出するマイクロスイッチあるいは明暗を判定する光センサなどによって構成されている。ここで、図2(a)は、吸排気口開閉部3のスライド移動によって凹部4を完全に開いた状態を示し、(b)は、凹部4を完全に閉じた状態を示した図で、吸排気口開閉部3を一方向に付勢する引っ張りバネ(図示せず)の作用によって開閉途中の半開き状態が起こらないようにしているため、凹部4の開閉と吸排気口5の開閉とは同義となる。
【0028】
図3は、燃料電池を有する携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図である。
中央制御部11は、ROM12内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話機の全体動作を制御する中央演算処理装置などを有している。ROM12は、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図5及び図6に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。RAM13は、ワーク領域を有する内部メモリで、後述する運転設定条件記憶部M1、自動開設定記憶部M2、自動閉設定記憶部M3などを有している。
【0029】
無線通信部14は、無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能などの動作時に、最寄りの基地局との間でデータの送受信を行うもので、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部15を介して送話スピーカSPから音声出力させる。また、無線通信部14は、受話マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部15から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0030】
表示部16は、図1(a)に示すように表示部筐体2の内側(折り畳み側)に配置されたメイン画面MDと、表示部筐体2の外側に配置されたサブ画面SDとを有し、それらの表示動作を制御するもので、高精細液晶あるいは有機ELなどを使用し、例えば、文字情報、待受画像などを表示させる。操作部17は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを入力するもので、例えば、電源スイッチ、アプリケーション起動ボタン、発電ボタンなどを備えており、中央制御部11は、操作部17からの入力操作信号に応じた処理を実行する。アプリ処理関係部18は、電子メール機能、インターネット接続機能、コンテンツ再生機能などのアプリケーション処理に関する情報を記憶したり、その処理に関する制御を行ったりする。
【0031】
電源部19は、主駆動源として装置本体に内蔵された二次電池20及び燃料電池21を備えたハイブリッドバッテリ式の電源部で、この電源部19内のDC/DCコンバータ22は、燃料電池21によって生成された電気エネルギーを適切な電圧に変換して携帯電話機の各部に供給するほか、燃料電池21からの電気エネルギーを二次電池20に充電する。なお、燃料電池21の運転停止時には、二次電池20からの電気エネルギーが携帯電話機の各部に供給される。なお、二次電池20は、例えば、ニッカド電池、ニッケル水素電池、リチウム・イオン電池などである。
【0032】
燃料電池21は、例えば、メタノール燃料を使用したダイレクトメタノール型の電池であり、燃料カートリッジ23内の圧縮空気によってメタノール水を電池内に直接供給すると同時に外部から空気を供給すると(燃料電池21の運転を開始すると)、それらの化学反応によって発電するもので、その化学反応時には発熱と共にその副生成物として水蒸気、二酸化炭素が発生するが、その副生成物(水蒸気、二酸化炭素)は吸排気口5から排出される。燃料電池21には、燃料カートリッジ23から燃料が常時供給されている。なお、二次電池20及び燃料電池21は、任意に着脱可能に装着されたもので、必要に応じて交換可能となっている。なお、中央制御部11は、燃料電池21を運転するために必要なポンプ、バルブ類、ヒータ類、DC/DCコンバータ22などを制御して、携帯電話機に安定した電気エネルギーを供給するようにしている。
【0033】
充電残量検出部24は、二次電池20の残量を検出して、中央制御部11に与える。燃料残量検出部25は、燃料電池21の燃料残量を検出するもので、例えば、放電時間あるいは放電電流に応じて累積放電量に応じて燃料残量を求めるが、その検出方法は任意であり、例えば、燃料カートリッジ23の残量を検出するようにしてもよい。また、中央制御部11には、上述した開閉検出部6が接続されているほか、後述する第2実施形態で用いられるイヤホン接続部26、イヤホン接続検出部27が接続されている。
【0034】
図4は、運転設定条件記憶部M1、自動開設定記憶部M2、自動閉設定記憶部M3を説明するための図である。
運転設定条件記憶部M1は、燃料電池21を自動的に運転(発電)させるための条件を記憶するもので、この条件は、予めユーザ操作によって任意に設定されたものである。中央制御部11は、この運転設定条件を満たすかどうかを判断し、満たすときに燃料電池21の発電を開始させるようにしている。図4(a)は、運転設定条件記憶部M1の内容を示したもので、図示の例では、音声通話などに対する応答終了時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定と、コンテンツ再生などのアプリケーション処理の終了時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定と、吸排気口5を閉状態から開状態への変化時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定が行われている場合を示している。
【0035】
自動開設定記憶部M2は、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に開かせるための条件を記憶するもので、この条件は、予めユーザ操作によって任意に設定されたものである。中央制御部11は、この設定条件を満たすかどうかを判断し、満たせば、吸排気口5を自動的に開かせるようにしている。図4(b)は、自動開設定記憶部M2の内容を示したもので、図示の例では、二次電池20の残量が少ない第1閾値(例えば、満充電の25%相当量)未満で、かつ、吸排気口5が閉状態であることを条件に、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に開けるか否かのON/OFF設定が行われている場合を示している。
【0036】
自動閉設定記憶部M3は、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に閉まるための条件を記憶するもので、この条件は、予めユーザ操作によって任意に設定されたものである。中央制御部11は、この設定条件を満たすかどうかを判断し、満たせば、吸排気口5を自動的に閉まるようにしている。図4(c)は、自動閉設定記憶部M3の内容を示したもので、図示の例では、燃料電池21の運転が停止し、かつ、吸排気口5が開状態であることを条件に、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に閉じるか否かのON/OFF設定が行われている場合を示している。
【0037】
次に、この第1実施形態における携帯電話機の動作概念を図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。このことは後述する他の実施形態においても同様であり、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用してこの実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0038】
図5及び図6は、電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャートである。
先ず、中央制御部11は、電源スイッチのON操作に応答して(図5のステップA1でYES)、電源部19を制御することによって二次電池20を電源として稼動させて当該携帯電話機の各部位に電力を供給させるほか、所定のメモリなどを初期化する電源オン処理を実行する(ステップA2)。そして、充電残量検出部24によって検出された二次電池20の残量と、予め設定されている第1閾値(例えば、満充電の25%相当量)とを比較して、充電残量は第1閾値未満の残量不足間近であるかを判別する(ステップA3)。
【0039】
いま、二次電池20が残量不足間近になっていれば(ステップA3でYES)、燃料電池21を運転開始するのに先立って、開閉検出部6をアクセスして吸排気口5は開状態にあるかを調べ(ステップA4)、それが開状態であれば、燃料残量検出部25をアクセスして、燃料電池21の残量はその第1閾値(例えば、満タンの35%相当量)以上で発電に十分な量であるかを調べる(ステップA5)。燃料残量がその第1閾値未満であれば(ステップA5でNO)、燃料不足を回避する早めの対応として、燃料を補給すべきことを要求するメッセージを表示させる(ステップA6)。そして、燃料カートリッジ23が交換されて燃料が補給されるまで待ち状態となるが(ステップA7)、燃料が補給されると、上述のステップA4に戻る。
【0040】
また、燃料残量が発電するのに十分な第1閾値以上であれば(ステップA5でYES)、燃料カートリッジ23からの燃料供給と吸排気口5からの空気供給に応じて燃料電池21の運転を開始させる(ステップA8)。これによって燃料電池21からの電気エネルギーが二次電池20に充電されることになる。この充電中において充電残量検出部24によって検出された二次電池20の残量と、予め設定されている第2閾値(例えば、満充電の76%相当量)とを比較し、充電残量は満充電あるいはそれに近い第2閾値以上まで回復したかを調べる(ステップA9)。
【0041】
充電開始直後では、充電残量は不十分で第2閾値未満のままであるので(ステップA9でNO)、次のステップA10に移り、燃料電池21の残量はその第2閾値(満タンの15%相当量)未満の燃料不足間近であるかを調べる。ここで、燃料残量が十分有れば(ステップA10でNO)、そのまま充電を継続するが、この充電中においては、吸排気口開閉部3がスライド操作されて吸排気口5が開状態から閉状態に変化したかを調べる(ステップA15)。いま、充電中に吸排気口5が開状態から閉状態に切り替えられると(ステップA15でYES)、燃料電池21への燃料供給を遮断してその運転を強制的に停止させたのち(ステップA16)、上述のステップA3に戻るが、吸排気口5が開状態のままであれば(ステップA15でNO)、引き続き充電を継続させるためにステップA5に戻る。
