説明

電子表示装置

【課題】 手めくりのようなページ切換えが可能な電子表示装置を提供する。
【解決手段】 この電子表示装置10は、コンテンツを表示する表示部12と、コンテンツのページ切換えの操作を行う操作部15と、操作部15の操作に基づいて、表示されたコンテンツの現ページから次ページへのページ切換えを制御する制御部16とを備え、制御部16は、ページ切換えにおける表示部12の表示を更新するために、現ページの表示位置を徐々に表示部12の表示領域外へ移動させ、次ページの表示位置を徐々に表示部12の表示領域内に移動させることにより合成画像を順次生成する。現ページ及び次ページの移動速度を、ページ切換えの後半で、少なくとも2段階の減速の加速度で変化するように設定することで、次ページへの移行を滑らかにして、余韻を出すことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子書籍等を読むための電子表示装置に関し、特に、表示画面上のページを切換えるときに、実際の書籍に近い“ページ切換え”を実現するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子書籍等を閲覧するための携帯可能な電子表示装置が市販されている。この装置は、薄箱状の筐体に、LCDや電子ペーパーから成る表示部と、キーボードやボタン等の操作部とを有しており、ユーザは、その筐体を片手または両手で保持し、操作部を操作して、表示部に表示する電子書籍を選択し、あるいは、そのページの切換えを行う。
【0003】
また、非特許文献1及び非特許文献2は、種々の電子表示装置に適用可能な書籍閲覧用ソフトを開示している。このソフトは、表示装置の画面上に、本に近い感覚でオリジナルの雰囲気を損なわずに書籍を表示することを目的としている。
図12は、非特許文献1及び非特許文献2に開示された画像のページ切換え表示の例を示す。図12(a)は、ページ切換えの際の画像の変化を示すものであり、現ページの画像上に次ページの画像がスライドし、重ねられる操作が行なわれる(「Wipe-In」ともいう)。また、図12(b)は、ページ切換えの際の画像の変化の他の例を示すものであり、現ページの画像上に次ページの画像が拡大し、重ねられる操作が行なわれる(「Zoom-Out」ともいう)。
【非特許文献1】「青空文庫を快適に読む azurアジュール」、平成17年7月25日検索、インターネット<URL:http://www.voyager.co.jp/azur/index.html>
【非特許文献2】「T−Time5.5は今そこにある液晶デバイスを本にします」、平成17年7月25日検索、インターネット<URL:http://www.voyager.co.jp/T-Time/index.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述したような従来の電子表示装置のページ切換えは、単にページの切換えに際する表現の工夫を提示したのみであり、片手で本をめくるときの感覚や、それに準じたページの切換え、ページのめくり感を提供するものではない。従って、ユーザに機械的なページ切換えの印象を与えてしまい、読書に際してのページめくりの感覚を提供することはできない。このような操作感覚は、結果的に電子表示装置の魅力を損なうこととなってしまっている。
【0005】
本発明は、こうした問題を踏まえて創案したものであり、あたかも手めくりをしているようなページ切換え(ページめくり)が可能な電子表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子表示装置は、コンテンツを表示する表示部と、表示部に表示されたコンテンツのページ切換えの操作を行う操作部と、操作部の操作に基づいて、表示部に表示されたコンテンツの第1のページから第2のページへのページ切換えを制御する制御部とを備え、制御部は、ページ切換えにおける表示部の表示を更新するために、第1のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域外へ移動させ、第2のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域内に移動させると共に、前記第1のページ及び前記第2のページの移動速度を、前記ページ切換えの後半で、少なくとも2段階の減速度で変化するように設定する。
【0007】
この制御部の制御により、ページ切換えでの次ページへの移行が円滑になり、あたかも、実際の本を手めくりした時のページの動作をイメージすることができ、次ページへの切換えに余韻を持たせ、片手で本をめくるときの感覚を得ることができる。
【0008】
また、本発明の電子表示装置の制御部は、合成画像に占める次ページの表示領域の増え方が、ページめくりの後半で多段階に減速し前記操作部の操作に応じて、前記第1のページおよび前記第2のページの移動速度の変化及びページ切換えの開始からページ切換えの終了までの工程時間を制御する。
【0009】
このような構成により、ユーザは種々のモードによりページ切換えを行うことが可能となる。
【0010】
また、前記操作部がタッチセンサにより構成され、前記タッチセンサをなぞる指の動きに応じて、前記制御部が、前記第1のページおよび前記第2のページの移動速度の変化及びページ切換えの開始からページ切換えの終了までの工程時間を制御するようにしてもよい。
【0011】
このような構成により、ユーザは簡易な操作にて移動速度を変化させることが可能となる。
【0012】
また、前記2段階の減速の加速度が、ページ切換えの最終局面で設定され、最終局面に近い段階の減速度が、最終局面から遠い段階の減速度より小さくなるように設定されてもよい。
【0013】
この制御部の制御により、次ページへの移行が、より一層円滑になる。
【0014】
また、本発明の電子表示装置の制御部は、第1のページ及び第2のページの移動速度が、ページ切換えの前半で、加速した後に減速するように設定する。
【0015】
こうすることで、ページめくりの際の加速感が強調される。
【0016】
また、本発明の電子表示装置の制御部は、第1のページ及び第2のページの移動速度が、ページ切換えの前半での減速の後、ページ切換えの後半での減速に到るまで等速を維持するように設定する。
【0017】
このように、ページめくりの途中で、次ページの表示領域を等速で増加させることにより、スムーズ感を出すことができる。
【0018】
また、本発明は、電子表示装置における表示部に表示されたコンテンツの第1のページから第2のページへのページ切換えを制御するページ切換え制御方法であって、当該方法は、第1のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域外へ移動させ、第2のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域内に移動させ、前記第1のページ及び前記第2のページの移動速度を、前記ページ切換えの後半で、少なくとも2段階の減速度で変化するように設定する。
また、このような方法をコンピュータに実行させるプログラムも本発明に含まれる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の電子表示装置は、機械的なページ切換えでは無く、あたかも手めくりが行われているように感じるページ切換え、ページめくりを表示することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は、本発明の実施形態における電子表示装置10の外観を示す斜視図である。この電子表示装置10の筐体は、薄箱状の矩形部11と、その矩形の片側に連なる略円柱状の把持部13とを有し、矩形部11には表示部12が配置され、把持部13には略E字形の操作部14が配置されている。また、把持部13の内部には、この装置の電源となる電池が収納されている。
【0021】
ユーザは、図2に示すように、この電子表示装置10の把持部13を右手41または左手42で掴み、掴んだ手の親指で操作部14のE字上をなぞって、表示部12に表示する 書籍等のコンテンツを選択し、また、そのページを切換える。
【0022】
E字形操作部14には、図3に示すように、E字に沿って複数のタッチセンサ15a〜15hが配置されており、指が触れるタッチセンサの順番やその時間間隔に基づいて、予め決められた表示動作が行われる。
【0023】
例えば、この電子表示装置10を右手で持つ場合は、表示部12にコンテンツ選択用のメニューが表示されているときに、図4(a)に示すように、タッチセンサを15b→15c→15eの順に指でなぞると、多数のコンテンツの表題を含むメニュー上でコンテンツの選択位置が下方向に移動し、逆に、15e→15c→15bの順になぞると、その選択位置が上方向に移動する。
【0024】
また、図4(b)に示すように、タッチセンサを15e→15dの順に指でなぞると、メニュー上で選択されたコンテンツの1ページ目が表示部12に表示される。
【0025】
また、図4(c)に示すように、タッチセンサを15a→15bの順に指でなぞると、表示されたコンテンツの順方向へのページ切換えが行われ、15b→15aの順になぞると、逆方向へのページ切換えが行われる。このとき、なぞる速さが予め決められた値s2より大きければ高速でページがめくられ、なぞる速さがs1〜s2の間であれば中速でページがめくられ、また、s1未満であれば低速でページがめくられる(このように指でなぞる操作に応じて、1ページずつページがめくられる状態を“通常モード”と呼ぶことにする)。また、タッチセンサを指でなぞった後、指をタッチセンサから離さずに触り続けると、ページ切換えを連続的に行う“中速モード”に移行し、さらに、予め決められた時間以上触り続けると、ページを所定枚数(例えば10ページ毎に)飛ばして切換える“高速モード”へと移行する。このように、操作部14に対する操作に応じて、制御部16は、ページの移動速度の変化及びページ切換えの開始からページ切換えの終了までの工程時間を制御する。
