説明

電子機器及び制御方法

【課題】複数の動作モードのいずれかに設定可能な場合に、各動作モードにおいて音声認識による操作性を向上させる電子機器及び制御方法を提供する。
【解決手段】携帯電話機1は、通常モードで起動可能な複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた通常辞書データ71、及びかんたんモードで起動可能な複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられたかんたん辞書データ72を記憶する記憶部70と、音声認識機能起動時において、通常モード又はかんたんモードの内のいずれに設定されているかを判定するモード判定部50と、通常モードに設定されていると判定された場合には通常辞書データ71を参照して音声認識を行い、一方でかんたんモードに設定されていると判定された場合にはかんたん辞書データ72を参照して音声認識を行う音声認識部60と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声認識機能を有する電子機器及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機やナビゲーション装置等の電子機器において、音声認識により所定の処理を実行させる機能が搭載されている。例えば、電子機器のユーザは、選択操作をすることなく、音声によりメール機能の呼び出しやアドレス帳からの選択等の指示を行うことができる。
【0003】
このような電子機器は、音声認識の結果と照合させる認識辞書を備える。しかしながら、認識辞書を変更しなければならない状況も生じうる。特許文献1においては、携帯型の電子機器に対して音声認識サービスを実現する上で用いられる、分散処理型の音声認識サーバにおける認識辞書の更新処理について記載されており、特に複数の音声認識処理部を保有する場合の認識辞書更新の効率の向上を図ることが提案されている。
【0004】
また、電子機器において、通常の動作モードとは別に、実行可能な機能を限定して操作を簡略化した特定の動作モードが設けられている場合がある。この特定の動作モードの場合、音声認識機能により、さらに利便性を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−15209号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1にも記載されているように、認識辞書の更新には大きな処理負荷を必要としている。一方で、音声認識処理の機能ブロック自体がコンパクト化され、携帯型の電子機器そのものに搭載されるようになりつつある。当然ながら携帯型の電子機器は、サーバに比べて処理能力が低いため、わずかな認識辞書の更新であっても更新処理が生じると、その処理に大きく時間がかかってしまう。その結果、ユーザの操作に対する応答が遅くなってしまうという不都合が生じてしまう。
【0007】
したがって、音声認識処理は、特定の動作モードにおいて実行可能な限定的な機能にのみ対応させ、認識辞書のサイズ及び音声認識に関する各種処理負荷の低減が図られている。すると、通常の動作モードにおいては、音声認識の利便性が得られない。また、認識辞書を拡大して通常の動作モードにも対応させると、機能数の増加や、機能に対するモード毎の読み仮名(機能名)の増加に伴って音声認識による操作性が低下する。
【0008】
そこで本発明は、複数の動作モードのいずれかに設定可能な場合に、各動作モードにおいて音声認識による操作性を向上させる電子機器及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る電子機器は、第1の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第1の動作モード、及び第2の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第2の動作モードの内のいずれかに設定可能な電子機器であって、前記第1の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第1の音声認識辞書、及び前記第2の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第2の音声認識辞書を記憶する記憶部と、音声認識機能起動時において、前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの内のいずれに設定されているかを判定する判定部と、前記判定部により前記第1の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第1の音声認識辞書を参照して音声認識を行い、一方で前記第2の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第2の音声認識辞書を参照して音声認識を行う音声認識部と、を備える。
【0010】
また、本発明に係る電子機器は、前記第1の音声認識辞書又は前記第2の音声認識辞書におけるいずれかの読み仮名が変更されると、当該変更に従って読み仮名を更新する更新部をさらに備え、前記更新部は、前記読み仮名が変更された音声認識辞書と同一の音声認識辞書において、前記変更された読み仮名と同一の読み仮名が存在する場合、前記変更に従って読み仮名の更新を行わないことが好ましい。
