説明

電子機器

【課題】 燃料電池を搭載しても電子機器の筐体外表面の面積を増加しないで小型化でき、電池容量が大きく、充電の必要はなく長時間使用できる燃料電池を搭載した電子機器を提供する。
【解決手段】 筐体9と、該筐体9の一部に設けられた、機器を保持するための保持部3と、燃料電池4を有する電子機器であって、前記保持部に設けられた凹部6に前記燃料電池へ空気を供給するための通気孔7が設けられている電子機器。保持部6の内部に燃料電池を収容する燃料電池搭載室5を有し、該燃料電池搭載室5の少なくとも一部と、凹部に設けられた通気孔7とが接して設けられ、前記通気孔7から燃料電池搭載室に収容された燃料電池4へ空気を供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を電源とする電子機器に関するものである。
特に、本発明は、発電量が数ミリワットから数百ワットまでの燃料電池を電源とし、携帯可能で、使用者が手に持ち利用することができる小型電子機器に関するものである。これらの小型電子機器としては、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、小型プロジェクタ、小型プリンタ、ノート型パソコン、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機などが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来、小型電子機器を持ち運んで使用するためには、種々の一次電池、二次電池が使用されてきた。しかし、最近の小型電子機器の高性能化に伴い、消費電力が大きくなり、一次電池では、小型軽量で、十分なエネルギーを供給できなくなっている。一方、二次電池においては、繰り返し充電して使用できるという利点はあるが、一回の充電で使用できるエネルギーは一次電池よりも更に少ない。そして、二次電池の充電の為には、別の電源が必要である上、充電には通常数十分から数時間かかり、いつでもどこでもすぐに使用できる様にするということは困難である。今後、電子機器のますますの小型、軽量化が進み、ワイヤレスのネットワーク環境が整うことにより、機器を持ち運んで使用する傾向が高まる中で、従来の一次電池、二次電池では機器の駆動に十分なエネルギーを供給することは困難である。
【0003】
このような問題の解決策として、小型の燃料電池が注目されている。燃料電池は従来、大型の発電機、自動車用の駆動源として開発が進められてきた。これは燃料電池が、従来の発電システムに比べて、発電効率が高く、しかも廃棄物がクリーンであることが主な理由である。一方、燃料電池が小型電子機器の駆動源としても有用とされる理由に、体積当たり、重量当たりの供給可能なエネルギー量が、従来の電池に比べて、数倍から十倍近くであることが挙げられる。さらに、燃料のみを補充すれば、連続して使用が可能であるため、二次電池の様に充電に時間がかかることもない。
【0004】
燃料電池には様々な方式のものがあるが、小型電子機器、とりわけ持ち運びして使用する機器に対しては、固体高分子型燃料電池が適している。これは、常温に近い温度で使用でき、また、電解質が液体ではなく固体であるので、安全に持ち運べるという利点を有するためである。
【0005】
燃料電池は、燃料と酸化剤を電池セルに供給することで発電する単純な原理であるが、最適な発電を行うためには、様々な制御が行われている。
小型電子機器用の燃料電池の燃料としては、従来メタノールが使用されてきた。これは、メタノールが保存しやすく、また入手しやすい燃料であることが主な理由であった。しかし、メタノールを使用したダイレクトメタノール型の燃料電池は、出力が小さいという原理的な欠点がある。さらに、ダイレクトメタノール型の燃料電池には、燃料のメタノールが高分子電解質膜を透過して酸化剤極側で酸素と直接反応してしまうクロスオーバー現象や、反応で生成する一酸化炭素が電極触媒を被毒するという問題がある。
【0006】
また、高分子電解質膜全体に燃料であるメタノールを均一に供給するためには、燃料が液体であるため、燃料タンクを燃料電池セルよりも位置的に高い部分にする必要がある。さらに燃料流路の抵抗が高くならないように、十分な燃料流路を確保する必要がある。燃料をポンプなどで強制的に循環させる場合は、この制約を受けないが、ポンプ搭載による補機体積の増加や、ポンプ駆動のためのシステム効率低下などの問題を解決する必要がある。
