説明

電子歩数計

【課題】 特殊な構造の加速度センサを用いることなく、且つソフトウエアによる外乱除去の信号処理を行うことなく、その歩数計ケースに加えられた外力によって誤作動しない低コストの電子歩数計を提供すること。
【解決手段】 電子歩数計の歩数計ケース1のモジュール収納部に収納されている回路基板は、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板2と加速度センサ4を搭載したサブ基板3の2枚で構成されている。サブ基板3はフレキシブル回路基板で形成されたものであって、メイン基板2に柔軟性を有する固定部材20によって固定されている。そして、サブ基板3とメイン基板2との間の電気的接続は前記フレキシブル回路基板のサブ基板3を部分的に延伸して形成した凸状の端子領域3Bを半田付け21して行われている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサを搭載した回路基板を備えた電子歩数計に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な電子歩数計は、例えば特許第3493550号公報(特許文献1)など開示されている如く、プログラムに従って各種の演算と制御を行うCPUの如き制御部、基準クロック信号発生器と分周・タイミング回路とを含む時刻計時部、前記プログラムが記憶されたROMの如きプログラム記憶部、歩数などの各種データが記憶されるRAMの如きデータ記憶部、時刻設定やモード切替のための入力手段、時刻や歩数などを表示するLCD、LCDを駆動する表示ドライバ、及び歩数センサとで構成されている。電子歩数計の歩数センサとしては、半導体加速度センサが代表的なものである。
【0003】
上述の通り、一般的な電子歩数計は携帯型電子時計に歩数計数機能を付加して構成した携帯型電子機器であるから、歩数計数機能の他にも様々な機能を備えている。これらの機能を表示モードで表現すれば、時刻表示モード、ストップウォッチモード、歩数モード、距離モードなどである。これらのモード切替は、外装などの歩数計ケースに備えられている切替スイッチなどの外部操作部材を利用者が操作して行われる。各モードにおいても、外部操作部材を操作することが行われる。例えば、歩数モードにおいては、ピッチの変更などを外部操作部材の操作で行われる。
【0004】
このような構造であるため、電子歩数計の歩数センサである半導体加速度センサは利用者の歩行による加速度を感知するだけでなく、外部操作部材の操作による電子歩数計の加速度も感知することになる。利用者の外部操作部材の操作による電子歩数計の加速度を加速度センサが感知すると、半導体加速度センサは利用者の歩行による加速度を感知したときと同じように加速度信号を発生する。加速度信号は制御部で演算処理されて歩数として計数されるから、外部操作部材の操作による電子歩数計の加速度が歩数として誤って計数されることになる。
【0005】
そこで、上述の特許文献1に開示されている従来の電子歩数計では、利用者が外部操作部材を操作したときには、操作した時刻から一定時間だけ歩数の計数を停止し、前記所定時間経過後に歩数の計数停止までの歩数値に予測歩数を加算することによって、実歩数に近づけるようにしている。前記予測歩数は、前記所定時間に利用者が歩行したであろう歩数であって、例えば歩数の計数を中止する直前の単位時間当たりの平均歩数に前記所定時間を乗算して算出されるものである。
【0006】
このように、従来の電子歩数計は、外部操作部材の操作によって実際の歩数とは異なる計数を行うということを前提にし、外部操作部材の操作の時刻から一定時間だけ実際の歩数の計数を停止し、所定の演算処理によって算出した停止期間中の予測歩数を計数停止の時までの歩数に加算するものである。従って、歩行中に外部操作部材を操作するのであれば、従来の電子歩数計は確かに実歩数に近い値を表示できるものである。しかしながら、歩行停止中に外部操作部材を操作した場合にも従来の電子歩数計は予測歩数の加算処理がなされるから、表示される歩数は実歩数と差が生じるという問題がある。また、外部操作部材の操作した場合には、それまでの歩行ピッチと異なる歩行ピッチとなることがあるが、歩行ピッチの変化に対応した予測歩数の算出は行われていないので、表示される歩数は実歩数と差が生じるという問題がある。このような問題は、従来の電子歩数計が実際の歩数のみを計数することが不可能な構造であることに起因しているのである。
