説明

電子秤

【課題】計量作業を迅速に行うことができる電子秤を提供する。
【解決手段】検出した被計量物の重量が目標重量範囲から外れている場合に、目標重量範囲に対する検出重量の超過又は不足重量を所定の単位重量で除した正又は負の符号を有する原第1作業単位数を算出し、原第1作業単位数を端数処理した丸め第1作業単位数を算出し、且つ丸め第1作業単位数に基づいた作業指示を表示する電子秤において、原第1作業単位数を端数処理するとその丸め第1作業単位数の絶対値が1以上となる場合には、丸め第1作業単位数に対応する作業指示を表示し、原第1作業単位数を端数処理するとその丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合には、原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい作業単位数に対応する作業指示を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の目標重量範囲内に含まれる重量を有する被計量物を計量する電子秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被計量物の重量が逐次、デジタル表示される電子秤が用いられている。
【0003】
電子秤とは、例えば、電気抵抗線式のロードセルを利用して被計量物の重量を電気的に計量する、種々ある計量装置の一種である。この電子秤は、荷重を加えることでストレインゲージ(又は、電気抵抗線歪計)を貼り付けた金属が歪む際の電気抵抗値の変化を測定することにより、被計量物の重量を表示器に表示する。
【0004】
ところで、所定の目標重量範囲内の重量に応じた量の被計量物を計量する場合、作業者は、電子秤が検知した被計量物の重量が目標重量範囲内か否かを迅速に判断する必要がある。また、作業者は、被計量物の重量が目標重量範囲から外れている場合、超過又は不足重量に応じた量の被計量物を迅速に追加又は除去して、被計量物の重量を迅速に目標重量範囲内とする必要がある。
【0005】
しかし、従来の電子秤の表示器は、被計量物の重量のみを単に表示するに過ぎない。よって、作業者は、被計量物の重量が目標重量範囲から外れているか否かを迅速に認識できなかった。また、作業者は、被計量物の過不足重量を迅速に認識できなかった。
【0006】
そこで、被計量物の過不足重量を作業者に示すことにより、電子秤が検知した被計量物の重量が目標重量範囲から外れているか否か、及び被計量物の量の過不足の程度を作業者が迅速に認識できる電子秤が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2010−122013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1に記載の電子秤では、超過又は不足重量に応じた被計量物の量(体積)を認識できず、作業者は、被計量物の追加又は除去作業を試行錯誤的に複数回繰り返すことによって、被計量物の重量を目標重量範囲内に調整し、所定の目標重量範囲内の重量に応じた量の被計量物を計量していた。よって、計量作業を迅速に行うことができないという問題があった。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、計量作業を迅速に行える電子秤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明に係る電子秤は、被計量物が載置される被計量物載置部と、前記被計量物載置部に載置された前記被計量物の重量を検出する検出部と、作業指示領域を有する表示部と、前記検出部が検出した前記被計量物の重量(以下、検出重量という)が目標重量範囲から外れている場合に、前記目標重量範囲に対する前記検出重量の超過又は不足重量を所定の単位重量で除した正又は負の符号を有する原第1作業単位数を算出し、該原第1作業単位数を端数処理した丸め第1作業単位数を算出し、且つ該丸め第1作業単位数に基づいた作業指示を前記表示部を制御して前記作業指示領域に表示する制御部と、を備え、前記制御部は、前記原第1作業単位数を端数処理するとその丸め第1作業単位数の絶対値が1以上となる場合には、該丸め第1作業単位数に対応する作業指示を表示し、前記原第1作業単位数を端数処理するとその丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合には、当該原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい作業単位数に対応する作業指示を表示するように構成されている。
【0011】
この構成によれば、目標重量範囲に対する検出重量の超過又は不足重量に応じた被計量物の重量を、所定の単位重量を用いて、作業者への作業指示に置き換え、当該作業指示を作業者に知らせることができる。作業者は、当該作業指示に従って、被計量物を追加又は除去することによって、検出重量を目標重量範囲内にすることができる。よって、作業者は、計量作業を迅速に行うことができる。
【0012】
ここで、丸め第1作業単位数の絶対値が1未満、すなわち、「0」になると、検出重量が目標重量範囲内に到達していなくても、作業指示によって作業者に作業を続けるよう指示することができなくなる。しかし、本発明では、丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合には、原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい作業単位数に対応する作業指示を表示するので、作業者が、当該作業指示に従って被計量物の追加又は除去を行うことによって、検出重量を目標重量範囲内にすることが可能になる。
【0013】
前記丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合における作業単位数は、その対応する原第1作業単位数を0.1の丸め幅で丸めた作業単位数であってもよい。
【0014】
この構成によれば、作業者に細かい作業指示を知らせることができ、作業者は、調整作業を迅速に行うことができる。
【0015】
