説明

電子機器

【課題】送風口における塵埃物の付着による目詰まりの程度を感度良く検出することができる電子機器を提供すること。
【解決手段】複数の排気口(23)を備えた本体筐体(10)と、本体筐体の内部において排気口に近接する態様で複数の放熱フィン(313)が並設されることにより構成され、内部の素子(25)からの熱を放熱するための放熱ユニット(31)と、外部から吸引した空気を放熱ユニットに向けて送風口(37)より送出することにより放熱フィンに放熱させるファン(331)とを備えたノートPC(1)において、送風口から排気口のそれぞれに至る経路のうち空気の風速が相対的に速い検出領域を通過する空気の風速を検出し、検出した風速値と予め設定された基準風速値との差が、予め決められた判定基準値を超える場合に塵埃物を除去する必要があると判定する制御を行う制御手段40を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器に関し、より詳細には、筐体内部に収容された素子から発生した熱を外部に放出する機構を備えた電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器の一例としてノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、省略して「ノートPC」と称する)が知られている。このようなノートPCは、上面にキーボードが配設された筐体と、この筐体の上面を覆う態様で開閉自在な蓋体とを備えて構成されている。筐体の内部には、CPU(中央演算処理装置)やメモリ等の通電によって発熱する複数の素子と、これら素子を冷却するための冷却装置とが収容されている。
【0003】
冷却装置は、筐体壁面に設けられた複数の排気口に近接して配置された複数の放熱フィンと、上記CPUに接続される伝熱板と、この伝熱板と各放熱フィンとを接続するヒートパイプと、放熱フィン間に向けて送風するファンユニットとから構成されている。ファンユニットは、ファンと、ファンを収容するファンケースとから構成されるものである。
【0004】
上記冷却装置のファンを駆動させると、筐体の適宜個所に設けられた吸気口から筐体の内部に空気が取り入れられ、筐体の内部空間に空気の流れが生ずる。筐体内を通過した空気は、ファンケース内に吸い込まれ、ファンの回転中心から遠心方向に送出され、ファンケースに形成された送風口から吹き出される。送風口から吹き出された空気は、放熱フィン間を通過し、各放熱フィンと熱交換を行うことによって該放熱フィンを冷却する、換言すると、該放熱フィンに放熱させる。放熱フィンに放熱させることで、放熱フィンにヒートパイプを介して接続されたCPUも冷却される。放熱フィンに放熱させることにより高温になった空気は、放熱フィン間を通過後、排気口から外部に排出される。
【0005】
ところで、上記冷却装置を備えたノートPCにおいては、筐体の吸気口から外部の空気を取り入れてファンケース内に吸い込み、ファンケースの送風口から吹き出して放熱フィン間を通過させることになるが、放熱フィン間の入口、すなわち送風口に吸気口より空気とともに取り込んでしまった塵や埃等の塵埃物が付着して目詰まりが発生していた。
【0006】
そこで、特許文献1に提案されているような技術、すなわちエンジン冷却風をエンジンボンネット内に取り入れるための吸気口に配設された防塵網に風速センサを取り付け、かかる風速センサにより検知される風速が予め決められた大きさを超える場合に、防塵網に付着した塵埃物の除去を促す技術を適用することも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平9−132041号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に提案されている技術は、コンバイン等の作業車のエンジンボンネットに適用されるもので、比較的大きな開口である吸気口の防塵網における任意の個所に取り付けられた風速センサの検知結果に応じて塵埃物の除去の有無を判断されるものである。
【0009】
しかしながら、ノートPCのような電子機器は、常時小型化の要請があり、筐体に形成された排気口、あるいは筐体内部に配設された放熱フィン間は、上記特許文献1が適用されるものに比して非常に小型なものである。また、筐体内部に配設されたファンは、ファンケース内に収容され、自身が回転することでその遠心力により吸気口より吸い込んだ空気を放熱フィン間に通過させる遠心型のもので、放熱フィン間毎に通過する空気の風速にバラツキが生じ、相対的に風速が速い経路と、相対的に風速が遅い経路とが存在している。
【0010】
そのため、上記特許文献1に提案されているような技術をノートPCのような電子機器に適用した場合、風速センサの配設個所によっては、送風口に塵埃物が付着することによる目詰まりの程度を良好に判断することができず、これにより送風口における塵埃物の付着量が過大となり、筐体内部の素子を冷却できない虞れがある。
【0011】
