説明

電子機器

【課題】薄型化が可能な電子機器を提供する。
【解決手段】断面コ字状の板金の部品ホルダ14で電子部品13を保持し、電子部品13を挟持している部品ホルダ14の第1の面14aおよび第2の面14bに対応する表側の筐体11および裏側の筐体12に開口部15,16を設け、その開口部15,16から第1の面14aおよび第2の面14bを露出させるようにした。これにより、筐体11,12の厚さは、部品ホルダ14の厚さにまで薄型化が可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機や各種携帯端末のような電子機器では、液晶表示器のような大きな電子部品は、その周囲が板金部材によって保護されており、その板金部材を筐体が押し付けるようにすることで装置内に保持されるようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
また、携帯電話機などに内蔵されるスピーカやレシーバやマイクロフォンなどの電気音響変換器は、液晶表示器よりも小さな電子部品であるが、このような電子部品は、板金部材で保護されることなく装置内に保持されている(たとえば、特許文献2参照)。この特許文献2の例では、スピーカとする電子部品が表側の筐体と裏側の筐体とによって形成された区画室内に収容されており、電子部品と表側の筐体との間に所定の距離を確保するために板金が介在されている。表側の筐体は、電子部品が対向する位置に音声信号を伝達させる音響伝達孔が穿設されており、スピーカから放射された音波を装置外へ放出したり装置外の音声信号をマイクロフォンへ導いたりするようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−262992号公報
【特許文献2】特開2010−087638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的な電子機器では、表側および裏側の筐体を合わせることにより電子部品を挟持して内部に保持している。このため、電子部品の収容部分の厚さは、少なくとも電子部品の厚さと表裏の筐体の厚さとの和になり、電子機器をこれ以上薄型化することが困難という問題点があった。
【0006】
本件はこのような点に鑑みてなされたものであり、さらなる薄型化が可能な電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、電子機器が提供される。この電子機器によれば、電子部品と、前記電子部品を挟持する第1の面および第2の面を有する部品ホルダと、前記部品ホルダの前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方が露出する開口部を有する筐体と、を備えている。
【発明の効果】
【0008】
開示の電子機器によれば、薄型化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1の実施の形態に係る電子機器の要部を示す部分拡大断面図である。
【図2】電子部品を部品ホルダに装着する前の状態を示す図である。
【図3】電子部品を部品ホルダに装着した後の状態を示す図である。
【図4】部品ホルダを装着する前の裏側の筐体を示す図である。
【図5】部品ホルダを裏側の筐体に装着した状態を示す図である。
【図6】図5のa−a矢視断面図である。
【図7】第2の実施の形態に係る電子機器の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
図1は第1の実施の形態に係る電子機器の要部を示す部分拡大断面図である。
【0011】
第1の実施の形態に係る電子機器は、たとえば携帯電話機、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ、ポータブルテレビ、電子辞書などのような薄型化が要求される装置とすることができる。また、電子機器の薄型化のネックとなっていた電子部品としては、ここでは、スピーカを想定して説明するが、これらに限定されるものではなく、ブザー、マイクロフォンなどの他の電気音響変換器や、液晶パネルやバッテリなどの他の機能部品であってもよい。
【0012】
この電子機器によれば、表側の筐体11および裏側の筐体12を有し、筐体11,12によって囲まれた空間の内部に電子部品13が配置されている。この電子部品13は、断面コ字状の部品ホルダ14に収容されて保持されている。部品ホルダ14は、薄い板金を折り曲げ加工することによって形成され、筐体11,12の厚さとほぼ同じ厚さを有し、その両面は、筐体11,12に形成された開口部15,16から露出されている。つまり、この電子機器は、その厚さが部品ホルダ14の厚さまで薄型化されている。
