説明

電子水の燃焼方法

【課題】電子を豊富に含む電子水をマイクロ波照射によりさらに活性化させ、電子水単独での燃焼を可能とする燃焼方法を提供する。
【解決手段】電子を豊富に含む電子水をマイクロ波照射によりさらに活性化させ、電子水単独100%での燃焼を可能とする。さらに石油系燃料との同時燃焼において、配合割合において電子水の体積比80%以上を可能とし、ガス系燃料との同時燃焼に置いては電子水の重量比90%以上を可能とすることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子を豊富に含んだ電子水を、マイクロ波照射によりさらに活性化させ、活性化された電子水を燃料バーナ装置により燃焼させる燃焼方法に関するものであり、電子水単独での燃焼或いは電子水と石油系燃料或いは電子水とガス系燃料との同時燃焼も可能とする燃焼方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
水の成分は水素と酸素であり、水を燃料として使用する試みは従来よりなされている。例えばエマルジョン燃料は、水と油を界面活性剤を使用して混合し、燃焼させるものであるが、一般の水の場合、4,300℃以上でないと水素と酸素に分離せず、従ってエマルジョン燃料の場合は、水自身は燃焼せず、水が蒸発する際の急激な体積膨張により、油の粒子を微小化し、燃焼効率の向上を図るものである。しかし装置が高額であり、水の蒸発時の潜熱が大で燃焼温度が低下する、装置の故障が多い等多くの問題があり、実用化は余り進んでいない。また水を低温度で燃焼させる試みがなされており、380℃の温度で燃焼に成功したとの発表もある。これは水を触媒とともに加熱し、蒸発させ、さらに第2の触媒の存在下に380℃まで加熱して点火燃焼させるものであるが、現在のところ実用化はなされていない。
電子を豊富に含み電子活性化された水を、軽油、灯油、重油等の石油系燃料と混合し、バーナ装置により燃焼する水燃料とオイル混合バーナ装置が実用化されているが、電子活性化された水の配合比は体積比で30%程度である。水配合比70%以上或いは水100%燃焼の装置は未だ開発されていない。水の成分である水素を燃料として使用することは、炭酸ガスが発生せず、地球温暖化防止、環境改善、省資源の面より極めて好ましいことであり、水100%燃焼装置の開発は、省資源、地球温暖化防止、環境改善の面より望まれる事である。
【0003】
本願発明に関する公知技術として次の非特許文献を挙げることができる。
【0004】
【非特許文献1】 「水を燃やす技術」、第63頁〜65頁
【非特許文献2】 「水燃料+オイル混合バーナ」、イズミ工業社カタログ
【非特許文献3】 「マイクロ波応用技術」、第58頁〜第69頁
【非特許文献4】 「高周波の基礎と応用」、第133頁〜141頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の如く、水と油を界面活性剤を使用して混合したエマルジョン燃料は実用化において問題があり、或いは電子を豊富に含んだ電子水を軽由・灯油・重油等の石油系燃料と混合し、燃料バーナ装置により燃焼させる燃焼装置が実用化されているが、電子を豊富に含んだ電子水の体積配合比は30%程度であり、現在、電子を豊富に含んだ電子水100%での燃焼方法は開発されていない。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、電子を豊富に含む電子水をマイクロ波照射によりさらに活性化させ、電子水単独100%での燃焼を可能とし、さらに油或いはガスとの同時燃焼においても電子水の配合割合を80%以上可能とする電子水の燃焼方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の電子を豊富に含んだ電子水の燃焼方法は、該電子水にマイクロ波を照射することによりさらに活性化された電子水を、燃料バーナ装置により燃焼させる燃焼方法である。
【0008】
本発明において使用する電子を豊富に含んだに電子水は、電子水原液を500〜20,000倍、好ましくは、1,000〜10,000倍に水道水、湧水等で希釈した希釈水であり、電子を1cc当り10兆個以上含有する活性化された電子水である。電子水原液は、水道水、湧水、河川の水等より化学的方法により製造された電子水である。
【0009】