【0011】
また、前記更新部は、前記第1の音声認識辞書又は前記第2の音声認識辞書の内、一方の音声認識辞書の所定の機能に対応付けられた読み仮名が変更された際に、他方の音声認識辞書においても前記所定の機能に対応付けられた読み仮名が存在する場合、前記一方の音声認識辞書の読み仮名と同じく前記他方の音声認識辞書の読み仮名も更新することが好ましい。
【0012】
また、前記更新部は、前記一方の音声認識辞書を参照する動作モードから前記他方の音声認識辞書を参照する動作モードに切り替えられたとき、前記他方の音声認識辞書を更新することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る電子機器は、表示部をさらに備え、前記更新部は、前記変更された読み仮名と同一の読み仮名が前記同一の音声認識辞書に存在しないが他方の音声認識辞書に存在する場合、当該他方の音声認識辞書を参照する動作モード、及び前記変更された読み仮名に対応付けられた機能を表示させることにより報知することが好ましい。
【0014】
また、前記更新部は、前記他方の音声認識辞書において、前記変更された読み仮名が前記一方の音声認識辞書とは異なる機能に対応付けられている場合に報知し、前記変更された読み仮名が前記一方の音声認識辞書と同一の機能に対応付けられている場合には報知しないことが好ましい。
【0015】
本発明に係る制御方法は、第1の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第1の動作モード、及び第2の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第2の動作モードの内のいずれかに設定可能な電子機器の制御方法であって、前記電子機器は、前記第1の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第1の音声認識辞書、及び前記第2の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第2の音声認識辞書を記憶しており、音声認識機能起動時において、前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの内のいずれに設定されているかを判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記第1の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第1の音声認識辞書を参照して音声認識を行い、一方で前記第2の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第2の音声認識辞書を参照して音声認識を行う音声認識ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電子機器が複数の動作モードのいずれかに設定可能な場合に、各動作モードにおいて音声認識による操作性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯電話機の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯電話機の機能を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態に係る音声認識辞書及び読み仮名の更新例を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る複数の音声認識辞書のデータ例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係る警告画面の表示例を示す図である。
【図6】本発明の実施形態に係る音声認識機能の起動時の処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の実施形態に係る音声認識辞書の編集処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好適な実施形態の一例について説明する。なお、本実施形態では、電子機器の一例として、通常モード(第1の動作モード)と、かんたんモード(第2の動作モード)との2つの動作モードの内、いずれかに設定可能な携帯電話機1を説明する。
【0019】
図1は、本実施形態に係る携帯電話機1の外観斜視図である。
なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話機の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話機の形態はこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが1つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ)でもよい。
【0020】
