説明

電子筆記装置

【課題】コンテンツを別途用いることなく、一般書籍等を用いた学習を可能にする。
【解決手段】ペンダウン信号を送信する電子ペン部11と、一般書籍30の文字を光学的に読み取って光学データを生成するスキャナ52と、光学データの位置を検出するマーカダウン信号を送信する電子マーカ部12のコイル54と、ペンダウン信号及びマーカダウン信号の受信結果によりストロークデータと光学データの各読取平均位置を算出する制御手順と、光学データとその読取平均位置とを対応づけて記憶するフラッシュメモリ70と、ペンダウン信号の受信結果により電子ペン部11による一般書籍30への記載に対応したストロークデータを生成する制御手順と、ストロークデータと光学データの各読取平均位置とを比較し、当該ストロークデータに対応する光学データを決定する制御手順と、光学データとストロークデータのそれぞれの文字が同一内容か判定する制御手順とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の筆記内容を電子的に入力可能な電子筆記装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、操作者の手書きによる筆記内容を電子的に入力可能な電子筆記装置が知られている。この電子筆記装置では、操作者が、いわゆる電子ペン等の電子筆記具を用いて、被筆記体の筆記面に、手書きの所望の文字列等を筆記する。それと同時に、当該電子筆記具から磁界が送信され、上記被筆記体の背面に配置されたコイルでその磁界が受信される。これにより、筆記面への筆記動作に対応した位置情報の時間的変化によって筆記データが生成され、電子ファイルとして保存される。
【0003】
このような電子筆記装置を学習用機材として用いることが、例えば特許文献1で提案されている。この従来技術では、装置から出題した漢字などの文字を学習者に筆記させ、その筆順や字体を認識し正誤判定を行うことで文字の筆記を学習させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−222846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方、学習者が教材として利用している一般書籍の文章中の一部の語句を隠し、その前後の文脈からその隠した語句を学習者自ら解答する暗記学習法が一般的に行われている。しかしながら上記従来技術では、装置自体にあらかじめ記憶して用意された文字についての筆記の学習を目的としたものでしかなく、上記の暗記学習法には適用できない。つまり、装置が記憶している以外の多くの文字について学習する場合には、対応する拡張コンテンツを別途購入して装置にインストールする必要があり、学習者が任意に選択した文字について問題作成できるような汎用性がない。また、文章内における一部の語句を抜き出してそれを学習者に解答させるといった穴埋め問題には利用できない。
【0006】
本発明の目的は、コンテンツを別途用いることなく、一般書籍等を用いた学習が可能な電子筆記装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、第1の発明は、磁界送信用コイルを備えた筆記信号生成手段を有し、被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行うための筆記信号を前記筆記信号生成手段により生成して送信する電子筆記具と、被筆記体に予め記載された文字を光学的に読み取り、対応する光学データを生成する読み取り手段と、前記読み取り手段で生成した前記光学データを出力するデータ出力手段と、前記読み取り手段に設けられ、磁界送信用コイルを備え、前記読み取り手段が読み取った前記被筆記体の前記文字の位置を検出する読取位置信号を前記磁界送信用コイルにより生成する読取位置信号生成手段と、前記電子筆記具の前記筆記信号生成手段から送信された前記筆記信号、及び、前記読み取り手段の前記読取位置信号生成手段から送信された前記読取位置信号を受信し、それら前記筆記信号及び前記読取位置信号によりそれぞれ誘導された出力値を出力可能な複数のコイルと、前記出力値を含む前記複数のコイルにおける受信結果に基づき、前記電子筆記具が筆記した位置を示す筆記基準位置情報、及び前記読み取り手段が前記文字を読み取った位置を示す読取基準位置情報を算出する演算手段と、前記データ出力手段より出力された前記光学データを入力するデータ入力手段と、前記データ入力手段より入力された前記光学データに対応する、前記演算手段で算出された前記読み取り手段の前記読取基準位置情報を、当該光学データに対応づけて記憶する記憶手段と、前記出力値を含む前記複数のコイルにおける受信結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応したストロークデータを、前記演算手段が算出した前記電子筆記具の前記筆記基準位置情報に対応させて生成するストロークデータ生成手段と、前記ストロークデータ生成手段で生成された前記ストロークデータに対応する前記筆記基準位置情報と、前記記憶手段に記憶された、前記光学データに対応する前記読取基準位置情報とを比較し、当該ストロークデータに対応する前記光学データを決定する決定手段と、前記決定手段により決定された前記光学データを認識処理して得られた文字と、前記ストロークデータを認識処理して得られた文字とが、同一内容であるか否かを判定する判定手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
本願第1発明においては、主に2種類のデータを入力する構成を有する。1つ目のデータは、当該電子筆記装置に装着した被筆記体に予め記載された文字を光学的に読み取った光学データである。2つ目のデータは、当該電子筆記装置に装着した被筆記体上での使用者による実際の筆記動作を電磁的に読み取ったストロークデータである。各データは、それぞれ被筆記体上の任意の同一位置で入力され、またそれらの入力位置情報も対応するデータと併せて読み取られる。
【0009】
具体的には、読み取り手段が被筆記体上の文字を光学的に読み取って光学データを生成し、データ出力手段及びデータ入力手段が当該光学データを送受する。それとともに、当該読み取り手段に設けられた読取位置信号生成手段からの読取位置信号を複数のコイルで受信され、当該読取位置信号の受信結果に基づいて、演算手段が使用者により読み取り手段を用いて当該光学データを読み取った位置を示す読取基準位置情報を算出する。記憶手段は、光学データと読取基準位置情報とを対応付けて記憶する。
【0010】
また、電子筆記具からの筆記信号が複数のコイルで受信されると、当該筆記信号の受信結果に基づいて、演算手段が使用者により電子筆記具を用いて筆記した位置を示す筆記基準位置情報を算出する。また、ストロークデータ生成手段が、複数のコイルでの当該筆記信号の受信結果に基づいて、その筆記内容に対応したストロークデータを生成する。
【0011】
そして決定手段が、上記読取基準位置情報と上記筆記基準位置情報とを比較することにより、各ストロークデータにそれぞれ対応する光学データを決定する。判定手段は、上記決定手段により対応づけられた光学データとストロークデータのそれぞれを認識処理した文字どうしが同一内容であるか否かを判定する。
【0012】
以上のようにして、本願第1発明においては、電子筆記装置に装着した被筆記体上の所定の位置に予め記載された所定の文字を、まず読み取り手段で光学データとして読み取っておき、その後に使用者が同じ位置に電子筆記具で筆記した文字が同一であるかを判定できる。この結果、一般書籍を用いた汎用性の高い問題作成とその暗記学習が可能となる。
【0013】
第2の発明は、上記第1発明において、前記読み取り手段の前記被筆記体に対する近接状態(ダウン)及び離間状態を検出可能な読取遠近検出手段を有し、前記読み取り手段は、前記読取遠近検出手段で前記近接状態が検出されたら前記文字の読み取り及び前記光学データの生成を開始し、前記データ出力手段は、前記読取遠近近接手段で前記離間状態が検出されたら前記読み取り手段で生成した前記光学データを出力することを特徴とする。
【0014】
本願第2発明においては、読取遠近検出手段によって読み取り手段が被筆記体に近接していたと検出された座標位置の範囲を、当該光学データの読み取り位置情報として正確に対応付けて利用できる。また、各ストローク単位で送信することにより暗記の解答の正否を直ちに判定できるだけでなく、CPU負荷を分散することによりピーク消費電流を小さくできる。
【0015】