【0007】
単位体積当りで大きな出力を出す必要のある燃料電池には、水素を燃料に使用するのが最適である。しかし、水素は常温で気体であり、小型の燃料タンクの中に高密度に水素を貯蔵することは非常に困難であった。第一の方法は、水素を圧縮して高圧ガスとして保存する方法であるが、ガスの圧力を200気圧まで高めても体積当たりの水素密度は18mg/cm3程度と非常に少ないものである。その上、高圧のガスタンクを安全なものとするためには、タンクの肉厚を大きくする必要があり、小型化、軽量化には向かない。
【0008】
第二の方法は、水素を低温にして液体として貯蔵する方法である。この方法では、高密度な保存が可能であるが、水素を液化するためには、大きなエネルギーが必要であること、また液化状態を保つために冷却手段が必要であること等の問題がある。
【0009】
第三の方法は、水素吸蔵合金を使用して水素を貯蔵する方法である。この方法では、体積当たりの吸蔵量は大きいが、水素吸蔵合金の比重が大きいため、重量当たりでは、2wt%程度の水素しか吸蔵できず、燃料タンクが重くなるという欠点があった。しかし近年新たな合金の登場により、6wt%の吸蔵が可能となってきている。
【0010】
第四の方法は、メタノールやガソリンなどを燃料タンクに積み、これらを改質して水素に変換して使用する方法である。この方法は、改質反応に100℃以上の高温が必要であること、改質器が必要となることから、小型電子機器用には向かない。
【0011】
そこで、燃料を高密度に貯蔵するために、炭素系材料を使用する方法が注目されている。炭素系材料にはカーボンナノチューブ、グラファイトナノファイバー、カーボンナノホーンなどがある。これらの炭素系材料では、重量当たり約10wt%の水素を吸蔵可能である。これにより、例えばデジタルカメラ用の電源として使用する場合、従来のリチウムイオン電池を用いた場合に比べ、3〜5倍程度の撮影が可能である。
【0012】
燃料である水素の吸蔵に炭素系材料を使用した場合、十分な吸蔵量を得るためには、燃料タンク内の圧力を数MPaにする必要がある。一方、酸化剤極側の酸化剤としては外気を利用するため、その圧力は約0.1Pa(1気圧)程度である。燃料電池セルにおいて、酸化剤極側酸化剤と燃料極側燃料の圧力に差があると、燃料電池セルに応力が発生し、破損しやすくなる。従って、水素は燃料電池セルに供給される際には、約0.1Pa(1気圧)程度まで減圧する必要がある。
【0013】
従来、携帯型電子機器の電源としては、リチウムイオン電池、ニッケルマンガン電池、アルカリ乾電池などが電源として用いられることが多かった。このような電池は、電池内部の化学反応により発電を行うため、携帯型電子機器内部の比較的密閉された電池室に搭載されることが多かった。さらに、電子機器に搭載される機能はより高度化、多機能化され続け、それに伴い、必要とされる電力量は増加してきている。その反面、電子機器の外形サイズは、より小型化が計られてきた。上記各種電池の電気容量密度は、電子機器の要求する性能向上を必ずしも満足するものではなかった。
【0014】
そこで、電源として燃料電池を用いた電子機器が登場した。しかし燃料電池には従来の電池と異なり、発電のために空気中の酸素を使用するため、電池室には従来の携帯型電子機器にはない、電子機器の筐体の外表面と連通する開口部が必要となった。
【0015】
これに対し、燃料電池を電源として利用した電子機器として、特許文献1が提案されている。特許文献1に記載されている電子機器を図7を用いて説明する。電子機器1に設けられた電池室18内の燃料電池に酸素を確実に供給するため、電池室18と筐体外部で連通する空気穴15を、電子機器1が使用者により保持される部分とは異なる部分に配置している。
【特許文献1】特開2005−17327号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかし、特許文献1のように、電子機器の筐体の外表面部に燃料電池に連通する空気穴を設けることは、電子機器の筐体外表面の面積が空気穴の面積分だけ余計に必要になるため、燃料電池を用いた電子機器の小型化を行うためには不利であった。