本発明は、上記実情に鑑みて、送風口における塵埃物の付着による目詰まりの程度を感度良く検出することができる電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明に係る電子機器は、複数の排気口を備えた筐体と、前記筐体内部において前記排気口に近接する態様で複数の放熱部材が並設されることにより構成され、筐体内部の素子からの熱を放熱するための放熱ユニットと、外部から吸引した空気を前記放熱ユニットに向けて送風口より送出することにより前記放熱部材に放熱させるファンとを備えた電子機器において、前記送風口から排気口のそれぞれに至る経路のうち空気の風速が相対的に速い検出領域を通過する空気の風速を検出し、検出した風速値と予め設定された基準値との差が、予め決められた閾値を超える場合に塵埃物を除去する必要があると判定する制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記検出領域に配設され、該検出領域を通過する空気の風速を検知する風速検知手段を備えてなり、前記制御手段は、前記風速検知手段により検知された風速から前記検出領域の風速を検出する検出部と、前記検出部で検出した風速値と前記基準値との差が前記閾値を超える場合に塵埃物を除去する必要があると判定する判定部とを備えることが好ましい。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記制御手段は、塵埃物を除去する必要があると判定した場合に、その旨を報知することが好ましい。
【0015】
また、本発明の好ましい態様によれば、前記制御手段は、前記検出領域のうち前記排気口と前記放熱ユニットとの間における空気の風速を検出することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の電子機器によれば、制御手段が、送風口から排気口のそれぞれに至る経路のうち空気の風速が相対的に速い検出領域を通過する空気の風速を検出し、検出した風速値と予め設定された基準値との差が、予め決められた閾値を超える場合に塵埃物を除去する必要があると判定する制御を行うので、送風口に塵埃物が付着することによる目詰まりの程度を感度良く判断することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるノートブック型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した本体筐体における排気口付近を示す拡大図である。
【図3】図3は、冷却装置の要部を左方から見た場合の斜視図である。
【図4】図4は、冷却装置の制御系の要部を模式的に示すブロック図である。
【図5】図5は、図1に示したノートPCの要部の内部構造を上方から見た場合を示す断面図である。
【図6】図6は、図1に示したノートPCの要部の内部構造を左方から見た場合を示す断面側面図である。
【図7】図7は、冷却装置を構成する制御手段が実施する判定制御処理の処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電子機器をノートブック型パーソナルコンピュータに適用した場合の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態であるノートブック型パーソナルコンピュータを示す斜視図である。ここで例示するノートブック型パーソナルコンピュータ(以下、単に「ノートPC」とも称する)1は、本体筐体10及び蓋体11を備えて構成してある。
【0020】
本体筐体10は、上面部12、左側面部13、右側面部14、前面部15、後面部16及び図示せぬ底面部から構成される箱状物である。本体筐体10の上面部12には、キーボード17が設けてある。キーボード17は、詳細は図に明示しないが、金属板によって構成したベース部材の上面にメンブレンスイッチシート及び複数のキートップ17aを配設して構成した入力装置である。上面部12において手前側に位置する部位にはパームレスト18が設けてある。
【0021】
蓋体11は、本体筐体10の上面部12に対向する面に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等から構成される表示装置21を備えたものであり、本体筐体10の奥側縁部にヒンジ部22によってその下端部が回転可能に支持されている。この蓋体11は、本体筐体10に対して開いた場合に本体筐体10の手前側に向けて表示装置21を露出させるとともに、本体筐体10の上面を開放した状態となる。一方、ヒンジ部22を介して回転させれば、本体筐体10の上面部12及び表示装置21を同時に覆うカバーとして機能する。
【0022】
本体筐体10の左側面部13における奥側には、複数の排気口23が前後方向に並ぶ態様で並設してある。排気口23は、本体筐体10の内部に配設される冷却装置30(図2参照)から送出される空気を外部に排出させるための矩形状の開口である。尚、図示は省略するが、本体筐体10の右側面部14や後面部16、あるいは底面部等には、外部の空気を本体筐体10の内部に取り入れるための吸気口が設けてある。
【0023】
図2は、図1に示した本体筐体10における排気口23付近を示す拡大図であり、一部内部構造を示している。本体筐体10の内部には、図示せぬCPUやメモリ等、通電して動作することにより発熱する複数の電子部品等の素子25と、これら素子25を冷却させるための冷却装置30とが収容してある。尚、これら素子25は、プリント基板24上に実装されており、冷却装置30は、プリント基板24の外部に配設されている。
