電子機器
【課題】マイクホルダの保持構造を簡略化すると共に電子回路基板上にマイクホルダの保持部材が配置されないようにして、電子機器の小型化及び電子回路基板の実装効率の向上を図る。
【解決手段】マイク素子17を保持する弾性部材からなるマイクホルダ18は、マイク素子17を保持して電子回路基板20に配置されるホルダ本体18aと、ホルダ本体18aから電子回路基板20の外側に延びるフランジ部18iとを備える。フランジ部18iには、マイクホルダ20を位置決めする穴部18jが形成され、ホルダ本体18aとフランジ部18iとの間には、電子回路基板20の端面部20cに対してマイクホルダ18を位置決めする段差部18dが形成される。ホルダ本体18aは、マイクホルダ18が穴部18j及び段差部18dで位置決めされた状態でフロントカバーと電子回路基板20との間に圧縮状態で保持される。
【解決手段】マイク素子17を保持する弾性部材からなるマイクホルダ18は、マイク素子17を保持して電子回路基板20に配置されるホルダ本体18aと、ホルダ本体18aから電子回路基板20の外側に延びるフランジ部18iとを備える。フランジ部18iには、マイクホルダ20を位置決めする穴部18jが形成され、ホルダ本体18aとフランジ部18iとの間には、電子回路基板20の端面部20cに対してマイクホルダ18を位置決めする段差部18dが形成される。ホルダ本体18aは、マイクホルダ18が穴部18j及び段差部18dで位置決めされた状態でフロントカバーと電子回路基板20との間に圧縮状態で保持される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置や携帯電話機等、外部の音声を録音するためのマイク部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電子機器においては、機器の小型化及び電子回路基板の実装効率の向上を図るため、マイク部材を保持したマイクホルダを電子回路基板に当接させるように配置したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開11−041682号公報:図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、マイクホルダを外装カバーに形成した複数のリブに圧入して保持しているため、マイクホルダの保持構造が複雑になり、しかも、複数のリブが電子回路基板上に配置されることになるため、電子回路基板上の実装効率が低下する。
【0005】
そこで、本発明は、マイクホルダの保持構造を簡略化すると共に電子回路基板上にマイクホルダの保持部材が配置されないようにして、電子機器の小型化及び電子回路基板の実装効率の向上を図ることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、マイク部材を保持する弾性部材からなるマイクホルダが電子回路基板と外装カバーとの間に配置される電子機器であって、前記マイクホルダは、前記マイク部材を保持して前記電子回路基板に配置される本体と、該本体から前記電子回路基板の外側に延びる延設部とを備え、該延設部には、前記マイクホルダを位置決めする第1の位置決め部が形成され、前記本体と前記延設部との間には、前記電子回路基板の端面部に対して前記マイクホルダを位置決めする第2の位置決め部が形成され、前記本体は、前記マイクホルダが前記第1の位置決め部及び前記第2の位置決め部で位置決めされた状態で前記外装カバーと前記電子回路基板との間に圧縮された状態で保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マイクホルダの保持構造を簡略化すると共に電子回路基板上にマイクホルダを保持する保持部材が配置されないようにしているので、電子機器の小型化及び電子回路基板の実装効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面から見た外観斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラを背面から見た外観斜視図である。
【図3】デジタルカメラの正面側のフロントカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】デジタルカメラの正面図である。
【図5】図4のA−A線断面拡大図である。
【図6】マイクホルダの平面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】マイクホルダの底面図である。
【図9】マイクホルダにマイク素子を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図10】マイクホルダが電子回路基板及び電池ボックスに対して位置決めされる前の状態を示す斜視図である。
