説明

電子部品及びその実装構造

【課題】 配線設計の自由度を向上させることが可能な電子部品及びその実装構造を提供すること。
【解決手段】電子部品1は、第1及び第2のコア部材2、13と、第1及び第2の巻線導体7、8と、第1〜4の端子電極3〜6とを備える。第1のコア部材2は、巻芯部20と、巻芯部20の軸方向の両端に設けられた第1及び第2の鍔部21、22とを有する。第1の鍔部21の実装面21aには、軸方向に沿って延在し、回路基板Sに取り付けられた配線が貫通できるように第1の溝状凹部23が形成されている。第2の鍔部22の実装面22aには、軸方向に沿って延在し、回路基板Sに取り付けられた配線が貫通できるように第2の溝状凹部24が形成されている。第1及び第2の巻線導体7、8はそれぞれ、第1のコア部材2の巻芯部20に巻回されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品及びその実装構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子部品として、巻芯部及び一対の鍔部を有するコア部材と、コア部材の巻芯部に巻回された導体とを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−332302号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、配線設計の自由度を向上させることが可能な電子部品及びその実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
ところで、電子部品は通常、回路基板に実装されて用いられる。回路基板には、複数の電子部品が取り付けられるよう、様々な電極及び配線等が取り付けられている。回路基板の大きさは、当該基板が組み込まれる機器の仕様によって規定される。したがって、制限された大きさの中で、できるだけ多くの電子部品及び配線を取り付けるためには、基板の配線設計をできるだけ妨げないように各電子部品を取り付けることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明者等は、回路基板の配線設計の自由度を向上させたいとの要求を満たし得る電子部品及びその実装構造について鋭意研究を行った。その結果、本発明者等は、電子部品のコア部材の鍔部に溝状凹部を形成し、この溝内に配線を貫通させることで、電子部品の下も配線設計に利用可能となるという新たな事実を見出すに至った。
【0006】
かかる研究結果を踏まえ、本発明に係る電子部品は、巻芯部と、当該巻芯部の軸方向の両端に形成された第1及び第2の鍔部とを有する第1のコア部材と、第1のコア部材の巻芯部に巻回された第1の巻線導体と、第1のコア部材の第1の鍔部に設けられ、第1の巻線導体の一端に第1の継線導体を介して接続される第1の端子電極と、第1のコア部材の第2の鍔部に設けられ、第1の巻線導体の他端に第2の継線導体を介して接続される第2の端子電極と、を備え、第1及び第2の鍔部はそれぞれ、その一つの側面が回路基板と対向する実装面とされ、第1の鍔部の実装面には、軸方向に沿って延在し、回路基板に取り付けられた配線が貫通できるように第1の溝状凹部が形成されており、第2の鍔部の実装面には、軸方向に沿って延在し、回路基板に取り付けられた配線が貫通できるように第2の溝状凹部が形成されていることを特徴とする。
【0007】
この電子部品では、第1のコア部材の鍔部に、軸方向に沿って延在する溝状凹部が形成されている。また、この溝状凹部は、回路基板に取付られた配線が貫通できるように形成されている。したがって、この電子部品を回路基板に実装した場合、電子部品の下も配線設計の際に利用することが可能となる。よって、配線設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0008】
第1及び第2の鍔部の実装面と直交する方向で見たときに、第1及び第2の継線導体は、実装面の回路基板側に位置していないことが好ましい。この場合、電子部品を回路基板に実装した際、継線導体が回路基板に取り付けられた配線と接触することが抑制される。よって、配線設計の自由度がより一層向上される。
【0009】
第1のコア部材の巻芯部と対向するように配置された第2のコア部材をさらに備えることが好ましい。この場合、磁性体部材は第1のコア部材と共に閉磁路を形成することができるため、磁束の漏れを抑制することが可能になる。また、磁束の漏れを抑制することにより、回路基板に実装された場合の配線への影響を抑制することが可能となる。
【0010】
