説明

電子機器用取付け具及び電子機器

【課題】機器本体に繋着されている紐状部材をグリップベルトとして機能させることが可能であり、且つ該機能が低下し難い電子機器用取付け具及び電子機器を提供する。
【解決手段】本発明に係る電子機器用取付け具は、円筒体4と円柱体5とを具えている。ここで、円筒体4の内周面には雌ネジ部40が形成される一方、円柱体5の外周面には、電子機器の雌ネジ部に螺合される第1雄ネジ部51と、円筒体4の雌ネジ部40が螺合する第2雄ネジ部52とが形成され、円柱体5には、紐状部材が貫挿されるべき貫通孔54が開設されている。円筒体4は、円柱体5の中心軸91に沿って、貫通孔54の全開口領域又は殆どの開口領域を露出させた開き位置と、貫通孔54の開口領域の一部を塞いで該開口領域が露出する面積を狭めた閉じ位置との間で往復移動することが可能である。そして、貫通孔54には、円柱体5の中心軸91に沿って移動可能に可動子56が嵌合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器にハンドストラップ等の紐状部材を取り付けるための取付け具、及び機器本体に紐状部材を取り付けることが可能な電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の取付け具として、従来から、ビデオカメラ等の撮像装置に繋着された紐状部材の一部を、撮像装置の三脚座に形成されている雌ネジ部を利用して該撮像装置に取り付けるための器具が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的に、提案されている取付け具は、第1有底円筒体と、該第1有底円筒体内にその中心軸に沿って摺動可能に設けられた第2円筒体と、第1有底円筒体の内側にて該第1有底円筒体の底部と第2円筒体とを互いに連結する圧縮バネと、第1有底円筒体の底部に回転自在に設けられた回転体とを具えている。ここで、回転体には、撮像装置の雌ネジ部に螺合される雄ネジ部が突設されている。又、第2円筒部は、圧縮バネに付勢されて、その一部が第1有底円筒体の開口から突出した第1状態に設定されている。従って、ユーザは、第1有底円筒体を把持した状態で、圧縮バネの付勢力に抗して第2円筒体を押圧することが出来、押圧された第2円筒体は、第1状態から、第1有底円筒体内に押し込まれた第2状態まで移動することになる。
【0004】
更に、第1有底円筒体と第2円筒体には、これらを同方向に貫く略同形の貫通孔が開設されており、これらの貫通孔は、第2円筒体が第1状態に設定されているときに互いにずれる一方、第2円筒体が第2状態に設定されているときに一方向に揃う位置関係を有している。
【0005】
上記取付け具において、撮像装置に繋着された紐状部材が第1有底円筒体と第2円筒体の貫通孔に貫挿されている場合、第2円筒体を第2状態に設定して貫通孔を一方向に揃えることにより、紐状部材に対する取付け具の位置を調整することが出来る。その後、第2円筒体を第1状態に設定することにより、第1有底円筒体(貫通孔の内周面)と第2円筒体(貫通孔の内面)によって紐状部材が挟持され、撮像装置に繋着されている紐状部材の端部から取付け具までの紐状部材の長さが所望の長さに調整されることになる。
【0006】
そして、上記取付け具の回転体に突設されている雄ネジ部を、撮像装置の雌ネジ部に螺合させることにより、取付け具は撮像装置に固定され、その結果、紐状部材の一部が撮像装置に取り付けられることになる。その結果、紐状部材を、所望の長さに調整されたグリップベルトとして使用することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2002−195354号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記取付け具においては、圧縮バネの付勢力によって紐状部材が挟持されているだけであるので、紐状部材をグリップベルトとして使用している際に、紐状部材に対する取付け具の位置が徐々にずれて、グリップベルトとしての機能が低下し易かった。
【0009】
