説明

電子機器

【課題】操作ボタン群の複数の操作ボタンのキートップを互いに近接して並設するとともに、電子機器の小型化、低コスト化及び組立作業性の向上を図る仕組みを提供する。
【解決手段】電子機器は、樹脂により一体に成形された操作ボタン群41の操作ボタン402,403が背面カバー2の内面側からボタン穴222に嵌め込まれて互いに近接して並設される。位置決め部材450は、操作ボタン402に連結部443を介して連結され、背面カバー2に形成された位置決めダボ223に位置決め嵌合される位置決め穴441を有する。位置決め部材451は、操作ボタン403に連結部444を介して連結されるとともに、連結部445を介して位置決め部材450に連結され、背面カバー2に形成された位置決めダボ224に位置決め嵌合される位置決め穴442を有する。そして、位置決めダボ223,224間の距離は、位置決め穴441,442間の距離よりも短く設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、デジタルカメラ等の電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラ等の電子機器では、製造コストや組立作業性の観点から、複数の操作ボタンを連結部を介して連結した操作ボタン群を樹脂等で一体に成形するものが知られている。
【0003】
このような操作ボタン群として、例えば、操作ボタン間の距離よりも操作ボタン間を連結する連結部の長さを長くして、連結部の弾性変形を介して複数の操作ボタン間の距離を可変にした構造が開示されている(特許文献1)。
【0004】
しかし、上記特許文献1では、電子機器の外装カバー上の各操作ボタンのキートップの間隔が広くなるため、電子機器の小型化を図る上で妨げとなる。
【0005】
そこで、2つの操作ボタンを連結部を介して一体に連結した操作ボタン群を複数組用いる技術が提案されている(特許文献2)。この提案では、例えば2組の操作ボタン群を用い、一方の組の操作ボタン群の連結部の上側に、他方の組の操作ボタン群の操作ボタンを配置することで、複数の操作ボタンのキートップが互いに近接して並設されるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平1−109622号公報
【特許文献2】特開2009−043632号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記特許文献2では、2つの操作ボタンを連結部を介して一体に連結した操作ボタン群が複数組必要となるため、一組の操作ボタン群を用いる場合に比べて、製造コストが増加し、また、組立作業が面倒になる。
【0008】
そこで、本発明は、操作ボタン群の複数の操作ボタンのキートップを互いに近接して並設することができるとともに、電子機器の小型化、低コスト化及び組立作業性の向上を図ることができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、複数の操作ボタンが連結部を介して一体に連結された操作ボタン群と、前記操作ボタンが内面側から嵌め込まれるボタン穴が貫通して形成されたカバー部材と、を備える電子機器であって、前記操作ボタン群は、前記ボタン穴に前記カバー部材の内面側から嵌め込まれる第1の操作ボタンと、前記ボタン穴に前記カバー部材の内面側から嵌め込まれて、前記第1の操作ボタンに近接して並設される第2の操作ボタンと、前記第1の操作ボタンに第1の連結部を介して連結され、前記カバー部材に形成された第1の被嵌合部に位置決め嵌合される第1の嵌合部を有する第1の位置決め部材と、前記第2の操作ボタンに第2の連結部を介して連結されるとともに、弾性変形が可能な第3の連結部を介して前記第1の位置決め部材に連結され、前記カバー部材に形成された第2の被嵌合部に位置決め嵌合される第2の嵌合部を有する第2の位置決め部材と、を備え、前記第1の被嵌合部と前記第2の被嵌合部との間の距離は、前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との間の距離よりも短く設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、操作ボタン群の複数の操作ボタンのキートップを互いに近接して並設することができるとともに、電子機器の小型化、低コスト化及び組立作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルカメラの背面カバーユニットを示す図である。
【図2】図1に示す背面カバーユニットの分解斜視図である。
【図3】(a)は操作ボタン群を外観面側から見た図、(b)は(a)の裏面側から見た図である。