【0026】
また、図4(d)に示すように、タッチセンサを15h→15gの順に指でなぞると、電子表示装置10の操作部14は、左手持ちに対応した動作に切換わる。
【0027】
図5は、電子表示装置10を左手で持つ場合の操作を示している。これは右手持ちの場合と対象的であり、コンテンツの選択は、タッチセンサを15h→15f→15e、または、その逆の順になぞることで行われ(図5(a))、選択したコンテンツの表示開始は、タッチセンサを15e→15dの順になぞることで行われ(図5(b))、ページ切換えは、タッチセンサを15h→15g、または、その逆の順になぞることで行われ(図5(c))、さらに、右手持ちへの切換えは、タッチセンサを15b→15aの順になぞって行われる。尚、重力センサや加速センサを別途設け、タッチセンサに触れなくとも電子表示装置10が上下に反転されたとき、自動的に表示部12の表示を反転させる構成を採用してもよい。
【0028】
図6は、この電子表示装置10の構成を示すブロック図である。この装置10は、表示部12と、操作部として機能するタッチセンサ15と、コンテンツを記憶する記憶部17と、表示用画像を一時記憶する一時記憶部18と、表示を制御する制御部16とを有している。
【0029】
記憶部17は、この装置に装着されるメモリカード等の記憶媒体であり、閲覧用の多数のコンテンツが、そのメニュー情報とともに格納されている。記憶媒体は一般的には取り外し可能で著作権保護機能が設けられており、他の記録媒体にそのコンテンツをコピーすることはできないような構成になっているが、特にその種類は限定されない。
【0030】
一時記憶部18は、揮発性メモリーから成り、ここには、閲覧するコンテンツの表示部12に表示されるページとその前後のページとが記憶部17から読み出されて一時的に記憶される。
【0031】
制御部16は、制御動作が、タッチセンサ15の入力情報に対応付けて規定されたプログラムを保持しており、タッチセンサ15から情報が入力すると、その情報の有効性を識別し、有効である場合に、そのプログラムに従って表示部12の表示を制御する。
【0032】
次に、この電子表示装置10におけるページ切換えの表示動作について説明する。
【0033】
この装置10の電源が投入されると、制御部16は、記憶部17からメニュー情報を読み出して表示部12に表示し、このメニュー画面に含まれる多数の表題の中の先頭の表題を反転表示して、初期設定された右手持ち用の表示制御を開始する。なお、図4(d)に示すように、タッチセンサ15の15hに続いて15gから入力が有った場合は、その間の時間を時計(不図示)で計測し、計測時間が予め設定された閾値より短いとき、この入力情報を有効と識別して、左手持ち用の表示制御に切換える。
【0034】
制御部16は、図4(a)に示すように、タッチセンサ15の15b、15c、15eから、この順で入力が有った場合に、その間の時間を計測し、計測時間が予め設定された閾値より短いとき、この入力情報を有効と識別して、メニュー画面上で反転表示する表題の位置を下方向に移動する。同様に、15e、15c、15bの順に入力が有った場合は、その情報を有効と識別したとき、メニュー画面上で反転表示する表題の位置を上方向に移動する。
【0035】
また、図4(b)に示すように、タッチセンサ15の15eに続いて15dから入力が有ると、制御部16は、その間の計測時間が予め設定された閾値より短いとき、この入力情報を有効と識別して、メニュー画面上で反転表示している表題のコンテンツの1ページ目及び2ページ目を記憶部17から読み出し、それらを一時記憶部18に格納するとともに、その1ページ目を表示部12に表示する。
【0036】
また、図4(c)に示すように、タッチセンサ15の15aに続いて15bから入力があると、制御部16は、その間の計測時間を予め設定された時間h0、h1、h2(h0>h1>h2)と比較する。そして、計測時間がh0より長い場合は、入力情報を無効とし、h0≧計測時間>h1の場合は、低速の通常モードによるページ切換えを実行し、h1≧計測時間>h2の場合は、中速の通常モードによるページ切換えを実行し、また、h2≧計測時間の場合は、高速の通常モードによるページ切換えを実行する。
【0037】