そこで本発明の目的は、機器本体に繋着されている紐状部材をグリップベルトとして機能させることが可能であり、且つ該機能が低下し難い電子機器用取付け具及び電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る電子機器用取付け具は、電子機器に繋着された紐状部材の一部を、前記電子機器が有する雌ネジ部を利用して該電子機器に取り付けるための取付け具であって、円筒体と円柱体とを具えている。ここで、前記円筒体の内周面には雌ネジ部が形成される一方、前記円柱体の外周面には、前記電子機器の雌ネジ部に螺合される第1雄ネジ部と、前記円筒体の雌ネジ部が螺合する第2雄ネジ部とが形成され、前記円柱体には、前記紐状部材が貫挿されるべき貫通孔が、該円柱体の外周面を貫いて開設されており、前記円筒体を回転させることにより、該円筒体は、前記円柱体の中心軸に沿って、前記貫通孔の全開口領域又は殆どの開口領域を露出させた開き位置と、前記貫通孔の開口領域の一部を塞いで該開口領域が露出する面積を狭めた閉じ位置との間で往復移動することが可能であり、該貫通孔には、前記中心軸に沿って移動可能に可動子が嵌合されている。
【0011】
上記取付け具においては、貫通孔に紐状部材を貫挿する場合、該紐状部材は、可動子の両側に通される。この状態で円筒体を回転して該円筒体を閉じ位置側へ移動させることにより、可動子の円筒体側に通された紐状部材の一部が円筒体と可動子によって挟持され、可動子の円筒体とは反対側に通された紐状部材の一部が円柱体(貫通孔の内面)と可動子によって挟持されることになる。従って、可動子と紐状部材とが強固に噛み合うことになり、噛み合った状態では紐状部材に対する取付け具の位置は殆どずれることがない。
【0012】
一方、円筒体を回転して該円筒体を開き位置側へ移動させることにより、可動子と紐状部材との噛合が解除され、紐状部材に対する取付け具の位置を変更することが可能となる。
【0013】
よって、上記取付け具を電子機器に使用することにより、該電子機器に繋着される紐状部材の両端から取付け具までの紐状部材の長さを所望の長さに調整すること可能であると共に、調整後の該長さを維持することが可能である。
【0014】
そして、上記取付け具の第1雄ネジ部を電子機器の雌ネジ部に着脱可能に螺合させることにより、取付け具は電子機器に固定され、その結果、紐状部材の一部が電子機器に取り付けられることになる。よって、紐状部材の両端が電子機器に繋着されている場合、紐状部材を、所望の長さに調整されたグリップベルトとして使用することが可能となる。又、紐状部材の両端を電子機器に繋着した状態のまま、取付け具を電子機器から取り外すことにより、紐状部材をハンドストラップとして使用することが可能となる。
【0015】
上記電子機器用取付け具の具体的構成において、前記貫通孔の内面には、前記円柱体の中心軸に沿って拡がると共に互いに対向する一対の領域が形成されており、該一対の領域にそれぞれ一対の溝部が凹設される一方、前記可動子には、前記一対の溝部にそれぞれ摺動自在に係合すべき一対の係合部が形成されており、前記一対の溝部に前記可動子の一対の係合部がそれぞれ摺動自在に係合することにより、前記可動子は、前記中心軸に沿って移動可能に前記貫通孔に嵌合されている。
【0016】
上記電子機器用取付け具の他の具体的構成において、前記円柱体には、それと同軸の外周縁を有する把手が形成され、前記円柱体の外周面の内、前記把手の形成領域の両側にそれぞれ前記第1雄ネジ部と第2雄ネジ部が形成されている。
【0017】
該具体的構成によれば、ユーザは、把手を把持することにより、電子機器の雌ネジ部に取付け具の第1雄ネジ部を容易に捻じ込むこと出来、又、円筒体を容易に回転させることに出来る。更に、把手の形成位置によって第1雄ネジ部の長さ寸法が規定され、その結果、電子機器の雌ネジ部への取付け具の捻じ込み量が規定されることになる。
【0018】
上記電子機器用取付け具の更なる他の具体的構成において、前記可動子には、前記円柱体の中心軸と交叉する端面に三角歯が形成されている。これにより、可動子と紐状部材とがより強固に噛み合うことになる。
【0019】
本発明に係る電子機器は、機器本体に紐状部材を繋着することが可能であって、前記機器本体の表面に突設された円柱体と、円筒体とを具えている。ここで、前記円筒体の内周面には雌ネジ部が形成される一方、前記円柱体の外周面には、前記円筒体の雌ネジ部が螺合する雄ネジ部が形成され、前記円柱体には、前記紐状部材が貫挿されるべき貫通孔が、該円柱体の外周面を貫いて開設されており、前記円筒体を回転させることにより、該円筒体は、前記円柱体の中心軸に沿って、前記貫通孔の全開口領域又は殆どの開口領域を露出させた開き位置と、前記貫通孔の開口領域の一部を塞いで該開口領域が露出する面積を狭めた閉じ位置との間で往復移動することが可能であり、該貫通孔には、前記中心軸に沿って移動可能に可動子が嵌合されている。