携帯電話機1は、操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備えて構成される。操作部側筐体2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時や音声認識アプリケーションを利用時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定機能や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメールの文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15と、から構成されている。
【0021】
また、表示部側筐体3は、表面部20に、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバ22と、を備えて構成されている。
【0022】
また、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話機1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに開いた状態(開状態)にしたり、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを折り畳んだ状態(閉状態)にしたりできる。
【0023】
図2は、本実施形態に係る携帯電話機1の機能を示すブロック図である。
携帯電話機1は、操作部11と、表示部21と、制御部30と、通信部40と、モード判定部50と、音声認識部60と、記憶部70と、辞書更新部80とを備える。
【0024】
制御部30は、携帯電話機1の全体を制御しており、例えば、表示部21、通信部40等の各部に対して所定の制御を行う。また、制御部30は、操作部11や通信部40等から入力を受け付けて、各種処理を実行する。そして、制御部30は、処理実行の際には、記憶部70を制御し、各種プログラム及びデータの読み出し、及びデータの書き込みを行う。
【0025】
通信部40は、所定の使用周波数帯(例えば、2GHz帯や800MHz帯等)で外部装置(基地局)と通信を行う。通信部40は、アンテナ41より受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部30に供給する。また、制御部30から供給された信号を変調処理し、アンテナ41を介して外部装置に送信する。
【0026】
モード判定部50は、音声認識機能の起動時において、携帯電話機1が通常モード又はかんたんモードの内、いずれに設定されて動作中であるかを判定する。
【0027】
音声認識部60は、制御部30からの指令に基づいて、マイク12から入力された信号の音声認識処理を実行し、処理結果(音声をテキスト化したテキスト情報)を制御部30へ提供する。このとき、音声認識部60は、モード判定部50により通常モードに設定されていると判定された場合、記憶部70の通常辞書データ71(第1の音声認識辞書)を参照する。一方、かんたんモードに設定されていると判定された場合、音声認識部60は、記憶部70のかんたん辞書データ72(第2の音声認識辞書)を参照する。
【0028】
記憶部70は、本実施形態に係る各種プログラムを記憶し、また、制御部30による演算処理に利用される。さらに、記憶部70は、通常モードにおいて起動可能な機能群(第1の機能群)に含まれる複数の機能と音声認識時に参照されるこの機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた通常辞書データ71と、かんたんモードにおいて起動可能な機能群(第2の機能群)に含まれる複数の機能と音声認識時に参照されるこの機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられたかんたん辞書データ72とを記憶している。
【0029】
なお、音声認識辞書は、音声認識の結果として得られるテキスト情報と照合する読み仮名の選択肢を含むデータである。この読み仮名のそれぞれは、各動作モードにおいて起動可能な機能と対応付けられており、選択肢の中に音声認識の結果と同一の読み仮名があった場合に、対応付けられている機能が制御部30により実行される。
【0030】
辞書更新部80は、操作部11等から、通常辞書データ71又はかんたん辞書データ72におけるいずれかの読み仮名が変更される編集入力を受け付け、この変更に従って読み仮名を更新する。
【0031】
図3は、本実施形態に係る音声認識辞書及び読み仮名の更新例を示す図である。
図3(a)に示すように、音声認識辞書(通常辞書データ71又はかんたん辞書データ72)では、各動作モードにおいて起動可能な機能の識別データ(機能ID)と読み仮名とが対応付けられている。例えば、1行目(No=0)では、「カメラを使う」機能を示す「機能ID=0」と、読み仮名「カメラ」とが対応付けられている。
【0032】
音声認識辞書の読み仮名は、ユーザにより別のテキストに変更可能である。例えば、辞書更新部80は、図3(b)に示すように、「カメラ」を「シャシン」に変更する編集入力を受け付けると、「機能ID=0」に対応付けられている読み仮名を「シャシン」に更新する。
【0033】
