説明

電子機器

【課題】少なくとも一方が金属製の筐体本体を備え、互いに回動可能な2つの筐体を有する電子機器において、磁気を用いた正確な折りたたみ状態の検知ができるものを得ること。
【解決手段】第1の筐体1と第2の筐体2とがヒンジ機構により回動可能に取り付けられていて、前記第1の筐体1を構成する金属製の筐体本体10の、前記第1の筐体1の前記ヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に面する端面12aの外側に付加されたマグネット5と、前記第2の筐体2内であって前記第1の筐体1が折りたたまれたときに前記マグネット5と相対する位置に配置された磁気検出素子7を備え、前記マグネット5は、前記筐体本体10の前記端面12ちから所定の距離を隔てて配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ機構により回動可能に取り付けられている電子機器に関し、特に、金属製の筐体本体を有する第1の筐体が折りたたまれていることを確実に検出できる構造を有した電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ノート型パソコンやPDA(Personal Digital Assistant)、携帯用DVDプレーヤーや電子辞書、ゲーム機や携帯電話などのポータブル機器として、表示部と機器本体部とを別の筐体として形成し、2つの筐体をヒンジ機構で回動可能として接続する構造が多く採用されている。表示部を機器本体部に対してヒンジ機構により回動可能とすることで、表示部を折りたたむことで携帯時の機器サイズを小さく保ったまま、表示部の表示画面面積を大きくすることができる。また、折りたたんだときに表示部の表示画面と機器本体部表面の操作ボタン等を保護することもできる。
【0003】
このような、ヒンジ機構で折りたたみ可能とされた電子機器において、ユーザが機器の使用を中止した場合にこれを検出し、例えば電源モードを待機モードとするなどの機能を持たせるために、表示部が機器本体部に対して折りたたまれている状態であるか否かを検出する機能を備えた電子機器が提案されている。
【0004】
上記のように、ヒンジ機構により折りたたむことができる電子機器の開閉を検出するための方法としては、一方の筐体に形成された突起と他方の筐体のこれに対応する位置に配置された機械的スイッチとを嵌合させて、機器が折りたたまれたときにスイッチが押し込まれることで折りたたみ状態を検出する方法がある。また、マグネットとホール素子などの磁気検出素子とをそれぞれの筐体内で、かつ、機器が折りたたまれたときに両者が相対する位置に配置して、磁気検出素子でマグネットの磁力を検出して機器が折りたたみ状態であると判断する方法がある。
【0005】
例えば特許文献1には、機器の長手方向と短手方向との双方に対して回動可能な、いわゆる2軸開閉タイプの携帯電話において、長手方向と短手方向との開閉検出を誤動作なく行うために、2つの軸での回動を検出する2組のマグネットとホール素子との配置位置を規定したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−055290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ポータブル型の電子機器として、周囲温度の変化が大きな環境下での使用や外部からの衝撃が加わり易い状況での使用を想定して、回動可能に取り付けられた2つの筐体のうちの少なくともいずれか一方を金属製の筐体とするものがある。樹脂に比べて高い強度を有する金属製の筐体内に収容することで、表示パネルなどを外部から加わる力や環境温度の変化による変形から守るものである。
【0008】
このように金属製の筐体を用いた電子機器の場合、筐体が磁気をシールドしてしまうため、上記した磁石とホール素子とをそれぞれの機器内に配置して機器の折りたたみ状態を検出する手法を樹脂製の筐体の場合と同じように採用することができない。また、一方の筐体に設けた突起で他方の筐体に設けた機械的スイッチを押圧する方法では、折りたたまれていない状態でスイッチが押されてしまう場合や、折りたたんだ状態で正しくスイッチが押されない場合などの誤動作が多く、磁気を用いた検出方法に比べてその精度は高くはなかった。
【0009】
本発明はこのような従来技術の課題を解決するものであり、少なくとも一方が金属製の筐体本体を備え、互いに回動可能な2つの筐体を有する電子機器において、磁気を用いた正確な折りたたみ状態の検知ができるものを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の電子機器は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ機構により回動可能に取り付けられていて、前記第1の筐体を構成する金属製の筐体本体の、前記第1の筐体の前記ヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に面する端面の外側に付加されたマグネットと、前記第2の筐体内であって前記第1の筐体が折りたたまれたときに前記マグネットと相対する位置に配置された磁気検出素子を備え、前記マグネットは、前記筐体本体の前記端面から所定の距離を隔てて配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電子機器は、第1の筐体に備えられたマグネットが、第1の筐体を構成する金属製の筐体本体のヒンジ機構から遠い側の端面から所定の距離を隔てて配置されているため、マグネットから生じる磁気を金属製の筐体本体でシールドされることなく、第2の筐体に配置した磁気検出素子で検出することができる。