電子機器
【課題】基板間における無線通信の品質を向上させることが可能な電子機器を提供する。
【解決手段】実施形態の電子機器は、第1通信部を有する第1基板と、第1通信部と無線通信を行う第2通信部を有する第2基板と、遮蔽体と、を備える。遮蔽体は、第1通信部と第2通信部との間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、第1通信部と第2通信部とを結ぶ直線で示される無線通信路の少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる。
【解決手段】実施形態の電子機器は、第1通信部を有する第1基板と、第1通信部と無線通信を行う第2通信部を有する第2基板と、遮蔽体と、を備える。遮蔽体は、第1通信部と第2通信部との間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、第1通信部と第2通信部とを結ぶ直線で示される無線通信路の少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路がそれぞれに実装された複数の基板が筐体に収納された電子機器において、基板間の通信を無線で行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−235451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、例えば2つの基板間で送受信される無線信号に対して、当該2つの基板間の無線通信に用いられる電波以外の電波が混入することにより、通信品質が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板間における無線通信の品質を向上させることが可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電子機器は、第1通信部を有する第1基板と、第1通信部と無線通信を行う第2通信部を有する第2基板と、遮蔽体とを備える。遮蔽体は、第1通信部と第2通信部との間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、第1通信部と第2通信部とを結ぶ直線で示される無線通信路の少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電子機器の概略構成の一例を示す図。
【図2】第1実施形態のユニットの構成例を説明するための図。
【図3】図2のA方向から見た基板および遮蔽体の平面図。
【図4】第2実施形態のユニットの構成例を説明するための図。
【図5】第2実施形態のユニットの構成例を説明するための図。
【図6】変形例1に係る電子機器の概略構成の一例を示す図。
【図7】変形例2の構成を説明するための図。
【図8】変形例3の構成を説明するための図。
【図9】変形例3の構成を説明するための図。
【図10】変形例4の構成を説明するための図。
【図11】変形例4の構成を説明するための図。
【図12】変形例5の構成を説明するための図。
【図13】変形例6の構成を説明するための図。
【図14】変形例7の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の電子機器100の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、電子機器100は、無線通信を行う組となる2つの基板をそれぞれが含む複数のユニットP(Pa〜Pd)と、複数のユニットP(Pa〜Pd)を収納する筐体10とを有する。ここでは、説明の便宜上、図1の左から数えて1番目のユニットPをPa、2番目のユニットPをPb、3番目のユニットPをPc、4番目のユニットPをPdと表記する。なお、各ユニットを区別する必要が無い場合は、単にユニットPと表記する。各ユニットP間では、通信線Tを介した有線通信が行われる。より具体的には、図1に示すように、ユニットPaは、通信線Tを介してユニットPbと有線通信を行う。また、ユニットPbは、通信線Tを介してユニットPaと有線通信を行うとともに、通信線Tを介してユニットPcと有線通信を行う。さらに、ユニットPcは、通信線Tを介してユニットPbと有線通信を行うとともに、通信線Tを介してユニットPdと有線通信を行う。なお、これに限らず、各ユニットPは、相互に直接、有線通信を行ってもよい。例えばユニットPaは、通信線Tを介してユニットPcやユニットPdと直接有線通信を行ってもよい。
【0009】
図2は、ユニットPの構成例を説明するための図である。図2では、第1番目のユニットPaのみが例示されているが、他のユニットPb〜Pdの構成も同様である。以下では、ユニットPaの各要素に付される符号の末尾には「a」を付し、ユニットPbの各要素に付される符号の末尾には「b」を付し、ユニットPcの各要素に付される符号の末尾には「c」を付し、ユニットPdの各要素に付される符号の末尾には「d」を付す。
【0010】
図2に示すように、ユニットPaは、基板20aと基板30aと遮蔽体40aとを含んで構成される。基板20aは、筐体10の底面に設けられる。基板30aは、筐体10の側面に対して垂直に固定される。図2に示すように、基板30aは、基板20aに対して垂直に配置される。基板30aの一対の側縁31a、31bのうち筐体10の底面側の側縁31aと、基板20aとは、所定の間隔をあけて配置される。
【0011】
図2に示すように、基板20aは、通信部22aを有する。通信部22aは、電波の送受信を行うアンテナ(不図示)を含んで構成される。また、通信部22aには、通信線Tが接続される。通信部22aは、通信線Tを介して、他のユニットPbの基板20bの通信部22bと有線通信を行う。また、詳細な図示は省略するが、基板20aには、トランジスタやダイオードなどの能動素子、抵抗やコンデンサなどの受動素子を含む電子回路が搭載(実装)される。
【0012】
また、図2に示すように、基板30aは、通信部32aを有する。通信部32aは、アンテナ(不図示)を含んで構成され、通信部22aと無線通信を行う。本実施形態では、通信部32aの少なくとも一部が通信部22aと重なるように、基板20aと基板30aとの位置関係が設定される。詳細な図示は省略するが、基板30aには、能動素子や受動素子を含む電子回路が搭載される。
【0013】
遮蔽体40aは、筐体10の内部を飛び交う電波であって、通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、通信部22aと通信部32aとを結ぶ直線で示される無線通信路50aの少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる手段である。本実施形態では、遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲むように形成される。図2に示すように、遮蔽体40aの形状は円筒であり、通信部22aおよび通信部32aの各々は、遮蔽体40aによって囲まれる。より具体的には、円筒形状の遮蔽体40aの一方の端部の縁は、基板20aの表面のうち通信部22aが配置される領域の外側に接触し、他方の端部の縁は、通信部32aの上縁と同じ位置に配置される。他方の端部の縁は、通信部32aの上縁よりも上方に配置されてもよいし、上縁よりも下方で下縁よりも上方に配置されてもよい。