【図11】マイクホルダが電子回路基板及び電池ボックスに対して位置決めされた状態を示す平面図である。
【図12】図11のC−C線断面図である。
【図13】図11のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面から見た外観斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラ1は、上面にパワーボタン2、レリーズボタン3及びモードレバー4が配置され、正面にレンズ鏡筒5、ストロボ光源6及び補助光源8が配置されている。
【0012】
パワーボタン2は、デジタルカメラ1の電源のオン/オフの切り替えを行う。レリーズボタン3は、2段階の押しボタン構成とされている。レリーズボタン3の半押し状態では、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理が行われる。レリーズボタン3の全押し状態では、撮像部からの信号の読み出しからSD等の記録媒体に画像データを書き込むまでの一連の撮像処理の動作が開始される。
【0013】
ここで、撮像部は、光学像を電気信号に変換するCCDセンサやCMOSセンサ等で構成される。撮影時には、レンズ鏡筒5のバリア5aが開き、不図示の複数のレンズ部を透過した光学像が撮像部に取り込まれることになる。撮像部から出力されたアナログ信号は、A/D変換器によりデジタル信号に変換された後、各種画像処理を経て記録媒体に画像データが書き込まれる。
【0014】
ストロボ光源6は、夜間や暗所での撮影時に発光し、撮影を補助する。また、補助光源8は、暗所での撮影時に発光することでAF動作を補助したり、セルフタイマー使用時に発光することで被写体を確認したりするために用いられ、更には赤目緩和を目的とした発光にも使用される。
【0015】
モードレバー4は、各種モード切り替え、例えばストロボ発光の有無や適正な露出値等を自動で設定し静止画を撮影するオートモードや、動画撮影モード、ユーザの設定によりいくつかのパラメータを変更できるマニュアルモードの切り替えを行う。また、動画撮影モードでは、フロントカバー16に形成された穴部16aを通じて、該穴部16aの背面側に配置されたマイク素子17(図3参照)により外部の音声を録音することが可能となっている。フロントカバー16は、本発明の外装カバーの一例に相当する。
【0016】
図2は、図1に示すデジタルカメラを背面から見た外観斜視図である。図2において、表示部9には、撮影時のライブ画像や、再生時にSDカード等の記録媒体に記録された画像が表示される。撮影モード/再生モードの切り替えは、再生ボタン12を押すことで可能となる。ディスプレイボタン14では、表示部9に表示される画像情報の切り替えを行うことができる。メニューボタン15は、各種設定値を変更するメニュー画面に切り替えるためのボタンである。メニュー画面での各種設定値の変更は、十字ボタン10を用いてメニュー画面上で設定値を変更し、セットボタン11を押すことにより該設定値の変更が確定する。プリントボタン13は、撮影した画像を直接プリンタから出力する際に使用するボタンである。
【0017】
図3は、図1に示すデジタルカメラ1の正面側のフロントカバー16を取り外した状態を示す斜視図である。図3に示すように、フロントカバー16に形成された穴部16aの背面側には、本発明のマイク部材の一例に相当するマイク素子17と、該マイク素子17を保持する弾性部材からなるマイクホルダ18が配置されている。
【0018】
図4はデジタルカメラ1の正面図、図5は図4のA−A線断面拡大図である。図5に示すように、マイクホルダ18は、電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間に挟まれた状態で保持されている。ここで、本実施形態では、マイクホルダ18がフロントカバー16の内側面16bと当接する面を当接面18kとし、電子回路基板20の実装面20dと当接する面を当接面18hとする。
【0019】
動画等で音声を録音する場合、外部の音声は、穴部16aを通してマイク素子17に伝達される。ここで、本実施形態では、マイクホルダ18の厚みL1と、電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間隔L2との関係を、L1>L2としている。従って、弾性部材からなるマイクホルダ18は、圧縮された状態で電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間に保持される。これにより、マイク素子17とマイクホルダ18とフロントカバー16とで囲まれた空間Mが略密閉されることになり、外部の音声が穴部16aを通して効率よくマイク素子17まで伝達されることになる。