第3の発明は、上記第2発明において、前記データ入力手段より入力された前記光学データを取得したとき、その直前に前記演算手段で算出された前記読み取り手段の位置情報を、取得された光学データに対応する位置情報として当該光学データに対応づけて記憶するように、前記記憶手段を制御する記憶制御手段を有することを特徴とする。
【0016】
本願第3発明においては、記憶手段は、光学データと読み取り位置情報とを正確に対応づけて記憶できる。
【0017】
第4の発明は、上記第3発明において、前記記憶制御手段は、前記光学データを、対応する前記読み取り手段の位置情報と当該位置情報に対応した前記被筆記体のページ番号情報とに関連づけて記憶するように、前記記憶手段を制御することを特徴とする。
【0018】
本願第4発明においては、被筆記体が複数の見開きページを有する場合でも、記憶制御手段は各ページに正確に対応付けて光学データと読み取り位置情報を記憶手段に記憶させることができる。
【0019】
第5発明は、上記第1乃至第4発明のいずれかにおいて、前記電子筆記具の前記被筆記体に対する近接状態及び離間状態を検出可能な筆記遠近検出手段を有し、前記電子筆記具は、前記筆記遠近検出手段で前記近接状態が検出されたら前記筆記信号を第1態様で前記筆記信号生成手段により生成して送信し、前記筆記遠近検出手段で前記離間状態が所定時間以上に継続して検出されたら前記筆記信号を第2態様で前記筆記信号生成手段により生成して送信し、前記決定手段は、前記複数のコイルから前記第2態様の前記筆記信号を受信した際に前記光学データを決定し、前記判定手段は、前記決定手段で決定される前記光学データが、それまでの光学データとは別の光学データに切り替わったときに、切り替わる前に決定されていた前記光学データより光学的に文字認識処理されて得られた文字と、同じく切り替わる前に生成されていた前記ストロークデータにより文字認識処理されて得られる文字とが、同一内容であるか否かを判定することを特徴とする。
【0020】
本願第5発明においては、電子筆記具が被筆記体から所定時間以上継続して離間した状態となった際に、1つの光学データに対応した筆記入力が完了したものと見なされ、決定手段が新たな光学データを決定する。そして判定手段は、光学データとストロークデータとを正確に対応づけて判定することができる。
【0021】
第6の発明は、上記第5発明において、前記読み取り手段は、前記読み取り手段の前記被筆記体に対する近接状態及び離間状態を検出可能な読取遠近検出手段を有し、前記読取遠近検出手段で前記近接状態が検出されたら前記読取位置信号を第3態様で前記読取位置信号生成手段により生成して送信し、前記読取遠近検出手段で前記離間状態が検出されたら前記読取位置信号を第4態様で前記読取位置信号生成手段により生成して送信することを特徴とする。
【0022】
本願第6発明においては、複数のコイルが受信している信号の態様を判別することで、電子筆記具と読み取り手段のいずれが被筆記体に近接又は離間しているかを判定できる。
【0023】
第7の発明は、上記第1乃至第6発明のいずれかにおいて、前記判定手段の判定結果を報知する報知手段を備えていることを特徴とする。
【0024】
本願第7発明においては、判定手段の判定結果を報知する報知手段を備えていることにより、被筆記体上に記載された文字と使用者が筆記した文字とが同一あったか否か、つまり使用者による解答が正解であったか否かを明確に報知できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、コンテンツを別途用いることなく、一般書籍等を用いた学習が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施の形態の手書き学習装置の概略的構成を示す図である。
【図2】装置本体カバーを備えた手書き学習装置の使用時の様子を表す、概念的平面図、及び概念的側面図である。
【図3】電子マーカペンの内部構成を表す概念的平面図である。
【図4】手書き学習装置の機能的構成を表す機能ブロック図である。
【図5】コイルシートの内部構成を表す概念的平面図である。
【図6】一般書籍の筆記面上に電子マーカ部を接触させてマーキング操作を行っている状態を拡大して示した図である。
【図7】電子マーカ部によるマーキング操作時と、マスクシートによる文字のマスキング時と、電子ペン部による解答の筆記入力時をそれぞれ説明する図である。
【図8】フラッシュメモリにおいて、光学データとそれに関連する各種情報の記憶態様を観念的に表した図である。
【図9】装置本体カバーにおいて入力される各入力情報の取り扱いについて説明する図である。
【図10】マーキング操作時において電子マーカペンの制御部のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図11】マーキング操作時において装置本体カバーのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図12】解答の筆記入力時において電子マーカペンの制御部のCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図13】解答の筆記入力時において装置本体カバーのCPUによって実行される制御手順を表すフローチャートである。
【図14】図13中のステップSS400の不正解処理の詳細な制御手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の一実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【0028】
本実施形態における電子筆記装置である手書き学習装置1は、図1に示すように、電子マーカペン2と、装置本体カバー3とを有する。電子マーカペン2は、全体が略棒状の本体の一端部に筆記を行う電子ペン部11を備え、他端部に蛍光インクを塗布する電子マーカ部12を備えている。装置本体カバー3は、概略的に、一般書籍30の外側を覆うように装着する書籍カバーで構成されている。被筆記体である一般書籍30は、学習者が教材として利用している参考書などの書籍であり、この例では、左右方向に見開く形式に製本されて各ページに横書きで文字列が記載されている。また、当該手書き学習装置1を利用する学習者は、後述の図7で説明するマスクシート4を別途用意する。
【0029】
図2に示すように、手書き学習装置1は、上述した電子マーカペン2と、装置本体カバー3とを有する。手書き学習装置1では、学習者が電子マーカペン2を持つ。電子マーカペン2は、上述したように電子ペン部11と電子マーカ部12とを一体に有している。電子筆記具である電子ペン部11は、上記一般書籍30上への筆記内容に対応したデータ入力を行うためのものであり、筆記具としての機能に加え、位置情報すなわち座標データの入力手段として機能する。また、電子マーカ部12は、上記電子ペン部11と同様の座標データの入力手段としての機能に加え、上記一般書籍30に記載されている文字に対して蛍光インクを塗布する筆記具の機能とともに、当該文字を光学的に読み取って画像データである光学データの入力手段として機能する。
【0030】
図2(a)、及び図2(b)に示すように、装置本体カバー3は、一般書籍30を略覆うように所定の方向(図2(a)中左右方向)に見開き可能な形状に構成された可塑性部材からなるシート体10を有している。シート体10は、左側コイルシート100Lを備えた左側シート部10Lと、右側コイルシート100Rを備えた右側シート部10Rと、左右方向の中央部に位置する折り曲げ部10Tを有する。折り曲げ部10Tは、学習者により折り曲げ可能な部分である。
【0031】
図2(a)及び図2(b)に示すように、左側シート部10Lの左端部に回路基板25aが設けられている。また、右側シート部10Rの右端部にも、回路基板25bが設けられている。左端部の回路基板25aには、制御回路部20及び電池21が収納されており、右端部の回路基板25bには、後述のアンテナが収納されている。
【0032】
そして、上記所定の方向に見開き可能な形状の一般書籍30が、シート体10に重なるように装着される。なお、左側シート部10L及び右側シート部10Rに、上記図1に示すような書籍保持部11をそれぞれ設けてもよい。これにより、装置本体カバー3を容易かつ確実に一般書籍30と一体化することができ、学習者による取り扱い性を向上することができる。
【0033】
