説明

電子機器及び画像形成装置

【課題】電子機器において、周囲の環境が暗くても表示部を視認可能にする。
【解決手段】画像形成装置(電子機器)1は、筐体10の上面に配され、その機種名である「FFF」等の文字列を表示する発光表示部50を有している。発光表示部50は、透明部材により形成された導光体51及び導光体51に光を出射する光源52で構成されている。導光体51は、略平板状に形成された板部51aと、板部51aに光源52から入射された光を導光する導光部51bと、文字列を表すように板部51aの上面に形成された発光露出部51cとが一体成型されて成る。板部51aは、光源52から離れるに従って厚みが薄くなるテーパ状の断面を有している。板部51aの下面には、反射膜51dが設けられている。板部51aに導光された光の一部はテーパ状の下面で上方に反射されて発光露出部51cから出射され、外部からは発光露出部51cが発光しているように見える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に外部から視認可能に標章等を示す発光表示部を有する電子機器及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば画像形成装置等の電子機器においては、その品番、モデル名、メーカ名等を示す文字、図形、又はロゴタイプ等の標章をユーザ等が視認できるように、筐体に表示部を設けたものがある。表示部としては、例えば、筐体への刻印、プリント、シール等の貼り付け等の方法によるものがあるが、この場合、周囲が暗いと、視認しづらくなる。また、表示部が、例えばプリント、シール等の貼り付け等の方法によって示すものである場合には、擦れや経年変化等によって、表示部が損傷、欠落などしてしまうことがあり、耐久性に問題がある場合がある。
【0003】
ここで、特許文献1には、光透過性の高い部材からなる筐体に図形や文字形状を示すように形成された光透過領域を設け、下方の筐体内部に配置された光源からの光を光透過領域を通して発光させる電子機器の発光表示部の構造が示されている。しかしながら、この構造では、図形や文字となる光透過領域以外の部位の表面を、光が透過しないように遮光印刷等を施すことにより覆わねばならないため、構成が複雑で製造コストが高くなることがある。また、筐体が、例えば、装置の各部材が固定されるフレームの一部を構成したり、装置のモノコック構造を構成するような場合においては、例えば強度や剛性等の要件を満たす必要があるため、筐体自体の全部や筐体自体の大部分を、このような光透過性の高い部材で構成することができない場合がある。
【0004】
また、特許文献2には、電子機器の前面パネルを導光体で形成し、前面パネルに操作可能に配される操作ボタン等についての文字表示や図柄などを前面パネルの裏面に印刷し、少ない数の光源で多数の図柄等を簡易に照明可能にした構造が示されている。しかしながら、この構造では、外部に視認可能に表示されるのはあくまで裏面に印刷されたものであるので、例えば表示部をより目立たせたい場合には、光源の数を増やすなどして照明を明るくする必要がある。
【0005】
なお、特許文献3には、液晶表示装置において、導光板から液晶パネルに向けて放出される光を均一化する拡散フィルムに光を透過する色を印刷し、バックライトにより文字等を表示する構造が示されている。しかしながら、この構造は、液晶表示装置に特有のものであり、その他の簡易な構成により標章等を表示可能な表示部に適用可能なものではない。
【特許文献1】特開2004‐98614号公報
【特許文献2】特開2004‐326901号公報
【特許文献3】特開2007‐52364号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、周囲の環境が暗くても表示部を視認可能な、簡易な構成の電子機器及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の発明は、外部から視認可能な発光表示部が筐体に設けられた電子機器であって、前記発光表示部は、光源と、透光性材料により略平板状に形成された板部と、前記板部と前記光源との間に、前記板部に一体に接続されて設けられており、前記光源から入射された光を、その内面で反射させて前記板部に導光する導光部と、前記板部の片面に、前記板部と一体に、この電子機器に関する標章を示す形状に形成され、前記筐体から外部に露出するように配置され、前記光源から導光された光の一部を筐体外部に出射させる発光露出部とを有し、前記板部は、前記光源から離れるに従って厚みが薄くなるテーパ状の断面を有しており、それにより、前記光源から前記導光部に入射された光が、前記板部の内面で反射されて前記発光露出部に効率良く導光されるように構成されているものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記板部のうち、前記発光露出部が設けられている面と反対側の面には、反射膜が設けられているものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記発光表示部の導光部のうち、前記光源と面する部位には、光の入射方向に対して凹むように形成された入射部が形成されているものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項3に記載の発光表示部と、前記筐体内部に収容されており、記録紙を一枚ずつ筐体内部に取り込み、画像が形成された記録紙を筐体外部に排出する搬送機構と、前記筐体内部に収容されており、搬送機構により筐体内部に取り込まれた記録紙上に、外部から入力されたディジタル画像データを用いて画像を形成する画像形成部とを備えたものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明によれば、光源から導光された光の一部が発光露出部から出射されるので、電子機器に関する標章が外部から発光しているように見えるので、周囲の環境が暗くても発光表示部を視認することができる。簡易な構成を用いつつ、電子機器の質感を高めることができる。板部はテーパ状の断面を有するように形成されているので、光が発光露出部に効率良く導光され、多数の光源を用いたり、明るい光源を用いなくても、発光露出部を、より明るく外部から視認可能にすることができる。また、板部は、テーパ状の断面を有する略平板状であるので、筐体の外面に沿わせて板部を配置することが可能であり、電子機器を小型化することができる。
【0012】
請求項2の発明によれば、反射膜が設けられていることにより、発光露出部がより明るく発光しているように見えるので、明るい光源を用いたり、多数の光源を用いたりする必要がなくなる。従って、電子機器の製造コストを低減することが可能になり、また、発光部の消費電力を低減することが可能になる。
【0013】
請求項3の発明によれば、光源から出射された光が入射部から導光部に入射されるので、光源から出射された光がより多く導光部内部に入射され、発光露出部をさらに明るく示すことができ、上述と同様に、製造コストを低減し、消費電力を低減することが可能になる。
【0014】
請求項4の発明によれば、画像形成装置において、暗い環境下においてもその画像形成装置に関する標章を外部から視認可能に示すことができる。外部から発光露出部が発光しているように見えるので、簡易な構成を用いつつ、画像形成装置の質感を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態に係る電子機器の一例である画像形成装置について、図面を参照しつつ説明する。図1及び図2は、画像形成装置(電子機器)1を示す。画像形成装置1は、記録紙Pが装填される給紙トレイ2と、給紙トレイ2に保持された記録紙Pを搬送する搬送機構3と、搬送機構3によって搬送された記録紙Pに画像を形成する画像形成部4と、画像形成部4によって画像が形成された記録紙Pが排出され、堆積される排紙トレイ5と、搬送機構3及び画像形成部4を収容する筐体10と、電子回路等で構成され搬送機構3及び画像形成部4の制御を行う制御部(図示せず)等で構成されている。画像形成装置1は、いわゆるインクジェットプリンタであり、例えば外部のパーソナルコンピュータ等の外部機器に接続されて用いられ、この外部機器から入力されたディジタル画像データを用いて記録紙Pに画像を形成可能に構成されている。なお、画像形成装置1は、例えば、熱転写方式や電子写真方式により画像を形成するように構成されたものであってもよい。
【0016】
搬送機構3は、給紙トレイ2に保持された記録紙Pを画像形成部4による画像形成位置まで搬送する第1搬送機構3aと、画像形成部4によって画像が形成された記録紙を排紙トレイ5に搬送する第2搬送機構3bと、第1搬送機構3a及び第2搬送機構3bを駆動するためのフィードモータ30等で構成されている。
【0017】
画像形成部4は、インクが充填されたインクカートリッジ40と、インクカートリッジ40を支持しながら、記録紙Pの搬送方向Aに略直交する主走査方向に往復移動するキャリッジ41と、キャリッジ41を駆動するキャリッジ駆動モータ42等によって構成されている。インクカートリッジ40の下面には、記録紙Pにインクを吐出するプリントヘッド43が設けられている。キャリッジ41は、主走査方向に略平行に配設されたシャフト44によって往復移動自在に支持され、キャリッジ駆動モータ42に駆動されて移動する。キャリッジ駆動モータ42の出力は、ベルト等を介してキャリッジ41に伝達される。
【0018】
第1搬送機構3aは、給紙トレイ2に載置された記録紙Pを筐体10の内部に送出するピックアップローラ31と、プリントヘッド43の上流側に設けられ、ピックアップローラ31によって送出された記録紙Pをプリントヘッド43側に送出する給紙ローラ32と、記録紙Pを給紙ローラ32に押圧する押圧ローラ33等によって構成されている。また、第2搬送機構3bは、画像が形成された記録紙Pを排紙トレイ5に搬送する排紙ローラ38と、記録紙Pを排紙ローラ38に押圧するスターホイール39等によって構成されている。
