電子機器
【課題】本発明は、液状の冷媒と放熱器との相性が問題となることはなく、発熱体の熱を放熱器から効率良く放出することができる電子機器を得ることにある。
【解決手段】ポータブルコンピュータ1は、発熱する半導体パッケージ21に熱的に接続された受熱部40を内蔵する第1の筐体4と、半導体パッケージの熱を放出する放熱器41を内蔵し、第1の筐体に支持されたディスプレイハウジング10と、受熱部と放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環経路42とを具備している。放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体49を含んでいる。放熱器本体は、冷媒が流れる冷媒通路53と、この冷媒通路に連なる冷媒入口56および冷媒出口57とを有している。放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口は、循環経路を介して受熱部に接続されている。
【解決手段】ポータブルコンピュータ1は、発熱する半導体パッケージ21に熱的に接続された受熱部40を内蔵する第1の筐体4と、半導体パッケージの熱を放出する放熱器41を内蔵し、第1の筐体に支持されたディスプレイハウジング10と、受熱部と放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環経路42とを具備している。放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体49を含んでいる。放熱器本体は、冷媒が流れる冷媒通路53と、この冷媒通路に連なる冷媒入口56および冷媒出口57とを有している。放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口は、循環経路を介して受熱部に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体パッケージのような発熱体を内蔵する電子機器に係り、特にその発熱体の冷却性能を高めるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ノート形のポータブルコンピュータや移動体通信機器に代表される携帯形の電子機器は、マルチメディア情報を処理するためのマイクロプロセッサを装備している。この種のマイクロプロセッサは、処理速度の高速化や多機能化に伴って動作中の発熱量が急速に増大する傾向にある。そのため、マイクロプロセッサの安定した動作を保障するためには、このマイクロプロセッサの放熱性を高める必要がある。
【0003】この熱対策として、従来の電子機器は、マイクロプロセッサを強制的に冷却する空冷式の冷却装置を装備している。この冷却装置は、マイクロプロセッサの熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を送風する電動ファンとを備えている。
【0004】ヒートシンクは、マイクロプロセッサの熱を受ける受熱部、複数の放熱フィンおよび冷却風通路を有している。冷却風通路は、受熱部や放熱フィンに沿うように形成されており、この冷却風通路に電動ファンを介して冷却風が送風される。冷却風は、放熱フィンの間を縫うようにして流れ、この流れの過程でヒートシンクを強制的に冷却する。そのため、ヒートシンクに伝えられたマイクロプロセッサの熱は、冷却風の流れに乗じて持ち去られるとともに、冷却風通路の下流端から電子機器の外部に排出されるようになっている。
【0005】この従来の冷却方式では、冷却風通路を流れる冷却風がマイクロプロセッサの熱を奪う冷却媒体となるので、マイクロプロセッサの冷却性能の多くは、冷却風の風量やこの冷却風とヒートシンクとの接触面積に依存することになる。
【0006】ところが、マイクロプロセッサの冷却性能を高めることを意図して冷却風の風量を増やすと、電動ファンの回転数が増大し、大きな騒音を発するといった問題がある。また、放熱フィンの数を増やしたり、形状を大きくした場合には、ヒートシンク自体が巨大なものとなる。そのため、電子機器の内部にヒートシンクを収める広い設置スペースを確保しなくてはならず、ポータブルコンピュータのような小型の電子機器にはスペース的な問題から適用することができない。
【0007】近い将来、電子機器用のマイクロプロセッサは、更なる高速化や多機能化が予測され、それに伴いマイクロプロセッサの発熱量も飛躍的な増加が見込まれる。したがって、従来の強制空冷による冷却方式では、マイクロプロセッサの冷却性能が不足したり限界に達することが懸念される。
【0008】これを改善するものとして、例えば「特開平7−142886号公報」に見られるように、空気よりも遥かに高い比熱を有する液体を冷媒として利用し、マイクロプロセッサの冷却効率を高めようとする、いわゆる液冷による冷却方式が試されている。
【0009】この新たな冷却方式では、マイクロプロセッサが収容された筐体の内部に受熱ヘッダを設置するとともに、この筐体に支持されたディスプレイユニットの内部に放熱ヘッダを設置している。受熱ヘッダは、マクロプロセッサに熱的に接続されており、この受熱ヘッダの内部に液状の冷媒が流れる流路が形成されている。放熱ヘッダは、ディスプレイユニットに熱的に接続されており、この放熱ヘッダの内部にも上記冷媒が流れる流路が形成されている。そして、これら受熱ヘッダの流路と放熱ヘッダの流路とは、冷媒を循環させる循環経路を介して互いに接続されている。
【0010】この冷却方式によると、マイクロプロセッサの熱は、受熱ヘッダから冷媒に伝えられた後、この冷媒の流れに乗じて放熱ヘッダに移送される。放熱ヘッダに移された熱は、冷媒が流路を流れる過程で熱伝導により拡散され、この放熱ヘッダからディスプレイユニットを通じて大気中に放出される。
【0011】そのため、マイクロプロセッサの熱を冷媒の流れを利用して効率良くディスプレイユニットに移送することができ、従来の強制空冷に比べてマイクロプロセッサの冷却性能を高めることができるとともに、騒音面でも何ら問題は生じないといった優位点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、冷媒の熱を放出するための放熱ヘッダは、この冷媒との接触部に生じる熱抵抗を小さく抑えるため、銅あるいはアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。
【0013】この金属製の放熱ヘッダは、熱伝導が良くて冷媒との熱交換を効率良く行なえるといった利点を有するものの、下記のような欠点がある。
【0014】すなわち、液状の冷媒は、電子機器の使用環境に適合するように数多くの種類が存在するので、この冷媒と放熱ヘッダを構成する金属との相性によっては、放熱ヘッダが化学反応を起こしてガスを発したり、あるいは冷媒と接する放熱ヘッダの内面が腐蝕する虞があり得る。このガスが冷媒に混じって循環するような状態に陥ると、受熱ヘッダから放熱ヘッダへの熱の移送が妨げられてしまい、マイクロプロセッサの熱を効率良く放出することができなくなる。
【0015】特に循環経路に冷媒を強制的に循環させるポンプが存在すると、冷媒中に混入したガスがポンプに達した時にキャビテーションが発生することがある。このため、ポンプの損傷を避けられず、熱移送が妨げられるのは勿論のこと、冷媒の循環系統の信頼性に悪影響を及ぼすといった不具合が生じてくる。
【0016】本発明は、このような事情にもとづいてなされたもので、液状の冷媒と放熱器との相性が問題となることはなく、発熱体の熱を放熱器から効率良く放出することができる電子機器の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の電子機器は、発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、上記発熱体の熱を放出するための放熱器を内蔵し、上記第1の筐体に支持された第2の筐体と、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨って配置され、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段とを具備している。上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に熱的に接続されていることを特徴としている。
【0018】このような構成によれば、発熱体の熱は、受熱部に伝えられた後、この受熱部から液状の冷媒に移される。この受熱部での熱交換により加熱された冷媒は、循環手段を通じて放熱器に移送され、放熱器本体の冷媒通路を冷媒入口から冷媒出口に向けて流れる。そのため、発熱体の熱は、冷媒が冷媒通路を流れる過程で放熱器本体に伝わり、この放熱器本体の広い範囲に亘って均一に拡散されるとともに、この放熱器本体から第2の筐体を通じて大気中に放出される。
【0019】放熱器本体での熱交換により冷却された冷媒は、循環手段を経て受熱部に戻され、ここで再び発熱体の熱を受ける。このようなサイクルを繰り返すことで、発熱体の熱を冷媒の流れを利用して効率良く第2の筐体に移送することができ、発熱体の冷却性能を高めることができる。
【0020】冷媒通路を有する放熱器本体は、合成樹脂製であるので、液状の冷媒との相性が問題となることはなく、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うことはない。このため、受熱部から移送される発熱体の熱を効率良く放出することができるとともに、受熱部と放熱器との間で冷媒の循環が妨げられることもなく、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上する。
【0021】上記目的を達成するため、請求項7に係る本発明の電子機器は、発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、この第1の筐体に支持され、合成樹脂製の外壁を有する第2の筐体とを具備している。
【0022】上記第2の筐体は、その外壁に液状の冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有している。これら冷媒入口および冷媒出口は、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨る循環経路を介して互いに接続されており、この循環経路の途中に上記受熱部が熱的に接続されていることを特徴としている。
【0023】このような構成によると、受熱部での熱交換により加熱された冷媒は、循環手段を介して第2の筐体の冷媒通路に導かれ、この冷媒通路を冷媒入口から冷媒出口に向けて流れる。そのため、発熱体の熱は、冷媒が冷媒通路を流れる過程で第2の筐体に伝わり、この第2の筐体の広い範囲に亘って均一に拡散されるとともに、ここから大気中に放出される。
【0024】加熱された冷媒が導かれる冷媒通路は、第2の筐体の外壁に直接形成されているので、この第2の筐体に放熱器としての機能を兼用させることができる。このため、専用の放熱器が不要となるとともに、第2の筐体の内部に放熱器を収めるスペースを確保する必要はなく、第2の筐体の薄形化や軽量化が可能となる。
【0025】しかも、冷媒通路は合成樹脂製の外壁に形成されているので、冷媒との相性が問題となることはなく、冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うことはない。このため、受熱部から移送される発熱体の熱を効率良く放出できるとともに、受熱部と放熱器との間での冷媒の循環が妨げられることもなく、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上する。
【0026】上記目的を達成するため、請求項10に係る本発明の電子機器は、発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を有する筐体と、この筐体に収容され、上記発熱体の熱を放出するための放熱器と、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段とを備えている。上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に接続されていることを特徴としている。
【0027】このような構成において、発熱体の熱は、受熱部に伝えられた後、この受熱部から液状の冷媒に移される。この受熱部での熱交換により加熱された冷媒は、循環手段を通じて放熱器に移送され、放熱器本体の冷媒通路を冷媒入口から冷媒出口に向けて流れる。そのため、発熱体の熱は、冷媒が冷媒通路を流れる過程で放熱器本体に伝わり、この放熱器本体の広い範囲に亘って均一に拡散されるとともに、この放熱器本体から筐体を通じて大気中に放出される。
【0028】放熱器本体での熱交換により冷却された冷媒は、循環手段を経て受熱部に戻され、ここで再び発熱体の熱を受ける。このようなサイクルを繰り返すことで、発熱体の熱を冷媒の流れを利用して効率良く筐体に移送することができ、発熱体の冷却性能を高めることができる。
【0029】冷媒通路を有する放熱器本体は、合成樹脂製であるので、液状の冷媒との相性が問題となることはなく、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うことはない。このため、受熱部から移送される発熱体の熱を効率良く放出できるとともに、受熱部と放熱器との間で冷媒の循環が妨げられることもなく、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下本発明の第1の実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図1ないし図6にもとづいて説明する。