【0014】
図3は、基板30aおよび遮蔽体40aを、図2のA方向から見たときの平面図である。本実施形態では、基板30aには、遮蔽体40aの周縁を嵌め込むための切り欠きCuが形成されている。なお、これに限らず、遮蔽体40aの設置方法は任意である。また、遮蔽体40aの形状も任意であり、円筒形状に限られるものではない。要するに、遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲むものであればよい。
【0015】
本実施形態では、遮蔽体40aは、電波を吸収する電波吸収体で構成される。電波吸収体は、電波を吸収するものであればよく、その構成は任意である。例えば磁性材料を樹脂に混合させて構成することもできるし、鉄粉を合成ゴムに混合させて構成することもできるし、ウレタンフォームやスチロール等の樹脂にカーボンを含浸させて構成することもできる。なお、これに限らず、例えば遮蔽体40aは、電波を反射する電波反射体で構成されてもよい。電波反射体は、例えば金属体で構成される。要するに、遮蔽体40aは、電波を透過させないものであればよい。
【0016】
ここで、通信部22aと通信部32aとの間で送受信される無線信号は、送信側のアンテナから放射されて受信側のアンテナで受信される。この無線信号には、送信側のアンテナから受信側のアンテナへ向かって直線的に進行する成分であるLOS(Line Of Sight)と、反射や回折などにより直線的ではない経路で受信側へ向かう成分であるNLOS(None Line Of Sight)とが含まれる。LOS成分は、NLOS成分に比べて電力が大きいので、通信品質に寄与する割合も大きい。一方、他の電波(筐体10の内部を飛び交う電波であって、通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波以外の電波)からの干渉を受けることは、通信品質を大きく低下させる要因となる。他の電波としては、例えば他のユニットPb〜Pdにおける無線通信に用いられる電波や、基板20aおよび基板30aの各々に搭載された通信部(22a、32a)以外の電子部品から放射されるEMI(Electro Magnetic Interference)などが挙げられる。
【0017】
上述したように、本実施形態では、通信部22aと通信部32aとを結ぶ直線で示される無線通信路50aの全体が遮蔽体40aで囲まれるので、通信部22aと通信部32aとの間で送受信される無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、他の電波からの干渉を受けることを防止できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、他のユニットPの無線通信路50へ混入することを防止できる。したがって、本実施形態によれば、筐体10の内部における無線通信の品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。
【0018】
また、本実施形態では、無線通信路50aの全体が遮蔽体40aで囲まれるので、ユニットPaは、他のユニットPb〜Pdと無線通信を行うことはできないが、上述したように、通信部22aは、他のユニットPbの通信部22bと有線通信を行うので、ユニットP間でデータ伝送を行うことができる。
【0019】
なお、本実施形態では、筐体10の内部には、4つのユニットP(Pa〜Pd)が設けられているが、これに限らず、筐体10に収納されるユニットPの数は任意である。例えば筐体10に収納されるユニットの数は1つのみであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0020】
以上の実施形態では、例えばユニットPaに着目すると、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20aは「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。そして、隣のユニットPbの通信部22bが「第3通信部」に対応し、基板20bが「第3基板」に対応すると捉えることができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、遮蔽体40aは、無線通信路50aの一部のみを囲む点で上述の第1実施形態と相違する。以下では、上述の第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、第1実施形態と重複する部分については適宜に説明を省略する。
【0022】
図4は、本実施形態のユニットPの構成を説明するための図である。図4では、ユニットPaのみが例示されているが、他のユニットPb〜Pdの構成も同じである。図4に示すように、遮蔽体40aは、無線通信路50aのうち基板20aの通信部22aに近い部分のみを囲み、通信部22aは、遮蔽体40aによって囲まれる。より具体的には、遮蔽体40aは、その一方の端部の縁が、基板20aの表面のうち通信部22aが配置される領域の外側と接触するように配置される。これにより、他の電波が混入する隙間を無くすことができる。
【0023】
本実施形態では、無線通信路50aのうち通信部22aに近い部分が遮蔽体40aに囲まれることにより、通信部22aが、他の電波を受信することを抑制できる。すなわち、本実施形態によれば、少ない遮蔽体40aで効果的に通信品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。
【0024】
ここでは、無線通信路50aのうち通信部22aに近い部分のみが遮蔽体40aに囲まれる例を挙げて説明したが、例えば図5に示すように、無線通信路50aのうち通信部32aに近い部分のみが遮蔽体40aで囲まれ、通信部32aが遮蔽体40aによって囲まれる構成であってもよい。図5の例においても、無線通信路50aのうち通信部32aに近い部分が遮蔽体40aに囲まれることにより、通信部32aが、他の電波を受信することを抑制できる。なお、以上の例に限らず、無線通信路50aのうち、通信部22aまたは通信部32aに近い部分以外の部分のみが遮蔽体40aで囲まれる構成であってもよい。
【0025】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、変形例を記載する。なお、以下の変形例は任意に組み合わせることもできる。
【0026】
(変形例1)
