説明

電子機器

【課題】フロントパネルの塗装時にフロントグラス貼付面に形成される塗装溜まりが発生する箇所をなくし、フロントグラス接着面へのフロントグラスの接着強度を十分に確保することができる電子機器を提供する。
【解決手段】フロントパネル1に設けた表示窓4の周縁に形成されたフロントグラス貼付面5へ両面接着テープを介してフロントグラスを貼り付けて固定するように構成した電子機器において、フロントパネル1の塗装時におけるフロントグラス貼付面5の過剰な塗料を排出し、除去するスリット9をフロントグラス貼付面5の外周端縁に設ける。また、他の手段としては、フロントグラス貼付面5の過剰な塗料を内部に吸収し、滞留させる溝をフロントグラス貼付面5の外周端縁に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーオーディオ、ナビゲーションシステム、無線機などの電子機器に関し、特に、フロントパネルに表示部を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
カーオーディオシステム等の電子機器には、例えば、図6および図7に示すように、フロントパネル1に表示部を有し、その表示部用の表示窓4にフロントグラス2を嵌め込む構造のものがある。
【0003】
このフロントパネル1は、図6に示す斜視図および図7の(b)に示す図7の(a)のA−A線を断面した側面図からも明らかなように、その中央にフロントグラス2の外形形状に沿った凹部3を形成するとともに、この凹部3内の底面に液晶表示部7用の表示窓4を開設している。
【0004】
この表示窓4を開設した凹部3には、アクリル樹脂等の透明樹脂、あるいは半透明樹脂等を材料にしたフロントグラス2を嵌め込むとともに、この嵌め込んだフロントグラス2を表示窓4の周縁に形成されたフロントグラス貼付面5へ両面接着テープ6を介して貼り付けて固定している。
【0005】
ところで、上記した図6および図7に示すフロントパネル1には、塗装が施されているが、図7の(c)の要部拡大断面側面図に示すように、フロントパネル1に塗装を施した際に、フロントグラス貼付面5の外周端縁の角部等に塗膜面の盛り上がり、いわゆる、塗装溜まり(イ)が発生することが知られている。
【0006】
塗装時に発生する塗装溜まりを防ぐための従来の一般的な方法としては、塗装する材料の表面において、塗装溜まりが発生する位置に、予め塗膜面の盛り上がりに対応した深さの掘り込み部(凹部)を設けることにより、塗膜面の盛り上がりの低減や解消を行なう方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、上記以外の従来の方法としては、塗装時に、刷毛が触れる塗布開始部分と刷毛が離れる塗布終了部分にできる塗装溜まりを防止するために、塗装対象物、例えば、柱と敷居の接合部分(境界部分)に、鋸等で切り込みを入れて、スリット状の横断溝を形成することが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
この方法によれば、スリット状の横断溝は、柱の塗装面に対しては、塗布終了部分に設けたことになっており、また、敷居の塗布面に対しては、塗布開始部分に設けたことになっている。この結果、スリット状の横断溝は、スリットの毛細管現象によって、塗布開始部分と塗布終了部分の過剰な塗料をその内部へ吸収し、塗装溜まりが生じるのを防止している。
【0009】
【特許文献1】特開2003−200104号公報
【特許文献2】特開2001−219115号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
カーオーディオシステムなどの車載用電子機器では、通常、外筐形状は、例えば、1DINサイズのフロントパネルの前面サイズとしては、縦が約50mm、横が約178mmとされており、極めて限られたスペースの中に、各種の表示のためのディスプレイや操作キー等が配されている。
【0011】
また、このような極めて限られたスペースしかない車載用電子機器では、上記した図6に示すように、フロントグラス2を貼り付け固定するフロントグラス貼付面5は、両面接着テープ6を貼り付けるための糊代の面積を広く確保することはできない。また、図7の(b)に示すように、外観品質を向上させるために、フロントグラス2と凹部3の内周壁面との間の寸法(ロ)のクリアランスを極めて少なく構成する必要があった。
【0012】
このため、図7の(b)に示すように、フロントパネル1の塗装時に、フロントグラス貼付面5の外終端縁に塗装溜まり(イ)が形成されていると、フロントグラス2を凹部3へ嵌め込んだ際に、フロントグラス2と凹部3の内周壁面との間の寸法(ロ)のクリアランスが少ないために、塗装溜まり(イ)へフロントグラス2が乗り上げてしまうという状態が発生する。
【0013】
この結果、フロントグラス2の接着面側とフロントグラス貼付面5との間に塗装溜まり(イ)を挟み込んだ状態となるため、フロントグラス2の接着面側とフロントグラス貼付面5との間に僅かな隙間が生じて密着度が低下し、両面接着テープ6の接着が不完全な状態となる虞があった。