【0020】
次に、図6〜図8を参照して、マイクホルダ18の形状について説明する。図6はマイクホルダ18の平面図、図7は図6のB−B線断面図、図8はマイクホルダ18の底面図である。
【0021】
図6及び図7に示すように、マイクホルダ18は、有底筒状のホルダ本体18aと、ホルダ本体18aの周方向の一側から径方向外方に延びるフランジ部18iとを備える。フランジ部18iは、本発明の延設部の一例に相当する。
【0022】
ホルダ本体18aには、開口から底部側に向けて小径穴部18b、大径穴部18c及び小径穴部18gが順番に形成されている。大径穴部18cには、マイク素子17が嵌め込まれて保持される。小径穴部18gは、後述するマイク素子17にはんだ付けされるリード線と、そのはんだ部分の逃げ部とされている。
【0023】
フランジ部18iには、本発明の第1の位置決め部の一例に相当する穴部18jが形成されている。また、フランジ部18iの底部は、ホルダ本体18aの底部の一部と重なって該ホルダ本体18aの底部よりフロントカバー16から離間する側に突出している。これにより、ホルダ本体18aの底部とフランジ部18iの底部との間に本発明の第2の位置決め部の一例に相当する段差部18dが形成されている。また、ホルダ本体18aの底部において、フランジ部18iの基部の周方向の一側には、ホルダ本体18aの内部の小径穴部18gに連通する導出穴18eが形成されている。導出穴18eは、マイク素子17にはんだ付けされたリード線の電子回路基板20の外側への導出口となる。
【0024】
詳細は後述するが、マイクホルダ18は、図8に示すように、段差部18dに沿う線Xを境として、ホルダ本体18aの底部側の領域Pが電子回路基板20に配置され、フランジ部18iの底部側の領域Qが電子回路基板20の外側に配置される。
【0025】
図9は、マイクホルダ18にマイク素子17を取り付ける前の状態を示す斜視図である。図9に示すように、マイク素子17には、リード線19の一端がはんだ付けされ、リード線19の他端は、コネクタ部19aを形成して電子回路基板20のコネクタ部20a(図10参照)に接続される。なお、リード線19は、マイク素子17のアノードとカソードに各々はんだ付けされるが、以後の説明においては、アノードとカソードを含めてリード線19とする。
【0026】
マイク素子17をマイクホルダ18に取り付けるには、まず、コネクタ部19aをホルダ本体18aの小径穴部18bから該ホルダ本体18aの内部に挿入して導出穴18eから外部へ引き出す。次に、マイク素子17をホルダ本体18aの開口部18bから該ホルダ本体18aの内部に挿入して大径穴部18cに嵌め込む。これらの作業は、マイクホルダ18が弾性部材からなるため、マイクホルダ18の各々の穴形状がマイク素子17やコネクタ部19aより小さくても支障は無い。
【0027】
次に、図10〜図13を参照して、マイク素子17を保持したマイクホルダ18をデジタルカメラ1に取り付ける方法について説明する。
【0028】
図8で説明したように、マイクホルダ18は、段差部18dに沿う線Xを境として、ホルダ本体18aの底部側の領域Pが電子回路基板20の実装面20dに配置され、フランジ部18iの底部側の領域Qが電子回路基板20の外側に配置される。
【0029】
具体的には、図10において、電子回路基板20に形成された穴部20bが本発明の他の部材の一例に相当する電池ボックス21に設けられたボス21bに嵌合されて、電子回路基板20が電池ボックス21に対して位置決めされる。そして、マイクホルダ18のフランジ部18iに形成した穴部18jが電池ボックス21に設けられたボス21aに嵌合され、マイクホルダ18の段差部18dが電子回路基板20の端面部20cを当接する。これにより、マイクホルダ18が電子回路基板20及び電池ボックス21に対して位置決めされる。かかる位置決め状態においては、マイクホルダ18のホルダ本体18aは、電子回路基板20に形成された穴部20bと電池ボックス21に設けられたボス21bとの嵌合部上に配置される。
【0030】
図11はマイクホルダ18が電子回路基板20及び電池ボックス21に対して位置決めされた状態の平面図、図12は図11のC−C線断面図、図13は図11のD−D線断面図である。
【0031】
図12を用いて更に詳述すると、実際の組立工程においては、マイクホルダ18の穴部18jを中心として、段差部18dが電子回路基板20の端面部20cが当接するまで、即ちすき間Nがなくなるまでマイクホルダ18を回転させる。ただし、図12に示すように、マイクホルダ18の段差部18dが電子回路基板20の端面部20cに当接しない状態で電子回路基板20及び電池ボックス21に対してマイクホルダ18が位置決めされる場合もある。このすき間Nは、各々部品の製造における寸法のばらつきや、電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間でのマイクホルダ18の圧縮変形量を見込んだ量に設定してある。
