説明

電子装置

【課題】組み立ての作業性が良く簡単には外れない薄型筐体を備えた電子機器を提供することを課題とする。
【解決手段】
本発明における電子装置は、第1のカバーと、第1のカバーに対してスライド可能に装着される第2のカバーとを備える電子装置であって、第1のカバーは、その内壁に形成された突起を有し、第2のカバーは、突起を係止するスリットと、スリットに向けて斜めに延在する傾斜縁部と、を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子装置に係り、特に、第1のカバーと第2のカバーを備える電子装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、広範囲な電波を利用できる超広帯域(Ultra Wide Band)無線技術を用いて精度を上げた測位システムが研究されている。例えば、店舗等の所定の空間に複数の通信装置(基地局)を離して設置しておき、顧客が送受信装置(UWBタグ)を携帯し或いはカートに送受信装置を取り付け、顧客が送受信装置と固定の通信装置との間での信号の送信受信によって、顧客の位置を測位する測位システムが研究されている。
【0003】
この場合に、電子装置の一例としての送受信装置は携帯して使用されるため、小型であること、特に薄型であることが望ましい。
【0004】
本出願人は、UWB用のアンテナとして、先にホームベース形状のエレメントパターンと略正方形のグランドパターンとを接近させて配置した構成の平面状のアンテナを出願した。このアンテナは、送受信装置を薄型に構成する上で好適である。また、送受信装置の薄型化のためには、電池としては、ボタン形状のボタン電池が好ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般的にはボタン電池は、独立した部品としてのボタン電池装着モジュールに装着される。機器筐体の内部には、このボタン電池装着モジュールが組み込んである。ボタン電池装着モジュールは、ボタン電池が収まるケース部、陰極端子部材、陽極端子部材よりなる構成であり、ボタン電池自身のサイズは小型であるけれども、ボタン電池装着モジュールが小型にし難く嵩張ったものとなり、送受信装置を十分に薄型にすることが難かった。このような用途に使用される電子装置は、筐体の内部に電池を装着するため、筐体は簡単には外れてはならず、一方、薄型の筐体を組み立てる際の作業性が要求されていた。
【0006】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされた電子装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における電子装置は、第1のカバーと、前記第1のカバーに対してスライド可能に装着される第2のカバーとを備える電子装置であって、前記第1のカバーは、その内壁に形成された突起を有し、前記第2のカバーは、前記突起を係止するスリットと、前記スリットに向けて斜めに延在する傾斜縁部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、組み立ての作業性が良く簡単には外れない薄型筐体を備えた電子機器を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は本発明の実施例1になる携帯型の送受信装置(UWBタグ)10を分解して示す斜視図である。図2は送受信装置10の斜視図、図3は送受信装置10の内部を透視して示す斜視図である。図4(A)は送受信装置10の内部を透視して示す平面図、同図(B)は送受信装置10をY2側からみた正面図である。X1−X2は幅方向、Y1−Y2は長さ方向、Z1−Z2は厚さ(高さ)方向である。
【0011】
送受信装置10は、共に合成樹脂製である上側ハーフケース20と下側ハーフケース30とが組み合わされてなる扁平なケース11の内部に送受信機能を備えた送受信モジュール50が組み込まれており、且つ、ケース11の内部にボタン電池80が収容されて装着されるためのボタン電池装着部70が、送受信モジュール50とは重ならないで送受信モジュール50の横側の箇所に形成してある構成であり、平面図上は略正方形であり、厚さがT10である薄型である形状である。ボタン電池装着部70は、ボタン電池装着モジュールを使用しないで、ケース11の一部を利用して形成してある。送受信装置10の厚さ方向についてみると、送受信モジュール50とボタン電池装着部70とは、送受信モジュール50がボタン電池装着部70に装着されたボタン電池80の厚さT80とオーバーラップする位置関係にある。上側ハーフケース20及び下側ハーフケース30は少なくとも後述するエレメントパターン61の周辺が非金属製であればよい。