【0017】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決するためになされたものである。すなわち本発明は、燃料電池を搭載しても電子機器の筐体外表面の面積を増加しないですむため、電池容量が大きく、充電の必要はなく長時間使用できる燃料電池を搭載した小型電子機器を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明に係る電子機器は、筐体と、該筐体の一部に設けられた、機器を保持するための保持部と、燃料電池を有する電子機器であって、前記保持部に設けられた凹部に前記燃料電池へ空気を供給するための通気孔が設けられていることを特徴とする。
【0019】
前記保持部の内部に燃料電池を収容する燃料電池搭載室を有することが好ましい。
前記保持部の燃料電子搭載室の少なくとも一部と、凹部に設けられた通気孔とが接して設けられ、前記通気孔から燃料電池搭載室に収容された燃料電池へ空気を供給することが好ましい。
【0020】
前記保持部の少なくとも一部が通気性のある通気性部材からなり、該通気性部材を通して燃料電池へ空気を供給することが好ましい。
前記燃料電池搭載室に燃料電池の燃料タンクを有することが好ましい。
【0021】
前記燃料タンクが水素吸蔵合金を内蔵していることが好ましい。
前記電子機器がカメラであることが好ましい。
【発明の効果】
【0022】
本発明により、筐体外表面の面積を増加させることなく、電池容量が大きく、充電の必要はなく長時間使用できる燃料電池を搭載した小型電子機器を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の電子機器は、燃料電池を電源とし、筐体の一部に設けられた、機器を保持するための保持部を有する電子機器であり、前記保持部に設けられた凹部に前記燃料電池へ空気を供給するための通気孔が設けられているものである。これにより、燃料電池を搭載しても電子機器筐体の外表面の面積を増加させることがないため、小型で、電池容量が大きく、充電の必要はなく長時間使用できる電子機器を提供することができる。
【0024】
筐体の保持部とは、電子機器の使用者が電子機器を使用する際、電子機器を保持するために使用者の手が覆う筐体の部分を言う。カメラの場合では、グリップ部分がそれに当たる。
【0025】
また、本発明の電子機器は、前記筐体の保持部に燃料電池搭載室を内蔵し、燃料電池搭載室には燃料電池を収容していることを特徴とする。電子機器筐体の保持部に、燃料電池を内蔵することで電子機器に加えられた衝撃などから保護することが可能となるため、より信頼性の高い電子機器を提供できる。また、重量バランスの観点からも好ましい。
【0026】
さらに、本発明の電子機器は、燃料電池搭載室を内蔵した保持部の少なくとも一部が通気性のある通気性部材で形成されていることを特徴とする。これにより、通気性部材で形成されている保持部からも燃料電池への空気の供給が行われ、筐体の保持部の凹部に配置された通気孔と合わせて、通気孔としての機能を発揮する。そのために燃料電池が発電する際に導入できる空気量が増加し、燃料電池が発電する際に発生する水蒸気が効率よく電子機器の筐体外へ排出される。結果として、燃料電池に高出力の電力を発生させた場合でも酸素不足や、フラッディング現象が起こらず、安定した駆動が可能となる。
【0027】
さらに、本発明の電子機器は、燃料電池搭載室に燃料電池の燃料タンクを搭載することを特徴とする。これにより、燃料タンクと燃料電池セル間の燃料流路の距離を短縮することが可能となり、燃料の流路抵抗を低減できる。
【0028】
さらに、本発明の電子機器は、燃料タンクが水素吸蔵合金を内蔵していることを特徴とする。水素吸蔵合金から水素を発生させる反応は吸熱反応である。これにより、電子機器の筐体に内蔵された燃料電池セルが発電する際に生じる熱を水素吸蔵合金から水素を供給する際の吸熱反応により熱を吸収する燃料タンクに流すことにより、電子機器の筐体内部の温度を低く保つことが可能となる。
【0029】
さらに、本発明の電子機器はカメラであることを特徴とする。これにより、カメラの筐体内に従来の電池と同様に燃料電池を内蔵することが可能となるため、一回の電池寿命が長く、サイズは従来の電池を用いる電子機器と同等なカメラを提供することができる。さらに、本発明は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、小型プロジェクタ、小型プリンタ、ノート型パソコン、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機などの電子機器にも同様に好適に用いることができる。
【実施例】
