説明

電子機器

【課題】1つの誘導コイルで複数のRFIDタグに同時にアクセスすることができる電子機器を提供する。
【解決手段】第1及び第2のRFIDタグをプリント基板の近傍に配置した電子機器であって、外部とアクセスするための誘導コイルをプリント基板の近傍に配置し、誘導コイルの巻きの内側に共振コイルの中心軸が誘導コイルの中心軸と平行になるように第1のRFIDタグを配置し、共振コイルの中心軸が誘導コイルの中心軸と交差するように前記第2のRFIDタグを配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1及び第2のRFIDタグをプリント基板の近傍に配置した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器には、内部のデータの改竄やプログラムの不正コピーや破壊等を防止するため封印されるものがある。封印を必要とする電子機器として例えば、スロットマシンやパチンコ台のような遊技機や、水道、ガス、電気等の使用量を計測する検針器が挙げられる。封印手段としては、例えば封印線、封印シール、封印ネジが挙げられる。
【0003】
封印線は、主に電力量計に用いられ、電力量計の筐体の蓋部の孔と本体の孔とを通した後、更に封印鉛の孔に通して工具で圧着するものであり、封印を解除するには封印線を切断しなければならないようになっている。
【0004】
封印シールは、主に筐体が開閉式の配電盤の蓋から本体にわたって貼り付けるものであり、一旦貼り付けた後で剥がすと破れたり、開封済みの表示部分が本体及び蓋部に残ったりするようになっている。
【0005】
封印ネジは、主に遊技機のゲームプログラムが格納されているメモリを搭載したプリント基板を封印するためのものである。通常、プリント基板を透明ケースの本体に載置し、透明蓋でプリント基板ごと覆った後、透明ケースを本体にネジ止めし、そのネジ孔に樹脂製のキャップを押し込むようになっている。
このキャップは一旦ネジ孔に押し込まれると外すことができず、プリント基板を交換する際にはそのキャップを破壊してネジを外した後で交換用の基板を新たな透明ケースごと前述のネジ及びキャップを用いて電子機器に取り付けるようになっている。
【0006】
ここで、近年、電子機器の封印手段としてRFID(Radio Frequency Identification)タグを用いたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の発明は、RFIDチップとタグアンテナとを内蔵するRFIDタグと、RFIDタグをアクセスするRFIDアクセス装置との通信に、誘導アンテナ装置とを介在させ、誘導アンテナ装置は、RFIDアクセス装置のアンテナと電磁結合可能なアクセス装置側アンテナ、タグアンテナと電磁結合可能なタグ側アンテナとを有し、RFIDタグにおけるRFIDチップ及びタグアンテナを電磁シールド空間内に設け、誘導アンテナ装置をRFIDタグに装着させるか又は所定位置に位置させることにより、RFIDタグとRFIDアクセス装置との通信を可能にするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−94875号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
誘導コイル(誘導アンテナとも言う)を用いてRFIDタグにアクセスを行う場合、両者の位置関係は、磁束密度の向きが一致するように合わせて配置を行う。
ここで、RFIDタグが2つ存在し、これら2つのRFIDタグの磁束線が直交する場合、誘導コイルも2つ用いて磁束線に沿って配置する。従って、RFIDタグが2つ存在し、磁束線が直交する場合、1つの誘導コイルを用いて同時に2つのRFIDタグをアクセスすることはできなかった。
【0009】
このため、誘導コイルが2つ必要な場合には、以下のような課題があった。
(1)製造コストが2倍になる。
(2)RFIDタグへ2回のアクセスが必要となり、アクセス時間が2倍となる。
(3)取り付け面積が2倍となる。