上述の第1実施形態と第2実施形態を組み合わせることもできる。例えば図6に示すように、ユニットPaの遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲み、ユニットPbの遮蔽体40bは、無線通信路50bのうち通信部22bに近い部分のみを囲み、ユニットPcの遮蔽体40cは、無線通信路50cのうち通信部22cに近い部分のみを囲み、ユニットPdの遮蔽体40dは、無線通信路50dのうち通信部22dに近い部分のみを囲む構成であってもよい。図6の例においても、各ユニットPの無線通信路50のうちの少なくとも一部は遮蔽体40で囲まれるので、当該ユニットPにおける無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、他の電波からの干渉を受けることを抑制できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、他のユニットPの無線通信路50へ混入することを抑制できる。したがって、筐体10の内部における無線通信の品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。
【0027】
(変形例2)
上述の各実施形態では、通信部22aを有する基板20aと、通信部22bを有する基板20bと、通信部22cを有する基板20cと、通信部22dを有する基板20dとが別々に設けられているが、これに限らず、例えばひとつの基板20上に、通信部22a〜22dの各々が所定の間隔をあけて設けられてもよい。以下では、図7を参照しながら、通信部22aおよび通信部22bに着目して説明するが、通信部22cおよび通信部22dについても同様である。上述の各実施形態と同様に、通信部22aは、基板30aの通信部32aと無線通信を行い、通信部22bは、基板30bの通信部32bと無線通信を行う。また、上述の各実施形態と同様に、各通信部22a〜22d間では、通信線Tを介した有線通信が行われる。
【0028】
図7に示すように、通信部22aと通信部32aとの間を直線で結ぶ無線通信路50aの全体は、遮蔽体40aで囲まれ、通信部22bと通信部32bとの間を直線で結ぶ無線通信路50bの全体も、遮蔽体40bで囲まれる。これにより、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、ここでは、遮蔽体40a(40b)は、無線通信路50a(50b)の全体を囲んでいるが、これに限らず、例えば上述の第2実施形態と同様に、遮蔽体40a(40b)は、無線通信路50a(50b)のうちの通信部22a(22b)または通信部32a(32b)に近い部分のみを囲むこともできるし、それ以外の部分のみを囲むこともできる。
【0029】
図7の例では、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20は「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。この場合、基板20上の通信部22bは「第3通信部」に対応すると捉えることができる。また、通信部22bが「第1通信部」に対応し、基板20が「第1基板」に対応し、通信部32bが「第2通信部」に対応し、基板30bが「第2基板」に対応すると捉えることもできる。この場合、基板20上の通信部22aまたは通信部22c(不図示)が「第3通信部」に対応すると捉えることができる。
【0030】
(変形例3)
上述の第1実施形態では、遮蔽体40は、無線通信路50の周囲を完全に囲んでいるが、これに限らず、例えば遮蔽体40は、無線通信路50の周囲のうちの一部のみを囲むものであってもよい。例えば図8に示すように、遮蔽体40aの形状が、半円筒であってもよい。図8の例において、半円筒形状の遮蔽体40aは、ユニットPbからの電波が、無線通信路50aに混入することを防止するように配置される。これにより、少ない遮蔽体40aで、効果的に通信品質を向上させることができる。ここでは、遮蔽体40aの形状の一例として半円筒形状を挙げたが、これに限らず、遮蔽体40aの形状は任意である。
【0031】
また、ひとつの基板20上に、通信部22a〜22dが設けられる場合についても同様の変形を行うことができる。例えば図9に示すように、遮蔽体40aの形状が、半円筒であってもよい。上記と同様に、半円筒形状の遮蔽体40aは、通信部22bと通信部32bとの間の無線通信に用いられる電波が、無線通信路50aに混入することを防止するように配置される。さらに、上述の第2実施形態についても同様の変形を行うことができ、遮蔽体40は、無線通信路50の一部分の周囲のうちの一部のみを囲むものであってもよい。
【0032】
(変形例4)
遮蔽体40の材料として、電波吸収体と電波反射体とを組み合わせてもよい。ここでは、図8の構成の変形を例に挙げて説明する。図10に示すように、遮蔽体40bは、領域1301と領域1302とを有する。ここでは、領域1301は、ユニットPaからの電波が、無線通信路50bに混入することを防止するように機能する。一方、領域1302は、不図示のユニットPcからの電波が、無線通信路50bに混入することを防止するように機能する。
【0033】
そして、例えば領域1301を電波吸収体で構成する一方、領域1302を電波反射体で構成することもできる。また、例えば領域1301を電波反射体で構成する一方、領域1302を電波吸収体で構成することもできる。
【0034】
また、図9の構成についても同様の変形を行うことができる。図11に示すように、遮蔽体40bは、上述した領域1301と領域1302とを有する。そして、領域1301を電波吸収体で構成する一方、領域1302を電波反射体で構成することもできるし、領域1301を電波反射体で構成する一方、領域1302を電波吸収体で構成することもできる。
【0035】
なお、以上は一例であり、遮蔽体40のうち、電波吸収体で構成される領域および電波反射体で構成される領域の各々は任意に変更可能である。
【0036】
(変形例5)
上述の各実施形態では、ユニットPごとに、遮蔽体40が設けられていたが、これに限らず、例えば隣り合うユニットP同士で1つの遮蔽体40を共有することもできる。以下では、図12を参照しながら、ユニットPaおよびユニットPbに着目して説明するが、ユニットPcおよびユニットPdについても同様である。
【0037】
図12の例では、並列に配置されるユニットPaとユニットPbとの間には、平板状の遮蔽体40ABが配置され、当該遮蔽体40ABは、ユニットPaおよびユニットPbで共有される。遮蔽体40ABは、ユニットPbの通信部22bと通信部32bとの間の無線通信に用いられる電波が、ユニットPaの無線通信路50aへ向かって進行することを妨げるとともに、ユニットPaの通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波が、ユニットPbの無線通信路50bへ向かって進行することを妨げるように配置される。これにより、通信部22aと通信部32aとの間で送受信される無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、ユニットPbの無線通信に用いられる電波からの干渉を受けることを防止できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、ユニットPbの無線通信路50bへ混入することを防止できる。また、通信部22bと通信部32bとの間で送受信される無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、ユニットPaの無線通信に用いられる電波からの干渉を受けることを防止できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、ユニットPaの無線通信路50aへ混入することを防止できる。したがって、筐体10の内部における無線通信の品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。なお、ここでは、遮蔽体40の形状の一例として平板を挙げたが、これに限らず、遮蔽体40の形状は任意である。
