説明

電子機器

【課題】互いに電気的に絶縁されたSG板金とFG板金との間の共振現象に起因した放射ノイズを低減させること。
【解決手段】SG板金11とFG板金12とは互いに電気的に絶縁し、SG板金11は、シグナルグランドに接続するとともに、FG板金12は、フレームグランドに接続し、SG板金11上には、SG板金11と重なるようにしてFG板金12および回路基板13を配置し、FG板金12には、SG板金11上でFG板金12がワイヤーハーネス15と重ならないようにするための切り欠き部12aを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、特に、SG(シグナルグランド)とFG(フレームグランド)とが電気的に絶縁された電子機器の電磁波障害(EMI:Electro Magnetic Interference)対策に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
FA(Factory Automation)などに用いられる電子機器では、電源ノイズなどが信号線に混入するのを防止するため、シグナルグランドとフレームグランドとを電気的に絶縁することが多い。そして、このような電子機器では、シグナルグランドに接続されたSG板金と、フレームグランドに接続されたFG板金とが同一の筐体内に配置され、FG板金とSG板金との間にワイヤーハーネスを通すことで、回路基板間の接続が行われることがある。
【0003】
また、特許文献1には、電源ユニットを内蔵する電子機器の筐体には、拡張機器の金属面に対向する複数の開口部を形成し、その開口部の周縁に隣接する位置に、導電部材と板バネによる電気接続手段を設けることで、電子機器の筐体と拡張機器の金属面が対向アンテナとなって電磁波ノイズが増大するのを防止する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、プリント回路基板の絶縁体の上面に1条の導電パターンを形成するとともに、導電パターンの周囲に略コ字型のグランドパターンを形成し、上記絶縁体2、導電パターン3及びグランドパターン4にてプリント回路7を構成し、導電パターンの長さ、形状、導電パターンとグランドパターンとの間隙寸法を任意の周波数帯に合わせて適宜に設定することで、高周波帯域において任意の周波数帯域の周波数を減衰或いは選択的に残留させるとともに、小型化および低コスト化を図る方法が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、接地パターンは、回路ブロックの接地部分と接続する一方、オシレータブロックとは間隔をとることで、オシレータブロックからのキャリア信号の漏出や、オシレータブロックへのノイズ等の漏入を起こし難くする方法が開示されている。
【0006】
また、特許文献4には、フレームグランドは、複数の分離領域に分離された状態で、回路基板の縁部に沿って配置するとともに、複数の分離領域は、複数のコネクタ端子に対応して、分散して配置することで、コネクタ端子部の共通フレームグランドを介して、ノイズが他の信号のフレームグランドに伝導することを防止する方法が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、矩形状のシールドケースには、上壁を囲む各稜線を跨いで上壁と側壁に形成される切り欠きを設け、切り欠きによって、矩形状の上壁の中央部における定在波による電流の流れ込みを抑制することで、シールドケースの共振を低減する方法が開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2006−324449号公報
【特許文献2】特開平8−8499号公報
【特許文献3】特開2000−341151号公報
【特許文献4】特開2005−294501号公報
【特許文献5】特開2006−210742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術によれば、回路基板間で伝送される信号が高速化されると、ワイヤーハーネスが電磁波の放射源として働くようになる。そして、ワイヤーハーネスがSG板金とFG板金との間に配置されると、FG板金のサイズに依存した共振現象がSG板金とFG板金との間に発生し、放射ノイズを増加させるという問題があった。
【0010】
また、特許文献1〜5に開示された方法では、シグナルグランドとフレームグランドとが電気的に接続されているか、あるいはシグナルグランドまたはフレームグランドのいずれか一方しか存在しないことが前提とされている。このため、シグナルグランドとフレームグランドとが電気的に絶縁されている場合において、SG板金とFG板金との間の共振現象に起因した放射ノイズは低減させることができないという問題があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、互いに電気的に絶縁されたSG板金とFG板金との間の共振現象に起因した放射ノイズを低減させることが可能な電子機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の電子機器は、放射ノイズを発生するノイズ源と、前記ノイズ源と重なるように配置され、前記放射ノイズを発生させる信号の基準電位となる第1の導電体と、前記第1の導電体と電気的に絶縁され、前記第1の導電体と重なるとともに、前記ノイズ源と重ならないように配置された第2の導電体とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、互いに電気的に絶縁されたSG板金とFG板金との間の共振現象に起因した放射ノイズを低減させることが可能という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、本発明に係る電子機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0015】
実施の形態1.