【0007】
ところで構造的に表現すれば、従来の電子歩数計は図5から図6に示す如く、信号処理を行う電子回路素子と加速度センサ4を搭載した回路基板10が歩数計ケース1内に配置され、その外周縁が2箇所ないし4箇所の基板固定部6で歩数計ケース1に固定されている。このような電子歩数計の歩数計ケース1に外力を与えると、歩数計ケース1に発生する歪が回路基板10に伝わる。前記歪が前記加速度センサにまで伝播し、これによって加速度センサ4は前記歪に応答して歪検出信号を発生する。前記歪検出信号は回路基板10に搭載された信号処理用の電子回路素子で歩数信号として処理され、実歩数ではない誤った歩数がカウントされることになる。上記外力は、外部操作部材の操作によって与えられる以外に、電子歩数計を装着時や取り外し時に予想外の衝撃や過大な圧力が加わったり、或いは不注意により何かに電子歩数計をぶち当てたりした場合等にも発生する。しかしながら、特許文献1に記載されている如きソフトウエアによる電子歩数計の誤動作の防止手法は、このような予想外の外力に対しては適用できないという問題がある。
【0008】
特開平1−287417号公報(特許文献2)には、プリント基板の一面に弾性体からなる緩衝材を取り付け、前記緩衝材にピエゾ素子からなる加速度検出形センサの一端を取り付けて前記加速度検出形センサを片持梁として形成し、前記センサの自由端に錘を取り付けて構成された電子歩数計が記載されている。加速度検出形センサが片持梁に取り付けられた歩数センサを備えた電子歩数計は、上下運動の加速度に応じて生じる前記片持梁の上下揺動を前記加速度検出形センサが検出し、これによって歩数をカウントするものである。このような独特の構造の電子歩数計は、前記緩衝材を介することで、振動数が高くて雑音となる動きには前記加速度検出形センサは応答しない。従って、この電子歩数計は歩数計ケースに与えられる外力であって、振動数が高くて雑音となる動きを生じさせる外力による誤作動を防止できる。
【0009】
しかしながら、特許文献2に記載の電子歩数計は特殊な構造の加速度検出形センサを用いなければならないので、その分だけコスト高になること、及び、歩数計ケースのサイズや形状が制約を受けるという問題がある。更に、特殊な構造の加速度検出形センサの必須構成要素である前記緩衝材で吸収できるのは、振動数が高くて雑音となる動きだけであるので、それ以外の動きを生じさせる外力が歩数計ケースに加えられた場合には、誤作動するという問題がある。
【特許文献1】特許第3493550号公報
【特許文献2】特開平1−287417号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、特殊な構造の加速度センサを用いることなく、且つソフトウエアによる外乱除去の信号処理を行うことなく、歩数計ケースに外力が加えられても誤作動しない低コストの電子歩数計を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、加速度センサで歩数を検出する電子歩数計において、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記サブ基板を前記メイン基板と前記歩数計ケースからの歪を受けないようにして前記歩数計ケース内に配置した。
【0012】
即ち、上記課題を解決する第1の電子歩数計は、加速度センサで歩数を検出する電子歩数計において、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記サブ基板を歩数計ケースに1箇所で固定すると共に前記メイン基板との間を可撓性導電部材で接続したことを特徴とするものである。
【0013】