(4)誘導コイルの中心軸が直交する位置関係を持つ必要が有り、構造が複雑になる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、1つの誘導コイルで複数のRFIDタグに同時にアクセスすることができる電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、本発明の装置は、第1及び第2のRFIDタグをプリント基板の近傍に配置した電子機器であって、外部とアクセスするための誘導コイルを前記プリント基板の近傍に配置し、該誘導コイルの巻きの内側に共振コイルの中心軸が該誘導コイルの中心軸と平行になるように前記第1のRFIDタグを配置し、共振コイルの中心軸が前記誘導コイルの中心軸と交差するように前記第2のRFIDタグを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、共振コイルの中心軸が直交する複数のRFタグと電磁的に結合する用に誘導コイルを配置し、その誘導コイルとリーダとを電磁的に結合することにより、各RFIDタグ用の誘導コイルを配置する必要が無くなるので、1つの誘導コイルで複数のRFIDタグに同時にアクセスすることができる電子機器の提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】(a)は、本発明に係る電子機器の一実施の形態を示す概念図であり、(b)は、(a)に示した誘導コイル板とRFIDタグとの位置関係を説明するための説明図である。
【図2】(a)は、図1(a)、(b)に示したRFIDタグの一例を示す概念図であり、(b)は、(a)に示したRFIDタグのコイル及び電子部品との位置関係を示す説明図であり、(c)は(a)に示したRFIDタグの磁束線の説明図であり、(d)は、(a)に示したRFIDタグの等価回路である。
【図3】(a)は、本発明に係る電子機器の他の実施の形態を示す概念図であり、(b)は、(a)に示した誘導コイル板とRFIDタグとの位置関係を説明するための説明図である。
【図4】(a)は、本発明に係る電子機器の他の実施の形態を示す概念図であり、(b)は、(a)に示したRFIDタグの磁束線Φ4,Φ5の概念図であり、(c)は、(a)に示した誘導コイル板の磁束線Φ6〜Φ9の概念図である。
【図5】(a)は、リーダ、誘導コイル板、及び共振コイルの軸が誘導コイル板と平行なRFIDタグとの距離についての説明図であり、(b)は、(a)に示した誘導コイルとRFIDタグとの位置関係の説明図である。
【図6】6(a)は、リーダ、誘導コイル板、及び共振コイルの軸が誘導コイル板と直交するRFIDタグとの距離についての説明図であり、(b)は、(a)に示した誘導コイルとRFIDタグとの位置関係の説明図である。
【図7】(a)は、封印する必要のあるプリント基板の一般的な封印方法を説明するための外観透視図であり、(b)は、(a)の矢印70方向の矢視図であり、(c)は、(a)に示した封印シールの拡大斜視図である。
【図8】(a)は、本発明に係る電子機器に用いられるプリント基板の封印方法の一実施例を示す外観透視図であり、(b)は、(a)の矢印80方向の矢視図であり、(c)は、(a)に示したRFIDネジの拡大透視図である。
【図9】(a)は、本発明に係る電子機器に用いられるプリント基板の封印方法の他の実施例を示す外観透視図であり、(b)は、(a)の矢印90方向の矢視図であり、(c)は、(a)に示したRFID封印シールの拡大透視図であり、(d)は、(a)に示したRFIDシールの拡大透視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
以下、本発明の実施の形態について述べる。
図1(a)は、本発明に係る電子機器の一実施の形態を示す概念図であり、図1(b)は、図1(a)に示した誘導コイル板とRFIDタグとの位置関係を説明するための説明図である。
【0015】
図2(a)は、図1(a)、(b)に示したRFIDタグの一例を示す概念図であり、図2(b)は、図2(a)に示したRFIDタグのコイル及び電子部品との位置関係を示す説明図であり、図2(c)は図2(a)に示したRFIDタグの磁束線の説明図であり、図2(d)は、図2(a)に示したRFIDタグの等価回路である。
【0016】
図1(a)において、1は封印を必要とする電子機器(例えば、遊技機)に用いられる、封印対象のプリント基板である。プリント基板1としては、例えば、ゲームプログラムを記憶したメモリを搭載した制御基板が挙げられるが限定されるものではない。また、説明を簡略化するため、電子機器の筐体やプリント基板1を覆う蓋部は省略されている。
【0017】