電子を豊富に含んだ電子水を、マイクロ波照射によりさらに活性化させ、燃料バーナ装置で燃焼させるに際し、軽油または灯油または重油等の石油系燃料との同時燃焼において、さらに活性化された電子水の配合比は体積比で20〜80%以上である。
【0010】
電子を豊富に含んだ電子水を、マイクロ波照射によりさらに活性化させ、燃料バーナ装置で燃焼させるに際し、プロパンガス、ブタンガス等のガス系燃料との同時燃焼において、さらに活性化された電子水の配合比は重量比で20〜90%以上である。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように本発明によれば、電子を豊富に含んだ電子水をマイクロ波照射によりさらに活性化させることにより、電子水を構成する水素原子と酸素原子の結合力が低下し、330〜360℃以下の低温度で水素と酸素に分離し、分離した水素ガスが酸素と反応して燃焼する。従って電子水単独での燃焼が可能となり、さらに灯油、重油等の石油系燃料、プロパンガス、ブタンガス等のガス系燃料との同時燃焼も容易となる。石油系燃料との同時燃焼における電子水の配合比は、体積比で80%以上においても燃焼が可能となり、ガス系燃料との同時燃焼における電子水の配合比は重量比で90%以上においても燃焼可能となる。電子水の燃焼は、水素の燃焼であり、排気物は水であり、クリーンエネルギーとして環境改善、地球温暖化防止に貢献すると共に、燃料費の大幅低減にも貢献しうるのである。また実際使用に際しては、原液を1,000〜10,000倍に水道水等で希釈して使用するので、輸送費が低減し、燃料の維持・管理費が低減し、安全性も向上し、販売も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0013】
図1〜図4は本発明の実施の形態に係り、図1は、本発明による電子を豊富に含んだ電子水をマイクロ波照射により励起し、燃料バーナ装置により燃焼させる電子を豊富に含んだ電子水の燃焼方法の1例図である。
【0014】
図2は、本発明における電子を豊富に含んだ電子水において、電子の存在を示すバブルチェンバー現象である。
【0015】
図3は、本発明による電子を豊富に含んだ電子水をマイクロ波照射により励起し、燃料バーナ装置により燃焼させるに際し、軽油または灯油または重油等の石油系燃料との同時燃焼を可能とする電子を豊富に含んだ電子水の燃焼方法の1例図である。
【0016】
図4は、本発明による電子を豊富に含んだ電子水をマイクロ波照射により励起し、燃料バーナ装置により燃焼させるに際し、プロパンガス、ブタンガス等ガス系燃料との同時燃焼を可能とする電子を豊富に含んだ電子水の燃焼方法の1例図である。
【0017】
図1において、1は、電子を豊富に含んだ電子水の希釈水1eを入れた電子水タンクであり、電子水の希釈水1eはポンプ7により電子水用配管1aを通して液体加熱管3に送られ、マイクロ波を照射される。2はマイクロ波発生器、4はマイクロ波導波管である。マイクロ波を照射された電子水3eは、配管3aを通して燃料バーナ装置5に送られ、燃料バーナ装置5により噴射された電子水5eは、電熱式ヒータ8により加熱され燃焼を開始する。6は送風機、9は燃焼炉である。なお希釈電子水1eは、予め電子水原液を水道水等で、1,000〜10,000倍に希釈されたものである。
【0018】
液体加熱管3によりマイクロ波照射され、さらに活性化された電子水3eは、燃料バーナ装置5に送られ噴射・燃焼開始するが、燃焼開始温度は330〜360℃であった。
【0019】
希釈された電子水中に含まれる電子数は、電子水1cc当り10兆個以上、好ましくは100兆個以上である。
【0020】
マイクロ波照射において、マイクロ波照射の方法は、マイクロ波発生器2によりマイクロ波を照射し、照射されたマイクロ波は、金属製中空管の導波管4により伝送され、液体加熱管3内を流れる電子水1eにマイクロ波を照射し、電子水をさらに活性化させる。
【0021】
マイクロ波照射の効果としては、一般的には、無機・有機合成における著しい反応促進効果である。すなわち、反応速度の著しい高速化、反応条件の緩和、反応経路の変更(簡略化)である。
【0022】
マイクロ波を電子水に照射すると、電子水は水であり双極子モーメントを有しており、急速に沸点以上に加熱され、水分子を構成する水素原子と酸素原子間の結合力が弱まり、330℃以下で水素と酸素に分離する。
【0023】
