電子機器
【課題】モジュールをシャーシに落とし込んで組み込む際に、落とし込む速さを緩やかにすることができず、シャーシ等を破損する恐れがあるという課題を解決する。
【解決手段】複数のガイドピンが設けられたモジュールと、ガイドピンと勘合する受け部が設けられた筐体とを備える電子機器を、ガイドピンが、シリンダと該シリンダのピストン空間を摺動するピストンを有するピンとを備え、シリンダが、ピストン空間とその上部に設けられ弁が収納される弁空間と弁空間の空気穴とを備え、弁には通風穴を備え、モジュールが持ち上げられると、ピンが自重により下がり、モジュールを筐体の受け部に上から載置すると、弁が空気穴を塞ぎ、ピストン空間内の空気が弁の通風穴を通してシリンダ外部に流出するように構成する。
【解決手段】複数のガイドピンが設けられたモジュールと、ガイドピンと勘合する受け部が設けられた筐体とを備える電子機器を、ガイドピンが、シリンダと該シリンダのピストン空間を摺動するピストンを有するピンとを備え、シリンダが、ピストン空間とその上部に設けられ弁が収納される弁空間と弁空間の空気穴とを備え、弁には通風穴を備え、モジュールが持ち上げられると、ピンが自重により下がり、モジュールを筐体の受け部に上から載置すると、弁が空気穴を塞ぎ、ピストン空間内の空気が弁の通風穴を通してシリンダ外部に流出するように構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のモジュール(交換可能な構成部品)を電子機器のシャーシ(筐体)に組み込むようにした電子機器において、モジュールの組み込みを安全に行うことのできるガイドピンを備えた電子機器及びモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の構造を図11に示す。図11(a)は電子機器の斜視図であり、図11(b)は電子機器の側面図である。図11において、101は電子機器のシャーシ(筐体)、102はモジュールである。103は、シャーシ101の内部に固定されているコネクタで、例えばマザーボード107に取り付け固定されたコネクタである。104は、モジュール102の内部に固定されているコネクタで、例えば回路基板108の底面に取り付け固定されたコネクタである。
この電子機器においては、モジュール102側のコネクタ104が、シャーシ101側のコネクタ103と、勘合するようになっている。コネクタ103とコネクタ104とを勘合することにより、マザーボード107と回路基板108が、電気的に接続される。105はガイドピンであり、106はガイドピンに勘合するための受け部である。
【0003】
モジュール102をシャーシ101に取り付ける場合、図11に示すように、シャーシ101の上側から、モジュール102を緩やかに垂直に降ろし、ガイドピン105と受け106とを勘合させ、次いで、コネクタ103とコネクタ104とを勘合させる。
しかし、モジュール102の重量が重い場合、例えば、作業者が両手で取り扱わなければならない程度の重量の場合、モジュール102をシャーシ101に組み込む速さ、つまり落とし込む速さを緩やかにすることができず、モジュール102をシャーシ101にぶつけるなどして、シャーシ101、モジュール102あるいはコネクタ103やコネクタ104を破損する恐れがあった。
【0004】
下記の特許文献1には、モジュールにガイドピンを設け、筐体には弾性板材のガイドピン受けばねを設けておいて、ユニットを筐体の中に挿入したとき、ガイドピン受けばねの孔にガイドピンが入り込んでから、ガイドピンの大径部がガイドピン受けばねを押すようにし、これにより、ガイドピンを下方に押す力が発生され、ユニットが筐体底板に押し付け固定される構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-004759公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来技術における電子機器においては、モジュールをシャーシに落とし込んで組み込む際に、モジュールをシャーシに落とし込む速さを緩やかにすることができず、シャーシ、モジュールあるいはコネクタ等を破損する恐れがあるという課題があった。本発明は、このような従来の課題を解決するために為されたもので、モジュールをシャーシに落とし込む速さを緩やかにすることができる電子機器及びモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、本願発明の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
複数のガイドピンが設けられたモジュールと、前記ガイドピンと勘合する受け部が設けられた筐体とを備える電子機器であって、
前記ガイドピンは、筒状で中空のシリンダと、該シリンダの中空部をシリンダの長手方向である上下方向に沿って摺動するピンとを備え、
前記ピンは、その一端に設けられ前記受け部と勘合するガイドと、その他端に設けられシリンダ中空部の側壁と接触しつつ上下方向に摺動するピストンとを備え、
前記シリンダは、前記ピストンが収納され摺動するピストン空間と、該ピストン空間の上部に設けられ弁が収納される弁空間と、空気穴が設けられた弁空間の上壁と、弁空間とピストン空間との間に設けられた隔壁とを備え、