学習者は、電子マーカペン2の電子マーカ部12を用いて、一般書籍30の左筆記面31Lや右筆記面31Rにあらかじめ記載されている文字列のうちの任意の箇所に、手書きで蛍光インクを塗布するマーキングを行う。このマーキング操作に対応した電子マーカ部12の移動により、マーキングされた線状範囲に対応した電子的な位置情報、つまり後述のマーキング領域情報が装置本体カバー3に保存される。また同時に、電子マーカ部12は、同じ線状範囲に位置する文字列を光学的に読み取り、それにより生成された光学データも上記位置情報と対応付けて保存される。なお、一般書籍30の複数のページでマーキングを行う際には、実際にページを変えるたびに学習者が装置本体カバー3のページ切り替えキー(後述の図4参照)も操作し、ページ番号の切り替え(ページ送り又はページ戻し)を行いながら上記光学データと位置情報を各ページに対応付けて保存することができる。
【0034】
また、学習者は、電子マーカペン2の電子ペン部11を用いて一般書籍30の左筆記面31Lや右筆記面31Rに手書きの所望の文字列等を筆記する。この筆記動作に対応した電子ペン部11の移動により、筆記された筆記内容に対応した電子的な入力情報、すなわち後述のペン位置座標データ列が装置本体カバー3に保存される。その際、実際にインクを用いて一般書籍30の左筆記面31Lや右筆記面31R等にページを切り替えながら筆記が行われるのと同様、学習者がページ切り替えキー(後述の図4参照)を操作し、ページ番号の切り替え(ページ送り又はページ戻し)を行いながら上記ペン位置座標データ列を保存することができる。
【0035】
学習者が手書き学習装置1を使用する際には、電子マーカペン2に備えられた図示しない電源スイッチがオンされる。電子マーカペン2は、図3及び図4に示すように、電子ペン部11と、電子マーカ部12と、電子マーカペン2全体の制御を行う制御部46などが配置された制御基板40と、電池43(図3参照)とを有する。電子ペン部11は、先端に設けられたペン先2aと、永久磁石47(図3参照)と、磁界送信用コイルであるコイル44及びコンデンサ45(図4参照)を備えた、筆記信号生成手段であるLC発振回路41(図4参照)と、先端スイッチ42とを有する。電子マーカ部12は、先端に設けられたマーカ51と、同じく先端に設けられた読み取り手段であるスキャナ52と、永久磁石53(図3参照)と、磁界送信用コイルであるコイル54及びコンデンサ55(図4参照)を備えた、読取位置信号生成手段であるLC発振回路56(図4参照)と、先端スイッチ57と、データ出力手段である無線通信制御部58と、アンテナ59とを有する。なお、磁界送信用コイルを備えた各信号生成手段としては、上記LC発振回路41,56のような発振回路に限られず、共振回路でもよい。
【0036】
電子ペン部11の先端スイッチ42は、ペン先2aの筆記面31L,31Rへの接触状態に応じて動作するスイッチである。この先端スイッチ42は、学習者が文字等を筆記するために、ペン先2aを筆記面31L,31Rに押しつけた(ペンダウンした)ときにオン状態となる。一方、学習者が文字等の筆記を止め、ペン先2aを筆記面31L,31Rから離した(ペンアップした)ときにオフ状態となる。なお、この電子ペン部11の先端スイッチ42が、各請求項記載の筆記遠近検出手段に相当する。
【0037】
電子マーカ部12の先端スイッチ57は、マーカ51及びスキャナ52の筆記面31L,31Rへの接触状態に応じて動作するスイッチである。この先端スイッチ57は、学習者が上記のマーキング操作を行うために、マーカ51及びスキャナ52を筆記面31L,31Rに押しつけた(マーカダウンした;近接状態)ときにオン状態となる。一方、学習者がマーキングを止め、マーカ51及びスキャナ52を筆記面31L,31Rから離した(マーカアップした;離間状態)ときにオフ状態となる。なお、この電子マーカ部12の先端スイッチ57が、各請求項記載の読取遠近検出手段に相当する。
【0038】
制御部46は、特に図示しないCPUや、ROM、RAMなどを備え、一つの集積回路として構成したものである。この制御部46は、これら電子ペン部11及び電子マーカ部12の各先端スイッチ42,57のオン状態とオフ状態にそれぞれ対応して、対応するコイル44,54から発生させる交番磁界(後述)の周波数を切り替える。また、スキャナ52で読み取った画像情報から光学データを生成し、これを無線通信制御部58を介して装置本体カバー3へ送信する。
【0039】
各LC発振回路41は、位置検出用の筆記信号である交番磁界(以下適宜、単に「磁界」と称する)を生成して出力するための回路である。各LC発振回路41のそれぞれのコイル44,54は、永久磁石47,53に巻回するように配置されると共に、コンデンサ45と電気的に接続されており、LC発振回路41で生成された磁界を発生する。各LC発振回路41がそれぞれのコイル44,54から発生させる磁界の周波数は、上記2つの先端スイッチ42,57のオン状態又はオフ状態に応じた制御部46による制御に基づき、各コンデンサ45の容量を変化させることにより変更される。
【0040】
すなわち、電子ペン部11の先端スイッチ42がオン状態の場合、制御部46が対応するコイル44から特定の周波数f1の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。一方、電子ペン部11の先端スイッチ42がオフ状態の場合、制御部46が対応するコイル44から特定の周波数f2の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。
【0041】
また、電子マーカ部12の先端スイッチ57がオン状態の場合、制御部46が対応するコイル54から特定の周波数f3の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。一方、電子マーカ部12の先端スイッチ57がオフ状態の場合、制御部46が対応するコイル54から特定の周波数f4の磁界を発生させるようにLC発振回路41を制御する。なお、上記4種類の周波数f1〜f4は、それぞれ明確に区別可能な周波数に設定されている。各コイル44,54から発生された磁界は、装置本体カバー3で検出される。
【0042】
なお、電子ペン部11のコイル44から出力される周波数f1及び周波数f2の磁界が、各請求項記載の筆記信号に相当し、電子マーカ部12のコイル54から出力される周波数f3及び周波数f4の磁界が、各請求項記載の読取位置信号に相当する。また、周波数f1が各請求項記載の第1態様に相当し、周波数f2が第2態様に相当し、周波数f3が第3態様に相当し、周波数f4が第4態様に相当する。
【0043】
電子マーカ部12のスキャナ52は、この例では一般書籍30の筆記面31L,31R上に接触させたガラス体を介してその接触面に光を照射し、その反射光を検出して当該筆記面31L,31R上に印刷された文字を読み取る光学部品である。制御部46はこのスキャナ52が読み取った光学データを、この例のJPEGなどの圧縮フォーマットの画像データに変換する。なお、以下においては、後述するストロークデータと対比する意味から、この画像データも広義の光学データとして扱う。
【0044】
無線通信制御部58は、制御部46が生成した上記光学データをアンテナ59を介した無線通信により上記装置本体カバー3に送信する制御を行う。この例では、Bluetoothの規格に準拠した無線通信を行う。
【0045】
電池43は、電子マーカペン2の電源スイッチがオンにされることで、制御部46、LC発振回路41,56、スキャナ52、及び無線通信制御部58等に電力を供給する(図3参照)。
【0046】
一方、装置本体カバー3は、図4に示すように、コイルシート100L,100Rと、制御回路部20と、アンテナ81とを有する。なお、コイルシート100L,100Rと制御回路部20とは、信号ラインを介して接続されている。
【0047】
コイルシート100L,100Rは、図5に示すように、センスコイル部110を含む。すなわち、図5に示すように配置されたセンスコイル部110が例えば外形が長方形の薄板状に樹脂成形されて、コイルシート100L,100Rが構成されている。
【0048】