ただし、辞書更新部80は、このように変更された読み仮名と同一の読み仮名が、同一の音声認識辞書内に存在する場合、警告を報知すると共に、変更に従った読み仮名の更新を行わない。具体的には、辞書更新部80は、表示部21において、辞書データの種類及び対象の機能を表示させて、更新できない旨をユーザへ報知する。
【0034】
また、通常辞書データ71とかんたん辞書データ72とでは、重複する機能も存在しているため、同一の機能IDに対して、それぞれ異なる読み仮名が対応付けられている場合もある。
【0035】
図4は、本実施形態に係る複数の音声認識辞書のデータ例を示す図である。
通常辞書データ71には、200件の機能IDに対して、それぞれ読み仮名が対応付けられている。これに対し、かんたん辞書データ72には、50件の機能IDに対して、それぞれ読み仮名が対応付けられている。この例では、機能IDの0〜49は、双方の辞書データで共通しているが、読み仮名は必ずしも一致していない。例えば、機能ID=1に対して、通常辞書データ71では、「カメラメニュー」が対応付けられているが、かんたん辞書データ72では、「カメラヲツカウ」が対応付けられている。
【0036】
ここで、かんたん辞書データ72において、機能ID=0の読み仮名が「カメラ」から「シャシン」へ更新された場合、通常辞書データ71と読み仮名が異なってしまう。同一の機能であることから、読み仮名も同一としたい場合、ユーザは、辞書データの自動更新機能を有効にすることができる。
【0037】
すなわち、辞書更新部80は、通常辞書データ71又はかんたん辞書データ72の内、一方の辞書データの読み仮名が更新された場合、所定のタイミングで、他方の辞書データにおける同一機能の読み仮名を、一方の辞書データの読み仮名と同じく更新する。
【0038】
ここで、所定のタイミングとは、携帯電話機1の処理負荷が低いアイドル状態となったときや、動作モードが変更されたとき、あるいは、他方の辞書データが参照されたとき、すなわち動作モードが変更されて音声認識機能が起動されたとき等である。
【0039】
辞書更新部80は、一方の辞書データ(例えば、かんたん辞書データ72)を更新した場合、この更新した機能及び読み仮名の対応付けデータを記憶する。そして、辞書更新部80は、他方の辞書データ(例えば、通常辞書データ71)を参照する動作モード(例えば、通常モード)が起動されたとき、この記憶されている対応付けデータに基づいて、他方の辞書データ(例えば、通常辞書データ71)を更新する。なお、対応付けデータは、更新データとして辞書データとは別に記憶してもよいし、いずれかの辞書データの対象レコードに更新フラグを付加することにより記憶してもよい。
【0040】
このように辞書データの自動更新を行う場合、辞書更新部80は、変更された読み仮名がいずれの辞書データにおいても重複しないように制御する必要がある。そこで、辞書更新部80は、変更された読み仮名が編集対象である一方の辞書データ(例えば、かんたん辞書データ72)内に存在しないが、他方の辞書データ(例えば、通常辞書データ71)内に存在する場合、この他方の辞書データを参照する動作モード(例えば、通常モード)、及び変更された読み仮名に対応付けられている機能名を表示部21に表示させて警告を報知する。
【0041】
ただし、辞書更新部80は、変更された読み仮名が他方の辞書データ(例えば、通常辞書データ71)において、一方の辞書データ(例えば、かんたん辞書データ72)とは異なる機能IDに対応付けられている場合に警告を報知し、一方の辞書データと同一の機能IDに対応付けられている場合は警告を報知しない。
【0042】
図5は、本実施形態に係る警告画面の表示例を示す図である。
この例では、かんたんモードにおいて、機能「カメラを使う」(a)に対応する読み仮名「カメラ」(b)を「シャシン」と変更する編集入力を受け付けている(c)。
【0043】
編集入力が終了(OKボタン押下)し、確認画面(d)において更新処理が実行されると(登録ボタン押下)、警告画面が表示される(e)。この場合、かんたん辞書データ72内には、読み仮名が「シャシン」の別機能は存在しないが、通常辞書データ71内に、読み仮名が「シャシン」となっている機能「ピクチャーフォルダ」が存在している。したがって、辞書データの種類として「通常」と、機能名として「ピクチャーフォルダ」とが表示される。その後、辞書更新部80は、操作部11からキー入力を受け付けた、又はタイムアウトしたことに応じて、確認画面(f)に遷移させ、読み仮名の再編集を促す。
【0044】
図6は、本実施形態に係る音声認識機能の起動時の処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、モード判定部50は、携帯電話機1の動作モードが簡単モードであるか否(通常モード)かを判定する。制御部30は、この判定がYESの場合、処理をステップS3に移し、判定がNOの場合、処理をステップS2に移す。
【0045】
ステップS2において、音声認識部60は、通常モードにおいて起動可能な機能群に対応している通常辞書データ71を記憶部70から読み込む。
【0046】
ステップS3において、音声認識部60は、かんたんモードにおいて起動可能な機能群に対応しているかんたん辞書データ72を記憶部70から読み込む。
【0047】
ステップS4において、辞書更新部80は、読み込んだ辞書データを他方の辞書データと同期させるために、他方の辞書データで更新されたが読み込んだ辞書データでは未更新の読み仮名を更新する。