【0020】
上記電子機器においては、貫通孔に紐状部材を貫挿する場合、該紐状部材は、可動子の両側に通される。この状態で円筒体を回転して該円筒体を閉じ位置側へ移動させることにより、可動子の円筒体側に通された紐状部材の一部が円筒体と可動子によって挟持され、可動子の円筒体とは反対側に通された紐状部材の一部が円柱体(貫通孔の内面)と可動子によって挟持されることになる。従って、可動子と紐状部材とが強固に噛み合うことになり、噛み合った状態では紐状部材に対する円柱体の位置は殆どずれることがない。
【0021】
一方、円筒体を回転して該円筒体を開き位置側へ移動させることにより、可動子と紐状部材との噛合が解除され、紐状部材に対する円柱体の位置を変更することが可能となる。
【0022】
よって、上記電子機器によれば、該電子機器に繋着される紐状部材の両端から取付け具までの紐状部材の長さを所望の長さに調整することが可能であると共に、調整後の該長さを維持することが可能である。
【0023】
上記電子機器の具体的構成において、前記貫通孔の内面には、前記円柱体の中心軸に沿って拡がると共に互いに対向する一対の領域が形成されており、該一対の領域にそれぞれ一対の溝部が凹設される一方、前記可動子には、前記一対の溝部にそれぞれ摺動自在に係合すべき一対の係合部が形成されており、前記一対の溝部に前記可動子の一対の係合部がそれぞれ摺動自在に係合することにより、前記可動子は、前記中心軸に沿って移動可能に前記貫通孔に嵌合されている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る電子機器用取付け具及び電子機器によれば、機器本体に繋着されている紐状部材をグリップベルトとして機能させることが可能であり、且つ該機能が低下し難い。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る取付け具、及び該取付け具が使用されるビデオカメラを示す斜視図である。
【図2】図2は、該取付け具がビデオカメラに取り付けられた状態を示す斜視図である。
【図3】図3は、該取付け具の分解斜視図である。
【図4】図4は、該取付け具が具える可動子を示す斜視図である。
【図5】図5は、該取付け具について、円筒体が開き位置に設定された状態を示す斜視図である。
【図6】図6は、該取付け具について、円筒体が閉じ位置に設定された状態を示す斜視図である。
【図7】図7は、該取付け具について、貫通孔にハンドストラップが貫挿されているときに円筒体が開き位置に設定された状態を示す斜視図である。
【図8】図8は、該取付け具について、貫通孔にハンドストラップが貫挿されているときに円筒体が閉じ位置に設定された状態を示す斜視図である。
【図9】図9は、ハンドストラップをグリップベルトとして機能させてビデオカメラを把持した状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、本発明の他の実施形態に係るビデオカメラを示す斜視図である。
【図11】図11は、上記取付け具の改良形態の一例について、可動子を突起部側から見た平面図である。
【図12】図12は、上記取付け具の改良形態の他の例について、可動子を突起部側から見た平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る取付け具をビデオカメラに使用した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
ビデオカメラの機器本体(1)には、図1に示す様に、ハンドストラップ(2)を繋着するための繋着部(11)と、該機器本体(1)を三脚(図示せず)に取り付けるための取付け座(12)と、被写体からの光を取り込むための光学レンズユニット(13)とが設けられている。又、図示していないが、機器本体(1)には、ビデオカメラの機器動作(例えば、撮影動作)を操作するための操作部が設けられている。
【0027】
ここで、取付け座(12)には、三脚に形成された雄ネジ部(図示せず)が捻じ込まれる雌ネジ部(10)が形成されており、該雌ネジ部(10)は、機器本体(1)の底面に露出している。取付け座(12)を利用してビデオカメラを三脚に取り付けることにより、該ビデオカメラを床や地面に設置して使用することが可能となる。