【0031】図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、機器本体としてのコンピュータ本体2と、このコンピュータ本体2に支持されたディスプレイユニット3とで構成されている。
【0032】コンピュータ本体2は、合成樹脂製の第1の筐体4を備えている。第1の筐体4は、底壁4a、上壁4b、左右の側壁4c、前壁4dおよび後壁4eを有する偏平な箱状をなしている。第1の筐体4の上壁4bは、キーボード取り付け部5と凸部6とを有している。キーボード取り付け部5には、キーボード7が設置されている。凸部6は、上壁4bの後端部から上向きに張り出すとともに、第1の筐体4の幅方向に延びている。この凸部6は、一対のディスプレイ支持部8a,8bを有し、これらディスプレイ支持部8a,8bは、第1の筐体4の幅方向に離間して配置されている。
【0033】ディスプレイユニット3は、第2の筐体としてのディスプレイハウジング10と、このディスプレイハウジング10に収容された液晶表示パネル11とを備えている。ディスプレイハウジング10は、熱伝導性を有する合成樹脂材料にて構成され、表示窓12が形成された前壁13と、外壁としての後壁14とを有する偏平な箱状をなしている。後壁14は、表示窓12や前壁13と向かい合っている。液晶表示パネル11は、文字や画像を表示する表示画面(図示せず)を有し、この表示画面が表示窓12を通じてディスプレイハウジング10の外部に露出されている。
【0034】図1や図2に示すように、ディスプレイハウジング10は、その一端部から突出する一対の脚部15a,15bを有している。脚部15a,15bは、中空状をなすとともに、ディスプレイハウジング10の幅方向に離間して配置されている。これら脚部15a,15bは、第1の筐体4のディスプレイ支持部8a,8bに挿入されている。一方の脚部15aは、一方のディスプレイ支持部8aに回動可能に連結され、他方の脚部15bは、ヒンジ装置16を介して第1の筐体4に連結されている。
【0035】そのため、ディスプレイユニット3は、キーボード7を上方から覆うように倒される閉じ位置と、キーボード7の後方において起立する開き位置とに亘って回動可能となっている図3に示すように、第1の筐体4は、システム基板としての回路基板20を収容している。回路基板20は、第1の筐体4の底壁4aと平行に配置されており、この回路基板20の上面に発熱体としての半導体パッケージ21(回路部品)が実装されている。半導体パッケージ21は、ポータブルコンピュータ1の中枢となるマイクロプロセッサを構成するものであり、回路基板20の後部の左端部に位置されている。この半導体パッケージ21は、矩形状のベース基板22と、このベース基板22の上面に半田付けされたICチップ23とを有している。ICチップ23は、処理速度の高速化や多機能化に伴って動作中の発熱量が非常に大きく、安定した動作を維持するために冷却を必要としている。
【0036】図2および図3に示すように、ポータブルコンピュータ1は、半導体パッケージ21を強制的に冷却する空冷式の第1の冷却ユニット24と、液冷式の第2の冷却ユニット25とを装備している。
【0037】第1の冷却ユニット24は、第1の筐体4に収容されており、キーボード7と回路基板20との間に介在されている。第1の冷却ユニット24は、ヒートシンク26と電動ファン27とを備え、これらヒートシンク26および電動ファン27は、一つのユニットとして一体化されている。
【0038】ヒートシンク26は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成され、第1の筐体4の幅方向に延びる偏平な箱状をなしている。ヒートシンク26は、ベース28と天板29とを備えている。ベース28および天板29は、互いに協働して冷却風通路30を構成しており、このベース28の上面に冷却風通路30に臨む複数の放熱フィン31が形成されている。冷却風通路30の下流端は、第1の筐体4の左側の側壁4cに開口された排気口32と向かい合っている。
【0039】ヒートシンク26のベース28は、受熱ヘッド34を一体に備えている。受熱ヘッド34は、ベース28から下向きに張り出す中空の箱状をなしており、半導体パッケージ21よりも大きな平面形状を有している。この受熱ヘッド34の下面は、平坦な受熱面34aとなっている。受熱面34aは、図示しない熱伝導シートあるいは熱伝導性のグリースを介して半導体パッケージ21のICチップ23に熱的に接続されている。
【0040】このため、ICチップ23の熱は、受熱面34aに伝えられた後、受熱ヘッド34を通じてヒートシンク26に拡散されるようになっている。
【0041】電動ファン27は、ファンケーシング35と遠心式の羽根車36とを備えている。ファンケーシング35は、ヒートシンク26と一体化された偏平な箱状をなしており、冷却風通路30の上流端に位置されている。ファンケーシング35は、その上面と下面に夫々吸込口37,38を有している。これら吸込口37,38は、第1の筐体4の内部に開口されている。
【0042】羽根車36は、その回転軸線O1を縦方向に沿わせた横置きの姿勢でファンケーシング35に収容され、吸込口37,38の間に位置されている。羽根車36は、例えば半導体パッケージ21が予め決められた温度に達した時に、偏平モータ39を介して回転駆動される。羽根車36が回転駆動されると、第1の筐体4の内部の空気が吸込口37,38からファンケーシング35に吸い込まれるとともに、この空気は、羽根車36の外周部から冷却風通路30に向けて吐き出されるようになっている。
【0043】図2に示すように、液例式の第2の冷却ユニット25は、受熱部40、放熱器41および循環手段としての循環経路42を備えている。受熱部40は、第1の冷却ユニット24の受熱ヘッド34と一体化されている。すなわち、図3および図4に見られるように、受熱部40は、受熱ヘッド34の内部に形成された熱交換室43を含んでおり、この熱交換室43は、受熱面34aを介してICチップ23に熱的に接続されている。熱交換室43は、互いに間隔を存して配置された複数のガイド壁44によって複数の通路45に仕切られている。また、受熱部40は、冷媒入口46と冷媒出口47とを有している。冷媒入口46は、熱交換室43の上流端に位置され、冷媒出口47は、熱交換室43の下流端に位置されている。
【0044】図2および図5に示すように、放熱器41は、ディスプレイハウジング10の内部に収容されている。この放熱器41は、液晶表示パネル11とディスプレイハウジング10の後壁14との間に介在された放熱器本体49を有している。放熱器本体49は、液晶表示パネル11と同等の大きさを有するとともに、厚さが数mmの長方形の板状をなしている。この放熱器本体49は、平坦な第1および第2の放熱板50,51を有し、これら放熱板50,51は、例えばポリプロプレンのような熱伝導性および耐熱性を兼ね備えた合成樹脂材料にて構成されている。
【0045】図6に最も良く示されるように、第1の放熱板50と第2の放熱板51とは、互いに重ね合わされており、その外周縁部を全周に亘って熱溶着することにより一体的に結合されている。第1の放熱板50は、第2の放熱板51との合面に開口する凹部52を有している。凹部52は、第1の放熱板50の略全面に亘って蛇行状に形成されており、第2の放熱板51の合面との間に冷媒通路53を構成している。冷媒通路53は、ディスプレイハウジング10の幅方向に延びる複数の直管部54を有し、これら直管部54は、ディスプレイハウジング10の高さ方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。
【0046】放熱器本体49は、冷媒入口56と冷媒出口57とを有している。冷媒入口56は、冷媒通路53の上流端に連なるとともに、ディスプレイハウジング10の左側の脚部15aに向けて開口されている。冷媒出口57は、冷媒通路53の下流端に連なるとともに、ディスプレイハウジング10の右側の脚部15bに向けて開口されている。このため、冷媒入口56と冷媒出口57とは、ディスプレイハウジング10の幅方向に互いに離れている。
【0047】また、図6に見られるように、放熱器本体49は、液漏れ防止用の合成樹脂製の表層58によって覆われている。表層58は、第1および第2の放熱板50,51およびその接合部を連続して覆うようにこれら放熱板50,51に積層されている。
【0048】放熱器本体49は、液晶表示パネル11の背後において、ディスプレイハウジング10の後壁14に嵌め込み、接着あるいはねじ止め等の手段により固定され、その第2の放熱板51が表層58を間に挟んで後壁14に重ね合わされている。このため、放熱器本体49は、ディスプレイハウジング10に熱的に接続されている。
【0049】上記循環経路42は、第1の管路60と第2の管路61とを備えている。第1の管路60は、受熱部40の冷媒出口47と放熱器本体49の冷媒入口56とを接続するためのものである。この第1の管路60は、第1の筐体4の内部を左側のディスプレイ支持部8aに向けて導かれた後、このディスプレイ支持部8aおよび左側の脚部15aを貫通してディスプレイハウジング10の内部に導入されている。
【0050】第2の管路61は、受熱部40の冷媒入口46と放熱器本体49の冷媒出口57とを接続するためのものである。この第2の管路61は、第1の筐体4の内部を右側のディスプレイ支持部8bに向けて導かれた後、このディスプレイ支持部8bおよび右側の脚部15bを貫通してディスプレイハウジング10の内部に導入されている。
【0051】このため、受熱部40の熱交換室43と放熱器本体49の冷媒通路53とは、第1および第2の管路60,61を介して互いに接続されており、これら熱交換室43、冷媒通路53、第1および第2の管路60,61に液状の冷媒が密に封入されている。この冷媒としては、例えば水、あるいは水に例えばエチレングリコールを添加した不凍液等が用いられる。
【0052】また、図2や図5に示すように、第1および第2の管路60,61のうち、ディスプレイハウジング10の脚部15a,15bに導入された部分は、柔軟なベローズ62にて構成されている。ベローズ管62は、ディスプレイユニット3を閉じ位置又は開き位置に向けて回動させた時に、この回動に追従して滑らかに変形するようになっており、ディスプレイユニット3の回動時に第1および第2の管路60,61に加わる曲げを吸収する。
【0053】第2の管路61の途中には、ポンプ63が設置されている。ポンプ63は、第1の筐体4に収容されており、ポータブルコンピュータ1の電源投入時あるいは半導体パッケージ21が予め決められた温度に達した時に駆動されるようになっている。
【0054】このような構成のポータブルコンピュータ1において、半導体パッケージ21のICチップ23が発熱すると、このICチップ23の熱は、最初に受熱ヘッド34の受熱面34aに伝えられる。この熱の一部は、受熱ヘッド34からベース28および天板29への熱伝導によりヒートシンク26に拡散される。また、受熱ヘッド34は、液状の冷媒が封入された熱交換室43を有するので、受熱面34aに伝えられた熱の一部は、熱伝導室43への熱伝導により冷媒に移される。
【0055】半導体パッケージ21の温度が設定値に達すると、電動ファン27の羽根車36が回転駆動される。この羽根車36の回転により、第1の筐体4の内部の空気が吸込口37,38を通じてファンケーシング35に吸い込まれる。この空気は、冷却風となって羽根車36の外周部から吐き出され、ヒートシンク26の冷却風通路30に送風される。この冷却風は、放熱フィン31の間を通り抜け、この流れの過程でICチップ23の熱を受けるヒートシンク26を強制的に冷却する。
【0056】ヒートシンク26に伝えられたICチップ23の熱は、冷却風との熱交換により持ち去られる。この熱交換により暖められた冷却風は、冷却風通路30の下流端から排気口32を通じて第1の筐体4の外部に排出される。
【0057】一方、半導体パッケージ21の温度が設定値に達すると、ポンプ63が駆動される。このポンプ63から吐出された冷媒は、受熱ヘッド34(受熱部40)に向けて圧送され、その熱交換室43を通過する。この際、受熱ヘッド34は、ICチップ23の熱を受けているので、受熱ヘッド34に伝えられたICチップ23の熱の一部は、受熱ヘッド34から冷媒に移される。ここでの熱交換により加熱された冷媒は、第1の管路60を通じてディスプレイユニット3の放熱器41に導かれ、この冷媒の流れに乗じてICチップ23の熱が放熱器41に移送される。
【0058】放熱器41に移送された冷媒は、蛇行状に屈曲された長い冷媒通路53を冷媒入口56から冷媒出口57に向けて流れる。この流れの過程で冷媒に取り込まれたICチップ23の熱が放熱器本体49に伝わり、この放熱器本体49の広い範囲に亘って均一に拡散される。この放熱器本体49で均熱化されたICチップ23の熱は、放熱器本体49から後壁14への熱伝達によりディスプレイハウジング10に拡散され、このディスプレイハウジング10の表面から大気中に放出される。
【0059】放熱器本体49に導かれた冷媒は、冷媒通路53を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び受熱ヘッド34の熱交換室43に導かれる。
【0060】このような構成によれば、ディスプレイハウジング10の内部に放熱器41を収容し、この放熱器41と半導体パッケージ21の熱を受ける受熱部40との間で液状の冷媒を循環させるようにしたので、この冷媒の流れを利用して半導体パッケージ21の熱を効率良くディスプレイユニット3に移送して、ここから大気中に放出することができる。このため、従来一般的な強制空冷との比較において、半導体パッケージ21の放熱性能を飛躍的に高めることができる。
【0061】また、半導体パッケージ21の熱の一部は、放熱器41を通じて放出されるので、空冷式の第1の冷却ユニット24を併用する場合に、この第1の冷却ユニット24のヒートシンク26を大型化することなく冷却システム全体の熱抵抗を低減することができる。そのため、第1の筐体4の小型化要求を満足しつつ、半導体パッケージ21の冷却性能を高めることができる。