【0030】
以下、本発明を携帯型電子機器の具体例により更に詳細に説明するが、本発明は携帯型電子機器に限定されるものではない。
実施例1
以下に図面に基づき本発明を具体的に説明する。図1は本発明の電子機器である燃料電池を搭載したカメラを示す摸式図である。また図2は図1のA−A’線断面の模式図である。
【0031】
図1および図2に示す本発明に用いられるカメラの外寸法の一例は、縦75mm×横105mm×高さ75mmである。
図1において、電子機器1はカメラであり、レンズ2と電子機器1を携帯する際に、電子機器1を保持する際に使用者が手でつかみやすい形状およびサイズの保持部3が筐体9の一部に設けられている。電子機器1のレンズ2を被写体に向け撮影する際、電子機器1を安定して保持するために使用者は保持部3を右手で包み込むように握って保持して、被写体の撮影を行うよう配置されている。
【0032】
4は燃料電池であり、該燃料電池4は保持部3に内蔵されている。5は保持部3内に設けられた、該燃料電池4を入れることができる燃料電池搭載室である。燃料電池4の外形寸法は縦30mm×横20mm×高さ50mmである。燃料電池搭載室5の内部寸法は縦34mm×横24mm×高さ52mmであり、燃料電池搭載室5に燃料電池4を搭載しても、燃料電池4の周囲には空間があり、燃料電池4の駆動時に空気の流入および水蒸気の排出を行うことができる。また、燃料電池4は燃料電池搭載室5内でがたつくことがないように、燃料電池室5の内壁面のガイド(不図示)に支持されている。
【0033】
6は、保持部3のレンズ2に面した側に、保持部3の表面より奥まった部分に設けられた凹部である。凹部6は空気吸排気口として機能する。凹部6には通気孔7が設けられている。凹部6に設けられた通気孔7は、燃料電池搭載室5と接続され、該燃料電池搭載室5は通気孔7を介して外気と連通している。通気孔7は、枠状に成型された樹脂部材により形成されている。通気孔7には外部からゴミや水の浸入を防ぐために、ごみフィルターや防水通気機能付きフィルターを配置することができる。
【0034】
8は燃料タンクであり、燃料電池4へ燃料を供給する燃料流路(不図示)を通じて燃料電池4に燃料を供給する。
本実施例のカメラである電子機器1は、レンズ2を被写体に向け撮影する際、電子機器1を安定して保持するために、使用者は保持部3を右手で包み込むように握り保持して、被写体の撮影を行うよう配置されている。保持部3の表面より奥まった部分に設けられた凹部6は使用者の右手の指に覆われることがないため、凹部6の空気吸排気口から通気孔7を通じて燃料電池搭載室5の中の燃料電池4に空気を供給できる。また発電により生じた水蒸気を通気孔7を通じて排気することが可能である。
【0035】
凹部6は保持部3の一部に設けられているため、カメラである電子機器1の表面に新たに吸排気孔を設置する面積を増加させる必要がないので、燃料電池で動作する小型電子機器を実現することが可能である。
【0036】
実施例2
以下に図3および図4に基づき本発明における実施例の説明を行う。図3および図4は、図1および図2に示す実施例1の電子機器1の一部を変更して、より性能を高めたものである。図3は本発明の電子機器である燃料電池を搭載したカメラの他の例を示す摸式図である。また図4は図3のB−B’線断面の模式図である。
【0037】
図3および図4に示す本発明に用いられるカメラの外寸法の一例は、縦72mm×横102mm×高さ75mmである。
図3において電子機器1はカメラであり、電子機器1を保持する際に使用者が手でつかみやすい形状、大きさからなる保持部3を有する。電子機器1は、レンズ2を被写体に向け撮影する際、電子機器1を安定して保持するために使用者は保持部3を右手で包み込むように握り保持して、被写体の撮影を行うよう配置されている。
【0038】
保持部3は少なくとも一部が通気性のある通気性部材10で構成されている。本実施例では、通気性部材10には表面絶縁処理をした発泡金属を材料として用いている。通気性のある材料ならばこれに限るものではなくハニカム構造の金属板等で構成してもよい。
【0039】
燃料電池4は保持部3に内蔵されている。燃料電池搭載室5は保持部3内に設けられ、燃料電池4を収容している。燃料電池4の外形寸法は縦30mm×横20mm×高さ50mmである。燃料電池搭載室5の内部寸法は縦31mm×横21mm×高さ52mmであり、燃料電池搭載室5に燃料電池4を搭載しても、燃料電池4の周囲には狭い空間が設けられている。しかし、保持部3が通気性部材10で構成されているため、燃料電池4の駆動時に空気の流入および水蒸気の排出が行うことができる。また、燃料電池4は燃料電池搭載室5内でがたつくことがないように、燃料電池搭載室5の内壁面のガイド(不図示)に支持されている。