【0024】
図3は、冷却装置30の要部を左方から見た場合の斜視図であり、一部の内部構造を露出させた状態で示している。ここで例示する冷却装置30は、放熱ユニット31、ヒートパイプ32及びファンユニット33を備えて構成してある。
【0025】
放熱ユニット31は、上面を構成する上方伝熱板311と、下面を構成する下方伝熱板312との間に複数の放熱部材である放熱フィン313を所定の間隔毎に立設させる態様で並設させて構成したものであり、その全体形状は、直方状をなしている。ここで、上方伝熱板311及び下方伝熱板312、並びに放熱フィン313は、例えば銅やアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料から構成してある。このような放熱ユニット31には、放熱フィン313の並設方向(前後方向)に沿って多数の開口が形成してあり、内側の開口、すなわち右側の開口が空気導入口314であり、外側の開口、すなわち左側の開口が空気送出口315となる。
【0026】
上記放熱ユニット31は、空気導入口314がファンユニット33の後述する送風口37に一致する一方、空気送出口315が本体筐体10の排気口23に近接した状態で配設してある。つまり、放熱ユニット31は、本体筐体10の内部において排気口23に近接する態様で複数の放熱フィン313が並設されることにより構成してある。ここで、放熱ユニット31における互いに隣接する放熱フィン313間の距離、すなわち空気導入口314及び空気送出口315の幅は、排気口23の幅よりも小さいものである。
【0027】
ヒートパイプ32は、例えば銅やアルミニウム等の金属から構成される管に作動液が封入された熱伝達部材である。このヒートパイプ32は、一端が、素子25に接続された受熱部材(図示せず)に熱的に接続してある一方、他端が、放熱ユニット31の上方伝熱板311に載置され、該上方伝熱板311に熱的に接続してある。ここで受熱部材は、例えば銅やアルミニウム合金等の熱伝導率の高い金属材料で構成してものであり、例えばCPU等の素子25に接続してある。このようにヒートパイプ32は、素子25で生じた熱を放熱ユニット31に熱伝達するものである。
【0028】
ファンユニット33は、ファン331とファンケース332とを備えて構成してある。ファン331は、ファンケース332に支持される回転軸331aと、この回転軸331aから放射状に拡がる複数枚の羽根331bとからなるものである。このファン331は、いわゆる遠心式ファンと称されるものであり、駆動させた場合に回転軸331aの径方向(遠心方向)に空気を送り出すように構成してある。
【0029】
ファンケース332は、上述したファン331を収容する箱体である。このファンケース332は、ファン331の回転軸331aに対して垂直な上面部34及び底面部(図示せず)と、回転軸331aの周りを取り囲む側周部35とから構成してある。ファンケース332の上面部34及び底面部には、ファンケース332の外部から内部に空気を取り入れる吸気用開口36が形成してある。また、ファンケース332における側周部35の左側部位には矩形状の送風口37が形成してある。送風口37は、ファン331を駆動させた際にファンケース332内に発生する気流をファンケース332の外部に送り出すための開口である。このようなファンケース332は、上述したように送風口37が放熱ユニット31の放熱フィン313のそれぞれにより形成される空気導入口314に一致する態様で放熱ユニット31に隣接して配設してある。
【0030】
ところで、このようなファンユニット33においては次のような特性がある。すなわち、上記ファン331は、回転軸331a回りに回転して遠心方向に空気を送り出すものであり、かかるファン331により押し出された空気は送風口37から外部に送り出されることになるが、通過する空気の風速に前後方向に沿って差が生じ、これにより放熱ユニット31の放熱フィン313間を通過する空気の風速にバラツキが生ずる。つまり、ファンユニット33においては、相対的に風速が速い経路と、相対的に風速が遅い経路とが存在するという特性を有している。そして、図示の例では、例えば手前から3つめの排気口23に対向する放熱ユニット31間を通過する空気の風速が最も速いものとなる。
【0031】
図4は、上記冷却装置30の制御系の要部を模式的に示すブロック図である。ここで例示するように上記冷却装置30は、上記の構成の他、風速検知センサS及び制御手段40を備えている。
【0032】
風速検知センサSは、通過する空気の風速を検知する風速検知手段であり、図5及び図6に示すように、放熱ユニット31と本体筐体10の左側面部13との間に配設してある。
【0033】
より詳細に説明すると、図5及び図6は、それぞれ図1に示したノートPC1の要部の内部構造を模式的に示すものであり、図5は、上方から見た場合を示す断面図であり、図6は、左方から見た場合を示す断面側面図である。これらに例示するように、風速検知センサSは、風速が相対的に最も速い経路である手前から3つめの排気口23と放熱ユニット31との間に配設してある。このような風速検知センサSは、風速を検知した場合に、その検知信号を制御手段40に与えるものである。尚、風速検知センサSとしては、図示のようにセンシング部分が上下方向に延在する索状体のようなものであっても良いし、他の形態を有するものであっても良く、その形態については特に限定されるものではない。