図1−1は、本発明に係る電子機器の実施の形態1の概略構成を示す斜視図、図1−2は、図1−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。図1−1および図1−2において、電子機器には、第1の導電体としてSG板金11、第2の導電体としてFG板金12が設けられるともに、機器内にノイズを漏洩するノイズ源としてワイヤーハーネス15が設けられている。
【0016】
ここで、SG板金11には、ワイヤーハーネス15を通す開口部11aが形成されるとともに、FG板金12には、SG板金11上でFG板金12がワイヤーハーネス15と重ならないようにするための切り欠き部12aが形成されている。
【0017】
そして、SG板金11とFG板金12とは互いに電気的に絶縁され、SG板金11は、シグナルグランド(信号接地)に接続されるとともに、FG板金12は、フレームグランド(筐体接地)に接続される。なお、シグナルグランドは、ワイヤーハーネス15を介して伝送される信号の基準電位となり、信号線のシールド線やコネクタと同じ電位レベルになる。フレームグランドは、静電気を大地に逃がすことができ、回路部品を静電破壊から保護するためのシールドとして作用することができる。
【0018】
そして、SG板金11上には、SG板金11と重なるようにしてFG板金12および回路基板13が配置されるとともに、SG板金11の裏面側には、回路基板14が配置されている。なお、回路基板13、14としては、例えば、抵抗やコンデンサや集積回路などの電子部品が実装された多層プリント基板を用いることができる。
【0019】
また、ワイヤーハーネス15は、SG板金11と重なるように配置され、回路基板13に接続されるとともに、開口部11aを介してSG板金11の裏面側に引き出され、回路基板14に接続されている。また、ワイヤーハーネス15は、SG板金11上でFG板金12の切り欠き部12a下に配置され、SG板金11上でFG板金12と重ならないように配置されている。なお、回路基板13、14を接続する方法としては、ワイヤーハーネス15を用いる方法以外にも、例えば、信号ケーブルを用いるようにしてもよいし、フレキシブル配線を用いるようにしてもよい。
【0020】
ここで、ワイヤーハーネス15がSG板金11上でFG板金12と重ならないようにするための切り欠き部12aを設けることにより、ワイヤーハーネス15からノイズが漏洩した場合においても、そのノイズがSG板金11とFG板金12との間の共振により増大するのを防止することができる。このため、互いに絶縁されたSG板金11とFG板金12との間にノイズ源が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができ、電磁波障害を抑制することができる。
【0021】
なお、SG板金11とFG板金12との間の共振周波数fは、FG板金12が長方形の場合、以下の式で与えることができる。
f=c/(2π√ε)・√((mπ/a)+(nπ/b)
ただし、cは光速、εは比誘電率、aとbはFG板金12の縦横の長さ、mとnは整数である。
【0022】
図1−3は、図1−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。図1−3において、図1−1のワイヤーハーネス15がSG板金11上でFG板金12と重ならないようにするための切り欠き部12aを設けることにより、放射ノイズの放射量を周波数に関わりなく一定に維持することができ、互いに絶縁されたSG板金11とFG板金12との間にワイヤーハーネス15が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができる。
【0023】
実施の形態2.