このため、金属製の筐体本体を備えた電子機器の折りたたみ状態を、磁界を用いて正確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態にかかるノートパソコンの全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態にかかるノートパソコンの表示部の概略構成を示す分解斜視図である。
【図3】本発明の実施形態にかかるノートパソコンの表示部の金属製の筐体本体の構成を示す部分拡大平面図である。
【図4】本発明の実施形態にかかるノートパソコンの表示部のカバー部材の構成を示す部分拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の電子機器は、第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ機構により回動可能に取り付けられていて、前記第1の筐体を構成する金属製の筐体本体の、前記第1の筐体の前記ヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に面する端面の外側に付加されたマグネットと、前記第2の筐体内であって前記第1の筐体が折りたたまれたときに前記マグネットと相対する位置に配置された磁気検出素子を備え、前記マグネットは、前記筐体本体の前記端面から所定の距離を隔てて配置されている。
【0014】
このように本発明の電子機器は、第2の筐体に回動可能に取り付けられた第1の筐体を構成する金属製の筐体本体の、ヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に面する端面から所定の距離を隔てた位置に配置されたマグネットと、第2の筐体においてマグネットに相対する位置に配置された磁気検出素子を備えている。このため、マグネットから生じる磁気が金属製の筐体本体にシールドされることなく、機器が折り曲げられているか否かを第2の筐体の磁気検出素子で正確に検出することかできる。
【0015】
上記本発明にかかる電子機器では、前記マグネットは、前記筐体本体に固着されて前記第1の筐体を構成する樹脂製のカバー部材に形成されたマグネットホルダ内に収容されることが好ましい。このようにすることで、簡易な構成で、金属製の筐体本体の外側の所定の位置にマグネットを配置することができる。また、前記カバー部材が前記筐体本体に固着されたとき、前記筐体本体の前記端面側に位置する前記マグネットホルダの側壁が、前記所定の距離に相当する厚さを有していることが好ましい。このようにすることで、金属製の筐体本体の端面とマグネットとの間の所定の距離を、簡易な構成で正確に確保することができる。
【0016】
さらに、前記マグネットが配置されている位置よりも、さらに前記第1の筐体の前記ヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に近い位置に、前記マグネットから所定の距離を隔てて無線通信を行うためのアンテナ素子が配置されていることが好ましい。このようにすることで、金属製の筐体本体の影響と、折りたたみ検出用に配置されたマグネットの影響をともに回避して、高いアンテナ特性を得られる位置にアンテナ素子を配置することができる。
【0017】
以下、本発明にかかる電子機器の実施形態として、第1の筐体が内部に表示パネルとして透過型の液晶パネルを備えて表示部を構成し、かつ、第2の筐体がパソコン本体であるノートパソコンを例示して説明する。
【0018】
図1は、本実施形態のノートパソコンの全体構成を示す斜視図である。
【0019】
本実施形態のノートパソコン100は、第1の筐体である表示部1と、第2の筐体であるパソコン本体2とが、ヒンジ部カバー3内に収容された図示しないヒンジ機構によって回動可能な状態で取り付けられている。
【0020】
本実施形態のノートパソコン100におけるヒンジ機構は、その回動軸がパソコン本体2上面の少し上方側に位置するように、パソコン本体2の内部から上方に突出して設けられている。また、本実施形態のノートパソコン100では、パソコン本体2の左右両側に2つのヒンジ機構が配置されている。なお、本実施形態のノートパソコン100において、ヒンジ機構の配置位置やヒンジ機構の数に制約はなく、ヒンジ機構は1つでも3つ以上設けられていてもよい。また、ヒンジ機構の回動軸の位置についても制約はなく、回動軸がパソコン本体2の内部に埋め込まれたものや、パソコン本体2の上方側ではなく後方側に突出したもの、さらには2軸構成のヒンジ機構を有するものなど、さまざまな形態のヒンジ機構を採用することができる。
【0021】