【0014】
したがって、フロントグラス2のフロントグラス貼付面5に対する貼り付け強度は、フロントグラス2の接着面側とフロントグラス貼付面5との間の接着度合いの低下と、両面接着テープ6を貼り付ける糊代の面積が少ないこととが相俟って、十分な貼り付け強度が得られないという問題点があった。
【0015】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、塗装溜まりができる箇所をなくし、フロントグラス貼付面へのフロントグラスの接着強度を十分に確保することができる電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の電子機器においては、フロントグラスの外形形状に沿った凹部を形成するとともに、この凹部内の底面に表示窓を開設したフロントパネルと、前記表示窓の裏側に配置された表示器とを備え、前記フロントグラスを前記凹部へ嵌合し、かつ前記表示窓の周縁に形成されたフロントグラス貼付面へ貼り付けて固定するように構成した電子機器において、前記フロントグラス貼付面にスリットを設け、前記フロントパネルの塗装時に前記フロントグラス貼付面に過剰な塗料が溜まるのを防ぐことを特徴としている。
【0017】
さらに、本発明は、上記請求項1に記載の電子機器において、以下の態様の発明をも提供するものである。
【0018】
すなわち、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記スリットは、前記フロントグラス貼付面の外周端縁に設けたことを特徴としている。
【0019】
また、請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の電子機器において、前記スリットは、前記凹部内の底面の角部に設けたことを特徴としている。
【0020】
また、請求項4に記載の本発明は、請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の電子機器において、前記フロントグラス貼付面の外周端縁と前記フロントパネルの本体側との間を一体に繋ぎ前記フロントグラス貼付面を支持するアームを所定の間隔をおいて複数個形成するとともに、この各アーム間に前記スリットをそれぞれ設けたことを特徴としている。
【0021】
また、請求項5に記載の本発明は、請求項4に記載の電子機器において、前記フロントグラス貼付面を支持するアームは、前記フロントグラス貼付面側に面する部分に過剰な塗料を滞留させる切り欠き溝を設けたことを特徴としている。
【0022】
さらに、上記の目的を達成するために、本発明の請求項6に記載の電子機器は、フロントグラスの外形形状に沿った凹部を形成するとともに、この凹部内の底面に表示窓を開設したフロントパネルと、前記表示窓の裏側に配置された表示器とを備え、前記フロントグラスを前記凹部へ嵌合し、かつ前記表示窓の周縁に形成されたフロントグラス貼付面へ貼り付け固定するように構成した電子機器において、前記フロントグラス貼付面に溝を設け、前記フロントパネルの塗装時の過剰な塗料を滞留させることを特徴としている。
【0023】
また、本発明は、上記請求項6に記載の電子機器において、以下の態様の発明をも提供するものである。
【0024】
すなわち、請求項7に記載の本発明は、請求項6に記載の電子機器において、前記溝は、前記フロントグラス貼付面の外周端縁の全周に設けたことを特徴としている。
【0025】
また、請求項8に記載の本発明は、請求項6に記載の電子機器において、前記溝は、前記フロントグラス貼付面を囲む前記凹部内底面の角部の全周に設けたことを特徴としている。
【0026】
また、請求項9に記載の本発明は、請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の電子機器において、前記溝は、前記フロントグラス貼付面の外周端縁に連続させ、かつその開口部を前記フロントグラス貼付面に向けて形成した倒U字形状の溝または倒凹字形状の溝で構成したことを特徴としている。
【0027】
さらに、請求項10に記載の本発明は、請求項6から請求項9のうちいずれか一項に記載の電子機器において、前記溝を前記フロントグラス貼付面の外周端縁に周設するとともに、前記フロントグラス貼付面の外周端縁と前記フロントパネルの本体側との間を一体に繋ぎ前記フロントグラス貼付面を支持するリブと、過剰な塗料を除去する貫通孔とを前記周設した溝の底部へ交互に複数個設けたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
上記のように構成した本発明の電子機器は、フロントグラス貼付面にスリットを設け、フロントパネルの塗装時におけるフロントグラス貼付面の過剰な塗料を排出し、除去するように構成したことにより、塗装溜まりが形成される箇所をなくすことができ、フロントグラスをフロントパネルの凹部へ嵌め込んだ際に、塗装溜まりへ乗り上げるというような不都合な状態の発生をなくすことができる。この結果、フロントグラスをフロントグラス貼付面へ接着する際に、十分な貼付強度を持って接着し、固定することができる。