図2−1は、本発明に係る電子機器の実施の形態2の概略構成を示す斜視図、図2−2は、図2−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。図2−1および図2−2において、電子機器には、第1の導電体としてSG板金21、第2の導電体としてFG板金22が設けられるともに、放射ノイズを発生するノイズ源としてワイヤーハーネス25が設けられている。ここで、SG板金21には、ワイヤーハーネス25を通す開口部21aが形成されている。
【0024】
そして、SG板金21とFG板金22とは互いに電気的に絶縁され、SG板金21は、ワイヤーハーネス25を介して伝送される信号の基準電位となるシグナルグランドに接続されるとともに、FG板金22はフレームグランドに接続される。
【0025】
そして、SG板金21上には、SG板金21と重なるようにしてFG板金22および回路基板23が配置されるとともに、SG板金21の裏面側には、回路基板24が配置されている。また、ワイヤーハーネス25は、SG板金21と重なるようにしてFG板金22の幾何学的な中心線上に配置され、回路基板23に接続されるとともに、開口部21aを介してSG板金21の裏面側に引き出され、回路基板24に接続されている。
【0026】
ここで、FG板金22の幾何学的な中心線上にワイヤーハーネス25を配置することにより、ワイヤーハーネス25からノイズが漏洩した場合においても、FG板金22の長さが1/2波長に対応する共振が発生するのを防止することができ、1波長に対応する共振が最低共振周波数となるようにすることができる。このため、互いに絶縁されたSG板金21とFG板金22との間にノイズ源が配置された場合においても、低周波の電磁波ノイズが増大するのを防止することができ、電磁波障害を抑制することができる。
【0027】
図2−3は、図2−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。図2−3において、図2−1のFG板金22の幾何学的な中心線上にワイヤーハーネス25を配置することにより、FG板金22の長さが1/2波長に対応する共振が発生するのを防止することができ、互いに絶縁されたSG板金21とFG板金22との間にワイヤーハーネス25が配置された場合においても、低周波の電磁波ノイズが増大するのを防止することができる。
【0028】
実施の形態3.
図3−1は、本発明に係る電子機器の実施の形態3の概略構成を示す斜視図、図3−2は、図3−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。図3−1および図3−2において、電子機器には、第1の導電体としてSG板金31、第2の導電体としてFG板金32が設けられるともに、機器内にノイズを漏洩するノイズ源としてワイヤーハーネス35が設けられている。ここで、SG板金31には、ワイヤーハーネス35を通す開口部31aが形成されている。
【0029】
また、FG板金32は、長手方向に沿って上下に折れ曲がるように構成され、沿面長がWに設定されている。ここで、FG板金32の沿面長Wは、SG板金31とFG板金32との間の共振による共振周波数がノイズ源の周波数と異なるように設定することができる。なお、FG板金32が上下に折れ曲がるように構成する方法としては、矩形状に折れ曲がるようにしてもよいし、波形状に折れ曲がるようにしてもよい。また、図3−1の例では、FG板金32を長手方向に沿って上下に折れ曲がるように構成する方法について説明したが、FG板金32を長手方向に沿って左右に折れ曲がるように構成するようにしてもよい。
【0030】
そして、SG板金31とFG板金32とは互いに電気的に絶縁され、SG板金31は、ワイヤーハーネス35を介して伝送される信号の基準電位となるシグナルグランドに接続されるとともに、FG板金32はフレームグランドに接続される。
【0031】
そして、SG板金31上には、SG板金31と重なるようにしてFG板金32および回路基板33が配置されるとともに、SG板金31の裏面側には、回路基板34が配置されている。また、ワイヤーハーネス35は、SG板金31と重なるように配置され、回路基板33に接続されるとともに、開口部31aを介してSG板金31の裏面側に引き出され、回路基板34に接続されている。
【0032】
ここで、SG板金31とFG板金32との間の共振による共振周波数がノイズ源の周波数と異なるように、FG板金32の沿面長Wを設定することにより、ワイヤーハーネス35からノイズが漏洩した場合においても、そのノイズが共振により増大するのを抑制することができる。このため、互いに絶縁されたSG板金31とFG板金32との間にノイズ源が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができ、電磁波障害を抑制することができる。
【0033】
図3−3は、図3−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。図3−3において、図3−1のSG板金31とFG板金32との間の共振による共振周波数がノイズ源の周波数と異なるように、FG板金32の沿面長Wを設定することにより、そのノイズが共振により増大するのを抑制することができ、互いに絶縁されたSG板金31とFG板金32との間にワイヤーハーネス35が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができる。
【0034】
実施の形態4.