【0042】
また、充電中において二次電池20への充電が不十分であっても(ステップA9でNO)、燃料電池21の残量が燃料不足間近となったときには(ステップA10でYES)、燃料電池21の空運転を防止するために燃料電池21への燃料供給を遮断してその運転を緊急停止させる(ステップA11)。一方、充電によって二次電池20の充電残量が第2閾値以上となって十分回復したときには(ステップA9でYES)、燃料電池21への燃料供給を遮断してその運転を停止させる(ステップA11)。
【0043】
そして、自動閉設定記憶部M3をアクセスして、吸排気口5を自動的に閉じるか否かのON/OFF設定を参照し、それがON設定されていれば(ステップA12でYES)、燃料電池21の運転が停止されていること、かつ、吸排気口5が開状態にあることを条件に、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に閉じたのち(ステップA13)、上述のステップA3に戻る。
【0044】
また、自動閉がOFF設定されていれば(ステップA12でNO)、ユーザに対して吸排気口5を閉状態にすべきことを要求する誘導報知を行う(ステップA14)。図7(a)は、充電が十分行われた場合の誘導報知画面を示し、吸排気口5が開状態であることを示すアイコンOPを点滅表示させることによって吸排気口5を閉状態にすべきことを要求するようにしている。なお、図中、FLは、燃料電池21の燃料残量を示すアイコン、BLは、二次電池20の残量を示すアイコン、DTは現在の日時情報である。この誘導報知画面は、メイン画面MD、サブ画面SDの何れに表示するようにしてもよい。その後、上述のステップA3に戻る。
なお、上述のような誘導報知によって吸排気口5を開状態から閉状態に移行させる閉操作が行われたかを調べるようにしてもよい。この場合、閉操作が行われるまで待機状態となり、閉操作が行われた際に、上述のステップA3に戻るようにしてもよい。
【0045】
一方、二次電池20が残量不足間近であっても(ステップA3でYES)、吸排気口5が閉状態であれば(ステップA4でNO)、自動開設定記憶部M2をアクセスして、吸排気口5を自動的に開くか否かのON/OFF設定を参照し、自動開がON設定されているかを調べる(ステップA17)。いま、自動開がON設定されていれば、二次電池20が残量不足間近で、かつ、吸排気口5が閉状態であることを条件に、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に開ける(ステップA18)。そして、発電に十分な燃料残量があることを条件に(ステップA5)、燃料電池21の運転を開始させる(ステップA8)。
【0046】
また、自動開がOFF設定されていれば(ステップA17でNO)、充電開始の準備として吸排気口5を開状態にすべきことを要求する誘導報知を行う(ステップA19)。図7(b)は、充電開始の準備を促す誘導報知画面を示し、吸排気口5の閉状態であることを示すアイコンCLを点滅表示させることによって吸排気口5を開状態にすべきことを要求するようにしている。なお、この誘導報知画面は、上述したようにメイン画面MD、サブ画面SDの何れに表示するようにしてもよい。
【0047】
このような誘導報知を確認したユーザによる開操作の有無を調べる(ステップA20)。つまり、吸排気口開閉部3をスライド操作させることによって吸排気口5を閉状態から開状態に移行させる開操作が行われたかを調べ、開操作が行われなければ、上述のステップA3に戻り、以下、開操作が行われるまで待ち状態となるが、開操作が行われたときには(ステップA20でYES)、発電に十分な燃料残量があることを条件に(ステップA5)、燃料電池21の運転を開始させる(ステップA8)。
【0048】
他方、二次電池20の充電残量が第1閾値以上であれば(ステップA3でNO)、図6のフローに移り、所定の待受画像を読み出して表示させながら着信待ち受け状態となる(ステップA21)。ここで、通話着信/メール着信が有れば(ステップA22でYES)、通話可能状態/メール閲覧可能状態とする着信応答処理を行う(ステップA23)。その後、応答終了操作が行われると(ステップA24でYES)、運転設定条件記憶部M1をアクセスして、燃料電池21を自動的に運転するか否かを示すON/OFF設定を参照し、それがOFF設定されているかを調べる(ステップA25)。いま、自動運転がOFF設定されていれば、図5のステップA3に戻るが、自動運転がON設定されていれば(ステップA25でYES)、吸排気口5が開状態で十分な燃料残量であることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図5のステップA4〜A8)。
【0049】