【0038】
図12の例では、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20aは「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。また、通信部22bは「第5通信部」に対応し、基板20bは「第5基板」に対応し、通信部32bは「第4通信部」に対応し、基板30bは「第4基板」に対応すると捉えることができる。なお、通信部22bが「第4通信部」に対応し、基板20bが「第4基板」に対応し、通信部32bが「第5通信部」に対応し、基板30bが「第4基板」に対応すると捉えることもできる。
【0039】
また、ひとつの基板20上に、通信部22a〜22dが設けられる場合についても同様の変形を行うことができる。ここでは、互いに無線通信を行う通信部をひとつの組(ペア)Uとして捉え、通信部22aと通信部32aの組をUa、通信部22bと通信部32bの組をUb、通信部22cと通信部22cの組をUc、通信部22dと通信部32dの組をUdと表記する。各組を区別する必要が無い場合は、単に組Uと表記する。各組Uは並列に配置され、隣り合う組U同士で1つの遮蔽体40を共有する。以下では、図13を参照しながら、組Uaおよび組Ubに着目して説明するが、組Ucおよび組Udについても同様である。
【0040】
図13に示すように、組Uaと組Ubとの間には、平板状の遮蔽体40ABが配置され、当該遮蔽体40ABは、組Uaおよび組Ubで共有される。遮蔽体40ABは、組Ubの通信部22bと通信部32bとの間の無線通信に用いられる電波が、組Uaの無線通信路50aへ向かって進行することを妨げるとともに、組Uaの通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波が、組Ubの無線通信路50bへ向かって進行することを妨げるように配置される。これにより、図12の例と同様の効果が得られる。
【0041】
図13の例では、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20は「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。また、基板20上の通信部22bは「第7通信部」に対応し、通信部32bは「第6通信部」に対応し、基板30bは「第6基板」に対応すると捉えることができる。
【0042】
(変形例6)
上述の第1実施形態では、例えば1番目のユニットPaに着目すると、基板30aは基板20aに対して垂直に配置されているが、これに限らず、例えば図14に示すように、基板30aと基板20aとが対向するように配置されてもよい。図14の例において、円筒形状の遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲み、その一方の端部は、基板20aの表面のうち通信部22aが配置される領域の外側と接触し、他方の端部は、基板30aの表面のうち通信部32aが配置される領域の外側と接触する。なお、上述の第2実施形態についても同様の変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
10 筐体
20 基板
22 通信部
22b 通信部
30 基板
32 通信部
40 遮蔽体
50 無線通信路
100 電子機器
P ユニット
T 通信線
U 組
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子回路がそれぞれに実装された複数の基板が筐体に収納された電子機器において、基板間の通信を無線で行う技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−235451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、例えば2つの基板間で送受信される無線信号に対して、当該2つの基板間の無線通信に用いられる電波以外の電波が混入することにより、通信品質が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、基板間における無線通信の品質を向上させることが可能な電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の電子機器は、第1通信部を有する第1基板と、第1通信部と無線通信を行う第2通信部を有する第2基板と、遮蔽体とを備える。遮蔽体は、第1通信部と第2通信部との間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、第1通信部と第2通信部とを結ぶ直線で示される無線通信路の少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】電子機器の概略構成の一例を示す図。
【図2】第1実施形態のユニットの構成例を説明するための図。
【図3】図2のA方向から見た基板および遮蔽体の平面図。
【図4】第2実施形態のユニットの構成例を説明するための図。
【図5】第2実施形態のユニットの構成例を説明するための図。
【図6】変形例1に係る電子機器の概略構成の一例を示す図。
【図7】変形例2の構成を説明するための図。
【図8】変形例3の構成を説明するための図。
【図9】変形例3の構成を説明するための図。
【図10】変形例4の構成を説明するための図。
【図11】変形例4の構成を説明するための図。
【図12】変形例5の構成を説明するための図。
【図13】変形例6の構成を説明するための図。
【図14】変形例7の構成を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の電子機器100の概略構成の一例を示す図である。図1に示すように、電子機器100は、無線通信を行う組となる2つの基板をそれぞれが含む複数のユニットP(Pa〜Pd)と、複数のユニットP(Pa〜Pd)を収納する筐体10とを有する。ここでは、説明の便宜上、図1の左から数えて1番目のユニットPをPa、2番目のユニットPをPb、3番目のユニットPをPc、4番目のユニットPをPdと表記する。なお、各ユニットを区別する必要が無い場合は、単にユニットPと表記する。各ユニットP間では、通信線Tを介した有線通信が行われる。より具体的には、図1に示すように、ユニットPaは、通信線Tを介してユニットPbと有線通信を行う。また、ユニットPbは、通信線Tを介してユニットPaと有線通信を行うとともに、通信線Tを介してユニットPcと有線通信を行う。さらに、ユニットPcは、通信線Tを介してユニットPbと有線通信を行うとともに、通信線Tを介してユニットPdと有線通信を行う。なお、これに限らず、各ユニットPは、相互に直接、有線通信を行ってもよい。例えばユニットPaは、通信線Tを介してユニットPcやユニットPdと直接有線通信を行ってもよい。