【0013】
部品ホルダ14は、表側の筐体11から露出される第1の面14aに、電子部品13から放射された音波を外部へ放出するために音響伝達孔17が穿設されている。この部品ホルダ14の第1の面14aと電子部品13との間には、防塵布18が配置されている。部品ホルダ14の第2の面14bと電子部品13との間には、フレキシブルプリント基板19が配置されている。電子部品13は、板ばね形状の端子13aを有しており、部品ホルダ14の中に装着されたときに、その端子13aがフレキシブルプリント基板19に圧接されることによってフレキシブルプリント基板19に電気的に接続される。電子部品13が部品ホルダ14によって囲まれていることにより、ばね接点構造を有する端子13aは、その接触ストロークを安定して確保することができる。このフレキシブルプリント基板19は、部品ホルダ14の外に延出されていて、図示しない制御部内の駆動回路に電気的に接続される。
【0014】
部品ホルダ14は、導電性の板金であり、電子機器のグランド端子に接続されている。電子部品13は、部品ホルダ14によってシールドされているので、外部から静電気または電磁波の攻撃を受けたとしてもグランドへ逃がされて直接影響を受けることなく保護される。また、部品ホルダ14は、電子部品13の周りを囲んでいるので、電子部品13が何らかの電磁妨害を引き起こすようなノイズ発生源となり得る部品の場合に、電子機器からそのようなノイズが外部へ放射されるのを防止することができる。
【0015】
次に、電子機器の組み立て手順について説明する。
図2は電子部品を部品ホルダに装着する前の状態を示す図、図3は電子部品を部品ホルダに装着した後の状態を示す図である。図4は部品ホルダを装着する前の裏側の筐体を示す図、図5は部品ホルダを裏側の筐体に装着した状態を示す図、図6は図5のa−a矢視断面図である。
【0016】
部品ホルダ14は、図2に示したように、電子部品13をその両面から挟持するよう平行配置の第1の面14aおよび第2の面14bと、これら第1の面14aおよび第2の面14bを連結して断面コ字状にする連結部14cとを有している。第1の面14aは、その中央部に穿設された音響伝達孔17を有している。第2の面14bは、連結部14cが連結された辺に隣接する両辺に裏側の筐体12と係合する係合部14dが形成されている。この係合部14dは、第2の面14bの両辺から第1の面14aの方向に立設され、さらに、外側に向かって屈曲するように形成されている。第2の面14bは、また、連結部14cが連結された辺に対向する側の辺に第1の面14aの方向に立設された屈曲部14eを有している。第2の面14bは、その四方が連結部14c、係合部14dおよび屈曲部14eによって形成されていることにより、剛性が高くなっている。
【0017】
電子部品13は、防塵布18およびフレキシブルプリント基板19とともに部品ホルダ14の中に収容される。これは、たとえば電子部品13の両面を防塵布18およびフレキシブルプリント基板19で挟持しながら電子部品13を部品ホルダ14に挿入することによって電子部品13が部品ホルダ14に装着される。電子部品13を部品ホルダ14の中に装着した後は、ばね接点構造の端子13aが部品ホルダ14の中で電子部品13を動かないようにする。すなわち、端子13aが電子部品13を第1の面14aの方向に付勢し、フレキシブルプリント基板19を第2の面14bの方向に付勢することにより、図3に示したように、電子部品13が部品ホルダ14の中で保持され、部品ホルダ14と一体になる。この状態では、電子部品13の端子13aは、部品ホルダ14の中にあって外部に露出されていないので、これ以降の組み立て工程にて、接点部分が何かに接触したり接触による変形したりすることがない。
【0018】
この部品ホルダ14が装着される裏側の筐体12は、図4に示したように、部品ホルダ14の第2の面14bが入る大きさの開口部16を有している。この筐体12は、また、開口部16の対向する2つの短辺に沿って係合部20が形成されている。この係合部20は、筐体12から立設され、さらに筐体12の面から部品ホルダ14の厚さに相当する高さで開口部16のある方向に屈曲された断面逆L字形状を有している。
【0019】
筐体12の開口部16に部品ホルダ14を装着すると、図5および図6に示したように、部品ホルダ14の係合部14dが筐体12の係合部20と係合される。これによって、部品ホルダ14は、一部が開口部16に挿入された状態で筐体12に固定され、図6の例では、第2の面14bの外面が筐体12の外面と同一平面になるようにしている。部品ホルダ14は、また、表側の筐体11を裏側の筐体12に組み付けたときに、第1の面14aの外面が筐体11の外面と同一平面になるようにしている。その結果、電子機器の厚さ方向に大きな寸法の電子部品13を収納する場合でも、電子部品13を筐体11,12で挟持するだけで保持する場合に比較して電子機器の厚さを薄くすることができる。