通常モードによるページ切換えは、一時記憶部18に格納された1ページ目及び2ページ目の画像データを用いて、後述する図11のように、2ページ目の表示位置が徐々に変化する画像を合成し、その合成画像を用いて表示部12の表示を順次更新する。このとき、低速の通常モードでは、合成画像に占める2ページ目の表示領域の時間的な増加を、図7に示すように設定する。本発明では、2ページ目の表示領域の増加とは、1ページ目(現ページ、第1のページ)が表示部12の表示領域外へ移動しつつ、2ページ目(次ページ、第2のページ)が表示部12の表示領域内に移動することをいう。
【0038】
この図7は、図13と同様に、合成画像に占める2ページ目の表示領域が時間的に増加する様子を示しており、横軸のtnは、合成画像の更新時刻をページ切換え開始時(0)からの経過時間で表し、縦軸は、tn時刻の合成画像に占める2ページ目の表示領域の割合(%)とt(n−1)時刻の合成画像に占める2ページ目の表示領域の割合(%)との差分を表している。
【0039】
図7の設定に従うことにより、2ページ目の表示領域は、t2時点まで急激に加速して増加し(t1:8.3%、t2:22.1%)、t2時点の合成画像に占める2ページ目の表示領域が、30.4%に達する。2ページ目の表示領域の増え方は、この急激な加速の後に減速し、t3からt7までは、合成画像の更新ごとに12.4%ずつ増え、t7時点の合成画像に占める2ページ目の表示領域は、累積で92.4%に達する。その後、2ページ目の表示領域の増え方は減ってくるが、その減速の加速度は一定ではなく、t8時点での増加が5.5%、t9時点では1.4%、t10時点では0.6%と、t11時点に近付くほど、減速の加速度は低下し、t11時点において2ページ目の表示領域は累積で100%に達する。t11は、ページ切換え開始時(0)からの経過時間が1100msの時点である。また、「減速の加速度」とは、「減速度」と同意であり、「減速度」とは図7のグラフなどの傾きに対応し、特に右下がりになっている部分の傾きに対応する。従って、「2段階の減速度」という場合、少なくとも2段階のグラフの傾きで速度が減少する。
【0040】
このように、2ページ目の表示領域の増え方を所定レベルまで高める場合に、等加速でそれを実現するよりも、図7の0からt3に掛けての期間のように、所定レベル以上に加速した後、所定レベルまで減速した方が、加速感が強調され、手めくりの感じが出る。
【0041】
また、ページ切換えの後半で2ページ目の表示領域の増え方を減速する場合に、一定の加速度で減速するのではなく、図7のt7からt11に掛けての期間のように、ページ切換えの最終局面に近付く程、減速の加速度を落とすことで、2ページ目への切換えに余韻を持たせることができ、機械的なページ切換えの印象を解消することができる。
【0042】
また、中速の通常モードでは、合成画像に占める2ページ目の表示領域の時間的な増加を、図8にグラフbとして示すように設定する(なお、同図のグラフaは図7と同じ低速の通常モードを示している)。
【0043】
この中速の通常モードに従うことにより、2ページ目の表示領域は、t2時点まで急激に加速して増加し(t1:8.3%、t2:28.2%)、t2時点の合成画像に占める2ページ目の表示領域が、36.5%に達する。2ページ目の表示領域の増え方は、この急激な加速の後に減速し、t3からt5までは、合成画像の更新ごとに19.3%ずつ増え、t5時点の合成画像に占める2ページ目の表示領域は、累積で94.4%に達する。ページ切換え後半の減速過程では、t6時点で4.1%、t7時点で1.4%の増加となり、t8時点において、2ページ目の表示領域が累積で100%に達する。t8は、ページ切換え開始時(0)からの経過時間が800msの時点である。
【0044】
この中速の通常モードの場合も、ページ切換え前半で、所定レベル以上に加速した後、所定レベルまで減速して、加速感を強調している。そのため、手めくりの感じを出すことができる。
【0045】
また、ページ切換えの後半で、ページ切換えの最終局面に近付く程、減速の加速度を落としており、そのため、2ページ目への切換えに余韻を持たせることができる。
【0046】
また、高速の通常モードでは、合成画像に占める2ページ目の表示領域の時間的な増加を、図8にグラフcとして示すように設定する。
【0047】
この高速の通常モードに従うことにより、t1時点の合成画像に占める2ページ目の表示領域は、55.2%に達する。その後、2ページ目の表示領域の増え方は減速し、t2時点で37.3%、t3時点で5.5%、t4時点で1.9%の増加となり、t5時点において、2ページ目の表示領域が累積で100%に達する。t5は、ページ切換え開始時(0)からの経過時間が500msの時点である。
【0048】