プリント基板1の外周部上に1つの辺に平行に、電磁結合方式の第1のRFIDタグとしてのRFIDタグ2−1が配置されている。プリント基板1の1つの角部(図1(a)の右下)に、電磁結合方式の第2のRFIDタグとしてのRFIDタグ2−2がRFタグ2−1と垂直に、すなわちプリント基板1の主面と垂直に貫通するように配置されている。
【0018】
プリント基板1の上側には誘導コイル板4がプリント基板1と平行かつ、各RFIDタグ2−1、2−2からの磁束線Φ1と直交するように配置されている。
【0019】
誘導コイル板4の上側には各RFIDタグ2−1、2−2を同時にアクセスするためのリーダ3が誘導コイル板4からの磁束線(図示せず)と直交するように配置されている。
【0020】
ここで、RFIDタグ2−1、2−2について図2(a)〜(d)を参照して説明する。
RFID2(2−1、2−2)は、共振コイル2aを棒状のフェライトコア2dに巻き付けてチップコンデンサ2bに接続して共振回路を形成すると共に、ICチップ2cに接続したものである。RFIDタグ2からはフェライトコア2dに対して楕円状の磁束線Φを発生する。ICチップ2cは、ID(Identification)データを記憶したメモリやCPU(Central Processing Unit)等を有する。RFIDタグ2は磁束線Φを用いた電磁結合により外部の回路とデータの授受を行うことができるようになっている。
RFIDタグ2の大きさは、例えば2mm×3mm×5mm程度の大きさに形成されるが、限定されるものではない。
【0021】
図1(b)において、誘導コイル板4は、銅箔からなるループ状の誘導コイル4aのパターンを基板(例えば、ガラスエポキシ基板)4b上に形成したものである。誘導コイル4aは導線パターンを基板4bの一方の主面(この場合、上側)上に矩形螺旋状に形成したものであり、中央のスルーホール2e及び外周部のスルーホール2fを介して導線4c、4dで短絡させたものである。この誘導コイル4aに高周波磁界を印加すると、矩形の各辺4aa、4ab、4ac、4adを流れる誘導電流が発生する。誘導コイル4aに誘導電流が流れると、アンペールの右ネジの法則に従って各辺4aa、4ab、4ac、4adから磁束線が発生するようになっている。
【0022】
誘導コイル板4と各RFIDタグとは、RFIDタグ2−1を共振コイルの中心軸が誘導コイル板4に平行になるように配置し、RFIDタグ2−2を共振コイルの中心が誘導コイル板4に垂直になるように配置し、かつ、ループ状の誘導コイル4aの矩形の一辺(例えば4aa)の中心にRFIDタグ2−1が位置し、誘導コイル4aの矩形の中心にRFIDタグ2−2が位置するように配置されている。
【0023】
プリント基板1に共振コイルの中心が直交すると共に誘導コイル板4の誘導コイル4aとRFIDタグ2−1、2−2とが電磁的に結合するように配置することにより、リーダ3が同時に複数のRFIDタグ2−1、2−2をアクセスし、封印状況を検知することができる。
【0024】
<実施形態2>
図3(a)は、本発明に係る電子機器の他の実施の形態を示す概念図であり、図3(b)は、図3(a)に示した誘導コイル板とRFIDタグとの位置関係を説明するための説明図である。
【0025】
図3(a)、(b)に示した実施の形態と図1(a)、(b)に示した実施の形態との相違点は、第1のRFIDタグとしてのRFIDタグ2−3を共振コイルの中心軸がプリント基板1に平行になるように配置し、第2のRFIDタグとしてのRFIDタグ2−4を共振コイルの中心がプリント基板1に垂直になるように配置し、かつ、誘導コイル4aの矩形の一辺(例えば、4ab)の中心にRFIDタグ2−3が位置し、誘導コイル4aの矩形の角部(この場合、4aaと4abとが形成する角部)にRFIDタグ2−4が位置するよう配置した点である。
【0026】
従って、プリント基板1に対して誘導コイル板4は直交すると共に、各RFIDタグ2−3、2−4及びリーダ3と電磁的に結合するように配置されている。
このような構成を用いても図1(a)、(b)に示した実施の形態と同様の効果が得られる。
【0027】
<実施の形態3>
実施の形態1、2では1枚の誘導コイル板を用いた場合で説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、2枚の誘導コイル板を延長ケーブルで接続し、一方の誘導コイル板を各RFIDタグに電磁的に結合させ、他方の誘導コイル板をプリント基板から離れた位置であって電子機器の筐体に配置し、他方の誘導コイル板にリーダをかざしてRFIDタグにアクセスするようにしてもよい。