前記丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合における作業単位数は、その絶対値がその対応する前記原第1作業単位数の絶対値以上の数であってもよい。
【0016】
この構成によれば、丸め第1作業単位数の絶対値が1未満である場合における作業単位数に応じた被計量物の重量を、検出重量の超過又は不足重量以上とすることができる。
【0017】
前記表示部は、判定結果表示領域を更に備え、前記制御部は、検出重量が目標重量範囲に含まれるか否かを前記判定結果表示領域に表示するように構成されてもよい。
【0018】
この構成によれば、検出重量が目標重量範囲に含まれるのか否かを作業者に知らせることができる。
【0019】
前記目標重量範囲は、更に複数の目標重量細分範囲に細分化され、前記制御部は、前記検出重量が前記目標重量範囲に含まれる場合に、前記検出重量が何れの前記目標重量細分範囲に含まれるかを前記判定結果表示領域に表示するように構成されてもよい。
【0020】
この構成によれば、検出重量が目標重量をどの程度超過しているかを作業者に知らせることができる。
【0021】
前記制御部は、前記検出重量が前記目標重量範囲に含まれる場合に、前記目標重量範囲の下限値に対する前記検出重量の超過重量を前記所定の単位重量で除した第2作業単位数を算出し、該第2作業単位数に基づいた作業指示を前記作業指示領域に表示するように構成されてもよい。
【0022】
この構成によれば、目標重量範囲の下限値に対する検出重量の超過重量に応じた被計量物の重量を、所定の単位重量を用いて、作業指示に置き換え、当該作業指示を作業者に知らせることができる。作業者は、当該作業指示に従って、被計量物を除去することによって、検出重量を目標重量に近づけることができる。
【0023】
前記電子秤は、前記表示部は指針式表示領域を更に備え、前記制御部は、前記表示部を制御して、前記指針式表示領域に、前記検出重量の表示下限値から前記目標重量範囲の下限値までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である軽量範囲表示領域と、前記目標重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である適量範囲表示領域と、前記目標重量範囲の上限値から前記検出重量の表示上限値までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である過量範囲表示領域と、これら3つの表示領域に亘って前記検出重量に応じた回動位置を指し示すよう回動する指針と、を表示するよう構成されてもよい。
【0024】
この構成によれば、軽量範囲表示領域、適量範囲表示領域及び過量範囲表示領域に対する指針の回動位置から、作業者に対して検出重量が目標重量範囲から外れているのか否かを直感的に知らしめることができる。
【0025】
前記制御部は、前記指針式表示領域に、前記検出重量から前記検出重量に前記単位重量を加算及び減算の少なくともいずれかを行なった重量までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の単位重量範囲表示領域を表示するよう構成されてもよい。
【0026】
この構成によれば、軽量範囲表示領域、適量範囲表示領域及び過量範囲表示領域に対する単位重量範囲表示領域の位置から、どの程度の量の被計量物を追加又は除去すれば、検出重量が目標重量範囲内になるのかを作業者に知らせることができる。作業者は、当該作業指示に従って、被計量物を除去することによって、検出重量を目標重量に近づけることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明は、以上に説明したように構成され、計量作業を迅速に行えるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の実施の形態1に係る電子秤の構成例を示す斜視図であり、(a)は電子秤を示す図、(b)は計量に用いる計量具を示す図である。
【図2】図1の電子秤が備える表示部の構成例を示す図である。
【図3】図1の電子秤の制御系統の構成例を概略的に示すブロック図である。
【図4】図1の電子秤の制御例を示すフローチャートである。
【図5A】図1の電子秤の処理例を示すフローチャートである。
【図5B】図1の電子秤の処理例を示すフローチャートである。
【図6A】図1の電子秤の動作例を示す図である。
【図6B】図1の電子秤の動作例を示す図である。
【図6C】図1の電子秤の動作例を示す図である。
【図6D】図1の電子秤の動作例を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態2に係る電子秤が備える表示部の構成例を示す図である。
【図8A】図7の電子秤の動作例を示す図である。
【図8B】図7の電子秤の動作例を示す図である。
【図8C】図7の電子秤の動作例を示す図である。
【図9】図7の電子秤の動作例を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態に係る電子秤の変形例を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態に係る電子秤の処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0030】
なお、以下では全ての図面を通じて、同一又は相当する要素には同じ参照番号を付して、その重複する説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る電子秤100の構成例を示す外観図である。
【0031】
この電子秤100は、例えば、コーヒー豆、小麦粉、醤油、大根等の被計量物の重量を計量する電子秤である。電子秤100は、例えば小売店において、大きな麻袋に詰められているコーヒー豆を小さな袋に小分けするときに、所定の目標重量範囲内の重量に応じた量の被計量物を計量する用途に用いられる。
【0032】