また、上記課題を解決する第2の電子歩数計は、加速度センサで歩数を検出する電子歩数計において、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記サブ基板は前記メイン基板に柔軟性を有する固定部材を介して固定すると共に前記メイン基板との間を可撓性導電部材で接続したことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、特殊な構造の加速度センサを用いることなく、その歩数計ケースに外力が加えられても誤作動しない低コストの電子歩数計を提供することができた。本発明にかかる電子歩数計においては、歩数計ケースに加えられた外力による歪は前記メイン基板に生じるだけで、前記サブ基板に生じないのからである。なお、前記外力には、歩数計ケースに加えられた予想外の衝撃による圧力、歩数計ケースに備えられている切替スイッチなどの外部操作部材を利用者が操作したときの圧力などが含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る電子歩数計は、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記メイン基板を歩数計ケースに複数個所で固定し、更に前記サブ基板をフレキシブル回路基板で形成し且つ前記メイン基板に柔軟性を有する固定部材で固定したことを特徴とする。
【実施例1】
【0016】
本発明の実施例1の電子歩数計は、加速度センサと、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と、前記加速度センサを搭載したサブ基板を備えた電子歩数計において、前記メイン基板を歩数計ケースに複数個所で固定し、且つ前記サブ基板は歩数計ケースに1箇所で固定すると共に前記メイン基板との間を可撓性導電部材で接続したことを特徴とするものである。
【0017】
即ち、実施例1の電子歩数計1は、図1のブロック回路図に示す如く、2枚の別体の回路基板、即ち信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板2と加速度センサを搭載したサブ基板3を備えて構成されている。メイン基板2には、プログラムに従って各種の演算と制御を行うCPU11、発振回路15、分周回路14、前記プログラムが記憶されたROM12、歩数などの各種データが記憶されるRAM13が搭載されている。次に、サブ基板3には、半導体加速度センサ4と増幅回路16を構成する電子回路素子が搭載されている。歩数計ケース1のモジュール収納部に収納される歩数計モジュールは、メイン基板2、サブ基板3及び液晶表示部9を含んで構成されている。
【0018】
メイン基板2は、歩数計ケース1の矩形のモジュール収納部に対応した形状と寸法のガラスエポキシ基板であって、その表面にはプリント回路が形成され、且つ上述の如き信号処理を行う電子回路素子が搭載されている。メイン基板2は、図2から図4に示す如く、4箇所の基板固定部6で歩数計ケース1の周縁部に固定されている。
【0019】
歩数計ケース1は、裏側に開口した矩形のモジュール収納部を有するプラスチックのケース本体1Aと裏蓋1Bとで構成されている。ケース本体1Aの表面には中央部に矩形の表示窓が形成され、ケースの四隅にはケース表面とモジュール収納部にそれぞれ開口する外部操作部材案内穴がそれぞれ形成されている。メイン基板2の四隅には前記外部操作部材案内穴に対応する位置に、スイッチ部5Bのスイッチパターンが形成されている。前記スイッチパターンは前記プリント回路に電気的に接続されている。
【0020】
サブ基板3は、所定の形状と寸法のガラスエポキシ基板であって、その表面にはプリント回路が形成され、且つ上述の如き半導体加速度センサ4と増幅回路16を構成する電子回路素子が搭載されている。サブ基板3は、図2と図3に示す如く、歩数計ケース1に1箇所の基板固定部7においてネジなどの固定手段で固定され、且つ、サブ基板3とメイン基板2との間は可撓性導電部材8で電気的に接続されている。
【0021】
即ち、半導体加速度センサ4が搭載されたサブ基板3は、歩数計ケース1の裏蓋1Bの中央部に一体に形成されたボス7Bに、サブ基板3の取付け孔を介して固定用ネジ7Aを螺合させることによって固定されている。更に、サブ基板3のプリント回路とメイン基板2のプリント回路との間は可撓性導電部材8であるヒートシールコネクタで電気的に接続されている。要するに、加速度センサ4はサブ基板3の平面方向に感度軸を有するものであって、且つサブ基板3は歩数計ケース1の底面に平行に配置され且つ1箇所で固定されているのである。
