電子部品実装品、プリント基板及びその製造方法
【課題】電子部品が異常発熱により壊れることを防ぐ電子部品実装品、プリント基板及びその製造方法を提供する。
【解決手段】プリント基板に電子部品が実装された電子部品実装品であって、他の部分からの電流を電子部品に伝える入力配線部と、電子部品からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、電子部品の下を通り、入力配線部と出力配線部と結ぶように、プリント基板に設けられた溝である溝部と、を有し、溝部には、入力配線部と出力配線部とが溝部において電気的に接続しないように、半田が挿入されている。
【解決手段】プリント基板に電子部品が実装された電子部品実装品であって、他の部分からの電流を電子部品に伝える入力配線部と、電子部品からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、電子部品の下を通り、入力配線部と出力配線部と結ぶように、プリント基板に設けられた溝である溝部と、を有し、溝部には、入力配線部と出力配線部とが溝部において電気的に接続しないように、半田が挿入されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路に使用される電子部品実装品、プリント基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気製品の電子回路は、例えば、配線パターンがプリントされたプリント基板に電子部品を実装することにより製造される。実装される電子部品の中には、発熱の大きな電子部品がある。このような電子部品は、発熱による故障を防ぐために、発生した熱を逃がす工夫を行う必要がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、電子部品であるLSI(Large Scale Integrated circuit)から発生する熱を効率良く放熱する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−314858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された方法は通常時にLSIから発生した熱を放熱する方法である。しかしながら、電子部品は、異常な発熱することがある。特許文献1で開示されたような通常時の放熱方法では、この異常時に発生した熱を放熱することはできない。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電子部品が異常発熱により壊れることを防ぐ電子部品実装品、プリント基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明における電子部品実装品は、プリント基板に電子部品が実装された電子部品実装品であって、他の部分からの電流を前記電子部品に伝える入力配線部と、前記電子部品からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記電子部品の下を通り、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶように、前記プリント基板に設けられた溝である溝部と、を有し、前記溝部には、前記入力配線部と前記出力配線部とが前記溝部において電気的に接続しないように、半田が挿入されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明におけるプリント基板は、電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有し、前記溝部には、半田が挿入されており、前記半田には、前記入力配線部と前記出力配線部とが前記半田により電気的に接続しないように、間仕切りが挿入されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明における電子部品実装品製造方法は、電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、前記入れられた半田を溶融する工程と、前記電子部品のリード配線を前記スルーホール部に挿入し、前記リード配線と前記スルーホールとを半田付けする工程と、前記溝部で溶融した半田が冷却して固まった後に、前記間仕切りを取り除く工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明におけるプリント基板製造方法は、電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、前記入れられた半田を溶融する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、電子部品が異常発熱により壊れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を上方から観た図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図3】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を上方から観た図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図6】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図7】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図8】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<電子部品実装品100の構成例>