【0062】しかも、上記構成によると、加熱された冷媒が導かれる放熱器41は、その冷媒通路53を有する放熱器本体49そのものが合成樹脂製となっている。このため、例えばアルミニウム合金や銅系合金を用いた金属製の放熱器との比較において軽量化を図れるとともに、液状をなす冷媒の種類や成分との相性が問題となることはない。
【0063】この結果、冷媒が放熱器41に導かれた時に、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うようなことはなく、受熱部40から移送される半導体パッケージ21の熱を効率良く放出できるとともに、受熱部40と放熱器41との間で冷媒の循環が妨げられることもない。よって、半導体パッケージ21の冷却性能を高める上での信頼性が向上し、この半導体パッケージ21の発熱量の増大に無理なく対応できるといった利点がある。
【0064】なお、本発明は上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、図7に本発明の第2の実施の形態を示す。
【0065】この第2の実施の形態は、ディスプレイハウジング10の内部に電動ファン70を設置した点が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外のポータブルコンピュータ1の基本的な構成は、第1の実施の形態と同様である。このため、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成部分には、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0066】図7に示すように、電動ファン70は、第2の冷却ユニット25の放熱器41を強制的に冷却するためのものである。電動ファン70は、放熱器41の左端部とディスプレイハウジング10の左側の側壁10aとの間に配置されている。この電動ファン70は、ファンケーシング71と遠心式の羽根車72とを備えている。ファンケーシング71は、吸込口73および吐出口74を有する偏平な箱状をなしている。吸込口73は、ディスプレイハウジング10の内部に開口されているとともに、吐出口74は、ディスプレイハウジング10の左側の側壁10aに開口された排気口75と向かい合っている。
【0067】電動ファン70の羽根車72は、例えば冷媒を循環させるポンプ63に連動して回転駆動される。羽根車72が回転駆動されると、ディスプレイハウジング10の内部の空気が吸込口73からファンケーシング71に吸い込まれるので、ディスプレイハウジング10の内部に、図7に矢印で示すように電動ファン70に向かう冷却風の流れが形成される。このため、ディスプレイハウジング10の内部に収容された放熱器41は、冷却風との接触により強制的に冷やされ、この放熱器41に伝えられた半導体パッケージ21の熱が冷却風の流れに乗じて持ち去られる。
【0068】放熱器41との熱交換により暖められた冷却風は、吸込口73からファンケーシング71に吸い込まれた後、羽根車72の外周部から吐出口74に向けて吐き出され、ここから排気口75を通じてディスプレイハウジング10の外部に排出される。
【0069】なお、この第2の実施の形態のディスプレイハウジング10は、電動ファン70とは放熱器41を間に挟んだ反対側に複数の外気導入口76を有している。そのため、電動ファン70が駆動されると、ディスプレイハウジング10の外部の冷たい空気が外気導入口76を通じてディスプレイハウジング10の内部に導入され、この冷たい空気が冷却風となって放熱器41に導かれるようになっている。
【0070】このような構成によれば、加熱された冷媒が導かれる放熱器41を強制的に冷却することができ、この放熱器41での熱交換を効率良く行なうことができる。したがって、放熱器41の放熱性能が向上し、半導体パッケージ21の冷却性能をより一層高めることができる。
【0071】また、図8および図9は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0072】この第3の実施の形態は、ディスプレイユニット3のディスプレイハウジング10に放熱器としての機能を兼用させるようにしたものであり、それ以外のポータブルコンピュータ1の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0073】ディスプレイハウジング10の後壁14は、例えばポリプロピレンのような熱伝導性を有する合成樹脂材料にて構成されている。この後壁14は、図8に示すような凸部80を有している。凸部80は、後壁14と一体化されてディスプレイハウジング10の内側に張り出している。そして、凸部80は、図9に見られるように後壁14に対し蛇行状に形成されており、この凸部80の内部に冷媒通路81が形成されている。
【0074】また、ディスプレイハウジング10の後壁14は、冷媒入口82と冷媒出口83とを有している。冷媒入口82は、冷媒通路81の上流端に連なるとともに、第1の管路60を介して受熱部40の冷媒出口47に接続されている。冷媒出口83は、冷媒通路81の下流端に連なるとともに、第2の管路61を介してポンプ63に接続されている。
【0075】このような構成において、受熱部40での熱交換により加熱された冷媒は、第1の管路60を通じてディスプレイハウジング10の冷媒通路81に移送され、この冷媒通路81を冷媒入口82から冷媒出口83に向けて流れる。この流れの過程で冷媒に取り込まれたICチップ23の熱が直接ディスプレイハウジング10の後壁14に伝わり、この後壁14からディスプレイハウジング10の広い範囲に亘って均一に拡散される。この拡散により均熱化されたICチップ23の熱は、このディスプレイハウジング10の表面から大気中に放出される。
【0076】冷媒通路81に導かれた冷媒は、この冷媒通路81を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び受熱ヘッド34の熱交換室43に導かれる。
【0077】このような構成によれば、加熱された冷媒が導かれる冷媒通路81は、ディスプレイハウジング10の後壁14に直接形成されているので、このディスプレイハウジング10に放熱器としての機能を兼用させることができる。このため、専用の放熱器が不要となり、コストの低減や軽量化が可能となる。それとともに、ディスプレイハウシング10の内部に専用の放熱器を収めるスペースを確保する必要はなく、ディスプレイハウジング10の薄くコンパクトに形成することができる。
【0078】また、冷媒通路81を有するディスプレイハウジング10の後壁14は、合成樹脂製であるから、この冷媒通路81を流れる冷媒との相性が問題となることはなく、冷媒が冷媒通路81に導かれた時に、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うようなことはない。よって、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】図10ないし図13は、本発明の第4の実施の形態を開示している。
【0080】この第4の実施の形態は、半導体パッケージ21の熱を受ける部分の構成と、冷媒の循環経路を分割可能とした点が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0081】図11に示すように、回路基板20の上には、受熱部としての受熱ヘッド90が配置されている。受熱ヘッド90は、熱伝導ケース91を有し、この熱伝導ケース91は、半導体パッケージ21よりも大きな平面形状を有する偏平な箱状をなしている。熱伝導ケース91の内部には、複数のガイド壁92が形成されている。ガイド壁92は、互いに間隔を存して平行に配置されており、熱伝導ケース91の内部を複数の冷媒流路93に区画している。
【0082】熱伝導ケース91は、冷媒入口94と冷媒出口95とを有している。冷媒入口94は、冷媒流路93の上流端に位置され、第2の管路61を介してポンプ63に接続されている。冷媒出口95は、冷媒流路93の下流端に位置され、第1の管路60を介して放熱器41の冷媒入口56に接続されている。そして、受熱ヘッド90の冷媒流路93、放熱器41の冷媒通路53、第1および第2の管路60,61には、水や不凍液のような液状の冷媒が密に封入されている。
【0083】受熱ヘッド90は、その四つの角部がねじ96を介して回路基板20に固定されており、その熱伝導ケース91と回路基板20との間に半導体パッケージ21が介在されている。熱伝導ケース91の下面は、平坦な受熱面91aをなしており、この受熱面91aと半導体パッケージ21のICチップ23との間に熱伝導シート97が介在されている。
【0084】熱伝導ケース91の受熱面91aは、板ばね98によってICチップ23に押し付けられ、このICチップ23との間で熱伝導シート97を挟み込んでいる。このため、熱伝導ケース91は、熱伝導シート97を介してICチップ23に熱的に接続されている。
【0085】図10に見られるように、受熱ヘッド90と放熱器41とを接続する第1および第2の管路60,61は、夫々第1の筐体4の内部で分割されているとともに、その分割端が管継手100を介して取り外し可能に連結されている。
【0086】管継手100は、着脱可能な第1および第2の継手部101,102を有している。第1の継手部101は、第1および第2の管路60,61の一方の分割端103に接続されている。第2の継手部102は、第1および第2の管路60,61の他方の分割端104に接続されている。
【0087】図13に示すように、第1の継手部101は、中空筒状のボデー105を有している。ボデー105の内部には、第1および第2の管路60,61の一方の分割端103に連なる連通路106が形成されている。連通路106は、ボデー105の先端に開口された弁孔107に連なっている。ボデー105の先端には、弁孔107の開口縁部からボデー105の外方に突出する一対の押圧棒108が配置されている。
【0088】連通路106の内部には、ボール状の弁体109が収容されている。弁体109は、弁孔107に近づいたり遠ざかる方向に移動可能にボデー105に支持されているとともに、常にスプリング110を介して弁孔107の方向に押圧されている。そのため、第1の継手部101と第2の継手部102とが分離された状態では、弁体109が弁孔107の開口縁部に密着し、この弁孔107を閉止している。
【0089】第2の継手部102は、中空筒状のボデー112を有している。ボデー112の内部には、第1および第2の管路60,61の他方の分割端104に連なる連通路113が形成されている。連通路113は、ボデー112の先端面に開口された嵌合孔114に連なっており、この嵌合孔114を通じて連通路113の前半部分に第1の継手部101のボデー105が取り外し可能に嵌合されるようになっている。
【0090】連通路113の途中には、押圧突起115と、弁孔116が開口された仕切り壁117とが設置されている。押圧突起115は、連通路113の中央部に位置されているとともに、嵌合孔114に向かって延びている。仕切り壁117は、押圧突起115よりも連通路113の終端側に位置され、この仕切り壁117と連通路113の終端との間にボール状の弁体118が収容されている。弁体118は、弁孔116に近づいたり遠ざかる方向に移動可能にボデー112に支持されているとともに、常にスプリング119を介して弁孔116の方向に押圧されている。そのため、第1の継手部101と第2の継手部102とが分離された状態では、弁体118が弁孔116の開口縁部に密着し、この弁孔116を閉止している。
【0091】図13の(A)に示すように、管継手100の第1の継手部101を第2の継手部102の嵌合孔114に嵌め込むと、第2の継手部102の押圧突起115が第1の継手部101の弁孔107に入り込み、弁体109に突き当たる。これにより、弁体109がスプリング110の付勢力に抗して弁孔107の開口縁部から遠ざかる方向に押し込まれ、弁孔107が開かれる。
【0092】また、第1の継手部101の先端の押圧棒108が押圧突起115の周囲を通って第2の継手部102の弁孔116に入り込み、弁体118に突き当たる。これにより、弁体118がスプリング119の付勢力に抗して弁孔116の開口縁部から遠ざかる方向に押し込まれ、弁孔116が開かれる。
【0093】このため、第1の継手部101と第2の継手部102とを互いに連結した状態では、これら継手部101,102の内部の連通路106,113が弁孔107,116を介して連通するようになっている。
【0094】図13の(B)に示すように、第1の継手部101と第2の継手部102とを互いに分離させると、押圧突起115による弁体109の押圧が解除されるとともに、押圧棒108による弁体118の押圧が解除される。そのため、弁体109,118がスプリング110,119によって弁孔107,116の開口縁部に押し付けられ、これら弁孔107,116が閉止される。よって、第1および第2の管路60,61の分割端103,104が自動的に閉じられ、冷媒の漏洩が阻止される。
【0095】このような構成において、半導体パッケージ21が発熱すると、そのICチップ23の熱は、熱伝導シート97を介して熱伝導ケース91の受熱面91aに伝えられ、ここから冷媒流路93を流れる冷媒に移される。この熱交換により加熱された冷媒は、第1の管路60を通じてディスプレイユニット3の放熱器41に導かれ、この冷媒の流れに乗じてICチップ23の熱が放熱器41に移送される。
【0096】放熱器41に移送された冷媒は、冷媒通路53を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び熱伝導ケース91の冷媒通路93に導かれる。