【図4】背面カバーを操作ボタン群の組み込み方向である内面側から見た図である。
【図5】操作ボタン群を背面カバーに組み込んだ状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態の一例を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は本発明の電子機器の実施形態の一例であるデジタルカメラの背面カバーユニットを示す図、図2は図1に示す背面カバーユニットの分解斜視図である。
【0014】
図1に示すように、背面カバーユニット1は、背面カバー2に、表示ユニット3及び操作ボタンユニット4が組み込まれて構成される。
【0015】
表示ユニット3は、図2に示すように、透明窓31、液晶デバイス32、及び保持プレート33を備える。
【0016】
液晶デバイス32は、保持プレート33に設けられた保持爪331,332に保持され、保持プレート33と共に、ビス等により背面カバー2に固定される。また、液晶デバイス32には、機器本体の制御回路と通信するためのフレキシブル基板332が設けられている。透明窓31は、背面カバー2に形成された開口部21に嵌め込まれて、不図示の両面テープ等により背面カバー2に固定される。
【0017】
操作ボタンユニット4は、操作ボタン群41、フレキシブル基板42、及び保持プレート43を備える。
【0018】
操作ボタン群41の複数の操作ボタンのキートップ411は、操作ボタン群41を背面カバー2に組み込んだ状態で、背面カバー2に貫通して形成されたボタン穴22,222から表面が露出するようになっている。ここで、背面カバー2は、本発明のカバー部材の一例に相当する。
【0019】
フレキシブル基板42には、操作ボタン群41の各操作ボタンの押し軸に対応する位置にドーム型スイッチ421が配置されている。フレキシブル基板42及び操作ボタン群41は、背面カバー2と保持プレート43とで挟まれた状態で保持され、保持プレート43がビス等により背面カバー2に固定される。
【0020】
そして、背面カバー2のボタン穴22,222から露出した操作ボタンのキートップ411を押し操作すると、その操作をドーム型スイッチ421が検知し、検知情報がフレキシブル基板42に設けられたコネクタ422を介して機器本体の制御回路に出力される。
【0021】
次に、図3を参照して、操作ボタン群41について詳述する。図3(a)は操作ボタン群41を外観面側から見た図、図3(b)は図3(a)の裏面側から見た図である。
【0022】
図3に示すように、操作ボタン群41は、複数の操作ボタンが連結部を介して一体に連結された樹脂成形品であり、例えば操作ボタン401は、連結部412を介して他の操作ボタンに連結されている。
【0023】
連結部は、その長さに対して幅と厚さが十分小さなリブ状に形成され、操作ボタンの操作ストロークに比べ十分な長さを有して、弾性変形が可能とされている。このため、操作ボタンの押し操作により連結部が変形しても、操作ボタンが元の位置に弾性復帰するになっている。
【0024】
操作ボタン401は、背面カバー2のボタン穴22に嵌め込まれるキートップ411と、キートップ411の外周部の全周に沿って設けられたフランジ部413とを備える。フランジ部413が背面カバー2のボタン穴22の内周縁に当接することで、キートップ411の背面カバー2からの突出量が決定される。また、キートップ411の裏面側の略中央部には、操作ボタンの押し操作に、対応するドーム型スイッチ421を押し込む押し軸414が設けられている。
【0025】
以上の構造は、操作ボタン群41の操作ボタン402,403を除く他の操作ボタンについても同様である。操作ボタン402,403については、後述するが、キートップ411が背面カバー2のボタン穴222に嵌め込まれて近接して並設され、互いに対向する面には、フランジ部413は設けられていない。
【0026】
操作ボタン群41は、固定型と可動型との間に形成されるキャビティに溶融した樹脂を流し込んで一体に成形される。ここで、操作ボタン群41の各操作ボタンは、単独で押し操作ができるように互いに離れて配置される必要があるため、成形時には、各操作ボタンの間の連結部を除く部分に、型の肉が存在する。
【0027】
射出成形では、高温で溶融した樹脂を高圧力に保つために、各操作ボタンの間の型の肉には十分な厚みを持たせなければならない。このため、成形時の各操作ボタンの間には、一定以上の間隔が必要となる。従って、背面カバー2上で近接して並設される操作ボタン402と操作ボタン403との間にも、成形時には、一定以上の間隔440が設けられている。
【0028】
また、操作ボタン群41には、背面カバー2に組み込んだ際に、背面カバー2に形成された位置決めダボ223,224(図4参照)に嵌合されることで、背面カバー2上での各操作ボタンの位置を決める位置決め穴441,442が形成されている。
