電子部品及びその製造方法
【課題】外部電極の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図れる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品の外部電極E1は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1と、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP1を覆うように形成された電極主膜Fsp2とから成る。
【解決手段】電子部品の外部電極E1は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1と、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP1を覆うように形成された電極主膜Fsp2とから成る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電極に工夫を凝らした電子部品と、該外部電極を有する電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品には、部品本体の内部に設けられた機能要素、例えば電極層やコイルや抵抗層等と電気的に接続する外部電極が該部品本体の表面に設けられている。
【0003】
この外部電極は、一般に、部品本体の表面の一部に形成された電極下地膜と、該電極下地膜の表面に形成された電極主膜とによって構成されており、通常、電極下地膜の形成手法には金属ペーストの塗布及び焼付けが採用され、電極主膜の形成手法には電解メッキが採用されている。外部電極を構成する電極下地膜は電極主膜の密着強度を向上させる役目を果たすものであるが、該電極下地膜の形成手法が金属ペーストの塗布及び焼付けであることから、外部電極の厚さを低減すること、例えば外部電極の厚さをμmオーダーとすることは極めて難しい。
【0004】
外部電極の厚さは電子部品が小型(例えば0603サイズや0402サイズ)になるほど該電子部品のサイズへの影響が大きくなるため、とりわけ、小型化及び低背化が望まれている電子部品にあっては外部電極の厚さ低減が重要視されており、該厚さ低減のために外部電極を構成する電極下地膜及び電極主膜の両方をスパッタリング法にて形成する試みが為されている(特許文献1を参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された外部電極はそれ以前の外部電極と同様に密着強度向上用電極下地膜と電極主膜とによって構成されていて「外部電極の厚さ=電極下地膜の厚さ+電極主膜の厚さ」となるため、電極主膜の厚さのみを低減すると外部電極の密着強度が低下することもあって、電極下地膜と電極主膜の両方の厚さを低減しなければ外部電極の厚さ低減を図ることはできない。要するに、特許文献1に開示された外部電極構造では、外部電極の厚さ低減と密着強度向上の両方を満足するにも限界がある。
【0006】
本願発明者は前記事情を念頭に鋭意研究の上、電極下地膜を有しない外部電極構造を捻出することより、外部電極の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図れる電子部品と、該外部電極を有する電子部品の作製に好適な製造方法を創作するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−299514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、外部電極の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図れる電子部品と、該外部電極を有する電子部品の作製に好適な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明(電子部品)は、部品本体の表面に外部電極を有する電子部品であって、前記外部電極は、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に散乱状態で付着した金属粒子と、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように形成された電極主膜とから成る、ことをその特徴とする。
【0010】
また、本発明(電子部品の製造方法)は、部品本体の表面に外部電極を形成する工程を備えた電子部品の製造方法であって、前記外部電極形成工程は、(1)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に金属粒子を散乱状態で付着させるステップと、(2)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように電極主膜を形成するステップとを含む、ことをその特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電子部品及びその製造方法によれば以下の如き効果が得られる。即ち、部品本体の外部電極形成部分の表面には金属粒子が散乱状態で付着しているため、該外部電極形成部分の表面において金属粒子が存在する箇所が凸となり、且つ、存在しない箇所(外部電極形成部分の表面が露出する箇所)が凹となる。また、電極主膜は散乱状態で付着した金属粒子を覆うように外部電極形成部分の表面に形成されているため、該電極主膜には前記凹に入り込んで外部電極形成部分の表面に達する最大厚さ箇所と前記凹に入り込まない厚さの薄い箇所とが混在する。
【0012】
つまり、電極主膜には、該電極主膜を直接平坦な面に形成する場合に比べて、密着総面積が増加する作用が得られると共に、金属粒子の形状に基づくアンカー作用が得られため、該電極主膜の密着強度向上が図れる。また、外部電極の厚さに相当する電極主膜の最大厚さを金属粒子を覆える最小値に設定しても前記密着強度向上が図れるため、電極主膜の最大厚さを低減することに依る外部電極の厚さ低減が図れる。
【0013】
要するに、本発明に係る電子部品によれば、電極下地膜を有しない前記外部電極構造を採用することによって、外部電極の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図ることができるし、本発明に係る電子部品の製造方法によれば、前記効果が得られる電子部品を的確に製造することができる。
【0014】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1実施形態に係る外部電極形成の第1ステップの説明図である。
【図2】図2は、第1ステップ後の部品本体の側面図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る外部電極形成の第2ステップの説明図である。
【図4】図4は、第2ステップ後の部品本体の側面図である。
【図5】図5は、外部電極形成後の電子部品の側面図である。
【図6】図6は、検証品と比較品の外部電極の密着強度を示す図である。
【図7】図7は、図6に示した密着強度の測定方法の説明図である。
【図8】図8は、比較品の側面図である。
【図9】図9は、第2実施形態に係る外部電極形成の第1ステップの説明図である。
【図10】図10は、第1ステップ後の部品本体の側面図である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る外部電極形成の第2ステップの説明図である。
【図12】図12は、第2ステップ後の部品本体の側面図である。
【図13】図13は、外部電極形成後の電子部品の側面図である。
【図14】図14は、検証品と比較品の外部電極の密着強度を示す図である。
【図15】図15は、比較品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1実施形態》
図1は外部電極形成に用いたDCマグネトロン方式のスパッタ装置10を示すもので、該スパッタ装置10はチャンバー11と、上側ターゲット電極12と、N極及びS極を有する磁石13と、下側試料台電極14と、DC電源15とを備える。チャンバー11は、ガス供給源(図示省略)に接続された第1ポート11aと、真空ポンプ(図示省略)に接続された第2ポート11bとを有する。上側ターゲット電極12は平坦な下面を有し、磁石13は該下面或いはその内側に設けられている。磁石13は永久磁石または電磁石から成り、永久磁石の場合には常に磁界を形成でき、電磁石の場合には電力の供給または非供給によって磁界の形成と非形成を適宜選択できる。下側試料台電極14は平坦な上面を有し、該上面は上側ターゲット電極12の下面と平行に向き合っている。DC電源15は所定のDC電力を上側ターゲット電極12と下側試料台電極14に供給する。また、DC電源15は、上側ターゲット電極12と下側試料台電極14の接続極性を切り替える機能を有する。
【0017】
〈外部電極形成の第1ステップ〉
第1ステップを行うに際しては、図1に示したように、ターゲットTA1を上側ターゲット電極12の下面に配置すると共に、多数の部品本体CBが保持された部品保持具J1を下側試料台電極14の上面に配置する。
【0018】
ターゲットTA1は所定厚さを有する平板状を成す。このターゲットTA1の材料は好ましくは鉄、または、ステンレス鋼等の鉄を主成分とした合金である。勿論、チタン、クロム、または、タンタルや、これらのうちの少なくとも1種以上を含む合金等をターゲットTA1の材料としても良い。
【0019】
部品保持具J1は所定厚さを有する平板状を成し、その上面に多数の凹部J1aを有している。各凹部J1aは部品本体CBの一部(外部電極形成部分CBa)を除く部分を収納して保持するためのものであり、該外部電極形成部分CBaの表面は部品保持具J1から露出する(図2を参照)。この部品保持具J1の材料は導電材料と非導電材料の何れであっても良いが、該部品保持具J1に電極としての機能を発揮させる場合にはステンレス鋼やアルミニウム等が好ましい。
【0020】
部品本体CBは外部電極を形成することによってチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品となるものであって、略直方体形状を成している。この部品本体CBはセラミックスを主材とし、内部に機能要素、例えば電極層やコイルや抵抗層等を有している。部品本体CBの主材であるセラミックスの材料は電子部品によって異なるが、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ジルコン酸鉛等が代表例として挙げられる。