【0028】
図4(a)は、本発明に係る電子機器の他の実施の形態を示す概念図であり、図4(b)は、図4(a)に示したRFIDタグの磁束線Φ4,Φ5の概念図であり、図4(c)は、図4(a)に示した誘導コイル板の磁束線Φ6〜Φ9の概念図である。
【0029】
図4(a)に示すRFIDタグ2−5は、封印を必要とするプリント基板に設けられ、共振コイルの中心軸が直交するRFIDタグの1つを示す。4−2は、誘導コイル板4−1に延長ケーブル5で接続した、他の誘導コイルとしての誘導コイル板4−2である。誘導コイル板4−2の構造は、誘導コイル板4−1と同様の構造である。
誘導コイル板4−2は、RFIDタグ2−5及び共振コイルの中心軸がRFIDタグ2−5の共振コイルの中心軸と直交する他のRFIDタグ(図示せず)と電磁的に結合するようになっている。
誘導コイル板4−2の近傍にリーダ3を配置することにより、リーダ3と誘導コイル板4−2の誘導コイル4aとが電磁的に結合し、誘導コイル板4−1の誘導コイル4aと複数のRFIDタグとが電磁的に結合するので、例えば電子機器の筐体の木製部もしくは樹脂部に誘導コイル板4−2を配置しておくことにより、リーダ3をコイル板4−2にかざすことで同時に複数のRFIDタグにアクセスして封印状況を検知することができる。
すなわち、封印を必要とするプリント基板を内蔵した電子機器の筐体のフロントドアを開けてプリント基板の封印状況を検知することなく、外部からリーダをかざすだけで封印状況を把握することができる。
【実施例1】
【0030】
以下、RFIDタグと誘導コイル板との位置関係の実験について述べる。
図5(a)は、リーダ、誘導コイル、及び共振コイルの軸が誘導コイル板と平行なRFIDタグとの距離についての説明図であり、図5(b)は、図5(a)に示した誘導コイルとRFIDタグとの位置関係の説明図である。
【0031】
図5(b)に示すように、複数(この場合5つ)のRFIDタグ2−6〜2−10の共振コイルの中心軸が誘導コイル板4−1の一方の主面と直交するように離隔配置される。すなわち、RFIDタグ2−6は、誘導コイル板4−1の中心P1に対応する位置に配置される。RFIDタグ2−10は、誘導コイル板4−1の辺4aaの中心P5に対応する位置に配置される。RFIDタグ2−9は、RFIDタグ2−9とRFIDタグ2−10との間P4に対応する位置に配置される。RFIDタグ2−7は、RFIDタグ2−6と誘導コイル4aの辺4adとの間P2に対応する位置に配置される。RFIDタグ2−8は、RFIDタグ2−9と辺4adとの間P3に対応する位置に配置される。
【0032】
これら各RFIDタグ2−6〜2−10の位置P1〜P5と、誘導コイル板4−1とRFIDタグ2−6〜2−10との位置と、誘導コイル板4−2からリーダ3までの最大通信距離(到達可能距離の最大値)Bとの関係を表1に示す。
【0033】
【表1】

【0034】
表1においてB=0mmとは通信不可能を意味しており、B=25mmとは最も感度良くアクセスできたことを意味している。すなわち、Aが0mmであって位置がP1の場合が最も適した位置であり、位置P5は最も不適格な位置であることが分かる。
【0035】
図6(a)は、リーダ、誘導コイル板、及び共振コイルの軸が誘導コイル板と直交するRFIDタグとの距離についての説明図であり、図6(b)は、図6(a)に示した誘導コイル板とRFIDタグとの位置関係の説明図である。
図6(b)に示すように、複数(この場合5つ)のRFIDタグ2−11〜2−15の共振コイルの中心軸が誘導コイル板4−1の一方の主面と平行に離隔配置される。すなわち、RFIDタグ2−15は、誘導コイル板4−1の中心P15に対応すると共に辺4aa(4ac)と平行な位置に配置される。RFIDタグ2−13は、誘導コイル板4−1の辺4aaの中心P13に対応すると共に辺4ad(4ab)と平行な位置に配置される。
RFIDタグ2−14は、RFIDタグ2−13とRFIDタグ2−15との間P14に対応すると共に辺4ad(4ab)と平行な位置に配置される。RFIDタグ2−11は、誘導コイル4aの辺4adの中心P11に対応すると共に辺4aa(4ac)と平行な位置に配置される。RFIDタグ2−12は、辺4adと辺4aaとが形成する角部と、RFIDタグ2−11との間P12に対応すると共に辺4aa(4ac)と平行な位置に配置される。