【0097】このような構成によれば、冷媒の流れを利用して半導体パッケージ21の熱を効率良くディスプレイユニット3に移送することができ、半導体パッケージ21の放熱性能を飛躍的に高めることができる。
【0098】また、受熱ヘッド90と放熱器41とを接続する第1および第2の管路60,61は、夫々管継手100の部分で分割可能であるから、受熱ヘッド90をコンピュータ本体2に残したままの状態で、このコンピュータ本体2からディスプレイユニット3を取り外したり、組み付けることができる。
【0099】しかも、管継手100の第1の継手部101と第2の継手部102とを分離させると、弁体109,118によって各継手部101,102の弁孔107,116が自動的に閉止される。このため、冷媒の漏洩を防止することができ、第1および第2の管路60,61の分割端103,104を塞ぐ格別な作業が不要となって、作業性を良好に維持することができる。
【0100】図14および図15は、本発明の第5の実施の形態を開示している。
【0101】この第5の実施の形態は、放熱器41を第1の筐体4に収容したものであり、それ以外のポータブルコンピュータ1の基本的な構成は、第1の実施の形態と同一である。
【0102】この第5の実施の形態では、半導体パッケージ21が回路基板20の下面に実装されている。また、第1の冷却ユニット24および放熱器41は、回路基板20の下方において、第1の筐体4の幅方向に互いに並べて配置されている。
【0103】図15に見られるように、第1の冷却ユニット24の受熱ヘッド34は、ヒートシンク26の上に配置されており、この受熱ヘッド34の上端に位置する受熱面34aがICチップ23に熱的に接続されている。放熱器41は、その冷媒入口56および冷媒出口57を第1の冷却ユニット24に向けた姿勢で第1の筐体4の底壁4aの上に載置されており、この底壁4aに熱的に接続されている。
【0104】このような構成によると、受熱ヘッド34に伝えられたICチップ23の熱の一部は、受熱ヘッド34から冷媒に伝えられるとともに、この冷媒の流れに乗じて放熱器41に移送される。
【0105】放熱器41に移送された冷媒は、蛇行状に屈曲された長い冷媒通路53を冷媒入口56から冷媒出口57に向けて流れる。この流れの過程で冷媒に取り込まれたICチップ23の熱が放熱器本体49に伝わり、この放熱器本体49の広い範囲に亘って均一に拡散される。この放熱器本体49で均熱化されたICチップ23の熱は、放熱器本体49から底壁4aへの熱伝達により第1の筐体4に拡散され、この第1の筐体4の表面から大気中に放出される。
【0106】放熱器本体49に導かれた冷媒は、冷媒通路53を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び受熱ヘッド34の熱交換室43に導かれる。
【0107】そのため、上記第1の実施の形態と同様に、半導体パッケージ21の熱を冷媒の流れを利用して効率良く放熱器41に移送することができ、半導体パッケージ21の放熱性能を高めることができる。
【0108】しかも、冷媒の循環経路の全てが第1の筐体4の内部に収まるので、この冷媒の循環経路がコンパクトとなり、ポータブルコンピュータ1の構成の簡略化に寄与するといった利点がある。
【0109】図16および図17は、本発明の第6の実施の形態を開示している。
【0110】この第6の実施の形態は、第1の筐体4の内部に電動ファン130を設置した点が上記第5の実施の形態と相違しており、それ以外のポータブルコンピュータ1の基本的な構成は、第5の実施の形態と同様である。
【0111】放熱器41は、第1の筐体4の底壁4aから上向きに突出された複数の座部128にねじ止め等の手段により固定されている。このため、底壁4aと放熱器41との間には、送風用の隙間129が形成されている。
【0112】また、電動ファン130は、放熱器41を強制的に冷却するためのものである。電動ファン130は、放熱器41の右端部と第1の筐体4の右側の側壁4cとの間に配置されており、第1の冷却ユニット24とは放熱器41を間に挟んだ反対側に位置されている。
【0113】この電動ファン130は、ファンケーシング131と遠心式の羽根車132とを備えている。ファンケーシング131は、吸込口133および吐出口134を有する偏平な箱状をなしている。吸込口133は、第1の筐体4の内部に開口されているとともに、吐出口134は、第1の筐体4の右側の側壁4cに開口された排気口135と向かい合っている。
【0114】羽根車132は、その回転軸線O2を第1の筐体4の厚み方向に沿わせた横置き姿勢でファンケーシング131に収容されている。羽根車132は、例えば冷媒を循環させるポンプ63に連動して回転駆動される。羽根車132が回転駆動されると、第1の筐体4の内部の空気が吸込口133からファンケーシング131に吸い込まれるので、第1の筐体4の内部に、図16や図17に矢印で示すように、上記送風用の隙間129を通って電動ファン130の吸込口133に向かう冷却風の流れが形成される。このため、第1の筐体4の内部に収容された放熱器41は、冷却風との接触により強制的に冷やされ、この放熱器41に伝えられた半導体パッケージ21の熱が冷却風の流れに乗じて持ち去られる。
【0115】放熱器41との熱交換により暖められた冷却風は、吸込口133からファンケーシング131に吸い込まれた後、羽根車132の外周部から吐出口134に向けて吐き出され、ここから排気口135を通じて第1の筐体4の外部に排出される。
【0116】このような構成によれば、加熱された冷媒が導かれる放熱器41を強制的に冷却することができ、この放熱器41での熱交換を効率良く行なうことができる。したがって、放熱器41の放熱性能が向上し、半導体パッケージ21の冷却性能をより一層高めることができる。
【0117】なお、上記第5および第6の実施の形態では、第1の冷却ユニットを併用することにより半導体パッケージを強制的に空冷するようにしたが、この第1の冷却ユニットを省略し、上記第4の実施の形態に示すような受熱ヘッドを用いて半導体パッケージの熱を冷媒に伝えるようにしても良い。
【0118】また、上記実施の形態では、第1の筐体又はディスプレイハウジングのいずれかに放熱器を収容したが、これら第1の筐体およびディスプレイハウジングの双方に放熱器を収容しても良い。
【0119】また、上記各実施の形態では、ポンプを用いて冷媒を強制的に循環させるようにしたが、例えば冷媒の蒸気圧を利用して冷媒を循環させるようにしても良い。
【0120】さらに、本発明に係る電子機器は、開閉可能なディスプレイユニットを有するポータブルコンピュータに限らず、例えばコンピュータ本体の上面にタブレットを配置したペン入力方式のポータブルコンピュータであっても同様に実施可能である。
【0121】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、放熱器と冷媒との相性が問題となることはないので、放熱器が冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うようなことはない。したがって、放熱器の軽量化は勿論のこと、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上し、この発熱体の発熱量の増大に無理なく対応できるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図3】半導体パッケージと第1の冷却ユニットとの位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図4】受熱ヘッドの断面図。
【図5】コンピュ−タ本体とディスプレイユニットとの間に跨る第2の管路の挿通経路を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図6】図2のF6−F6線に沿う放熱器の断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図8】本発明の第3に実施の形態に係るポータブルコンピュータの断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図11】受熱ヘッドと半導体パッケージとの位置関係を示す断面図。
【図12】受熱ヘッドの断面図。
【図13】(A)は、第1の継手部と第2の継手部とを互いに連結した状態を示す管継手の断面図。(B)は、第1の継手部と第2の継手部とを互いに分離した状態を示す管継手の断面図。
【図14】本発明の第5の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図15】第1の冷却ユニットと放熱器との位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図16】本発明の第6の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図17】第1の冷却ユニットと放熱器との位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【符号の説明】
1…電子機器(ポータブルコンピュータ)
4…第1の筐体
10…第2の筐体(ディスプレイハウジング)
14…外壁(後壁)
21…発熱体(半導体パッケージ)
24…冷却ユニット(第1の冷却ユニット)
40…受熱部
41…放熱器
42…循環手段(循環経路)
49…放熱器本体
53,81…冷媒通路
56,82…冷媒入口
57,83…冷媒出口
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体パッケージのような発熱体を内蔵する電子機器に係り、特にその発熱体の冷却性能を高めるための構造に関する。
【0002】
【従来の技術】ノート形のポータブルコンピュータや移動体通信機器に代表される携帯形の電子機器は、マルチメディア情報を処理するためのマイクロプロセッサを装備している。この種のマイクロプロセッサは、処理速度の高速化や多機能化に伴って動作中の発熱量が急速に増大する傾向にある。そのため、マイクロプロセッサの安定した動作を保障するためには、このマイクロプロセッサの放熱性を高める必要がある。
【0003】この熱対策として、従来の電子機器は、マイクロプロセッサを強制的に冷却する空冷式の冷却装置を装備している。この冷却装置は、マイクロプロセッサの熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を送風する電動ファンとを備えている。
【0004】ヒートシンクは、マイクロプロセッサの熱を受ける受熱部、複数の放熱フィンおよび冷却風通路を有している。冷却風通路は、受熱部や放熱フィンに沿うように形成されており、この冷却風通路に電動ファンを介して冷却風が送風される。冷却風は、放熱フィンの間を縫うようにして流れ、この流れの過程でヒートシンクを強制的に冷却する。そのため、ヒートシンクに伝えられたマイクロプロセッサの熱は、冷却風の流れに乗じて持ち去られるとともに、冷却風通路の下流端から電子機器の外部に排出されるようになっている。
【0005】この従来の冷却方式では、冷却風通路を流れる冷却風がマイクロプロセッサの熱を奪う冷却媒体となるので、マイクロプロセッサの冷却性能の多くは、冷却風の風量やこの冷却風とヒートシンクとの接触面積に依存することになる。
【0006】ところが、マイクロプロセッサの冷却性能を高めることを意図して冷却風の風量を増やすと、電動ファンの回転数が増大し、大きな騒音を発するといった問題がある。また、放熱フィンの数を増やしたり、形状を大きくした場合には、ヒートシンク自体が巨大なものとなる。そのため、電子機器の内部にヒートシンクを収める広い設置スペースを確保しなくてはならず、ポータブルコンピュータのような小型の電子機器にはスペース的な問題から適用することができない。
【0007】近い将来、電子機器用のマイクロプロセッサは、更なる高速化や多機能化が予測され、それに伴いマイクロプロセッサの発熱量も飛躍的な増加が見込まれる。したがって、従来の強制空冷による冷却方式では、マイクロプロセッサの冷却性能が不足したり限界に達することが懸念される。
【0008】これを改善するものとして、例えば「特開平7−142886号公報」に見られるように、空気よりも遥かに高い比熱を有する液体を冷媒として利用し、マイクロプロセッサの冷却効率を高めようとする、いわゆる液冷による冷却方式が試されている。
【0009】この新たな冷却方式では、マイクロプロセッサが収容された筐体の内部に受熱ヘッダを設置するとともに、この筐体に支持されたディスプレイユニットの内部に放熱ヘッダを設置している。受熱ヘッダは、マクロプロセッサに熱的に接続されており、この受熱ヘッダの内部に液状の冷媒が流れる流路が形成されている。放熱ヘッダは、ディスプレイユニットに熱的に接続されており、この放熱ヘッダの内部にも上記冷媒が流れる流路が形成されている。そして、これら受熱ヘッダの流路と放熱ヘッダの流路とは、冷媒を循環させる循環経路を介して互いに接続されている。
【0010】この冷却方式によると、マイクロプロセッサの熱は、受熱ヘッダから冷媒に伝えられた後、この冷媒の流れに乗じて放熱ヘッダに移送される。放熱ヘッダに移された熱は、冷媒が流路を流れる過程で熱伝導により拡散され、この放熱ヘッダからディスプレイユニットを通じて大気中に放出される。
【0011】そのため、マイクロプロセッサの熱を冷媒の流れを利用して効率良くディスプレイユニットに移送することができ、従来の強制空冷に比べてマイクロプロセッサの冷却性能を高めることができるとともに、騒音面でも何ら問題は生じないといった優位点がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、冷媒の熱を放出するための放熱ヘッダは、この冷媒との接触部に生じる熱抵抗を小さく抑えるため、銅あるいはアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成されている。
