説明

電子機器

【課題】平面方向への省スペース性を向上し、設置に要する面積を極力小さくすることのできる電子機器を提供する。
【解決手段】本体2と、本体2に設けられ、連続紙に各種情報を印字する印字部6と、本体の印字部6に近接した位置において、印字部6上方を覆う第1の位置と印字部6上方を開放する第2の位置との間を回動可能に設けられた第1表示部4と、第1表示部4と異なる方向を向いて第1表示部4に連結され、第1表示部4が第1の位置に位置している状態で印字部6または本体2に当接し、第1表示部4の印字部6側への回動を規制する第2表示部5と、を備える電子機器1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットや量販店において、商品販売データの処理を行うため、オペレータ用の画面および客用の画面を備えたPOS(Point Of Sales)端末等の電子機器が用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
POS端末は、精算場所に配設されてキャッシャが売上処理を行うための端末であり、本体の上面側にキーボードが設けられている。
【0004】
本体の上面側の略中央付近には、店員用の表示部が、キーボード側を向くように、軸を介して上下方向の角度調整可能に設けられている。本体の上面側の奥側端部近傍には、客用の表示部が、店員用の表示部とは反対側を向くように、軸を介して左右方向の角度調整可能に設けられている。
【0005】
POS端末の本体内部であってキーボード近傍には、レシートプリンタおよびジャーナルプリンタが、本体の上面に平行に並べて設けられている。レシートプリンタに連続紙を出し入れするための蓋と、ジャーナルプリンタに連続紙を出し入れするための蓋は、本体の上面に並べて設けられている。また、蓋には、レシートプリンタのレシート取り出し口が設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上述した従来のPOS端末では、それぞれの構成が本体の上面側において平面方向に並べて配置されているため、平面方向に対して装置が大型化してしまい、平面方向に対する省スペース性に課題がある。特に、店員用の表示部と、客用の表示部とを、本体の上面であって、レシートプリンタの蓋とジャーナルプリンタの蓋の開閉動作の妨げにならない位置に設ける必要がある。すなわち、店員用の表示部および客用の表示部を、本体の上面であって、レシートプリンタの蓋およびジャーナルプリンタの蓋の動作範囲外に設ける必要がある。そのため、店員用の表示部および客用の表示部を、レシートプリンタおよびジャーナルプリンタから所定の間隔を空けて設ける必要があり、この間隔が平面方向に対する装置の小型化の妨げとなっている。
【0007】
そこで、POS端末の機能を省くことなく、平面方向への省スペース性を向上し、設置に要する面積を極力小さくすることが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態に係る電子機器は、本体と、本体に設けられ、連続紙に各種情報を印字する印字部と、本体の印字部に近接した位置において、印字部上方を覆う第1の位置と印字部上方を開放する第2の位置との間を回動可能に設けられた第1表示部と、第1表示部と異なる方向を向いて第1表示部に連結され、第1表示部が第1の位置に位置している状態で印字部または本体に当接し、第1表示部の印字部側への回動を規制する第2表示部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本実施例に係るPOS端末を示す前方斜視図である。
【図2】図2は、上記POS端末の後方斜視図である。
【図3】図3は、上記POS端末の店員用の表示部を倒した状態を示す前方斜視図である。
【図4】図4は、上記POS端末の使用状態を示す側面図である。
【図5】図5は、上記POS端末の店員用の表示部を倒す途中の状態を示す側面図である。
【図6】図6は、上記POS端末の店員用の表示部を倒した状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図1〜6を用いて、実施形態に係る電子機器の実施例としてのPOS端末について説明する。
【0011】
図1および図2は、実施形態に係るPOS端末の概略的な概観構成を示す前方斜視図および後方斜視図である。
【0012】
POS端末1は、店舗の会計場所などに設置され、客が購入する商品の登録処理および会計処理を行う電子機器である。図1および図2に示すように、このPOS端末1は、本体2と、キーボード3と、店員用の表示部(第1表示部)4と、客用の表示部(第2表示部)5と、連結部材8と、レシートプリンタ6と、ジャーナルプリンタ7とを備えて構成されている。
【0013】
本体2は、その内部に各種情報処理を行う情報処理部(不図示)や、各種情報を記憶する記憶部(不図示)等が設けられている。