この高速の通常モードの場合も、ページ切換え前半のt1時点で大きく加速した後、t2時点で減速し、加速感を強調している。また、t2からt5の期間では、ページ切換えの最終局面に近付く程、減速の加速度を落とすことで、2ページ目への切換えに余韻を持たせている。
【0049】
なお、制御部16は、2ページ目を表示部12に表示した場合に、その次のページを記憶部17から読み出し、表示中のページとその前後のページとを一時記憶部18に格納する。
【0050】
そして、再び、図4(c)に示すように、タッチセンサ15の15aに続いて15bから入力があると、制御部16は、前述した手順で、通常モードによる次ページへのページ切換えを実行する。また、タッチセンサ15の15bに続いて15aから入力があると、制御部16は、同様の手順で、通常モードによる前ページへのページ切換えを実行する。
【0051】
また、制御部16は、タッチセンサ15の15aに続いて15bから入力があり、その後、引き続いて15bからの入力が継続する場合に、その継続時間を時計(不図示)で計測する。そして、その計測時間が予め設定された時間m1を超えたとき、ページ切換えを連続的に行う“中速モード”を実行する。この中速モードでは、合成画像に占める2ページ目の表示領域の時間的な増加を、図9に示すように設定する。
【0052】
この図9では、0からt3に掛けて最初のページ切換えが行われ、t3からt6に掛けて次のページ切換えが行われ、t6からt9に掛けて次のページ切換えが行われ、t9からt12に掛けて次のページ切換えが行われる。各ページ切換えにおいて、合成画像に占める次ページの表示領域が時間的に増加するパターンは皆同じであり、最初のページ切換えの場合で言えば、t1時点で89%、t2時点で11%の増加となり、t3時点において、次ページの表示領域が累積で100%に達する。t3は、ページ切換え開始時(0)からの経過時間が300msの時点である。
【0053】
この中速モードの場合も、ページ切換えの最初(t1)で大きく加速した後、t2時点で減速し、加速感を強調している。また、減速過程では、ページ切換えの最終局面に近付く程、減速の加速度を落とすことで、次ページへの切換えに余韻を持たせている。
【0054】
また、制御部16は、表示部12に表示する次のページ切換えに間に合うように、次のページを記憶部17から順次読み出して一時記憶部18に格納する。
【0055】
また、制御部16は、中速モードを開始してからの時間を時計(不図示)で計測し、計測時間が時間m2(m2>m1)に達する前にタッチセンサ15bからの入力が停止した場合は、実施途中のページ切換えが完了した時点で、以後のページへのページ切換えを中止する。また、タッチセンサ15bからの入力が停止しないまま計測時間が時間m2に達した場合は、kページ後のページへのページ切換えを行う “高速モード”を実行する。
【0056】
この高速モードでは、nページに続いて、(n+k)ページ、(n+2k)ページ、(n+3k)ページ、(n+4k)ページと言うようにページ切換えを行うが、中速モードとの違いを表すために、切換えるページ間に距離(余白)を設けている。
【0057】
この場合の合成画像に占める次ページの表示領域の時間的な増加は、図10に示すように設定する。ここでは、0からt3に掛けて(n+k)ページへのページ切換えが行われ、t3からt6に掛けて(n+2k)ページへのページ切換えが行われ、t6からt9に掛けて(n+3k)ページへのページ切換えが行われ、t9からt12に掛けて(n+4k)ページへのページ切換えが行われる。ただし、このページ切換えでは、余白を含むページ間の切換えが行われるが、図10の縦軸は、ページだけに着目した%の値を示しているため、累積が100%を超えている。
【0058】
この高速モードの場合も、ページ切換えの最初(t1)で大きく加速した後、t2時点で減速し、加速感を強調している。また、減速過程では、ページ切換えの最終局面に近付く程、減速の加速度を落とすことで、次ページへの切換えに余韻を持たせている。
【0059】
また、制御部16は、表示部12に表示する次のページ切換えに間に合うように、該当するページを記憶部17から順次読み出して一時記憶部18に格納する。
【0060】
また、制御部16は、タッチセンサ15bからの入力が停止した場合は、実施途中のページ切換えが完了した時点で、以後のページへのページ切換えを中止する。
【0061】
なお、ここでは、順方向の中速モード及び高速モードの処理について説明したが、逆方向の場合も同様である。
【0062】
以上の操作制御を、図11を用いて総括的に説明する。図11は、図7に示した通常モードにおける各段階での画像の変化を説明したものである。
【0063】
(A)は、時間t1〜t3での画像の変化を示している。この段階では、一度移動が加速してから、減速することにより、一層加速感を強調している。(A)の後の(B)は、時間t3〜t7での画像の変化を示している。この段階では画像が等速で動くことにより、動きにスムーズ感を与えることができる。