【0029】
また、本発明の電子機器は、フロントグラス貼付面に溝を設け、フロントパネルの塗装時におけるフロントグラス貼付面の過剰な塗料を滞留させるように構成したことにより、過剰な塗料を溝の内部へ吸収し、滞留させることができるため、塗装溜まりが形成される箇所をなくすことができ、フロントグラスをフロントパネルの凹部へ嵌め込んだ際に、塗装溜まりへ乗り上げるというような不都合な状態の発生をなくすことができる。この結果、フロントグラスをフロントグラス貼付面へ接着する際に、十分な貼付強度を持って接着し、固定することができる。
【0030】
さらに、本発明の電子機器によれば、別途、部品を追加することなく、フロントグラス貼付面へスリット、または溝を設けるだけの極めてシンプルな構造であるため、低コストであり、構造の信頼性も得やすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。なお、本発明は、以下に述べる実施の形態になんら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様実施することができる。また、図6および図7に示す従来の電子機器におけるフロントパネルと同一構成については、同一符号を付し、重複した詳細な説明を省略する。
【実施例1】
【0032】
まず、図1および図2に基づき、本発明の第1の実施の形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子機器の例えば、カーオーディオなどの車載用電子機器において、機器本体に対し着脱可能に構成したフロントパネルを示す正面図である。図2の(a)は、図1のB−B線を断面した側面図である。図2の(b)は、図2の(a)の要部を拡大した断面側面図である。図2の(c)は、図1のC−C線を断面した側面図である。図2の(d)は、図2の(c)の要部を拡大した断面側面図である。
【0033】
本発明の第1の実施の形態に係る図1および図2に示すフロントパネル1の構造の特長とするところは、フロントグラス貼付面5にスリット9を設け、フロントパネル1の塗装時におけるフロントグラス貼付面5の過剰な塗料をスリット9を通じて排出し、除去するように構成した点にある。
【0034】
この図1および図2に示すフロントパネル1は、その中央にフロントグラス2の外形形状に沿った凹部3を形成するとともに、この凹部3内の底面に液晶表示部7用の表示窓4を開設している。また、フロントグラス2は、表示窓4を開設した凹部3へ嵌め込み、表示窓4の周縁に形成されたフロントグラス貼付面5へ両面接着テープを介して貼り付けて固定するように構成されている。
【0035】
さらに、凹部3内の底面の角部には、フロントグラス貼付面5の外周端縁とフロントパネル1の本体側との間を一体に繋いで、フロントグラス貼付面5を支持する複数個のアーム8を所定の間隔をおいて形成している。
【0036】
また、この所定の間隔をおいて設けたそれぞれのアーム8間に、塗料を排出することができる幅を有するスリット9を設けている。このスリット9によって、フロントパネル1の塗装時におけるフロントグラス貼付面5の過剰な塗料を排出し、除去するように構成されている。
【0037】
また、フロントグラス貼付面5を支持する各アーム8には、フロントグラス貼付面5側に面する部分に、過剰な塗料を滞留させる切り欠き溝10を設けている。このアーム8に切り欠き溝10を設けたことにより、各アーム8のフロントグラス貼付面5側に面する部分に残る可能性のある塗料を切り欠き溝10内へ吸収して滞留させ、アーム8のフロントグラス貼付面5側に面する部分に塗装溜まりができるのを防止している。
【0038】
上記のように構成した本発明の第1の実施の形態によれば、フロントグラス貼付面5にスリット9を設け、フロントパネル1の塗装時におけるフロントグラス貼付面5の過剰な塗料を排出し、除去するように構成したことにより、塗装溜まりが形成される箇所をなくすことができる。この結果、フロントグラス2をフロントパネル1の凹部3へ嵌め込んだ際に、塗装溜まりへ乗り上げるというような不都合な状態の発生をなくすことができ、フロントグラス2をフロントグラス貼付面5へ接着する際に、十分な貼付強度を持って接着し、固定することができる。
【0039】
また、上記のように構成した本発明の第1の実施の形態は、別途、部品を追加することなく、フロントグラス貼付面5へスリット9を設けるだけの極めてシンプルな構造であるため、低コストであり、構造の信頼性も得やすい。
【実施例2】
【0040】
次に、図3および図4に基づき、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図3の(a)は、本発明の第2の実施の形態に係る電子機器の例えば、カーオーディオなどの車載用電子機器において、機器本体に対し着脱可能に構成したフロントパネルを示す斜視図である、図3の(b)は、図3の(a)の正面部分を拡大した要部斜視図である。図4の(a)は、図3の(a)の中央部分を断面した側面図である。図4の(b)は、図4の(a)の要部を拡大した断面側面図である。