前記弁は、通風穴を備え、前記弁空間内において上下動可能であり、
前記モジュールが持ち上げられると、前記ピンが相対的に前記シリンダの下方へ移動し、前記弁空間の上壁の空気穴から流入した空気が、前記ピストン空間に流入し、
前記モジュールのガイドを前記筐体の受け部に上から載置すると、前記ピンが相対的に前記シリンダの上方へ移動し、前記ピストン空間内の空気の圧力により、前記弁が前記空気穴を塞ぎ、前記ピストン空間内の空気が、前記弁の通風穴を通してシリンダ外部に流出するよう動作することを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、モジュールをシャーシに落とし込む速さを緩やかにすることができ、シャーシやモジュールが破損する恐れを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の斜視図である。
【図2】本発明の実施例における、ガイドピンの構造を示す図である。
【図3】本発明の実施例における、ピンの外形を示す図である。
【図4】本発明の実施例における、シリンダの構造を示す図である。
【図5】本発明の実施例における、弁の外形を示す図である。
【図6】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第1段階を示す図である。
【図7】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第2段階を示す図である。
【図8】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第3段階を示す図である。
【図9】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第4段階を示す図である。
【図10】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第5段階を示す図である。
【図11】従来例における、モジュールをシャーシに組み込む際の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の一例である電子機器について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例における、モジュール(交換可能な構成部品)をシャーシに組み込む際の斜視図である。図1において、1は電子機器のシャーシ(筐体)、2はモジュールである。3は、シャーシ1の内部に固定されているコネクタで、例えばマザーボード20に取り付け固定されたコネクタである。4は、モジュール2の内部に固定されているコネクタで、例えば回路基板(不図示)の底面に取り付け固定されたコネクタである。
本例では、モジュール2側のコネクタ4が、シャーシ1側のコネクタ3と、勘合するようになっている。コネクタ3とコネクタ4とを勘合することにより、マザーボード20と回路基板が、電気的に接続される。7は、モジュール2に取り付け固定されているガイドピンであり、6は、シャーシ1に取り付け固定されている、ガイドピン7に勘合するための受け部である。
モジュール2をシャーシ1に取り付ける場合、図1に示すように、シャーシ1の上側から、モジュール2を緩やかに垂直に降ろし、ガイドピン7と受け部6とを勘合させ、次いで、コネクタ3とコネクタ4とを勘合させる。
【0011】
ガイドピン7の構造について、図2ないし図5を用いて詳しく説明する。図2は、本発明の実施例における、ガイドピン7の構造を示す図である。図2に示すように、ガイドピン7は、シリンダ9とピン8とから構成される。シリンダ9の上部には、後述する弁空間14が設けられ、弁10が収納されている。シリンダ9は、筒状で中空の形状であり、詳細は後述する。ピン8は、シリンダの中空部をシリンダの長手方向である上下方向に沿って移動可能となっている。
【0012】
図3は、本発明の実施例における、ピン8の外形を示す図である。図3に示すように、ピン8は、ピン8の一端に設けられ前記受け部6と勘合するためのガイド11と、ピン8の他端に設けられシリンダ中空部の側壁と接触しつつ上下方向に摺動するピストン12ととから構成される。ガイド11の先端は、後述の図6に示すように、面取りされて楔形状となっており、受け部6と勘合し易く、かつ受け部6との位置関係が決まるようになっている。ピン8の材質は、本例では金属であり、ピストン12の側面は、滑らかであることが望ましい。本例では、ガイド11はシリンダ9の長手方向にその長手方向を有する棒状であるが、ガイド11を短く形成し、その分、ピストン12を長く形成してもよい。
【0013】
図4は、本発明の実施例における、シリンダ9の構造を示す図である。図4に示すように、本例のシリンダ9は、前記ピストン12が収納され摺動するピストン空間13と、該ピストン空間13の上部に設けられ弁10が収納される弁空間14と、空気穴15が設けられた弁空間14の上壁21と、弁空間14とピストン空間13との間に設けられた隔壁22と、ピン8の棒状のガイド11が収納されるピン穴16とを備える。隔壁22の中央部には、隔壁穴22aが設けられている。ピストン空間13の水平断面形状は、前記ピストン12の水平断面形状と略等しい形状である。