【0021】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0022】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は10〜500sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-1〜50Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね10〜60secの範囲内の値に設定される。
【0023】
これにより、図1及び図2に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA1に衝突して該ターゲットTA1の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP1が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP1が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。
【0024】
この第1ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP1を散乱状態で付着させることにある。ターゲットTA1の表面から弾き飛ばされる金属粒子SP1の粒径はnmオーダーであるが、高DC電圧の印加時間を長くすると部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP1が堆積して膜が形成されてしまうため、ここでは高DC電圧の印加時間を極力短くすること等によって膜の形成を回避する。因みに、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に付着した金属粒子SP1の表面被覆率を数値で表すと30〜90%の範囲内である。
【0025】
〈外部電極形成の第2ステップ〉
第1ステップに続けて第2ステップを行うに際しては、図2に示したように、ターゲットTA1を別のターゲットTA2に交換する。
【0026】
ターゲットTA2は所定厚さの平板状を成す。このターゲットTA2の材料は外部電極の電極主膜となる材料であって、好ましくは銅、ニッケル、または、銀等である。
【0027】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0028】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は10〜500sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-1〜50Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね60〜300secの範囲内の値に設定される。
【0029】
これにより、図3及び図4に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA2に衝突して該ターゲットTA2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP2が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP2が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP1を覆うように堆積して電極主膜Fsp2が形成される。
【0030】
この第2ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP2を前記金属粒子SP1を覆うように堆積させて電極主膜Fsp2を形成することにある。ここでは高DC電圧の印加時間を膜形成に適した時間に設定すること等によって、前記金属粒子SP1を覆う電極主膜Fsp2を形成する。因みに、前記電極主膜Fsp2の最大厚さを数値で表すと、0.5〜10μm、好ましくは1〜3μmの範囲内の値である。
【0031】
〈外部電極形成の第3ステップ〉
第2ステップに続けて第3ステップを行うに際しては、ターゲットTA2をターゲットTA1に交換すると共に、部品保持具J1に保持されている各部品本体CBの向きを反転させて再保持させた後に該部品保持具J1を下側試料台電極14の上面に配置する。
【0032】
そして、第1ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0033】
これにより、第1ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA1に衝突して該ターゲットTA1の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP1が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP1が各部品本体CBの反対側の外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。この第3ステップで肝要な点は前記第1ステップで述べた通りである。
【0034】
〈外部電極形成の第4ステップ〉
第3ステップに続けて第4ステップを行うに際しては、ターゲットTA1をターゲットTA2に交換する。
【0035】
そして、第2ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0036】
これにより、第2ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA2に衝突して該ターゲットTA2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP2が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP2が各部品本体CBの反対側の外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP1を覆うように堆積して電極主膜Fsp2が形成される。この第4ステップで肝要な点は前記第2ステップで述べた通りである。
【0037】
〈部品本体に外部電極が形成された電子部品〉
図5は前記第1ステップ〜第4ステップを経て部品本体CBの両端部に外部電極E1が形成された電子部品、例えばチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品を示す。ここでの外部電極E1は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1と、外部電極形成部分CBaの表面に該金属粒子SP1を覆うように形成された電極主膜Fsp2とから成る。
【0038】
〈電子部品及びその製造方法によって得られる効果〉
図2から分かるように、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面には金属粒子SP1が散乱状態で付着しているため、該外部電極形成部分CBaの表面において金属粒子SP1が存在する箇所が凸となり、且つ、存在しない箇所(外部電極形成部分CBaの表面が露出する箇所)が凹となる。また、図4から分かるように、電極主膜Fsp2は散乱状態で付着した金属粒子SP1を覆うように外部電極形成部分CBaの表面に形成されているため、該電極主膜Fsp2には前記凹に入り込んで外部電極形成部分CBaの表面に達する最大厚さ箇所と前記凹に入り込まない厚さの薄い箇所とが混在する。
【0039】
つまり、電極主膜Fsp2には、該電極主膜Fsp2を直接平坦な面に形成する場合(図8を参照)に比べて、密着総面積が増加する作用が得られると共に、金属粒子SP1の形状に基づくアンカー作用が得られため、該電極主膜Fsp2の密着強度向上が図れる。また、外部電極E1の厚さに相当する電極主膜Fsp2の最大厚さを金属粒子SP1を覆える最小値に設定しても前記密着強度向上が図れるため、電極主膜Fsp2の最大厚さを低減することに依る外部電極E1の厚さ低減が図れる。
【0040】
要するに、前記電子部品によれば、電極下地膜を有しない前記外部電極構造を採用することによって、外部電極E1の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図ることができるし、前記製造方法によれば、前記効果が得られる電子部品を的確に製造することができる。
【0041】
〈効果の検証〉
前記効果、特に密着強度向上の検証に際しては、検証品1-1〜1-3(図5を参照)と比較品(図8を参照)とを5個ずつ作製して、各々に密着強度試験を実施してその結果を確認した。
【0042】
検証品1-1〜1-3は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E1を形成したものであって、各々の外部電極E1を、
〔検証品1-1〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :10sccm
・チャンバー11の真空度 :0.5Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :60sec
・ターゲットTA1 :鉄
・金属粒子SP1の表面被覆率:50%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :100sccm
・チャンバー11の真空度 :3Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :180sec
・ターゲットTA2 :銅
・電極主膜Fsp2の最大厚さ :1μm
〔検証品1-2〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :100sccm
・チャンバー11の真空度 :2Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :15sec
・ターゲットTA1 :鉄
・金属粒子SP1の表面被覆率:70%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品1-1と同じ
〔検証品1-3〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :500sccm
