説明

電子機器

【課題】部品数を削減しつつ放熱性と筐体の剛性の両性能を高めることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態に係るビデオカメラは、筐体1内に固定されたシャーシと、該シャーシに設置されたCMOSイメージセンサ60と、該CMOSイメージセンサ60から生じる熱を筐体1の外部に放出する放熱部材7とを具えている。ここで、放熱部材7は、筐体1の内面の少なくとも一部の領域に沿うと共に該領域に近接又は接触して拡がっており、該放熱部材7の裏面には、シャーシの一部が接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラや携帯電話機等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電子機器は、筐体内に固定されたシャーシと、該シャーシに設置された電子部品とを具えている。従来から、機器動作の実行時に電子部品から生じた熱を筐体外部に放出するべく、筐体内に放熱部材を設置することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、種々の電子部品が搭載されている回路基板がシャーシに設置され、該回路基板上の電子部品と放熱部材とが熱伝導シートによって連結されている。これにより、回路基板上の電子部品から生じた熱は、熱伝導シートを通じて放熱部材に伝達され、該放熱部材から筐体外部に放出されることになる。
【0004】
一方で、従来の電子機器においては、筐体に大きな押圧力が加わって該筐体が塑性変形することを防止するべく、筐体の内部又は外部に筐体を補強する補強部材が設置され、これにより筐体の剛性が高められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−8956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の電子機器において放熱性と筐体の剛性の両性能を高めるためには、放熱部材と補強部材の2つの別部材を設ける必要があった。従って、電子機器を構成する部品数が増大し、その結果として、電子機器の組み立て工程が煩雑化する問題や、電子機器が大型化する問題があった。
【0007】
そこで本発明の目的は、部品数を削減しつつ放熱性と筐体の剛性の両性能を高めることが可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る電子機器は、筐体内に固定されたシャーシと、該シャーシに設置された電子部品と、該電子部品から生じる熱を筐体外部に放出する放熱部材とを具えている。ここで、前記放熱部材は、前記筐体の内面の少なくとも一部の領域に沿うと共に該領域に近接又は接触して拡がっており、該放熱部材の裏面には、前記シャーシの一部が接触している。
【0009】
上記電子機器においては、電子部品から生じた熱が、放熱部材を通じて筐体の外部に放出される。従って、過熱による電子部品の破損が防止されることになる。
【0010】
更に、上記電子機器においては、筐体に大きな押圧力が加わった場合、筐体が変形して該筐体が放熱部材に押し付けられることになる。ここで、放熱部材の裏面にはシャーシの一部が接触し、該シャーシは筐体内に固定されている。従って、放熱部材は、変形した筐体を受け止めることが出来る。又、放熱部材は、筐体の内面に近接又は接触して拡がっている。従って、筐体の変形量は小さくて済む。よって、筐体に大きな押圧力が加わって該筐体が変形した場合でも、その変形は弾性的な変形で済み、その結果、筐体が塑性変形することが防止されることになる。
しかも、放熱部材は、筐体の内面の少なくとも一部の領域に沿って拡がっている。従って、筐体に加わった押圧力は、放熱部材によって広い範囲で受け止められることになる。
【0011】
よって、上記電子機器によれば、該電子機器を構成する部品数を削減しつつ、放熱性と筐体の剛性の両性能を高めることが出来る。
【0012】
上記電子機器の具体的構成において、前記放熱部材には、該放熱部材を屈曲変形させることにより、平坦部と、該平坦部の外縁から拡がって表面が湾曲した湾曲部とが形成されており、該平坦部及び/又は湾曲部が、前記筐体の内面の前記領域に沿うと共に該領域に近接又は接触している。この様に放熱部材を屈曲変形させて平坦部と湾曲部とを形成することにより、放熱部材の剛性が高まることになる。