【0012】
送受信モジュール50は、図5(A)乃至(E)に示すように、下側ハーフケース30の内部に固定してある。上側ハーフケース20は下側ハーフケース30と結合してあり、送受信モジュール50を覆っている。ボタン電池80は、送受信モジュール50の回路基板51の切り欠かれている部分と下側ハーフケース30の一つのコーナーの近くの部分によって構成されたボタン電池装着部70に収容されて装着してある。ボタン電池80は送受信モジュール50とは重ならないで送受信モジュール50の横側に配置してあり、高さ及び厚さ方向についてみると、図4(B)に示すように、送受信モジュール50は、その回路基板51(厚さT51)が、収容されているボタン電池80の厚さT80に対応する高さに位置している。この配置が、送受信装置10の薄型化に有効である。図6(A)、(B)は、夫々図5(C)、(A)中の一部であるボタン電池装着部70を拡大して示す。
[送受信モジュール50]
図7は送受信モジュール50を示す。送受信モジュール50は、回路基板51の上面のX2側の半分の領域に、UWBアンテナ装置60を有し、且つ、回路基板51の残りの領域にIC部品、機能切り替えスイッチ65、電源スイッチ66、外部接続用コネクタ67、小型の同軸コネクタ63等が実装してあり、且つ、ボタン電池の陰極に接触する陰極端子部材55及びボタン電池の陽極に接触する陽極端子部材56が固定してある構成である。
【0013】
回路基板51は、下側ハーフケース30内に収まるサイズであり、四角形のY1側とX1側との間のコーナー部分に、ボタン電池80に対応する大きさ及び形状の切り欠き部52を有する。切り欠き部52の縁53の形状は略円弧形状である。
【0014】
また、回路基板51には、Y1側の中央と、Y2側のX1側及びX2側とに、固定用の貫通穴54−1、54−2、54−3が、正三角形に近い三角形の各頂点に対応するような配置で配してある。
【0015】
UWBアンテナ装置60は、ホームプレート形状のエレメントパターン61と略L字形状のグランドパターン62(図10参照)とを有する。エレメントパターン61はその中心線61CLに関して左右対称な形状である。エレメントパターン61がY1側、グランドパターン62がY2側であり、エレメントパターン61のY2側の三角形の頂点の箇所がグランドパターン62のY1側の縁に接近している。エレメントパターン61はX2側の縁が回路基板51のX2側の縁と一致して、切り欠き部52よりX2方向に最大に離れて配置してある。また、エレメントパターン61のY1側の縁が回路基板51のY1側の縁と一致し、グランドパターン62のY2側の縁が回路基板51のY2側の縁と一致している。このように、回路基板51はUWBアンテナ装置60のサイズに合わせたサイズとなっており、回路基板51は出来るだけ小さいサイズとなっている。また、エレメントパターン61とグランドパターン62とは回路基板51の上面にエッチングによって作り込まれている。
【0016】
また、同軸コネクタ63が、回路基板51の上面に、エレメントパターン61とグランドパターン62とにまたがって表面実装してある。また、エレメントパターン61とグランドパターン62との表面は、絶縁膜で覆われている。
【0017】
上記のUWBアンテナ装置60は、約5ナノ秒の非常に短い時間幅のインパルスを送受信する。
【0018】
エレメントパターン61はX2方向に最大に偏倚している。エレメントパターン61とボタン電池80との間の距離A(図4(A)参照)を出来るだけ長くするようにして、UWBアンテナ装置60の送受信特性がボタン電池80の存在によって影響を受けないようにするためである。
【0019】
機能切り替えスイッチ65は、回路基板51の上面のX2側の縁の箇所に実装してあり、操作ノブ65aはX2側に突き出ている。操作ノブ65aが操作されている間は、送受信モジュール50は送受信を連続して行う。
【0020】
電源スイッチ66は、回路基板51の上面のX1側の縁の箇所に実装してあり、操作ノブ66aはX1側に突き出ている。操作ノブ66aを操作することによって、電源がオンオフされる。
【0021】
外部接続用コネクタ67は、回路基板51の上面のY2側の縁の箇所に実装してある。
【0022】
また、回路基板51には、陰極端子部材55及び陽極端子部材56が固定してあり、切り欠き部52内に突き出ている。
【0023】