電子水タンク1内の電子水1eは、自由電子を豊富に含んでおり、その自由電子の働きにより、水分子を構成する水素原子のK殻及び酸素原子のK殻、L殻の電子がエネルギーを得て活性化し、M殻に移動し、原子核との結合力が弱まり、550℃前後で水素と酸素に分離し、水素が酸素と反応して燃焼開始する。一般の水は4,300℃以上でないと水素と酸素に分離しない。
【0024】
この活性化された電子水1eが、液体加熱管3内でマイクロ波照射を受け、急速加熱によりさらに活性化した電子水3eとなり、水素原子と酸素原子の結合力がさらに弱まり、より低温度330℃以下で水素と酸素が分離し、水素が酸素と反応して燃焼するのである。
【0025】
マイクロ波照射においては、マイクロ波発信機周波数は2,450MHzであり、出力1.5〜5kwにおいて照射を行った。照射後は速やかに燃料バーナ装置5に電子水3eを送り、燃料バーナ装置5より電子水5eを噴射し、電熱ヒータ8により加熱、着火燃焼させる。
【0026】
電子水1eの原液は、水道水、湧水、河川の水等一般の水を原料とし、水と、カルシュム及びマグネシウムを含む鉱石との化学反応により得られた強アルカリ溶液を、数気圧の圧力下で精製して得られたものである。燃料として使用する場合は、精製された原液を希釈して使用する。
【0027】
希釈電子水の発熱量は、水に含まれる水素の酸素との反応により発生する発熱量に等しい。したがって電子水1l中に含まれる水素は0.111kgであり、水素1kgの発熱量(低位発熱量)は28,800kcalであるので、電子水1lの発熱量は約3,200kcalとなる。これは灯油等の発熱量8,700kcal/lの約37%である。
【0028】
電子水を燃料として使用する場合、精製された原液を10,000倍に希釈して使用する。したがって原液1lは、希釈して10,000lとなり、これは単純に発熱量から比較すると3,700lの灯油に相当する。なお燃焼効率等考慮すると4,800〜5,000l以上に相当し、燃料の輸送費、維持費も大幅に低減し、安全性も向上する。なお希釈倍率は特に10,000倍に限定されるものではない。
【0029】
なおマイクロ波照射により活性化された電子水の発火温度の確認は、燃焼炉9内の温度を上昇させ、燃焼炉内の温度がある一定温度以上になったとき電子水を炉内に噴射し、電子水が燃焼するときの温度で判定している。例えば炉内の温度が500℃に達したとき、噴射した電子水が発火燃焼すると、電子水の発火温度は500℃としている。
【0030】
燃焼炉9内の温度上昇は、電子水と石油系燃料或いはガス系燃料との同時燃焼(図3及び図4)においては、石油系燃料或いはガス系燃料等を予め燃料弁5より噴射・燃焼させることにより行う。もし炉内温度が電子水の発火温度に達していない場合は、電子水を燃料弁装置5により燃焼炉9内に噴射しても、電子水は燃焼せず、水蒸気が発生するのみである。
【0031】
電子水と石油系燃料或いはガス系燃料との同時燃焼においては、燃料バーナ装置5の構造としては、特に限定されるものではないが、燃料バーナ装置5の中心部より電子水を噴射し、石油系燃料或いはガス系燃料は、電子水噴出孔の周辺部より噴射するように噴出孔を配置している。
【0032】
図2は、本発明において使用する電子水中に存在する自由電子の存在を示すバブルチェンバー現象の拡大図である。電子を豊富に含んだ電子水を透明なコップに入れ、冷蔵庫内で1〜2日冷凍すると白い無数の線状の軌跡が見られる。これは電子が氷中を移動した際、そのエネルギーで氷を溶かし、細いトンネル状に発生したものである。電子の存在の確認は容易ではないが、本バブルチェンバー現象では容易に電子の存在を確認できる。なお一般の水では、バブルチェンバー現象は確認できない。
【0033】
図3は、電子水タンク1内の電子水1eを、液体加熱菅3においてマイクロ波を照射してさらに活性化させ、石油タンク10内の石油系燃料10f例えば灯油との同時燃焼を可能とする電子水燃焼装置の1例図である。
【0034】
まず灯油10fを燃料弁装置5より噴射燃焼させ、燃焼炉9内の温度が330℃〜360℃に達した際に、マイクロ波照射されより活性化された電子水3eを燃料弁5より噴射燃焼させる。従来、電子を豊富に含んだ電子水の噴射では燃焼炉9内の温度が550℃以上にならないと、電子水が水素と酸素に分離せず、燃焼することはなかった。
【0035】
電子水3eと灯油との同時燃焼においては、体積配合比電子水3e/灯油=90/10の配合比でも燃焼可能であるが、燃焼炉9内温度が高温度例えば1,000℃以上を必要とする場合、昇温時間の短縮を図る場合においては、体積配合比 電子水3e/灯油=20/80〜30/70程度が好ましい。燃焼炉9内温度の維持のみの場合は、燃焼炉内維持温度にもよるが体積配合比 電子水3e/灯油=50/50〜70/30程度が好ましい。なおこれは灯油のみならず、軽油、A重油等においても同様である。