センスコイル部110は、図5に示すように、x軸方向に配列されたm個のループ状のセンスコイルX1〜Xmと、y軸方向に配列されたn個のループ状のセンスコイルY1〜Ynとによって構成されている。なお、センスコイル部110を構成するm個のセンスコイルX1〜Xm及びn個のセンスコイルY1〜Ynのそれぞれは、電子マーカペン2の2つのコイル44,54でそれぞれ発生された磁界を受信可能なコイルであり、各請求項記載の複数のコイルに相当する。センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとは、互いに直交した位置関係で配置されている。また、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、コイル面方向が一般書籍30の筆記面31L,31Rの方向と略平行となっている。さらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、例えば表面に絶縁被膜層が形成された銅線によって形成されている。またさらに、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、図示及び説明を省略する引き出し線により後述するマルチプレクサ62に接続されている。そして、センスコイル部110のスキャン処理が開始され、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynが電子マーカペン2の各コイル44,54で発生された磁界を受信することによって、言い換えれば、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynと各コイル44,54で発生された磁界との電磁誘導によって、当該センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynには、起電力が発生する。すなわち、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynは、各コイル44,54との磁気結合によって、信号S1(図4参照)を発生する。
【0049】
センスコイルX1〜Xmは、それぞれ、x軸方向の幅P1の辺とP1より長いy軸方向の長さP2の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルX1〜Xmのそれぞれは、所定の一定ピッチでx軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルX1〜Xmは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0050】
センスコイルY1〜Ynは、それぞれ、x軸方向の幅P3の辺とP3より短いy軸方向の長さP1の辺とを備えた、略長方形状に形成されている。センスコイルY1〜Ynのそれぞれは、所定の一定ピッチでy軸方向に連続して配列されている。例えば、隣接するセンスコイルY1〜Ynは、P1の2分の1のピッチでそれぞれ重ねられている。
【0051】
なお、図5では、視覚的にわかりやすくするため、便宜上、センスコイルX1〜XmとセンスコイルY1〜Ynとの各辺がそれぞれ重ならないようにしており、上記ピッチで配列された状態では図示されていない。また、図5では、後述するマルチプレクサ62に入る引き出し線を省略してセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの形状を図示している。
【0052】
図4に戻り、制御回路部20は、マイコン80と、マルチプレクサ62(以下適宜、「MUX62」と称する)と、増幅回路64と、整流回路66と、リミッタ68と、データ入力手段である無線通信制御部69と、フラッシュメモリ70と、ページ切り替えキー71とを備えている。
【0053】
マイコン80は、CPU80aと、ROM80bと、RAM80cと、その他のA/D変換機能部や割り込み機能部等とを、一つの集積回路として構成したものである。このマイコン80は、装置本体カバー3で実行される各種の処理を制御し、その他の周辺回路の動作状態を制御する。
【0054】
MUX62は、マイコン80からのコイル選択信号S3に基づき、センスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynを1つずつ順番に選択する。そして、MUX62は、選択されたセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynにおいて発生された上記信号S1を入力し、対応する信号S11を増幅回路64に出力する。
【0055】
増幅回路64は、MUX62から入力される上記信号S11を増幅する。増幅回路64で増幅された信号S12すなわち電子マーカペン入力検知信号S12は、リミッタ68に入力される。リミッタ68は、増幅回路64から入力された信号S12を周波数及び位相情報だけのデジタル信号S15に処理してマイコン80の割り込み入力に入力する。マイコン80は、リミッタ68から入力された信号S15の周期をタイマー等により計測することにより、上記センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynからの信号S1の周波数を判定して、現在スキャンしているセンスコイル部110のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号と共にRAM80cに記憶する。
【0056】
また、増幅回路64で増幅された別の信号S13は、整流回路66に入力される。整流回路66は、増幅回路64から入力された信号S13を振幅検波した後、平滑化して直流信号に変換する。整流回路66で振幅検波された信号S14は、マイコン80に入力される。マイコン80は、前述したようにA/D変換機能を備えており、上記入力された振幅検波後の信号S14をデジタル信号に変換する。このとき、マイコン80の上記ROM80bには、各センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynの検出レベルと、電子マーカペン2と一般書籍30との接触点の座標データ(以下適宜、単に「電子マーカペン2の座標データ」という)のオフセット値とを対応付けて記憶する位置座標テーブルが記憶されている(詳細な説明は省略する)。マイコン80は、上記デジタル信号に対し、位置座標テーブルを適用することにより、電子マーカペン2の座標データ、すなわち、x軸方向のx座標及びy軸方向のy座標を算出する。なお、算出された座標データは後述の周辺回路70のフラッシュメモリ70に記憶される。これら算出された複数の座標データの集合が、学習者により手書き入力したストロークデータ、またはマーキング領域情報を構成する。
【0057】
また、マイコン80は、センスコイル部110のスキャン処理時にRAM80cに記憶した、最大出力のセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynのコイル番号に基づき、当該コイル番号で表されるセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから得られる上記信号S1の周波数を検出する。これにより、当該コイル番号で表されるセンスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynで受信された磁界の周波数の値fを検出する。
【0058】
無線通信制御部69は、アンテナ81を介してこの例のBlueTooth規格に従った無線通信を行い、上記電子マーカペン2の電子マーカ部12が備える無線通信制御部58から光学データを受信する。
【0059】
記憶手段に相当するフラッシュメモリ70には、電子ファイルが予め用意されており、マイコン80で算出された複数の座標データに基づくストロークデータやマーキング領域情報等が、上記電子ファイルに書き込まれ、保存される。
【0060】
ページ切り替えキー71は、学習者が実際に一般書籍30のページを変えるたびに、そのページの変更に対応したページ番号の切り替え操作を入力する操作部である。
【0061】
電池21は、装置本体カバー3に備えられた図示しない電源スイッチがオンにされることで、マイコン80やその周辺部等に電力を供給する(図4中では図示省略)。
【0062】
次に、電子マーカペン2の電子マーカ部12を用いたマーキング操作について、図6を用いて説明する。図6は、上記図2(b)の一般書籍30の筆記面31L,31R上に電子マーカ部12を接触させてマーキングを行っている状態を拡大して示している。図示するように、学習者は、一般書籍30の筆記面31L,31R上に記載されている任意の文字列に対して電子マーカ部12の先端を押圧しなぞることで、当該文字列にマーカ51で蛍光インク91を塗布しマーキングを行う。なお、この蛍光インク91でマーキングされた文字は、そのままの状態では学習者により容易に視認可能となる。
【0063】