電子秤100は、図1(a)に示すように、本体部9と、本体部9の上方に設けられた被計量物が載置される計量台10(被計量物載置部)と、本体部9の前面に設けられた情報の表示を行う表示部11とを備えている。そして、電子秤100は、本体部9の内部に計量台10に載置された被計量物の重量を検出する検出器12(検出部)(図3参照)と、電子秤100を制御する制御器13(図3参照)とを備えている。また、本実施の形態において、電子秤100は、各種設定情報を入力するための入力部14を備えている。
【0033】
本実施の形態において、検出器12は、公知のロードセルであるので、詳しい説明を省略する。
【0034】
計量台10は、検出器12にのみ支持されている。これによって、計量台10に載置した被計量物の全重量が検出器12に加わるように構成されている。
【0035】
入力部14は、目標重量範囲を入力するものであり、0乃至9の数字ボタン、機能の選択に用いるボタン、及び入力事項を決定する決定ボタンを有している。なお、本実施の形態においては、入力部14と表示部11とは互いに独立して設けているが、これに限られるものではなく、これに代えて、タッチパネル式表示装置を用いて、入力部14と表示部11とを一体的に設けた構成とし、このタッチパネル式表示装置を用いて情報の入力及び表示を行ってもよい。
【0036】
図2は、表示部11の構成例を示す図である。
【0037】
図2に示すように、表示部11は、液晶表示パネルによって構成され、重量表示領域20と、判定結果表示領域21と、作業指示領域22とを有している。本実施の形態において、これらは、表示部11の上から下に向かって重量表示領域20、判定結果表示領域21及び作業指示領域22の順に設けられている。
【0038】
重量表示領域20は、計量台10に載置された被計量物の重量の値を表示する領域である。
【0039】
判定結果表示領域21は、被計量物の重量と設定された目標重量範囲との関係を表示する領域であり、被計量物の重量が設定された目標重量範囲の下限値未満の重量であることを表示する軽量表示領域25と、被計量物の重量が設定された目標重量範囲内の重量であることを表示する適量表示領域26と、被計量物の重量が設定された目標重量範囲の上限値以上の重量であることを表示する過量表示領域27とを有する。
【0040】
本実施の形態においては、判定結果表示領域21において、左から右に向かって順に軽量表示領域25、適量表示領域26、過量表示領域27が設けられている。そして、適量表示領域26は、その上部に細分適量表示部26aが設けられ、その下部に適量表示部26bが設けられている。細分適量表示部26aは、左から右に向かって順に設けられた第1乃至第6の細分適量表示部26aa〜26afを有する。また、軽量表示領域25は、その上部に軽量表示部25aが設けられ、その下部に軽量図示部25bが設けられている。更に、過量表示領域27は、その上部に過量表示部27a(過量である場合に「過量」の文字が表示される)が設けられ、その下部に過量図示部27bが設けられている。
【0041】
作業指示領域22は、計量台10に載置された被計量物の重量を所定の目標重量範囲内(詳細は後述)に調整するために必要な作業指示を表示する領域である。
【0042】
図3は、電子秤100の制御系統の構成例を概略的に示すブロック図である。
【0043】
電子秤100が備える制御器13は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部31と、ROM及びRAM等のメモリを有する記憶部32とを備えている。制御部31は、マイクロコントローラ、MPU、PLC(Programmable Logic Controller)、論理回路等で構成することができる。また、制御部31は、集中制御する単独の制御器で構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御器で構成されてもよい。
【0044】
制御部31は、検出器12から得られた信号を記憶部32に格納する(記憶させる)。また、制御部31は、入力部14から得られたされた信号を記憶部32に格納する(記憶させる)。そして、記憶部32には所定の制御プログラムが格納されていて、制御部31がこれらの制御プログラムを読み出して実行することにより、電子秤100の動作が制御される。
【0045】
記憶部32には、所定の制御プログラムが格納されている。また、記憶部32は、制御部31の処理に必要な設定値を記憶する。
【0046】
なお、図中の矢印は信号の伝達方向を示す。
【0047】
[使用例]
次に、電子秤100の使用例を説明する。
【0048】
本実施の形態では、電子秤100を用いてコーヒー豆(被計量物)を600g入りの袋に小分けする作業を行う場合を例示する。被計量物を600g入りの袋に小分けする場合、当該小分け袋に詰める被計量物は、600g以上である必要がある。この重量が目標重量範囲の下限値Waである。そして、歩留まりを向上させるため、被計量物の重量に目標重量範囲の上限値Wbを設けることが行われる。但し、目標重量範囲(下限値Waと上限値Wbとの間隔)が狭い場合、計量作業において、計量台10に載置された被計量物の除去又は追加を行う回数が増加し、作業を迅速に行うことができない。よって、目標重量範囲を適切に設定する必要がある。本実施の形態では、目標重量範囲の上限値Wbは660gに設定されている。また、目標重量範囲の下限値Waは、その設定と同時に、「目標重量」としても設定される。この目標重量は、目標重量範囲内における検出値の目標値である。歩留まりは、計量作業終了後の被計量物の重量が600gに近いほど向上するので、本実施の形態では、上述の通り、目標重量を別途設定することなく、目標重量範囲の下限値Waが目標重量として設定されるように構成されている。しかし、これに限られるものではなく、これに代えて、目標重量範囲内において別途目標重量を設定してもよい。
【0049】
計量作業は、次に示す手順で行われる。
【0050】
まず、電子秤100に入力部14から目標重量範囲の上限値Wb及び下限値Wa、並びに後述する計量スプーン41(計量具)によって定量計量した被計量物の重量(単位重量)を入力する。このとき、目標重量範囲の下限値Waは、目標重量としても設定される。
【0051】