【0034】
制御手段40は、図示せぬ内蔵メモリに記憶されたプログラムやデータにしたがって冷却装置30の動作を統括的に制御するもので、入力処理部41、検出部42、判定部43及び出力処理部44を備えて構成してある。この制御手段40は、ノートPC1の主制御部に組み込まれる態様で設けてあっても良いし、独立した態様で設けてあっても良く、その設置形態については特に限定されるものではない。また、内蔵メモリには、上記プログラム等の他、種々のデータが記憶されており、本実施の形態において特徴的なものとしては、風速基準情報や判定基準情報が記憶されている。風速基準情報は、風速検知センサSが配設される経路(検出領域)における初期の基準風速値(基準値)を含むものである。つまり、風速基準情報は、塵埃物等の影響がない場合における基準風速値を含むものである。判定基準情報は、判定部43での判定に用いられる判定値(閾値)を含むものである。
【0035】
入力処理部41は、制御手段40に与えられる各種の信号を入力処理するもので、本実施の形態では風速検知センサSにより与えられる検知信号を入力処理するものである。検出部42は、入力処理部41を通じて入力処理された検知信号に含まれる情報に基づき風速を検出するものである。
【0036】
判定部43は、検出部42を通じて検出された風速値と、内蔵メモリから読み出した風速基準情報に含まれる風速基準値との差を演算し、その演算値(差)が内蔵メモリから読み出した判定基準情報に含まれる判定基準値以下の場合には、塵埃物を除去する必要がないと判断する一方、演算値が判定基準値を超える場合には、塵埃物を除去する必要があると判定するものである。
【0037】
出力処理部44は、判定部43を通じて塵埃物を除去する必要があると判定された場合に、表示装置21にその旨の表示指令を出力するものである。
【0038】
以上のような構成を有するノートPC1の冷却装置30においては、図示しないモータを駆動させてファン331を回転させると、空気が本体筐体10の吸気口から取り入れられることにより、本体筐体10の内部に空気の流れが発生する。この空気の流れは、本体筐体10の内部空間全体に拡がり、その後吸気用開口36からファンケース332に吸い込まれる。ファンケース332の内部に吸い込まれた空気は、ファン331の回転中心から遠心方向に送り出され、ファンケース332の側周部35の内壁面に沿って送風口37まで誘導され、該送風口37から送出される。
【0039】
送風口37から送出された空気は、放熱ユニット31における放熱フィン313間を通過し、該放熱フィン313を放熱させて冷却する。放熱フィン313のそれぞれは、上方伝熱板311、ヒートパイプ32及び受熱部材を介して素子25に熱的に接続してあり、放熱フィン313を冷却することにより、素子25も冷却される。放熱フィン313に放熱させることにより高温になった空気は、空気送出口315を通過した後に排気口23から外部に排出される。
【0040】
そして、このように動作する冷却装置30においては、所定のタイミングで次のような判定制御処理が行われる。図7は、冷却装置30を構成する制御手段40が実施する判定制御処理の処理内容を示すフローチャートである。この図7の処理内容を説明しながら、ノートPC1における冷却装置30の動作についてさらに説明する。
【0041】
図7における判定制御処理における制御手段40は、風速検知センサSが風速を検知して入力処理部41を通じてその検知信号を入力した場合(ステップS101:Yes)、検出部42を通じて風速を検出する(ステップS102)。検出部42を通じて風速を検出した制御手段40は、判定部43を通じて内蔵メモリから風速基準情報を読み出し、検出部42を通じて検出された検出値と、風速基準情報に含まれる風速基準値との差を演算する(ステップS103)。そして、判定部43を通じて内蔵メモリから判定基準情報を読み出して、ステップS103での演算値が判定基準情報に含まれる判定基準値を超えるか否かを判断する(ステップS104)。
【0042】
演算値が判定基準値以下の場合(ステップS104:No)、制御手段40は、後述する処理を実施することなく手順をリターンさせて今回の処理を終了する一方、演算値が判定基準値を超える場合(ステップS104:Yes)、制御手段40は、送風口37(空気導入口314)に付着する塵埃物を除去する必要がある旨を判定する(ステップS105)。
【0043】
判定部43を通じて塵埃物を除去する必要がある旨を判定した制御手段40は、出力処理部44を通じて表示装置21にその旨の表示指令を出力し(ステップS106)、その後に手順をリターンさせて今回の処理を終了する。
【0044】
このように表示装置21に塵埃物を除去する必要がある旨の表示指令を出力する結果、表示装置21にその旨が表示され、ノートPC1を使用する者に対して、塵埃物を除去するためのメンテナンスを行うべきであることを認識させることができる。
【0045】
以上のような構成を有する冷却装置30を備えたノートPC1によれば、制御手段40が、送風口37から排気口23のそれぞれに至る経路のうち空気の風速が相対的に速い経路(検出領域)を通過する空気の風速を検出し、検出した風速値と風速基準値との差が判定基準値を超える場合に塵埃物を除去する必要があると判定する制御を行うので、送風口37に塵埃物が付着することによる目詰まりの程度を感度良く判断することができる。