また同時に、このマーキング操作によって電子マーカ部12の先端スイッチ57がオン状態となっている間、マーカ51に並列配置されたスキャナ52が、マーキングされる当該文字列を光学的に読み取って光学データを生成し、制御部46がこの光学データをJPEGなどのフォーマットに変換した画像データ(広義の光学データ)を生成する。なお、このマーキング操作中においては、スキャナ52が当該文字列を明確に読み取れるよう、電子マーカ部12の移動方向(図中の左側から右側に向かう方向)の前方側(図中の右側)にスキャナ52を位置させ、その後方側(図中の左側)にマーカ51を位置させてマーキングを行う。
【0064】
さらに同時に、このマーキング操作によって先端スイッチ57がオン状態となっている間、制御部46は上述したようにコイル54から上記特定の周波数f3で磁界を発生させる。これにより、装置本体カバー3は、コイルシート100L,100Rを介して周波数f3の磁界を受信した始点位置と終点位置を検出し、これらからマーキングが行われた領域の位置情報、つまり上記のマーキング領域情報を取得できる。
【0065】
このようにして行われるマーキング操作を繰り返した際、図7(a)に示すように、電子マーカ部12は、生成した光学データをBluetoothによる無線通信により逐次送信し、装置本体カバー3がこれを受信する。また装置本体カバー3は、受信した光学データと同時に取得したマーキング領域情報をそれぞれ対応付けてフラッシュメモリ70に記憶する。なお、学習者はページ変更した場合には、その都度ページ切り替えキー71を操作して対応するページ番号を切り替える。なお、このページ番号が、各請求項記載のページ番号情報に相当する。
【0066】
これらの各情報は、図8に示すようなデータ構成で上記フラッシュメモリ70に記憶される。すなわち、ページ番号毎で各マーキング箇所に対応する情報がまとめられ、マーキング領域情報、光学データ読取平均位置、及び光学データが各マーキング箇所に対応づけられて記憶される。なお、図中の光学データ読取平均位置は、対応する光学データが読み取られたマーキング領域の中央位置に相当する位置情報であり、具体的にはマーキング領域情報を構成する始点位置と終点位置の間の中間位置となる。なお、この光学データ読取平均位置が、各請求項記載の読取基準位置情報に相当する。
【0067】
マーキング操作を終えた後に学習者は、図7(b)に示すように、マーキングされた一般書籍30のページにマスクシート4を重ねてマーキング領域の文字を隠す(以下適宜、「マスクする」と称する)。なお、このマスクシート4は、マーカ51が塗布する蛍光インク91の色に対応してマーキングされた文字だけを黒色化しマスクできる色に着色された半透過材料で構成されている。
【0068】
学習者は、マスクシート4を通して視認できる前後の文章からマスクされたマーキング領域の文字を推定する。学習者は、図7(c)に示すように、推定した文字を電子ペン部11を用いて当該マーキング領域上に筆記入力することで解答する。このとき、この筆記入力によって電子ペン部11の先端スイッチ42がオン状態となっている間、制御部46は上述したようにコイル44から特定の周波数f1で磁界を発生させる。これにより、装置本体カバー3は、コイルシート100L,100Rを介して周波数f1の磁界を受信した位置情報の集合をペン位置座標データ列として検出し、これらから学習者の筆記内容つまり上記のストロークデータや、その筆記入力が行われた領域の位置情報を取得できる。
【0069】
上述したように装置本体カバー3において入力される各入力情報の取り扱いについて、図9に示す。学習者のマーキング操作によって電子マーカ部12から装置本体カバー3に入力された光学データ(図示する例では「天気」の文字の画像データ)とマーキング領域情報は、上記図8に示したように各マーキング箇所に対応付けて記憶される。また、その際にマーキング領域情報に基づいて上述の光学データ読取平均位置も算出し、対応付けて記憶される。
【0070】
一方、学習者の解答時の筆記入力によって電子ペン部11から装置本体カバー3にペン位置座標データ列が入力された際には、その入力が行われるたびに当該ペン位置座標データ列からストロークデータ(図示する例では同じ「天気」の文字の字画を形成するデータ)を生成するとともに、ストロークデータ読取平均位置を算出する。なお、このストロークデータ読取平均位置は、対応するストロークデータの入力領域の中央位置に相当する位置情報であり、具体的にはペン位置座標データ列が占める領域の中間位置となる。なお、このストロークデータ読取平均位置が、各請求項記載の筆記基準位置情報に相当する。
【0071】
装置本体カバー3は、基本的に学習者による電子ペン部11を用いた筆記入力を検出するたびに、対応するページ番号とストロークデータ読取平均位置とが略一致する光学データ読取平均位置と、それに対応する光学データを検索する。そして、筆記入力されたストロークデータの文字を公知の文字認識処理によってテキストデータに変換するとともに、検索した光学データの文字を公知の文字認識処理によってテキストデータに変換する。いずれのテキストデータも同じ規格に準拠したキャラクタコード列に変換することで、双方が一致しているか正誤判定できる。このような正誤判定により、学習者が当該マーキング領域の文字を正しく推定できたか、また正確に筆記できたかを判定できる。
【0072】
以上のような機能を実現するために、電子マーカペン2の制御部46が備えるCPU(特に図示せず)、及び装置本体カバー3のCPU80aでそれぞれ行われる制御処理の内容を、順を追って説明する。
【0073】
まず、マーキング操作時において電子マーカペン2の制御部46のCPUによって行われる制御処理の内容を図10に示す。図10において、このフローに示す処理は、例えば学習者が電子マーカペン2の電源をオンした場合に開始される。まずステップSS5で、CPUは、電子マーカ部12の先端スイッチ57でオン状態が検出されるまでループ待機する。言い換えると、学習者により電子マーカ部12の下端が一般書籍30の筆記面31L,31Rに押下されて、マーキング操作の開始が検出されるまでループ待機する。電子マーカ部12の先端スイッチ57でオン状態が検出された場合には、CPUは、次のステップSS10へ移る。
【0074】
ステップSS10では、CPUは、マーカダウン信号に相当する周波数f3の磁界を電子マーカ部12のコイル54から発生させて、装置本体カバー3のコイルシート100L,100Rに送信する。
【0075】
そして、ステップSS15に移り、CPUは、スキャナ52からマーキング中の文字を光学的に逐次読み取る。
【0076】
そして、ステップSS20に移り、CPUは、電子マーカ部12の先端スイッチ57でオフ状態が検出されたか否かを判定する。言い換えると、学習者により電子マーカ部12の下端が一般書籍30の筆記面31L,31Rから離間されて、マーキング操作の終了が検出されたか否かを判定する。電子マーカ部12の先端スイッチ57でオン状態が検出された場合には、判定は満たされず、上記ステップSS15に戻って同様の手順を繰り返す。一方、電子マーカ部12の先端スイッチ57でオフ状態が検出された場合には、判定が満たされ、次のステップSS25へ移る。
【0077】
ステップSS25では、CPUは、マーカアップ信号に相当する周波数f4の磁界を電子マーカ部12のコイル54から発生させて、装置本体カバー3のコイルシート100L,100Rに送信する。
【0078】
そして、ステップSS30に移り、CPUは、上記ステップSS15で読み取った文字の光学データを生成し、無線通信制御部58を介して装置本体カバー3へ送信する。そして、このフローを終了する。
【0079】
次に、マーキング操作時において装置本体カバー3のCPU80aによって行われる制御処理の内容を図11に示す。図11において、このフローに示す処理は、例えば学習者が装置本体カバー3の電源をオンした場合に開始される。まずステップSS105で、CPU80aは、一般書籍30で現在見開きされているページ番号を検出する。
【0080】
そして、ステップSS110に移り、CPU80aは、電子マーカ部12からマーカダウン信号に相当する周波数f3の磁界を受信するまでループ待機する。言い換えると、学習者によりマーキング操作の開始が検出されるまでループ待機する。マーカダウン信号の受信が検出された場合には、CPUは、次のステップSS115へ移る。
【0081】
ステップSS115では、CPU80aは、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから周波数f3の磁界を検出した位置をマーキング始点位置として検出する。