【0032】
なお、本実施形態では、電子回路基板20の端面部20c及びマイクホルダ18の段差部18dの形状を平坦面としているが、これに限定されない。電子回路基板20の端面部20cとマイクホルダ18の段差部18dとが当接、或いはすき間Nを持ってマイクホルダ18が位置決めされる限りにおいて、電子回路基板20の端面部20c及びマイクホルダ18の段差部18dの形状は任意の形状を採用可能である。また、図8における境界Xも、前述のすき間Nの分だけ段差部18dの位置と異なる場合がある。
【0033】
ところで、マイク素子17が外部の音声を集音する際、不要なノイズを拾ってしまい、集音性能が低下してしまうことがある。これは、各種振動等で発生するノイズを、マイク素子17が直接拾ってしまったり、リード線19が電子回路基板20から拾ったノイズがマイク素子17に伝達されたりするためである。リード線19から伝達されるノイズは、マイク素子17に近いリード線19ほど大きくなる。なお、各種振動とは、例えば、電子回路基板20上の電子素子の振動や、ユーザの操作時に発生する振動のことである。
【0034】
これに対し、本実施形態では、図13に示すように、マイク素子17とリード線19の直下には、電子回路基板20との接触を避けるために、マイクホルダ18の底面部18fが存在する。これにより、電子回路基板20側の振動等を弾性部材であるマイクホルダ18が吸収し、マイク素子17がそのノイズを拾うことを防止することができる。
【0035】
また、図8で説明したように、電子回路基板20外に配置されるマイクホルダ18のフランジ部18iの基部の近傍に導出穴18eを設けてリード線19を引き出している。このため、図13において、ノイズを拾いやすいマイク素子17近傍のリード線19が電子回路基板20に接触する事無く電子回路基板20から離れて配置され、マイク素子17が拾うノイズを最小限に抑えることができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、電子回路基板20の外側で位置決めされたマイクホルダ18が電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間で圧縮された状態で保持される。これにより、マイクホルダ18の保持構造を簡略化すると共に電子回路基板20上にマイクホルダ18を保持するリブ等の保持部材が配置されないようにすることができ、デジタルカメラ1の小型化及び電子回路基板20の実装効率の向上を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、マイクホルダ18が位置決め状態においては、マイクホルダ18のホルダ本体18aは、電子回路基板20に形成された穴部20bと電池ボックス21に設けられたボス21bとの嵌合部上に配置される。これにより、電子部品を実装できない前記嵌合部上にマイクホルダ18が配置されることになるため、電子回路基板20の実装効率を低下させることなく、マイクホルダ18を電子回路基板20に配置することが可能となる。
【0038】
更に、本実施形態では、ノイズを拾いやすいマイク素子17近傍のリード線19が電子回路基板20に接触する事無く電子回路基板20から離れて配置されるため、マイク素子17が不要なノイズを拾う事無く、集音性能を高めることができる。
【0039】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 デジタルカメラ
17 マイク素子
18 マイクホルダ
18i フランジ部
18j 穴部
18d 段差部
18e 導出穴
19 リード線
20 電子回路基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばデジタルカメラ等の撮像装置や携帯電話機等、外部の音声を録音するためのマイク部材を備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の電子機器においては、機器の小型化及び電子回路基板の実装効率の向上を図るため、マイク部材を保持したマイクホルダを電子回路基板に当接させるように配置したものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開11−041682号公報:図4
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1では、マイクホルダを外装カバーに形成した複数のリブに圧入して保持しているため、マイクホルダの保持構造が複雑になり、しかも、複数のリブが電子回路基板上に配置されることになるため、電子回路基板上の実装効率が低下する。