・チャンバー11の真空度 :30Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :10sec
・ターゲットTA1 :鉄
・金属粒子SP1の表面被覆率:40%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品1-1と同じ
にて前記第1ステップ〜第4ステップに準じて形成した。
【0043】
一方、比較品は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E1’を形成したものであって、該外部電極E1’を、
〔比較品〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
第1ステップ及び第3ステップは実施せず
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品1-1と同じ
にて前記第2ステップ及び第4ステップのみに準じて形成した。図8から分かるように、比較品の外部電極E1’は検証品1-1〜1-3(図5を参照)のような「外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1」を有せず、電極主膜Fsp2のみから成っている。
【0044】
密着強度試験は、図7に示したように、ガラスエポキシ基板SUBの銅パッドSUBa上に鉛フリー半田ペーストをスクリーン印刷によって厚さ50μmで塗布し、この上に検証品1-1〜1-3と比較品をそれぞれ搭載して、ピーク温度280℃、10secの温度プロファイルにてリフロー半田付けを行い、ロードセル式加圧試験機によって検証品1-1〜1-3と比較品の側面の中心(+印を参照)を2.5mm/minの速度で加圧し、各々の外部電極E1が剥離したときの荷重を密着強度(単位はkgf/mm2)に変換してその数値を確認した。
【0045】
図6から分かるように、検証品1-1〜1-3の電極主膜Fsp2の最大厚さが比較品の電極主膜Fsp2の厚さと同じであっても、検証品1-1の外部電極E1の密着強度の平均値(約0.90kgf/mm2)と、検証品1-2の外部電極E1の密着強度の平均値(約1.06kgf/mm2)と、検証品1-3の外部電極E1の密着強度の平均値(約0.97kgf/mm2)は、何れも、比較品の外部電極E1’の密着強度の平均値(約0.73kgf/mm2)に比べて高く、密着強度向上が図れていることが確認できた。
【0046】
《第2実施形態》
図9に示したスパッタ装置10の構成は、図1に示したものと同じであるため、その説明を省略する。
【0047】
〈外部電極形成の第1ステップ〉
第1ステップを行うに際しては、図9に示したように、多数の部品本体CBが保持された部品保持具J2を下側試料台電極14の上面に配置する。この第1ステップは部品保持具J2をターゲットとして使用するものであるため、上側ターゲット電極12の下面にターゲットを配置する必要はない。
【0048】
部品保持具J2は所定厚さを有する平板状を成し、その上面に多数の凹部J2aを有している。各凹部J2aは部品本体CBの一部(外部電極形成部分CBa)を除く部分を収納して保持するためのものであり、該外部電極形成部分CBaの表面は部品保持具J2から露出する(図10を参照)。この部品保持具J2はターゲットとして使用されるもので、該部品保持具J2の材料は好ましくは鉄、または、ステンレス鋼等の鉄を主成分とした合金である。勿論、チタン、クロム、タンタル、珪素、または、ジルコニウムや、これらのうちの少なくとも1種以上を含む合金等を部品保持具J2の材料としても良い。
【0049】
部品本体CBは外部電極を形成することによってチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品となるものであって、略直方体形状を成している。この部品本体CBはセラミックスを主材とし、内部に機能要素、例えば電極層やコイルや抵抗層等を有している。部品本体CBの主材であるセラミックスの材料は電子部品によって異なるが、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ジルコン酸鉛等が代表例として挙げられる。
【0050】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界非形成下、或いは、磁界形成下において、前記《第1実施形態》の第1ステップとは逆に、上側ターゲット電極12を正極とし下側試料台電極14を負極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0051】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は1〜1000sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-2〜100Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね100〜300secの範囲内の値に設定される。
【0052】
これにより、図9及び図10に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIが部品保治具J2に衝突して該部品保治具J2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP3が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP3が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。
【0053】
この第1ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP3を散乱状態で付着させることにある。部品保治具J2の表面から弾き飛ばされる金属粒子SP3の粒径はnmオーダーであるが、高DC電圧の印加時間を長くすると部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP3が堆積して膜が形成されてしまうため、ここでは高DC電圧の印加時間を極力短くすること等によって膜の形成を回避する。因みに、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に付着した金属粒子SP3の表面被覆率を数値で表すと30〜90%の範囲内である。
【0054】
〈外部電極形成の第2ステップ〉
第1ステップに続けて第2ステップを行うに際しては、図11に示したように、ターゲットTA4を上側ターゲット電極12の下面に配置する。
【0055】
ターゲットTA4は所定厚さの平板状を成す。このターゲットTA4の材料は外部電極の電極主膜となる材料であって、好ましくは銅、または、ニッケルである。
【0056】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0057】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は1〜1000sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-2〜100Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね10〜300secの範囲内の値に設定される。
【0058】
これにより、図11及び図12に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA4に衝突して該ターゲットTA4の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP4が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP4が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP3を覆うように堆積して電極主膜Fsp4が形成される。
【0059】
この第2ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP4を前記金属粒子SP3を覆うように堆積させて電極主膜Fsp4を形成することにある。ここでは高DC電圧の印加時間を膜形成に適した時間に設定すること等によって、前記金属粒子SP3を覆う電極主膜Fsp4を形成する。因みに、前記電極主膜Fsp4の最大厚さを数値で表すと、0.5〜10μm、好ましくは1〜3μmの範囲内の値である。
【0060】
〈外部電極形成の第3ステップ〉
第2ステップに続けて第3ステップを行うに際しては、ターゲットTA4を外すと共に、部品保持具J2に保持されている各部品本体CBの向きを反転させて再保持させた後に該部品保持具J2を下側試料台電極14の上面に配置する。
【0061】
そして、第1ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界非形成下、或いは、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を正極とし下側試料台電極14を負極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0062】
これにより、第1ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIが部品保治具J2に衝突して該部品保治具J2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP3が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP3が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。この第3ステップで肝要な点は前記第1ステップで述べた通りである。
【0063】
〈外部電極形成の第4ステップ〉
第3ステップに続けて第4ステップを行うに際しては、ターゲットTA4を上側ターゲット電極12の下面に配置する。
【0064】
そして、第2ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0065】