【0014】
本体2の上面側の一端側には、店員が各種操作を行うテンキーなどの各種機能キーを有する入力部としてのキーボード3が設けられている。
【0015】
本体2の上面側であってキーボード3、レシートプリンタ6およびジャーナルプリンタ7に隣接する位置には、連結部材8が設けられている。連結部材8は、第1軸81(図4乃至図6参照)を介して本体2と前後方向(キーボード3と、レシートプリンタ6やジャーナルプリンタ7とを結ぶ方向)に回動可能に連結しているとともに、第2軸82(図4乃至図6参照)を介して店員用の表示部4と前後方向に回動可能に連結している。
【0016】
本体2の上面側であってキーボード3、レシートプリンタ6およびジャーナルプリンタ7に近接する位置には、店員に対して処理内容などの各種情報を表示する店員用の表示部4が、2つの連結部材8を介して前後方向に回動可能に取り付けられている。そして、店員用の表示部4への電源や各種表示データの供給は、本体2から連結部材8を介して行われる。なお、第2軸82の回転動作には所定の抵抗力が加わるようになっている。この抵抗力により、店員用の表示部4は、連結部8に対して角度調節ができ、かつ、所定の角度を維持することができる。
【0017】
客用の表示部5は、店員用の表示部4の連結部材8と連結している側とは反対側の端部に、軸52を介して前後方向に回動可能に連結している。POS端末1の通常の使用状態においては、客用の表示部5は、後述するレシートプリンタ6およびジャーナルプリンタ7の上方に位置する。
【0018】
客用の表示部5は、客に対して購入した品物や請求金額などの各種情報を表示する。客用の表示部5に対する電源や各種表示データの供給は、本体2から連結部材8および店員用の表示部4を介して行われる。これにより、客用の表示部5を本体2上に直接設けなくても電源や各種表示データの供給が可能となる。なお、この軸52の回転動作には所定の抵抗力が加わるようになっている。この抵抗力により、客用の表示部5は、店員用の表示部4に対して角度調節ができ、かつ、所定の角度を維持することができる。
【0019】
客用の表示部5を店員用の表示部4に連続して設けることにより、本体2の上面側に客用の表示部5を設けるためのスペースを確保する必要が無くなり、POS端末1を平面方向に対して小型化することができる。
【0020】
また、POS端末1の通常の使用状態において、客用の表示部5は、後述するレシートプリンタ6およびジャーナルプリンタ7の上方に位置していて、本体2から平面方向に突出することがない。そのため、POS端末1を平面方向に対して小型化することができる。
【0021】
図1乃至図3に示すように、店員用の表示部4の下部であってキーボード3に近接した位置には、レシートプリンタ6とジャーナルプリンタ7が平面方向に並べて配置されている。
【0022】
レシートプリンタ6は、購入品目やその合計額等を連続紙に印刷してレシートとして発行する。このレシートプリンタ6は、内部にロール状の連続紙を収納する収納部(不図示)と、連続紙に印字を行う印字部(不図示)と、収納部から印字部を経てレシートプリンタ6の外部へと連続紙を輸送する給紙部(不図示)と、これらの各部位を覆う蓋62とを有している。連続紙に印字が行われて作成されたレシートは、蓋62に設けられたレシート排出口61から排出される。
【0023】
ジャーナルプリンタ7は、POS端末1の本体2内部に設けられている記憶部に記憶されている1日の売上実績等のデータを連続紙に印刷してジャーナルとして発行する。このジャーナルプリンタ7は、内部にロール状の連続紙を収納する収納部(不図示)と、連続紙に印字を行う印字部(不図示)と、印字が終了した連続紙をロール状に巻き取る巻取部(不図示)と、これらの各部位を覆う蓋72と、を有している。
【0024】
レシートプリンタ6とジャーナルプリンタ7は、キーボード3に近接して設けられている。そのため、POS端末を平面方向に小型化することができる。
【0025】
また、POS端末1を平面方向に小型化するためには、平面方向において各構成を近接して設けるとともに、各構成が平面方向において本体2の上面内に収まるように、すなわち、平面方向において本体2から突出しないように設けられることが好ましい。一方で、キーボード3の操作性を確保するためには、店員用の表示部4をキーボード3から所定の間隔を空けて設ける必要がある。
【0026】
そこで、本実施形態に係るPOS端末1が、店員用の表示部4をキーボード3から離間し、レシートプリンタ6とジャーナルプリンタ7の上方を覆う方向に回動した場合、客用の表示部5が本体2または蓋62、72に当接するように構成されている(図1、図2および図4を参照)。すなわち、キーボード3から離間する方向への店員用の表示部4の回動は、客用の表示部5が本体2または蓋62、72に当接する位置(第1の位置)までしか行われず、それ以上の回動が規制されるように構成されている。