【0029】
ここで、位置決め穴441は、本発明の第1の嵌合部の一例に相当し、位置決め穴442は、本発明の第2の嵌合部の一例に相当する。また、位置決めダボ223は、本発明の第1の被嵌合部の一例に相当し、位置決めダボ224は、本発明の第2の被嵌合部の一例に相当する。
【0030】
位置決め穴441は、位置決め部材450に形成され、位置決め部材450は、連結部443を介して操作ボタン402に連結されている。また、位置決め穴442は、位置決め部材451に形成され、位置決め部材451は、連結部444を介して操作ボタン403に連結されている。位置決め部材451は、連結部445を介して位置決め部材450に連結されている。
【0031】
ここで、操作ボタン402は、本発明の第1の操作ボタンの一例に相当し、操作ボタン403は、本発明の第2の操作ボタンの一例に相当する。また、連結部443は、本発明の第1の連結部の一例に相当し、連結部444は、本発明の第2の連結部の一例に相当し、連結部445は、本発明の第3の連結部の一例に相当する。更に、位置決め部材450は、本発明の第1の位置決め部材の一例に相当し、位置決め部材451は、本発明の第2の位置決め部材の一例に相当する。
【0032】
また、位置決め部材450,451には、それぞれ回転止め穴446,447が形成されている。更に、位置決め部材450,451の裏面側には、フレキシブル基板42に当接することで位置決め部材450,451の操作ボタンの押し込み方向への移動を規制する突起部448,449が設けられている。
【0033】
図4は、背面カバー2を操作ボタン群41の組み込み方向である内面側から見た図である。
【0034】
図4に示すように、背面カバー2には、操作ボタン群41の各操作ボタンに対応するボタン穴22,222が形成されている。上述したように、ボタン穴22には、操作ボタン402,403を除く操作ボタン401や他の操作ボタンのキートップ411が個別に嵌め込まれ、ボタン穴222には、操作ボタン402,403の各キートップ411が嵌め込まれて互いに近接して並設される。
【0035】
また、背面カバー2の内面側には、操作ボタン群41の位置決め穴441,442にそれぞれ嵌合する位置決めダボ223,224、及び回転止め穴446,447にそれぞれ嵌合する回転止めダボ225,226が形成されている。
【0036】
ここで、位置決めダボ223と位置決めダボ224との間の距離は、位置決め穴441と位置決め穴442との間の距離よりも短く設定されている。
【0037】
また、位置決めダボ223,224を結ぶ方向と、位置決め穴441,442を結ぶ方向とは、操作ボタン群41を背面カバー2に組み込む前の操作ボタン402,403の各キートップ411の対向する面の間隔440と略同一方向とされている。
【0038】
更に、位置決めダボ223,224間の距離と、位置決め穴441,442間の距離との差は、操作ボタン群41を背面カバー2に組み込む前の操作ボタン402,403の各キートップ411の対向する面の間隔440の寸法と略同一寸法とされている。
【0039】
図5は、操作ボタン群41を背面カバー2に組み込んだ状態を示す図である。
【0040】
図5に示すように、操作ボタン群41を背面カバー2に組み込む際には、操作ボタン群41の位置決め穴441,442、及び回転止め穴446,447を背面カバー2の位置決めダボ223,224、及び回転止めダボ225,226に嵌合する。また、操作ボタン群41の各操作ボタンのキートップ411をボタン穴22,222に嵌め込む。
【0041】
このとき、上述したように、位置決めダボ223と位置決めダボ224との間の距離は、位置決め穴441と位置決め穴442との間の距離よりも短く設定されているため、連結部445が変形して組み込まれる。
【0042】
これにより、位置決め部材451に連結された操作ボタン403と位置決め部材450に連結された操作ボタン402とがボタン穴222内で接近し、背面カバー2上で操作ボタン402,403の各キートップ411が互いに近接して並設される。
【0043】
また、背面カバー2の内面側のボタン穴222の周囲には、突起部227,228が操作ボタン402,403の対向面の両側に位置して設けられている。突起部227,228は、操作ボタン402の操作ボタン403側への移動を規制すると共に、操作ボタン403の操作ボタン402側への移動を規制する。これにより、操作ボタン402と操作ボタン403の押し操作時に互いのキートップ411が干渉して操作性を損なうのを防いでいる。
【0044】