【0048】
図7は、本実施形態に係る音声認識辞書の編集処理を示すフローチャートである。
ステップS11において、辞書更新部80は、現在の動作モードにおける辞書データの読み仮名を変更するための編集入力を受け付ける。
【0049】
ステップS12において、辞書更新部80は、編集内容が確定されたか否かを判定する。辞書更新部80は、この判定がYESの場合、処理をステップS13に移し、判定がNOの場合、処理をステップS19に移す。
【0050】
ステップS13において、辞書更新部80は、まず、確定された編集内容が編集対象の辞書データ(例えば、かんたん辞書データ72)において、異なる機能と読み仮名が重複しているか否かを判定する。辞書更新部80は、この判定がYESの場合、処理をステップS14に移し、判定がNOの場合、処理をステップS15に移す。
【0051】
ステップS14において、辞書更新部80は、読み仮名が重複した辞書データを参照する動作モードと、重複した機能とを表示部21に表示させ、警告報知する。そして、処理は、ステップS11に戻り、編集入力が継続される。
【0052】
ステップS15において、辞書更新部80は、同一の辞書データで読み仮名の重複がなかったので、次に、確定された編集内容が編集対象とは異なる辞書データ(例えば、通常辞書データ71)において、異なる機能と読み仮名が重複しているか否かを判定する。辞書更新部80は、この判定がYESの場合、処理をステップS16に移し、判定がNOの場合、処理をステップS17に移す。
【0053】
ステップS16において、辞書更新部80は、読み仮名が重複している機能が同一であるか否かを判定する。辞書更新部80は、この判定がYESの場合、処理をステップS17に移し、判定がNOの場合、処理をステップS14に移す。
【0054】
ステップS17において、辞書更新部80は、いずれの辞書データにおいても読み仮名の重複がなかったので、確定された編集内容で双方の辞書データを更新する。または、別の場合として、異なる辞書において、同一機能で読み仮名が一致したため、その場合には、辞書更新部80は、編集された辞書側の辞書データを更新する。
【0055】
ステップS18において、辞書更新部80は、ステップS17の更新結果を表示部21に表示させてユーザに報知する。
【0056】
ステップS19において、辞書更新部80は、本処理を終了させるか否かを判定する。具体的には、辞書更新部80は、ユーザからの終了指示や割り込み処理の発生に応じて、本処理を終了させると判定する。辞書更新部80は、この判定がYESの場合、処理を終了させ、判定がNOの場合、処理をステップS11に移して編集入力を継続させる。
【0057】
以上のように、本実施形態によれば、携帯電話機1は、音声認識時に、通常モード及びかんたんモードのそれぞれに対して、各動作モードにおいて起動可能な機能群と読み仮名とが対応付けられた別々の辞書データを参照する。よって、各動作モードにおいて辞書データを最小化できるので、携帯電話機1は、複数の動作モードのいずれかに設定可能な場合に、各動作モードにおいて音声認識による操作性を向上させる。
【0058】
また、携帯電話機1は、読み仮名を変更するための編集入力を受け付けて、辞書データを更新できるので、ユーザの利便性を向上できる。さらに、このとき、携帯電話機1は、変更された読み仮名と同一の読み仮名が存在する場合には更新を行わないので、読み仮名が同一の辞書データ内で重複しないように制御できる。
【0059】
また、携帯電話機1は、一方の辞書データの読み仮名が更新された場合、所定のタイミングで、他方の辞書データの読み仮名を一方の辞書データと同じく更新する。しがたって、携帯電話機1は、複数の音声認識辞書を自動的に同期させられるので、ユーザは、携帯電話機1がいずれの動作モードに設定されている場合にも、同様の発声により、同一機能を起動できる。
【0060】
さらに、携帯電話機1は、この同期のタイミングを、動作モードが変更されたとき、あるいは動作モードが変更されて音声認識機能が起動されたときとすることにより、辞書データの更新処理を、編集入力時から分散させ、処理負荷を低減できる。
【0061】
また、携帯電話機1は、変更された読み仮名が他方の辞書データと重複する場合、重複した辞書データの種類、すなわち動作モードと、重複した機能とを表示する。したがって、携帯電話機1は、複数の音声認識辞書間においても読み仮名の重複を抑制すると共に、重複の内容をユーザへ詳細に報知できる。
【0062】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限るものではない。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0063】
また、前述の実施形態において、電子機器として携帯電話機1について説明しているが、電子機器はこれに限定されず、本発明は、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ゲーム機、ナビゲーション装置、パーソナルコンピュータ等、様々な機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 携帯電話機(電子機器)
11 操作部
21 表示部
30 制御部