表示部1は、金属製の筺体本体である表示部本体10の内部に表示パネルとしての液晶パネル4を収納していて、ノートパソコン100の不使用時にはパソコン本体2の蓋部となる。表示部1の表示部本体10内に収納された液晶パネル4としては、一例として通常のアクティブマトリクスタイプの液晶パネルを用いることができ、液晶パネル4は、液晶パネル4で画像表示を行うためのバックライトや駆動回路とともに一体化されて液晶モジュールを構成している。このように表示パネルとしては、現在周知の液晶パネルの構成をそのまま使用することができるため、液晶パネル4の構成についての詳細な説明は省略する。
【0022】
パソコン本体2の表面には、ノートパソコンとしての通常の構成として、キーボードやタッチパッド、ディスクドライブ装置の蓋部などが設けられている。また、パソコン本体2の内部には、CPUやメモリなどの回路構成や、充電式電池、各種ドライブ装置などが収納されている。これら、パソコン本体2の構成も、従来周知のノートパソコンの構成をそのまま適用できるものであることから、その詳細の説明は省略する。
【0023】
本実施形態のノートパソコン100では、ノートパソコン100の使用状態、すなわち、表示部1が開けられた状態で、表示部1におけるヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部である、液晶パネル4の表示画面の上側の端部近傍に、表示部1がパソコン本体2に対して折りたたまれた状態であるか否かを検出するためのマグネット5が配置されている。また、マグネット5よりもさらに表示部1の上側の端部に近い位置に、外部の無線LANシステムに接続して情報のやりとりを行うためのアンテナ素子であるアンテナモジュール6が配置されている。
【0024】
本実施形態のノートパソコン100では、ダイバーシティアンテナを形成するため、アンテナモジュール6が液晶パネル4の上部の左右に一つずつ配置されている。しかし、アンテナモジュール6の数について何らの制約はなく、アンテナモジュール6が一つの場合や、3つ以上設けられる場合も考えられる。
【0025】
表示部1の、折りたたみ状態を検出するためのマグネット5が配置されている部分、および、アンテナモジュール6が配置されている部分の液晶パネル4の表示面側は、樹脂製の前面カバー8で覆われている。
【0026】
また、表示部1がヒンジ機構により折りたたまれたときに、マグネット5と相対する位置となるパソコン本体2内に、マグネット5の磁気を検出することができる磁気検出素子であるホール素子7が配置されている。なお、本実施形態のノートパソコン100では、少なくともパソコン本体2の上面、すなわち、表示部1が折りたたまれたときに液晶パネル4と対向する側の表面は、磁気が貫通することのできる樹脂製の筐体が採用されている。
【0027】
図2は、本実施形態のノートパソコン100の表示部1の構成を説明するための分解斜視図である。
【0028】
本実施形態のノートパソコン100の表示部1は、内部に収容される液晶パネル4等を外力から保護することのできる堅牢性と、ポータブル機器としての軽量性を確保する観点からマグネシウム合金で形成された表示部本体10と、折りたたみ検出用のマグネット5とアンテナモジュール6とが配置されている部分を前面から覆う樹脂製の前面カバー8と、マグネット5を収容し、アンテナモジュール6配置部分を背面から覆う樹脂製のカバー部材9とを有している。そして、前面カバー8と、カバー部材9とが、前後から表示部本体10を挟むようにして固着されて、表示部1を形成している。なお、本実施形態のノートパソコン100では、外部からの衝撃を吸収することを目的として、エラストマー製のカバー部材9で表示部本体10背面側の左右両端部を全長にわたって覆っている。このため、表示部本体10の背面側の左右両端部分は、表示部本体10背面側の中央部分よりも一段低い段差部10aとなっていて、カバー部材9が表示部本体10に固着された状態でその背面が一つの連続した面となるように構成されている。
【0029】
なお、表示部1の金属製の表示部本体10は、上記例示したマグネシウム合金に限らず、アルミ合金など他の金属材料により構成することができる。また、表示部1の構成として上記例示した、前面カバー8とエラストマー製のカバー部材9とで表示部本体10を挟む構成は一例に過ぎず、上記以外の樹脂製材料を用いることや、他のパーツ構成で表示部1を形成することができることは言うまでもない。
【0030】
また、段差部10aの背面側表面には、アンテナモジュール6に接続されるアンテナ配線11が配置されている。なお、図2では、一方のカバー部材9と前面カバー8のみが取り外された状態となっているが、他方、すなわち、図2における左側に示されたカバー部材9、前面カバー8、および、表示部本体10の段差部1aの構成は、カバー部材9の内部にマグネット5が収容されていない点を除いて図2中右側に示した各部材の構成と同じである。
【0031】
図3は、本実施形態のノートパソコン100の、表示部本体10背面側のアンテナモジュール6が配置されている部分の近傍を示した部分拡大平面図である。また、図4は、カバー部材9の折りたたみ検出用マグネット5の配置部分の近傍を示した部分拡大平面図である。
【0032】
図3と図4とは、それぞれが互いに組み合わされることになる同じ領域の部分を示した図である。また、図4が、カバー部材9の内側部分の構成を示すために裏返した状態を示す図となっているため、図3と図4とはお互いに線対称の関係にあることになる。