【0009】
図2は、ユニットPの構成例を説明するための図である。図2では、第1番目のユニットPaのみが例示されているが、他のユニットPb〜Pdの構成も同様である。以下では、ユニットPaの各要素に付される符号の末尾には「a」を付し、ユニットPbの各要素に付される符号の末尾には「b」を付し、ユニットPcの各要素に付される符号の末尾には「c」を付し、ユニットPdの各要素に付される符号の末尾には「d」を付す。
【0010】
図2に示すように、ユニットPaは、基板20aと基板30aと遮蔽体40aとを含んで構成される。基板20aは、筐体10の底面に設けられる。基板30aは、筐体10の側面に対して垂直に固定される。図2に示すように、基板30aは、基板20aに対して垂直に配置される。基板30aの一対の側縁31a、31bのうち筐体10の底面側の側縁31aと、基板20aとは、所定の間隔をあけて配置される。
【0011】
図2に示すように、基板20aは、通信部22aを有する。通信部22aは、電波の送受信を行うアンテナ(不図示)を含んで構成される。また、通信部22aには、通信線Tが接続される。通信部22aは、通信線Tを介して、他のユニットPbの基板20bの通信部22bと有線通信を行う。また、詳細な図示は省略するが、基板20aには、トランジスタやダイオードなどの能動素子、抵抗やコンデンサなどの受動素子を含む電子回路が搭載(実装)される。
【0012】
また、図2に示すように、基板30aは、通信部32aを有する。通信部32aは、アンテナ(不図示)を含んで構成され、通信部22aと無線通信を行う。本実施形態では、通信部32aの少なくとも一部が通信部22aと重なるように、基板20aと基板30aとの位置関係が設定される。詳細な図示は省略するが、基板30aには、能動素子や受動素子を含む電子回路が搭載される。
【0013】
遮蔽体40aは、筐体10の内部を飛び交う電波であって、通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、通信部22aと通信部32aとを結ぶ直線で示される無線通信路50aの少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる手段である。本実施形態では、遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲むように形成される。図2に示すように、遮蔽体40aの形状は円筒であり、通信部22aおよび通信部32aの各々は、遮蔽体40aによって囲まれる。より具体的には、円筒形状の遮蔽体40aの一方の端部の縁は、基板20aの表面のうち通信部22aが配置される領域の外側に接触し、他方の端部の縁は、通信部32aの上縁と同じ位置に配置される。他方の端部の縁は、通信部32aの上縁よりも上方に配置されてもよいし、上縁よりも下方で下縁よりも上方に配置されてもよい。
【0014】
図3は、基板30aおよび遮蔽体40aを、図2のA方向から見たときの平面図である。本実施形態では、基板30aには、遮蔽体40aの周縁を嵌め込むための切り欠きCuが形成されている。なお、これに限らず、遮蔽体40aの設置方法は任意である。また、遮蔽体40aの形状も任意であり、円筒形状に限られるものではない。要するに、遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲むものであればよい。
【0015】
本実施形態では、遮蔽体40aは、電波を吸収する電波吸収体で構成される。電波吸収体は、電波を吸収するものであればよく、その構成は任意である。例えば磁性材料を樹脂に混合させて構成することもできるし、鉄粉を合成ゴムに混合させて構成することもできるし、ウレタンフォームやスチロール等の樹脂にカーボンを含浸させて構成することもできる。なお、これに限らず、例えば遮蔽体40aは、電波を反射する電波反射体で構成されてもよい。電波反射体は、例えば金属体で構成される。要するに、遮蔽体40aは、電波を透過させないものであればよい。
【0016】
ここで、通信部22aと通信部32aとの間で送受信される無線信号は、送信側のアンテナから放射されて受信側のアンテナで受信される。この無線信号には、送信側のアンテナから受信側のアンテナへ向かって直線的に進行する成分であるLOS(Line Of Sight)と、反射や回折などにより直線的ではない経路で受信側へ向かう成分であるNLOS(None Line Of Sight)とが含まれる。LOS成分は、NLOS成分に比べて電力が大きいので、通信品質に寄与する割合も大きい。一方、他の電波(筐体10の内部を飛び交う電波であって、通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波以外の電波)からの干渉を受けることは、通信品質を大きく低下させる要因となる。他の電波としては、例えば他のユニットPb〜Pdにおける無線通信に用いられる電波や、基板20aおよび基板30aの各々に搭載された通信部(22a、32a)以外の電子部品から放射されるEMI(Electro Magnetic Interference)などが挙げられる。
【0017】
上述したように、本実施形態では、通信部22aと通信部32aとを結ぶ直線で示される無線通信路50aの全体が遮蔽体40aで囲まれるので、通信部22aと通信部32aとの間で送受信される無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、他の電波からの干渉を受けることを防止できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、他のユニットPの無線通信路50へ混入することを防止できる。したがって、本実施形態によれば、筐体10の内部における無線通信の品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。
【0018】
また、本実施形態では、無線通信路50aの全体が遮蔽体40aで囲まれるので、ユニットPaは、他のユニットPb〜Pdと無線通信を行うことはできないが、上述したように、通信部22aは、他のユニットPbの通信部22bと有線通信を行うので、ユニットP間でデータ伝送を行うことができる。
【0019】
なお、本実施形態では、筐体10の内部には、4つのユニットP(Pa〜Pd)が設けられているが、これに限らず、筐体10に収納されるユニットPの数は任意である。例えば筐体10に収納されるユニットの数は1つのみであってもよいし、5つ以上であってもよい。
【0020】