【0036】
電子を豊富に含む電子水であってマイクロ波照射未実施の場合においては、電子水と灯油との同時燃焼の場合、体積配合比は電子水/灯油=30/70程度までであった。
【0037】
図4は、電子水タンク1内の電子水1eを、液体加熱管3においてマイクロ波を照射してさらに活性化させ、活性化された電子水3eと、ガスボンベ11内のガス系燃料11f例えプロパンガスとの同時燃焼を可能とする電子水燃焼装置の1例図である。
【0038】
まずプロパンガス11fを燃料弁装置5より噴射燃焼させ、燃焼炉9内の温度が330℃〜360℃に達した際に、マイクロ波照射されより活性化された電子水3eを燃料弁5より噴射燃焼させる。従来、電子を豊富に含んだ電子水の噴射では燃焼炉9内の温度が550℃以上にならないと、電子水が水素と酸素に分離せず、燃焼することはなかった。
【0039】
電子水3eとプロパンガスとの同時燃焼においては、重量配合比 電子水3e/プロパンガス11f=90/10の配合比でも燃焼可能であるが、燃焼炉9内温度が高温度例えば1,000℃以上を必要とする場合、昇温時間の短縮を図る場合においては重量配合比において電子水2e/プロパンガス11f=30/70〜40/60程度が好ましい。燃焼炉9内温度の維持のみの場合は、燃焼炉内維持温度にもよるが、配合比 電子水2e/プロパンガス11f=50/50〜70/30程度が好ましい。なおこれはプロパンガスのみならずブタンガス等においても同様である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の電子水の燃焼方法は、水の成分である水素を燃料として使用する電子水の燃焼方法を提供するものであり、省資源、炭酸ガス削減による地球温暖化防止、さらには燃料費低減の面よりみて実用化の可能性は大であり、社会に貢献するところは大きい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明を実施するためのマイクロ波照射を行い活性化された電子水の燃焼方法を示す1例図。
【図2】本発明における電子水中に存在する自由電子の存在を示すバブルチェンバー現象を示す。
【図3】本発明を実施するためのマイクロ波照射を行いさらに活性化された電子水と灯油等の石油系燃料との同時燃焼方法を示す1例図。
【図4】本発明を実施するためのマイクロ波照射を行いさらに活性化された電子水とプロパンガス等のガス系燃料との同時燃焼方法を示す1例図。
【符号の説明】
1 電子水タンク
1a 配管
1e 電子水
2 マイクロ波発生器
3 液体加熱管
3a 配管
3e マイクロ波照射電子水
4 導波管
5 燃料バーナ装置
5e 噴射電子水
6 送風機
6a 空気配管
7 ポンプ
7a ポンプ
8 電熱ヒータ
9 燃焼炉
10 油タンク
10a 配管
10f 石油燃料
11 ガスボンベ
11a ガス配管
11f 燃料ガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子を豊富に含んだ電子水を、マイクロ波照射によりさらに活性化させ、燃料バーナ装置により燃焼させることを特徴とする電子水の燃焼方法。
【請求項2】
請求項1において、電子を豊富に含んだ電子水は、電子を電子水1cc当り10兆個以上含有することを特徴とする電子水の燃焼方法。
【請求項3】
請求項1において、電子を豊富に含んだ電子水を、マイクロ波照射によりさらに活性化させ、燃料バーナ装置で燃焼させるに際し、軽油または灯油または重油等石油系燃料との同時燃焼を可能とすることを特徴とする電子水の燃焼方法。
【請求項4】
請求項1において、電子を豊富に含んだ電子水を、マイクロ波照射によりさらに活性化させ、燃料バーナ装置で燃焼させるに際し、プロパンガス或いはブタンガス等のガス系燃料との同時燃焼を可能とすることを特徴とする電子水の燃焼方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−47631(P2011−47631A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−215015(P2009−215015)
【出願日】平成21年8月26日(2009.8.26)
【出願人】(509244651)
【Fターム(参考)】