第1のコア部材の巻芯部に巻回された第2の巻線導体と、第1のコア部材の第1の鍔部に設けられ、第2の巻線導体の一端に第3の継線導体を介して接続される第3の端子電極と、第1のコア部材の第2の鍔部に設けられ、第2の巻線導体の他端に第4の継線導体を介して接続される第4の端子電極と、をさらに備え、第1の溝状凹部は、第1及び第3の端子電極の間に位置するように形成され、第2の溝状凹部は、第2及び第4の端子電極の間に位置するように形成されることが好ましい。鍔部には溝状凹部が形成されているため、各鍔部に対して2つの端子電極を分離して設けることができる。
【0011】
本発明に係る電子部品の実装構造は、上記の電子部品と、少なくとも2つのランド電極及び配線が取り付けられた回路基板と、を備え、第1及び第2の鍔部それぞれの実装面が、回路基板と対向し、電子部品の第1及び第2の端子電極が、それぞれ少なくとも2つのランド電極のうち異なるランド電極に接続され、電子部品は、回路基板に取り付けられた配線が、第1及び第2の溝状凹部の溝内を貫通するように実装されることを特徴とする。
【0012】
この実装構造では、第1及び第2の溝状凹部の溝内に配線が配置される。したがって、電子部品の下も配線設計に利用することができるため、回路基板の配線設計の自由度を向上させることが可能となる。また、この実装構造では、巻線導体は軸方向に延びる巻芯部に巻回され、且つ溝状凹部を貫通する配線は軸方向に沿って延びる。よって、巻線導体から発生する磁束と配線から発生する磁束とが干渉し合うことが抑制される。その結果、電子部品の特性への磁束の影響が抑制される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配線設計の自由度を向上させることが可能な電子部品及びその実装構造を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、好適な実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。なお、以下の断面図において、誘電体層に相当する領域のハッチングは見易さのため省略している。
【0015】
まず、図1〜図5を参照して、本実施形態に係る電子部品1及び電子部品1の実装構造について説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品1の実装構造を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る電子部品1を示す分解斜視図である。図3は、図1のIII−III線に沿った断面構成を示す図である。図4は、図1のIV−IV線に沿った断面構成を示す図である。図5は、図1のV−V線に沿った断面構成を示す図である。本実施形態に係る電子部品1は、コイル部品であり、例えばコモンモードフィルタとして機能することができる。本実施形態に係る電子部品1の実装構造では、電子部品1を回路基板Sに実装している。
【0016】
図1〜図5に示すように、電子部品1は、第1のコア部材2、第1〜第4の端子電極3〜6、第1の巻線導体7、第2の巻線導体8、第1〜第4の継線導体9〜12、第2のコア部材13と、を備える。
【0017】
第1のコア部材2は、略直方体形状の巻芯部20と、当該巻芯部20の長手方向の両端に形成された第1及び第2の鍔部21、22とを有する。第1のコア部材2は、例えば、フェライト等の磁性体又は例えば、セラミック(アルミナ)等の非磁性体からなる。第1のコア部材2は、いわゆるドラムコアで、その巻芯部20の軸方向に平行な断面での形状が略H字状を呈している。
【0018】
巻芯部20は、その長手方向を軸方向として延びている。巻芯部20は、軸方向に直交する方向での断面が、巻芯部20の長手方向の中央付近では両端部分に比べて大きくなる。これにより、電子部品1では、バイファイラ巻線の巻乱れを抑制することができる。巻芯部20の一つの側面であって回路基板Sと対向する側面と、回路基板Sとの間には空間がある。すなわち、回路基板Sと対向する巻芯部20の側面は、回路基板Sと直接接していない。
【0019】
第1及び第2の鍔部21、22は、それぞれ略直方体形状を呈する。第1及び第2の鍔部21、22は、それぞれ巻芯部20からその周方向に張り出した形状となっており、互いに略平行に配置されている。第1及び第2の鍔部21、22は、第1の鍔部21の長方形状の主面と第2の鍔部22の長方形状の主面とが対向するように、配置されている。
【0020】
巻芯部20と第1及び第2の鍔部21、22は、一体的に形成されている。巻芯部20は、第2の鍔部22と対向する第1の鍔部21の主面に取り付けられるようにして、第1の鍔部21と一体的に形成されている。巻芯部20は、第1の鍔部21と対向する第2の鍔部22の主面に取り付けられるようにして、第2の鍔部22と一体的に形成されている。
【0021】