また、待ち受け状態においてコンテンツ再生などのアプリケーションの起動を指示する操作が行われたときには(ステップA26でYES)、ユーザ指示されたアプリケーション処理を実行する(ステップA27)。その後、アプリケーション終了操作が行われると(ステップA28でYES)、運転設定条件記憶部M1をアクセスして、アプリケーション処理の終了時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定を参照し、それがON設定されているかを調べる(ステップA29)。いま、自動運転がOFF設定されていれば、図5のステップA3に戻るが、自動運転がON設定されていれば(ステップA29でYES)、吸排気口5が開状態で十分な燃料残量であることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図5のステップA4〜A8)。
【0050】
その他、ユーザ操作によって強制的に燃料電池21の発電させる発電ボタンが操作されたかを調べたり(ステップA30)、ユーザ操作による強制的に開閉操作によって吸排気口5が閉状態から開状態に変化したかを調べたり(ステップA31)、電源ボタンの操作などによって電源OFF処理が指示されたかを調べたりする(ステップA33)。ここで、発電ボタンが操作されたときには(ステップA30でYES)、吸排気口5が開状態で十分な燃料残量であることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図5のステップA4〜A8)。
【0051】
また、吸排気口開閉部3に対する開閉操作によって吸排気口5が閉状態から開状態に変化したときには(ステップA31でYES)、運転設定条件記憶部M1をアクセスして、吸排気口5の閉状態から開状態への変化時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定を参照し、それがON設定されているかを調べる(ステップA32)。いま、自動運転がOFF設定されていれば、ステップA33に移るが、自動運転がON設定されていれば(ステップA32でYES)、十分な燃料残量であることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図5のステップA5〜A8)。また、電源OFF処理が指示されたときには(ステップA33でYES)、電源部19を制御して二次電池20での稼動をOFFさせる(ステップA34)。
【0052】
以上のように、この第1実施形態において中央制御部11は、吸排気口5の開閉状態を開閉検出部6によって検出されると、この開閉状態に基づいて燃料電池の運転制御を行うようにしたので、燃料電池21を運転していないときには、吸排気口5を閉じてゴミや水の侵入を防いで防水機能を補完することができ、燃料電池21を運転するときには携帯電話機を安全に稼働することが可能となる。
【0053】
吸排気口5が開状態にあれば、燃料電池21の運転を許可し、吸排気口5が閉状態にあれば、燃料電池21の運転を抑制するようにしたので、ユーザにあっては吸排気口5の開閉状態を気にしなくても、燃料電池21の運転制御を安全に、かつ、手間をかけずに行うことができる。
【0054】
吸排気口5が閉状態から開状態に変化した際に、燃料電池21の運転を開始するようにしたので、吸排気口5の開閉状態と燃料電池21の運転との連動によって燃料電池21の運転を安全、かつ、容易に開始させることができる。
【0055】
吸排気口5が開状態から閉状態に変化した際に、燃料電池21の運転を停止するようにしたので、吸排気口5の開閉状態と燃料電池21の運転停止との連動によって燃料電池21の運転を安全、かつ、容易に停止させることができる。
【0056】
吸排気口5の開閉状態に基づいて燃料電池21の運転制御を行うほか、燃料電池21によって充電される二次電池20の充電残量に基づいて燃料電池21の運転制御を行うようにしたので、燃料電池21を運転していないときでも二次電池20によって携帯電話機を稼動できるほか、二次電池20の残量に応じて燃料電池21の運転を制御することができる。したがって、従来のように吸排気口の開閉状態を注意しつつ、二次電池20の残量を気にしながら携帯電話機を使わなければならないという問題もなく、二次電池20及び燃料電池21を内蔵したハイブリッドバッテリ式の携帯電話機にとって有効なものとなる。
【0057】
吸排気口5の開閉状態に基づいて燃料電池21の運転制御を行うほか、燃料残量に基づいて燃料電池21の運転制御を行うようにしたので、燃料不足による空運転という不具合を防ぐことができる。
【0058】
吸排気口5の開閉状態に基づいて燃料電池21の運転制御を行うほか、燃料電池21を自動的に運転させるための条件を記憶する運転設定条件記憶部M1の設定内容に基づいて燃料電池の運転制御を行うようにしたので、例えば、通話などに対する応答終了時、コンテンツ再生などのアプリケーション処理の終了時、吸排気口5を閉状態から開状態への変化時に燃料電池21を自動的に運転するか否か制御することができ、ユーザの意志を反映させることができる。
【0059】
燃料電池21の運転開始に先立って、吸排気口5が閉状態にあれば、吸排気口5を開状態にすべきことを促す誘導報知を行うようにしたので、運転準備を知らせることができる。
【0060】
燃料電池21が停止している際に、吸排気口5が開状態にあれば、吸排気口5を閉状態にすべきことを促す誘導報知を行うようにしたので、ゴミや水が侵入する機会を減らすことができる。