【0040】
6は、保持部3のレンズ部2に面した側に、保持部3の表面より奥まった部分に設けられた凹部で、空気吸排気口である。凹部6には通気孔7が設けられ、該通気孔7は燃料電池搭載室5と接続され、該燃料電池搭載室5は通気孔7を介して外気と連通している。通気孔7には、外部からゴミや水の浸入を防ぐために、ごみフィルターや防水通気機能付きフィルターを配置することができる。
【0041】
8は燃料タンクであり、燃料電池4へ燃料を供給する燃料流路(不図示)を通じて燃料電池4に燃料を供給する。
本実施例のカメラである電子機器1は、レンズ2を被写体に向け撮影する際、電子機器1を安定して保持するために、使用者が保持部3を右手で包み込むように握り保持して、被写体の撮影を行うように形成されている。保持部3の表面より奥まった部分に設けられた凹部6は、使用者の右手の指に覆われることがないため、凹部6から通気孔7および通気性のある通気性部材10を通じて、燃料電池搭載室5の中で発電している燃料電池4に空気を供給できる。また発電により生じた水蒸気を通気孔7を通じて排気することが可能である。また、保持部3が通気性部材10で構成されて通気性を有するため、電子機器1であるカメラを使用者が保持していないときは、直接保持部から燃料電池4に空気を供給でき、発電により生じた水蒸気を排気することが可能である。
【0042】
凹部6は保持部3の一部に設けられているため、カメラの電子機器1の表面に新たに給排気孔を設置する面積を増加させる必要がないので、燃料電池で動作する小型電子機器を実現することが可能である。また、実施例1よりも燃料電池搭載室5をコンパクトにできるため電子機器1であるカメラをいっそう小型化することが可能である。
【0043】
実施例3
以下に図5および図6に基づき本発明における実施例の説明を行う。図5は本発明の電子機器である燃料電池を搭載したカメラの他の例を示す摸式図である。また、図6は図5のC−C’線断面の模式図である。
【0044】
図5および図6に示すカメラの外寸法の一例は、縦75mm×横111mm×高さ70mmである。
図5において電子機器1はカメラであり、電子機器1を保持する際に使用者が手でつかみやすい形状、サイズとした保持部3を有する。電子機器1は、レンズ2を被写体に向けて撮影する際、電子機器1を安定して保持するために、使用者は保持部3を右手で包み込むように握り保持して、被写体の撮影を行う。
【0045】
5は燃料電池搭載室で、保持部3内に設けられ、燃料電池4と、該燃料電池4に燃料を供給する燃料タンク8を内蔵している。燃料電池4の外形寸法は縦30mm×横20mm×高さ50mmである。燃料タンク8の外形寸法は縦30mm×横9mm×高さ50mmである。本実施例では燃料タンク8は水素吸蔵合金を内蔵したアルミニウム容器である。しかし、燃料容器ならばこれに限るものではない。
【0046】
燃料電池搭載室5の内部寸法は縦34mm×横34mm×高さ52mmである。該燃料電池搭載室5に燃料電池4および燃料タンク8を搭載しても、燃料電池4および燃料タンク8の周囲には空間があり、燃料電池4の駆動時に空気の流入、および水蒸気の排出が行えるようになっている。また、燃料電池4および燃料タンク8は、燃料電池搭載室5内でがたつくことがないように、燃料電池搭載室5の内壁面のガイド(不図示)に支持されている。
【0047】
6は、保持部3のレンズ部2に面した側に、保持部3の表面より奥まった部分に設けられた凹部で、空気吸排気口である。凹部6には通気孔7が設けられ、該通気孔7は燃料電池搭載室5と接続され、該燃料電池搭載室5は通気孔7を介して外気と連通している。通気孔7には、外部からゴミや水の浸入を防ぐために、ごみフィルターや防水通気機能付きフィルターを配置することができる。
【0048】
本実施例の電子機器によれば、カメラである電子機器1は、レンズ2を被写体に向け撮影する際、電子機器1を安定して保持するために、使用者は保持部3を右手で包み込むように握り保持して、被写体の撮影を行う。保持部3の表面より奥まった部分に設けられた凹部6は、使用者の右手の指に覆われることがないため、凹部6から通気孔7を通じて燃料電池搭載室5の中で発電している燃料電池4に空気を供給できる。また発電により生じた水蒸気を通気孔7を通じて排気することが可能である。