【0022】
実施例1の電子歩数計の組み立てにおいて、4個の操作ボタンなどのスイッチ操作部材5Aは、その頭部をケース本体1Aの表面に露出するようにして、ケース本体1Aの四隅に形成されている案内穴に軸方向に移動可能に挿入配置される。次に、歩数計モジュールが、ケース本体1Aの裏側開口からモジュール収納部に収納される。すると、メイン基板2の周縁の上側はケース本体1Aのモジュール収納部の内側面に形成されている基板取付け用段部に当接し、且つ、液晶表示部9の液晶表示ユニット9Bはケース表面に形成されている表示窓に位置づけられる。
【0023】
次に、メイン基板2の周縁は、4箇所の基板固定部6において前記メイン基板取付け用段部にケース本体1Aの裏側から固定用ネジによって螺合され、これによって歩数計モジュールはケース本体1Aに固定される。上記メイン基板取付け用段部は、半導体加速度センサ4が搭載されたサブ基板3がメイン基板2の下部に収納される空間を形成するような位置に形成されている。最後に、ケース本体1Aの裏側開口は裏蓋1Bによって封止される。この場合、裏蓋1Bには、1箇所の固定部7においてサブ基板3が既に固定されている。なお、図1と図2には図示しないが、図4に示したキー入力手段17はケース本体1Aの側面に配置され、電池18は歩数計ケース1のモジュール収納部内に収納されている。
【0024】
ところで、ケース本体1Aの表側の表示窓は、歩数計モジュールをケース本体1Aに組み込む前に、表示窓用ガラス9Aによって封止されている。また、メイン基板2に形成されているスイッチ部5Bのスイッチパターンの上には、歩数計モジュールをケース本体1Aに組み込む前に、ラバースイッチが配置されている。前記ラバースイッチはスイッチ操作部材5Aの先端で押圧されて電気的に導通しスイッチ部5Bを導通させ、スイッチ操作部材5Aの先端による押圧がなくなると電気的に絶縁状態となってスイッチ部5Bを非導通にさせるスイッチである。前記ラバースイッチは弾性体であるから、通常時即ち非操作時にはスイッチ操作部材5Aをケース本体1Aの表面の方向に押し上げるばね部材として機能している。
【0025】
上述の如く構成された本発明の実施例1の電子歩数計において、歩数計ケース1に予想外の衝撃による圧力が加えられると、前記圧力による歪が歩数計ケース1に発生する。すると、前記歪はメイン基板2には伝播する。信号処理を行う電子回路素子が搭載されたメイン基板2は、歩数計ケース1にその周縁を4箇所、少なくとも2箇所固定されているからである。しかしながら、加速度センサ4が搭載されたサブ基板3には伝播しない。加速度センサ4はサブ基板3の平面方向に感度軸を有するものであって、且つサブ基板3は歩数計ケース1の底面に平行に配置され且つ1箇所で固定されているのである。また、サブ基板3とメイン基板2との電気的接続は可撓性導電部材8であるヒートシールコネクタが採用されているから、メイン基板2を伝播する歪は可撓性導電部材8で阻止され、サブ基板3に伝播しないからである。
【0026】
利用者が外部操作部5のスイッチ操作部5Aを操作してスイッチ部5Bに応力が加えられた場合には、前記応力による歪がメイン基板2の前記スイッチ部5Bに発生しメイン基板2を伝播する。しかしながら、加速度センサ4が搭載されたサブ基板3には伝播しない。サブ基板3は、歩数計ケース1に1箇所で固定されると共にメイン基板2との電気的接続は可撓性導電部材8であるヒートシールコネクタが採用されているからである。即ち、メイン基板2を伝播する歪は可撓性導電部材8で阻止され、サブ基板3に伝播しないからである。
【0027】
以上、実施例1の電子歩数計を詳細に説明したが、サブ基板3はメイン基板2と二層になるように歩数計ケース1内に配置されることに限定されるものではなく、メイン基板2と同一平面になるように歩数計ケース1内に配置されてもよいことは勿論である。また、サブ基板3の歩数計ケース1への固定方法は、歩数計ケース1の底面に形成された1個の固定用ボス7Bに固定用ネジ7Aを螺合させて行う方法に限られるものではないことも勿論である。
【実施例2】
【0028】