【0046】
また、上記ノートPC1によれば、制御手段40が、判定部43を通じて塵埃物を除去する必要がある旨を判定した場合には、出力処理部44を通じて表示装置21にその旨の表示指令を出力するので、ノートPC1を使用する者に対して、塵埃物を除去するためのメンテナンスを行うべきであることを認識させることができ、塵埃物の除去を促すことができる。かかる塵埃物の除去を行わせることにより、素子25を良好に冷却することが可能になる。
【0047】
更に、上記ノートPC1によれば、風速検知センサSが特定の排気口23と放熱ユニット31との間に配設してあるので、風速検知センサSが放熱フィン313間に配設した場合に比して、センサ自体による風速の低下、すなわち塵埃物がセンサ自体に付着して目詰まりを発生させることを抑制することができる。
【0048】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0049】
上述した実施の形態では風速検知センサSは、風速を検知するものであったが、本発明においては、当該検出領域における圧力変化を検知するセンサを配設しても良い。この場合、該センサにより検知された圧力変化の結果に応じて制御手段が検出部を通じて風速を検出することになる。
【0050】
また、上述した実施の形態では、判定部43を通じて塵埃物の除去が必要であると判定した場合に、出力処理部44を通じて表示装置21に表示指令を出力して、該表示装置21に塵埃物の除去が必要である旨の表示を行っていたが、本発明では、表示装置21に限らず、ブザー等の音声により塵埃物の除去が必要である旨を報知する報知手段であっても良い。更に、塵埃物の除去の表示については、ノートPC1(電子機器)の起動時に行うようにしても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明に係る電子機器は、筐体内部に収容された素子から発生した熱を外部に放出するのに有用である。
【符号の説明】
【0052】
1 ノートブック型パーソナルコンピュータ
10 本体筐体
11 蓋体
12 上面部
13 左側面部
14 右側面部
15 前面部
16 後面部
17 キーボード
18 パームレスト
21 表示装置
22 ヒンジ部
23 排気口
24 プリント基板
25 素子
30 冷却装置
31 放熱ユニット
311 上方伝熱板
312 下方伝熱板
313 放熱フィン
314 空気導入口
315 空気送出口
32 ヒートパイプ
33 ファンユニット
331 ファン
332 ファンケース
36 吸気用開口
37 送風口
40 制御手段
41 入力処理部
42 検出部
43 判定部
44 出力処理部
S 風速検知センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の排気口を備えた筐体と、
前記筐体内部において前記排気口に近接する態様で複数の放熱部材が並設されることにより構成され、筐体内部の素子からの熱を放熱するための放熱ユニットと、
外部から吸引した空気を前記放熱ユニットに向けて送風口より送出することにより前記放熱部材に放熱させるファンと
を備えた電子機器において、
前記送風口から排気口のそれぞれに至る経路のうち空気の風速が相対的に速い検出領域を通過する空気の風速を検出し、検出した風速値と予め設定された基準値との差が、予め決められた閾値を超える場合に塵埃物を除去する必要があると判定する制御を行う制御手段を備えたことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記検出領域に配設され、該検出領域を通過する空気の風速を検知する風速検知手段を備えてなり、
前記制御手段は、前記風速検知手段により検知された風速から前記検出領域の風速を検出する検出部と、
前記検出部で検出した風速値と前記基準値との差が前記閾値を超える場合に塵埃物を除去する必要があると判定する判定部と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御手段は、塵埃物を除去する必要があると判定した場合に、その旨を報知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御手段は、前記検出領域のうち前記排気口と前記放熱ユニットとの間における空気の風速を検出することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−3153(P2011−3153A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147962(P2009−147962)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(505205731)レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド (292)
【復代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
【Fターム(参考)】