【0005】
そこで、本発明は、マイクホルダの保持構造を簡略化すると共に電子回路基板上にマイクホルダの保持部材が配置されないようにして、電子機器の小型化及び電子回路基板の実装効率の向上を図ることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、マイク部材を保持する弾性部材からなるマイクホルダが電子回路基板と外装カバーとの間に配置される電子機器であって、前記マイクホルダは、前記マイク部材を保持して前記電子回路基板に配置される本体と、該本体から前記電子回路基板の外側に延びる延設部とを備え、該延設部には、前記マイクホルダを位置決めする第1の位置決め部が形成され、前記本体と前記延設部との間には、前記電子回路基板の端面部に対して前記マイクホルダを位置決めする第2の位置決め部が形成され、前記本体は、前記マイクホルダが前記第1の位置決め部及び前記第2の位置決め部で位置決めされた状態で前記外装カバーと前記電子回路基板との間に圧縮された状態で保持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、マイクホルダの保持構造を簡略化すると共に電子回路基板上にマイクホルダを保持する保持部材が配置されないようにしているので、電子機器の小型化及び電子回路基板の実装効率の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面から見た外観斜視図である。
【図2】図1に示すデジタルカメラを背面から見た外観斜視図である。
【図3】デジタルカメラの正面側のフロントカバーを取り外した状態を示す斜視図である。
【図4】デジタルカメラの正面図である。
【図5】図4のA−A線断面拡大図である。
【図6】マイクホルダの平面図である。
【図7】図6のB−B線断面図である。
【図8】マイクホルダの底面図である。
【図9】マイクホルダにマイク素子を取り付ける前の状態を示す斜視図である。
【図10】マイクホルダが電子回路基板及び電池ボックスに対して位置決めされる前の状態を示す斜視図である。
【図11】マイクホルダが電子回路基板及び電池ボックスに対して位置決めされた状態を示す平面図である。
【図12】図11のC−C線断面図である。
【図13】図11のD−D線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルカメラを正面から見た外観斜視図である。
【0011】
図1に示すように、本実施形態のデジタルカメラ1は、上面にパワーボタン2、レリーズボタン3及びモードレバー4が配置され、正面にレンズ鏡筒5、ストロボ光源6及び補助光源8が配置されている。
【0012】
パワーボタン2は、デジタルカメラ1の電源のオン/オフの切り替えを行う。レリーズボタン3は、2段階の押しボタン構成とされている。レリーズボタン3の半押し状態では、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、AWB(オートホワイトバランス)処理が行われる。レリーズボタン3の全押し状態では、撮像部からの信号の読み出しからSD等の記録媒体に画像データを書き込むまでの一連の撮像処理の動作が開始される。
【0013】
ここで、撮像部は、光学像を電気信号に変換するCCDセンサやCMOSセンサ等で構成される。撮影時には、レンズ鏡筒5のバリア5aが開き、不図示の複数のレンズ部を透過した光学像が撮像部に取り込まれることになる。撮像部から出力されたアナログ信号は、A/D変換器によりデジタル信号に変換された後、各種画像処理を経て記録媒体に画像データが書き込まれる。
【0014】
ストロボ光源6は、夜間や暗所での撮影時に発光し、撮影を補助する。また、補助光源8は、暗所での撮影時に発光することでAF動作を補助したり、セルフタイマー使用時に発光することで被写体を確認したりするために用いられ、更には赤目緩和を目的とした発光にも使用される。
【0015】
モードレバー4は、各種モード切り替え、例えばストロボ発光の有無や適正な露出値等を自動で設定し静止画を撮影するオートモードや、動画撮影モード、ユーザの設定によりいくつかのパラメータを変更できるマニュアルモードの切り替えを行う。また、動画撮影モードでは、フロントカバー16に形成された穴部16aを通じて、該穴部16aの背面側に配置されたマイク素子17(図3参照)により外部の音声を録音することが可能となっている。フロントカバー16は、本発明の外装カバーの一例に相当する。
【0016】