図4−1は、本発明に係る電子機器の実施の形態4の概略構成を示す斜視図、図4−2は、図4−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。図4−1および図4−2において、電子機器には、第1の導電体としてSG板金41、第2の導電体としてFG板金42が設けられるともに、機器内にノイズを漏洩するノイズ源としてワイヤーハーネス45が設けられている。ここで、SG板金41には、ワイヤーハーネス45を通す開口部41aが形成されている。
【0035】
そして、SG板金41とFG板金42とは互いに電気的に絶縁され、SG板金41は、ワイヤーハーネス45を介して伝送される信号の基準電位となるシグナルグランドに接続されるとともに、FG板金42はフレームグランドに接続される。
【0036】
そして、SG板金41上には、SG板金41と重なるようにしてFG板金42および回路基板43が配置されるとともに、SG板金41の裏面側には、回路基板44が配置されている。ここで、SG板金41とFG板金42との間の間隔Hは、SG板金41とFG板金42との間の共振による共振周波数が放射ノイズの周波数と異なるように設定されている。また、ワイヤーハーネス45は、SG板金41と重なるように配置され、回路基板43に接続されるとともに、開口部41aを介してSG板金41の裏面側に引き出され、回路基板44に接続されている。
【0037】
ここで、SG板金41とFG板金42との間の共振による共振周波数がノイズ源の周波数と異なるように、SG板金41とFG板金42との間の間隔Hを設定することにより、ワイヤーハーネス45からノイズが漏洩した場合においても、その放射ノイズの共振による増大を抑制することができる。このため、互いに絶縁されたSG板金41とFG板金42との間にノイズ源が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができ、電磁波障害を抑制することができる。
【0038】
図4−3は、図4−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。図4−3において、図4−1のSG板金41とFG板金42との間の共振による共振周波数がノイズ源の周波数と異なるように、SG板金41とFG板金42との間の間隔Hを設定することにより、その放射ノイズの共振による増大を抑制することができ、互いに絶縁されたSG板金41とFG板金42との間にワイヤーハーネス45が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができる。
【0039】
実施の形態5.
図5−1は、本発明に係る電子機器の実施の形態5の概略構成を示す斜視図、図5−2は、図5−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。図5−1および図5−2において、電子機器には、第1の導電体としてSG板金51、第2の導電体としてFG板金52、電磁遮蔽体として電磁遮蔽板56が設けられるともに、機器内にノイズを漏洩するノイズ源としてワイヤーハーネス55が設けられている。なお、電磁遮蔽板56としては、例えば、金属板を用いるようにしてもよいし、カーボンシートなどを用いるようにしてもよい。また、電磁遮蔽板56の代わりに、回路基板に形成されたベタ配線などを用いるようにしてもよい。また、電磁波を吸収するフェライトなどを含有した電磁波吸収シートとしても良い。ここで、SG板金51には、ワイヤーハーネス55を通す開口部51aが形成されている。
【0040】
そして、SG板金51とFG板金52とは互いに電気的に絶縁され、SG板金51は、ワイヤーハーネス55を介して伝送される信号の基準電位となるシグナルグランドに接続されるとともに、FG板金52はフレームグランドに接続される。
【0041】
そして、SG板金51上には、SG板金51と重なるようにしてFG板金52および回路基板53が配置されるとともに、SG板金51の裏面側には、回路基板54が配置されている。また、ワイヤーハーネス55は、SG板金51と重なるように配置され、回路基板53に接続されるとともに、開口部51aを介してSG板金51の裏面側に引き出され、回路基板54に接続されている。また、FG板金52とワイヤーハーネス55との間には、電磁遮蔽板56が配置されている。なお、電磁遮蔽板56は金属板やカーボンシートなど導電性のシートの場合は、SG板金51と電気的に接続する。
【0042】
ここで、FG板金52とワイヤーハーネス55との間に電磁遮蔽板56を配置することにより、ワイヤーハーネス55からノイズが漏洩した場合においても、そのノイズがSG板金51とFG板金52との間の共振に作用するのを防止することができる。このため、互いに絶縁されたSG板金51とFG板金52との間にノイズ源が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができ、電磁波障害を抑制することができる。
【0043】
図5−3は、図5−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。図5−3において、図5−1のFG板金52とワイヤーハーネス55との間に電磁遮蔽板56を配置することにより、ワイヤーハーネスから漏洩するノイズ量を抑えることができ、互いに絶縁されたSG板金51とFG板金52との間にワイヤーハーネス55が配置された場合においても、電磁波ノイズが増大するのを防止することができる。
【0044】
実施の形態6.