【0028】
図1及び図2に示す様に、本実施形態の取付け具(3)は、ビデオカメラの繋着部(11)に繋着されたハンドストラップ(2)の一部を、ビデオカメラの雌ネジ部(10)を利用してビデオカメラの機器本体(1)に取り付けるための器具である。
【0029】
図3に示す様に、取付け具(3)は、円筒体(4)と円柱体(5)とを具えている。円筒体(4)の内周面には雌ネジ部(40)が形成される一方、円柱体(5)の外周面には、ビデオカメラの雌ネジ部(10)に螺合される第1雄ネジ部(51)と、円筒体(4)の雌ネジ部(40)が螺合する第2雄ネジ部(52)とが形成されている。
【0030】
ここで、円柱体(5)には、それと同軸の外周縁(530)を有する円盤状の把手(53)が一体に形成されており、円柱体(5)の外周面の内、把手(53)の形成領域の両側にそれぞれ第1雄ネジ部(51)と第2雄ネジ部(52)が形成されている。具体的には、第1雄ネジ部(51)は、把手(53)の片側にて該把手(53)の形成領域から拡がる外周面の全領域に形成され、第2雄ネジ部(52)は、把手(53)のもう一方の片側にて該把手(53)の形成領域から拡がる外周面の一部の領域に形成されている。又、把手(53)の外周縁(530)には、ユーザによる該把手(53)の把持が容易となる様に複数の切り込み(531)が形成されている。尚、把手(53)の形状には、円盤状の他に、多角形状等、様々な形状を採用することが出来る。
【0031】
更に、円柱体(5)には、図3に示す様に、把手(53)の形成領域に対して第2雄ネジ部(52)の形成領域側に、ハンドストラップ(2)(図1参照)が貫挿されるべき貫通孔(54)が、円柱体(5)の外周面を貫いて開設されている。又、該貫通孔(54)には、円柱体(5)の中心軸(91)に沿って移動可能に可動子(56)が嵌合されている。
【0032】
具体的には、貫通孔(54)の内面には、円柱体(5)の中心軸(91)に沿って拡がると共に互いに対向する一対の領域(541)(542)が形成され、該一対の領域(541)(542)にはそれぞれ、中心軸(91)に沿って互いに略平行に延びる一対の溝部(551)(552)(溝部(552)は図示せず)が凹設されている。一方、可動子(56)には、図4に示す様に、一対の突起部(561)(562)が互いに反対向きに形成されている。
【0033】
そして、一対の溝部(551)(552)のそれぞれに可動子(56)の一対の突起部(561)(562)が摺動自在に係合することにより、可動子(56)は、円柱体(5)の中心軸(91)に沿って移動可能に貫通孔(54)に嵌合されている。ここで、可動子(56)を貫通孔(54)に嵌合させるとき、先ず、可動子(56)を、その一対の突起部(561)(562)が円柱体(5)の中心軸(91)に沿って並んだ姿勢で貫通孔(54)内に挿入し、その後、可動子(56)を回転させることにより一対の突起部(561)(562)をそれぞれ一対の溝部(551)(552)に係合させる。
【0034】
上記取付け具(3)において、図5及び図6に示す様に円筒体(4)の雌ネジ部(40)と円柱体(5)の第2雄ネジ部(52)とが互いに螺合した状態で、円筒体(4)を回転させることにより、該円筒体(4)は、円柱体(5)の中心軸(91)に沿って、図5に示す如く貫通孔(54)の全開口領域又は殆どの開口領域を露出させた開き位置と、図6に示す如く貫通孔(54)の開口領域の一部を塞いで該開口領域が露出する面積を狭めた閉じ位置との間で往復移動することが可能である。
【0035】
上記取付け具(3)においては、貫通孔(54)にハンドストラップ(2)を貫挿する場合、該ハンドストラップ(2)は、図7に示す様に可動子(56)の上下両側に通される。この状態で円筒体(4)を回転して、図8に示す様に該円筒体(4)を閉じ位置側へ移動させることにより、可動子(56)の円筒体(4)側に通されたハンドストラップ(2)の一部が円筒体(4)と可動子(56)によって挟持され、可動子(56)の円筒体(4)とは反対側に通されたハンドストラップ(2)の一部が円柱体(5)(貫通孔(54)の内面)と可動子(56)によって挟持されることになる。従って、可動子(56)とハンドストラップ(2)とが強固に噛み合うことになり、噛み合った状態ではハンドストラップ(2)に対する取付け具(3)の位置は殆どずれることがない。