【0036】
これら各RFIDタグ2−11〜2−15の位置P11〜P15と、誘導コイル板4−1とRFIDタグ2−11〜2−15との位置と、誘導コイル板4−2からリーダ3までの最大通信距離(到達可能距離の最大値)Bとの関係を表2に示す。
【0037】
【表2】

【0038】
表2においてB=0mmとは通信不可能を意味しており、B=25mmとは最も感度良くアクセスできたことを意味している。すなわち、Aが0mmであって位置がP11、P13の場合が最も適した位置であり、位置P14、P15は不適格な位置であることが分かる。
【0039】
これら表1、表2からP1とP11との組合せか、P1とP14との組合せが最適な位置関係であることが分かる。
【0040】
ここで、図7(a)は、封印する必要のあるプリント基板の一般的な封印方法を説明するための外観透視図であり、図7(b)は、図7(a)の矢印70方向の矢視図であり、図7(c)は、図7(a)に示した封印シールの拡大斜視図である。
【0041】
封印を必要とするプリント基板1が透明な樹脂からなるケース本体10−1に搭載され、そのケース本体10−1がプリント基板1ごと透明な樹脂からなる蓋部10−2で覆われた後、有色の封印シール11が貼付されている。すなわち、プリント基板1はケース10内に封印シール11で封印されている。
しかしながら、このような封印方法では、例えばプリント基板1のメモリの改竄やプリント基板1の不正交換がなされた後、封印シールを貼り替えられても発見できないおそれがある。
【0042】
そこで、プリント基板1を、RFIDタグを用いて封印することが考えられる。
【実施例2】
【0043】
図8(a)は、本発明に係る電子機器に用いられるプリント基板の封印方法の一実施例を示す外観透視図であり、図8(b)は、図8(a)の矢印80方向の矢視図であり、図8(c)は、図8(a)に示したRFIDネジの拡大透視図である。
【0044】
本実施例は、RFIDタグを樹脂で封止して締結部材を形成し、少なくともプリント基板を覆う蓋部材を封印したものである。
【0045】
図8(a)に示すようにプリント基板1を、締結部材としてのRFIDネジ20で固定すると共にRFIDタグをプリント基板1に実装することが考えられる。
すなわち、RFIDタグ2−21を実装したプリント基板1を締結部材としてのRFIDネジ20でケース本体10−1に固定したものである。
RFIDネジ20は、RFIDタグ2−20を共振コイルの中心軸と同軸となるように樹脂19で封止してネジ形状に成型したものである。従って、RFIDネジ20でプリント基板1をケース本体10−1に締結(もしくはケース10ごと電子機器の筐体に締結)すると、RFIDネジ20のRFIDタグの共振コイルの中心軸はプリント基板1の主面、即ちRFタグ2−21の共振コイルの中心軸と直交することになる。
尚、図に示したRFIDネジ20とプリント基板1との大きさの比率は限定されるものではない。また、説明を簡略化するため、ネジを封印するためのキャップは省略されている。
【0046】
このようなケース10の近傍に、例えば誘導コイル板4−1(図1参照)を配置してRFIDネジ20、RFIDタグ2−21、及び図には示されないリーダと磁束線Φ20〜Φ23により電磁的に結合して、リーダからRFIDネジ20及びRFIDタグ2−21を同時にアクセスして封印状況を検知することができる。
【0047】
また、誘導コイル板4−1に延長ケーブル5を接続して誘導コイル板4−2を電子機器の筐体の木製部もしくは樹脂部に貼り付け、筐体外部からリーダをかざすことにより、RFIDネジ20及びRFIDタグ2−21を、筐体のフロントドアを開けることなく同時にアクセスして封印状況を把握することができる。
【実施例3】
【0048】
図9(a)は、本発明に係る電子機器に用いられるプリント基板の封印方法の他の実施例を示す外観透視図であり、図9(b)は、図9(a)の矢印90方向の矢視図であり、図9(c)は、図9(a)に示したRFID封印シールの拡大透視図であり、図9(d)は、図9(a)に示したRFIDシールの拡大透視図である。
【0049】
本実施例は、RFIDをシール部材で封止してシールを形成し、少なくともプリント基板を覆う蓋部材でプリント基板1を封印したものである。