図6−1は、本発明に係る電子機器の実施の形態6の概略構成を示す斜視図、図6−2は、図6−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。なお、実施の形態6では、電子機器として、FA用操作表示盤を例にとって説明する。図6−1および図6−2において、FA用操作表示器には、タッチパネル73が表面に配置された液晶パネル72が設けられている。また、FA用操作表示器には、第1の導電体としてSG板金61、第2の導電体としてFG板金62が設けられるともに、放射ノイズを発生するノイズ源としてワイヤーハーネス65が設けられている。そして、SG板金61上には、SG板金61と重なるようにしてFG板金62および回路基板63が配置されるとともに、SG板金61の裏面側には、液晶パネル72が配置され、液晶パネル72には回路基板64が搭載されている。なお、回路基板63は、FA用操作表示器全体の制御を行うことができ、回路基板64は、回路基板63からの制御情報に基づいて液晶パネル72を駆動することができる。
【0045】
そして、SG板金61、FG板金62、回路基板63、64、液晶パネル72およびタッチパネル73は、液晶パネル72の表示面が筐体71から露出するようにして、筐体71内に収容されている。なお、筐体71の材料は、樹脂を用いることができる。
【0046】
ここで、SG板金61には、ワイヤーハーネス65を通す開口部61aが形成されている。また、FG板金62には、SG板金61上でFG板金62がワイヤーハーネス65と重ならないようにするための切り欠き部62aが形成されるとともに、FG板金62を回路基板63と接続するための引き出し部62bが形成されている。そして、SG板金61とFG板金62とは互いに電気的に絶縁され、SG板金61は、シグナルグランドに接続されるとともに、FG板金62は、フレームグランドに接続される。
【0047】
また、回路基板63には、シグナルグランドプレーンおよびフレームグランドプレーンが設けられている。そして、回路基板63のシグナルグランドプレーンは、ボルト63bを介してSG板金61に接続されている。また、回路基板63のフレームグランドプレーンは、コネクタ63aおよび引き出し部62bを介してFG板金62に接続されている。
【0048】
また、ワイヤーハーネス65は、SG板金61と重なるように配置され、回路基板63に接続されるとともに、開口部61aを介してSG板金61の裏面側に引き出され、回路基板64に接続されている。また、ワイヤーハーネス65は、SG板金61上で切り欠き部62a下に配置され、SG板金61上でFG板金62と重ならないように配置されている。
【0049】
これにより、ワイヤーハーネス65がSG板金61とFG板金62との間に配置された場合においても、ワイヤーハーネスから漏洩するノイズがSG板金61とFG板金62との間の共振に作用するのを防止することができ、電磁波ノイズが増大するのを防止することが可能となることから、電磁波障害を抑制することができる。
【0050】
なお、上述した実施の形態6では、図1の電子機器をFA用操作表示器に適用する方法を例にとって説明したが、図2〜図5のいずれかの電子機器をFA用操作表示器に適用するようにしてもよい。また、図1〜図5の電子機器は、FA用操作表示器に限定されることなく、シーケンサ、インバータ、ロボット、放電加工機、レーザ加工機などのその他の電子機器に適用するようにしてもよい。
【0051】
また、上述した実施の形態では、シグナルグランドに接続された第1の導電体としてSG板金、フレームグランドに接続された第2の導電体としてFG板金を例にとって説明したが、第1および第2の導電体としては、必ずしも板金に限定されることなく、回路基板などに形成された導体層や筐体などに形成されたメッキ層などであってもよい。例えば、第1の導電体を回路基板のSGベタ層、第2の導電体をFG板金とした組み合わせであってもよいし、第1の導電体を回路基板のSGベタ層、第2の導電体を他の回路基板のアナロググランドプレーンとした組み合わせであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
以上のように本発明に係る電子機器は、互いに電気的に絶縁されたシグナルグランドとフレームグランドとの間にノイズ源が配置された時の電磁波障害を低減する方法に適している。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1−1】本発明に係る電子機器の実施の形態1の概略構成を示す斜視図である。
【図1−2】図1−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。
【図1−3】図1−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。
【図2−1】本発明に係る電子機器の実施の形態2の概略構成を示す斜視図である。
【図2−2】図2−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。
【図2−3】図2−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。
【図3−1】本発明に係る電子機器の実施の形態3の概略構成を示す斜視図である。