以上の実施形態では、例えばユニットPaに着目すると、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20aは「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。そして、隣のユニットPbの通信部22bが「第3通信部」に対応し、基板20bが「第3基板」に対応すると捉えることができる。
【0021】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、遮蔽体40aは、無線通信路50aの一部のみを囲む点で上述の第1実施形態と相違する。以下では、上述の第1実施形態と相違する部分を中心に説明し、第1実施形態と重複する部分については適宜に説明を省略する。
【0022】
図4は、本実施形態のユニットPの構成を説明するための図である。図4では、ユニットPaのみが例示されているが、他のユニットPb〜Pdの構成も同じである。図4に示すように、遮蔽体40aは、無線通信路50aのうち基板20aの通信部22aに近い部分のみを囲み、通信部22aは、遮蔽体40aによって囲まれる。より具体的には、遮蔽体40aは、その一方の端部の縁が、基板20aの表面のうち通信部22aが配置される領域の外側と接触するように配置される。これにより、他の電波が混入する隙間を無くすことができる。
【0023】
本実施形態では、無線通信路50aのうち通信部22aに近い部分が遮蔽体40aに囲まれることにより、通信部22aが、他の電波を受信することを抑制できる。すなわち、本実施形態によれば、少ない遮蔽体40aで効果的に通信品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。
【0024】
ここでは、無線通信路50aのうち通信部22aに近い部分のみが遮蔽体40aに囲まれる例を挙げて説明したが、例えば図5に示すように、無線通信路50aのうち通信部32aに近い部分のみが遮蔽体40aで囲まれ、通信部32aが遮蔽体40aによって囲まれる構成であってもよい。図5の例においても、無線通信路50aのうち通信部32aに近い部分が遮蔽体40aに囲まれることにより、通信部32aが、他の電波を受信することを抑制できる。なお、以上の例に限らず、無線通信路50aのうち、通信部22aまたは通信部32aに近い部分以外の部分のみが遮蔽体40aで囲まれる構成であってもよい。
【0025】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下、変形例を記載する。なお、以下の変形例は任意に組み合わせることもできる。
【0026】
(変形例1)
上述の第1実施形態と第2実施形態を組み合わせることもできる。例えば図6に示すように、ユニットPaの遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲み、ユニットPbの遮蔽体40bは、無線通信路50bのうち通信部22bに近い部分のみを囲み、ユニットPcの遮蔽体40cは、無線通信路50cのうち通信部22cに近い部分のみを囲み、ユニットPdの遮蔽体40dは、無線通信路50dのうち通信部22dに近い部分のみを囲む構成であってもよい。図6の例においても、各ユニットPの無線通信路50のうちの少なくとも一部は遮蔽体40で囲まれるので、当該ユニットPにおける無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、他の電波からの干渉を受けることを抑制できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、他のユニットPの無線通信路50へ混入することを抑制できる。したがって、筐体10の内部における無線通信の品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。
【0027】
(変形例2)
上述の各実施形態では、通信部22aを有する基板20aと、通信部22bを有する基板20bと、通信部22cを有する基板20cと、通信部22dを有する基板20dとが別々に設けられているが、これに限らず、例えばひとつの基板20上に、通信部22a〜22dの各々が所定の間隔をあけて設けられてもよい。以下では、図7を参照しながら、通信部22aおよび通信部22bに着目して説明するが、通信部22cおよび通信部22dについても同様である。上述の各実施形態と同様に、通信部22aは、基板30aの通信部32aと無線通信を行い、通信部22bは、基板30bの通信部32bと無線通信を行う。また、上述の各実施形態と同様に、各通信部22a〜22d間では、通信線Tを介した有線通信が行われる。
【0028】
図7に示すように、通信部22aと通信部32aとの間を直線で結ぶ無線通信路50aの全体は、遮蔽体40aで囲まれ、通信部22bと通信部32bとの間を直線で結ぶ無線通信路50bの全体も、遮蔽体40bで囲まれる。これにより、上述の第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、ここでは、遮蔽体40a(40b)は、無線通信路50a(50b)の全体を囲んでいるが、これに限らず、例えば上述の第2実施形態と同様に、遮蔽体40a(40b)は、無線通信路50a(50b)のうちの通信部22a(22b)または通信部32a(32b)に近い部分のみを囲むこともできるし、それ以外の部分のみを囲むこともできる。
【0029】
図7の例では、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20は「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。この場合、基板20上の通信部22bは「第3通信部」に対応すると捉えることができる。また、通信部22bが「第1通信部」に対応し、基板20が「第1基板」に対応し、通信部32bが「第2通信部」に対応し、基板30bが「第2基板」に対応すると捉えることもできる。この場合、基板20上の通信部22aまたは通信部22c(不図示)が「第3通信部」に対応すると捉えることができる。
【0030】
(変形例3)
上述の第1実施形態では、遮蔽体40は、無線通信路50の周囲を完全に囲んでいるが、これに限らず、例えば遮蔽体40は、無線通信路50の周囲のうちの一部のみを囲むものであってもよい。例えば図8に示すように、遮蔽体40aの形状が、半円筒であってもよい。図8の例において、半円筒形状の遮蔽体40aは、ユニットPbからの電波が、無線通信路50aに混入することを防止するように配置される。これにより、少ない遮蔽体40aで、効果的に通信品質を向上させることができる。ここでは、遮蔽体40aの形状の一例として半円筒形状を挙げたが、これに限らず、遮蔽体40aの形状は任意である。
【0031】
また、ひとつの基板20上に、通信部22a〜22dが設けられる場合についても同様の変形を行うことができる。例えば図9に示すように、遮蔽体40aの形状が、半円筒であってもよい。上記と同様に、半円筒形状の遮蔽体40aは、通信部22bと通信部32bとの間の無線通信に用いられる電波が、無線通信路50aに混入することを防止するように配置される。さらに、上述の第2実施形態についても同様の変形を行うことができ、遮蔽体40は、無線通信路50の一部分の周囲のうちの一部のみを囲むものであってもよい。