図1〜図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る電子部品実装品100の構成例について説明する。図1は、電子部品実装品100の構成例を上方から観た図である。図2は、図1に示す電子部品実装品100の断面構成例(図1のX−Xの断面構成例)を示す図である。図3は、図1に示す電子部品実装品100の断面構成例(図1のY−Yの断面構成例)を示す図である。
【0015】
本実施形態に係る電子部品実装品100は、電子部品110と、プリント基板120と、を有して構成される。
【0016】
電子部品110は、発熱する電子部品である。電子部品110は、例えば、コイルやFET(Field Effect Transistor)、ダイオードなどである。電子部品110は、リード配線部111を有している。
【0017】
リード配線部111は、プリント基板120のスルーホール部123に挿入され、このスルーホール部123に半田付けされる。電子部品110は、このように、リード配線部111をスルーホール部123に半田付けすることにより、プリント基板120に実装される。
【0018】
プリント基板120は、入力配線部121と、出力配線部122と、スルーホール部123と、溝部124と、を有して構成される。
【0019】
入力配線部121は、プリント基板120にプリントされた配線であり、他の部分から流れてきた電流をスルーホール部123まで流す。つまり、入力配線部121は、他の部分から流れてきた電流をスルーホール部123に実装された電子部品110まで流す。
【0020】
出力配線部122は、プリント基板120にプリントされた配線であり、スルーホール部123からの電流を他の部分に流す。つまり、出力配線部122は、スルーホール部123に実装された電子部品110からの電流を他の部分に流す。
【0021】
入力配線部122と出力配線部123とは、例えば、銅箔により構成される。
【0022】
スルーホール部123は、電子部品110のリード配線部111が挿入される、プリント基板120の穴である。上述したように、リード配線部111をこのスルーホール部123に挿入し、半田付けすることにより、電子部品110は、プリント基板120に実装される。
【0023】
溝部124は、プリント基板120に設けられた溝である。溝部124は、図1に示すように、電子部品110の下を通り、入力配線部分121と出力配線部分122とを結ぶように設けられている。
【0024】
溝部124の一部分には、半田125が挿入されている。この半田125は、入力配線部121や出力配線部122に接するように挿入されている。
【0025】
通常時、つまり、電子部品110が異常発熱を起こしていないときは、図1、図2に示すように、入力配線部121に接するように挿入された半田125と、出力配線部123に接するように挿入された半田125と、は接してはおらず、入力配線部121と出力配線部122とは、この溝部124において電気的に接続はされてはいない。よって、この状態では、他の部分から入力配線部121に入力される電流のすべてが、電子部品120を通過する。
【0026】
<本実施形態に係る電子部品実装品100の作用・効果>
図4は、電子部品110の異常発熱時での本実施形態に係る電子部品実装品100を上方から観た図であり、図5は、図4のX−Xの断面を示す図である。
【0027】
本実施形態に係る電子部品実装品100では、電子部品110により発生した熱は、プリント基板120を通して半田125に伝わる。また、電子部品110により発生した熱は、電子部品110が放射する熱を通しても半田125に伝わる。
【0028】
電子部品110が異常発熱したときには、この半田125に伝わる熱は、半田125の融点にも達する。よって、電子部品110が異常発熱したときには、溝部124に挿入された半田125が溶融し、半田125が溝部124に全体に行き渡り、入力配線部121と出力配線部122とが、半田125により電気的に接続する。
【0029】
このような状態では、入力配線部121に入力して出力配線部122から出力する大部分の電流は、抵抗値の大きい電子部品110を通過せず、抵抗値の小さい半田125を通過する。半田125は、ほぼ無抵抗である。よって、電子部品110への電流がほぼ遮断される。このため、半田125が溶融した後は、電子部品110の温度がさらに上昇することがなくなる。
【0030】
よって、本実施形態により、電子部品110が壊れるまでの温度に上昇する前に、電子部品120への電流を遮断し、電子部品110の温度上昇を止めることができ、電子部品120が異常発熱により壊れることを防ぐことが可能になる。
【0031】
なお、入力配線部121と出力配線部122の銅箔は、例えば、図6に示すように、溝部124の底に達するまで伸ばすようにすると良い。このようにすることにより、半田125が溶融した際にも、半田125と、入力配線部121と出力配線部122と、が接した状態を保てるようになる。また、例えば、図7のように、半田125が溝部124から盛り上がるようにしても良い。このようにした場合も、同様に、半田125が溶融した際にも、半田125と、入力配線部121と出力配線部122と、が接した状態を保てるようになる。
【0032】
また、溝部124に挿入する半田125は、融点の低い半田にすると良い。このようにすることにより、より低い温度で、半田125が溶融し、大部分の電流が半田125を通過するようになる。よって、より低い温度で、電子部品120への電流が遮断されることになるため、より低い温度で、電子部品120の温度上昇を止めることができ、電子部品120が異常発熱により壊れることをより防げるようになる。
【0033】