図9に拡大して示すように、陰極端子部材55は、細長い板形状であり、基部55aと基部55aの端より延びている中間部55cと、中間部55cの端より延びている板ばね部55dとよりなる。基部55aは、四角形状であり、辺毎に一つのラグ部55b1〜55b3を有する。中間部55cは基部55aよりZ1方向に斜めに延在している。板ばね部55dは、中間部55cの端よりY2方向にZ2方向に斜めに傾斜して延在しており、先端がV字形状となっており、ここに、端子部55eとボタン電池ガイド部55fが形成してある。この陰極端子部材55は、図8に拡大して示すように、ラグ部55b1〜45b3を回路基板51の対応する穴57−1〜57−3に圧入されて半田付けされて位置決めされて回路基板51に機械的に固定され、端子部55eが切り欠き部42の略中心に位置する状態とされ、且つ、回路基板51と電気的に接続されている。板ばね部55dはZ1方向に撓まされて弾性変形されたときに弾性力を蓄積して、端子部55eにはZ2方向の力F1が発生する。ボタン電池ガイド部55fは、Y1方向に延在するにつれてZ1方向を向いて斜めとなっている。
【0024】
同じく、図9に拡大して示すように、陽極端子部材56は、途中の箇所が複雑に曲げて細長い板形状であり、基部56aと、基部56aの端よりU字形状に延びている中間部56cと、中間部56cの端より延びている板ばね部56dとよりなる。基部56aは、四角形状であり、辺毎に一つのラグ部56b1〜56b3を有する。中間部56cは、基部56の端よりZ2方向に折り曲げられて、且つZ1側からみてU字形状に折り曲げてある。板ばね部56dは、中間部56cの端より湾曲してY1とX2との間の方向に延びている。中間部56cと板ばね部56dとの間の開き角度はα1である。中間部56c及び板ばね部56dはY−Z面内に位置している。板ばね部56dの先端側は折り返されてV字形状となっており、ここに、端子部56eとボタン電池ガイド部56fが形成してある。56d1は板ばね部56dの根元の部分である。この陽極端子部材56は、図8に拡大して示すように、ラグ部56b1〜56b3を回路基板51の対応する穴58−1〜58−3に圧入されて半田付けされて位置決めされて回路基板51に機械的に固定され、板ばね部56d、端子部56e、電池ガイド部56fは、切り欠き部52のうちX1側に位置しており、且つ、回路基板51と電気的に接続されている。板ばね部56dは開き角度α1が拡がる方向に撓まされて弾性変形されたときに弾性力を蓄積して、端子部56eにはX2方向の力F2が発生する。ボタン電池ガイド部46fは、後述するように電池を装着するときに電池を案内する。
【0025】
送受信モジュール50は、電気的には、図10に示すブロック図で示す構造であり、UWBアンテナ装置60、UWB通信ICチップ75、処理装置76、メモリ77、電源回路78を含む構成である。
【0026】
UWB通信ICチップ75は、処理装置76からの信号に基づいてインパルス波形を生成するとともに、UWBアンテナ装置60で受信したインパルス波形から元の信号を復元する処理を実行する。
【0027】
処理装置76は、端末装置制御プログラムに基づいて処理を実行する。処理装置76には前記の機能切り替えスイッチ65が接続してある。
【0028】
メモリ77は、RAM・ROMなどから構成されており、処理装置76で実行される端末装置制御プログラムがインストールされるとともに、処理装置76での処理の作業用記憶領域として用いられる。
【0029】
電源回路78は、電源スイッチ66を介してボタン電池80と接続してあり、ボタン電池80からの電圧を調整して駆動電圧を、UWB通信ICチップ75、処理装置76、メモリ77に加える。なお、電源回路78を設けないで、ボタン電池80の電圧をUWB通信ICチップ75、処理装置76、メモリ77に加えるようにしてもよい。
[下側ハーフケース30]
図11及び図12は下側ハーフケース30を示す。下側ハーフケース30は、略正方形の底板部31と、底板部31の周囲部よりZ1方向に立ち上がって形成してある立ち上がり側板部32X1、32X2、32Y1、32Y2と、立ち上がり仕切り壁部33と、柱部34−1〜34−3とを有する。立ち上がり側板部32Y1の高さ寸法H32はボタン電池80の厚さT0より少し長い寸法である。
【0030】
立ち上がり側板部32X1〜32Y2は、底板部31の周縁から上側ハーフケース40の垂下側板部の厚み分だけ内側の箇所に形成してある。底板部31のX1、Y1、Y2側には立ち上がり側板部32X1〜32Y2よりも外側に張り出た狭い張り出し部35X1、35Y1、35Y2が存在している。
【0031】
立ち上がり側板部32X1、32X2は、夫々Y2側の近くに、操作ノブ65a、66aが突き出るための切り欠き部32X1a、32X2aが形成してある。