第1の鍔部21の一つの側面であって、回路基板Sと対向する面を実装面21aとする。第1の鍔部21の実装面21aには、巻芯部20の軸方向に沿って延在する第1の溝状凹部23が形成されている。巻芯部20の軸方向に直交する方向での第1の溝状凹部23の断面は、矩形状を呈する。第1の溝状凹部23は、第1の鍔部21の実装面21aにおいて巻芯部20の軸方向と直交する方向で、実装面21aの中央付近に形成されている。
【0022】
第2の鍔部22の一つの側面であって、回路基板Sと対向する面を実装面22aとする。第2の鍔部22の実装面22aには、巻芯部20の軸方向に沿って延在する第2の溝状凹部24が形成されている。巻芯部20の軸方向に直交する方向での第2の溝状凹部24の断面は、矩形状を呈する。第2の溝状凹部24は、第2の鍔部22の実装面22aにおいて巻芯部20の軸方向と直交する方向で、実装面22aの中央付近に形成されている。
【0023】
第1及び第3の端子電極3、5は何れも、第1の鍔部21に設けられている。第1及び第3の端子電極3、5は、第1の鍔部21の実装面21aに平行であって且つ巻芯部20の軸方向に直交する方向に沿って並んで配置されている。第1及び第3の端子電極3、5は、第1の溝状凹部23を間に挟んで位置している。
【0024】
第1の端子電極3は、第1の鍔部21の実装面21a、当該実装面21aと対向する側面、及び巻芯部20の軸方向に直交する側面であって巻芯部20とは反対側の側面それぞれの一部を覆うように取り付けられている。
【0025】
第3の端子電極5は、第1の鍔部21の実装面21a、当該実装面21aと対向する側面、及び巻芯部20の軸方向に直交する側面であって巻芯部20とは反対側の側面それぞれの一部を覆うように取り付けられている。
【0026】
第2及び第4の端子電極4、6は何れも、第2の鍔部22に設けられている。第2及び第4の端子電極4、6は、第2の鍔部22の実装面22aに平行であって且つ巻芯部20の軸方向に直交する方向に沿って並んで配置されている。第2及び第4の端子電極4、6は、第2の溝状凹部24を間に挟んで位置している。
【0027】
第2の端子電極4は、第2の鍔部22の実装面22a、当該実装面22aと対向する側面、及び巻芯部20の軸方向に直交する側面であって巻芯部20とは反対側の側面それぞれの一部を覆うように取り付けられている。
【0028】
第4の端子電極6は、第2の鍔部22の実装面22a、当該実装面22aと対向する側面、及び巻芯部20の軸方向に直交する側面であって巻芯部20とは反対側の側面それぞれの一部を覆うように取り付けられている。
【0029】
第1及び第2の端子電極3、4は、巻芯部20の軸方向で対向するように配置されている。第3及び第4の端子電極5、6は、巻芯部20の軸方向で対向するように配置されている。
【0030】
第1及び第3の端子電極3、5は第1の鍔部21に、第2及び第4の端子電極4、6は第2の鍔部22にそれぞれ嵌合されている。第1〜第4の端子電極3〜6は、例えば燐青銅やNi合金(42アロイ)からなる素地にNiめっき及びSnめっきを順に施してなるものである。
【0031】
第1の巻線導体7は、第1のコア部材2の巻芯部20に巻回されている。第1の巻線導体7は、その一端において第1の継線導体9を介して第1の端子電極3に電気的に接続されている。第1の巻線導体7は、その他端において第2の継線導体10を介して第2の端子電極4に電気的に接続されている。
【0032】
第1の継線導体9は、第1の巻線導体7の一端から第1の鍔部21の実装面21aと対向する側面に向かって延びている。第2の継線導体10は、第1の巻線導体7の他端から第2の鍔部22の実装面22aと対向する側面に向かって延びている。すなわち、第1及び第2の継線導体9、10は、第1及び第2の鍔部21,22の実装面21a、22aと直交する方向で見たときに、第1及び第2の鍔部21,22の実装面21a、22aの回路基板S側に位置していない。
【0033】
第2の巻線導体8は、第1のコア部材2の巻芯部20に巻回されている。第2の巻線導体8は、その一端において第3の継線導体11を介して第3の端子電極5に電気的に接続されている。第2の巻線導体8は、その他端において第4の継線導体12を介して第4の端子電極6に電気的に接続されている。
【0034】
第3の継線導体11は、第2の巻線導体8の一端から第1の鍔部21の実装面21aと対向する側面に向かって延びている。第4の継線導体12は、第2の巻線導体8の他端から第2の鍔部22の実装面22aと対向する側面に向かって延びている。すなわち、第3及び第4の継線導体11、12は、第1及び第2の鍔部21,22の実装面21a、22aと直交する方向で見たときに、第1及び第2の鍔部21,22の実装面21a、22aの回路基板S側に位置していない。