図2は、図1に示すデジタルカメラを背面から見た外観斜視図である。図2において、表示部9には、撮影時のライブ画像や、再生時にSDカード等の記録媒体に記録された画像が表示される。撮影モード/再生モードの切り替えは、再生ボタン12を押すことで可能となる。ディスプレイボタン14では、表示部9に表示される画像情報の切り替えを行うことができる。メニューボタン15は、各種設定値を変更するメニュー画面に切り替えるためのボタンである。メニュー画面での各種設定値の変更は、十字ボタン10を用いてメニュー画面上で設定値を変更し、セットボタン11を押すことにより該設定値の変更が確定する。プリントボタン13は、撮影した画像を直接プリンタから出力する際に使用するボタンである。
【0017】
図3は、図1に示すデジタルカメラ1の正面側のフロントカバー16を取り外した状態を示す斜視図である。図3に示すように、フロントカバー16に形成された穴部16aの背面側には、本発明のマイク部材の一例に相当するマイク素子17と、該マイク素子17を保持する弾性部材からなるマイクホルダ18が配置されている。
【0018】
図4はデジタルカメラ1の正面図、図5は図4のA−A線断面拡大図である。図5に示すように、マイクホルダ18は、電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間に挟まれた状態で保持されている。ここで、本実施形態では、マイクホルダ18がフロントカバー16の内側面16bと当接する面を当接面18kとし、電子回路基板20の実装面20dと当接する面を当接面18hとする。
【0019】
動画等で音声を録音する場合、外部の音声は、穴部16aを通してマイク素子17に伝達される。ここで、本実施形態では、マイクホルダ18の厚みL1と、電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間隔L2との関係を、L1>L2としている。従って、弾性部材からなるマイクホルダ18は、圧縮された状態で電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間に保持される。これにより、マイク素子17とマイクホルダ18とフロントカバー16とで囲まれた空間Mが略密閉されることになり、外部の音声が穴部16aを通して効率よくマイク素子17まで伝達されることになる。
【0020】
次に、図6〜図8を参照して、マイクホルダ18の形状について説明する。図6はマイクホルダ18の平面図、図7は図6のB−B線断面図、図8はマイクホルダ18の底面図である。
【0021】
図6及び図7に示すように、マイクホルダ18は、有底筒状のホルダ本体18aと、ホルダ本体18aの周方向の一側から径方向外方に延びるフランジ部18iとを備える。フランジ部18iは、本発明の延設部の一例に相当する。
【0022】
ホルダ本体18aには、開口から底部側に向けて小径穴部18b、大径穴部18c及び小径穴部18gが順番に形成されている。大径穴部18cには、マイク素子17が嵌め込まれて保持される。小径穴部18gは、後述するマイク素子17にはんだ付けされるリード線と、そのはんだ部分の逃げ部とされている。
【0023】
フランジ部18iには、本発明の第1の位置決め部の一例に相当する穴部18jが形成されている。また、フランジ部18iの底部は、ホルダ本体18aの底部の一部と重なって該ホルダ本体18aの底部よりフロントカバー16から離間する側に突出している。これにより、ホルダ本体18aの底部とフランジ部18iの底部との間に本発明の第2の位置決め部の一例に相当する段差部18dが形成されている。また、ホルダ本体18aの底部において、フランジ部18iの基部の周方向の一側には、ホルダ本体18aの内部の小径穴部18gに連通する導出穴18eが形成されている。導出穴18eは、マイク素子17にはんだ付けされたリード線の電子回路基板20の外側への導出口となる。
【0024】
詳細は後述するが、マイクホルダ18は、図8に示すように、段差部18dに沿う線Xを境として、ホルダ本体18aの底部側の領域Pが電子回路基板20に配置され、フランジ部18iの底部側の領域Qが電子回路基板20の外側に配置される。
【0025】
図9は、マイクホルダ18にマイク素子17を取り付ける前の状態を示す斜視図である。図9に示すように、マイク素子17には、リード線19の一端がはんだ付けされ、リード線19の他端は、コネクタ部19aを形成して電子回路基板20のコネクタ部20a(図10参照)に接続される。なお、リード線19は、マイク素子17のアノードとカソードに各々はんだ付けされるが、以後の説明においては、アノードとカソードを含めてリード線19とする。
【0026】
マイク素子17をマイクホルダ18に取り付けるには、まず、コネクタ部19aをホルダ本体18aの小径穴部18bから該ホルダ本体18aの内部に挿入して導出穴18eから外部へ引き出す。次に、マイク素子17をホルダ本体18aの開口部18bから該ホルダ本体18aの内部に挿入して大径穴部18cに嵌め込む。これらの作業は、マイクホルダ18が弾性部材からなるため、マイクホルダ18の各々の穴形状がマイク素子17やコネクタ部19aより小さくても支障は無い。