立ち上がり側板部32X1、32X2のうち及び底板部31のうち上記の切り欠き部32X1a、32X2aの付近には、切り欠き部32X1a、32X2aが谷の底となるようには凹んだ凹み部45X1、45X2が形成してある。
【0032】
立ち上がり側板部32Y2には、X2方向の端の近くの箇所に、スリット36Y2が形成してあり、且つ、X1方向の端の箇所に、スリット37Y2が形成してある。スリット36Y2、37Y2は共に立ち上がり側板部32Y2の長手方向であるX2方向に延在している。スリット36Y2、37Y2の延在する方向は立ち上がり側板部32Y2の長手方向であるため、立ち上がり側板部32Y2の高さ方向の寸法H32の制限を受けないで、自由な長さに形成される。
【0033】
スリット36Y2の長さLは立ち上がり側板部32Y2の高さ寸法H32の約1.5倍である。また、スリット36Y2は、立ち上がり側板部32Y2の高さ方向の中央の高さ位置に形成してある。立ち上がり側板部32Y2には、スリット36Y2よりX1側の箇所に、立ち上がり側板部32Y2の頂上の端面からスリット36Y2の入口36Y2cに向かって切り込んである切り込み部38Y2が形成してある。切り込み部38Y2は、立ち上がり側板部32Y2の頂上の端面からスリット36Y2の入口36Y2cに向かって斜めに延在する傾斜縁部38Y2aと、傾斜縁部38Y2aの端(切り込み部38Y2の底)よりスリット36Y2の入口36Y2cに向かって水平に延在する水平縁部38Y2bを有する。
【0034】
スリット36Y2は、係止用スリット36Y2aと、係止用スリット36Y2aの奥部より更にX2方向に延長している延長スリット36Y2bを有する。スリット36Y2によって、立ち上がり側板部32Y2には、スリット36Y2より上側の部分に、片持ち梁状部32Y2aが形成されている。片持ち梁状部32Y2aは、X2側が固定端であり、X1側が自由端である。延長スリット36Y2bによって、片持ち梁状部32Y2aの長さは、立ち上がり側板部32Y2の高寸法H32の約1.5倍であるLとなり、片持ち梁状部32Y2aは、Y1方向に弾性的に反るばね性を有する。また、片持ち梁状部32Y2aをY1方向に反らせたときに延長スリット36Y2bの奥に発生する応力集中の程度も緩和される。係止用スリット36Y2aは、入口36Y2cの箇所に、入口36Y2cを狭くするロック部としてのロック用凸部36Y2dを有し、奥部に、係止用スリット36Y2aに進入してきた後述する突起部25Y2を受け止めるストッパとしてのストッパ用段部36Y2eを有する。
【0035】
スリット37Y2は、X1方向の端に、入口37Y2aを有する。
【0036】
図9に示すように、立ち上がり側板部32Y1にも、上記のスリット36Y2、37Y2に対応するスリット36Y1、37Y1が形成してある。
【0037】
また、立ち上がり側板部32Y1は底板部31のうちX2側の半分の部分に形成してあり、底板部31のうちX1側の半分の部分には存在せず、立ち上がり側板部32Y1が存在していない箇所は、ボタン電池80を装着及び離脱するための開口39となっている。
【0038】
図11に示すように、立ち上がり仕切り壁部33は、立ち上がり側板部32Y1のX1側の端の箇所から、下側ハーフケース30の中心側に向かい、途中から徐々にX1方向に向かうように、略円弧形状となって、底板部31から立ち上がっている。立ち上がり仕切り壁部33の端と立ち上がり側板部32X1との間には、陽極端子部材56を配設するための開口部46が存在している。
【0039】
下側ハーフケース30のうち、立ち上がり側板部32X1と、立ち上がり仕切り壁部33と、底板部31のうち立ち上がり側板部32X1と立ち上がり仕切り壁部33との間の部分31bが、ボタン電池80を収容するためのボタン電池収容部40を構成する。ボタン電池収容部41はY1側に上記の開口39を有する。なお、送受信モジュール50が下側ハーフケース30内に組み込まれた状態では、後述する回路基板51に形成してある切り欠き部52も、上記のボタン電池収容部40を形成する。なお、部分31bは、底板部31のうちX1側とY1側とによって定まるコーナー31aの付近の部分であって、組み込まれた状態の回路基板51の上記切り欠き部52に対応する部分であり、ボタン電池80の下面を支持する。立ち上がり仕切り壁部33はボタン電池80の周面の一部を支持する。
【0040】
41−1、41−2、41−3は柱部であり、底板部31上に突き出て形成してある。柱部41−1はY1側であってX1−X2方向の中央の箇所に、柱部41−2はX1とY2とのコーナーの箇所に、柱部41−3はX2とY2とのコーナーの箇所に配置してある。即ち、柱部41−1、41−2、41−3は上記の回路基板51の貫通穴44−1、44−2、44−3に対応した箇所に配置してある。