【0032】
(変形例4)
遮蔽体40の材料として、電波吸収体と電波反射体とを組み合わせてもよい。ここでは、図8の構成の変形を例に挙げて説明する。図10に示すように、遮蔽体40bは、領域1301と領域1302とを有する。ここでは、領域1301は、ユニットPaからの電波が、無線通信路50bに混入することを防止するように機能する。一方、領域1302は、不図示のユニットPcからの電波が、無線通信路50bに混入することを防止するように機能する。
【0033】
そして、例えば領域1301を電波吸収体で構成する一方、領域1302を電波反射体で構成することもできる。また、例えば領域1301を電波反射体で構成する一方、領域1302を電波吸収体で構成することもできる。
【0034】
また、図9の構成についても同様の変形を行うことができる。図11に示すように、遮蔽体40bは、上述した領域1301と領域1302とを有する。そして、領域1301を電波吸収体で構成する一方、領域1302を電波反射体で構成することもできるし、領域1301を電波反射体で構成する一方、領域1302を電波吸収体で構成することもできる。
【0035】
なお、以上は一例であり、遮蔽体40のうち、電波吸収体で構成される領域および電波反射体で構成される領域の各々は任意に変更可能である。
【0036】
(変形例5)
上述の各実施形態では、ユニットPごとに、遮蔽体40が設けられていたが、これに限らず、例えば隣り合うユニットP同士で1つの遮蔽体40を共有することもできる。以下では、図12を参照しながら、ユニットPaおよびユニットPbに着目して説明するが、ユニットPcおよびユニットPdについても同様である。
【0037】
図12の例では、並列に配置されるユニットPaとユニットPbとの間には、平板状の遮蔽体40ABが配置され、当該遮蔽体40ABは、ユニットPaおよびユニットPbで共有される。遮蔽体40ABは、ユニットPbの通信部22bと通信部32bとの間の無線通信に用いられる電波が、ユニットPaの無線通信路50aへ向かって進行することを妨げるとともに、ユニットPaの通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波が、ユニットPbの無線通信路50bへ向かって進行することを妨げるように配置される。これにより、通信部22aと通信部32aとの間で送受信される無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、ユニットPbの無線通信に用いられる電波からの干渉を受けることを防止できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、ユニットPbの無線通信路50bへ混入することを防止できる。また、通信部22bと通信部32bとの間で送受信される無線信号のLOS成分に影響を与えることなく、ユニットPaの無線通信に用いられる電波からの干渉を受けることを防止できるとともに、上記無線信号のNLOS成分が、ユニットPaの無線通信路50aへ混入することを防止できる。したがって、筐体10の内部における無線通信の品質を向上させることができるという有利な効果を奏する。なお、ここでは、遮蔽体40の形状の一例として平板を挙げたが、これに限らず、遮蔽体40の形状は任意である。
【0038】
図12の例では、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20aは「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。また、通信部22bは「第5通信部」に対応し、基板20bは「第5基板」に対応し、通信部32bは「第4通信部」に対応し、基板30bは「第4基板」に対応すると捉えることができる。なお、通信部22bが「第4通信部」に対応し、基板20bが「第4基板」に対応し、通信部32bが「第5通信部」に対応し、基板30bが「第4基板」に対応すると捉えることもできる。
【0039】
また、ひとつの基板20上に、通信部22a〜22dが設けられる場合についても同様の変形を行うことができる。ここでは、互いに無線通信を行う通信部をひとつの組(ペア)Uとして捉え、通信部22aと通信部32aの組をUa、通信部22bと通信部32bの組をUb、通信部22cと通信部22cの組をUc、通信部22dと通信部32dの組をUdと表記する。各組を区別する必要が無い場合は、単に組Uと表記する。各組Uは並列に配置され、隣り合う組U同士で1つの遮蔽体40を共有する。以下では、図13を参照しながら、組Uaおよび組Ubに着目して説明するが、組Ucおよび組Udについても同様である。
【0040】
図13に示すように、組Uaと組Ubとの間には、平板状の遮蔽体40ABが配置され、当該遮蔽体40ABは、組Uaおよび組Ubで共有される。遮蔽体40ABは、組Ubの通信部22bと通信部32bとの間の無線通信に用いられる電波が、組Uaの無線通信路50aへ向かって進行することを妨げるとともに、組Uaの通信部22aと通信部32aとの間の無線通信に用いられる電波が、組Ubの無線通信路50bへ向かって進行することを妨げるように配置される。これにより、図12の例と同様の効果が得られる。
【0041】
図13の例では、通信部22aは「第1通信部」に対応し、基板20は「第1基板」に対応し、通信部32aは「第2通信部」に対応し、基板30aは「第2基板」に対応すると捉えることができる。また、基板20上の通信部22bは「第7通信部」に対応し、通信部32bは「第6通信部」に対応し、基板30bは「第6基板」に対応すると捉えることができる。
【0042】
(変形例6)
上述の第1実施形態では、例えば1番目のユニットPaに着目すると、基板30aは基板20aに対して垂直に配置されているが、これに限らず、例えば図14に示すように、基板30aと基板20aとが対向するように配置されてもよい。図14の例において、円筒形状の遮蔽体40aは、無線通信路50aの全体を囲み、その一方の端部は、基板20aの表面のうち通信部22aが配置される領域の外側と接触し、他方の端部は、基板30aの表面のうち通信部32aが配置される領域の外側と接触する。なお、上述の第2実施形態についても同様の変形を行うことができる。
【符号の説明】
【0043】
10 筐体
20 基板
22 通信部
22b 通信部
30 基板
32 通信部
40 遮蔽体
50 無線通信路
100 電子機器
P ユニット
T 通信線
U 組
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1通信部を有する第1基板と、
前記第1通信部と無線通信を行う第2通信部を有する第2基板と、