40 通信部
41 アンテナ
50 モード判定部(判定部)
60 音声認識部
70 記憶部
71 通常辞書データ(第1の音声認識辞書)
72 かんたん辞書データ(第2の音声認識辞書)
80 辞書更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第1の動作モード、及び第2の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第2の動作モードの内のいずれかに設定可能な電子機器であって、
前記第1の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第1の音声認識辞書、及び前記第2の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第2の音声認識辞書を記憶する記憶部と、
音声認識機能起動時において、前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの内のいずれに設定されているかを判定する判定部と、
前記判定部により前記第1の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第1の音声認識辞書を参照して音声認識を行い、一方で前記第2の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第2の音声認識辞書を参照して音声認識を行う音声認識部と、を備える電子機器。
【請求項2】
前記第1の音声認識辞書又は前記第2の音声認識辞書におけるいずれかの読み仮名が変更されると、当該変更に従って読み仮名を更新する更新部をさらに備え、
前記更新部は、前記読み仮名が変更された音声認識辞書と同一の音声認識辞書において、前記変更された読み仮名と同一の読み仮名が存在する場合、前記変更に従って読み仮名の更新を行わない請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記更新部は、前記第1の音声認識辞書又は前記第2の音声認識辞書の内、一方の音声認識辞書の所定の機能に対応付けられた読み仮名が変更された際に、他方の音声認識辞書においても前記所定の機能に対応付けられた読み仮名が存在する場合、前記一方の音声認識辞書の読み仮名と同じく前記他方の音声認識辞書の読み仮名も更新する請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記更新部は、前記一方の音声認識辞書を参照する動作モードから前記他方の音声認識辞書を参照する動作モードに切り替えられたとき、前記他方の音声認識辞書を更新する請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
表示部をさらに備え、
前記更新部は、前記変更された読み仮名と同一の読み仮名が前記同一の音声認識辞書に存在しないが他方の音声認識辞書に存在する場合、当該他方の音声認識辞書を参照する動作モード、及び前記変更された読み仮名に対応付けられた機能を表示させることにより報知する請求項2から4のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記更新部は、前記他方の音声認識辞書において、前記変更された読み仮名が前記一方の音声認識辞書とは異なる機能に対応付けられている場合に報知し、前記変更された読み仮名が前記一方の音声認識辞書と同一の機能に対応付けられている場合には報知しない請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
第1の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第1の動作モード、及び第2の機能群に含まれる複数の機能が起動可能な第2の動作モードの内のいずれかに設定可能な電子機器の制御方法であって、
前記電子機器は、前記第1の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第1の音声認識辞書、及び前記第2の機能群に含まれる複数の機能と音声認識時に参照される当該機能の読み仮名とがそれぞれ対応付けられた第2の音声認識辞書を記憶しており、
音声認識機能起動時において、前記第1の動作モード又は前記第2の動作モードの内のいずれに設定されているかを判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記第1の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第1の音声認識辞書を参照して音声認識を行い、一方で前記第2の動作モードに設定されていると判定された場合には前記第2の音声認識辞書を参照して音声認識を行う音声認識ステップと、を含む制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−88406(P2012−88406A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−233089(P2010−233089)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】