【0035】
第2のコア部材13は、第1のコア部材2の巻芯部20と対向するように配置される板状コアである。第2のコア部材13は、第1のコア部材2の上面に接着剤等で固着される。第2のコア部材13は、例えば、フェライト等の磁性体又は例えば、セラミック(アルミナ)等の非磁性体からなる。
【0036】
本実施形態に係る電子部品1の実装構造では、図1及び図3〜図5で示されたように、電子部品1が回路基板Sに実装されている。回路基板Sには、4つのランド電極15〜18及び配線14が取り付けられている。4つのランド電極15〜18及び配線14は、略平行に延びるように配置されている。
【0037】
電子部品1の第1及び第2の鍔部21、22は、それぞれの実装面21a、22aが回路基板Sと対向するように実装される。電子部品1の第1〜第4の端子電極3〜6は、4つのランド電極15〜18のうちそれぞれ異なるランド電極に電気的に接続される。すなわち、第1の端子電極3は、ランド電極15に接続される。第2の端子電極4は、ランド電極16に接続される。第3の端子電極5は、ランド電極17に接続される。第4の端子電極6は、ランド電極18に接続される。
【0038】
電子部品1は、図1及び図3〜図5で示されたように、回路基板Sに取り付けられた配線14が第1及び第2の溝状凹部23、24の溝内を貫通するように実装される。
【0039】
電子部品1では、第1のコア部材2の第1及び第2の鍔部21、22に、巻芯部20の軸方向に沿って延在する第1及び第2の溝状凹部23、24が形成されている。また、この溝状凹部23、24は、回路基板Sに取り付けられた配線14が溝内を貫通できるように形成されている。したがって、電子部品1を回路基板Sに実装した場合、電子部品1の下も配線設計の際に利用することが可能となり、配線形成領域が増える。よって、配線設計の自由度を向上させることが可能となる。特に、電子部品1では、回路基板Sと対向する巻芯部20の側面と回路基板Sとの間が空間となっているため、電子部品1の下に配線14を配置するのに好適である。
【0040】
第1〜第4の継線導体9〜12は、第1及び第2の鍔部21,22の実装面21a、22aの回路基板S側に位置していない。そのため、第1〜第4の継線導体9〜12が配線14と接触することなく、電子部品1を回路基板Sに実装することができる。よって、配線設計の自由度はより一層向上される。
【0041】
電子部品1では、第2のコア部材13が第1のコア部材2と共に閉磁路を形成する。そのため、電子部品1では磁束の漏れを抑制することが可能になる。また、磁束の漏れを抑制することにより、電子部品1の実装構造では、漏れ磁束の配線14への影響を抑制することが可能となる。
【0042】
電子部品1では、第1及び第2の鍔部21、22それぞれに第1及び第2の溝状凹部23、24が形成されているため、各鍔部21、22に対して2つの端子電極を分離して設けることができる。よって、電子部品1は、コモンモードフィルタとして実装することが可能である。
【0043】
図1及び図3〜図5に示した本実施形態に係る電子部品1の実装構造では、第1及び第2の溝状凹部23、24の溝内に配線14が配置されている。このように電子部品1の下も配線設計に利用することができるため、回路基板Sの配線形成領域が増える。よって、回路基板Sの配線設計の自由度を向上させることが可能となる。
【0044】
また、本実施形態に係る電子部品1の実装構造では、第1及び第2の巻線導体7、8は巻芯部20に巻回され、且つ溝状凹部23、24を貫通する配線14は巻芯部20の軸方向に沿って延びている。よって、本実施形態に係る電子部品1の実装構造では、巻線導体7、8から発生する磁束と配線14から発生する磁束とが干渉し合うことが抑制される。その結果、電子部品1の特性への磁束の影響が抑制される。
【0045】
続いて、図6及び図7を参照して、本実施形態に係る電子部品1を適用した信号伝送回路の構成を説明する。図6は、本実施形態に係る電子部品1をコモンモードフィルタとして適用した信号伝送回路を示す模式図である。図7は、本実施形態に係る電子部品1をコモンモードフィルタとして適用した信号伝送回路を示す回路図である。
【0046】
ここで、デジタル信号用インターフェイスであるHDMI(High-Definition Multimedia Interface)について説明する。HDMIは、差動伝送による信号伝送方式を用いる。HDMIは、より多くのデジタル信号の伝送を可能とするインターフェイスであり、DVDプレーヤーやセットトップボックス等とデジタルテレビやプロジェクタ等との間で非圧縮のデジタル信号の伝送を可能とする高速インターフェイスである。HDMIによれば、1本のケーブルで映像信号及び音声信号を高速で伝送することができる。
【0047】