【0061】
燃料電池21の運転開始に先立って、吸排気口5が閉状態にあれば、吸排気口5を閉状態から開状態に変更するようにしたので、ユーザに負担をかけず、燃料電池21の運転を安全、かつ、容易に開始させることができる。
【0062】
燃料電池21が停止している際に、吸排気口5が開状態にあれば、吸排気口5を開状態から閉状態に変更するようにしたので、ユーザに負担をかけず、ゴミや水が侵入する機会を減らすことができる。
【0063】
(実施形態2)
以下、この発明の第2実施形態について図8〜図11を参照して説明する。
なお、上述した第1実施形態においては、吸排気口5の開閉状態に基づいて燃料電池の運転制御を行うようにしたが、この第2実施形態においては、吸排気口5の開閉状態に基づいて燃料電池21の運転制御するほか、外部機器(イヤホン)の接続状態に基づいて燃料電池21の運転制御を行うようにしたものである。
ここで、両実施形態において基本的あるいは名称的に同一のものは、同一符号を付して示し、その説明を省略すると共に、以下、第2実施形態の特徴部分を中心に説明するものとする。
【0064】
図8は、第2実施形態において吸排気口開閉部3の付近を拡大して示した図である。
図8(a)に示すように操作部筐体1の一側面部に形成された凹部4内には、燃料電池用の吸排気口5、開閉検出部6のほか、吸排気口5の近傍にイヤホン接続部26が設けられている。図8(a)は、吸排気口開閉部3を開いた状態、図8(b)は、吸排気口開閉部3を閉じた状態を示し、吸排気口開閉部3のスライド移動に応じて凹部4を閉じた際に、イヤホン接続部26と吸排気口5とは吸排気口開閉部3によって密閉されるようになっている。
【0065】
このように第2実施形態の吸排気口開閉部3は、吸排気口5を開閉するカバーとイヤホン接続部26を開閉するカバーとを兼用するようにしている。したがって、吸排気口5が開状態(燃料電池21が運転可能な状態)ではイヤホン8が装着可能な状態にある。また、イヤホン接続部26を吸排気口5の近傍に設けたとしても、イヤホン8の接続状態に基づいて燃料電池21の運転を制御することによって燃料電池21の運転時に吸排気口5から排出された副生成物がイヤホン接続部26から侵入しないようにしている。なお、図3に示したイヤホン接続検出部27は、イヤホン接続部26にイヤホン8が接続されているか否かの検出を行うもので、その検出結果は中央制御部11に与えられる。
【0066】
図9は、第2実施形態において運転設定条件記憶部M1、自動開設定記憶部M2、自動閉設定記憶部M3の設定内容を説明するための図である。
図9(a)は、運転設定条件記憶部M1の内容を示し、図示の例では、音声通話などに対する応答終了時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定と、コンテンツ再生などのアプリケーション処理の終了時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定のほか、この第2実施形態ではイヤホン8の接続時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定が行われている場合を示している。
【0067】
自動開設定記憶部M2には、第1実施形態と同様に、充電残量検出部24からの検出結果に応じて二次電池20の残量が少なくなった第1閾値未満で、かつ、吸排気口5が閉状態であることを条件に、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に開けるか否かのON/OFF設定が行われているが(図9(b)参照)、自動閉設定記憶部M3には、図9(c)に示すように、燃料電池21の運転が停止していてイヤホン8の接続が外されていることを条件に、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に閉じるか否かのON/OFF設定が行われている。
【0068】
図10及び図11は、第2実施形態において電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャートである。なお、上述した第1実施形態の図5及び図6と基本的に同様なものはその説明を簡素化し、第2実施形態の特徴部分を詳述するものとする。
先ず、中央制御部11は、電源スイッチのON操作に応答して(図10のステップB1でYES)、二次電池20を電源として稼動させたのち(ステップB2)、二次電池2が残量不足間近であれば(ステップB3でYES)、燃料電池21を運転開始するのに先立って、吸排気口5が開状態であるかを調べ(ステップB4)、それが閉状態であれば、上述した図7(b)に示すように充電開始の準備を促す誘導報知を行い、吸排気口5の閉状態であることを示すアイコンCLを点滅表示させることによって吸排気口5を開状態にすべきことを要求する(ステップB5)。
【0069】