【0041】
柱部41−1は、図13(A),(B)に拡大して示すように、台座部42と、台座部42上に突き出ている柱部本体43と、柱部本体43の周囲の三等分した箇所に突き出て柱部本体43の軸線方向に延在しているリブ部44とよりなる構成である。他の柱部41−2、41−3も柱部41−1と同じ構成である。
【0042】
また、図11に示すように、底板部31のうちY1側の辺の中央の近くの部位と立ち上がり側板部32Y1のうち中央であって底板部31に近い部位に、ストラップの端の紐を通すための小さい穴47,48が形成してある。下側ハーフケース30の内側には、穴47,48との間に紐が円滑に通るように紐をガイドするためのブリッジ部49が形成してある。
[上側ハーフケース20]
図14は上側ハーフケース20を上方から見て示す。図15は上側ハーフケース20を起こして垂直の姿勢とした状態で示す。上側ハーフケース20は、略正方形の天板部21と、天板部21のY1側の縁よりZ2方向に垂下して形成してある垂下側板部22Y1と、天板部21のY2側の縁よりZ2方向に垂下して形成してある垂下側板部22Y2と、天板部21のX2側の縁よりZ2方向に垂下して形成してある垂下側板部22X2とを有する。垂下側板部22Y1、22Y2の高さ寸法はH22であり、前記の下側ハーフケース30の立ち上がり側板部32Y1の高さ寸法H32と同じである。垂下側板部22X2の高さ寸法はH22X2であり、上記の高さ寸法H22の約半分である。天板部21のX2側の縁には垂下側板部は存在していず、代わりに、天板部21のX2側の縁の部分がZ2方向に迫り出した迫り出し部23が形成してある。
【0043】
天板部21には、前記下側ハーフケース30の凹み部35X1a、32X2bに対応する箇所に、凹み部23X1、23X2が形成してある。
【0044】
垂下側板部22X1には、凹み部23X1に対応する箇所に、切り欠き部22X1aが形成してある。
【0045】
垂下側板部22Y1の内側面には、二つの突起部25Y1、26Y1が、前記の下側ハーフケース30のスリット36Y1、37Y1に対応した位置に形成してある。垂下側板部22Y2の内側面には、同じく二つの突起部25Y2、26Y2が、前記の下側ハーフケース30のスリット36Y2、37Y2に対応した位置に形成してある。
【0046】
また、垂下側板部22Y1には、ストラップの紐と干渉しないようにするための切り欠き28が形成してある。
【0047】
また、天板部21に、前記の小型同軸コネクタ53に対応する箇所に、穴29を形成してもよい。
[送受信装置10]
次に、送受信装置10の構成を説明する。説明の便宜上送受信装置10の組み立ての手順を説明して送受信装置10の構成を明らかにする。
【0048】
組み立ては、先ず、送受信モジュール50を下側ハーフケース30内に組み込み(図5参照)、次いで、上側ハーフケース20を取り付ける(図17、図18参照)手順で行う。
[送受信モジュール50の下側ハーフケース30内への組み込み]
送受信モジュール50は、回路基板51の貫通穴54−1、54−2、54−3を夫々柱部41−1、41−2、41−3にZ1側から圧入することによって下側ハーフケース30内に組み込まれる。図5(A)乃至(E)は送受信モジュール50を下側ハーフケース30内に組み込まれた状態を示す。
【0049】
図16(A),(B)に拡大して示すように、貫通穴54−1はリブ部44を潰しつつ柱部本体43に回路基板51が台座部42に突き当たる位置まで圧入されている。他の貫通穴44−2、44−3も同様に柱部41−2、41−3に圧入されている。
【0050】
これによって、送受信モジュール50は、回路基板51の三箇所の貫通穴54−1、54−2、54−3を夫々柱部41−1、41−2、41−3に圧入されて下側ハーフケース30に堅固に固定されている。
【0051】
なお、送受信モジュール50を下側ハーフケース30内の深さ方向の中間の高さ位置に堅固に固定する作業は、貫通穴54−1、54−2、54−3を夫々柱部41−1、41−2、41−3に位置合わせして、送受信モジュール50を押し込む作業だけで済み、柱部の回路基板51よりZ1方向に突き出ている部分をここに超音波振動を加え発熱させて潰す熱かしめ等の作業は必要でなく、効率良く行うことが出来る。
【0052】