【0013】
上記電子機器の他の具体的構成において、前記放熱部材には開口が形成されており、該開口の内側に前記電子部品が配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る電子機器によれば、該電子機器を構成する部品数を削減しつつ、放熱性と筐体の剛性の両性能を高めることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の一実施態様であるビデオカメラを第2開き状態で正面側から見た斜視図である。
【図2】図2は、該ビデオカメラを第2開き状態で背面側から見た斜視図である。
【図3】図3は、該ビデオカメラの第2開き状態の側面図である。
【図4】図4は、該ビデオカメラの第1開き状態の正面図である。
【図5】図5は、該ビデオカメラの閉じ状態の背面図である。
【図6】図6は、該ビデオカメラが具える第1筐体の分解斜視図である。
【図7】図7は、図6に示されるA−A線に沿う断面図である。
【図8】図8は、上記ビデオカメラが具える撮像ユニット、放熱部材、及び上シャーシ部を示す分解斜視図である。
【図9】図9は、該撮像ユニット、放熱部材、及び上シャーシ部の組み立て状態を示す斜視図である。
【図10】図10は、該放熱部材と上シャーシ部の組み立て状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を静止画及び動画の撮影が可能なビデオカメラに実施した形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
図1及び図2に示す様に、本発明の一実施態様であるビデオカメラは、第1筐体(1)と第2筐体(2)を具えている。両筐体(1)(2)は、図3に示す様に2軸ヒンジ機構(3)によって互いに開閉可能に連結されおり、ビデオカメラには、図5に示す様に第2筐体(2)が第1筐体(1)に対して閉じられた閉じ状態と、図4に示す様に第2筐体(2)が第1筐体(1)に対して開かれた第1開き状態と、図1〜図3に示す様に該第1開き状態から第2筐体(2)を回動させた第2開き状態とを設定することが可能である。
【0017】
図5に示す様に、第1筐体(1)には、ビデオカメラが閉じ状態に設定されたときに第2筐体(2)と対向する領域に把持部(4)が形成されている。ビデオカメラは、図1〜図3に示す様に第2開き状態に設定されて、把持部(4)を手で把持することにより使用される。
【0018】
又、図4に示す様に、第1筐体(1)の底部には、三脚(図示せず)を取り付けるための取付け座(10)が設けられている。ここで、取付け座(10)には、三脚に形成された雄ネジが捻じ込まれる雌ネジが形成され、該雌ネジは第1筐体(1)の底面に露出している。取付け座(10)を利用してビデオカメラを三脚に取り付けることにより、該ビデオカメラを床や地面に設置して使用することが可能となる。
【0019】
第1筐体(1)の前部には、図1に示す様に、撮影レンズ(11)及び照明用のLED(Light Emitting Diode)(12)が配備される一方、第1筐体(1)の後部には、図2に示す様に、静止画撮影を指示するシャッター釦(13)、ズーム釦(14)、動画撮影を指示する録画釦(15)、及びアクセスランプ(16)が配備されている。
又、第1筐体(1)の把持部(4)の表面には、図3及び図4に示す様に、ビデオカメラが閉じ状態に設定されたときに第2筐体(2)によって覆われる領域に、電源釦(17)、カード蓋(18)及び電池蓋(19)が配備されている。
【0020】
第2筐体(2)の外面には、図1に示す様に、一対のマイクロホン(22)(22)が配備される一方、第2筐体(2)の内面には、図2に示す様に、液晶ディスプレイ(21)が配備されると共に、該液晶ディスプレイ(21)の配置領域とは別の領域に、録画/再生キー(23)、メニューキー(24)、十字キー(25)及びセットキー(26)が配備されている。尚、第2筐体(2)の外面にはメッキ処理が施されている。
【0021】
図6に示す様に、第1筐体(1)は、シャーシ(5)に対して、第1筐体(1)の湾曲した上面壁を構成する第1キャビネット部品(101)と、図6の紙面において第1筐体(1)の右側面壁を構成する第2キャビネット部品(102)と、図6の紙面において第1筐体(1)の上部の左側面壁を構成する第3キャビネット部品(103)とを取り付けて構成されている。ここで、第1キャビネット部品(101)及び第3キャビネット部品(103)は合成樹脂製であるのに対し、第2キャビネット部品(102)はアルミニウム製である。