【0036】
一方、円筒体(4)を回転して、図7に示す様に該円筒体(4)を開き位置側へ移動させることにより、可動子(56)とハンドストラップ(2)との噛合が解除され、ハンドストラップ(2)に対する取付け具(3)の位置を変更することが可能となる。
【0037】
よって、上記取付け具(3)をビデオカメラに使用することにより、該ビデオカメラの繋着部(11)(図1参照)に繋着されるハンドストラップ(2)の端部(21)から取付け具(3)までのハンドストラップ(2)の長さを所望の長さに調整することが可能であると共に、調整後の該長さを維持することが可能である。
【0038】
そして、上記取付け具(3)の第1雄ネジ部(51)をビデオカメラの雌ネジ部(10)に着脱可能に螺合させることにより、取付け具(3)はビデオカメラに固定され、その結果、ハンドストラップ(2)の一部がビデオカメラに取り付けられることになる。よって、ハンドストラップ(2)の端部(21)がビデオカメラの繋着部(11)に繋着されている場合、図9に示す様に、ハンドストラップ(2)を、所望の長さに調整されたグリップベルトとして使用することが可能となる。又、ハンドストラップ(2)の端部(21)をビデオカメラの繋着部(11)に繋着した状態のまま、取付け具(3)をビデオカメラから取り外すことにより、ハンドストラップ(2)をそのままハンドストラップとして使用することが可能となる。
【0039】
よって、上記取付け具(3)によれば、ビデオカメラに繋着されたハンドストラップ(2)をグリップベルトとして機能させることが可能であり、且つ該機能が低下し難い。
【0040】
更に、上記取付け具(3)には把手(53)が形成されている。従って、ユーザは、該把手(53)を把持することにより、ビデオカメラの雌ネジ部(10)に取付け具(3)の第1雄ネジ部(51)を容易に捻じ込むこと出来、又、円筒体(4)を容易に回転させることに出来る。更に又、把手(53)の形成位置によって第1雄ネジ部(51)の長さ寸法が規定され、その結果、ビデオカメラの雌ネジ部(10)への取付け具(3)の捻じ込み量が規定されることになる。
【0041】
図10は、本発明の他の実施形態に係るビデオカメラを示す斜視図である。図10に示す様に、上記取付け具(3)は、ビデオカメラの機器本体(1)に一体に形成されていてもよい。この構成においては、上記取付け具(3)の円柱体(5)に形成されている第1雄ネジ部(51)及び把手(53)は不要である。
【0042】
上記他の実施形態に係るビデオカメラにおいても、図3に示す取付け具(3)と同様、円筒体(4)を回転して該円筒体(4)を閉じ位置側へ移動させることにより、可動子(56)とハンドストラップ(2)とが強固に噛み合うことになり、噛み合った状態ではハンドストラップ(2)に対する取付け具(3)の位置は殆どずれることがない。よって、ビデオカメラの繋着部(11)(図1参照)に繋着されるハンドストラップ(2)の端部から取付け具(3)までのハンドストラップ(2)の長さを所望の長さに調整することが可能であると共に、調整後の該長さを維持することが可能である。
【0043】
尚、上記他の実施形態に係るビデオカメラの各種構成は、ハンドストラップ等の紐状部材を繋着することが可能な種々の電子機器に適用することが出来る。
【0044】
図11及び図12は、上記取付け具(3)の改良形態の例について、可動子(56)を突起部(562)側から見た平面図である。図11及び図12に示す様に、可動子(56)には、円柱体(5)の中心軸(91)(図3参照)と交叉する上下両端面に、1または複数箇所に三角歯(563)が形成されていてもよい。これにより、可動子(56)とハンドストラップ(2)とがより強固に噛み合うことになる。尚、三角歯(563)は、可動子(56)の上端面又は下端面の何れか一方の端面にのみ形成されていてもよい。
【0045】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、可動子(56)は球体であってもよい。この場合、可動子(56)は、該可動子(56)又は円柱体(5)の可撓性を利用して貫通孔(54)に嵌合される。又、可動子(56)となる球体の内、該球体の中心に対して互いに反対側に位置する一対の領域が、一対の溝部(551)(552)に係合することになる。