ピストン空間13内の空気は、空気穴15とピン穴16を通して通気可能である。シリンダ9の材質は、本例では金属であり、ピストン空間13の内壁は、ピストン12が摺動し易いよう、滑らかであることが望ましい。また、弁空間14の内壁は、弁10が移動し易いよう、滑らかであることが望ましい。シリンダ9の外形は、本例では円形であるが、円形に限らず、モジュール2に取り付け易いよう、任意の形状とすることができる。
【0014】
図5は、本発明の実施例における、弁10の外形を示す図である。図5に示すように、弁10は平板であり、その上面が平面であって、その下面には突起17が設けられている。また、弁10には、弁10の上面と下面間を貫通する通風穴18が、本例では4つ設けられている。弁10は、前記弁空間14内において上下動可能となっている。
【0015】
次に、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の動作を、図6ないし図10を用いて説明する。図6は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第1段階を示す垂直断面図である。図6においては、シリンダ9はモジュール2に固定されており、モジュール2は、電子機器の外の平板19の上に載置されている。この状態で、ピン8はシリンダ9内に収納されている。つまり、ピン8の下端は平板19に接し、ピストン12がピストン空間13内の上部に位置している。また、弁空間14内の弁10は、自重により、弁10の下面の突起17が隔壁22の上面に接している。
したがって、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、隔壁22の隔壁穴22aと、弁10と隔壁22の上面の隙間(突起17により形成された隙間)と、弁10と弁空間14の側壁の隙間と、弁10と上壁21の下面の隙間と、空気穴15とを通して、シリンダ9の外部と流通可能となっている。また、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、隔壁22の隔壁穴22aと、弁10の通風穴18と、空気穴15とを通して、シリンダ9の外部と流通可能となっている。
また、ピストン空間13内におけるピストン12よりも下側の空気は、ピン8のガイド11の側面とピン穴16の隙間を通して、シリンダ9の外部と流通可能となっている。
【0016】
図7は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第2段階を示す垂直断面図であり、モジュール2を持ち上げ始めたときの状態を示す。図7(a)はガイドピン7の全体図であり、図7(b)は弁空間14の拡大図である。図7(a)において、モジュール2は上昇するが、ピン8は自重により元の位置を保つため、ピン8は、シリンダ9に対して相対的に下降する。そのため、ピストン空間13内におけるピストン12よりも下側の空気は、ピン8のガイド11の側面とピン穴16の隙間を通して、シリンダ9の外部に流出する。また、図7(b)に示すように、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空間には、シリンダ9の外部から、空気穴15と、弁10と上壁21の下面の隙間と、弁10と弁空間14の側壁の隙間と、弁10と隔壁22の上面の隙間(突起17により形成された隙間)と、隔壁22の隔壁穴22aとを通して、空気が流入する。また、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空間には、シリンダ9の外部から、空気穴15と、弁10の通風穴18と、隔壁22の隔壁穴22aとを通して、空気が流入する。
【0017】
図8は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第3段階を示す垂直断面図であり、モジュール2を持ち上げ終わったときの状態を示す。この状態では、ピン8がシリンダ9に対して最下端の位置まで突出している。この状態のモジュール2を、図9のように、シャーシ1に組み込む。
【0018】
図9は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第4段階を示す垂直断面図であり、ガイド11をシャーシ1の受け部6に勘合させてモジュール2の位置決めを行い、モジュール2の落とし込みを始めたときの状態を示す。図9(a)はガイドピン7の全体図であり、図9(b)は弁空間14の拡大図である。
図9(a)において、モジュール2は自重により下降するが、ピン8は受け部6に勘合して元の位置を保つため、ピン8は、シリンダ9に対して相対的に上昇する。そのため、ピストン空間13内におけるピストン12よりも下側には、ピン8のガイド11の側面とピン穴16の隙間を通して、シリンダ9の外部の空気が流入する。