【0041】
本発明の第2の実施の形態に係る図3および図4に示すフロントパネル1の特長とするところは、フロントグラス貼付面5の外周端縁に溝11を設け、フロントパネル1の塗装時におけるフロントグラス貼付面5の過剰な塗料を溝11の内部へ吸収し、滞留させるように構成した点にある。
【0042】
この図3および図4に示すフロントパネル1は、その中央にフロントグラス2の外形形状に沿った凹部3を形成するとともに、この凹部3内の底面に液晶表示部7用の表示窓4を開設している。このフロントグラス2は、表示窓4を開設した凹部3へ嵌め込み、表示窓4の周縁に形成されたフロントグラス貼付面5へ両面接着テープを介して貼り付けて固定するように構成されている。
【0043】
また、フロントグラス貼付面5の外周端縁、すなわち、凹部3内底面の角部の全周に溝11を設け、この溝11の内部へフロントグラス貼付面5の過剰な塗料を吸収し、滞留させるように構成している。
【0044】
そして、この溝11は、フロントグラス貼付面5の外周端縁に連続させ、かつその開口部をフロントグラス貼付面5に向けて形成した倒U字形状の溝、または倒凹字形状の溝で構成されている。
【0045】
上記のように構成した本発明の第2の実施の形態によれば、フロントグラス貼付面5に溝11を設け、フロントパネル1の塗装時におけるフロントグラス貼付面5の過剰な塗料を溝11の内部へ吸収し、滞留させるように構成したことにより、フロントグラス2をフロントパネル1の凹部3へ嵌め込んだ際に、塗装溜まりへ乗り上げるというような不都合な状態の発生をなくすことができ、フロントグラス2をフロントグラス貼付面5へ接着する際に、十分な貼付強度を持って接着し、固定することができる。
【0046】
さらに、上記のように構成した本発明の第2の実施の形態は、別途、部品を追加することなく、フロントグラス貼付面5の外周端縁へ溝を設けるだけの極めてシンプルな構造であるため、低コストであり、構造の信頼性も得やすい。
【実施例3】
【0047】
次に、図5に基づき、本発明の第3の実施の形態について説明する。図5の(a)は、本発明の第3の実施の形態に係る電子機器の例えば、カーオーディオなどの車載用電子機器において、機器本体に対し着脱可能に構成したフロントパネルの構成を示す要部正面図である。図5の(b)は、図5の(a)のD−D線を断面した要部の側面図である。図5の(c)は、図5の(a)のE−E線を断面した要部の側面図である。
【0048】
本発明の第3の実施の形態に係る図5に示すフロントパネル1の特長とするところは、フロントグラス貼付面5の外周端縁に過剰な塗料を吸収し、滞留させる溝12を周設することに加えて、その溝12内の底面に過剰な塗料を排出し除去する複数個の貫通孔14を設けた点にある。
【0049】
この図5に示すフロントパネル1は、その中央にフロントグラス2の外形形状に沿った凹部3を形成するとともに、この凹部3内の底面に液晶表示部7用の表示窓4を開設している。このフロントグラス2は、表示窓4を開設した凹部3へ嵌め込み、表示窓4の周縁に形成されたフロントグラス貼付面5へ両面接着テープを介して貼り付けて固定するように構成されている。
【0050】
また、フロントグラス貼付面5の外周端縁に過剰な塗料を吸収し、滞留させる溝12を周設するとともに、フロントグラス貼付面5の外周端縁とフロントパネル1の本体側との間を一体に繋ぎ、フロントグラス貼付面5を支持するリブ13と、過剰な塗料を排出し、除去する貫通孔14とを溝12の底部へ交互に複数個設けている。
【0051】
上記のように構成した本発明の第3の実施の形態によれば、フロントグラス貼付面5の外周端縁に溝12を設け、フロントパネル1の塗装時におけるフロントグラス貼付面5の過剰な塗料を溝12の内部へ吸収し、滞留させるとともに、この溝12の底面に設けた複数個の貫通孔14から溝12の内部へ滞留した塗料を外部へ排出し、除去することができるように構成したことにより、フロントグラス2をフロントパネル1の凹部3へ嵌め込んだ際に、塗装溜まりへ乗り上げるというような不都合な状態の発生をなくすことができ、フロントグラス2をフロントグラス貼付面5へ接着する際に、十分な貼付強度を保って接着し、固定することができる。また、溝12の底面に設けたリブ13によって、フロントグラス貼付面5の外周端縁とフロントパネル1の本体側との間を一体に繋ぎ、フロントグラス貼付面5を確実に支持することができる。
【0052】
さらに、上記のように構成した本発明の第2の実施の形態は、別途、部品を追加することなく、フロントグラス貼付面へ溝12を設けるとともに、その溝12の内部の底面に複数の貫通孔14を設けるだけの極めてシンプルな構造であるため、低コストであり、構造の信頼性も得やすい。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子機器のフロントパネルの構成を示す正面図である。