【0064】
次に(C)は、時間t7〜t9での画像の変化を示している。この段階では、徐々に移動が減速してページ移動速度を落としていく。(C)の後の(D)は、時間t9〜t11での画像の変化を示している。この段階では、その前の(D)よりも減速の加速度を落とすことにより、ページ移動が止まる時の余韻を出すことができる。
【0065】
この例では現ページ1の表示位置を徐々に枠で囲まれた表示部の表示領域外へ移動させ、次ページ2の表示位置を徐々に枠内表示部の表示領域内に移動させることにより、合成画像を順次生成している。また、(C)及び(D)のように、現ページ1及び次ページ2の移動速度が、少なくともページ切換えの後半で、少なくとも2段階の減速の加速度で変化するように設定されている。この制御は、図8のb、cで示された他の通常モードにおいてのみならず、図9の中速モード、図10の高速モードにおいても共通である。
【0066】
また、この2段階の減速の加速度は、(C)及び(D)のようにページ切換えの最終局面で設定されることが望ましい。また、(D)のように最終局面に近い段階の減速の加速度が、(D)より最終局面から遠い段階の(C)減速の加速度より小さくなるように設定されることで、停止時の余韻が強調される。この制御も図8のb、cで示された他の通常モードにおいてのみならず、図9の中速モード、図10の高速モードにおいて共通である。
【0067】
また、段階(A)のように、現ページ1および次ページ2の移動速度が、ページ切換えの前半で、加速した後に減速するように設定することが望ましい。さらに段階(B)のように、現ページ1及び次ページ1の移動速度が、ページ切換えの前半での減速の後、ページ切換えの後半での(C)の減速に到るまで等速を維持するように設定することが望ましい。これらの制御は、図8のbで示された他の通常モードにおいても同様である。
【0068】
このように、この電子表示装置では、ページ切換えにおける次ページの現われ方にメリハリを持たせているため、機械的なページ切換えの印象を薄めて、手めくりの感じを出すことができる。特に、ページ切換えの後半において、次ページの表示領域の増え方を減速する際に、ページ切換えの最終局面に近付く程、その減速の加速度を下げているため、唐突な感じを抱かせずに、次ページへソフトランディングすることができ、次ページへの切換えに余韻を持たせることができる。
【0069】
この減速の過程は、少なくとも、その減速の加速度をa1、a2(<a1)の2段階に設定し、ページ切換えの最終局面に近い方の加速度をa2に、ページ切換えの最終局面から遠い方の加速度をa1に設定することで、その効果が得られる。
【0070】
なお、ここで説明した操作部の構成や操作手順、あるいは、通常モード、中速モード及び高速モード等のモード設定、各モードでの次ページ画像の増加特性の設定は、いずれも一例であって、本発明は、それらに限定されない。操作部を十字キーや、縦、横方向に分割された複数のキー等により構成することも可能である。
【0071】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の電子表示装置は、ユーザに対し、本をめくっているような“ページ切換え(ページめくり)”を実感させることが可能であり、小説、画集、写真集などの電子書籍を閲覧する読書端末や、撮影した写真等を順次表示する画像ビュアー等の各種電子表示装置に対して、広く適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の実施形態における電子表示装置の斜視図
【図2】本発明の実施形態における電子表示装置の右手または左手での操作を説明する図
【図3】本発明の実施形態における電子表示装置のE字形操作部の構成を示す図
【図4】本発明の実施形態における電子表示装置のE字形操作部の操作を説明する図(右手持ちの場合)
【図5】本発明の実施形態における電子表示装置のE字形操作部の操作を説明する図(左手持ちの場合)
【図6】本発明の実施形態における電子表示装置の構成を示すブロック図
【図7】本発明の実施形態における電子表示装置のページ切換え(低速度・通常モード)で設定された次ページの増加特性を示す図
【図8】本発明の実施形態における電子表示装置のページ切換えで設定された次ページの増加特性を示す図(a:低速度・通常モード、b:中速度・通常モード、c:高速度・通常モード)
【図9】本発明の実施形態における電子表示装置のページ切換え(中速モード)で設定された次ページの増加特性を示す図
【図10】本発明の実施形態における電子表示装置のページ切換え(高速モード)で設定された次ページの増加特性を示す図