【0022】
図7に示す様に、シャーシ(5)は、第1筐体(1)の上部の内部領域に固定された上シャーシ部(51)を有している。該上シャーシ部(51)は、図8に示す様に、第1枠体(511)と第2枠体(512)とを互いに接合して構成されている。ここで、第1枠体(511)及び第2枠体(512)は合成樹脂製である。
【0023】
図7に示す様に、第1筐体(1)の上部の内部領域には、上記撮影レンズ(11)を具えた撮像ユニット(6)が配備されている。該撮像ユニット(6)は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ(60)を具え、CMOSイメージセンサ(60)には、銅箔(70)が接続されている。尚、該CMOSイメージセンサ(60)からは、撮像ユニット(6)の駆動時に大量の熱が発生することになる。
【0024】
図9に示す様に、撮像ユニット(6)は、上シャーシ部(51)を構成する第1枠体(511)及び第2枠体(512)に嵌め込まれている。ここで、図8に示す様に、撮像ユニット(6)には、上面(62)に2つの係合部(64)(64)が突設されると共に、下面(63)に1つの係合部(64)が突設されている。一方、第1枠体(511)と第2枠体(512)との接合面(511a)(512a)には、各係合部(64)に対応して一対の溝部(651)(652)が互いに対向して凹設されている。そして、図10に示す様に両枠体(511)(512)を接合した状態において、各係合部(64)が係合すべき係合受け部(65)が、該係合部に対応する一対の溝部(651)(652)により構成される。
【0025】
上記ビデオカメラの組み立て工程において、第1枠体(511)と第2枠体(512)とが、撮像ユニット(6)の各係合部(64)を該係合部(64)に対応する一対の溝部(651)(652)に嵌合させて接合される。これにより、撮像ユニット(6)の各係合部(64)が、該係合部(64)に対応する係合受け部(65)に係合し、その結果、撮像ユニット(6)が上シャーシ部(51)に取り付けられることになる。
【0026】
第1筐体(1)の上部の内部領域には更に、図7に示す様に、撮像ユニット(6)のCMOSイメージセンサ(60)から生じる熱を第1筐体(1)の外部に放出する放熱部材(7)が配備されている。尚、放熱部材(7)は銅製である。
【0027】
図8及び図9に示す様に、放熱部材(7)には、該放熱部材(7)を屈曲変形させることにより、平坦部(71)と、該平坦部(71)の外縁から拡がって表面が湾曲した湾曲部(72)とが形成されており、該湾曲部(72)は、図7に示す様に、第2キャビネット部品(102)の内面の少なくとも一部の領域に沿うと共に該領域に近接している。
【0028】
放熱部材(7)は、図10に示す様に第1枠体(511)に取り付けられており、放熱部材(7)の平坦部(71)及び湾曲部(72)の裏面には、第1枠体(511)の一部が接触している。具体的には、図8に示す様に、第1枠体(511)は、その枠本体(53)の外周面に複数のリブ(52)〜(52)を形成して構成されており、各リブ(52)は、図7に示す様に、その先端面が放熱部材(7)の湾曲部(72)の裏面に沿う形状を有している。そして、放熱部材(7)の平坦部(71)の裏面には第1枠体(511)の枠本体(53)が当接し、放熱部材(7)の湾曲部(72)の裏面には各リブ(52)の先端面が当接している。
【0029】
図9に示す様に、放熱部材(7)の平坦部(71)には開口(710)が形成されており、該開口(710)の内側に撮像ユニット(6)が配置されている。そして、図7に示す様に、CMOSイメージセンサ(60)に接続されている銅箔(70)が、放熱部材(7)に接続されている。従って、CMOSイメージセンサ(60)から生じた熱は、銅箔(70)を通じて放熱部材(7)へ効率良く伝達される。
【0030】
上記ビデオカメラにおいては、CMOSイメージセンサ(60)から生じた熱が、放熱部材(7)を通じて第1筐体(1)の外部に放出される。従って、過熱によるCMOSイメージセンサ(60)の破損が防止されることになる。
【0031】