【0033】
図3に示すように、アンテナモジュール6は、表示部本体10に形成された一対の固着用突起10bに両端がねじ止め等により固着されている。なお、図1および図2に示したように、表示部1を開いた状態において、アンテナモジュール6の前面側と上側とに相当する部分は、図3では図示しない前面カバー8で覆われる。このため、アンテナモジュール6は、前面カバー8の厚さ分だけ表示部1の端部から内側に後退した位置に配置されている。アンテナモジュール6の背面側、すなわち、表示部1においてヒンジ機構が配置されている側の一方の端部には、アンテナ配線11がはんだ付けされている。このアンテナ配線11は、図2で示したように、表示部本体10の段差部10aの背面側を通った後、図3では図示しないヒンジ部カバー3内を経由してパソコン本体2内の無線LAN基板と接続されている。
【0034】
マグネット5が配置されることになる部分に相当する表示部本体10の部分は、表示部本体10に形成された凹部12となっていて、この部分には金属製の筐体構造は存在していない。
【0035】
図4に示すカバー部材9は、表示部本体10に形成された段差部10aと凹部12とを覆うように形成されている。カバー部材9の内側には、枠状のマグネットホルダ21が形成されていて、マグネットホルダ21の内部にマグネット5が挿入、固定されている。
【0036】
カバー部材9が表示部本体10に組み合わされたとき、表示部本体10が配置される側に位置するマグネットホルダ21の側壁21aの外側が、表示部本体10に形成された凹部12における端面12a、すなわち、表示部1のヒンジ機構が形成されている側とは対向する側の端部に面する表示部本体10の端面に当接するようになっている。このため、図3に点線で示すように、マグネット5はマグネットホルダ21の側壁21aの厚み分だけ、表示部本体10の端面12aから所定の距離隔てられた状態で表示部本体10に形成された凹部12内に配置される。このように、マグネットホルダ21の側壁21aの厚みを所定の間隔Xとすることで、マグネット5を表示部本体10の端面12aから所定の間隔X隔てた状態で配置することができる。
【0037】
また、凹部12の凹みの大きさを適切なものとすることで、アンテナモジュール6とマグネット5との間に所定の距離Yが形成される。このように、本実施形態のノートパソコン100では、表示部1のヒンジ機構が形成されている側とは対向する側の端部に面する金属製の表示部本体10の端面12aから、所定の距離X隔てた位置にマグネット5が配置され、また、マグネット5よりもさらに表示部1のヒンジ機構が形成されている側とは対向する側の端部に近い、マグネット5から所定の距離Yを隔てた位置にアンテナモジュール6が配置される。
【0038】
このようにすることで、本実施形態のノートパソコン100では、液晶パネル4を収容する表示部1を構成する主要な筐体として金属製の筐体本体である表示部本体10を用いながら、表示部1のヒンジ機構が形成されている側とは対向する側の端部に面する金属製の表示部本体10の端面12aから、所定の距離を隔てた位置にマグネット5を配置することができる。このため、表示部1が折りたたまれたときに、パソコン本体2のマグネット5と相対する位置に配置されたホール素子7によって、表示部1が折りたたまれていることを確実に検出することができる。特に、マグネット5を、表示部1の中でヒンジ機構が配置されている側と対向する側の端部の近くに配置できるため、表示部1を開閉したときにマグネット5とホール素子7との距離が大きく変化するため、表示部1が開閉状態であるか否かの検出における誤差を小さくすることができる。
【0039】
また、マグネット5からさらに所定の距離隔てられた、表示部本体10から見た外側、すなわち、表示部1のヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に近い位置にアンテナモジュール6を配置しているため、マグネット5および表示部本体の10の金属筐体の影響を回避して、アンテナモジュール6の送受信感度を良好なものとすることかできる。
【0040】
なお、本実施形態のように、マグネット5とアンテナモジュール6とが比較的近い位置に配置される場合には、表示部本体10の側端面とマグネット5との距離Xが小さすぎると、マグネット5が金属製の表示部本体10と一体物としてアンテナモジュールのアンテナ特性に影響を与え、アンテナモジュール6の送受信感度等を大幅に低下させてしまう。このため、マグネット5と表示部本体10との間の間隔Xとして所定の値を確保して、マグネット5が近くに配置されていることによるアンテナ特性への影響を、アンテナ回路でキャンセルするなどの手段を用いて無視できるレベルに抑えることが必要となる。一方、マグネット5と表示部本体10の端面12aとの距離Xや、マグネット5とアンテナモジュール6との距離Yが大きすぎると、その部分は金属製の表示部本体10から突出する部分となるため、表示部1の全体の面積が大きくなってしまい小型化が求められるポータブル機器として好ましくない。
【0041】