また、図9(b)に示すように、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、ピストン12により、空気穴15側へ押し出される。その空気の圧力により、弁10が上壁21の下面に押し付けられ、空気穴15を塞ぐ。そうすると、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、弁10の通風穴18のみを通して、シリンダ9の外部に流出する状態となるため、ピストン空間13内から逃げ切れない空気が抵抗となり、シリンダ9に対するピン8の相対的上昇が抑制され、モジュール2の落とし込み速度が緩やかになる。
このようにして、図10に示すように、モジュール2の落とし込みが完了する。図10は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第5段階(最終段階)を示す図である。
【0019】
以上説明したように、本願発明によれば、モジュールをシャーシに落とし込む速さを調整することができ、シャーシやモジュールが破損する恐れを軽減することができる。
【0020】
なお、本発明は、本発明に係る動作を実行する電子機器としてだけでなく、モジュールとして、或いは、電子機器やモジュールに用いられるガイドピンとして把握することができる。
【符号の説明】
【0021】
1・・シャーシ、2・・モジュール、3・・コネクタ、4・・コネクタ、6・・受け部、7・・ガイドピン、8・・ピン、9・・シリンダ、10・・弁、11・・ガイド、12・・ピストン、13・・ピストン空間、14・・弁空間、15・・空気穴、16・・ピン穴、17・・突起、18・・通風穴、19・・平板、20・・マザーボード、21・・上壁、22・・隔壁、22a・・隔壁、101・・シャーシ、102・・モジュール、103・・コネクタ、104・・コネクタ、106・・受け部、107・・マザーボード、108・・回路基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器のモジュール(交換可能な構成部品)を電子機器のシャーシ(筐体)に組み込むようにした電子機器において、モジュールの組み込みを安全に行うことのできるガイドピンを備えた電子機器及びモジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の電子機器の構造を図11に示す。図11(a)は電子機器の斜視図であり、図11(b)は電子機器の側面図である。図11において、101は電子機器のシャーシ(筐体)、102はモジュールである。103は、シャーシ101の内部に固定されているコネクタで、例えばマザーボード107に取り付け固定されたコネクタである。104は、モジュール102の内部に固定されているコネクタで、例えば回路基板108の底面に取り付け固定されたコネクタである。
この電子機器においては、モジュール102側のコネクタ104が、シャーシ101側のコネクタ103と、勘合するようになっている。コネクタ103とコネクタ104とを勘合することにより、マザーボード107と回路基板108が、電気的に接続される。105はガイドピンであり、106はガイドピンに勘合するための受け部である。
【0003】
モジュール102をシャーシ101に取り付ける場合、図11に示すように、シャーシ101の上側から、モジュール102を緩やかに垂直に降ろし、ガイドピン105と受け106とを勘合させ、次いで、コネクタ103とコネクタ104とを勘合させる。
しかし、モジュール102の重量が重い場合、例えば、作業者が両手で取り扱わなければならない程度の重量の場合、モジュール102をシャーシ101に組み込む速さ、つまり落とし込む速さを緩やかにすることができず、モジュール102をシャーシ101にぶつけるなどして、シャーシ101、モジュール102あるいはコネクタ103やコネクタ104を破損する恐れがあった。
【0004】
下記の特許文献1には、モジュールにガイドピンを設け、筐体には弾性板材のガイドピン受けばねを設けておいて、ユニットを筐体の中に挿入したとき、ガイドピン受けばねの孔にガイドピンが入り込んでから、ガイドピンの大径部がガイドピン受けばねを押すようにし、これにより、ガイドピンを下方に押す力が発生され、ユニットが筐体底板に押し付け固定される構造が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-004759公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、従来技術における電子機器においては、モジュールをシャーシに落とし込んで組み込む際に、モジュールをシャーシに落とし込む速さを緩やかにすることができず、シャーシ、モジュールあるいはコネクタ等を破損する恐れがあるという課題があった。本発明は、このような従来の課題を解決するために為されたもので、モジュールをシャーシに落とし込む速さを緩やかにすることができる電子機器及びモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための、本願発明の代表的な構成は、次のとおりである。すなわち、
複数のガイドピンが設けられたモジュールと、前記ガイドピンと勘合する受け部が設けられた筐体とを備える電子機器であって、