【0082】
そして、ステップSS120に移り、CPU80aは、電子マーカ部12からマーカアップ信号に相当する周波数f4の磁界を受信するまでループ待機する。言い換えると、学習者によりマーキング操作の終了が検出されるまでループ待機する。マーカアップ信号の受信が検出された場合には、CPU80aは、次のステップSS125へ移る。
【0083】
ステップSS125では、CPU80aは、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから周波数f4の磁界を検出した位置をマーキング終点位置として検出する。
【0084】
そして、ステップSS130に移り、CPU80aは、上記ステップSS115で検出したマーキング始点位置と、上記ステップSS125で検出したマーキング終点位置から、それらの中間位置を光学データ読取平均位置として算出する。
【0085】
そして、ステップSS135に移り、CPU80aは、無線通信制御部58を介して電子マーカペン2から光学データを受信する。
【0086】
そして、ステップSS140に移り、CPU80aは、上記ステップSS105で検出したページ番号、上記ステップSS115と上記ステップSS125でそれぞれ検出した始点位置と終点位置からなるマーキング領域情報、上記ステップSS130で算出した光学データ読取平均位置、及び上記ステップSS135で受信した光学データとを対応づけてフラッシュメモリ70に保存する。そして、このフローを終了する。
【0087】
次に、解答の筆記入力時において電子マーカペン2の制御部46が備えるCPUによって行われる制御処理の内容を図12に示す。図12において、このフローに示す処理は、例えば学習者が電子マーカペン2の電源をオンした場合に開始される。なお、この図12に示すフローと上記図10に示したフローは並行して実行され、先に先端スイッチ42,57のオン状態が検出された方のフローを優先的に実行する。
【0088】
まずステップSS205で、CPUは、電子ペン部11の先端スイッチ42でオン状態が検出されるまでループ待機する。言い換えると、学習者により電子ペン部11の下端が一般書籍30の筆記面31L,31Rに押下されて、解答の筆記入力の開始が検出されるまでループ待機する。電子ペン部11の先端スイッチ42でオン状態が検出された場合には、CPUは、次のステップSS210へ移る。
【0089】
ステップSS210では、CPUは、ペンダウン信号に相当する周波数f1の磁界を電子マーカ部12のコイル54から発生させて、装置本体カバー3のコイルシート100L,100Rに送信する。
【0090】
そして、ステップSS215に移り、CPUは、電子ペン部11の先端スイッチ42でオフ状態が所定時間継続して検出されるまでループ待機する。言い換えると、学習者により電子ペン部11の下端が所定時間継続して一般書籍30の筆記面31L,31Rから離間され、解答の筆記入力の終了が検出されたか否かを判定する。電子ペン部11の先端スイッチ42でオフ状態が所定時間継続して検出された場合には、CPUは、次のステップSS220へ移る。
【0091】
ステップSS220では、CPUは、ペンアップ信号に相当する周波数f2の磁界を電子マーカ部12のコイル54から発生させて、装置本体カバー3のコイルシート100L,100Rに送信する。そして、このフローを終了する。
【0092】
次に、解答の筆記入力時において装置本体カバー3のCPU80aによって行われる制御処理の内容を図13及び図14に示す。図13において、このフローに示す処理は、例えば学習者が装置本体カバー3の電源をオンした場合に開始される。なお、この図13に示すフローと上記図11に示したフローは並行して実行され、先にマーカダウン信号またはペンダウン信号が受信された方のフローを優先的に実行する。
【0093】
まずステップSS305で、CPU80aは、一般書籍30で現在見開きされているページ番号を検出する。
【0094】
そして、ステップSS310に移り、CPU80aは、電子ペン部11からペンダウン信号に相当する周波数f1の磁界を受信するまでループ待機する。言い換えると、学習者による解答の筆記入力の開始が検出されるまでループ待機する。ペンダウン信号の受信が検出された場合には、CPU80aは、次のステップSS315へ移る。
【0095】
ステップSS315では、CPU80aは、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから周波数f1の磁界を検出した位置をペン位置座標データとして逐次検出する。
【0096】
そして、ステップSS320に移り、CPU80aは、電子ペン部11からペンアップ信号に相当する周波数f2の磁界を受信したか否かを判定する。言い換えると、学習者による解答の筆記入力の終了が検出されたか否かを判定する。電子ペン部11からペンダウン信号を受信した場合には、判定は満たされず、上記ステップSS315に戻って同様の手順を繰り返す。一方、電子ペン部11からペンアップ信号を受信した場合には、判定が満たされ、次のステップSS325へ移る。
【0097】
ステップSS325では、CPU80aは、上記ステップSS315で検出したペン位置座標データ列から、その筆記内容の文字の字画を示すストロークデータを生成する。
【0098】
そして、ステップSS330に移り、CPU80aは、上記ステップSS325で生成したストロークデータを文字認識してテキストデータを生成する。
【0099】
そしてステップSS335に移り、CPU80aは、上記ステップSS315で検出したペン位置座標データから、それが占める領域の略中央位置をストロークデータ読取平均位置として算出する。
【0100】
そしてステップSS340に移り、CPU80aは、上記ステップSS305で検出したページ番号に対応して、上記ステップSS335で算出したストロークデータ読取平均位置から一定の範囲内にある光学データ読取平均位置を検索し、それに対応する光学データを取得する。
【0101】
そしてステップSS345に移り、CPU80aは、上記ステップSS34で取得した光学データを光学的な文字認識処理、いわゆるOCR処理してテキストデータを生成する。
【0102】
そしてステップSS350に移り、CPU80aは、上記ステップSS325と上記ステップSS345でそれぞれ生成した2つのテキストデータを照合し、それらのキャラクタコード列が一致するか否かを判定する。言い換えると、一般書籍30の当該マーキング領域に記載されている文字と、学習者が筆記入力した文字とが一致して、解答が正解しているか否かの正誤判定を行う。2つのテキストデータが一致している場合には、判定が満たされ、CPU80aはステップSS355へ移る。
【0103】
ステップSS355では、CPU80aは、特に図示しない適宜の表示部での表示や発音部での発音によって、学習者の解答が正解したことを報知する正解処理を行う。そして、このフローを終了する。
【0104】
一方、上記ステップSS350の判定において、2つのテキストデータが一致していなかった場合、判定は満たされず、CPU80aはステップSS400へ移る。
【0105】
ステップSS400では、CPU80aは、後述の図14に示す不正解処理を実行する。そして、このフローを終了する。
【0106】
次に、装置本体カバー3のCPU80aによって行われる、上記ステップSS400の不正解処理の詳細な制御処理の内容を図14に示す。
【0107】
まずステップSS405で、CPU80aは、特に図示しない適宜の表示部での表示や発音部での発音によって、学習者の解答が正解したことを報知する。
【0108】
そしてステップSS410に移り、CPU80aは、上記ステップSS330で生成したストロークデータ及びその元となるペン位置座標データ列を全てクリアする。
【0109】
そしてステップSS415に移り、CPU80aは、特に図示しない操作部を介して学習者が連続解答モードを選択するよう操作入力しているか否かを判定する。この連続解答モードが選択されていない場合、学習者は当該マーキング領域の文字の解答をあきらめて他の文字の解答へ移るものとみなされる。この場合には、判定は満たされず、このフローを終了する。
【0110】
一方、連続解答モードが選択されている場合、学習者は当該マーキング領域の文字の解答を再度行うものと見なされる。この場合には、判定が満たされ、CPU80aは次のステップSS420へ移る。
【0111】