本発明の実施例2の電子歩数計は、加速度センサで歩数を検出する電子歩数計において、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記サブ基板を前記メイン基板に柔軟性を有する固定部材を介して固定すると共に前記メイン基板との間を可撓性導電部材で接続したことを特徴とするものである。従って、実施例2の電子歩数計は、前記サブ基板を前記メイン基板と前記歩数計ケースからの歪を受けないようにして前記歩数計ケース内に配置する構成が異なるだけで、他の構成は実施例1と同じである。
【0029】
即ち、実施例2の電子歩数計は、図5に示す如く、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板2と、加速度センサ4を搭載したサブ基板3を備えたものであって、サブ基板3はメイン基板2に柔軟性を有する固定部材20を介して固定されている。更に、サブ基板3のプリント回路とメイン基板2のプリント回路との間は可撓性導電部材8であるヒートシールコネクタで電気的に接続されている。
【0030】
また、実施例2の電子歩数計は、図6に示す如く、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板2と、加速度センサ4を搭載したサブ基板3を備えたものであって、サブ基板3はメイン基板2に柔軟性を有する固定部材20を介して固定されている。更に、サブ基板3のプリント回路とメイン基板2のプリント回路との間は可撓性導電部材8であるフラットケーブルで電気的に接続されている。
【0031】
柔軟性を有する固定部材20は、アクリル系粘着剤を塗布した両面粘着テープ、アクリル系接着剤叉はシリコン系接着剤である。
【0032】
なお、実施例1と同様に、サブ基板3は所定の形状と寸法のガラスエポキシ基板であり、加速度センサ4はサブ基板3の平面方向に感度軸を有するものであり、メイン基板2は歩数計ケースの底面に平行に配置され且つ複数箇所で固定されているものである。
【0033】
上述の如く構成された本発明の実施例2の電子歩数計において、歩数計ケース1に予想外の衝撃による圧力が加えられると、前記圧力による歪が歩数計ケース1に発生する。すると、前記歪はメイン基板2には伝播する。信号処理を行う電子回路素子が搭載されたメイン基板2は、歩数計ケース1に固定されているからである。しかしながら、加速度センサ4が搭載されたサブ基板3には伝播しない。加速度センサ4はサブ基板3の平面方向に感度軸を有するものであって、且つサブ基板3はメイン基板2に柔軟性を有する固定部材20を介して固定されているからである。また、サブ基板3とメイン基板2との電気的接続は可撓性導電部材8であるヒートシールコネクタ又はフラットケーブルが採用され、これによってメイン基板2を伝播する歪は可撓性導電部材8で阻止され、サブ基板3に伝播しないからである。
【実施例3】
【0034】
本発明の実施例3の電子歩数計は、加速度センサで歩数を検出する電子歩数計において、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記サブ基板はフレキシブル回路基板で形成し且つ前記メイン基板に柔軟性を有する固定部材を介して固定すると共に、前記サブ基板と前記メイン基板との間を前記フレキシブル回路基板の一部を利用した可撓性導電部材で接続したことを特徴とするものである。
【0035】
即ち、本発明の実施例3の電子歩数計においては、サブ基板3がガラスエポキシ基板で形成されている実施例1と実施例2と異なり、サブ基板3はフレキシブル回路基板で形成されている。そして、加速度センサを搭載したフレキシブル回路基板のサブ基板3は、実施例2と同様に、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板に柔軟性を有する固定部材を介して固定されている。しかしながら、サブ基板のプリント回路とメイン基板のプリント回路との間の電気的接続手段は、実施例2の可撓性導電部材の機能を、サブ基板を形成するフレキシブル回路基板の一部を利用して実現しているものである。
【0036】