【0049】
さらに、燃料電池搭載室5に、燃料電池4と共に水素吸蔵合金を搭載した燃料タンク8が内蔵されているため、燃料電池4と燃料タンク8間の燃料流路が短く構成でき、燃料の流路抵抗を低減することが可能である。また、燃料電池4が発電する際水素を消費すると、燃料タンク8は水素吸蔵合金から水素が離脱する際生じる吸熱反応により、該燃料電池4の温度上昇を低減する事が可能となるため、燃料電池4の発電性能を安定させることが可能となる。
【0050】
凹部6は保持部3の一部に設けるため、カメラである電子機器1の筐体の表面に新たに給排気孔を設置して面積を増加させる必要がない。よって、本発明により、燃料電池で安定に動作する小型電子機器を実現することが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、発電量が数ミリワットから数百ワットまでの燃料電池を電源とし、携帯可能で、使用者が手に持ち利用することができる小型電子機器に利用可能である。これらの小型電子機器としては、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、小型プロジェクタ、小型プリンタ、ノート型パソコン、PDA(パーソナル・デジタル・アシスタント)、携帯電話機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の電子機器である燃料電池を搭載したカメラを示す摸式図である。
【図2】図1のA−A’線断面の模式図である。
【図3】本発明の電子機器である燃料電池を搭載したカメラの他の例を示す摸式図である。
【図4】図3のB−B’線断面の模式図である。
【図5】本発明の電子機器である燃料電池を搭載したカメラの他の例を示す摸式図である。
【図6】図5のC−C’線断面の模式図である。
【図7】従来の電子機器を示す摸式図である。
【符号の説明】
【0053】
1 電子機器(カメラ)
2 レンズ
3 保持部
4 燃料電池
5 燃料電池搭載室
6 凹部
7 通気孔
8 燃料タンク
9 筐体
10 通気性部材
11 レリーズボタン
12 発光部
13 ファインダ
14 鏡筒
15 空気穴
16 空気穴ガード
17 蓋
18 電池室
19 前カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、該筐体の一部に設けられた、機器を保持するための保持部と、燃料電池を有する電子機器であって、前記保持部に設けられた凹部に前記燃料電池へ空気を供給するための通気孔が設けられていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記保持部の内部に燃料電池を収容する燃料電池搭載室を有することを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記保持部の燃料電池搭載室の少なくとも一部と、凹部に設けられた通気孔とが接して設けられ、前記通気孔から燃料電池搭載室に収容された燃料電池へ空気を供給することを特徴とする請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記保持部の少なくとも一部が通気性のある通気性部材からなり、該通気性部材を通して燃料電池へ空気を供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記燃料電池搭載室に燃料電池の燃料タンクを有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかの項に記載の電子機器。
【請求項6】
前記燃料タンクが水素吸蔵合金を内蔵していることを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電子機器がカメラであることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−42325(P2007−42325A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223004(P2005−223004)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】