【図3−2】図3−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。
【図3−3】図3−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。
【図4−1】本発明に係る電子機器の実施の形態4の概略構成を示す斜視図である。
【図4−2】図4−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。
【図4−3】図4−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。
【図5−1】本発明に係る電子機器の実施の形態5の概略構成を示す斜視図である。
【図5−2】図5−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。
【図5−3】図5−1の電子機器におけるSG−FG板金間の共振による放射ノイズの増加量を示す図である。
【図6−1】本発明に係る電子機器の実施の形態6の概略構成を示す斜視図である。
【図6−2】図6−1の電子機器の概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
11、21、31、41、51、61 SG板金
11a、21a、31a、41a、51a、61a 開口部
12、22、32、42、52、62 FG板金
12a、62a 切り欠き部
13、14、23、24、33、34、43、44、53、54、63、64 回路基板
15、25、35、45、55、65 ワイヤーハーネス
56 電磁遮蔽板
62b 引き出し部
63a コネクタ
63b ボルト
71 筐体
72 液晶パネル
73 タッチパネル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器内部にノイズを漏洩するノイズ源と、
前記ノイズ源と重なるように配置され、前記ノイズを発生させる信号の基準電位となる第1の導電体と、
前記第1の導電体と電気的に絶縁され、前記第1の導電体と重なるとともに、前記ノイズ源と重ならないように配置された第2の導電体とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
電子機器内部にノイズを漏洩するノイズ源と、
前記ノイズ源と重なるように配置され、前記ノイズを発生させる信号の基準電位となる第1の導電体と、
前記第1の導電体と電気的に絶縁され、前記第1の導電体と重なるように配置された第2の導電体とを備え、
前記ノイズ源は、前記第2の導電体の幾何学的な中心線上に配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項3】
電子機器内部にノイズを漏洩するノイズ源と、
前記ノイズ源と重なるように配置され、前記ノイズを発生させる信号の基準電位となる第1の導電体と、
前記第1の導電体と電気的に絶縁され、前記第1の導電体と重なるように配置された第2の導電体とを備え、
前記第2の導電体の沿面長は、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の共振による共振周波数が、前記放射ノイズの周波数と異なるように設定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項4】
電子機器内部にノイズを漏洩するノイズ源と、
前記ノイズ源と重なるように配置され、前記放射ノイズを発生させる信号の基準電位となる第1の導電体と、
前記第1の導電体と電気的に絶縁され、前記第1の導電体と重なるように配置された第2の導電体とを備え、
前記第1の導電体と前記第2の導電体との間隔は、前記第1の導電体と前記第2の導電体との間の共振による共振周波数が、前記放射ノイズの周波数と異なるように設定されていることを特徴とする電子機器。
【請求項5】
電子機器内部にノイズを漏洩するノイズ源と、
前記ノイズ源と重なるように配置され、前記ノイズを発生させる信号の基準電位となる第1の導電体と、
前記第1の導電体と電気的に絶縁され、前記第1の導電体と重なるように配置された第2の導電体と、
前記ノイズ源と前記第2の導電体との間に配置された電磁遮蔽体とを備えることを特徴とする電子機器。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2−1】
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【図2−2】
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【図2−3】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図3−3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図4−3】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【公開番号】特開2010−80547(P2010−80547A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244872(P2008−244872)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】