【0013】この金属製の放熱ヘッダは、熱伝導が良くて冷媒との熱交換を効率良く行なえるといった利点を有するものの、下記のような欠点がある。
【0014】すなわち、液状の冷媒は、電子機器の使用環境に適合するように数多くの種類が存在するので、この冷媒と放熱ヘッダを構成する金属との相性によっては、放熱ヘッダが化学反応を起こしてガスを発したり、あるいは冷媒と接する放熱ヘッダの内面が腐蝕する虞があり得る。このガスが冷媒に混じって循環するような状態に陥ると、受熱ヘッダから放熱ヘッダへの熱の移送が妨げられてしまい、マイクロプロセッサの熱を効率良く放出することができなくなる。
【0015】特に循環経路に冷媒を強制的に循環させるポンプが存在すると、冷媒中に混入したガスがポンプに達した時にキャビテーションが発生することがある。このため、ポンプの損傷を避けられず、熱移送が妨げられるのは勿論のこと、冷媒の循環系統の信頼性に悪影響を及ぼすといった不具合が生じてくる。
【0016】本発明は、このような事情にもとづいてなされたもので、液状の冷媒と放熱器との相性が問題となることはなく、発熱体の熱を放熱器から効率良く放出することができる電子機器の提供を目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1に係る本発明の電子機器は、発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、上記発熱体の熱を放出するための放熱器を内蔵し、上記第1の筐体に支持された第2の筐体と、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨って配置され、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段とを具備している。上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に熱的に接続されていることを特徴としている。
【0018】このような構成によれば、発熱体の熱は、受熱部に伝えられた後、この受熱部から液状の冷媒に移される。この受熱部での熱交換により加熱された冷媒は、循環手段を通じて放熱器に移送され、放熱器本体の冷媒通路を冷媒入口から冷媒出口に向けて流れる。そのため、発熱体の熱は、冷媒が冷媒通路を流れる過程で放熱器本体に伝わり、この放熱器本体の広い範囲に亘って均一に拡散されるとともに、この放熱器本体から第2の筐体を通じて大気中に放出される。
【0019】放熱器本体での熱交換により冷却された冷媒は、循環手段を経て受熱部に戻され、ここで再び発熱体の熱を受ける。このようなサイクルを繰り返すことで、発熱体の熱を冷媒の流れを利用して効率良く第2の筐体に移送することができ、発熱体の冷却性能を高めることができる。
【0020】冷媒通路を有する放熱器本体は、合成樹脂製であるので、液状の冷媒との相性が問題となることはなく、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うことはない。このため、受熱部から移送される発熱体の熱を効率良く放出することができるとともに、受熱部と放熱器との間で冷媒の循環が妨げられることもなく、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上する。
【0021】上記目的を達成するため、請求項7に係る本発明の電子機器は、発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、この第1の筐体に支持され、合成樹脂製の外壁を有する第2の筐体とを具備している。
【0022】上記第2の筐体は、その外壁に液状の冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有している。これら冷媒入口および冷媒出口は、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨る循環経路を介して互いに接続されており、この循環経路の途中に上記受熱部が熱的に接続されていることを特徴としている。
【0023】このような構成によると、受熱部での熱交換により加熱された冷媒は、循環手段を介して第2の筐体の冷媒通路に導かれ、この冷媒通路を冷媒入口から冷媒出口に向けて流れる。そのため、発熱体の熱は、冷媒が冷媒通路を流れる過程で第2の筐体に伝わり、この第2の筐体の広い範囲に亘って均一に拡散されるとともに、ここから大気中に放出される。
【0024】加熱された冷媒が導かれる冷媒通路は、第2の筐体の外壁に直接形成されているので、この第2の筐体に放熱器としての機能を兼用させることができる。このため、専用の放熱器が不要となるとともに、第2の筐体の内部に放熱器を収めるスペースを確保する必要はなく、第2の筐体の薄形化や軽量化が可能となる。
【0025】しかも、冷媒通路は合成樹脂製の外壁に形成されているので、冷媒との相性が問題となることはなく、冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うことはない。このため、受熱部から移送される発熱体の熱を効率良く放出できるとともに、受熱部と放熱器との間での冷媒の循環が妨げられることもなく、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上する。
【0026】上記目的を達成するため、請求項10に係る本発明の電子機器は、発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を有する筐体と、この筐体に収容され、上記発熱体の熱を放出するための放熱器と、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段とを備えている。上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に接続されていることを特徴としている。
【0027】このような構成において、発熱体の熱は、受熱部に伝えられた後、この受熱部から液状の冷媒に移される。この受熱部での熱交換により加熱された冷媒は、循環手段を通じて放熱器に移送され、放熱器本体の冷媒通路を冷媒入口から冷媒出口に向けて流れる。そのため、発熱体の熱は、冷媒が冷媒通路を流れる過程で放熱器本体に伝わり、この放熱器本体の広い範囲に亘って均一に拡散されるとともに、この放熱器本体から筐体を通じて大気中に放出される。
【0028】放熱器本体での熱交換により冷却された冷媒は、循環手段を経て受熱部に戻され、ここで再び発熱体の熱を受ける。このようなサイクルを繰り返すことで、発熱体の熱を冷媒の流れを利用して効率良く筐体に移送することができ、発熱体の冷却性能を高めることができる。
【0029】冷媒通路を有する放熱器本体は、合成樹脂製であるので、液状の冷媒との相性が問題となることはなく、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うことはない。このため、受熱部から移送される発熱体の熱を効率良く放出できるとともに、受熱部と放熱器との間で冷媒の循環が妨げられることもなく、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上する。
【0030】
【発明の実施の形態】以下本発明の第1の実施の形態を、ポータブルコンピュータに適用した図1ないし図6にもとづいて説明する。
【0031】図1に示すように、ポータブルコンピュータ1は、機器本体としてのコンピュータ本体2と、このコンピュータ本体2に支持されたディスプレイユニット3とで構成されている。
【0032】コンピュータ本体2は、合成樹脂製の第1の筐体4を備えている。第1の筐体4は、底壁4a、上壁4b、左右の側壁4c、前壁4dおよび後壁4eを有する偏平な箱状をなしている。第1の筐体4の上壁4bは、キーボード取り付け部5と凸部6とを有している。キーボード取り付け部5には、キーボード7が設置されている。凸部6は、上壁4bの後端部から上向きに張り出すとともに、第1の筐体4の幅方向に延びている。この凸部6は、一対のディスプレイ支持部8a,8bを有し、これらディスプレイ支持部8a,8bは、第1の筐体4の幅方向に離間して配置されている。
【0033】ディスプレイユニット3は、第2の筐体としてのディスプレイハウジング10と、このディスプレイハウジング10に収容された液晶表示パネル11とを備えている。ディスプレイハウジング10は、熱伝導性を有する合成樹脂材料にて構成され、表示窓12が形成された前壁13と、外壁としての後壁14とを有する偏平な箱状をなしている。後壁14は、表示窓12や前壁13と向かい合っている。液晶表示パネル11は、文字や画像を表示する表示画面(図示せず)を有し、この表示画面が表示窓12を通じてディスプレイハウジング10の外部に露出されている。
【0034】図1や図2に示すように、ディスプレイハウジング10は、その一端部から突出する一対の脚部15a,15bを有している。脚部15a,15bは、中空状をなすとともに、ディスプレイハウジング10の幅方向に離間して配置されている。これら脚部15a,15bは、第1の筐体4のディスプレイ支持部8a,8bに挿入されている。一方の脚部15aは、一方のディスプレイ支持部8aに回動可能に連結され、他方の脚部15bは、ヒンジ装置16を介して第1の筐体4に連結されている。
【0035】そのため、ディスプレイユニット3は、キーボード7を上方から覆うように倒される閉じ位置と、キーボード7の後方において起立する開き位置とに亘って回動可能となっている図3に示すように、第1の筐体4は、システム基板としての回路基板20を収容している。回路基板20は、第1の筐体4の底壁4aと平行に配置されており、この回路基板20の上面に発熱体としての半導体パッケージ21(回路部品)が実装されている。半導体パッケージ21は、ポータブルコンピュータ1の中枢となるマイクロプロセッサを構成するものであり、回路基板20の後部の左端部に位置されている。この半導体パッケージ21は、矩形状のベース基板22と、このベース基板22の上面に半田付けされたICチップ23とを有している。ICチップ23は、処理速度の高速化や多機能化に伴って動作中の発熱量が非常に大きく、安定した動作を維持するために冷却を必要としている。
【0036】図2および図3に示すように、ポータブルコンピュータ1は、半導体パッケージ21を強制的に冷却する空冷式の第1の冷却ユニット24と、液冷式の第2の冷却ユニット25とを装備している。
【0037】第1の冷却ユニット24は、第1の筐体4に収容されており、キーボード7と回路基板20との間に介在されている。第1の冷却ユニット24は、ヒートシンク26と電動ファン27とを備え、これらヒートシンク26および電動ファン27は、一つのユニットとして一体化されている。
【0038】ヒートシンク26は、例えばアルミニウム合金のような熱伝導性に優れた金属材料にて構成され、第1の筐体4の幅方向に延びる偏平な箱状をなしている。ヒートシンク26は、ベース28と天板29とを備えている。ベース28および天板29は、互いに協働して冷却風通路30を構成しており、このベース28の上面に冷却風通路30に臨む複数の放熱フィン31が形成されている。冷却風通路30の下流端は、第1の筐体4の左側の側壁4cに開口された排気口32と向かい合っている。
【0039】ヒートシンク26のベース28は、受熱ヘッド34を一体に備えている。受熱ヘッド34は、ベース28から下向きに張り出す中空の箱状をなしており、半導体パッケージ21よりも大きな平面形状を有している。この受熱ヘッド34の下面は、平坦な受熱面34aとなっている。受熱面34aは、図示しない熱伝導シートあるいは熱伝導性のグリースを介して半導体パッケージ21のICチップ23に熱的に接続されている。
【0040】このため、ICチップ23の熱は、受熱面34aに伝えられた後、受熱ヘッド34を通じてヒートシンク26に拡散されるようになっている。
【0041】電動ファン27は、ファンケーシング35と遠心式の羽根車36とを備えている。ファンケーシング35は、ヒートシンク26と一体化された偏平な箱状をなしており、冷却風通路30の上流端に位置されている。ファンケーシング35は、その上面と下面に夫々吸込口37,38を有している。これら吸込口37,38は、第1の筐体4の内部に開口されている。
【0042】羽根車36は、その回転軸線O1を縦方向に沿わせた横置きの姿勢でファンケーシング35に収容され、吸込口37,38の間に位置されている。羽根車36は、例えば半導体パッケージ21が予め決められた温度に達した時に、偏平モータ39を介して回転駆動される。羽根車36が回転駆動されると、第1の筐体4の内部の空気が吸込口37,38からファンケーシング35に吸い込まれるとともに、この空気は、羽根車36の外周部から冷却風通路30に向けて吐き出されるようになっている。
【0043】図2に示すように、液例式の第2の冷却ユニット25は、受熱部40、放熱器41および循環手段としての循環経路42を備えている。受熱部40は、第1の冷却ユニット24の受熱ヘッド34と一体化されている。すなわち、図3および図4に見られるように、受熱部40は、受熱ヘッド34の内部に形成された熱交換室43を含んでおり、この熱交換室43は、受熱面34aを介してICチップ23に熱的に接続されている。熱交換室43は、互いに間隔を存して配置された複数のガイド壁44によって複数の通路45に仕切られている。また、受熱部40は、冷媒入口46と冷媒出口47とを有している。冷媒入口46は、熱交換室43の上流端に位置され、冷媒出口47は、熱交換室43の下流端に位置されている。