また、吸排気口5が開状態である場合(ステップB4でYES)、あるいは吸排気口開閉部3のスライド操作で吸排気口5を閉状態から開状態に移行させる開操作が行われた場合には(ステップB6でYES)、イヤホン接続検出部27をアクセスしてイヤホン接続部26にイヤホン8が接続されているかを調べる(ステップB7)。ここで、イヤホン8が接続されていなければ(ステップB7でNO)、イヤホン8を接続すべきことを要求するメッセージを表示させたのち(ステップB8)、イヤホン接続検出部27をアクセスしてイヤホン8が接続されたかを調べる(ステップB9)。
【0070】
いま、イヤホン8が外されたままであれば(ステップB9でNO)、燃料電池21の運転を抑制するために上述のステップB3に戻るが、イヤホン8が接続されているときには(ステップB7、B9でYES)、燃料残量が十分有ることを条件に(ステップB10)、燃料電池21の運転を開始させて二次電池20を充電させる(ステップB13)。これによって二次電池20の残量が十分回復したかを調べ(ステップB14)、充電が不十分であれば、燃料残量が十分有ることを条件に(ステップB18でYES)、そのまま充電を継続させる。また、この充電中にイヤホン8が外されたことが検出されると(ステップB19でYES)、燃料電池21の運転を強制的に停止させたのち(ステップB20)、図7(a)に示す誘導報知を行い、吸排気口5が開状態であることを示すアイコンOPを点滅表示させることによって吸排気口5を閉状態にすべきことを要求する(ステップB17)。
【0071】
また、充電中において燃料不足間近になったときでも(ステップB18でYES)、燃料電池21の運転を強制的に停止させる(ステップB15)。そして、イヤホン8が外されたことを条件に(ステップB16でYES)、図7(a)に示す誘導報知を行い、吸排気口5を閉状態にすべきことを要求する(ステップB17)。なお、上述した第1実施形態と同様に、自動閉設定記憶部M3をアクセスして、吸排気口5を自動的に閉じるか否かのON/OFF設定を参照し、それがON設定されていれば、吸排気口開閉部3を作動させて吸排気口5を自動的に閉じるが、自動閉がOFF設定されていれば、吸排気口5を閉状態にすべきことを要求する誘導報知を行うようにしてもよい。
【0072】
他方、二次電池20の残量が十分有れば(ステップB3でNO)、図11のフローに移り、着信待ち受け処理を行ったのち(ステップB21)、着信応答処理に移る(ステップB22〜B24)。その後、燃料電池21を自動的に運転するか否かを示すON/OFF設定を参照し、それがOFF設定されていれば(ステップB25でNO)、図10のステップB3に戻るが、ON設定されていれば(ステップB25でYES)、吸排気口5が開状態で十分な燃料残量であること、イヤホン8が接続されていることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図10のステップB4〜B13)。
【0073】
また、アプリケーション起動指示に応答してアプリケーション処理を実行したのち(ステップB26〜B28)、アプリケーション処理の終了時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定を参照し、それがOFF設定されていれば(ステップB29でNO)、図10のステップB3に戻るが、ON設定されていれば(ステップB29でYES)、吸排気口5が開状態で十分な燃料残量であること、イヤホン8が接続されていることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図10のステップB4〜B13)。
【0074】
その他、ユーザ操作によって強制的に燃料電池21の発電させる発電ボタンが操作されたかを調べたり(ステップB30)、イヤホン8が接続されたか否かを調べたり(ステップB31)、電源ボタンの操作などによって電源OFFが指示されたかを調べたりする(ステップB33)。いま、発電ボタンが操作されたときには(ステップB30でYES)、吸排気口5が開状態で十分な燃料残量であること、イヤホン8が接続されていることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図10のステップB4〜B13)。
【0075】
また、イヤホン8が接続されたときには(ステップB31でYES)、運転設定条件記憶部M1をアクセスして、イヤホン8の接続時に燃料電池21を自動的に運転するか否かのON/OFF設定を参照し、それがOFF設定されていれば(ステップB32でNO)、ステップB33に移るが、ON設定されていれば(ステップB32でYES)、十分な燃料残量であることを条件に燃料電池21の運転を開始させる(図10のステップB10〜B13)。また、電源OFFが指示されたときには(ステップB33でYES)、電源部19を制御して二次電池20での稼動をOFFさせる(ステップB34)。
【0076】
以上のように、この第2実施形態において吸排気口開閉部3は、吸排気口5を開閉するほか、外部機器(イヤホン8)を接続するためのイヤホン接続部26を開閉するようにしたので、吸排気口5の開閉とイヤホン接続部26の開閉とを兼用することができ、実装スペースの削減と部品点数の削減が可能となるほか、燃料電池21を運転していないときには、吸排気口5、イヤホン接続部26からのゴミや水の侵入を防ぐことができる。
【0077】