【図11】ページ切換えの説明図
【図12】従来の電子表示装置のページ切換え操作を示す図
【符号の説明】
【0074】
10 電子表示装置
11 矩形部
12 表示部
13 把持部
14 操作部
15 タッチセンサ
15a〜15h タッチセンサ
16 制御部
17 記憶部
18 一時記憶部
41 右手
42 左手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツを表示する表示部と、
前記表示部に表示されたコンテンツのページ切換えの操作を行う操作部と、
前記操作部の操作に基づいて、前記表示部に表示されたコンテンツの第1のページから第2のページへのページ切換えを制御する制御部と、を備えた電子表示装置であって、
前記制御部は、前記ページ切換えにおける前記表示部の表示を更新するために、前記第1のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域外へ移動させ、前記第2のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域内に移動させると共に、
前記第1のページ及び前記第2のページの移動速度を、前記ページ切換えの後半で、少なくとも2段階の減速度で変化するように設定した電子表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電子表示装置であって、
前記操作部の操作に応じて、前記制御部が、前記第1のページおよび前記第2のページの移動速度の変化及びページ切換えの開始からページ切換えの終了までの工程時間を制御する電子表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子表示装置であって、
前記操作部はタッチセンサにより構成され、前記タッチセンサをなぞる指の動きに応じて、前記制御部が、前記第1のページおよび前記第2のページの移動速度の変化及びページ切換えの開始からページ切換えの終了までの工程時間を制御する電子表示装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の電子表示装置であって、
前記2段階の減速度が、ページ切換えの最終局面で設定され、最終局面に近い段階の減速度が、最終局面から遠い段階の減速度より小さくなるように設定された電子表示装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか1項に記載の電子表示装置であって、
前記制御部は、前記第1のページ及び前記第2のページの移動速度が、前記ページ切換えの前半で、加速した後に減速するように設定する電子表示装置。
【請求項6】
請求項5に記載の電子表示装置であって、
前記制御部は、前記第1のページ及び前記第2のページの移動速度が、前記ページ切換えの前半での前記減速の後、前記ページ切換えの後半での減速に到るまで等速を維持するように設定する電子表示装置。
【請求項7】
電子表示装置における表示部に表示されたコンテンツの第1のページから第2のページへのページ切換えを制御するページ切換え制御方法であって、
前記第1のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域外へ移動させ、前記第2のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域内に移動させると共に、
前記第1のページ及び前記第2のページの移動速度を、前記ページ切換えの後半で、少なくとも2段階の減速度で変化するように設定する、電子表示装置のページ切換え制御方法。
【請求項8】
電子表示装置における表示部に表示されたコンテンツの第1のページから第2のページへのページ切換えをコンピュータに実行させるプログラムであって、該プログラムは、
前記第1のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域外へ移動させ、前記第2のページの表示位置を徐々に前記表示部の表示領域内に移動させる手順と、
前記第1のページ及び前記第2のページの移動速度を、前記ページ切換えの後半で、少なくとも2段階の減速度で変化するように設定する手順と、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate


【公開番号】特開2007−41724(P2007−41724A)
【公開日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−223370(P2005−223370)
【出願日】平成17年8月1日(2005.8.1)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】