【0044】図2および図5に示すように、放熱器41は、ディスプレイハウジング10の内部に収容されている。この放熱器41は、液晶表示パネル11とディスプレイハウジング10の後壁14との間に介在された放熱器本体49を有している。放熱器本体49は、液晶表示パネル11と同等の大きさを有するとともに、厚さが数mmの長方形の板状をなしている。この放熱器本体49は、平坦な第1および第2の放熱板50,51を有し、これら放熱板50,51は、例えばポリプロプレンのような熱伝導性および耐熱性を兼ね備えた合成樹脂材料にて構成されている。
【0045】図6に最も良く示されるように、第1の放熱板50と第2の放熱板51とは、互いに重ね合わされており、その外周縁部を全周に亘って熱溶着することにより一体的に結合されている。第1の放熱板50は、第2の放熱板51との合面に開口する凹部52を有している。凹部52は、第1の放熱板50の略全面に亘って蛇行状に形成されており、第2の放熱板51の合面との間に冷媒通路53を構成している。冷媒通路53は、ディスプレイハウジング10の幅方向に延びる複数の直管部54を有し、これら直管部54は、ディスプレイハウジング10の高さ方向に間隔を存して互いに平行に配置されている。
【0046】放熱器本体49は、冷媒入口56と冷媒出口57とを有している。冷媒入口56は、冷媒通路53の上流端に連なるとともに、ディスプレイハウジング10の左側の脚部15aに向けて開口されている。冷媒出口57は、冷媒通路53の下流端に連なるとともに、ディスプレイハウジング10の右側の脚部15bに向けて開口されている。このため、冷媒入口56と冷媒出口57とは、ディスプレイハウジング10の幅方向に互いに離れている。
【0047】また、図6に見られるように、放熱器本体49は、液漏れ防止用の合成樹脂製の表層58によって覆われている。表層58は、第1および第2の放熱板50,51およびその接合部を連続して覆うようにこれら放熱板50,51に積層されている。
【0048】放熱器本体49は、液晶表示パネル11の背後において、ディスプレイハウジング10の後壁14に嵌め込み、接着あるいはねじ止め等の手段により固定され、その第2の放熱板51が表層58を間に挟んで後壁14に重ね合わされている。このため、放熱器本体49は、ディスプレイハウジング10に熱的に接続されている。
【0049】上記循環経路42は、第1の管路60と第2の管路61とを備えている。第1の管路60は、受熱部40の冷媒出口47と放熱器本体49の冷媒入口56とを接続するためのものである。この第1の管路60は、第1の筐体4の内部を左側のディスプレイ支持部8aに向けて導かれた後、このディスプレイ支持部8aおよび左側の脚部15aを貫通してディスプレイハウジング10の内部に導入されている。
【0050】第2の管路61は、受熱部40の冷媒入口46と放熱器本体49の冷媒出口57とを接続するためのものである。この第2の管路61は、第1の筐体4の内部を右側のディスプレイ支持部8bに向けて導かれた後、このディスプレイ支持部8bおよび右側の脚部15bを貫通してディスプレイハウジング10の内部に導入されている。
【0051】このため、受熱部40の熱交換室43と放熱器本体49の冷媒通路53とは、第1および第2の管路60,61を介して互いに接続されており、これら熱交換室43、冷媒通路53、第1および第2の管路60,61に液状の冷媒が密に封入されている。この冷媒としては、例えば水、あるいは水に例えばエチレングリコールを添加した不凍液等が用いられる。
【0052】また、図2や図5に示すように、第1および第2の管路60,61のうち、ディスプレイハウジング10の脚部15a,15bに導入された部分は、柔軟なベローズ62にて構成されている。ベローズ管62は、ディスプレイユニット3を閉じ位置又は開き位置に向けて回動させた時に、この回動に追従して滑らかに変形するようになっており、ディスプレイユニット3の回動時に第1および第2の管路60,61に加わる曲げを吸収する。
【0053】第2の管路61の途中には、ポンプ63が設置されている。ポンプ63は、第1の筐体4に収容されており、ポータブルコンピュータ1の電源投入時あるいは半導体パッケージ21が予め決められた温度に達した時に駆動されるようになっている。
【0054】このような構成のポータブルコンピュータ1において、半導体パッケージ21のICチップ23が発熱すると、このICチップ23の熱は、最初に受熱ヘッド34の受熱面34aに伝えられる。この熱の一部は、受熱ヘッド34からベース28および天板29への熱伝導によりヒートシンク26に拡散される。また、受熱ヘッド34は、液状の冷媒が封入された熱交換室43を有するので、受熱面34aに伝えられた熱の一部は、熱伝導室43への熱伝導により冷媒に移される。
【0055】半導体パッケージ21の温度が設定値に達すると、電動ファン27の羽根車36が回転駆動される。この羽根車36の回転により、第1の筐体4の内部の空気が吸込口37,38を通じてファンケーシング35に吸い込まれる。この空気は、冷却風となって羽根車36の外周部から吐き出され、ヒートシンク26の冷却風通路30に送風される。この冷却風は、放熱フィン31の間を通り抜け、この流れの過程でICチップ23の熱を受けるヒートシンク26を強制的に冷却する。
【0056】ヒートシンク26に伝えられたICチップ23の熱は、冷却風との熱交換により持ち去られる。この熱交換により暖められた冷却風は、冷却風通路30の下流端から排気口32を通じて第1の筐体4の外部に排出される。
【0057】一方、半導体パッケージ21の温度が設定値に達すると、ポンプ63が駆動される。このポンプ63から吐出された冷媒は、受熱ヘッド34(受熱部40)に向けて圧送され、その熱交換室43を通過する。この際、受熱ヘッド34は、ICチップ23の熱を受けているので、受熱ヘッド34に伝えられたICチップ23の熱の一部は、受熱ヘッド34から冷媒に移される。ここでの熱交換により加熱された冷媒は、第1の管路60を通じてディスプレイユニット3の放熱器41に導かれ、この冷媒の流れに乗じてICチップ23の熱が放熱器41に移送される。
【0058】放熱器41に移送された冷媒は、蛇行状に屈曲された長い冷媒通路53を冷媒入口56から冷媒出口57に向けて流れる。この流れの過程で冷媒に取り込まれたICチップ23の熱が放熱器本体49に伝わり、この放熱器本体49の広い範囲に亘って均一に拡散される。この放熱器本体49で均熱化されたICチップ23の熱は、放熱器本体49から後壁14への熱伝達によりディスプレイハウジング10に拡散され、このディスプレイハウジング10の表面から大気中に放出される。
【0059】放熱器本体49に導かれた冷媒は、冷媒通路53を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び受熱ヘッド34の熱交換室43に導かれる。
【0060】このような構成によれば、ディスプレイハウジング10の内部に放熱器41を収容し、この放熱器41と半導体パッケージ21の熱を受ける受熱部40との間で液状の冷媒を循環させるようにしたので、この冷媒の流れを利用して半導体パッケージ21の熱を効率良くディスプレイユニット3に移送して、ここから大気中に放出することができる。このため、従来一般的な強制空冷との比較において、半導体パッケージ21の放熱性能を飛躍的に高めることができる。
【0061】また、半導体パッケージ21の熱の一部は、放熱器41を通じて放出されるので、空冷式の第1の冷却ユニット24を併用する場合に、この第1の冷却ユニット24のヒートシンク26を大型化することなく冷却システム全体の熱抵抗を低減することができる。そのため、第1の筐体4の小型化要求を満足しつつ、半導体パッケージ21の冷却性能を高めることができる。
【0062】しかも、上記構成によると、加熱された冷媒が導かれる放熱器41は、その冷媒通路53を有する放熱器本体49そのものが合成樹脂製となっている。このため、例えばアルミニウム合金や銅系合金を用いた金属製の放熱器との比較において軽量化を図れるとともに、液状をなす冷媒の種類や成分との相性が問題となることはない。
【0063】この結果、冷媒が放熱器41に導かれた時に、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うようなことはなく、受熱部40から移送される半導体パッケージ21の熱を効率良く放出できるとともに、受熱部40と放熱器41との間で冷媒の循環が妨げられることもない。よって、半導体パッケージ21の冷却性能を高める上での信頼性が向上し、この半導体パッケージ21の発熱量の増大に無理なく対応できるといった利点がある。
【0064】なお、本発明は上記第1の実施の形態に特定されるものではなく、図7に本発明の第2の実施の形態を示す。
【0065】この第2の実施の形態は、ディスプレイハウジング10の内部に電動ファン70を設置した点が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外のポータブルコンピュータ1の基本的な構成は、第1の実施の形態と同様である。このため、第2の実施の形態において、第1の実施の形態と同一の構成部分には、同一の参照符号を付してその説明を省略する。
【0066】図7に示すように、電動ファン70は、第2の冷却ユニット25の放熱器41を強制的に冷却するためのものである。電動ファン70は、放熱器41の左端部とディスプレイハウジング10の左側の側壁10aとの間に配置されている。この電動ファン70は、ファンケーシング71と遠心式の羽根車72とを備えている。ファンケーシング71は、吸込口73および吐出口74を有する偏平な箱状をなしている。吸込口73は、ディスプレイハウジング10の内部に開口されているとともに、吐出口74は、ディスプレイハウジング10の左側の側壁10aに開口された排気口75と向かい合っている。
【0067】電動ファン70の羽根車72は、例えば冷媒を循環させるポンプ63に連動して回転駆動される。羽根車72が回転駆動されると、ディスプレイハウジング10の内部の空気が吸込口73からファンケーシング71に吸い込まれるので、ディスプレイハウジング10の内部に、図7に矢印で示すように電動ファン70に向かう冷却風の流れが形成される。このため、ディスプレイハウジング10の内部に収容された放熱器41は、冷却風との接触により強制的に冷やされ、この放熱器41に伝えられた半導体パッケージ21の熱が冷却風の流れに乗じて持ち去られる。
【0068】放熱器41との熱交換により暖められた冷却風は、吸込口73からファンケーシング71に吸い込まれた後、羽根車72の外周部から吐出口74に向けて吐き出され、ここから排気口75を通じてディスプレイハウジング10の外部に排出される。
【0069】なお、この第2の実施の形態のディスプレイハウジング10は、電動ファン70とは放熱器41を間に挟んだ反対側に複数の外気導入口76を有している。そのため、電動ファン70が駆動されると、ディスプレイハウジング10の外部の冷たい空気が外気導入口76を通じてディスプレイハウジング10の内部に導入され、この冷たい空気が冷却風となって放熱器41に導かれるようになっている。
【0070】このような構成によれば、加熱された冷媒が導かれる放熱器41を強制的に冷却することができ、この放熱器41での熱交換を効率良く行なうことができる。したがって、放熱器41の放熱性能が向上し、半導体パッケージ21の冷却性能をより一層高めることができる。
【0071】また、図8および図9は、本発明の第3の実施の形態を開示している。
【0072】この第3の実施の形態は、ディスプレイユニット3のディスプレイハウジング10に放熱器としての機能を兼用させるようにしたものであり、それ以外のポータブルコンピュータ1の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0073】ディスプレイハウジング10の後壁14は、例えばポリプロピレンのような熱伝導性を有する合成樹脂材料にて構成されている。この後壁14は、図8に示すような凸部80を有している。凸部80は、後壁14と一体化されてディスプレイハウジング10の内側に張り出している。そして、凸部80は、図9に見られるように後壁14に対し蛇行状に形成されており、この凸部80の内部に冷媒通路81が形成されている。
【0074】また、ディスプレイハウジング10の後壁14は、冷媒入口82と冷媒出口83とを有している。冷媒入口82は、冷媒通路81の上流端に連なるとともに、第1の管路60を介して受熱部40の冷媒出口47に接続されている。冷媒出口83は、冷媒通路81の下流端に連なるとともに、第2の管路61を介してポンプ63に接続されている。
【0075】このような構成において、受熱部40での熱交換により加熱された冷媒は、第1の管路60を通じてディスプレイハウジング10の冷媒通路81に移送され、この冷媒通路81を冷媒入口82から冷媒出口83に向けて流れる。この流れの過程で冷媒に取り込まれたICチップ23の熱が直接ディスプレイハウジング10の後壁14に伝わり、この後壁14からディスプレイハウジング10の広い範囲に亘って均一に拡散される。この拡散により均熱化されたICチップ23の熱は、このディスプレイハウジング10の表面から大気中に放出される。
【0076】冷媒通路81に導かれた冷媒は、この冷媒通路81を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び受熱ヘッド34の熱交換室43に導かれる。
【0077】このような構成によれば、加熱された冷媒が導かれる冷媒通路81は、ディスプレイハウジング10の後壁14に直接形成されているので、このディスプレイハウジング10に放熱器としての機能を兼用させることができる。このため、専用の放熱器が不要となり、コストの低減や軽量化が可能となる。それとともに、ディスプレイハウシング10の内部に専用の放熱器を収めるスペースを確保する必要はなく、ディスプレイハウジング10の薄くコンパクトに形成することができる。