以上の観点を考慮したXおよびYの具体的な数値としては、表示部1が備える液晶パネル4の大きさが14型クラスである場合に、一例として、表示部本体10の端面12aとマグネット5との間の所定距離Xを1〜2.5mm、マグネット5とアンテナモジュール6との間の所定距離Yを9〜12mmとすることができる。また、マグネット5の大きさやマグネット5が保有する磁力の強さは、パソコン本体2に収容されたホール素子7で検出できるレベルのものであることが必要となり、マグネット5とホール素子7とを隔てる表示部1の前面カバー8とパソコン本体2の上面の肉厚などによって適宜調整される。
【0042】
以上、本実施形態のノートパソコン100について、表示部1の折りたたみ状態を検出するマグネット5の近傍に、アンテナモジュール6を備えたものを例示して説明したが、本実施形態のノートパソコン100においてアンテナモジュール6は必須の構成要件ではない。すなわち、金属製の表示部本体10の端面12aから所定の距離隔てた位置にマグネット5を配置することにより、表示部1の折りたたみ状態をマグネット5の磁界を用いて正確に検出できるノートパソコン100を得ることができるものである。
【0043】
また、マグネット5の磁界を検出する磁気検出素子として、上記例示したホール素子の他にもMR素子などの他の素子を用いることができる。
【0044】
さらに、本実施形態のノートパソコン100では、第1の筐体である金属製の表示部本体10に対して、その端面から所定の間隔を隔てて配置されるマグネット5を、カバー部材9のマグネットホルダ21で保持する構成を示した。しかし、マグネット5の保持方法はこれに限られず、例えば前面カバー8に保持手段を設けてマグネット5を保持する方法や、表示部本体10の端面12aに、非金属性のマグネットホルダを形成もしくは付与固着する方法など各種の方法を用いることができる。
【0045】
また、上記本実施形態では、本発明の電子機器の例として、表示パネルとして透過型の液晶パネルを備えたノートパソコンについて説明したが、これはあくまで例示に過ぎず、本発明の適用対象を限定するものではない。
【0046】
本発明の電子機器がノートパソコンである場合でも、上記実施の形態で示したものに限らず、表示パネルとして透過型の液晶パネル以外の半透過型や反射型の液晶パネル、PDPパネル、ELパネル、FEDパネルなどの各種の表示パネルを用いることができる。
【0047】
また、本発明の適用対象の電子機器はノートパソコンに限られず、PDAや携帯用DVDプレーヤー、電子辞書、ゲーム機、携帯電話などの、2つの筐体がヒンジ機構により回動可能に形成された各種ポータブル機器に適用することができる。
【0048】
また、本発明の適用対象は、互いに回動可能な2つの筐体のみから構成される電子機器に限られず、2つの筐体の内の一方にさらに回動可能に筐体が取り付けられているような、全体として3つ、もしくはそれ以上の筐体から構成される電子機器に適用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明の電子機器は、2つの筐体がヒンジ機構により回動可能に取り付けられた各種の電子機器として有用である。
【符号の説明】
【0050】
1 表示部(第1の筐体)
2 パソコン本体(第2の筐体)
3 ヒンジ部カバー
4 液晶パネル(表示パネル)
5 マグネット
6 アンテナモジュール(アンテナ素子)
7 ホール素子(磁気検出素子)
8 前面カバー
9 カバー部材
10 表示部本体(筐体本体)
100 ノートパソコン(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の筐体と第2の筐体とがヒンジ機構により回動可能に取り付けられていて、
前記第1の筐体を構成する金属製の筐体本体の、前記第1の筐体の前記ヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に面する端面の外側に付加されたマグネットと、前記第2の筐体内であって前記第1の筐体が折りたたまれたときに前記マグネットと相対する位置に配置された磁気検出素子を備え、
前記マグネットは、前記筐体本体の前記端面から所定の距離を隔てて配置されていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記マグネットは、前記筐体本体に固着されて前記第1の筐体の一部を構成する樹脂製のカバー部材に形成されたマグネットホルダ内に収容される請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記カバー部材が前記筐体本体に固着されたとき、前記筐体本体の前記端面側に位置する前記マグネットホルダの側壁が、前記所定の距離に相当する厚さを有している請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記マグネットが配置されている位置よりも、さらに前記第1の筐体の前記ヒンジ機構が配置された側と対向する側の端部に近い位置に、前記マグネットから所定の距離を隔てて無線通信を行うためのアンテナ素子が配置されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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