【0027】
次に、図10〜図13を参照して、マイク素子17を保持したマイクホルダ18をデジタルカメラ1に取り付ける方法について説明する。
【0028】
図8で説明したように、マイクホルダ18は、段差部18dに沿う線Xを境として、ホルダ本体18aの底部側の領域Pが電子回路基板20の実装面20dに配置され、フランジ部18iの底部側の領域Qが電子回路基板20の外側に配置される。
【0029】
具体的には、図10において、電子回路基板20に形成された穴部20bが本発明の他の部材の一例に相当する電池ボックス21に設けられたボス21bに嵌合されて、電子回路基板20が電池ボックス21に対して位置決めされる。そして、マイクホルダ18のフランジ部18iに形成した穴部18jが電池ボックス21に設けられたボス21aに嵌合され、マイクホルダ18の段差部18dが電子回路基板20の端面部20cを当接する。これにより、マイクホルダ18が電子回路基板20及び電池ボックス21に対して位置決めされる。かかる位置決め状態においては、マイクホルダ18のホルダ本体18aは、電子回路基板20に形成された穴部20bと電池ボックス21に設けられたボス21bとの嵌合部上に配置される。
【0030】
図11はマイクホルダ18が電子回路基板20及び電池ボックス21に対して位置決めされた状態の平面図、図12は図11のC−C線断面図、図13は図11のD−D線断面図である。
【0031】
図12を用いて更に詳述すると、実際の組立工程においては、マイクホルダ18の穴部18jを中心として、段差部18dが電子回路基板20の端面部20cが当接するまで、即ちすき間Nがなくなるまでマイクホルダ18を回転させる。ただし、図12に示すように、マイクホルダ18の段差部18dが電子回路基板20の端面部20cに当接しない状態で電子回路基板20及び電池ボックス21に対してマイクホルダ18が位置決めされる場合もある。このすき間Nは、各々部品の製造における寸法のばらつきや、電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間でのマイクホルダ18の圧縮変形量を見込んだ量に設定してある。
【0032】
なお、本実施形態では、電子回路基板20の端面部20c及びマイクホルダ18の段差部18dの形状を平坦面としているが、これに限定されない。電子回路基板20の端面部20cとマイクホルダ18の段差部18dとが当接、或いはすき間Nを持ってマイクホルダ18が位置決めされる限りにおいて、電子回路基板20の端面部20c及びマイクホルダ18の段差部18dの形状は任意の形状を採用可能である。また、図8における境界Xも、前述のすき間Nの分だけ段差部18dの位置と異なる場合がある。
【0033】
ところで、マイク素子17が外部の音声を集音する際、不要なノイズを拾ってしまい、集音性能が低下してしまうことがある。これは、各種振動等で発生するノイズを、マイク素子17が直接拾ってしまったり、リード線19が電子回路基板20から拾ったノイズがマイク素子17に伝達されたりするためである。リード線19から伝達されるノイズは、マイク素子17に近いリード線19ほど大きくなる。なお、各種振動とは、例えば、電子回路基板20上の電子素子の振動や、ユーザの操作時に発生する振動のことである。
【0034】
これに対し、本実施形態では、図13に示すように、マイク素子17とリード線19の直下には、電子回路基板20との接触を避けるために、マイクホルダ18の底面部18fが存在する。これにより、電子回路基板20側の振動等を弾性部材であるマイクホルダ18が吸収し、マイク素子17がそのノイズを拾うことを防止することができる。
【0035】
また、図8で説明したように、電子回路基板20外に配置されるマイクホルダ18のフランジ部18iの基部の近傍に導出穴18eを設けてリード線19を引き出している。このため、図13において、ノイズを拾いやすいマイク素子17近傍のリード線19が電子回路基板20に接触する事無く電子回路基板20から離れて配置され、マイク素子17が拾うノイズを最小限に抑えることができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態では、電子回路基板20の外側で位置決めされたマイクホルダ18が電子回路基板20の実装面20dとフロントカバー16の内側面16bとの間で圧縮された状態で保持される。これにより、マイクホルダ18の保持構造を簡略化すると共に電子回路基板20上にマイクホルダ18を保持するリブ等の保持部材が配置されないようにすることができ、デジタルカメラ1の小型化及び電子回路基板20の実装効率の向上を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態では、マイクホルダ18が位置決め状態においては、マイクホルダ18のホルダ本体18aは、電子回路基板20に形成された穴部20bと電池ボックス21に設けられたボス21bとの嵌合部上に配置される。これにより、電子部品を実装できない前記嵌合部上にマイクホルダ18が配置されることになるため、電子回路基板20の実装効率を低下させることなく、マイクホルダ18を電子回路基板20に配置することが可能となる。