次に、計量用容器40を計量台10上に載置する。そして、計量用容器40の重量を除いた被計量物の正味重量が表示部11に表示されるように、風袋引きの設定を行う。
【0052】
次に、表示部11に表示される作業指示に従い、被計量物を計量用容器40に追加したり、計量用容器40から除去したりして、計量台10に載置された被計量物の重量が目標重量範囲に収まるように調整作業を行う。
【0053】
本実施形態においては、計量用容器40への被計量物の追加、除去にあたり図1(b)に示す計量スプーン41を用いる。計量スプーン41に例えばすりきり一杯分の被計量物を収容することにより、所定の重量の被計量物を得ることができる。したがって、計量スプーン41を用いてすりきり一杯分の被計量物をすくうという1作業単位に対応する、所定の重量の被計量物を規定することができる。当該1作業単位に対応する被計量物の重量が「単位重量」を構成する。本実施の形態において、単位重量は例えば10gである。なお、計量作業を全て計量スプーン41のみによって行う必要はなく、最初に計量スプーン41よりも多くの被計量物を収容することができる容器を用いて目分量で目標重量程度の重量を有すると思われる量の被計量物を計量用容器40に投入し、その後、計量スプーン41を用いて細かな調整作業を行っても良い。これによって、計量作業を更に迅速に行うことができる。
【0054】
そして、調整作業を行い、計量台10に載置された被計量物の重量が目標重量範囲に収まると、計量作業を終了させて、計量用容器40の被計量物を小分け袋に詰める。なお、被計量物の重量が目標重量範囲に収まった後、更に被計量物の重量が目標重量に近づくよう調整作業を行ってもよい。これによって、歩留まりを向上させることができる。
【0055】
[動作例]
次に、電子秤100の動作例を説明する。
【0056】
図4は、電子秤100の動作例を示すフローチャートである。
【0057】
まず、被計量物が計量台10に載置されると、検出器12は、負荷重量を逐次、制御部31に入力する。そして、制御部31は、検出器12が検知した負荷重量を基に、風袋引き等の処理を行い、被計量物の重量(検出重量)を求める(ステップS110)。
【0058】
次に、制御部31は、判定処理を行う(ステップS120)。
【0059】
判定処理においては、先ず、検出重量が目標重量範囲の下限値Wa未満の重量、目標重量範囲の下限値Wa以上、且つ、目標重量範囲の上限値Wb未満の重量(即ち、目標重量範囲内の重量)、目標重量範囲の上限値Wb以上の重量の何れであるか否かについて判定を行う。そして、検出重量が目標重量範囲の下限値Wa未満の重量、又は検出重量が目標重量範囲の上限値Wb以上の重量である場合は、検出重量が目標重量範囲から外れていると判定する。一方、検出重量が目標重量範囲の下限値Wa以上、且つ、目標重量範囲の上限値Wb未満の重量である場合は、目標重量範囲内であると判定する。
【0060】
次に、制御部31は、検出重量が目標重量範囲内であると判定した場合、検出重量が、目標重量範囲を複数の範囲に細分化した、複数の目標重量細分範囲の何れに含まれるかを判定する。本実施の形態においては、目標重量範囲は、第1乃至第6の目標重量細分範囲に細分化され、検出重量が600g以上610g未満である場合は検出重量が第1目標重量細分範囲に含まれると判定し、検出重量が610g以上620g未満である場合は検出重量が第2目標重量細分範囲に含まれると判定し、検出重量が620g以上630g未満である場合は検出重量が第3目標重量細分範囲に含まれると判定し、検出重量が630g以上640g未満である場合は検出重量が第4目標重量細分範囲に含まれると判定し、検出重量が640g以上650g未満である場合は検出重量が第5目標重量細分範囲に含まれると判定し、検出重量が650g以上660g未満である場合は検出重量が第6目標重量細分範囲に含まれると判定する。
【0061】
次に、制御部31は、作業指示算出処理を行う(ステップS130)。
【0062】
図5Aは、検出重量が目標重量範囲から外れている場合における、電子秤100の作業指示算出処理の処理例を示すフローチャートである。
【0063】
図5Aに示すように、制御部31は、検出重量が目標重量範囲から外れていると判定した場合、目標重量範囲に対する検出重量の超過又は不足重量を算出する(ステップS150)。本実施の形態においては、超過重量は、負の符号によって表され、不足重量は、正の符号によって表される。
【0064】
次に、制御部31は、目標重量範囲に対する検出重量の超過又は不足重量を単位重量で除し、正又は負の符号を有する原第1作業単位数を算出する(ステップS152)。
【0065】
次に、制御部31は、原第1作業単位数の絶対値が1以上であるか否かについて判定する(ステップS154)。
【0066】
そして、原第1作業単位数の絶対値が1以上であると判定した場合(ステップS154においてYes)、原第1作業単位数を端数処理し、丸め第1作業単位数を求める。そして、この丸め第1作業単位数を作業指示数とする(ステップS156)。本実施の形態においては、原第1作業単位数の小数点第1位以下を切り捨て、端数を1の丸め幅で丸め、整数とし、これを丸め第1作業単位数とする端数処理を行う。
【0067】
一方、ステップS154において、制御部31が原第1作業単位数の絶対値が1以上でないと判定した場合、即ち、制御部31が原第1作業単位数の絶対値が1未満であると判定した場合(ステップS154においてNo)は、制御部31は、原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい作業単位数(調整作業単位数)を作業指示数とする(ステップS158)。
【0068】
ところで、制御部31が原第1作業単位数の絶対値が1以上であると判定した場合、これに対応する丸め第1作業単位数の絶対値は、1以上となる。また、制御部31が原第1作業単位数の絶対値が1未満であると判定した場合において、仮に、制御部31が原第1作業単位数の絶対値が1以上であると判定した場合と同様の端数処理を行うと、丸め第1作業単位数の絶対値は、0、即ち、1未満となる。したがって、原第1作業単位数を端数処理するとその丸め第1作業単位数の絶対値が1以上となるか、それとも1未満となるかによって、それぞれステップS156又はステップS158の何れか一方の処理が行われるように構成されている。