【0019】
筐体10の前面下部には、記録紙Pの幅寸法よりも大きく前方に開口するように形成されたトレイ収納部15が設けられている。排紙トレイ5は、トレイ収納部15内に、前方にスライドさせて引き出し可能に配置されている。画像形成装置1は、画像形成時には、排紙トレイ5をスライドさせて図2に実線で示すような使用位置に配置することにより、筐体10から排紙される記録紙Pを排紙トレイ5で受け止めて担持させることができるように構成されている。一方、画像形成装置1を使用しないときには、排紙トレイ5を、トレイ収納部15の内部に納め、図2に二点鎖線で示すような収納位置に配置し、排紙トレイ5が筐体10の前面から外部に突出しない状態にすることができるように構成されている。これにより、画像形成装置1を、コンパクトに収納可能である。
【0020】
本実施形態において、筐体10は、画像形成装置1の上面及び前面を覆う上カバー10aと、搬送機構3や画像形成部4がフレーム(図示せず)と共に据え付けられる下カバー10bとで構成されている。上カバー10aの上面には、開閉可能に上カバー10aに軸支されたアクセスカバー21が設けられている。また、筐体10の上面には、例えば、プリントの開始及び停止等の操作を行うための操作キー20が配置されている。画像形成装置1は、制御部による制御に基づいて、フィードモータ30及びキャリッジ駆動モータ42の駆動に同期させてプリントヘッド43からインクを吐出させ、筐体10の内部で記録紙Pを搬送しながらその記録紙P上に画像を形成し、画像が形成された記録紙Pを排紙トレイ5上に排出する。
【0021】
ここで、筐体10の上カバー10aの上面には、発光表示部50が外部から視認可能に設けられている。発光表示部50は、筐体10の外部に、例えば、この画像形成装置1の機種名である「FFF」等の文字を示すように構成されている。
【0022】
図3及び図4(a)、(b)は、発光表示部50を示す。発光表示部50は、例えば無色のアクリル樹脂等の透光性材料により形成された導光体51と、例えば回路基板(図示せず)等に配置された発光ダイオード等であり導光体51に向け光を出射する光源52等で構成されている。導光体51は、略平板状に形成された板部51aと、板部51aと光源52との間に設けられている導光部51bと、板部51aの上面に、「FFF」等の文字を示す形状に凸型に形成された発光露出部51cとが一体成型されて成っている。本実施形態において、導光部51bは板部51aと略平行面内に延設されており、光源52は、その導光部51bの一端部に3つ並ぶように配置されている。すなわち、発光表示部50は、全体として略平板状の薄型に構成されており、画像形成装置1を小型化することができるように構成されている。
【0023】
板部51aは、略矩形板形状であって、図4(b)に示すように、光源52から離れるに従って厚みが薄くなるテーパ状の断面を有している。板部51aのうち、発光露出部51cが設けられている上面とは反対側の下面(図3に網掛けで示す)には、例えば白色のシルク印刷による反射膜51dが設けられている。
【0024】
導光部51bは、板部51aの光源52側の端面から、上方及び側方の両方から見て、共に光源52に向けテーパ形状をなすように形成されている。導光部51bのうち、各光源52に面する3箇所の部位には、図に示すように、それぞれ光源52からの光の入射方向に対し凹むように形成された円弧形切り欠き状の入射部51eが形成されている。
【0025】
図2に示すように、発光表示部50は、例えば、発光露出部51cの凸形状に合わせて上カバー10aに形成された孔部(図示せず)に、発光露出部51cが嵌め込まれるようにして、筐体10の内部上方に略水平に配置される。すなわち、発光表示部50は、発光露出部51cの部分が筐体10の外部から視認可能になるように配置される。
【0026】
光源52は、例えば画像形成装置1の電源がオンである時に、常時発光するように構成されている。光源52から出射された光の一部は、入射部51eの円筒面から導光体51の内部に入射される。本実施形態においては、光の入射方向に対し凹んだ入射部51eが設けられていることにより、光源52から出射された光がより多く導光体51に入射される。入射された光は、導光部51bの内部を透過して板部51aに導光される。導光部51bの内部では、外部との界面で光が反射されて、入射した光の大部分が光漏れせずに板部51aに導光される。板部51aに導光された光は、テーパ状にされた、板部51aの下面の外部との界面で反射され、上方に導光される。そして、この光のうち一部が、発光露出部51cの上部又は側部から外部に出射される。このように、光源52から出射され導光された光の一部が、発光露出部51cから筐体10の外部に出射されるので、筐体10の外部から発光露出部51cが発光しているように見える。なお、このとき、反射膜51dが設けられていることにより、外部から発光露出部51cを見た場合に反射膜51dが見えるので、反射膜51dが設けられていない場合と比較して、発光露出部51cがより明るく発光しているように見える。