前記第1通信部と前記第2通信部との間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、前記第1通信部と前記第2通信部とを結ぶ直線で示される無線通信路の少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる遮蔽体と、を備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1基板、前記第2基板および前記遮蔽体を収納する筐体を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記遮蔽体は、前記無線通信路の少なくとも一部を囲む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記遮蔽体は、前記無線通信路の全体を囲む、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記遮蔽体は、前記無線通信路のうち前記第1通信部に近い部分のみを囲む、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記遮蔽体は、前記第1通信部を囲む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
第3通信部を有する第3基板をさらに備え、
前記第1通信部は、前記第3通信部と有線通信を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1基板は、前記第1通信部と有線通信を行う第3通信部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記遮蔽体は、電波を吸収する電波吸収体、および、電波を反射する電波反射体のうちの少なくとも何れかを含んで構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
第4通信部を有する第4基板と、
前記第4通信部と無線通信を行う第5通信部を有する第5基板とをさらに備え、
前記遮蔽体は、前記第4通信部と前記第5通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記無線通信路へ向かって進行することを妨げるとともに、前記第1通信部と前記第2通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記第4通信部と前記第5通信部とを結ぶ直線で示される第2無線通信路へ向かって進行することを妨げるように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
第6通信部を有する第6基板をさらに備え、
前記第1基板は、前記第6通信部と無線通信を行う第7通信部を有し、
前記遮蔽体は、前記第6通信部と前記第7通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記無線通信路へ向かって進行することを妨げるとともに、前記第1通信部と前記第2通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記第6通信部と前記第7通信部とを結ぶ直線で示される第3無線通信路へ向かって進行することを妨げるように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項1】
第1通信部を有する第1基板と、
前記第1通信部と無線通信を行う第2通信部を有する第2基板と、
前記第1通信部と前記第2通信部との間の無線通信に用いられる電波以外の電波が、前記第1通信部と前記第2通信部とを結ぶ直線で示される無線通信路の少なくとも一部へ向かって進行することを妨げる遮蔽体と、を備える、
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記第1基板、前記第2基板および前記遮蔽体を収納する筐体を備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記遮蔽体は、前記無線通信路の少なくとも一部を囲む、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記遮蔽体は、前記無線通信路の全体を囲む、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記遮蔽体は、前記無線通信路のうち前記第1通信部に近い部分のみを囲む、
ことを特徴とする請求項3に記載の電子機器。
【請求項6】
前記遮蔽体は、前記第1通信部を囲む、
ことを特徴とする請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
第3通信部を有する第3基板をさらに備え、
前記第1通信部は、前記第3通信部と有線通信を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項8】
前記第1基板は、前記第1通信部と有線通信を行う第3通信部を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項9】
前記遮蔽体は、電波を吸収する電波吸収体、および、電波を反射する電波反射体のうちの少なくとも何れかを含んで構成される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項10】
第4通信部を有する第4基板と、
前記第4通信部と無線通信を行う第5通信部を有する第5基板とをさらに備え、
前記遮蔽体は、前記第4通信部と前記第5通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記無線通信路へ向かって進行することを妨げるとともに、前記第1通信部と前記第2通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記第4通信部と前記第5通信部とを結ぶ直線で示される第2無線通信路へ向かって進行することを妨げるように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【請求項11】
第6通信部を有する第6基板をさらに備え、
前記第1基板は、前記第6通信部と無線通信を行う第7通信部を有し、
前記遮蔽体は、前記第6通信部と前記第7通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記無線通信路へ向かって進行することを妨げるとともに、前記第1通信部と前記第2通信部との間の無線通信に用いられる電波が、前記第6通信部と前記第7通信部とを結ぶ直線で示される第3無線通信路へ向かって進行することを妨げるように配置される、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−195537(P2012−195537A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−60231(P2011−60231)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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