【0069】
本実施の形態において、調整作業単位数は、原第1作業単位数の絶対値の小数点第二位以下を切り捨てた値に、0.1を加算し、原第1作業単位数と同じ符号を付した値を調整作業単位数とする。即ち、制御部31が原第1作業単位数の絶対値が1以上でないと判定した場合、調整作業単位数は、−1〜−0.1又は0.1〜1の値であって、且つ、0.1の整数倍の値である。このように、超過又は不足重量に応じた被計量物の重量を、計量スプーン41に係る単位重量を用いて、調整作業単位数に置き換えている。また、検出重量が目標重量範囲から外れている場合において、制御部31が原第1作業単位数の絶対値が1未満であると判定した場合、原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい調整作業単位数が作業指示数となるように構成されている。即ち、検出重量が目標重量範囲外である場合、作業指示数が0とならないように構成されている。更に、調整作業単位数は、その絶対値がその対応する原第1作業単位数の絶対値以上の数となるように構成されている。
【0070】
本実施の形態においては、上述の通り、原第1作業単位数の絶対値の小数点第二位以下を切り捨てた値に、0.1を加算し、原第1作業単位数と同じ符号を付した値を調整作業単位数としている。しかし、これに限られるものではない。原第1作業単位数の絶対値を実質的に0.1(1/10)以上0.5(1/2)以下の何れかの丸め幅で端数処理し、原第1作業単位数と同じ符号を付した値を調整作業単位数としてもよい。調整作業単位数を0.5以下の丸め幅で端数処理した値とすると、作業者に細かい作業指示を知らせることができ、作業者は、計量スプーン41を用いて、当該作業指示に基づき、調整作業を迅速に行うことできる。また、調整作業単位数を0.1(1/10)以上の丸め幅で端数処理した値とすると、作業者に判り易い作業指示数を知らせることができ、作業者は、調整作業を行い易い。
【0071】
図5Bは、検出重量が目標重量範囲内である場合における、電子秤100の作業指示算出処理の処理例を示すフローチャートである。
【0072】
図5Bに示すように、制御部31は、検出重量が目標重量範囲内であると判定した場合、目標重量に対する検出重量の超過重量を算出する(ステップS170)。
【0073】
次に、制御部31は、目標重量に対する検出重量の超過重量を単位重量で除し、負の符号を有する第2作業単位数を求める(ステップS172)。
【0074】
次に、制御部31は、第2作業単位数に基づき、作業指示数を求める。
【0075】
本実施の形態においては、制御部31は、第2作業単位数の絶対値が1以上であるか否かによって、異なった端数処理を行っている。つまり、制御部31が第2作業単位数の絶対値が1以上であると判定した場合(ステップS174においてYes)、制御部31は、第2作業単位数の小数点第1位以下を切り捨て、端数を1の丸め幅で丸め、整数とし、これを作業指示数とする端数処理を行う(ステップS176)。一方、制御部31が第2作業単位数の絶対値が1以上でないと判定した場合、即ち、第2作業単位数の絶対値が1未満であると判定した場合(ステップS174においてNo)、制御部31は、第2作業単位数の小数点第2位以下を切り捨て、これを作業指示数とする端数処理を行う(ステップS178)。これによって、作業者に細かい作業指示を知らせることができ、作業者は、計量スプーン41を用いて、当該作業指示に基づき、調整作業を迅速に行うことできる。
【0076】
次に、制御部31は、重量表示領域20にステップS110で求めた検出重量を表示し、判定結果表示領域21にステップ120の判定結果に基づいた表示を行い、作業指示領域22にステップ130で求めた作業指示数に基づく作業指示を表示する。
【0077】
本実施の形態においては、制御部31は、重量表示領域20にステップS110で求めた検出重量の値の小数点以下を切り捨てた値を表示する。しかし、これに限られるものではなく、これに代えて、ステップS110で求めた検出重量の値の小数点第一位以下を切り捨てた値を表示してもよい。
【0078】
そして、制御部31は、ステップS120において被計量物の重量が設定された目標重量範囲の下限値Wa未満の重量であると判定した場合、軽量表示部25aに「軽量」の文字を表示する(図6A参照)。一方、制御部31は、ステップS120において被計量物の重量が設定された目標重量範囲の下限値Wa未満の重量でないと判定したときは、軽量表示部25aに何も表示しない(図6B、C、D参照)。
【0079】
そして、制御部31は、ステップS120において被計量物の重量が設定された目標重量範囲内の重量であると判定した場合、適量表示部26bに「OK」の文字を白抜き文字で表示する。更に、制御部31は、何れの目標重量細分範囲に含まれるかを表示する。本実施の形態では、第1乃至第6の目標重量細分範囲は、それぞれ細分適量表示部26aの第1乃至第6の第1乃至第6の細分適量表示部26aa〜26afと対応しており、制御部31は、対応する細分適量表示部の表示色のみを黒塗り表示する(図6C及び図6D参照)。これによって、検出重量が目標重量をどの程度超過しているかを作業者に知らせることができる。よって、作業者は、細分適量表示部26aの表示内容を基に、調整作業を迅速に行うことができる。一方、制御部31は、ステップS120において被計量物の重量が設定された目標重量範囲未満の重量でないと判定した場合、軽量表示領域25に「OK」の文字を黒字で表示する(図6A、B参照)。当該表示は、被計量物の重量が設定された目標重量範囲内の重量である場合の表示を反転させたものである。
【0080】
そして、制御部31は、ステップS120において被計量物の重量が設定された目標重量範囲の上限値Wb以上の重量であると判定した場合、過量表示部27aに「過量」の文字を表示する(図6B参照)。一方、制御部31は、ステップS120において被計量物の重量が設定された目標重量範囲を超える重量でないときは、過量表示部27aに何も表示しない(図6A、C、D参照)。
【0081】