図6(B)に示すように、回路基板51の切り欠き部52の縁53が、立ち上がり仕切り壁部33に沿っている。陰極端子部材55は、立ち上がり仕切り壁部33を越えて電池収容部40内に突き出ている。陰極端子部材55の先端側は、電池収容部40の中央に位置して、且つ、図6(A)に示すように底板部31からZ1方向に浮いた高さPに位置している。端子部55eと底板部31の内面との間の寸法Cは、ボタン電池80の厚さ寸法H80よりも短い値である。陽極端子部材56は、開口部46を通って電池収容部40のうちX1側の部分に突き出ている。板ばね部56dの根元の部分56d1は立ち上がり側板部32X1の内側面に接近している。端子部56eは立ち上がり仕切り壁部33と対向している。
【0053】
電池ガイド部55f、56fは、共に。開口39の側から見たときに、その面が見える状態にある。即ち、電池ガイド部55fは開口39の方向に接近するにつれてZ1方向に偏倚する姿勢となっており、別の電池ガイド部56fは開口39の方向に接近するにつれてX1方向に偏倚する姿勢となっている。
【0054】
上記の電池収容部40と陰極端子部材55と陽極端子部材56とによって、ボタン電池装着部70が構成されている。このボタン電池装着部70は、電池収容部40が下側ハーフケース30の一部を利用して構成してあるため、高さ方向に無用に嵩張らないで構成されている。
【0055】
また、図3(A)及び図3(E)に示すように、機能切り替えスイッチ55の操作ノブ55aが切り欠き部32X2aに嵌合して切り欠き部32X2aよりX2側に突き出ている。図3(A)及び図3(D)に示すように、電源スイッチ56の操作ノブ56aが切り欠き部32X1aに嵌合して切り欠き部32X1aよりX1側に突き出ている。
[上側ハーフケース20の取り付け]
上側ハーフケース20は、図17(A)乃至(C)、図18(A)乃至(C)に示すように、上側ハーフケース20を下側ハーフケース30に対してX1方向にずれた状態で下側ハーフケース30上に置き、上側ハーフケース20をX2方向にスライドさせることによって、上側ハーフケース20は、徐々に下側ハーフケース30を覆って、下側ハーフケース30を完全に覆った状態で下側ハーフケース30とロックされて、図2、図3、図4(A),(B)に示すように取り付けられる。
【0056】
後述する、Y2側における突起部25Y2、26Y2が夫々スリット36Y2、37Y2に係合される動作と、Y1側における突起部25Y1、26Y1が夫々スリット36Y1、37Y1に係合される動作とは、同様になされる。Y1側については、図示は省略する。
【0057】
先ず、作業者は、図17(A)、(B)に示すように、上側ハーフケース20を下側ハーフケース30に対してX1方向にずれた状態で下側ハーフケース30上に置く。上側ハーフケース20は、垂下側板部22Y2、22Y1が夫々立ち上がり側板部32Y2、32Y1の外側に位置し、垂下側板部22Y2、22Y1の下端が夫々張り出し部35Y2、35Y1に当たり且つ突起部25Y2、25Y1が夫々立ち上がり側板部32Y2、32Y1の頂上の縁に当たった斜めの状態で下側ハーフケース30に対して位置を決められて支持される。
【0058】
次いで、作業者は、上側ハーフケース20をX2方向に移動させる。
【0059】
突起部25Y2は、図17(C)に示すように、傾斜縁部38Y2aに沿って滑り降りるように移動し、図18(A)に示すように、傾斜縁部38Y2aから水平縁部38Y2bに移る。上側ハーフケース20はX2側が下がって水平となる。
【0060】
続いて、突起部25Y2は、図18(B)に示すように、ロック用凸部36Y2dをZ1方向に押し退けて入口36Y2aよりスリット36Y2内に入り込み、図18(C)に示すように、ストッパ用段部36Y2eに当たる最終位置に到り、スリット36Y2に係止せれる。このとき、別の突起部26Y2が別のスリット37Y2に嵌合される。
【0061】
垂下側板部22Y1の突起部25Y1、26Y1は、同様にスリット36Y1、37Y1に嵌合される。
【0062】
これによって、上側ハーフケース20は下側ハーフケース30の真上の位置で下側ハーフケース30と組み合わされた状態となって、ケース11が完成する。天板部21が送受信モジュール50及びボタン電池装着部70を覆っている。垂下側板部22Y2、22Y1は夫々立ち上がり側板部32Y2、32Y1の外面に接触して立ち上がり側板部32Y2、32Y1の外側に位置している。垂下側板部22Y1は、開口39を塞いでいる。垂下側板部22Y2、22Y1の下端は張り出し部35Y2、35Y1によって隠されている。垂下側板部22X2は立ち上がり側板部32X2の内側面に当たっている。迫り出し部23は立ち上がり側板部32X1の頂上縁と接している。
【0063】
上側ハーフケース20はY2側の離れた二箇所とY1側の離れた二箇所との計四箇所を係止されて、下側ハーフケース30に結合されている。