更に、上記ビデオカメラにおいては、第1筐体(1)の第2キャビネット部品(102)に大きな押圧力が加わった場合、第2キャビネット部品(102)が変形して該第2キャビネット部品(102)が放熱部材(7)に押し付けられることになる。ここで、放熱部材(7)の裏面には上シャーシ部(51)(具体的には第1枠体(511))の一部が接触し、該上シャーシ部(51)は第1筐体(1)の上部の内部領域に固定されている。従って、放熱部材(7)は、変形した第2キャビネット部品(102)を受け止めることが出来る。又、放熱部材(7)は、第2キャビネット部品(102)の内面に近接して拡がっている。従って、第2キャビネット部品(102)の変形量は小さくて済む。よって、第2キャビネット部品(102)に大きな押圧力が加わって該第2キャビネット部品(102)が変形した場合でも、その変形は弾性的な変形で済み、その結果、第2キャビネット部品(102)が塑性変形することが防止されることになる。
【0032】
しかも、放熱部材(7)は、第2キャビネット部品(102)の内面の少なくとも一部の領域に沿って拡がっている。従って、第2キャビネット部品(102)に加わった押圧力は、放熱部材(7)によって広い範囲で受け止められることになる。
【0033】
よって、上記ビデオカメラによれば、該ビデオカメラを構成する部品数を削減しつつ、放熱性と第2キャビネット部品(102)の剛性の両性能を高めることが出来る。
【0034】
更に、上記ビデオカメラにおいては、放熱部材(7)に、該放熱部材(7)を屈曲変形させて平坦部(71)と湾曲部(72)とが形成されている。この様に平坦部(71)と湾曲部(72)とを組み合わせることにより、放熱部材(7)の剛性が高まることになる。
【0035】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、上記ビデオカメラは、放熱部材(7)が第1筐体(1)の内面(具体的には第2キャビネット部品(102)の内面)に接触した構成を有していてもよい。又、上記ビデオカメラにおいて、放熱部材(7)の平坦部(71)も又、湾曲部(72)と同様、第1筐体(1)の内面(具体的には第2キャビネット部品(102)の内面)に近接又は接触していてもよい。
【0036】
更に、放熱部材(7)の形状及び設置箇所は、上記実施形態に限られるものではない。放熱部材(7)の形状及び設置箇所には、様々な形状及び設置箇所を採用することが出来る。
【0037】
更に又、上記ビデオカメラに採用した各種構成は、CMOSイメージセンサ(60)を具えたビデオカメラに限らず、電子部品を具えた種々の電子機器に適用することが出来る。
【符号の説明】
【0038】
(1) 第1筐体
(2) 第2筐体
(3) 2軸ヒンジ機構
(4) 把持部
(5) シャーシ
(51) 上シャーシ部
(60) CMOSイメージセンサ(電子部品)
(7) 放熱部材
(70) 銅箔
(71) 平坦部
(710) 開口
(72) 湾曲部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内に固定されたシャーシと、該シャーシに設置された電子部品と、該電子部品から生じる熱を筐体外部に放出する放熱部材とを具えた電子機器において、前記放熱部材は、前記筐体の内面の少なくとも一部の領域に沿うと共に該領域に近接又は接触して拡がっており、該放熱部材の裏面には、前記シャーシの一部が接触していることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記放熱部材には、該放熱部材を屈曲変形させることにより、平坦部と、該平坦部の外縁から拡がって表面が湾曲した湾曲部とが形成されており、該平坦部及び/又は湾曲部が、前記筐体の内面の前記領域に沿うと共に該領域に近接又は接触している請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記放熱部材には開口が形成されており、該開口の内側に前記電子部品が配置されている請求項1又は請求項2に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−138912(P2011−138912A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−297715(P2009−297715)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】