【0078】また、冷媒通路81を有するディスプレイハウジング10の後壁14は、合成樹脂製であるから、この冷媒通路81を流れる冷媒との相性が問題となることはなく、冷媒が冷媒通路81に導かれた時に、この冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うようなことはない。よって、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0079】図10ないし図13は、本発明の第4の実施の形態を開示している。
【0080】この第4の実施の形態は、半導体パッケージ21の熱を受ける部分の構成と、冷媒の循環経路を分割可能とした点が上記第1の実施の形態と相違しており、それ以外の構成は、基本的に第1の実施の形態と同様である。
【0081】図11に示すように、回路基板20の上には、受熱部としての受熱ヘッド90が配置されている。受熱ヘッド90は、熱伝導ケース91を有し、この熱伝導ケース91は、半導体パッケージ21よりも大きな平面形状を有する偏平な箱状をなしている。熱伝導ケース91の内部には、複数のガイド壁92が形成されている。ガイド壁92は、互いに間隔を存して平行に配置されており、熱伝導ケース91の内部を複数の冷媒流路93に区画している。
【0082】熱伝導ケース91は、冷媒入口94と冷媒出口95とを有している。冷媒入口94は、冷媒流路93の上流端に位置され、第2の管路61を介してポンプ63に接続されている。冷媒出口95は、冷媒流路93の下流端に位置され、第1の管路60を介して放熱器41の冷媒入口56に接続されている。そして、受熱ヘッド90の冷媒流路93、放熱器41の冷媒通路53、第1および第2の管路60,61には、水や不凍液のような液状の冷媒が密に封入されている。
【0083】受熱ヘッド90は、その四つの角部がねじ96を介して回路基板20に固定されており、その熱伝導ケース91と回路基板20との間に半導体パッケージ21が介在されている。熱伝導ケース91の下面は、平坦な受熱面91aをなしており、この受熱面91aと半導体パッケージ21のICチップ23との間に熱伝導シート97が介在されている。
【0084】熱伝導ケース91の受熱面91aは、板ばね98によってICチップ23に押し付けられ、このICチップ23との間で熱伝導シート97を挟み込んでいる。このため、熱伝導ケース91は、熱伝導シート97を介してICチップ23に熱的に接続されている。
【0085】図10に見られるように、受熱ヘッド90と放熱器41とを接続する第1および第2の管路60,61は、夫々第1の筐体4の内部で分割されているとともに、その分割端が管継手100を介して取り外し可能に連結されている。
【0086】管継手100は、着脱可能な第1および第2の継手部101,102を有している。第1の継手部101は、第1および第2の管路60,61の一方の分割端103に接続されている。第2の継手部102は、第1および第2の管路60,61の他方の分割端104に接続されている。
【0087】図13に示すように、第1の継手部101は、中空筒状のボデー105を有している。ボデー105の内部には、第1および第2の管路60,61の一方の分割端103に連なる連通路106が形成されている。連通路106は、ボデー105の先端に開口された弁孔107に連なっている。ボデー105の先端には、弁孔107の開口縁部からボデー105の外方に突出する一対の押圧棒108が配置されている。
【0088】連通路106の内部には、ボール状の弁体109が収容されている。弁体109は、弁孔107に近づいたり遠ざかる方向に移動可能にボデー105に支持されているとともに、常にスプリング110を介して弁孔107の方向に押圧されている。そのため、第1の継手部101と第2の継手部102とが分離された状態では、弁体109が弁孔107の開口縁部に密着し、この弁孔107を閉止している。
【0089】第2の継手部102は、中空筒状のボデー112を有している。ボデー112の内部には、第1および第2の管路60,61の他方の分割端104に連なる連通路113が形成されている。連通路113は、ボデー112の先端面に開口された嵌合孔114に連なっており、この嵌合孔114を通じて連通路113の前半部分に第1の継手部101のボデー105が取り外し可能に嵌合されるようになっている。
【0090】連通路113の途中には、押圧突起115と、弁孔116が開口された仕切り壁117とが設置されている。押圧突起115は、連通路113の中央部に位置されているとともに、嵌合孔114に向かって延びている。仕切り壁117は、押圧突起115よりも連通路113の終端側に位置され、この仕切り壁117と連通路113の終端との間にボール状の弁体118が収容されている。弁体118は、弁孔116に近づいたり遠ざかる方向に移動可能にボデー112に支持されているとともに、常にスプリング119を介して弁孔116の方向に押圧されている。そのため、第1の継手部101と第2の継手部102とが分離された状態では、弁体118が弁孔116の開口縁部に密着し、この弁孔116を閉止している。
【0091】図13の(A)に示すように、管継手100の第1の継手部101を第2の継手部102の嵌合孔114に嵌め込むと、第2の継手部102の押圧突起115が第1の継手部101の弁孔107に入り込み、弁体109に突き当たる。これにより、弁体109がスプリング110の付勢力に抗して弁孔107の開口縁部から遠ざかる方向に押し込まれ、弁孔107が開かれる。
【0092】また、第1の継手部101の先端の押圧棒108が押圧突起115の周囲を通って第2の継手部102の弁孔116に入り込み、弁体118に突き当たる。これにより、弁体118がスプリング119の付勢力に抗して弁孔116の開口縁部から遠ざかる方向に押し込まれ、弁孔116が開かれる。
【0093】このため、第1の継手部101と第2の継手部102とを互いに連結した状態では、これら継手部101,102の内部の連通路106,113が弁孔107,116を介して連通するようになっている。
【0094】図13の(B)に示すように、第1の継手部101と第2の継手部102とを互いに分離させると、押圧突起115による弁体109の押圧が解除されるとともに、押圧棒108による弁体118の押圧が解除される。そのため、弁体109,118がスプリング110,119によって弁孔107,116の開口縁部に押し付けられ、これら弁孔107,116が閉止される。よって、第1および第2の管路60,61の分割端103,104が自動的に閉じられ、冷媒の漏洩が阻止される。
【0095】このような構成において、半導体パッケージ21が発熱すると、そのICチップ23の熱は、熱伝導シート97を介して熱伝導ケース91の受熱面91aに伝えられ、ここから冷媒流路93を流れる冷媒に移される。この熱交換により加熱された冷媒は、第1の管路60を通じてディスプレイユニット3の放熱器41に導かれ、この冷媒の流れに乗じてICチップ23の熱が放熱器41に移送される。
【0096】放熱器41に移送された冷媒は、冷媒通路53を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び熱伝導ケース91の冷媒通路93に導かれる。
【0097】このような構成によれば、冷媒の流れを利用して半導体パッケージ21の熱を効率良くディスプレイユニット3に移送することができ、半導体パッケージ21の放熱性能を飛躍的に高めることができる。
【0098】また、受熱ヘッド90と放熱器41とを接続する第1および第2の管路60,61は、夫々管継手100の部分で分割可能であるから、受熱ヘッド90をコンピュータ本体2に残したままの状態で、このコンピュータ本体2からディスプレイユニット3を取り外したり、組み付けることができる。
【0099】しかも、管継手100の第1の継手部101と第2の継手部102とを分離させると、弁体109,118によって各継手部101,102の弁孔107,116が自動的に閉止される。このため、冷媒の漏洩を防止することができ、第1および第2の管路60,61の分割端103,104を塞ぐ格別な作業が不要となって、作業性を良好に維持することができる。
【0100】図14および図15は、本発明の第5の実施の形態を開示している。
【0101】この第5の実施の形態は、放熱器41を第1の筐体4に収容したものであり、それ以外のポータブルコンピュータ1の基本的な構成は、第1の実施の形態と同一である。
【0102】この第5の実施の形態では、半導体パッケージ21が回路基板20の下面に実装されている。また、第1の冷却ユニット24および放熱器41は、回路基板20の下方において、第1の筐体4の幅方向に互いに並べて配置されている。
【0103】図15に見られるように、第1の冷却ユニット24の受熱ヘッド34は、ヒートシンク26の上に配置されており、この受熱ヘッド34の上端に位置する受熱面34aがICチップ23に熱的に接続されている。放熱器41は、その冷媒入口56および冷媒出口57を第1の冷却ユニット24に向けた姿勢で第1の筐体4の底壁4aの上に載置されており、この底壁4aに熱的に接続されている。
【0104】このような構成によると、受熱ヘッド34に伝えられたICチップ23の熱の一部は、受熱ヘッド34から冷媒に伝えられるとともに、この冷媒の流れに乗じて放熱器41に移送される。
【0105】放熱器41に移送された冷媒は、蛇行状に屈曲された長い冷媒通路53を冷媒入口56から冷媒出口57に向けて流れる。この流れの過程で冷媒に取り込まれたICチップ23の熱が放熱器本体49に伝わり、この放熱器本体49の広い範囲に亘って均一に拡散される。この放熱器本体49で均熱化されたICチップ23の熱は、放熱器本体49から底壁4aへの熱伝達により第1の筐体4に拡散され、この第1の筐体4の表面から大気中に放出される。
【0106】放熱器本体49に導かれた冷媒は、冷媒通路53を流れる過程での熱交換により冷やされる。この冷やされた冷媒は、第2の管路61を通じてポンプ63に戻され、このポンプ63で加圧された後、再び受熱ヘッド34の熱交換室43に導かれる。
【0107】そのため、上記第1の実施の形態と同様に、半導体パッケージ21の熱を冷媒の流れを利用して効率良く放熱器41に移送することができ、半導体パッケージ21の放熱性能を高めることができる。
【0108】しかも、冷媒の循環経路の全てが第1の筐体4の内部に収まるので、この冷媒の循環経路がコンパクトとなり、ポータブルコンピュータ1の構成の簡略化に寄与するといった利点がある。
【0109】図16および図17は、本発明の第6の実施の形態を開示している。
【0110】この第6の実施の形態は、第1の筐体4の内部に電動ファン130を設置した点が上記第5の実施の形態と相違しており、それ以外のポータブルコンピュータ1の基本的な構成は、第5の実施の形態と同様である。
【0111】放熱器41は、第1の筐体4の底壁4aから上向きに突出された複数の座部128にねじ止め等の手段により固定されている。このため、底壁4aと放熱器41との間には、送風用の隙間129が形成されている。
【0112】また、電動ファン130は、放熱器41を強制的に冷却するためのものである。電動ファン130は、放熱器41の右端部と第1の筐体4の右側の側壁4cとの間に配置されており、第1の冷却ユニット24とは放熱器41を間に挟んだ反対側に位置されている。
【0113】この電動ファン130は、ファンケーシング131と遠心式の羽根車132とを備えている。ファンケーシング131は、吸込口133および吐出口134を有する偏平な箱状をなしている。吸込口133は、第1の筐体4の内部に開口されているとともに、吐出口134は、第1の筐体4の右側の側壁4cに開口された排気口135と向かい合っている。
【0114】羽根車132は、その回転軸線O2を第1の筐体4の厚み方向に沿わせた横置き姿勢でファンケーシング131に収容されている。羽根車132は、例えば冷媒を循環させるポンプ63に連動して回転駆動される。羽根車132が回転駆動されると、第1の筐体4の内部の空気が吸込口133からファンケーシング131に吸い込まれるので、第1の筐体4の内部に、図16や図17に矢印で示すように、上記送風用の隙間129を通って電動ファン130の吸込口133に向かう冷却風の流れが形成される。このため、第1の筐体4の内部に収容された放熱器41は、冷却風との接触により強制的に冷やされ、この放熱器41に伝えられた半導体パッケージ21の熱が冷却風の流れに乗じて持ち去られる。
【0115】放熱器41との熱交換により暖められた冷却風は、吸込口133からファンケーシング131に吸い込まれた後、羽根車132の外周部から吐出口134に向けて吐き出され、ここから排気口135を通じて第1の筐体4の外部に排出される。
【0116】このような構成によれば、加熱された冷媒が導かれる放熱器41を強制的に冷却することができ、この放熱器41での熱交換を効率良く行なうことができる。したがって、放熱器41の放熱性能が向上し、半導体パッケージ21の冷却性能をより一層高めることができる。
【0117】なお、上記第5および第6の実施の形態では、第1の冷却ユニットを併用することにより半導体パッケージを強制的に空冷するようにしたが、この第1の冷却ユニットを省略し、上記第4の実施の形態に示すような受熱ヘッドを用いて半導体パッケージの熱を冷媒に伝えるようにしても良い。
【0118】また、上記実施の形態では、第1の筐体又はディスプレイハウジングのいずれかに放熱器を収容したが、これら第1の筐体およびディスプレイハウジングの双方に放熱器を収容しても良い。
【0119】また、上記各実施の形態では、ポンプを用いて冷媒を強制的に循環させるようにしたが、例えば冷媒の蒸気圧を利用して冷媒を循環させるようにしても良い。
【0120】さらに、本発明に係る電子機器は、開閉可能なディスプレイユニットを有するポータブルコンピュータに限らず、例えばコンピュータ本体の上面にタブレットを配置したペン入力方式のポータブルコンピュータであっても同様に実施可能である。