前記ガイドピンは、筒状で中空のシリンダと、該シリンダの中空部をシリンダの長手方向である上下方向に沿って摺動するピンとを備え、
前記ピンは、その一端に設けられ前記受け部と勘合するガイドと、その他端に設けられシリンダ中空部の側壁と接触しつつ上下方向に摺動するピストンとを備え、
前記シリンダは、前記ピストンが収納され摺動するピストン空間と、該ピストン空間の上部に設けられ弁が収納される弁空間と、空気穴が設けられた弁空間の上壁と、弁空間とピストン空間との間に設けられた隔壁とを備え、
前記弁は、通風穴を備え、前記弁空間内において上下動可能であり、
前記モジュールが持ち上げられると、前記ピンが相対的に前記シリンダの下方へ移動し、前記弁空間の上壁の空気穴から流入した空気が、前記ピストン空間に流入し、
前記モジュールのガイドを前記筐体の受け部に上から載置すると、前記ピンが相対的に前記シリンダの上方へ移動し、前記ピストン空間内の空気の圧力により、前記弁が前記空気穴を塞ぎ、前記ピストン空間内の空気が、前記弁の通風穴を通してシリンダ外部に流出するよう動作することを特徴とする電子機器。
【発明の効果】
【0008】
本願発明によれば、モジュールをシャーシに落とし込む速さを緩やかにすることができ、シャーシやモジュールが破損する恐れを軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の斜視図である。
【図2】本発明の実施例における、ガイドピンの構造を示す図である。
【図3】本発明の実施例における、ピンの外形を示す図である。
【図4】本発明の実施例における、シリンダの構造を示す図である。
【図5】本発明の実施例における、弁の外形を示す図である。
【図6】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第1段階を示す図である。
【図7】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第2段階を示す図である。
【図8】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第3段階を示す図である。
【図9】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第4段階を示す図である。
【図10】本発明の実施例における、モジュールをシャーシに組み込む際の第5段階を示す図である。
【図11】従来例における、モジュールをシャーシに組み込む際の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態の一例である電子機器について、図を参照しながら説明する。図1は、本発明の実施例における、モジュール(交換可能な構成部品)をシャーシに組み込む際の斜視図である。図1において、1は電子機器のシャーシ(筐体)、2はモジュールである。3は、シャーシ1の内部に固定されているコネクタで、例えばマザーボード20に取り付け固定されたコネクタである。4は、モジュール2の内部に固定されているコネクタで、例えば回路基板(不図示)の底面に取り付け固定されたコネクタである。
本例では、モジュール2側のコネクタ4が、シャーシ1側のコネクタ3と、勘合するようになっている。コネクタ3とコネクタ4とを勘合することにより、マザーボード20と回路基板が、電気的に接続される。7は、モジュール2に取り付け固定されているガイドピンであり、6は、シャーシ1に取り付け固定されている、ガイドピン7に勘合するための受け部である。
モジュール2をシャーシ1に取り付ける場合、図1に示すように、シャーシ1の上側から、モジュール2を緩やかに垂直に降ろし、ガイドピン7と受け部6とを勘合させ、次いで、コネクタ3とコネクタ4とを勘合させる。
【0011】
ガイドピン7の構造について、図2ないし図5を用いて詳しく説明する。図2は、本発明の実施例における、ガイドピン7の構造を示す図である。図2に示すように、ガイドピン7は、シリンダ9とピン8とから構成される。シリンダ9の上部には、後述する弁空間14が設けられ、弁10が収納されている。シリンダ9は、筒状で中空の形状であり、詳細は後述する。ピン8は、シリンダの中空部をシリンダの長手方向である上下方向に沿って移動可能となっている。
【0012】
図3は、本発明の実施例における、ピン8の外形を示す図である。図3に示すように、ピン8は、ピン8の一端に設けられ前記受け部6と勘合するためのガイド11と、ピン8の他端に設けられシリンダ中空部の側壁と接触しつつ上下方向に摺動するピストン12ととから構成される。ガイド11の先端は、後述の図6に示すように、面取りされて楔形状となっており、受け部6と勘合し易く、かつ受け部6との位置関係が決まるようになっている。ピン8の材質は、本例では金属であり、ピストン12の側面は、滑らかであることが望ましい。本例では、ガイド11はシリンダ9の長手方向にその長手方向を有する棒状であるが、ガイド11を短く形成し、その分、ピストン12を長く形成してもよい。
【0013】