このように、制御部31は、判定結果表示領域21に検出重量が、「設定された目標重量範囲の下限値Wa未満の重量である」、「設定された目標重量範囲内の重量である」、又は「設定された目標重量範囲の上限値Wb以上の重量である」の何れであるかを表示するので、検出重量が目標重量範囲に含まれるのか否かを作業者に知らせることができる。よって、作業者は、判定結果表示領域21の表示内容を基に、調整作業を迅速に行うことができる。
【0082】
そして、本実施の形態において、制御部31は、軽量図示部25b及び過量図示部27bに検出重量に応じた表示を表示する。本実施の形態においては、制御部31は、軽量図示部25b及び過量図示部27bに一列に並べた6つの三角形の図形から構成される目盛をそれぞれ表示する。軽量図示部25bの目盛は、0を始点とし、その目盛幅は、目標重量範囲の下限値Waを6で除した値に応じた幅に構成されている。また、過量図示部27bの目盛は、目標重量範囲の上限値Wbを始点とし、その目盛幅は、目標重量範囲の下限値Waを6で除した値に応じた幅に構成されている。そして、制御部31は、検出重量に応じた目盛の表示色を反転させて表示する。これによって、検出重量が目標重量範囲からどの程度逸脱しているかを作業者に知らせることができ、作業者は、軽量図示部25b及び過量図示部27bの表示内容を基に、調整作業を迅速に行うことができる。
【0083】
そして、制御部31は、作業指示領域22に作業指示数を表示することにより作業指示を表示する。
【0084】
本実施の形態において、制御部31は、検出重量が目標重量範囲から外れている場合、「適量まであと・・・杯」(「・・・」は作業指示数)と表示する(図6A、B参照)。これによって、目標重量範囲に対する検出重量の超過又は不足重量に応じた被計量物の重量を、計量スプーン41を用いて被計量物を追加又は除去する必要のある杯数に対応する作業指示に置き換え、当該作業指示を作業者に知らせることができる。作業者は、当該作業指示に従って、計量スプーン41を用いて被計量物を追加又は除去することによって、検出重量を目標重量範囲内にすることができる。よって、作業者は、計量作業を迅速に行うことができる。
【0085】
そして、上述の通り、原第1作業単位数の絶対値が1以上である場合、作業単位数は丸め第1作業単位数であり、本実施の形態においては、整数である。
【0086】
一方、原第1作業単位数の絶対値が1未満である場合、作業単位数は、調整作業単位数であり、−1〜−0.1又は0.1〜1の値且つ0.1の整数倍の値である。本実施の形態において、制御部31は、−0.9〜−0.1及び0.1〜0.9の値を分数に変換して表示部11に表示するように構成されている。このように、制御部31は、原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい調整作業単位数に対応する作業指示を作業指示領域22に表示する。作業者は、当該作業指示に従って被計量物の追加又は除去を行うことによって、検出重量を目標重量範囲内にすることができる。また、調整作業単位数は、その絶対値がその対応する原第1作業単位数の絶対値以上になるよう構成されているので、調整作業単位数に応じた被計量物の重量を、目標重量範囲に対する検出重量の超過又は超過重量以上とすることができる。よって、作業者は、当該作業指示に従って被計量物の追加又は除去を行うことによって、検出重量を目標重量範囲内にすることができる。
【0087】
一方、制御部31は、検出重量が目標重量範囲内である場合、「目標まであと・・・杯」(「・・・」は作業指示数)と表示する。これによって、目標重量に対する検出重量の超過重量に応じた被計量物の重量を、計量スプーン41を用いて被計量物を除去する必要のある杯数に対応する作業指示に置き換え、当該作業指示を作業者に知らせることができる。作業者は、当該作業指示に従って、計量スプーン41を用いて被計量物を除去することによって、検出重量を目標重量に近づけることができる。よって、作業者は、計量作業を迅速に行うことができる。このようにして、歩留まりを向上させることができる。また、この場合における作業指示指示数は、原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が原第1作業単位数の絶対値以下となるように構成されているので、作業指示数に応じた被計量物の重量を、目標重量に対する検出重量の超過重量以下とすることができる。よって、作業者が当該作業指示に従って被計量物の追加又は除去を行うことによって、検出重量が目標重量範囲を逸脱することがない。
【0088】
そして、本実施の形態においては、作業指示数が−1〜−0.1又は0.1〜1の値且つ0.1の整数倍のいずれかの値である場合、制御部31は、作業指示領域22の作業図示領域22aに作業指示数に応じた棒グラフを表示する(図6B及び図6D参照)。当該棒グラフは、原点の値を0(杯)とし、縦軸方向の最大値を1.0(杯)としたグラフである。
【0089】
図6A乃至図6Dは、本実施の形態における表示部11の表示例を示す図であり、図6Aは、計量台10に505gの被計量物を載置した状態の表示例を示す図、図6Bは、計量台10に660.5gの被計量物を載置した状態の表示例を示す図、図6Cは、計量台10に635gの被計量物を載置した状態の表示例を示す図、図6Dは、計量台10に603.5gの被計量物を載置した状態の表示例を示す図である。
(第2実施形態)
図7は、本発明の実施の形態2に係る電子秤が備える表示部110の構成例を示す図である。
【0090】
表示部110は、作業指示領域122と指針式表示領域140とを備える。
【0091】
作業指示領域122は、任意の文字や数字を表示できる第1表示領域122aおよび第2表示領域122bを備える。
【0092】
そして、第1表示領域122aには、制御部31によって制御されることにより、目標重量範囲の下限値Waが「Wa=・・・」(「・・・」は目標重量範囲の下限値Wa)と表示される。また、検出重量が目標重量範囲の上限値Wb未満であるときは、第1表示領域122aには、制御部31によって制御されることにより、「適量まであと・・・杯」(「・・・」は作業指示数)と表示される。そして、検出重量が目標重量範囲に含まれるときは、第1表示領域122aには、制御部31によって制御されることにより、「目標まであと・・・杯」(「・・・」は作業指示数)と表示される。