【0121】
【発明の効果】以上詳述した本発明によれば、放熱器と冷媒との相性が問題となることはないので、放熱器が冷媒との接触によりガスを発したり、腐蝕を伴うようなことはない。したがって、放熱器の軽量化は勿論のこと、発熱体の冷却性能を高める上での信頼性が向上し、この発熱体の発熱量の増大に無理なく対応できるといった利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るポータブルコンピュータの斜視図。
【図2】冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図3】半導体パッケージと第1の冷却ユニットとの位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図4】受熱ヘッドの断面図。
【図5】コンピュ−タ本体とディスプレイユニットとの間に跨る第2の管路の挿通経路を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図6】図2のF6−F6線に沿う放熱器の断面図。
【図7】本発明の第2の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図8】本発明の第3に実施の形態に係るポータブルコンピュータの断面図。
【図9】本発明の第3の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図10】本発明の第4の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図11】受熱ヘッドと半導体パッケージとの位置関係を示す断面図。
【図12】受熱ヘッドの断面図。
【図13】(A)は、第1の継手部と第2の継手部とを互いに連結した状態を示す管継手の断面図。(B)は、第1の継手部と第2の継手部とを互いに分離した状態を示す管継手の断面図。
【図14】本発明の第5の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図15】第1の冷却ユニットと放熱器との位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【図16】本発明の第6の実施の形態において、冷媒の循環経路を概略的に示すポータブルコンピュータの断面図。
【図17】第1の冷却ユニットと放熱器との位置関係を示すポータブルコンピュータの断面図。
【符号の説明】
1…電子機器(ポータブルコンピュータ)
4…第1の筐体
10…第2の筐体(ディスプレイハウジング)
14…外壁(後壁)
21…発熱体(半導体パッケージ)
24…冷却ユニット(第1の冷却ユニット)
40…受熱部
41…放熱器
42…循環手段(循環経路)
49…放熱器本体
53,81…冷媒通路
56,82…冷媒入口
57,83…冷媒出口
【特許請求の範囲】
【請求項1】 発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、上記発熱体の熱を放出するための放熱器を内蔵し、上記第1の筐体に支持された第2の筐体と、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨って配置され、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段と、を具備し、上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】 請求項1の記載において、上記第1の筐体は、上記発熱体を強制的に冷却するための冷却ユニットを有し、この冷却ユニットは、上記発熱体の熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を導くファンと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】 請求項1又は請求項2の記載において、上記循環手段は、上記受熱部からの熱伝導により加熱された冷媒を上記放熱器の冷媒入口に導く第1の管路と、上記放熱器で冷やされた冷媒を上記冷媒出口から上記受熱部に導く第2の管路と、上記第2の管路に設置され、上記放熱器からの冷媒を上記受熱部に向けて圧送するポンプと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、上記放熱器の放熱器本体は、上記第2の筐体に熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかの記載において、上記第2の筐体は、上記放熱器を強制的に空冷するためのファンを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】 請求項1の記載において、上記放熱器本体は、互いに積層された合成樹脂製の第1および第2の放熱板を有し、これら放熱板は、互いに協働して上記冷媒通路を構成することを特徴とする電子機器。
【請求項7】 発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、この第1の筐体に支持され、合成樹脂製の外壁を有する第2の筐体と、を具備し、上記第2の筐体の外壁に、液状の冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを形成し、これら冷媒入口および冷媒出口は、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨る循環経路を介して互いに接続されているとともに、この循環経路の途中に上記受熱部が熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】 請求項7の記載において、上記第1の筐体は、上記発熱体を強制的に冷却するための冷却ユニットを有し、この冷却ユニットは、上記発熱体の熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を導くファンと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】 請求項1又は請求項7の記載において、上記第2の筐体は、表示パネルを内蔵したディスプレイハウジングであることを特徴とする電子機器。
【請求項10】 発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を有する筐体と、この筐体に収容され、上記発熱体の熱を放出するための放熱器と、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段と、を備え、上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項11】 請求項10の記載において、上記筐体は、上記発熱体を強制的に冷却するための冷却ユニットを内蔵し、この冷却ユニットは、上記発熱体の熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を導くファンと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項12】 請求項11の記載において、上記筐体は、上記放熱器を強制的に空冷するための他のファンを内蔵していることを特徴とする電子機器。
【請求項13】 請求項10ないし請求項12のいずれかの記載において、上記発熱体は、回路基板に実装された回路部品であり、また、上記筐体は、上記回路基板の下方に位置された底壁を有し、この底壁と上記回路基板との間に上記放熱器が収められていることを特徴とする電子機器。
【請求項1】 発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、上記発熱体の熱を放出するための放熱器を内蔵し、上記第1の筐体に支持された第2の筐体と、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨って配置され、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段と、を具備し、上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】 請求項1の記載において、上記第1の筐体は、上記発熱体を強制的に冷却するための冷却ユニットを有し、この冷却ユニットは、上記発熱体の熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を導くファンと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】 請求項1又は請求項2の記載において、上記循環手段は、上記受熱部からの熱伝導により加熱された冷媒を上記放熱器の冷媒入口に導く第1の管路と、上記放熱器で冷やされた冷媒を上記冷媒出口から上記受熱部に導く第2の管路と、上記第2の管路に設置され、上記放熱器からの冷媒を上記受熱部に向けて圧送するポンプと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかの記載において、上記放熱器の放熱器本体は、上記第2の筐体に熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】 請求項1ないし請求項4のいずれかの記載において、上記第2の筐体は、上記放熱器を強制的に空冷するためのファンを備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項6】 請求項1の記載において、上記放熱器本体は、互いに積層された合成樹脂製の第1および第2の放熱板を有し、これら放熱板は、互いに協働して上記冷媒通路を構成することを特徴とする電子機器。
【請求項7】 発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を内蔵する第1の筐体と、この第1の筐体に支持され、合成樹脂製の外壁を有する第2の筐体と、を具備し、上記第2の筐体の外壁に、液状の冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを形成し、これら冷媒入口および冷媒出口は、上記第1の筐体と上記第2の筐体との間に跨る循環経路を介して互いに接続されているとともに、この循環経路の途中に上記受熱部が熱的に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項8】 請求項7の記載において、上記第1の筐体は、上記発熱体を強制的に冷却するための冷却ユニットを有し、この冷却ユニットは、上記発熱体の熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を導くファンと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項9】 請求項1又は請求項7の記載において、上記第2の筐体は、表示パネルを内蔵したディスプレイハウジングであることを特徴とする電子機器。
【請求項10】 発熱体およびこの発熱体に熱的に接続された受熱部を有する筐体と、この筐体に収容され、上記発熱体の熱を放出するための放熱器と、上記受熱部と上記放熱器との間で液状の冷媒を循環させる循環手段と、を備え、上記放熱器は、合成樹脂製の放熱器本体を含み、この放熱器本体は、上記冷媒が流れる冷媒通路と、この冷媒通路に連なる冷媒入口および冷媒出口とを有するとともに、この放熱器本体の冷媒入口および冷媒出口が上記循環手段を介して上記受熱部に接続されていることを特徴とする電子機器。
【請求項11】 請求項10の記載において、上記筐体は、上記発熱体を強制的に冷却するための冷却ユニットを内蔵し、この冷却ユニットは、上記発熱体の熱を奪って放散させるヒートシンクと、このヒートシンクに冷却風を導くファンと、を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項12】 請求項11の記載において、上記筐体は、上記放熱器を強制的に空冷するための他のファンを内蔵していることを特徴とする電子機器。
【請求項13】 請求項10ないし請求項12のいずれかの記載において、上記発熱体は、回路基板に実装された回路部品であり、また、上記筐体は、上記回路基板の下方に位置された底壁を有し、この底壁と上記回路基板との間に上記放熱器が収められていることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図15】
【図10】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図8】
【図7】
【図9】
【図11】
【図12】
【図15】
【図10】
【図13】
【図14】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2002−374084(P2002−374084A)
【公開日】平成14年12月26日(2002.12.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−179017(P2001−179017)
【出願日】平成13年6月13日(2001.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成14年12月26日(2002.12.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成13年6月13日(2001.6.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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