これにより、第2ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA4に衝突して該ターゲットTA4の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP4が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP4が各部品本体CBの反対側の外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP3を覆うように堆積して電極主膜Fsp4が形成される。この第4ステップで肝要な点は前記第2ステップで述べた通りである。
【0066】
〈部品本体に外部電極が形成された電子部品〉
図13は前記第1ステップ〜第4ステップを経て部品本体CBの両端部に外部電極E2が形成された電子部品、例えばチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品を示す。ここでの外部電極E2は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP3と、外部電極形成部分CBaの表面に該金属粒子SP3を覆うように形成された電極主膜Fsp4とから成る。
【0067】
〈電子部品及びその製造方法によって得られる効果〉
図10から分かるように、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面には金属粒子SP3が散乱状態で付着しているため、該外部電極形成部分CBaの表面において金属粒子SP3が存在する箇所が凸となり、且つ、存在しない箇所(外部電極形成部分CBaの表面が露出する箇所)が凹となる。また、図12から分かるように、電極主膜Fsp4は散乱状態で付着した金属粒子SP3を覆うように外部電極形成部分CBaの表面に形成されているため、該電極主膜Fsp4には前記凹に入り込んで外部電極形成部分CBaの表面に達する最大厚さ箇所と前記凹に入り込まない厚さの薄い箇所とが混在する。
【0068】
つまり、電極主膜Fsp4には、該電極主膜Fsp4を直接平坦な面に形成する場合(図15を参照)に比べて、密着総面積が増加する作用が得られると共に、金属粒子SP3の形状に基づくアンカー作用が得られため、該電極主膜Fsp4の密着強度向上が図れる。また、外部電極E2の厚さに相当する電極主膜Fsp4の最大厚さを金属粒子SP3を覆える最小値に設定しても前記密着強度向上が図れるため、電極主膜Fsp4の最大厚さを低減することに依る外部電極E2の厚さ低減が図れる。
【0069】
要するに、前記電子部品によれば、電極下地膜を有しない前記外部電極構造を採用することによって、外部電極E2の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図ることができるし、前記製造方法によれば、前記効果が得られる電子部品を的確に製造することができる。
【0070】
〈効果の検証〉
前記効果、特に密着強度向上の検証に際しては、検証品2-1〜2-3(図13を参照)と比較品(図15を参照)とを5個ずつ作製して、各々に密着強度試験を実施してその結果を確認した。
【0071】
検証品2-1〜2-3は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E2を形成したものであって、各々の外部電極E2を、
〔検証品2-1〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :50sccm
・チャンバー11の真空度 :5Pa
・DC電力 :200W
・DC電力の印加時間 :60sec
・部品保治具J2 :鉄
・金属粒子SP3の表面被覆率:50%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :100sccm
・チャンバー11の真空度 :3Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :180sec
・ターゲットTA4 :銅
・電極主膜Fsp4の最大厚さ :1μm
〔検証品2-2〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :200sccm
・チャンバー11の真空度 :20Pa
・DC電力 :50W
・DC電力の印加時間 :120sec
・部品保治具J2 :鉄
・金属粒子SP3の表面被覆率:60%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品2-1と同じ
〔検証品2-3〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :50sccm
・チャンバー11の真空度 :40Pa
・DC電力 :50W
・DC電力の印加時間 :240sec
・部品保治具J2 :鉄
・金属粒子SP3の表面被覆率:50%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品2-1と同じ
の条件下で前記第1ステップ〜第4ステップに準じて形成した。
【0072】
一方、比較品は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E2’を形成したものであって、該外部電極E2’を、
〔比較品〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
第1ステップ及び第3ステップは実施せず
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品2-1と同じ
にて前記第2ステップ及び第4ステップのみに準じて形成した。図15から分かるように、比較品の外部電極E2’は、検証品2-1〜2-3(図13を参照)のような「外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP3」を有せず、電極主膜Fsp4のみから成っている。
【0073】
密着強度試験の方法は、図7を用いて先に説明した試験方法と同じであるため、その説明を省略する。図14から分かるように、検証品2-1〜2-3の電極主膜Fsp4の最大厚さが比較品の電極主膜Fsp4の厚さと同じであっても、検証品2-1の外部電極E2の密着強度の平均値(約0.92kgf/mm2)と、検証品2-2の外部電極E2の密着強度の平均値(約1.06kgf/mm2)と、検証品2-3の外部電極E2の密着強度の平均値(約1.0kgf/mm2)は、何れも、比較品の外部電極E2’の密着強度の平均値(約0.73kgf/mm2)に比べて高く、密着強度向上が図れていることが確認できた。
《他の実施形態》
(1)前記第1実施形態及び第2実施形態では、部品本体CBの両端部に外部電極E1またはE2を形成した電子部品を示したが、外部電極形成部分CBaは部品本体CBの端部に限定されないし、端部以外の表面箇所に外部電極E1またはE2と同等の外部電極を形成した場合でも前記同様の効果を得ることができる。
【0074】
(2)前記第1実施形態及び第2実施形態では、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1またはSP3と、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に該金属粒子SP1またはSP3を覆うように形成された電極主膜Fsp2またはFsp4とから成る外部電極E1及びE2を有する電子部品を示したが、電極主膜Fsp2またはFsp4の表面に半田付け用の第2の電極主膜、例えばスズから成る電極主膜を、電極主膜Fsp2またはFsp4と同様のスパッタリング法によって形成したものを外部電極としても良い。この場合でも、外部電極の第2の電極主膜を除く部分に関しては前記同様の効果を得ることができる。
【0075】
(3)前記第1実施形態及び第2実施形態では、上側にターゲット電極12が設けられ下側に試料台電極14が設けられたDCマグネトロン方式のスパッタ装置を示したが、試料台電極14が上側に設けられ下側にターゲット電極12が設けられたDCマグネトロン方式のスパッタ装置を用いても前記同様の外部電極を形成できる。
【0076】
(4)前記第1実施形態及び第2実施形態では、DCマグネトロン方式のスパッタ装置を用いて外部電極を形成した電子部品を示したが、マグネトロン方式以外の方式、例えば2極方式、3極方式、4極方式、ECR(電子サイクロトロン共鳴)方式、イオンビーム方式等を利用したスパッタ装置であっても前記同様の外部電極を形成できるし、前記方式においてRF電源を用いたスパッタ装置であっても前記同様の外部電極を形成できる。
【符号の説明】
【0077】
10…スパッタ装置、11…チャンバー、12…上側ターゲット電極、13…磁石、14…下側試料台電極、TA1,TA2,TA4…ターゲット、J1,J2…部品保治具、CB…部品本体、CBa…外部電極形成部分、SP1,SP3…金属粒子、Fsp2,Fsp4…電極主膜、E1,E2…外部電極。
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部電極に工夫を凝らした電子部品と、該外部電極を有する電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
チップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品には、部品本体の内部に設けられた機能要素、例えば電極層やコイルや抵抗層等と電気的に接続する外部電極が該部品本体の表面に設けられている。
【0003】
この外部電極は、一般に、部品本体の表面の一部に形成された電極下地膜と、該電極下地膜の表面に形成された電極主膜とによって構成されており、通常、電極下地膜の形成手法には金属ペーストの塗布及び焼付けが採用され、電極主膜の形成手法には電解メッキが採用されている。外部電極を構成する電極下地膜は電極主膜の密着強度を向上させる役目を果たすものであるが、該電極下地膜の形成手法が金属ペーストの塗布及び焼付けであることから、外部電極の厚さを低減すること、例えば外部電極の厚さをμmオーダーとすることは極めて難しい。
【0004】
外部電極の厚さは電子部品が小型(例えば0603サイズや0402サイズ)になるほど該電子部品のサイズへの影響が大きくなるため、とりわけ、小型化及び低背化が望まれている電子部品にあっては外部電極の厚さ低減が重要視されており、該厚さ低減のために外部電極を構成する電極下地膜及び電極主膜の両方をスパッタリング法にて形成する試みが為されている(特許文献1を参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された外部電極はそれ以前の外部電極と同様に密着強度向上用電極下地膜と電極主膜とによって構成されていて「外部電極の厚さ=電極下地膜の厚さ+電極主膜の厚さ」となるため、電極主膜の厚さのみを低減すると外部電極の密着強度が低下することもあって、電極下地膜と電極主膜の両方の厚さを低減しなければ外部電極の厚さ低減を図ることはできない。要するに、特許文献1に開示された外部電極構造では、外部電極の厚さ低減と密着強度向上の両方を満足するにも限界がある。