HDMI等の高速インターフェイスでは、高速化を実現するために、IC自体の構造がESD(Electrostatic Discharge:静電気放電)に対して脆弱になってきている。この
ため、高速伝送系ICにおけるESD対策部品としてバリスタ、ツェナーダイオード等の容量性素子が用いられている。
【0048】
また、伝送速度の高速化に伴い、信号線間の差動信号の微小なずれによってもノイズが発生することとなる。HDMIのノイズ除去対策としてコモンモードフィルタが使用される。この場合、コモンモードフィルタは、HDMIコネクタとESD対策部品との間に接続されて用いられる。
【0049】
図6に示されるように、コモンモードフィルタとして回路に適用された電子部品1は、HDMIコネクタ31とESD対策部品32との間に接続されている。図6に示す回路では、HDMIコネクタ31とESD対策部品32との間に4つの電子部品1が接続されている。ESD対策部品32は、HDMIコネクタ31とIC33とをつなぐ配線間に接続されている。ESD対策部品32は、容量性素子からなる。
【0050】
各電子部品1は、HDMIコネクタ31に接続された配線34、36とESD対策部品32に接続された配線37、38との間に接続される。すなわち、配線34は、HDMIコネクタ31と電子部品1の端子電極(例えば、第3の端子電極5)とを接続する。配線36は、HDMIコネクタ31と電子部品1の端子電極(例えば、第1の端子電極3)とを接続する。これにより、第1の巻線導体7は、配線34を介してHDMIコネクタ31に接続されるとともに、配線37を介してESD対策部品32に接続される。
【0051】
配線37は、ESD対策部品32と電子部品1の端子電極(例えば、第4の端子電極6)とを接続する。配線38は、ESD対策部品32と電子部品1の端子電極(例えば、第2の端子電極4)とを接続する。これにより、第2の巻線導体8は、配線36を介してHDMIコネクタ31に接続されるとともに、配線38を介してESD対策部品32に接続される。ESD対策部品32は、配線42を介して接地電位に接続されている。
【0052】
電子部品1の第1及び第2の鍔部21、22の第1及び第2の溝状凹部23、24の溝内には、ESD対策部品32のグランド配線35が通る。
【0053】
HDMIコネクタに接続される回路では、ESD対策部品を設けることにより、当該部品に必要なグランド配線を取り付けることとなる。回路に設けるコモンモードフィルタとして電子部品1を取り付けた場合には、ESD対策部品に必要なグランド配線を電子部品1と回路基板との間に通すことが可能となる。そのため、ESD対策部品のグランド配線の配線領域を容易に確保することができる。
【0054】
また、図6及び7に示す回路では、このようにコモンモードフィルタとして機能する電子部品1を挿入することで、ESD対策部品32によって生じる特性インピーダンスの低下を抑制することができる。
【0055】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしもこれらの実施形態に限定されるものではない。図6及び7では、本実施形態に係る電子部品1をコモンモードフィルタに適用しているが、これに限られることなく、コモンモードフィルタ以外のコイル部品(例えば、巻線導体が1本あるいは3本以上有するインダクタ部品等)に本発明を適用してもよい。
【0056】
また、本実施形態においては、第1〜第4の継線導体9〜12は、第1及び第2の鍔部21、22の実装面21a、22aの回路基板S側に位置している部分を有していないが、これに限られることなく、第1〜第4の継線導体9〜12は第1及び第2の鍔部21、22の実装面21a、22aの回路基板S側に位置している部分を有していてもよい。本実施形態においては、第2のコア部材13を備えているが、これに限られることなく、第2のコア部材13を備えていなくてもよい。
【0057】
また、本実施形態においては、第1及び第2の巻線導体7、8を備えているが、これに限られることなく、例えば1本の巻線導体のみを備えていても、あるいは3本以上の巻線導体を備えていてもよい。また、本実施形態においては、各鍔部21、22に溝状凹部23、24は1つ形成されているが、これに限られることなく、例えば各鍔部21、22は2つ以上の溝状凹部が形成されていてもよい。
【0058】
したがって、例えば3本の巻線導体が巻芯部20に巻回され、各鍔部21、22に溝状凹部が2つ以上形成される場合、これら3本の巻線導体に接続される端子電極は各鍔部21、22において溝状凹部によって分離されてもよい。
【0059】
また、第1及び第3の端子電極3、5は、第1の溝状凹部23に対して第1の鍔部21の同じ側に双方ともが配置されていてもよい。第2及び第4の端子電極4、6は、第2の溝状凹部24に対して第2の鍔部22の同じ側に双方ともが配置されていてもよい。