上述した形態に限らず、可動子(56)を、様々な形態で、円柱体(5)の中心軸(91)に沿って移動可能に貫通孔(54)に嵌合させることが可能である。
【0046】
更に又、上記取付け具(3)は、ビデオカメラに限らず、ハンドストラップ等の紐状部材を繋着することが可能な種々の電子機器に使用することが出来る。
【符号の説明】
【0047】
(1) 機器本体
(10) 雌ネジ部
(2) ハンドストラップ(紐状部材)
(3) 取付け具
(4) 円筒体
(40) 雌ネジ部
(5) 円柱体
(51) 第1雄ネジ部
(52) 第2雄ネジ部
(53) 把手
(530) 外周縁
(54) 貫通孔
(551) 溝部
(552) 溝部
(56) 可動子
(561) 突起部(係合部)
(562) 突起部(係合部)
(563) 三角歯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に繋着された紐状部材の一部を、前記電子機器が有する雌ネジ部を利用して該電子機器に取り付けるための取付け具であって、
円筒体と円柱体とを具え、前記円筒体の内周面には雌ネジ部が形成される一方、前記円柱体の外周面には、前記電子機器の雌ネジ部に螺合される第1雄ネジ部と、前記円筒体の雌ネジ部が螺合する第2雄ネジ部とが形成され、前記円柱体には、前記紐状部材が貫挿されるべき貫通孔が、該円柱体の外周面を貫いて開設されており、前記円筒体を回転させることにより、該円筒体は、前記円柱体の中心軸に沿って、前記貫通孔の全開口領域又は殆どの開口領域を露出させた開き位置と、前記貫通孔の開口領域の一部を塞いで該開口領域が露出する面積を狭めた閉じ位置との間で往復移動することが可能であり、該貫通孔には、前記中心軸に沿って移動可能に可動子が嵌合されている電子機器用取付け具。
【請求項2】
前記貫通孔の内面には、前記円柱体の中心軸に沿って拡がると共に互いに対向する一対の領域が形成されており、該一対の領域にそれぞれ一対の溝部が凹設される一方、前記可動子には、前記一対の溝部にそれぞれ摺動自在に係合すべき一対の係合部が形成されており、前記一対の溝部に前記可動子の一対の係合部がそれぞれ摺動自在に係合することにより、前記可動子は、前記中心軸に沿って移動可能に前記貫通孔に嵌合されている請求項1に記載の電子機器用取付け具。
【請求項3】
前記円柱体には、それと同軸の外周縁を有する把手が形成され、前記円柱体の外周面の内、前記把手の形成領域の両側にそれぞれ前記第1雄ネジ部と第2雄ネジ部が形成されている請求項1又は請求項2に記載の電子機器用取付け具。
【請求項4】
前記可動子には、前記円柱体の中心軸と交叉する端面に三角歯が形成されている請求項1乃至請求項3の何れかに記載の電子機器用取付け具。
【請求項5】
機器本体に紐状部材を繋着することが可能な電子機器であって、前記機器本体の表面に突設された円柱体と、円筒体とを具え、前記円筒体の内周面には雌ネジ部が形成される一方、前記円柱体の外周面には、前記円筒体の雌ネジ部が螺合する雄ネジ部が形成され、前記円柱体には、前記紐状部材が貫挿されるべき貫通孔が、該円柱体の外周面を貫いて開設されており、前記円筒体を回転させることにより、該円筒体は、前記円柱体の中心軸に沿って、前記貫通孔の全開口領域又は殆どの開口領域を露出させた開き位置と、前記貫通孔の開口領域の一部を塞いで該開口領域が露出する面積を狭めた閉じ位置との間で往復移動することが可能であり、該貫通孔には、前記中心軸に沿って移動可能に可動子が嵌合されている電子機器。
【請求項6】
前記貫通孔の内面には、前記円柱体の中心軸に沿って拡がると共に互いに対向する一対の領域が形成されており、該一対の領域にそれぞれ一対の溝部が凹設される一方、前記可動子には、前記一対の溝部にそれぞれ摺動自在に係合すべき一対の係合部が形成されており、前記一対の溝部に前記可動子の一対の係合部がそれぞれ摺動自在に係合することにより、前記可動子は、前記中心軸に沿って移動可能に前記貫通孔に嵌合されている請求項5に記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2011−164250(P2011−164250A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−25184(P2010−25184)
【出願日】平成22年2月8日(2010.2.8)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】