【0006】
本願発明者は前記事情を念頭に鋭意研究の上、電極下地膜を有しない外部電極構造を捻出することより、外部電極の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図れる電子部品と、該外部電極を有する電子部品の作製に好適な製造方法を創作するに至った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−299514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、外部電極の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図れる電子部品と、該外部電極を有する電子部品の作製に好適な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため、本発明(電子部品)は、部品本体の表面に外部電極を有する電子部品であって、前記外部電極は、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に散乱状態で付着した金属粒子と、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように形成された電極主膜とから成る、ことをその特徴とする。
【0010】
また、本発明(電子部品の製造方法)は、部品本体の表面に外部電極を形成する工程を備えた電子部品の製造方法であって、前記外部電極形成工程は、(1)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に金属粒子を散乱状態で付着させるステップと、(2)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように電極主膜を形成するステップとを含む、ことをその特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る電子部品及びその製造方法によれば以下の如き効果が得られる。即ち、部品本体の外部電極形成部分の表面には金属粒子が散乱状態で付着しているため、該外部電極形成部分の表面において金属粒子が存在する箇所が凸となり、且つ、存在しない箇所(外部電極形成部分の表面が露出する箇所)が凹となる。また、電極主膜は散乱状態で付着した金属粒子を覆うように外部電極形成部分の表面に形成されているため、該電極主膜には前記凹に入り込んで外部電極形成部分の表面に達する最大厚さ箇所と前記凹に入り込まない厚さの薄い箇所とが混在する。
【0012】
つまり、電極主膜には、該電極主膜を直接平坦な面に形成する場合に比べて、密着総面積が増加する作用が得られると共に、金属粒子の形状に基づくアンカー作用が得られため、該電極主膜の密着強度向上が図れる。また、外部電極の厚さに相当する電極主膜の最大厚さを金属粒子を覆える最小値に設定しても前記密着強度向上が図れるため、電極主膜の最大厚さを低減することに依る外部電極の厚さ低減が図れる。
【0013】
要するに、本発明に係る電子部品によれば、電極下地膜を有しない前記外部電極構造を採用することによって、外部電極の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図ることができるし、本発明に係る電子部品の製造方法によれば、前記効果が得られる電子部品を的確に製造することができる。
【0014】
本発明の前記目的とそれ以外の目的と、構成特徴と、作用効果は、以下の説明と添付図面によって明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、第1実施形態に係る外部電極形成の第1ステップの説明図である。
【図2】図2は、第1ステップ後の部品本体の側面図である。
【図3】図3は、第1実施形態に係る外部電極形成の第2ステップの説明図である。
【図4】図4は、第2ステップ後の部品本体の側面図である。
【図5】図5は、外部電極形成後の電子部品の側面図である。
【図6】図6は、検証品と比較品の外部電極の密着強度を示す図である。
【図7】図7は、図6に示した密着強度の測定方法の説明図である。
【図8】図8は、比較品の側面図である。
【図9】図9は、第2実施形態に係る外部電極形成の第1ステップの説明図である。
【図10】図10は、第1ステップ後の部品本体の側面図である。
【図11】図11は、第2実施形態に係る外部電極形成の第2ステップの説明図である。
【図12】図12は、第2ステップ後の部品本体の側面図である。
【図13】図13は、外部電極形成後の電子部品の側面図である。
【図14】図14は、検証品と比較品の外部電極の密着強度を示す図である。
【図15】図15は、比較品の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
《第1実施形態》
図1は外部電極形成に用いたDCマグネトロン方式のスパッタ装置10を示すもので、該スパッタ装置10はチャンバー11と、上側ターゲット電極12と、N極及びS極を有する磁石13と、下側試料台電極14と、DC電源15とを備える。チャンバー11は、ガス供給源(図示省略)に接続された第1ポート11aと、真空ポンプ(図示省略)に接続された第2ポート11bとを有する。上側ターゲット電極12は平坦な下面を有し、磁石13は該下面或いはその内側に設けられている。磁石13は永久磁石または電磁石から成り、永久磁石の場合には常に磁界を形成でき、電磁石の場合には電力の供給または非供給によって磁界の形成と非形成を適宜選択できる。下側試料台電極14は平坦な上面を有し、該上面は上側ターゲット電極12の下面と平行に向き合っている。DC電源15は所定のDC電力を上側ターゲット電極12と下側試料台電極14に供給する。また、DC電源15は、上側ターゲット電極12と下側試料台電極14の接続極性を切り替える機能を有する。
【0017】
〈外部電極形成の第1ステップ〉
第1ステップを行うに際しては、図1に示したように、ターゲットTA1を上側ターゲット電極12の下面に配置すると共に、多数の部品本体CBが保持された部品保持具J1を下側試料台電極14の上面に配置する。
【0018】
ターゲットTA1は所定厚さを有する平板状を成す。このターゲットTA1の材料は好ましくは鉄、または、ステンレス鋼等の鉄を主成分とした合金である。勿論、チタン、クロム、または、タンタルや、これらのうちの少なくとも1種以上を含む合金等をターゲットTA1の材料としても良い。
【0019】
部品保持具J1は所定厚さを有する平板状を成し、その上面に多数の凹部J1aを有している。各凹部J1aは部品本体CBの一部(外部電極形成部分CBa)を除く部分を収納して保持するためのものであり、該外部電極形成部分CBaの表面は部品保持具J1から露出する(図2を参照)。この部品保持具J1の材料は導電材料と非導電材料の何れであっても良いが、該部品保持具J1に電極としての機能を発揮させる場合にはステンレス鋼やアルミニウム等が好ましい。
【0020】
部品本体CBは外部電極を形成することによってチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品となるものであって、略直方体形状を成している。この部品本体CBはセラミックスを主材とし、内部に機能要素、例えば電極層やコイルや抵抗層等を有している。部品本体CBの主材であるセラミックスの材料は電子部品によって異なるが、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ジルコン酸鉛等が代表例として挙げられる。
【0021】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0022】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は10〜500sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-1〜50Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね10〜60secの範囲内の値に設定される。
【0023】
これにより、図1及び図2に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA1に衝突して該ターゲットTA1の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP1が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP1が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。
【0024】
この第1ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP1を散乱状態で付着させることにある。ターゲットTA1の表面から弾き飛ばされる金属粒子SP1の粒径はnmオーダーであるが、高DC電圧の印加時間を長くすると部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP1が堆積して膜が形成されてしまうため、ここでは高DC電圧の印加時間を極力短くすること等によって膜の形成を回避する。因みに、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に付着した金属粒子SP1の表面被覆率を数値で表すと30〜90%の範囲内である。
【0025】
〈外部電極形成の第2ステップ〉
第1ステップに続けて第2ステップを行うに際しては、図2に示したように、ターゲットTA1を別のターゲットTA2に交換する。
【0026】
ターゲットTA2は所定厚さの平板状を成す。このターゲットTA2の材料は外部電極の電極主膜となる材料であって、好ましくは銅、ニッケル、または、銀等である。