より詳細に説明すると、実施例3の電子歩数計は、図8に示す如く、加速度センサ4などの電子回路素子を搭載したサブ基板3は、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板2に柔軟性を有する固定部材20を介して固定されている。サブ基板3はフレキシブル回路基板で形成され、図7に示す如く、電子回路素子実装領域3A、4つの端子領域3B、2つの係止領域3C、電子回路素子実装領域3Aと係止領域3Cとの間に形成された狭隘部3D、及びサブ基板3上に形成されたプリント回路3Eとで構成されている。電子回路素子実装領域3Aには、加速度センサ4、抵抗22、コンデンサ23などの電子回路素子を実装されている。5つの端子領域3Bは電子回路素子実装領域3Aから図7の左方に、従ってメイン基板2の中央部方向に凸状に延伸して形成されている。係止領域3Cは電子回路素子実装領域3Aから図7の右方の上下に、従ってメイン基板2の一方の端部2Aの上下方向に夫々延伸して形成されている。プリント回路パターン3Eの5つの端子部3Fは、サブ基板3の5つの凸状の端子領域3Bに対応して凸状に形成されている。
【0037】
歩数計ケース1は、裏側に開口した矩形のモジュール収納部を有するプラスチックの上ケース1A、下ケース1B、上ケース1Aの開口部を塞ぐガラス1C、ガラス1Cの押さえ板1Dとで構成されている。サブ基板3の係止領域3Cには、歩数計ケース1の上ケース1Aと下ケース1Bを結合するために上ケース1Aに形成されている結合用突起部1Eを受ける貫通穴3Eが形成されている。
【0038】
柔軟性を有する固定部材20は、アクリル系粘着剤を塗布した両面粘着テープ、アクリル系接着剤叉はシリコン系接着剤である。
【0039】
また、サブ基板3のプリント回路3Eとメイン基板2のプリント回路との間の電気的接続手段は、サブ基板3を形成するフレキシブル回路基板の一部を利用して実現しているものである。即ち、前記電気的接続手段は、サブ基板3の電子回路素子実装領域3Aからメイン基板2の中央部方向に凸状に延伸して形成されている5つの端子領域3B、及びこれら端子領域に延伸しているプリント回路3Eの5つの凸状の端子部3Fで実現されている。そして、このサブ基板3の5つの凸状の端子部3Fは、メイン基板2のプリント回路の対応する端子部に半田付け21されている。
【0040】
なお、加速度センサ4はサブ基板3の平面方向に感度軸を有するものであり、メイン基板2は歩数計ケース1の上ケースと下ケースに挟持され、その底面に平行に配置され且つ複数箇所で固定されているものである。
【0041】
上述の如く構成された本発明の実施例3の電子歩数計において、歩数計ケース1に予想外の衝撃による圧力が加えられると、前記圧力による歪が歩数計ケース1に発生する。すると、前記歪はメイン基板2には伝播する。信号処理を行う電子回路素子が搭載されたメイン基板2は、歩数計ケース1に固定されているからである。しかしながら、加速度センサ4が搭載されたサブ基板3には伝播しない。加速度センサ4はサブ基板3の平面方向に感度軸を有するものであって、且つサブ基板3はメイン基板2に柔軟性を有する固定部材20を介して固定されているからである。また、サブ基板3とメイン基板2との電気的接続は、フレキシブル回路基板であるサブ基板3の一部を利用して形成した可撓性導電部材、即ちサブ基板3電子回路素子実装領域3Aから凸状に延伸して形成されている5つの端子領域3Bで実現しているから、メイン基板2を伝播する歪は前記可撓性導電部材で阻止され、サブ基板3に伝播しないからである。
【0042】
また、図7の平面図に示す如く、実施例3ではサブ基板3は2つの係止領域3Cを有し、この係止領域3Cが上ケース1Aと下ケース1Bで挟持されている。このため、サブ基板3も歩数計ケース1に固定されている領域を有する。しかしながら、この係止領域3Cを介してサブ基板3の電子回路素子実装領域3Aに、上述のケースに発生した歪はで伝達されることはない。サブ基板3の電子回路素子実装領域3Aと係止領域3Cとの間にはフレキシブルな狭隘部3Dが形成されているからである。なお、係止領域3Cは実施例3の機能上からは必ずしも必要なものではない。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施例1の電子歩数計のブロック回路図である。
【図2】表示パネルを取り外し、且つ、回路ユニットからICなどの電子回路素子を除いて示した本発明の実施例1の電子歩数計の平面図である。