【0020】
このように、電子機器は、電子部品を挟持する第1の面14aおよび第2の面14bを有する部品ホルダ14と、部品ホルダ14の第1の面14aおよび第2の面14bの少なくとも一方が露出する開口部15,16を有する筐体11,12とを備えるようにした。
【0021】
これにより、電子機器は、筐体11,12の電子部品13の収容部分の厚さを薄型化することができる。たとえば、電子部品13を挟持していた部分の筐体11,12の厚さがそれぞれ1.0ミリメートル(mm)および0.9mmであった場合、厚さが0.3mmの部品ホルダ14を使用して図1のように形成した場合に、1.3mmの薄型化が可能になる。
【0022】
図7は第2の実施の形態に係る電子機器の要部を示す断面図である。なお、この図7において、図6と同じものには同じ符号を付してその詳細な説明は省略する。
第2の実施の形態に係る電子機器は、開口部が筐体11,12の両方に有している第1の実施の形態に係る電子機器に対し、部品ホルダ14を挿入する開口部を筐体11,12の一方に有している。図7に示す例では、表側の筐体11に開口部15を有し、その開口部15の対向する両辺に沿って係合部20が形成され、その係合部20に部品ホルダ14の係合部14dを係合させて表側の筐体11に部品ホルダ14を固定している。表側の筐体11に開口部15に対応する裏側の筐体12には、開口部は設けられていない。
【0023】
この部品ホルダ14は、第2の面14bの中央部に音響伝達孔17が穿設されている。部品ホルダ14は、第1の面14aと第2の面14bとの間において、フレキシブルプリント基板19、電子部品13および防塵布18をこの順に積層して収容している。
【0024】
このように、電子機器は、筐体11,12の一方に開口部を設けるようにした。
これにより、電子機器は、筐体11,12の一方の電子部品13の収容部分の厚さを薄型化することができる。たとえば、電子部品13の筐体11の厚さが1.0mmであった場合、厚さが0.3mmの部品ホルダ14を使用して図7のように形成した場合に、0.7mmの薄型化が可能になる。
【符号の説明】
【0025】
11,12 筐体
13 電子部品
13a 端子
14 部品ホルダ
14a 第1の面
14b 第2の面
14c 連結部
14d 係合部
14e 屈曲部
15,16 開口部
17 音響伝達孔
18 防塵布
19 フレキシブルプリント基板
20 係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品と、
前記電子部品を挟持する第1の面および第2の面を有する部品ホルダと、
前記部品ホルダの前記第1の面および前記第2の面の少なくとも一方が露出する開口部を有する筐体と、
を備えていることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記部品ホルダは、前記第1の面および前記第2の面を連結して断面コ字状にする連結部を有していることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記部品ホルダは、前記連結部が連結された辺に隣接する両辺に第1の係合部を有し、
前記筐体は、前記開口部の前記第1の係合部に対応する両辺に第2の係合部を有し、
前記第1の係合部と前記第2の係合部とを係合して前記部品ホルダを前記筐体に固定することを特徴とする請求項2記載の電子機器。
【請求項4】
前記電子部品は、ばね接点構造の端子を有し、前記部品ホルダの前記第1の面または前記第2の面と前記電子部品との間に配置したフレキシブルプリント基板と電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。
【請求項5】
前記部品ホルダは、導電性の板金であり、前記電子機器のグランド端子に接続されていることを特徴とする請求項1記載の電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−42408(P2013−42408A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178739(P2011−178739)
【出願日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【出願人】(310022372)富士通モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】