【0093】
そして、第2表示領域122bには、制御部31によって制御されることにより、目標重量範囲の上限値Wbが「Wb=・・・」(「・・・」は目標重量範囲の上限値Wb)と表示される。また、検出重量が目標重量範囲の上限値Wb以上であるときは、第2表示領域122bには、制御部31によって制御されることにより、「適量まであと・・・杯」(「・・・」は作業指示数)と表示される。
【0094】
指針式表示領域140には、制御部31によって制御されることにより、軽量範囲表示領域140aと、適量範囲表示領域140bと、過量範囲表示領域140cと、検出重量に応じた重量を示す指針140dとが表示される。軽量範囲表示領域140aは、検出重量の表示下限値から目標重量範囲の下限値Waまでの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である。そして、適量範囲表示領域140bは、目標重量範囲に応じたメータの位置範囲を区画する扇状の領域である。そして、過量範囲表示領域140cは、目標重量範囲の上限値Wbから検出重量の表示上限値までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である。指針140dは、軽量範囲表示領域140a、適量範囲表示領域140b、及び過量範囲表示領域140cの表示領域に亘って検出重量に応じた回動位置を指し示すよう回動するように構成されている。
【0095】
更に、指針式表示領域140には、制御部31によって制御されることにより、単位重量範囲第1表示領域140eと単位重量範囲第2表示領域140f(図8C参照)とが表示される。単位重量範囲第1表示領域140eは、検出重量から検出重量に単位重量を加算した重量までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である。単位重量範囲第1表示領域140eは、図8A及び図8Bに示すように、検出重量が目標重量範囲の上限値Wb未満であるときに表示される。そして、単位重量範囲第2表示領域140fは、検出重量から検出重量に単位重量を減算した重量までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である。単位重量範囲第2表示領域140fは、検出重量が目標重量範囲の上限値Wb以上であるときに表示される。
【0096】
これによって、軽量範囲表示領域140a、適量範囲表示領域140b及び過量範囲表示領域140cに対する指針140dの位置から、検出重量が目標重量範囲から外れているのか否かを作業者に知らせることができる。よって、作業者は、検出重量が目標重量範囲から外れているのか否かを迅速に判断できる。
【0097】
また、検出重量が目標重量範囲から外れている場合、単位重量範囲第1表示領域140e及び単位重量範囲第2表示領域140fに対する指針140dの位置から、計量具を用いてどの程度の量の被計量物を追加又は除去すれば、検出重量が目標重量範囲内になるのかを作業者に知らせることができる。例えば、図8Aに示す場合においては、作業者は、当該通知内容から、計量具の容量の3/4強の被計量物を追加すれば、検出重量が目標重量範囲に含まれるようになると判断できる。
【0098】
そして、図9に示すように、入力部14の所定の機能ボタンを選択、決定することにより、指針式表示領域140の表示の一部を拡大表示することができる。これによって、計量具を用いてどの程度の量の被計量物を追加又は除去すれば、検出重量が目標重量範囲内になるのかを作業者により明確に知らせる(あるいは直感的に知らしめる)ことができる。
【0099】
<変形例1>
上記実施の形態1においては、ステップS154において、原第1作業単位数の絶対値が1以上であるか否かについて判定し、その結果に応じて、作業指示数を丸め作業単位数又は調整作業単位数に基づいて求めていたが、これに限られるものではない。例えば、図11に示すように、処理してもよい。
【0100】
即ち、ステップS152までは上記実施例と同様の処理を行い、その後、原第1作業単位数の小数点第1位以下を切り捨て、端数を1の丸め幅で丸め、整数とし、これを丸め第1作業単位数とする端数処理を行う(ステップS254)。
【0101】
次に、制御部31は、丸め第1作業単位数の絶対値が1以上であるか否かについて判定する(ステップS256)。
【0102】
そして、制御部31が丸め第1作業単位数の絶対値が1以上であると判定した場合(ステップS256においてYes)、制御部31は、当該丸め第1作業単位数を作業指示数とする(ステップS258)。
【0103】
一方、ステップS256において、制御部31が丸め第1作業単位数の絶対値が1未満であると判定した場合(ステップS256においてNo)、制御部31は、原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい作業単位数(調整作業単位数)を作業指示数とする(ステップS260)。
【0104】
<変形例2>
上記実施の形態1及び変形例1において、丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合、調整作業単位数の絶対値を一律に「1」とし、ステップS120において被計量物の重量が設定された目標重量範囲内の重量であると判定した場合には、図4に示す計量及び表示動作を終了するよう制御部31を構成してもよい。これにより、当該計量及び表示動作を簡略化することができる。
【0105】
また、上記実施の形態においては、作業指示数が−1〜−0.1又は0.1〜1の値且つ0.1の整数倍のいずれかの値である場合、作業指示領域22に作業指示数に応じた棒グラフを表示するが、これに限られるものではない。図10(a)に示す計量スプーン41のように、収容した被計量物の量に応じて平面視における被計量物の収容状態の見え方が異なる計量具を用いる場合、棒グラフに代えて、作業指示数に応じた被計量物の収容状態の見え方を示す図を表示しても良い。例えば、作業指示数が0.5である場合であって、計量スプーン41に0.5杯の被計量物を収容した状態の平面視が図10(a)のAに示す状態である場合、図10(b)に示すように、作業図示領域222aに、当該状態を図示してもよい。