【図3】本発明の実施例1の電子歩数計の断面図である。
【図4】本発明の実施例1の電子歩数計の平面図である。
【図5】本発明の実施例2の電子歩数計の断面図である。
【図6】本発明の実施例2の電子歩数計の変形の断面図である。
【図7】本発明の実施例3の電子歩数計の部分平面図であって、半導体加速度センサなどの電子回路素子が搭載されたサブ基板の平面図と、前記サブ基板を搭載したメイン基板の部分平面図である。
【図8】本発明の実施例3の電子歩数計の断面図である。
【図9】従来の電子歩数計の平面図である。
【図10】従来の電子歩数計の断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 歩数計ケース
1A ケース本体又は上ケース
1B 裏蓋又は下ケース
1C ガラス
1D 押さえ板
1E 組付け用突起部
2 メイン基板
2A 結合端部
3 サブ基板
3A プリント回路パターン
3B 端子部
3C 結合端部
3D 狭隘部
3E 貫通穴
4 加速度センサ
5 外部操作部
5A スイッチ操作部材
5B スイッチ部
6 基板固定部
7 サブ基板固定部
7A 固定用ネジ
7B ボス
8 可撓性導電部材
9 液晶表示部
9A 表示窓用ガラス
9B 液晶表示ユニット
10 基板
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 分周回路
15 発振回路
16 増幅回路
17 キー入力手段
18 電池
19 導電ゴム
20 柔軟性を有する固定部材
21 半田
22 抵抗
23 コンデンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサで歩数を検出する電子歩数計において、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記サブ基板を歩数計ケースに1箇所で固定すると共に前記メイン基板との間の電気的接続を可撓性導電部材で行っていることを特徴とする電子歩数計。
【請求項2】
前記加速度センサは前記サブ基板の平面方向に感度軸を有するものであって、前記サブ基板は歩数計ケースの底面に平行に配置され且つ1箇所で固定されていることを特徴とする請求項1に記載の電子歩数計。
【請求項3】
前記サブ基板は、前記メイン基板と二層になるように歩数計ケース内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子歩数計。
【請求項4】
前記サブ基板は、前記メイン基板と同一平面になるように歩数計ケース内に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子歩数計。
【請求項5】
前記サブ基板は歩数計ケースの底面に形成された1個の固定用ボスにネジで固定されていることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の電子歩数計。
【請求項6】
加速度センサで歩数を検出する電子歩数計において、信号処理を行う電子回路素子を搭載したメイン基板と前記加速度センサを搭載したサブ基板の2枚で回路基板を構成し、前記サブ基板を前記メイン基板に柔軟性を有する固定部材を介して固定すると共に前記メイン基板との間の電気的接続を可撓性導電部材で行っていることを特徴とする電子歩数計。
【請求項7】
前記サブ基板はフレキシブル回路基板であって、且つ前記可撓性導電部材は前記フレキシブル回路基板の一部を利用して形成されたものであることを特徴とする請求項6に記載の電子歩数計。
【請求項8】
前記フレキシブル回路基板の一部は凸状の端子部であることを特徴とする請求項7に記載の電子歩数計。
【請求項9】
前記柔軟性を有する固定部材は、アクリル系粘着剤を塗布した両面粘着テープであることを特徴とする請求項6に記載の電子歩数計。
【請求項10】
前記柔軟性を有する固定部材は、アクリル系接着剤叉はシリコン系接着剤であることを特徴とする請求項6に記載の電子歩数計。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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