【0027】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0028】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は10〜500sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-1〜50Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね60〜300secの範囲内の値に設定される。
【0029】
これにより、図3及び図4に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA2に衝突して該ターゲットTA2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP2が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP2が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP1を覆うように堆積して電極主膜Fsp2が形成される。
【0030】
この第2ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP2を前記金属粒子SP1を覆うように堆積させて電極主膜Fsp2を形成することにある。ここでは高DC電圧の印加時間を膜形成に適した時間に設定すること等によって、前記金属粒子SP1を覆う電極主膜Fsp2を形成する。因みに、前記電極主膜Fsp2の最大厚さを数値で表すと、0.5〜10μm、好ましくは1〜3μmの範囲内の値である。
【0031】
〈外部電極形成の第3ステップ〉
第2ステップに続けて第3ステップを行うに際しては、ターゲットTA2をターゲットTA1に交換すると共に、部品保持具J1に保持されている各部品本体CBの向きを反転させて再保持させた後に該部品保持具J1を下側試料台電極14の上面に配置する。
【0032】
そして、第1ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0033】
これにより、第1ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA1に衝突して該ターゲットTA1の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP1が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP1が各部品本体CBの反対側の外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。この第3ステップで肝要な点は前記第1ステップで述べた通りである。
【0034】
〈外部電極形成の第4ステップ〉
第3ステップに続けて第4ステップを行うに際しては、ターゲットTA1をターゲットTA2に交換する。
【0035】
そして、第2ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0036】
これにより、第2ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA2に衝突して該ターゲットTA2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP2が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP2が各部品本体CBの反対側の外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP1を覆うように堆積して電極主膜Fsp2が形成される。この第4ステップで肝要な点は前記第2ステップで述べた通りである。
【0037】
〈部品本体に外部電極が形成された電子部品〉
図5は前記第1ステップ〜第4ステップを経て部品本体CBの両端部に外部電極E1が形成された電子部品、例えばチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品を示す。ここでの外部電極E1は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1と、外部電極形成部分CBaの表面に該金属粒子SP1を覆うように形成された電極主膜Fsp2とから成る。
【0038】
〈電子部品及びその製造方法によって得られる効果〉
図2から分かるように、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面には金属粒子SP1が散乱状態で付着しているため、該外部電極形成部分CBaの表面において金属粒子SP1が存在する箇所が凸となり、且つ、存在しない箇所(外部電極形成部分CBaの表面が露出する箇所)が凹となる。また、図4から分かるように、電極主膜Fsp2は散乱状態で付着した金属粒子SP1を覆うように外部電極形成部分CBaの表面に形成されているため、該電極主膜Fsp2には前記凹に入り込んで外部電極形成部分CBaの表面に達する最大厚さ箇所と前記凹に入り込まない厚さの薄い箇所とが混在する。
【0039】
つまり、電極主膜Fsp2には、該電極主膜Fsp2を直接平坦な面に形成する場合(図8を参照)に比べて、密着総面積が増加する作用が得られると共に、金属粒子SP1の形状に基づくアンカー作用が得られため、該電極主膜Fsp2の密着強度向上が図れる。また、外部電極E1の厚さに相当する電極主膜Fsp2の最大厚さを金属粒子SP1を覆える最小値に設定しても前記密着強度向上が図れるため、電極主膜Fsp2の最大厚さを低減することに依る外部電極E1の厚さ低減が図れる。
【0040】
要するに、前記電子部品によれば、電極下地膜を有しない前記外部電極構造を採用することによって、外部電極E1の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図ることができるし、前記製造方法によれば、前記効果が得られる電子部品を的確に製造することができる。
【0041】
〈効果の検証〉
前記効果、特に密着強度向上の検証に際しては、検証品1-1〜1-3(図5を参照)と比較品(図8を参照)とを5個ずつ作製して、各々に密着強度試験を実施してその結果を確認した。
【0042】
検証品1-1〜1-3は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E1を形成したものであって、各々の外部電極E1を、
〔検証品1-1〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :10sccm
・チャンバー11の真空度 :0.5Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :60sec
・ターゲットTA1 :鉄
・金属粒子SP1の表面被覆率:50%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :100sccm
・チャンバー11の真空度 :3Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :180sec
・ターゲットTA2 :銅
・電極主膜Fsp2の最大厚さ :1μm
〔検証品1-2〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :100sccm
・チャンバー11の真空度 :2Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :15sec
・ターゲットTA1 :鉄
・金属粒子SP1の表面被覆率:70%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品1-1と同じ
〔検証品1-3〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :500sccm
・チャンバー11の真空度 :30Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :10sec
・ターゲットTA1 :鉄
・金属粒子SP1の表面被覆率:40%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品1-1と同じ
にて前記第1ステップ〜第4ステップに準じて形成した。
【0043】
一方、比較品は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E1’を形成したものであって、該外部電極E1’を、
〔比較品〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
第1ステップ及び第3ステップは実施せず
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品1-1と同じ
にて前記第2ステップ及び第4ステップのみに準じて形成した。図8から分かるように、比較品の外部電極E1’は検証品1-1〜1-3(図5を参照)のような「外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1」を有せず、電極主膜Fsp2のみから成っている。
【0044】
密着強度試験は、図7に示したように、ガラスエポキシ基板SUBの銅パッドSUBa上に鉛フリー半田ペーストをスクリーン印刷によって厚さ50μmで塗布し、この上に検証品1-1〜1-3と比較品をそれぞれ搭載して、ピーク温度280℃、10secの温度プロファイルにてリフロー半田付けを行い、ロードセル式加圧試験機によって検証品1-1〜1-3と比較品の側面の中心(+印を参照)を2.5mm/minの速度で加圧し、各々の外部電極E1が剥離したときの荷重を密着強度(単位はkgf/mm2)に変換してその数値を確認した。
【0045】
図6から分かるように、検証品1-1〜1-3の電極主膜Fsp2の最大厚さが比較品の電極主膜Fsp2の厚さと同じであっても、検証品1-1の外部電極E1の密着強度の平均値(約0.90kgf/mm2)と、検証品1-2の外部電極E1の密着強度の平均値(約1.06kgf/mm2)と、検証品1-3の外部電極E1の密着強度の平均値(約0.97kgf/mm2)は、何れも、比較品の外部電極E1’の密着強度の平均値(約0.73kgf/mm2)に比べて高く、密着強度向上が図れていることが確認できた。
【0046】
《第2実施形態》
図9に示したスパッタ装置10の構成は、図1に示したものと同じであるため、その説明を省略する。