図4は、本発明の実施例における、シリンダ9の構造を示す図である。図4に示すように、本例のシリンダ9は、前記ピストン12が収納され摺動するピストン空間13と、該ピストン空間13の上部に設けられ弁10が収納される弁空間14と、空気穴15が設けられた弁空間14の上壁21と、弁空間14とピストン空間13との間に設けられた隔壁22と、ピン8の棒状のガイド11が収納されるピン穴16とを備える。隔壁22の中央部には、隔壁穴22aが設けられている。ピストン空間13の水平断面形状は、前記ピストン12の水平断面形状と略等しい形状である。
ピストン空間13内の空気は、空気穴15とピン穴16を通して通気可能である。シリンダ9の材質は、本例では金属であり、ピストン空間13の内壁は、ピストン12が摺動し易いよう、滑らかであることが望ましい。また、弁空間14の内壁は、弁10が移動し易いよう、滑らかであることが望ましい。シリンダ9の外形は、本例では円形であるが、円形に限らず、モジュール2に取り付け易いよう、任意の形状とすることができる。
【0014】
図5は、本発明の実施例における、弁10の外形を示す図である。図5に示すように、弁10は平板であり、その上面が平面であって、その下面には突起17が設けられている。また、弁10には、弁10の上面と下面間を貫通する通風穴18が、本例では4つ設けられている。弁10は、前記弁空間14内において上下動可能となっている。
【0015】
次に、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の動作を、図6ないし図10を用いて説明する。図6は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第1段階を示す垂直断面図である。図6においては、シリンダ9はモジュール2に固定されており、モジュール2は、電子機器の外の平板19の上に載置されている。この状態で、ピン8はシリンダ9内に収納されている。つまり、ピン8の下端は平板19に接し、ピストン12がピストン空間13内の上部に位置している。また、弁空間14内の弁10は、自重により、弁10の下面の突起17が隔壁22の上面に接している。
したがって、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、隔壁22の隔壁穴22aと、弁10と隔壁22の上面の隙間(突起17により形成された隙間)と、弁10と弁空間14の側壁の隙間と、弁10と上壁21の下面の隙間と、空気穴15とを通して、シリンダ9の外部と流通可能となっている。また、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、隔壁22の隔壁穴22aと、弁10の通風穴18と、空気穴15とを通して、シリンダ9の外部と流通可能となっている。
また、ピストン空間13内におけるピストン12よりも下側の空気は、ピン8のガイド11の側面とピン穴16の隙間を通して、シリンダ9の外部と流通可能となっている。
【0016】
図7は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第2段階を示す垂直断面図であり、モジュール2を持ち上げ始めたときの状態を示す。図7(a)はガイドピン7の全体図であり、図7(b)は弁空間14の拡大図である。図7(a)において、モジュール2は上昇するが、ピン8は自重により元の位置を保つため、ピン8は、シリンダ9に対して相対的に下降する。そのため、ピストン空間13内におけるピストン12よりも下側の空気は、ピン8のガイド11の側面とピン穴16の隙間を通して、シリンダ9の外部に流出する。また、図7(b)に示すように、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空間には、シリンダ9の外部から、空気穴15と、弁10と上壁21の下面の隙間と、弁10と弁空間14の側壁の隙間と、弁10と隔壁22の上面の隙間(突起17により形成された隙間)と、隔壁22の隔壁穴22aとを通して、空気が流入する。また、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空間には、シリンダ9の外部から、空気穴15と、弁10の通風穴18と、隔壁22の隔壁穴22aとを通して、空気が流入する。
【0017】
図8は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第3段階を示す垂直断面図であり、モジュール2を持ち上げ終わったときの状態を示す。この状態では、ピン8がシリンダ9に対して最下端の位置まで突出している。この状態のモジュール2を、図9のように、シャーシ1に組み込む。
【0018】
図9は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第4段階を示す垂直断面図であり、ガイド11をシャーシ1の受け部6に勘合させてモジュール2の位置決めを行い、モジュール2の落とし込みを始めたときの状態を示す。図9(a)はガイドピン7の全体図であり、図9(b)は弁空間14の拡大図である。
図9(a)において、モジュール2は自重により下降するが、ピン8は受け部6に勘合して元の位置を保つため、ピン8は、シリンダ9に対して相対的に上昇する。そのため、ピストン空間13内におけるピストン12よりも下側には、ピン8のガイド11の側面とピン穴16の隙間を通して、シリンダ9の外部の空気が流入する。