【0027】
これにより、店員用の表示部4の回動を、表示内容が店員に見えやすい範囲内に収まるように規制することができる。また、店員用の表示部4の回動に伴い客用の表示部5が移動した場合でも、客用の表示部5は常に平面方向において本体2の上面内に収まり、本体2から突出しない。そのため、POS端末1の平面方向における大型化が効果的に防止され、省スペース性に優れた構成となっている。
【0028】
また、店員用の表示部4は、本体2の上部に、キーボード3に近接して設けられた連結部材8を介して設けられている。すなわち、本体2の上部において、キーボード3、連結部材8、レシートプリンタ6およびジャーナルプリンタ7のみを近接して設けることができ、平面方向における省スペース性に優れた構成となっている。
【0029】
そして、店員用の表示部4は、連結部材8を介して本体2に設けられているため、通常の使用状態(図1参照)においては、店員用の表示部4はキーボード3に対して連結部材8の分だけオフセットするため、キーボード3の操作性を確保することができる。
【0030】
上述した実施形態に係るPOS端末1の、店員用の表示部4の回動について図4〜図6を用いて説明する。
【0031】
図4は、POS端末1の通常の使用状態を示す側面図である。このときPOS端末1の店員用の表示部4は店員側に向いているとともに、客用の表示部5は客側に向いている。また、この状態において、本体2、連結部8および店員用の表示部4により形成される空間を通じて、レシート排出口61が店員側に露出した状態となっている(図1参照)。
【0032】
これにより、店員は、店員用の表示部4の下方であって、レシート排出口61から本体2、連結部材8および店員用の表示部4により形成される空間を通じて排出されるレシートを手に取ることができる。
【0033】
しかし、図4に示す状態では、店員用の表示部4は、レシートプリンタ6とジャーナルプリンタ7の上方を覆い、レシートプリンタ6の蓋62およびジャーナルプリンタ7の蓋72の動作範囲D内となる位置にある。そのため、このままの状態で蓋62、72を開くと店員用の表示部4の下辺に接触してしまうため、蓋62、72の開閉をすることができず、レシートプリンタ6やジャーナルプリンタ7へのロール紙の出し入れをすることができない。
【0034】
そこで、レシートプリンタ6やジャーナルプリンタ7へのロール紙の出し入れをするとき等、蓋62、72の開閉を行う必要がある場合には、店員用の表示部4を蓋62、72の動作範囲D外に退避させる必要がある。
【0035】
店員用の表示部4を蓋62、72の動作範囲D外に退避させるには、まず、図5に示すように、第2軸82を介して店員用の表示部4をキーボード3の方向に回動させ、起立させる。このとき、回動した店員用の表示部4の下辺41と連結部材8とが当接することで、店員用の表示部4の回転は、所定の角度まで行われた状態で規制されるとともに、第2軸82の回転に対する抵抗力によりその状態が維持される。また、店員用の表示部4に連結されている客用の表示部5も店員用の表示部4の移動に伴い移動し、客用の表示部5が蓋62、72の動作範囲D外に退避する。
【0036】
次に、図6に示すように、第1軸81を介して連結部材8をキーボード3の方向に回動させ、起立させる。このとき、第1軸81を介した連結部材8の回転は、連結部材8の端面83と本体2上面とが当接することで、所定の角度まで行われた状態で規制されるため、店員用の表示部4の回動も規制されることになる。すなわち、店員用の表示部4のキーボード3方向への回動は、所定の位置(第2の位置)で規制されることになる。そして、店員用の表示部4は、上記第1の位置と上記第2の位置の間を回動することができるように構成されている。
【0037】
こうして店員用の表示部4が図5の状態から更にキーボード3側に移動することで蓋62、72の動作範囲D外に退避し、レシートプリンタ6とジャーナルプリンタ7の上方が開放される。また、店員用の表示部4に追従して、客用の表示部5も図5の状態から更にキーボード3側へと移動するが、店員用の表示部4が第2の位置にある場合でも、客用の表示部5は常に本体2の上面内に収まり、平面方向において本体2から突出しない。そのため、POS端末1の平面方向における大型化が効果的に防止され、省スペース性に優れた構成となっている。
【0038】
そして、店員用の表示部4と客用の表示部5がいずれも蓋62、72の動作範囲D外に退避することができるため、蓋62、72の開閉を行うことができ、レシートプリンタ6やジャーナルプリンタ7へのロール紙の出し入れが可能な状態となる。なお、この状態においては、連結部材8により店員用の表示部4とキーボード3との間に所定の間隔が形成されるため、店員用の表示部4の接触によるキーボード3の誤操作を防止することができる。
【0039】