【図2】図1に示す第1の実施の形態の要部を側面図および要部を拡大した断面側面図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態に係る電子機器のフロントパネルの構成を示す斜視図および要部を拡大した斜視図である。
【図4】図3に示す本発明の第2の実施の形態の中央部分を断面した側面図および要部を拡大した断面側面図である。
【図5】本発明の第3の実施の形態を示す電子機器のフロントパネルの要部を示す正面図および要部の断面側面図である。
【図6】従来の電子機器のフロントパネルを示す斜視図である。
【図7】図6に示す電子機器のフロントパネルの正面図と、そのA−A線を断面した側面図および要部を拡大した断面側面図である。
【符号の説明】
【0054】
1 フロントパネル
2 フロントグラス
3 凹部
4 表示窓
5 フロントグラス貼付面
6 両面接着テープ
7 液晶表示部
8 アーム
9 スリット
10 切り欠き溝
11、12 溝
13 リブ
14 貫通孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントグラスの外形形状に沿った凹部を形成するとともに、この凹部内の底面に表示窓を開設したフロントパネルと、前記表示窓の裏側に配置された表示器とを備え、
前記フロントグラスを前記凹部へ嵌合し、かつ前記表示窓の周縁に形成されたフロントグラス貼付面へ貼り付けて固定するように構成した電子機器において、
前記フロントグラス貼付面にスリットを設け、前記フロントパネルの塗装時に前記フロントグラス貼付面に過剰な塗料が溜まるのを防ぐことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、前記スリットは、前記フロントグラス貼付面の外周端縁に設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、前記スリットは、前記凹部内の底面の角部に設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちいずれか一項に記載の電子機器において、前記フロントグラス貼付面の外周端縁と前記フロントパネルの本体側との間を一体に繋ぎ前記フロントグラス貼付面を支持するアームを所定の間隔をおいて複数個形成するとともに、この各アーム間に前記スリットをそれぞれ設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器において、前記フロントグラス貼付面を支持するアームは、前記フロントグラス貼付面側に面する部分に過剰な塗料を滞留させる切り欠き溝を設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
フロントグラスの外形形状に沿った凹部を形成するとともに、この凹部内の底面に表示窓を開設したフロントパネルと、前記表示窓の裏側に配置された表示器とを備え、
前記フロントグラスを前記凹部へ嵌合し、かつ前記表示窓の周縁に形成されたフロントグラス貼付面へ貼り付け固定するように構成した電子機器において、
前記フロントグラス貼付面に溝を設け、前記フロントパネルの塗装時の過剰な塗料を滞留させることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
請求項6に記載の電子機器において、前記溝は、前記フロントグラス貼付面の外周端縁の全周に設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項6に記載の電子機器において、前記溝は、前記フロントグラス貼付面を囲む前記凹部内底面の角部の全周に設けたことを特徴とする電子機器。
【請求項9】
請求項6から請求項8のいずれか一項に記載の電子機器において、前記溝は、前記フロントグラス貼付面の外周端縁に連続させ、かつその開口部を前記フロントグラス貼付面に向けて形成した倒U字形状の溝または倒凹字形状の溝で構成したことを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項6から請求項9のうちいずれか一項に記載の電子機器において、前記溝を前記フロントグラス貼付面の外周端縁に周設するとともに、前記フロントグラス貼付面の外周端縁と前記フロントパネルの本体側との間を一体に繋ぎ前記フロントグラス貼付面を支持するリブと、過剰な塗料を除去する貫通孔とを前記周設した溝の底部へ交互に複数個設けたことを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−176802(P2009−176802A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11286(P2008−11286)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000003595)株式会社ケンウッド (1,981)
【Fターム(参考)】