【0064】
また、突起部25Y2がスリット36Y2内の最終位置に到ると、ロック用凸部36Y2dが復元して突起部25Y2を係止してロックする。このため、上側ハーフケース20は下側ハーフケース30から簡単には外れない状態となる。
【0065】
以上によって送受信装置10の組み立てが完了する。
[ボタン電池80の装着]
図1を参照するに、送受信装置10を使用するに当たっては、ボタン電池80をボタン電池装着部70に装着する。ボタン電池80は、ボタン形状であり、Z1側に陰極面81を有し、周囲及びZ2側に陽極面82を有する。
【0066】
送受信モジュール50はボタン電池装着部70に装着されたボタン電池80によって電力を供給されて動作し、送受信装置10は信号の送信、受信を開始して使用可能となる。
【0067】
ボタン電池80を装着するに当たっては、指先を例えば上側ハーフケース20をX2方向の端に当ててX1方向に強い力を作用させ、突起部25Y2をロック用凸部36Y2dを押し退けてスリット36Y2より抜け出させ、突起部26Y2もスリット37Y2より抜け出させて、上側ハーフケース20を下側ハーフケース30に対してX1方向に移動させて、下側ハーフケース30から取り外す。
【0068】
この後、図19(A)及び図20(A)に示すように、ボタン電池80を陰極面81がZ1側を向く姿勢と、一部を開口39内に挿入して底板部31上に載せた状態とし、ボタン電池80をY2方向に強く押し込む。この操作によって、ボタン電池80は、図19(B)及び図20(B)に示すように、電池ガイド部55fを押し退けて陰極端子部材55をZ1方向に弾性的に撓ませ、同時に、電池ガイド部56fを押し退けて陽極端子部材56をX1方向に弾性的に撓ませてボタン電池装着部70内に入り込む。ボタン電池80は、最終的には、図19(C)及び図20(C)に示すように、立ち上がり仕切り壁部33に当たる位置まで入り込んで、ボタン電池装着部70に装着される。
【0069】
ボタン電池80がボタン電池装着部70に装着された状態では、陰極端子部材55の端子部55eが陰極面81に押し当たっており、陽極端子部材56の端子部56eが周囲の陽極面82に押し当たっており、ボタン電池80は送受信モジュール50と電気的に接続される。
【0070】
また、ボタン電池80の周面のうちX1方向へ最も突き出ている部分83は、陽極端子部材56の端子部56eの箇所を通過しており、端子部56eは上記の部分83よりもY1側に偏倚した部分を力F2でX2方向に押している。よって、ボタン電池80は陽極端子部材46によって抱き込まれて立ち上がり仕切り壁部33の側に寄せられており、ボタン電池装着部70から容易には離脱しない状態にある。
【0071】
なお、板ばね部56dがボタン電池80の押し込み時にX1方向に撓まされるときに根元の部分56d1が立ち上がり側板部32X1の内側面に当たってX1方向への移動を制限される。このため、板ばね部56dはばね力を有効的に発生させ、上記の力F2は十分に強くなり、ボタン電池80をボタン電池装着部70から離脱し難くするように作用する。
【0072】
ボタン電池80を装着した後に、上側ハーフケース20が上記と同様に取り付けられる。この状態で、送受信装置10は動作状態となり、必要に応じて、操作ノブ55a、56aを操作して使用される。
【0073】
なお、ボタン電池装着部70に装着してあるボタン電池80に指先でY1方向に強い力を作用させることによって、ボタン電池80はボタン電池装着部70から開口39を通って離脱される。
【0074】
図2、図3、図4(A)に示すように、操作ノブ55a、56aはケース11の側面に形成してある凹み部45X1、45X2内に配置してあり、操作ノブ55a、56aの先端面はケース11の側面を延長した面と略同じ位置にある。よって、使用者が送受信装置10を手に握っているときに操作ノブ55a、56aを無意識のうちに動かしてしまうこと、送受信装置10を何かに押し付けた場合に操作ノブ55a、56aが無用に動いてしまうこと、送受信装置10を床に落とした場合に操作ノブ55a、56aが床に当たって動いてしまうこと等が起き難くなる。
【0075】
送受信装置10には、図2に示すように、ストラップ90が下側ハーフケース30の穴47,48を利用して取り付けられる。
【0076】
また、図2に二点鎖線で示すように、上側ハーフケース20の天板部21のうち同軸コネクタ63に対応する部位に円形の開口29を設けてもよい。この開口29を設ければ、測定器から延びている同軸ケーブルの端の同軸コネクタを開口29に差し込んで同軸コネクタ63に接続し、送受信モジュール50がケース11の内部に収容してある状態で、アンテナの特性を測定することが可能となる。