上述した実施例に係るPOS端末1によれば、第2軸82を介して店員用の表示部4がキーボード3の方向に回動、起立し、さらに第1軸81を介して連結部材8がキーボード3の方向に回動、起立する。こうして通常の使用状態においては蓋62、72の動作範囲D内に位置していた店員用の表示部4およびそれに連結する客用の表示部5を、蓋62、72の動作範囲外に退避させることができる。
【0040】
これにより、店員用の表示部4と客用の表示部5とを、通常の使用状態において、蓋62、72の動作範囲D内に位置するように設けることができる。すなわち、従来、店員用の表示部4と客用の表示部5とを動作範囲D外に設けるために、店員用の表示部4および客用の表示部5と、蓋62、72との間に必要とされていた所定のスペースを省略することができ、平面方向においてPOS端末1を小型化することができる。
【0041】
また、店員用の表示部4と客用の表示部5とを蓋62、72の動作範囲D外に退避させる際には、まず、店員用の表示部4と連結部材8とが第2軸82を中心として折りたたまれるため、店員用の表示部4と連結部材8とが近接したコンパクトな状態となる。そして、コンパクトな状態となった店員用の表示部4と連結部材8とを第1軸81を中心とした回転運動により移動させるため、店員用の表示部4と客用の表示部5とを蓋62、72の動作範囲D外に退避させる際の動作範囲を小さくすることができる。このように、店員用の表示部4と客用の表示部5との動作範囲が小さくて済むため、POS端末1の設置に要するスペースを小さくすることができる。
【0042】
なお、上述した実施例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施例やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0043】
例えば、上述した実施例においては、2つの連結部材により店員用に表示部が本体に連結されていたが、本発明においてはこれに限らず、例えば1つや、3つ以上の連結部材を用いて連結されていてもよい。この場合でも、同様に平面方向に対してPOS端末を小型化することができる。
【0044】
また、上述した実施例においては、本体上部に入力部としてのキーボードが設けられていたが、これを省略し、店員用の表示部を入力部も兼ねるタッチパネルとしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
1 POS端末
2 本体
3 キーボード
4 店員用の表示部
5 客用の表示部
6 レシートプリンタ
61 レシート排出口
62 蓋
7 ジャーナルプリンタ
72 蓋
8 連結部材
81 第1軸
82 第2軸
D 動作範囲
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2011−96126号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
前記本体に設けられ、連続紙に各種情報を印字する印字部と、
前記本体の前記印字部に近接した位置において、前記印字部上方を覆う第1の位置と前記印字部上方を開放する第2の位置との間を回動可能に設けられた第1表示部と、
前記第1表示部と異なる方向を向いて前記第1表示部に連結され、前記第1表示部が前記第1の位置に位置している状態で前記印字部または前記本体に当接し、前記第1表示部の前記印字部側への回動を規制する第2表示部と、
を備える電子機器。
【請求項2】
前記第1表示部が前記第2の位置に移動することで前記印字部への前記連続紙の出し入れが可能となる請求項1記載の電子機器。
【請求項3】
前記本体は入力部を備え、前記第1表示部は前記入力部側に回動することで前記第2の位置に位置した状態となり、前記第1表示部が前記第2の位置に位置した状態においては、前記第1表示部と前記入力部とが離間している請求項1または2記載の電子機器。
【請求項4】
前記第2表示部は前記第1表示部に対して回動可能に連結されている請求項1乃至3の何れかに記載の電子機器。
【請求項5】
前記第2表示部への電源および表示データの供給は、前記本体から前記第1表示部を介して行われる請求項1乃至4の何れかに記載の電子機器。
【請求項6】
前記第1表示部が前記第1の位置に位置している状態では、印字が行われ前記印字部から排出される連続紙は、前記第1表示部の下方を通り前記第2の位置の方向に供給される請求項1乃至5の何れかに記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−54644(P2013−54644A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193724(P2011−193724)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】