以上説明したように、本実施形態では、操作ボタン群41の複数の操作ボタン402,403のキートップ411を互いに近接して並設することができるので、デジタルカメラの小型化、及びキートップの配置に関する意匠上の自由度の向上を図ることができる。
【0045】
また、本実施形態では、一組の操作ボタン群41を用いて複数の操作ボタン402,403のキートップ411を互いに近接して並設することができるので、デジタルカメラの低コスト化及び組立作業性の向上を図ることができる。
【0046】
更に、本実施形態では、操作ボタン群41の位置決め部材450と位置決め部材451とを連結する連結部445は、他の操作ボタンと直接連結されていない。このため、操作ボタン群41を背面カバー2に組み込んだ状態での連結部445の変形モードを考慮する必要なく操作ボタン群41の形状を設計することができる。
【0047】
更に、本実施形態では、操作ボタン群41の位置決め部材450,451に形成された回転止め穴446,447に背面カバー2に形成された回転止めダボ225,226が嵌合している。このため、連結部445の弾性力により位置決め部材450,451が位置決め穴441,442を中心に回転して操作ボタン402,403の位置が変動するのを回避することができる。
【0048】
なお、本発明の構成は、上記実施形態に例示したものに限定されるものではなく、材質、形状、寸法、形態、数、配置箇所等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0049】
4 操作ボタンユニット
41 操作ボタン群
223,224 位置決めダボ
225,226 回転止めダボ
402,403 操作ボタン
411 キートップ
443,444,445 連結部
441,442 位置決め穴
446,447 回転止め穴
450,451 位置決め部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の操作ボタンが連結部を介して一体に連結された操作ボタン群と、前記操作ボタンが内面側から嵌め込まれるボタン穴が貫通して形成されたカバー部材と、を備える電子機器であって、
前記操作ボタン群は、
前記ボタン穴に前記カバー部材の内面側から嵌め込まれる第1の操作ボタンと、
前記ボタン穴に前記カバー部材の内面側から嵌め込まれて、前記第1の操作ボタンに近接して並設される第2の操作ボタンと、
前記第1の操作ボタンに第1の連結部を介して連結され、前記カバー部材に形成された第1の被嵌合部に位置決め嵌合される第1の嵌合部を有する第1の位置決め部材と、
前記第2の操作ボタンに第2の連結部を介して連結されるとともに、弾性変形が可能な第3の連結部を介して前記第1の位置決め部材に連結され、前記カバー部材に形成された第2の被嵌合部に位置決め嵌合される第2の嵌合部を有する第2の位置決め部材と、を備え、
前記第1の被嵌合部と前記第2の被嵌合部との間の距離は、前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との間の距離よりも短く設定されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1の被嵌合部と前記第2の被嵌合部とを結ぶ方向と、前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とを結ぶ方向とは、前記操作ボタン群を前記カバー部材に組み込む前の前記第1の操作ボタン及び前記第2の操作ボタンの各キートップの対向する面の間隔と同一方向とされていることを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記第1の被嵌合部と前記第2の被嵌合部との間の距離と、前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との間の距離との差は、前記操作ボタン群を前記カバー部材に組み込む前の前記第1の操作ボタン及び前記第2の操作ボタンの各キートップの対向する面の間隔の寸法と同一寸法とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記第3の連結部は、他の操作ボタンと直接連結されていないことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記操作ボタン群は、樹脂により一体に成形されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−160365(P2012−160365A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19707(P2011−19707)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】