イヤホン接続検出部27は、イヤホン8が接続されているか否かを検出し、吸排気口5の開閉状態に基づいて燃料電池21の運転制御を行うほか、イヤホン接続検出部27によって検出された接続状態に基づいて燃料電池21の運転制御を行うようにしたので、イヤホン接続部26にイヤホン8が接続されていることを条件に燃料電池21を運転させることができ、イヤホン接続部26を吸排気口5の近傍に設けたとしても、燃料電池21の運転時に吸排気口5から排出された副生成物がイヤホン接続部26からの侵入を防止して、好適な燃料電池21の運転制御が可能となる。
【0078】
なお、上述した各実施形態においては、二次電池20の残量が少なくなった第1閾値(例えば、満充電の25%相当量)未満となった際に、一定の条件で燃料電池21の運転を開始するようにしたが、この閾値は任意であり、例えば、図12の表で示すように、吸排気口5が開いている場合に、二次電池20の残量が満充電の50%相当量以下のときに燃料電池21の運転(発電)を開始する積極的発電モードと、吸排気口5が閉じている場合に、二次電池20の残量が満充電の25%相当量以下のときに燃料電池21の運転(発電)を開始する消極的発電モードを切り替え可能としてもよい。
【0079】
なお、上述の積極的発電モードでは、二次電池20の残量が多く満充電の100%〜75%相当量のときには、吸排気口5を閉じるべきことを要求する誘導報知を行い、また、消極的発電モードでは、二次電池20の残量が極少で満充電の25%〜0%相当量のときには、吸排気口5を開けるべきことを要求する誘導報知を行うようにすればよい。このように積極的発電モードと消極的発電モードとを切り替えることによって燃料電池21の運転を開始する閾値を変更可能としてもよい。この場合、ユーザや使用状況に応じて閾値を変更するようにすればよい。
【0080】
また、上述した各実施形態においては、吸気口と排気口とを兼用した吸排気口5を例示したが、吸気口と排気口とを別個独立に設けてもよい。この場合、吸気口開閉部と排気口開閉部とを設ければよい。これによって吸気口と排気口とを別個に制御することができる。
上述した各実施形態においては、吸排気口開閉部3としてスライド式を例示したが、嵌め込み式、回転式の吸排気口開閉部3などであってもよい。
【0081】
上述した各実施形態においては、アイコンの点滅表示によって誘導報知を行うようにしたが、勿論、メッセージ表示、音声メッセージなどによって誘導報知を行うようにしてもよい。
その他、携帯電話機に限らず、例えば、PDA、デジタルカメラなどの携帯端末であってもよく、また、ノート型のPC(パーソナルコンピュータ)やテレビジョン受信機などであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】燃料電池を有する電子機器として適用した携帯電話機の外観図で、(a)はその正面図、(b)はその側面図。
【図2】吸排気口開閉部3の付近を拡大して示した図。
【図3】燃料電池を有する携帯電話機の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図4】(a)〜(c)は、運転設定条件記憶部M1、自動開設定記憶部M2、自動閉設定記憶部M3を説明するための図。
【図5】電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャート。
【図6】図5に続く動作を示したフローチャート。
【図7】(a)は、十分な充電が行われた場合の誘導報知画面、(b)は、充電開始の準備を促す誘導報知画面を示した図。
【図8】第2実施形態において吸排気口開閉部3の付近を拡大して示した図。
【図9】(a)〜(c)は、第2実施形態において運転設定条件記憶部M1、自動開設定記憶部M2、自動閉設定記憶部M3の設定内容を説明するための図。
【図10】第2実施形態において電源投入に伴って実行開始される携帯電話機の全体動作を示したフローチャート。
【図11】図10に続く動作を示したフローチャート。
【図12】実施形態の変形応用例を説明するための図。
【符号の説明】
【0083】
1 操作部筐体
3 吸排気口開閉部
5 吸排気口
6 開閉検出部
8 イヤホン
11 中央制御部
12 ROM
16 表示部
17 操作部
19 電源部
20 二次電池
21 燃料電池
23 燃料カートリッジ
24 充電残量検出部
25 燃料残量検出部
26 イヤホン接続部
27 イヤホン接続検出部
M1 運転設定条件記憶部
M2 自動開設定記憶部
M3 自動閉設定記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料電池を有する電子機器において、
前記燃料電池とその外部とを連通する連通口を開閉する連通口開閉手段と、
この連通口開閉手段による連通口の開閉状態を検出する開閉検出手段と、
この開閉検出手段によって検出された連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う運転制御手段と、
を具備したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記連通口は、前記燃料電池の運転に必要な酸化剤を供給する吸気口、当該燃料電池の運転に伴って生成される副生成物を放出する排気口のうち、少なくともその何れか一方である、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記連通口は、前記燃料電池の運転に必要な酸化剤を供給する吸気口と当該燃料電池の運転に伴って生成される副生成物を放出する排気口とを兼用する吸排気口である、
ことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項4】
前記運転制御手段は、前記開閉検出手段によって前記連通口が開状態にあると検出された場合に前記燃料電池の運転を許可し、前記連通口が閉状態にあると検出された場合に前記燃料電池の運転を抑制する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項5】
前記運転制御手段は、前記開閉検出手段によって前記連通口が閉状態から開状態に変化したことが検出された際に、前記燃料電池の運転を開始する、
ようにしたことを特徴とする請求項請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項6】
前記運転制御手段は、前記開閉検出手段によって前記連通口が開状態から閉状態に変化したことが検出された際に、前記燃料電池の運転を停止する、
ようにしたことを特徴とする請求項請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項7】
前記燃料電池によって充電される二次電池の充電残量を検出する充電検出手段を更に備え、
前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記充電検出手段によって検出された二次電池の充電残量に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項8】
前記燃料電池の燃料残量を検出する燃料検出手段を更に備え、
前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記燃料検出手段によって検出された燃料残量に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項9】
特定条件に応じて前記燃料電池を運転すべきことを設定する運転設定手段を更に備え、
前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記運転設定手段による設定内容に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項10】
前記連通口を開状態にすべきことを促す誘導報知を行う開誘導報知手段を更に備え、
この開誘導報知手段は、前記運転制御手段による前記燃料電池の運転開始に先立って、前記開閉検出手段によって連通口が閉状態にあることが検出されていれば、前記連通口を開状態にすべきことを促す誘導報知を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項11】
前記連通口を閉状態にすべきことを促す誘導報知を行う閉誘導報知手段を更に備え、
この閉誘導報知手段は、前記燃料電池が停止している際に、前記開閉検出手段によって連通口が開状態にあることが検出されていれば、前記連通口を閉状態にすべきことを促す誘導報知を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項12】
前記連通口を自動開口する自動開口手段を更に備え、
前記自動開口手段は、前記運転制御手段による前記燃料電池の運転開始に先立って、前記開閉検出手段によって前記連通口が閉状態にあることが検出されていれば、前記連通口を閉状態から開状態に変更する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項13】
前記連通口を自動閉口する自動閉口手段を更に備え、
前記自動閉口手段は、前記燃料電池が停止している際に、前記開閉検出手段によって前記連通口が開状態にあることが検出されていれば、前記連通口を開状態から閉状態に変更する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項14】
外部機器を接続するための接続端子部を開閉する接続部開閉手段を更に備え、
前記連通口開閉手段は、前記接続部開閉手段を兼ねた構成で、前記連通口を開閉すると共に前記接続端子部を開閉する、
ようにしたことを特徴とする請求項1〜3の何れか記載の電子機器。
【請求項15】
前記接続端子部に外部機器が接続されているか否かを検出する接続検出手段を更に備え、
前記運転制御手段は、前記連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行うほか、前記接続検出手段によって検出された接続状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項14記載の電子機器。
【請求項16】
コンピュータに対して、
燃料電池とその外部とを連通する連通口を開閉する開閉手段による連通口の開閉状態を検出する機能と、
前記検出された連通口の開閉状態に基づいて前記燃料電池の運転制御を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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