また、図9(b)に示すように、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、ピストン12により、空気穴15側へ押し出される。その空気の圧力により、弁10が上壁21の下面に押し付けられ、空気穴15を塞ぐ。そうすると、ピストン空間13内におけるピストン12よりも上側の空気は、弁10の通風穴18のみを通して、シリンダ9の外部に流出する状態となるため、ピストン空間13内から逃げ切れない空気が抵抗となり、シリンダ9に対するピン8の相対的上昇が抑制され、モジュール2の落とし込み速度が緩やかになる。
このようにして、図10に示すように、モジュール2の落とし込みが完了する。図10は、本発明の実施例における、モジュール2をシャーシ1に組み込む際の第5段階(最終段階)を示す図である。
【0019】
以上説明したように、本願発明によれば、モジュールをシャーシに落とし込む速さを調整することができ、シャーシやモジュールが破損する恐れを軽減することができる。
【0020】
なお、本発明は、本発明に係る動作を実行する電子機器としてだけでなく、モジュールとして、或いは、電子機器やモジュールに用いられるガイドピンとして把握することができる。
【符号の説明】
【0021】
1・・シャーシ、2・・モジュール、3・・コネクタ、4・・コネクタ、6・・受け部、7・・ガイドピン、8・・ピン、9・・シリンダ、10・・弁、11・・ガイド、12・・ピストン、13・・ピストン空間、14・・弁空間、15・・空気穴、16・・ピン穴、17・・突起、18・・通風穴、19・・平板、20・・マザーボード、21・・上壁、22・・隔壁、22a・・隔壁、101・・シャーシ、102・・モジュール、103・・コネクタ、104・・コネクタ、106・・受け部、107・・マザーボード、108・・回路基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のガイドピンが設けられたモジュールと、前記ガイドピンと勘合する受け部が設けられた筐体とを備える電子機器であって、
前記ガイドピンは、筒状で中空のシリンダと、該シリンダの中空部をシリンダの長手方向である上下方向に沿って摺動するピンとを備え、
前記ピンは、その一端に設けられ前記受け部と勘合するガイドと、その他端に設けられシリンダ中空部の側壁と接触しつつ上下方向に摺動するピストンとを備え、
前記シリンダは、前記ピストンが収納され摺動するピストン空間と、該ピストン空間の上部に設けられ弁が収納される弁空間と、空気穴が設けられた弁空間の上壁と、弁空間とピストン空間との間に設けられた隔壁とを備え、
前記弁は、通風穴を備え、前記弁空間内において上下動可能であり、
前記モジュールが持ち上げられると、前記ピンが相対的に前記シリンダの下方へ移動し、前記弁空間の上壁の空気穴から流入した空気が、前記ピストン空間に流入し、
前記モジュールのガイドを前記筐体の受け部に上から載置すると、前記ピンが相対的に前記シリンダの上方へ移動し、前記ピストン空間内の空気の圧力により、前記弁が前記空気穴を塞ぎ、前記ピストン空間内の空気が、前記弁の通風穴を通してシリンダ外部に流出するよう動作することを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数のガイドピンが設けられたモジュールと、前記ガイドピンと勘合する受け部が設けられた筐体とを備える電子機器であって、
前記ガイドピンは、筒状で中空のシリンダと、該シリンダの中空部をシリンダの長手方向である上下方向に沿って摺動するピンとを備え、
前記ピンは、その一端に設けられ前記受け部と勘合するガイドと、その他端に設けられシリンダ中空部の側壁と接触しつつ上下方向に摺動するピストンとを備え、
前記シリンダは、前記ピストンが収納され摺動するピストン空間と、該ピストン空間の上部に設けられ弁が収納される弁空間と、空気穴が設けられた弁空間の上壁と、弁空間とピストン空間との間に設けられた隔壁とを備え、
前記弁は、通風穴を備え、前記弁空間内において上下動可能であり、
前記モジュールが持ち上げられると、前記ピンが相対的に前記シリンダの下方へ移動し、前記弁空間の上壁の空気穴から流入した空気が、前記ピストン空間に流入し、
前記モジュールのガイドを前記筐体の受け部に上から載置すると、前記ピンが相対的に前記シリンダの上方へ移動し、前記ピストン空間内の空気の圧力により、前記弁が前記空気穴を塞ぎ、前記ピストン空間内の空気が、前記弁の通風穴を通してシリンダ外部に流出するよう動作することを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−249464(P2011−249464A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119444(P2010−119444)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】
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