【0047】
〈外部電極形成の第1ステップ〉
第1ステップを行うに際しては、図9に示したように、多数の部品本体CBが保持された部品保持具J2を下側試料台電極14の上面に配置する。この第1ステップは部品保持具J2をターゲットとして使用するものであるため、上側ターゲット電極12の下面にターゲットを配置する必要はない。
【0048】
部品保持具J2は所定厚さを有する平板状を成し、その上面に多数の凹部J2aを有している。各凹部J2aは部品本体CBの一部(外部電極形成部分CBa)を除く部分を収納して保持するためのものであり、該外部電極形成部分CBaの表面は部品保持具J2から露出する(図10を参照)。この部品保持具J2はターゲットとして使用されるもので、該部品保持具J2の材料は好ましくは鉄、または、ステンレス鋼等の鉄を主成分とした合金である。勿論、チタン、クロム、タンタル、珪素、または、ジルコニウムや、これらのうちの少なくとも1種以上を含む合金等を部品保持具J2の材料としても良い。
【0049】
部品本体CBは外部電極を形成することによってチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品となるものであって、略直方体形状を成している。この部品本体CBはセラミックスを主材とし、内部に機能要素、例えば電極層やコイルや抵抗層等を有している。部品本体CBの主材であるセラミックスの材料は電子部品によって異なるが、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸ジルコン酸鉛等が代表例として挙げられる。
【0050】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界非形成下、或いは、磁界形成下において、前記《第1実施形態》の第1ステップとは逆に、上側ターゲット電極12を正極とし下側試料台電極14を負極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0051】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は1〜1000sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-2〜100Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね100〜300secの範囲内の値に設定される。
【0052】
これにより、図9及び図10に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIが部品保治具J2に衝突して該部品保治具J2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP3が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP3が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。
【0053】
この第1ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP3を散乱状態で付着させることにある。部品保治具J2の表面から弾き飛ばされる金属粒子SP3の粒径はnmオーダーであるが、高DC電圧の印加時間を長くすると部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP3が堆積して膜が形成されてしまうため、ここでは高DC電圧の印加時間を極力短くすること等によって膜の形成を回避する。因みに、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に付着した金属粒子SP3の表面被覆率を数値で表すと30〜90%の範囲内である。
【0054】
〈外部電極形成の第2ステップ〉
第1ステップに続けて第2ステップを行うに際しては、図11に示したように、ターゲットTA4を上側ターゲット電極12の下面に配置する。
【0055】
ターゲットTA4は所定厚さの平板状を成す。このターゲットTA4の材料は外部電極の電極主膜となる材料であって、好ましくは銅、または、ニッケルである。
【0056】
そして、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0057】
チャンバー11内に導入される不活性ガスは好ましくはアルゴンであるが、ネオン、キセノン等であっても良い。また、スパッタ装置10の仕様によって異なるが、チャンバー11内への不活性ガス導入量は1〜1000sccmの範囲内の値に設定され、チャンバー11内の真空度は概ね10-2〜100Paの範囲内の値に設定され、両電極12及び14に印加される高DC電圧は電力として表すと概ね10〜10000Wの範囲内の値に設定され、高DC電圧の印加時間は概ね10〜300secの範囲内の値に設定される。
【0058】
これにより、図11及び図12に示したように、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA4に衝突して該ターゲットTA4の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP4が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP4が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP3を覆うように堆積して電極主膜Fsp4が形成される。
【0059】
この第2ステップで肝要な点は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に金属粒子SP4を前記金属粒子SP3を覆うように堆積させて電極主膜Fsp4を形成することにある。ここでは高DC電圧の印加時間を膜形成に適した時間に設定すること等によって、前記金属粒子SP3を覆う電極主膜Fsp4を形成する。因みに、前記電極主膜Fsp4の最大厚さを数値で表すと、0.5〜10μm、好ましくは1〜3μmの範囲内の値である。
【0060】
〈外部電極形成の第3ステップ〉
第2ステップに続けて第3ステップを行うに際しては、ターゲットTA4を外すと共に、部品保持具J2に保持されている各部品本体CBの向きを反転させて再保持させた後に該部品保持具J2を下側試料台電極14の上面に配置する。
【0061】
そして、第1ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界非形成下、或いは、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を正極とし下側試料台電極14を負極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0062】
これにより、第1ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIが部品保治具J2に衝突して該部品保治具J2の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP3が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP3が各部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着する。この第3ステップで肝要な点は前記第1ステップで述べた通りである。
【0063】
〈外部電極形成の第4ステップ〉
第3ステップに続けて第4ステップを行うに際しては、ターゲットTA4を上側ターゲット電極12の下面に配置する。
【0064】
そして、第2ステップと同様の条件で、ガス供給源から第1ポート11aを通じてチャンバー11内に不活性ガスを導入し、且つ、真空ポンプにより第2ポート11bを通じてチャンバー11内の真空度を調節した状態で、磁界形成下において、上側ターゲット電極12を負極とし下側試料台電極14を正極としてDC電源15から両電極12及び14に高DC電圧を所定時間印加する。
【0065】
これにより、第2ステップと同様に、不活性ガスがプラズマ化し、正イオンIIがターゲットTA4に衝突して該ターゲットTA4の表面から金属粒子(原子や分子を指す)SP4が弾き飛ばされ、弾き飛ばされた金属粒子SP4が各部品本体CBの反対側の外部電極形成部分CBaの表面に前記金属粒子SP3を覆うように堆積して電極主膜Fsp4が形成される。この第4ステップで肝要な点は前記第2ステップで述べた通りである。
【0066】
〈部品本体に外部電極が形成された電子部品〉
図13は前記第1ステップ〜第4ステップを経て部品本体CBの両端部に外部電極E2が形成された電子部品、例えばチップコンデンサやチップインダクタやチップレジスタや圧電チップ等の電子部品を示す。ここでの外部電極E2は、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP3と、外部電極形成部分CBaの表面に該金属粒子SP3を覆うように形成された電極主膜Fsp4とから成る。
【0067】
〈電子部品及びその製造方法によって得られる効果〉
図10から分かるように、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面には金属粒子SP3が散乱状態で付着しているため、該外部電極形成部分CBaの表面において金属粒子SP3が存在する箇所が凸となり、且つ、存在しない箇所(外部電極形成部分CBaの表面が露出する箇所)が凹となる。また、図12から分かるように、電極主膜Fsp4は散乱状態で付着した金属粒子SP3を覆うように外部電極形成部分CBaの表面に形成されているため、該電極主膜Fsp4には前記凹に入り込んで外部電極形成部分CBaの表面に達する最大厚さ箇所と前記凹に入り込まない厚さの薄い箇所とが混在する。
【0068】
つまり、電極主膜Fsp4には、該電極主膜Fsp4を直接平坦な面に形成する場合(図15を参照)に比べて、密着総面積が増加する作用が得られると共に、金属粒子SP3の形状に基づくアンカー作用が得られため、該電極主膜Fsp4の密着強度向上が図れる。また、外部電極E2の厚さに相当する電極主膜Fsp4の最大厚さを金属粒子SP3を覆える最小値に設定しても前記密着強度向上が図れるため、電極主膜Fsp4の最大厚さを低減することに依る外部電極E2の厚さ低減が図れる。
【0069】