【0027】
このように、本実施形態においては、簡易な構成の発光表示部50が設けられ、発光露出部51cが示す文字列が自ら発光して見えるように構成されているので、周囲の環境が暗くても発光表示部50を視認可能にすることができ、画像形成装置1の質感を高めることができる。板部51aはテーパ状の断面を有するので、光が発光露出部51cに効率良く導光され、多数の光源52を用いたり、明るい光源52を用いたりしなくても、発光露出部51cをより明るく見えるようにすることができる。また、反射膜51dを設けたり、凹形状の入射部51eから光源52の光を入射させるように構成されたりしているので、発光露出部51cがより明るく発光しているように見える。従って、明るい高価な光源を用いたり、多数の光源を用いたりしなくても、発光露出部51cを明瞭に発光させることができるので、製造コストを低減することができ、また、発光表示部50の消費電力を低減することが可能になる。
【0028】
なお、本発明は上記実施形態の構成に限定されるものではなく、発明の趣旨を変更しない範囲で適宜に種々の変形が可能である。例えば、発光表示部は、機種名を文字により示すものに限られず、メーカ名やロゴタイプ、図形等の種々の標章等を発光露出部として示すように構成されているものであってもよい。また、導光体の材質や導光部の形状なども、上述に限られるものではなく、筐体内の各部材の配置等に応じて適宜変更すればよい。さらにまた、発光露出部は板部から凹むように形成されていてもよい。反射膜は、例えば黄色や銀色等の他色でもよく、また、印刷以外に、例えばシールを貼り付けることにより板部に設けられたものであってもよい。本発明は、画像形成装置に限らず、種々の電子機器の筐体に設けられる発光表示部の構造として適用可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す斜視図。
【図2】上記画像形成装置の構成を示す側断面図。
【図3】上記装置の発光表示部を示す斜視図。
【図4】(a)は上記発光表示部の平面図、(b)はその側面図。
【符号の説明】
【0030】
1 画像形成装置(電子機器)
3 搬送機構
4 画像形成部
10 筐体
50 発光表示部
51a 板部
51b 導光部
51c 発光露出部
51d 反射膜
51e 入射部
52 光源


【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から視認可能な発光表示部が筐体に設けられた電子機器であって、
前記発光表示部は、
光源と、
透光性材料により略平板状に形成された板部と、
前記板部と前記光源との間に、前記板部に一体に接続されて設けられており、前記光源から入射された光を、その内面で反射させて前記板部に導光する導光部と、
前記板部の片面に、前記板部と一体に、この電子機器に関する標章を示す形状に形成され、前記筐体から外部に露出するように配置され、前記光源から導光された光の一部を筐体外部に出射させる発光露出部とを有し、
前記板部は、前記光源から離れるに従って厚みが薄くなるテーパ状の断面を有しており、それにより、前記光源から前記導光部に入射された光が、前記板部の内面で反射されて前記発光露出部に効率良く導光されるように構成されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記板部のうち、前記発光露出部が設けられている面と反対側の面には、反射膜が設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記発光表示部の導光部のうち、前記光源と面する部位には、光の入射方向に対して凹むように形成された入射部が形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の発光表示部と、
前記筐体内部に収容されており、記録紙を一枚ずつ筐体内部に取り込み、画像が形成された記録紙を筐体外部に排出する搬送機構と、
前記筐体内部に収容されており、搬送機構により筐体内部に取り込まれた記録紙上に、外部から入力されたディジタル画像データを用いて画像を形成する画像形成部とを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−310008(P2008−310008A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157407(P2007−157407)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】