【0077】
図21(A),(B)は、前記の柱部41−1〜41−3の変形例である柱部41Aを示す。柱部41Aは、リブ部44に代えて、薄いフィン部100が突き出ている形状である。回路基板51の穴はフィン部100を潰しつつ柱部41Aに圧入される。
【0078】
図22(A),(B)は、前記の柱部41−1〜41−3の別の変形例である柱部41Bを示す。柱部41Bは、頂上部から切り込んである切り込み101を有し、頂上部がすぼまるばね性を有し、且つ、頂上部に外側に張り出た円錐形状のフック部102を有する形状である。回路基板51の穴は頂上部をすぼませて柱部41Bに嵌合され、回路基板51が台座部42に当たる位置まで押し込まれると、頂上部が復元して、フック部102が回路基板の上面のうち穴の周囲の部分を係止する。
【0079】
なお、本発明は、ボタン電池に限らず、ボタン電池とは異なる電池であって薄型である電池も適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施例1になる送受信装置を、分解した状態と併せて示す斜視図である。
【図2】送受信装置の斜視図である。
【図3】内部を透視して示す送受信装置の透視斜視図である。
【図4】(A)は送受信装置の透視平面図、(B)は送受信装置の透視正面図である。
【図5】送受信モジュールが下側ハーフケースの内部に固定してある状態を示す図である。
【図6】図5中、ボタン電池装着部を拡大して示す図である。
【図7】送受信モジュールの斜視図である。
【図8】図7中、ボタン電池装着部の一部を構成する部分を拡大して示す図である。
【図9】図8に示す部分を分解して示す斜視図である。
【図10】送受信モジュールのブロック図である。
【図11】下側ハーフケースの斜視図である。
【図12】下側ハーフケースの拡大正面図である。
【図13】図11中の柱部を拡大して示す図である。
【図14】上側ハーフケースの斜視図である。
【図15】上側ハーフケースを起こして垂直の姿勢とした状態で示す斜視図である。
【図16】回路基板の貫通穴の柱部への圧入を説明するための図である。
【図17】上側ハーフケースの下側ハーフケースへの取り付けを説明するための図である。
【図18】図17に続く、上側ハーフケースの下側ハーフケースへの取り付けを説明するための図である。
【図19】ボタン電池のボタン電池装着部への装着を示す平面図である。
【図20】ボタン電池のボタン電池装着部への装着を示す側面図である。
【図21】柱部の第1の変形例を拡大して示す図である。
【図22】柱部の第2の変形例を拡大して示す図である。
【符号の説明】
【0081】
10 携帯型の送受信装置
11 ケース
20 上側ハーフケース
30 下側ハーフケース
50 送受信モジュール
51 回路基板
55 陰極端子部材
56 陽極端子部材
60 UWBアンテナ装置
61 エレメントパターン
62 グランドパターン
70 ボタン電池装着部
75 UWB通信ICチップ
76 処理装置
77 メモリ
78 電源回路
80 ボタン電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のカバーと、前記第1のカバーに対してスライド可能に装着される第2のカバーとを備える電子装置であって、
前記第1のカバーは、その内壁に形成された突起を有し、
前記第2のカバーは、前記突起を係止するスリットと、前記スリットに向けて斜めに延在する傾斜縁部と、を備えたことを特徴とする電子装置。
【請求項2】
前記スリットは、入り口が狭い形状であり、
前記突起は前記入り口を通過して前記スリット内に係止される構成とした請求項1に記載の電子装置。
【請求項3】
前記スリットは、前記突起を係止する部分よりも更に奥の方向に延在する延長スリットを有する請求項1又は2に記載の電子装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−186849(P2012−186849A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−125007(P2012−125007)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【分割の表示】特願2007−184445(P2007−184445)の分割
【原出願日】平成19年7月13日(2007.7.13)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】