【0106】
更に、上記実施の形態においては、計量スプーン41(計量具)によって定量計量した被計量物の重量を単位重量としたがこれに限られるものではなく、これに代えて、被計量物の単重又は被計量物の平均単重と単位重量としてもよい。これによって、超過又は不足重量に応じた被計量物の量を、所定の計量具によって定量計量した被計量物の重量のみならず、被計量物の単重、又は被計量物の平均単重を用いて、作業者への作業指示に置き換えることができる。例えば、螺子の単重を単位重量としてもよい。また、人参の平均単重を単位重量としてもよい。この場合、作業指示数として1未満の値が表示された場合は、作業指示領域22に表示される値に応じて人参を切断し、これを追加又は除去すればよい。
【0107】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0108】
本発明は、小売店、飲食店等における計量具として有用である。
【符号の説明】
【0109】
9 本体部
10 計量台
11 表示部
12 検出器
13 制御器
14 入力部
20 重量表示領域
21 判定結果表示領域
22 作業指示領域
22a 作業図示領域
25 軽量表示領域
25a 軽量表示部
25b 軽量図示部
26 適量表示領域
26a 細分適量表示部
26b 適量表示部
27 過量表示領域
27a 過量表示部
27b 過量図示部
31 制御部
32 記憶部
40 計量用容器
41 計量スプーン
100 電子秤
Wa 目標重量範囲の下限値
Wb 適量範囲の上限値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が載置される被計量物載置部と、
前記被計量物載置部に載置された前記被計量物の重量を検出する検出部と、
作業指示領域を有する表示部と、
前記検出部が検出した前記被計量物の重量(以下、検出重量という)が目標重量範囲から外れている場合に、前記目標重量範囲に対する前記検出重量の超過又は不足重量を所定の単位重量で除した正又は負の符号を有する原第1作業単位数を算出し、該原第1作業単位数を端数処理した丸め第1作業単位数を算出し、且つ該丸め第1作業単位数に基づいた作業指示を前記表示部を制御して前記作業指示領域に表示する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記原第1作業単位数を端数処理するとその丸め第1作業単位数の絶対値が1以上となる場合には、該丸め第1作業単位数に対応する作業指示を表示し、前記原第1作業単位数を端数処理するとその丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合には、当該原第1作業単位数と同じ符号を有し且つ絶対値が0より大きい作業単位数に対応する作業指示を表示するように構成されている、電子秤。
【請求項2】
前記丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合における作業単位数は、その対応する前記原第1作業単位数を0.1の丸め幅で丸めた作業単位数である請求項1に記載の電子秤。
【請求項3】
前記丸め第1作業単位数の絶対値が1未満となる場合における作業単位数は、その絶対値がその対応する前記原第1作業単位数の絶対値以上の数である請求項1に記載の電子秤。
【請求項4】
前記表示部は、判定結果表示領域を更に備え、
前記制御部は、検出重量が目標重量範囲に含まれるか否かを前記判定結果表示領域に表示するように構成されている、請求項1乃至3の何れかに記載の電子秤。
【請求項5】
前記目標重量範囲は、更に複数の目標重量細分範囲に細分化され、
前記制御部は、前記検出重量が前記目標重量範囲に含まれる場合に、前記検出重量が何れの前記目標重量細分範囲に含まれるかを前記判定結果表示領域に表示するように構成されている、請求項4に記載の電子秤。
【請求項6】
前記制御部は、前記検出重量が前記目標重量範囲に含まれる場合に、前記目標重量範囲の下限値に対する前記検出重量の超過重量を前記所定の単位重量で除した第2作業単位数を算出し、該第2作業単位数に基づいた作業指示を前記作業指示領域に表示するように構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の電子秤。
【請求項7】
前記表示部は指針式表示領域を更に備え、
前記制御部は、前記表示部を制御して、前記指針式表示領域に、前記検出重量の表示下限値から前記目標重量範囲の下限値までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である軽量範囲表示領域と、前記目標重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である適量範囲表示領域と、前記目標重量範囲の上限値から前記検出重量の表示上限値までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の領域である過量範囲表示領域と、これら3つの表示領域に亘って前記検出重量に応じた回動位置を指し示すよう回動する指針と、を表示するよう構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の電子秤。
【請求項8】
前記制御部は、前記指針式表示領域に、前記検出重量から前記検出重量に前記単位重量を加算及び減算の少なくともいずれかを行なった重量までの重量範囲に応じた位置範囲を区画する扇状の単位重量範囲表示領域を表示するよう構成されている、請求項7に記載の電子秤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−251961(P2012−251961A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−126880(P2011−126880)
【出願日】平成23年6月7日(2011.6.7)
【出願人】(000208444)大和製衡株式会社 (535)