【0060】
また、図6及び図7の回路において、電子部品1の下を通過する配線はグランド配線に限られることなく、例えば信号電送ラインを跨ぐようにして、電子部品1を配置してもよい。この場合、電子部品1は、図6に示すように横一列ではなく、互い違いに並んでいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施形態に係る電子部品の実装構造を示す斜視図である。
【図2】本実施形態に係る電子部品を示す分解斜視図である。
【図3】図1のIII−III線に沿った断面構成を示す図である。
【図4】図1のIV−IV線に沿った断面構成を示す図である。
【図5】図1のV−V線に沿った断面構成を示す図である。
【図6】本実施形態に係る電子部品をコモンモードフィルタとして適用した信号伝送回路を示す模式図である。
【図7】本実施形態に係る電子部品をコモンモードフィルタとして適用した信号伝送回路を示す回路図である。
【符号の説明】
【0062】
1…電子部品、2…第1のコア部材、20…巻芯部、21…第1の鍔部、22…第2の鍔部、23…第1の溝状凹部、24…第2の溝状凹部、3…第1の端子電極、4…第2の端子電極、5…第3の端子電極、6…第4の端子電極、7…第1の巻線導体、8…第2の巻線導体、9…第1の継線導体、10…第2の継線導体、11…第3の継線導体、12…第4の継線導体、13…第2のコア部材、14…グランド配線、15〜18…ランド電極、31…HDMIコネクタ、32…ESD対策部品、33…IC、34…グランド配線、35〜42…配線。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部と、当該巻芯部の軸方向の両端に形成された第1及び第2の鍔部とを有する第1のコア部材と、
前記第1のコア部材の前記巻芯部に巻回された第1の巻線導体と、
前記第1のコア部材の前記第1の鍔部に設けられ、前記第1の巻線導体の一端に第1の継線導体を介して接続される第1の端子電極と、
前記第1のコア部材の前記第2の鍔部に設けられ、前記第1の巻線導体の他端に第2の継線導体を介して接続される第2の端子電極と、を備え、
前記第1及び第2の鍔部はそれぞれ、その一つの側面が回路基板と対向する実装面とされ、
前記第1の鍔部の前記実装面には、前記軸方向に沿って延在し、前記回路基板に取り付けられた配線が貫通できるように第1の溝状凹部が形成されており、
前記第2の鍔部の前記実装面には、前記軸方向に沿って延在し、前記回路基板に取り付けられた配線が貫通できるように第2の溝状凹部が形成されていることを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記第1及び第2の鍔部の前記実装面と直交する方向で見たときに、前記第1及び第2の継線導体は、前記実装面の回路基板側に位置していないことを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記第1のコア部材の前記巻芯部と対向するように配置された第2のコア部材をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記第1のコア部材の前記巻芯部に巻回された第2の巻線導体と、
前記第1のコア部材の前記第1の鍔部に設けられ、前記第2の巻線導体の一端に第3の継線導体を介して接続される第3の端子電極と、
前記第1のコア部材の前記第2の鍔部に設けられ、前記第2の巻線導体の他端に第4の継線導体を介して接続される第4の端子電極と、をさらに備え、
前記第1の溝状凹部は、前記第1及び第3の端子電極の間に位置するように形成され、
前記第2の溝状凹部は、前記第2及び第4の端子電極の間に位置するように形成されることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項記載の電子部品。
【請求項5】
請求項1〜4の何れか一項に記載された電子部品と、
少なくとも2つのランド電極及び配線が取り付けられた回路基板と、を備え、
前記第1及び第2の鍔部それぞれの前記実装面が、前記回路基板と対向し、
前記電子部品の前記第1及び第2の端子電極が、それぞれ前記少なくとも2つのランド電極のうち異なるランド電極に接続され、
前記電子部品は、前記回路基板に取り付けられた前記配線が、前記第1及び第2の溝状凹部の溝内を貫通するように実装されることを特徴とする電子部品の実装構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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