要するに、前記電子部品によれば、電極下地膜を有しない前記外部電極構造を採用することによって、外部電極E2の厚さ低減及び密着強度向上を効果的に図ることができるし、前記製造方法によれば、前記効果が得られる電子部品を的確に製造することができる。
【0070】
〈効果の検証〉
前記効果、特に密着強度向上の検証に際しては、検証品2-1〜2-3(図13を参照)と比較品(図15を参照)とを5個ずつ作製して、各々に密着強度試験を実施してその結果を確認した。
【0071】
検証品2-1〜2-3は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E2を形成したものであって、各々の外部電極E2を、
〔検証品2-1〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :50sccm
・チャンバー11の真空度 :5Pa
・DC電力 :200W
・DC電力の印加時間 :60sec
・部品保治具J2 :鉄
・金属粒子SP3の表面被覆率:50%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :100sccm
・チャンバー11の真空度 :3Pa
・DC電力 :100W
・DC電力の印加時間 :180sec
・ターゲットTA4 :銅
・電極主膜Fsp4の最大厚さ :1μm
〔検証品2-2〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :200sccm
・チャンバー11の真空度 :20Pa
・DC電力 :50W
・DC電力の印加時間 :120sec
・部品保治具J2 :鉄
・金属粒子SP3の表面被覆率:60%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品2-1と同じ
〔検証品2-3〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
・不活性ガス :アルゴン
・不活性ガスの導入量 :50sccm
・チャンバー11の真空度 :40Pa
・DC電力 :50W
・DC電力の印加時間 :240sec
・部品保治具J2 :鉄
・金属粒子SP3の表面被覆率:50%
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品2-1と同じ
の条件下で前記第1ステップ〜第4ステップに準じて形成した。
【0072】
一方、比較品は、部品本体CBとして0603サイズのチップコンデンサの部品本体(チタン酸バリウムを主材とするもの)に外部電極E2’を形成したものであって、該外部電極E2’を、
〔比較品〕
(第1ステップ及び第3ステップの条件)
第1ステップ及び第3ステップは実施せず
(第2ステップ及び第4ステップの条件)
検証品2-1と同じ
にて前記第2ステップ及び第4ステップのみに準じて形成した。図15から分かるように、比較品の外部電極E2’は、検証品2-1〜2-3(図13を参照)のような「外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP3」を有せず、電極主膜Fsp4のみから成っている。
【0073】
密着強度試験の方法は、図7を用いて先に説明した試験方法と同じであるため、その説明を省略する。図14から分かるように、検証品2-1〜2-3の電極主膜Fsp4の最大厚さが比較品の電極主膜Fsp4の厚さと同じであっても、検証品2-1の外部電極E2の密着強度の平均値(約0.92kgf/mm2)と、検証品2-2の外部電極E2の密着強度の平均値(約1.06kgf/mm2)と、検証品2-3の外部電極E2の密着強度の平均値(約1.0kgf/mm2)は、何れも、比較品の外部電極E2’の密着強度の平均値(約0.73kgf/mm2)に比べて高く、密着強度向上が図れていることが確認できた。
《他の実施形態》
(1)前記第1実施形態及び第2実施形態では、部品本体CBの両端部に外部電極E1またはE2を形成した電子部品を示したが、外部電極形成部分CBaは部品本体CBの端部に限定されないし、端部以外の表面箇所に外部電極E1またはE2と同等の外部電極を形成した場合でも前記同様の効果を得ることができる。
【0074】
(2)前記第1実施形態及び第2実施形態では、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に散乱状態で付着した金属粒子SP1またはSP3と、部品本体CBの外部電極形成部分CBaの表面に該金属粒子SP1またはSP3を覆うように形成された電極主膜Fsp2またはFsp4とから成る外部電極E1及びE2を有する電子部品を示したが、電極主膜Fsp2またはFsp4の表面に半田付け用の第2の電極主膜、例えばスズから成る電極主膜を、電極主膜Fsp2またはFsp4と同様のスパッタリング法によって形成したものを外部電極としても良い。この場合でも、外部電極の第2の電極主膜を除く部分に関しては前記同様の効果を得ることができる。
【0075】
(3)前記第1実施形態及び第2実施形態では、上側にターゲット電極12が設けられ下側に試料台電極14が設けられたDCマグネトロン方式のスパッタ装置を示したが、試料台電極14が上側に設けられ下側にターゲット電極12が設けられたDCマグネトロン方式のスパッタ装置を用いても前記同様の外部電極を形成できる。
【0076】
(4)前記第1実施形態及び第2実施形態では、DCマグネトロン方式のスパッタ装置を用いて外部電極を形成した電子部品を示したが、マグネトロン方式以外の方式、例えば2極方式、3極方式、4極方式、ECR(電子サイクロトロン共鳴)方式、イオンビーム方式等を利用したスパッタ装置であっても前記同様の外部電極を形成できるし、前記方式においてRF電源を用いたスパッタ装置であっても前記同様の外部電極を形成できる。
【符号の説明】
【0077】
10…スパッタ装置、11…チャンバー、12…上側ターゲット電極、13…磁石、14…下側試料台電極、TA1,TA2,TA4…ターゲット、J1,J2…部品保治具、CB…部品本体、CBa…外部電極形成部分、SP1,SP3…金属粒子、Fsp2,Fsp4…電極主膜、E1,E2…外部電極。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品本体の表面に外部電極を有する電子部品であって、
前記外部電極は、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に散乱状態で付着した金属粒子と、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように形成された電極主膜とから成る、
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記部品本体はセラミックスを主材とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記金属粒子は鉄または鉄を主成分とする合金の粒子であり、前記電極主膜は銅またはニッケルである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
部品本体の表面に外部電極を形成する工程を備えた電子部品の製造方法であって、
前記外部電極形成工程は、(1)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に金属粒子を散乱状態で付着させるステップと、(2)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように電極主膜を形成するステップとを含む、
ことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記部品本体はセラミックスを主材とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記金属粒子は鉄または鉄を主成分とする合金の粒子であり、前記電極主膜は銅またはニッケルである、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の電子部品の製造方法。
【請求項1】
部品本体の表面に外部電極を有する電子部品であって、
前記外部電極は、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に散乱状態で付着した金属粒子と、前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように形成された電極主膜とから成る、
ことを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記部品本体はセラミックスを主材とする、
ことを特徴とする請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記金属粒子は鉄または鉄を主成分とする合金の粒子であり、前記電極主膜は銅またはニッケルである、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
部品本体の表面に外部電極を形成する工程を備えた電子部品の製造方法であって、
前記外部電極形成工程は、(1)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に金属粒子を散乱状態で付着させるステップと、(2)スパッタリング法によって前記部品本体の外部電極形成部分の表面に前記金属粒子を覆うように電極主膜を形成するステップとを含む、
ことを特徴とする電子部品の製造方法。
【請求項5】
前記部品本体はセラミックスを主材とする、
ことを特徴とする請求項4に記載の電子部品の製造方法。
【請求項6】
前記金属粒子は鉄または鉄を主成分とする合金の粒子であり、前記電極主膜は銅またはニッケルである、
ことを特徴とする請求項4または5に記載の電子部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−45891(P2013−45891A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−182692(P2011−182692)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000204284)太陽誘電株式会社 (964)
【Fターム(参考)】
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