ステップSS420では、CPU80aは、電子ペン部11からペンダウン信号に相当する周波数f1の磁界を受信するまでループ待機する。言い換えると、学習者による再解答の筆記入力の開始が検出されるまでループ待機する。ペンダウン信号の受信が検出された場合には、CPU80aは、次のステップSS425へ移る。
【0112】
ステップSS425では、CPU80aは、センスコイルX1〜Xm,Y1〜Ynから周波数f1の磁界を検出した位置をペン位置座標データとして逐次検出する。
【0113】
そして、ステップSS430に移り、CPU80aは、電子ペン部11からペンアップ信号に相当する周波数f2の磁界を受信したか否かを判定する。言い換えると、学習者による再解答の筆記入力の終了が検出されたか否かを判定する。電子ペン部11からペンダウン信号を受信した場合には、判定は満たされず、上記ステップSS315に戻って同様の手順を繰り返す。一方、電子ペン部11からペンアップ信号を受信した場合には、判定が満たされ、次のステップSS435へ移る。
【0114】
ステップSS435では、CPU80aは、上記ステップSS425で検出したペン位置座標データ列から、その筆記内容の文字の字画を示すストロークデータを生成する。
【0115】
そしてステップSS440に移り、CPU80aは、上記ステップSS435で生成したストロークデータを文字認識してテキストデータを生成する。
【0116】
そしてステップSS445に移り、CPU80aは、上記ステップSS440と上記ステップSS345でそれぞれ生成した2つのテキストデータを照合し、それらのキャラクタコード列が一致するか否かを判定する。言い換えると、一般書籍30の当該マーキング領域に記載されている文字と、学習者が筆記入力した文字とが一致して、再解答が正解しているか否かの正誤判定を行う。なお、この不正解処理の実行中においては、照合対象の光学データのテキストデータがすでに上記ステップSS345で生成されて確定しているので、上記図13のフローにおけるステップSS335〜ステップSS345に対応する検索手順や生成手順は不要である。これにより、連続解答モード中においては、学習者は当該マーキング領域上に限らずに任意の位置で再解答を筆記入力しても、同じ文字の正誤判定を行うことができる。
【0117】
2つのテキストデータが一致していなかった場合、判定は満たされず、CPU80aはステップSS405へ戻り、同様の手順を繰り返す。
【0118】
一方、2つのテキストデータが一致している場合には、判定が満たされ、CPU80aはステップSS450へ移る。
【0119】
ステップSS450では、CPU80aは、特に図示しない適宜の表示部での表示や発音部での発音によって、学習者の解答が正解したことを報知する正解処理を行う。このとき、再解答を繰り返した回数も併せて報知してもよい。そして、このフローを終了する。
【0120】
以上において、上記図11のフローにおけるステップSS130の手順及び上記図13のフローにおけるステップSS335の手順が、各請求項記載の演算手段に相当し、ステップSS325及びステップSS435の手順が、各請求項記載のストロークデータ生成手段に相当し、ステップSS340の手順が、各請求項記載の決定手段に相当し、ステップSS345及びステップSS445の手順が、各請求項記載の判定手段に相当する。また、ステップSS140の手順が、各請求項記載の記憶制御手段に相当する。また、ステップSS355、ステップSS405及びステップSS450の手順が、各請求項記載の報知手段に相当する。
【0121】
以上説明したように、本実施形態の手書き学習装置1においては、主に2種類のデータを入力する構成を有する。1つ目のデータは、当該手書き学習装置1の装置本体カバー3に装着した一般書籍30に予め記載された文字を光学的に読み取った光学データである。2つ目のデータは、当該手書き学習装置1の装置本体カバー3に装着した一般書籍30上での学習者による実際の筆記動作を電磁的に読み取ったストロークデータである。各データは、基本的にそれぞれ一般書籍30上の任意の同一位置で入力され、またそれらの入力位置情報も対応するデータと併せて読み取られる。
【0122】
そしてステップSS340の手順が、光学データ読取平均位置とストロークデータ読取平均位置とを比較することにより、各ストロークデータにそれぞれ対応する光学データを決定する。ステップSS345の手順は、上記ステップSS340の手順により対応づけられた光学データとストロークデータのそれぞれを認識処理した文字どうしが同一内容であるか否かを判定する。
【0123】
以上のようにして、本実施形態においては、手書き学習装置1の装置本体カバー3に装着した一般書籍30上の所定の位置に予め記載された所定の文字を電子マーカ部12のスキャナ52であらかじめ光学データとして読み取っておき、その後に学習者が同じ位置に電子ペン部11で筆記した文字が同一であるかを判定できる。この結果、一般書籍30を用いた汎用性の高い問題作成とその暗記学習が可能となる。
【0124】
また、本実施形態では特に、スキャナ52の一般書籍30に対するマーカダウン状態及びマーカアップ状態を検出可能な先端スイッチ57を有し、スキャナ52は、先端スイッチ57でマーカダウン状態が検出されたら文字の光学的な読み取り及び光学データの生成を開始し、電子マーカ部12の無線通信制御部58は、先端スイッチ57でマーカアップ状態が検出されたらスキャナ52で生成した光学データを出力する。これにより、先端スイッチ57によってスキャナ52が一般書籍30に近接していたと検出されたマーキング領域情報を、当該光学データの読み取り位置情報として正確に対応付けて利用できる。また、各ストローク単位で送信することにより暗記の解答の正否を直ちに判定できるだけでなく、CPU負荷を分散することによりピーク消費電流を小さくできる。
【0125】
また、本実施形態では特に、装置本体カバー3が、無線通信制御部69より入力された光学データを取得したとき、その直前にステップSS130の手順で算出された光学データ読取平均位置を、取得された光学データに対応する位置情報として当該光学データに対応づけて記憶するように、フラッシュメモリ70に記憶するステップSS140の手順を実行する。これにより、フラッシュメモリ70は、光学データと光学データ読取平均位置とを正確に対応づけて記憶できる。
【0126】
また、本実施形態では特に、ステップSS140の手順は、光学データを、対応する光学データ読取平均位置と当該光学データ読取平均位置に対応した一般書籍30のページ番号とに関連づけてフラッシュメモリ70に記憶させる。これにより、一般書籍30が複数の見開きページを有する場合でも、ステップSS140の手順は各ページに正確に対応付けて光学データと光学データ読取平均位置をフラッシュメモリ70に記憶させることができる。
【0127】
また、本実施形態では特に、電子ペン部11の一般書籍30に対するペンダウン状態及びペンアップ状態を検出可能な先端スイッチ42を有し、電子ペン部11は、先端スイッチ42でペンダウン状態が検出されたら周波数f1のペンダウン信号をLC発振回路41により生成して送信し、先端スイッチ42でペンアップ状態が所定時間以上に継続して検出されたら周波数f2のペンアップ信号をLC発振回路41により生成して送信し、センスコイル部110から周波数f2のペンアップ信号を受信した際にステップSS340の手順が光学データを決定する。そしてステップSS345の手順は、ステップSS340の手順で決定される光学データが、それまでの光学データとは別の光学データに切り替わったときに、切り替わる前に決定されていた光学データより得られた文字と、同じく切り替わる前に生成されていたストロークデータにより得られる文字とが、同一内容であるか否かを判定する。
【0128】
これにより、電子ペン部11が一般書籍30から所定時間以上継続して離間した状態となった際に、1つの光学データに対応した筆記入力が完了したものと見なされ、ステップSS340の手順が新たな光学データを決定する。そしてステップSS345の手順は、光学データとストロークデータとを正確に対応づけて判定することができる。
【0129】
また、本実施形態では特に、電子マーカ部12は、先端スイッチ57でマーカダウン状態が検出されたら周波数f3のマーカダウン信号をLC発振回路56により生成して送信し、先端スイッチ57でマーカアップ状態が検出されたら周波数f4のマーカアップ信号をLC発振回路56により生成して送信する。これにより、センスコイル部110が受信している磁界の周波数を判別することで、電子ペン部11と電子マーカ部12のいずれが一般書籍30に近接又は離間しているかを判定できる。
【0130】