【0038】
更に、本実施形態では、ノイズを拾いやすいマイク素子17近傍のリード線19が電子回路基板20に接触する事無く電子回路基板20から離れて配置されるため、マイク素子17が不要なノイズを拾う事無く、集音性能を高めることができる。
【0039】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0040】
1 デジタルカメラ
17 マイク素子
18 マイクホルダ
18i フランジ部
18j 穴部
18d 段差部
18e 導出穴
19 リード線
20 電子回路基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイク部材を保持する弾性部材からなるマイクホルダが電子回路基板と外装カバーとの間に配置される電子機器であって、
前記マイクホルダは、前記マイク部材を保持して前記電子回路基板に配置される本体と、該本体から前記電子回路基板の外側に延びる延設部とを備え、該延設部には、前記マイクホルダを位置決めする第1の位置決め部が形成され、前記本体と前記延設部との間には、前記電子回路基板の端面部に対して前記マイクホルダを位置決めする第2の位置決め部が形成され、前記本体は、前記マイクホルダが前記第1の位置決め部及び前記第2の位置決め部で位置決めされた状態で前記外装カバーと前記電子回路基板との間に圧縮された状態で保持される、ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2の位置決め部は、前記本体と前記延設部との間に形成された段差部である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記本体の前記延設部の基部の近傍には、該本体の内部に連通して、前記マイク部材に一端が接続されたリード線の他端を前記電子回路基板の外側に導出するための導出穴が形成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子回路基板は、他の部材に対してボスと穴部との嵌合により位置決めされ、前記本体は、前記嵌合部に配置される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項1】
マイク部材を保持する弾性部材からなるマイクホルダが電子回路基板と外装カバーとの間に配置される電子機器であって、
前記マイクホルダは、前記マイク部材を保持して前記電子回路基板に配置される本体と、該本体から前記電子回路基板の外側に延びる延設部とを備え、該延設部には、前記マイクホルダを位置決めする第1の位置決め部が形成され、前記本体と前記延設部との間には、前記電子回路基板の端面部に対して前記マイクホルダを位置決めする第2の位置決め部が形成され、前記本体は、前記マイクホルダが前記第1の位置決め部及び前記第2の位置決め部で位置決めされた状態で前記外装カバーと前記電子回路基板との間に圧縮された状態で保持される、ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第2の位置決め部は、前記本体と前記延設部との間に形成された段差部である、ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記本体の前記延設部の基部の近傍には、該本体の内部に連通して、前記マイク部材に一端が接続されたリード線の他端を前記電子回路基板の外側に導出するための導出穴が形成される、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子回路基板は、他の部材に対してボスと穴部との嵌合により位置決めされ、前記本体は、前記嵌合部に配置される、ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−146900(P2011−146900A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−5855(P2010−5855)
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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