すなわち、本実施例は、プリント基板1にRFIDシール22を貼付した後、ケース本体10−1に搭載し、ケース本体10−1をプリント基板1ごと蓋部10−2で覆い、ケース本体10−1から蓋部10−2にわたってRFID封印シール31で覆って封印したものである。
RFIDシール22は、RFIDタグ2−22を例えば樹脂シール23で封止してシール状に形成したものである。
RFID封印シール31は、RFIDタグ2−23を例えば樹脂シール23で封止してシール状に形成したものである。
【0050】
このようなケース10の近傍に、例えば誘導コイル板4−1(図1参照)を配置して、RFIDタグ2−22、RFIDタグ2−23、及び図には示されないリーダを、磁束線Φ24〜Φ27により電磁的に結合し、リーダからRFIDタグ2−22及びRFIDタグ2−23を同時にアクセスすることにより封印状況を検知することができる。
【0051】
また、誘導コイル板4−1に延長ケーブル5を接続して誘導コイル板4−2を電子機器の筐体の木製部もしくは樹脂部に貼り付け、筐体外部からリーダをかざすことにより、RFIDタグ2−22、RFIDタグ2−23を、筐体の蓋を開けることなく同時にアクセスして封印状況を把握することができる。
【0052】
なお、上述した実施の形態及び実施例は、本発明の好適な実施の形態及び実施例の一例を示すものであり、本発明はそれに限定されることなく、その要旨を逸脱しない範囲内において、種々変形実施が可能である。例えば、上述の説明では、封印する必要のあるプリント基板に2つのRFIDタグを配置した場合について説明したが、本発明ではこれに限定されず、ダミーを含む3つ以上のRFIDを配置した場合にも適用可能である。また、上記実施例では締結部材としてRFIDネジの場合で説明したが、RFIDタグを樹脂で封止して割ピンを形成してもよい。また、上述した実施の形態及び実施例は、遊技機の場合で説明したが、検知器に適用してもよい。
【符号の説明】
【0053】
1 プリント基板
2、2−1〜2−15、2−20、2−21 RFIDタグ
3 リーダ
4、4−1、4−2 誘導コイル板
4a 誘導コイル
4b 基板
4aa、4ab、4ac、4ad 辺
4e、4f スルーホール
5 延長ケーブル
10 ケース
10−1 ケース本体
10−2 蓋部
19 樹脂
20 RFIDネジ
22 RFIDシール
23、24 シール部材
31 RFID封印シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1及び第2のRFIDタグをプリント基板の近傍に配置した電子機器であって、
外部とアクセスするための誘導コイルを前記プリント基板の近傍に配置し、該誘導コイルの巻きの内側に共振コイルの中心軸が該誘導コイルの中心軸と平行になるように前記第1のRFIDタグを配置し、共振コイルの中心軸が前記誘導コイルの中心軸と交差するように前記第2のRFIDタグを配置したことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1のRFIDタグを前記誘導コイルの中心の位置に配置したことを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記誘導コイルに電磁結合することにより前記第1及び第2のRFIDタグにリーダでアクセスするようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載の電子機器。
【請求項4】
前記第1及び第2のRFIDタグを前記プリント基板の封印として利用したことを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の電子機器。
【請求項5】
矩形状に形成した前記誘導コイルの一辺の中央に配置し、前記第2のRFIDタグを前記誘導コイルにかかるように配置したことを特徴とする請求項1から4の何れか1項記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−138372(P2011−138372A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−298636(P2009−298636)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】