また、本実施形態では特に、ステップSS355、ステップSS405及びステップSS450の手順が、ステップSS345及びステップSS445の手順における判定結果を報知することにより、一般書籍30上に記載された文字と学習者が筆記入力した文字とが同一あったか否か、つまり学習者による解答が正解であったか否かを明確に報知できる。なお、上記実施形態では、当該手書き学習装置1の装置本体カバー3が備える適宜の表示部や発音部で上記報知を行ったが、これに限られない。他にも、装置本体カバー3に特に図示しないパーソナルコンピュータなどを接続して、このパーソナルコンピュータが有する表示部や発音部で上記報知を行ってもよい。
【0131】
なお、上記実施形態においては、電子ペン部11と電子マーカ部12とを、1つの電子マーカペン2として一体に構成したが、本発明はこれに限られず、電子ペン部11と電子マーカ部12とを別体で構成してもよい。また、電子マーカ部12で一般書籍30上に形成された文字を光学的に読み取る光学部品としては、スキャナ52以外にも例えばカメラなどを利用してもよい。
【0132】
なお、以上において、図4、図6等の各図中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0133】
また、図10、図11、図12、図13、図14等に示すフローチャートは本発明を上記フローに示す手順に限定するものではなく、発明の趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で手順の追加・削除又は順番の変更等をしてもよい。
【0134】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0135】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0136】
1 手書き学習装置
2 電子マーカペン
3 装置本体カバー
11 電子ペン部(電子筆記具)
12 電子マーカ部
30 一般書籍(被筆記体)
41 LC発振回路(筆記信号生成手段)
42 先端スイッチ(筆記遠近検出手段)
44 コイル(磁界送信用コイル)
46 制御部
51 マーカ
52 スキャナ(読み取り手段)
54 コイル(磁界送信用コイル)
56 LC発振回路(読取位置信号生成手段)
57 先端スイッチ(読取遠近検出手段)
58 無線通信制御手段(データ出力手段)
70 フラッシュメモリ(記憶手段)
80a CPU
110 センスコイル部(複数のコイル)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁界送信用コイルを備えた筆記信号生成手段を有し、被筆記体への筆記内容に対応したデータ入力を行うための筆記信号を前記筆記信号生成手段により生成して送信する電子筆記具と、
被筆記体に予め記載された文字を光学的に読み取り、対応する光学データを生成する読み取り手段と、
前記読み取り手段で生成した前記光学データを出力するデータ出力手段と、
前記読み取り手段に設けられ、磁界送信用コイルを備え、前記読み取り手段が読み取った前記被筆記体の前記文字の位置を検出する読取位置信号を前記磁界送信用コイルにより生成する読取位置信号生成手段と、
前記電子筆記具の前記筆記信号生成手段から送信された前記筆記信号、及び、前記読み取り手段の前記読取位置信号生成手段から送信された前記読取位置信号を受信し、それら前記筆記信号及び前記読取位置信号によりそれぞれ誘導された出力値を出力可能な複数のコイルと、
前記出力値を含む前記複数のコイルにおける受信結果に基づき、前記電子筆記具が筆記した位置を示す筆記基準位置情報、及び前記読み取り手段が前記文字を読み取った位置を示す読取基準位置情報を算出する演算手段と、
前記データ出力手段より出力された前記光学データを入力するデータ入力手段と、
前記データ入力手段より入力された前記光学データに対応する、前記演算手段で算出された前記読み取り手段の前記読取基準位置情報を、当該光学データに対応づけて記憶する記憶手段と、
前記出力値を含む前記複数のコイルにおける受信結果に基づき、前記電子筆記具による前記被筆記体への記載に対応したストロークデータを、前記演算手段が算出した前記電子筆記具の前記筆記基準位置情報に対応させて生成するストロークデータ生成手段と、
前記ストロークデータ生成手段で生成された前記ストロークデータに対応する前記筆記基準位置情報と、前記記憶手段に記憶された、前記光学データに対応する前記読取基準位置情報とを比較し、当該ストロークデータに対応する前記光学データを決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された前記光学データを認識処理して得られた文字と、前記ストロークデータを認識処理して得られた文字とが、同一内容であるか否かを判定する判定手段と、
を有することを特徴とする電子筆記装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子筆記装置において、
前記読み取り手段の前記被筆記体に対する近接状態及び離間状態を検出可能な読取遠近検出手段を有し、
前記読み取り手段は、
前記読取遠近検出手段で前記近接状態が検出されたら前記文字の読み取り及び前記光学データの生成を開始し、
前記データ出力手段は、
前記読取遠近近接手段で前記離間状態が検出されたら前記読み取り手段で生成した前記光学データを出力する
ことを特徴とする電子筆記装置。
【請求項3】
請求項2記載の電子筆記装置において、
前記データ入力手段より入力された前記光学データを取得したとき、その直前に前記演算手段で算出された前記読み取り手段の位置情報を、取得された光学データに対応する位置情報として当該光学データに対応づけて記憶するように、前記記憶手段を制御する記憶制御手段を有する
ことを特徴とする電子筆記装置。
【請求項4】
請求項3記載の電子筆記装置において、
前記記憶制御手段は、
前記光学データを、対応する前記読み取り手段の位置情報と当該位置情報に対応した前記被筆記体のページ番号情報とに関連づけて記憶するように、前記記憶手段を制御する
ことを特徴とする電子筆記装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項記載の電子筆記装置において、
前記電子筆記具の前記被筆記体に対する近接状態及び離間状態を検出可能な筆記遠近検出手段を有し、
前記電子筆記具は、
前記筆記遠近検出手段で前記近接状態が検出されたら前記筆記信号を第1態様で前記筆記信号生成手段により生成して送信し、
前記筆記遠近検出手段で前記離間状態が所定時間以上に継続して検出されたら前記筆記信号を第2態様で前記筆記信号生成手段により生成して送信し、
前記決定手段は、前記複数のコイルから前記第2態様の前記筆記信号を受信した際に前記光学データを決定し、
前記判定手段は、
前記決定手段で決定される前記光学データが、それまでの光学データとは別の光学データに切り替わったときに、切り替わる前に決定されていた前記光学データより光学的に文字認識処理されて得られた文字と、同じく切り替わる前に生成されていた前記ストロークデータにより文字認識処理されて得られる文字とが、同一内容であるか否かを判定する
ことを特徴とする電子筆記装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子筆記装置において、
前記読み取り手段は、
前記読み取り手段の前記被筆記体に対する近接状態及び離間状態を検出可能な読取遠近検出手段を有し、
前記読取遠近検出手段で前記近接状態が検出されたら前記読取位置信号を第3態様で前記読取位置信号生成手段により生成して送信し、
前記読取遠近検出手段で前記離間状態が検出されたら前記読取位置信号を第4態様で前記読取位置信号生成手段により生成して送信する
ことを特徴とする電子筆記装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子筆記具において、
前記判定手段の判定結果を報知する報知手段を備えている
ことを特徴とする電子筆記装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−173833(P2012−173833A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32793(P2011−32793)
【出願日】平成23年2月18日(2011.2.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】