また、図1では、3つの溝部124が設けられた例を示しているが、本実施形態に係る電子部品実装品100の溝部124は、1つでも良いし、図1のように複数でも良い。電子部品120が部分的に発熱するような場合には、その発熱する部分の下に溝部124が配置されるようにすると良い。このようにすることにより、より半田125に熱が伝わりやすくなり、電子部品120の温度上昇を早い段階で止めることができるようになり、電子部品120が異常発熱により壊れることをより防げるようになる。電子部品120での電流の流れ方の違いにより、電子部品120の発熱する部分が変化するような場合には、その発熱する部分すべての下に溝部124が配置されるように、図1に示すように、複数の溝部124をプリント基板120に設けるようにすると良い。このようにすることにより、電子部品120の発熱する部分が変化するような場合にも、電子部品120が異常発熱により壊れることを防ぐことが可能になる。
【0034】
また、電子部品110のなかには、図8に示すように、プリント基板120から浮いた状態で実装されるものがある。このような電子部品110であっても、異常発熱時には、リード配線部111を通じて、プリント基板120を熱し、プリント基板120を通じて半田125に熱が伝わる。また、リード配線部111を通じて、リード配線部111を半田付けする半田にも熱が伝わる。このため、リード配線部111を半田付けする半田も溶融し、電子部品110の自重により、図9に示すように、電子部品110がプリント基板120に近づく。よって、異常発熱時には、図8に示すように、プリント基板120から浮いた状態で実装される電子部品120であっても、電子部品120から放射される熱が溝部124の半田125に伝わりやすくなる。
【0035】
<電子部品実装品100の製造方法>
図10〜図13を参照しながら、本発明の実施形態に係る電子部品実装品100の製造方法を説明する。
【0036】
(工程1)まず、図10に示すように、プリント基板110の溝部124に間仕切り126を配置する。間仕切り126は、図10に示すように、1つの溝部124に1つの間仕切り126を配置するようにしても良いし、図11に示すように、1つの溝部124に2つの間仕切り126を配置するようにしても良い。
【0037】
(工程2)次に、図12に示すように、間仕切り126と入力配線部121との間と、間仕切り126と出力配線部122との間のそれぞれに半田125を入れる。
【0038】
(工程3)そして、図13に示すように、半田125を熱し、半田125を溶かし、半田125が、間仕切り126と入力配線部121との間と、間仕切り126と出力配線部122との間と、のそれぞれを満たすようにする。
【0039】
(工程4)そして、図14に示すように、プリント基板120に電子部品110を実装する。つまり、電子部品110のリード配線部111をプリント基板120のスルーホール部123に通し、リード配線部111とスルーホール部123とを半田付けする。
【0040】
(工程5)そして、最後に、半田125が冷却して固まった後に、間仕切り126を取り除くことにより、図1に示すような本実施形態に係る電子部品実装品100が得られる。
【0041】
なお、(工程4)の電子部品110のリード配線111をスルーホール部123に挿入する工程と、(工程2)と、を同時に行い、(工程3)において、半田125を熱するとともに、リード配線部111をスルーホール部123とを半田付けする半田も熱すようにしても良い。
【0042】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【0043】
また、本発明における電子部品実装品は、前記溝部に挿入された半田には、前記入力配線部と接続した半田と、前記出力配線部と接続した半田と、があり、前記入力配線部と接続した半田と前記出力配線部と接続した半田とは接続していないようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
100 電子部品実装品
110 電子部品
111 リード配線部
120 プリント基板
121 入力配線部
122 出力配線部
123 スルーホール部
124 溝部
125 半田
126 間仕切り
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路に使用される電子部品実装品、プリント基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気製品の電子回路は、例えば、配線パターンがプリントされたプリント基板に電子部品を実装することにより製造される。実装される電子部品の中には、発熱の大きな電子部品がある。このような電子部品は、発熱による故障を防ぐために、発生した熱を逃がす工夫を行う必要がある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1では、電子部品であるLSI(Large Scale Integrated circuit)から発生する熱を効率良く放熱する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭63−314858号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された方法は通常時にLSIから発生した熱を放熱する方法である。しかしながら、電子部品は、異常な発熱することがある。特許文献1で開示されたような通常時の放熱方法では、この異常時に発生した熱を放熱することはできない。
【0006】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電子部品が異常発熱により壊れることを防ぐ電子部品実装品、プリント基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明における電子部品実装品は、プリント基板に電子部品が実装された電子部品実装品であって、他の部分からの電流を前記電子部品に伝える入力配線部と、前記電子部品からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記電子部品の下を通り、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶように、前記プリント基板に設けられた溝である溝部と、を有し、前記溝部には、前記入力配線部と前記出力配線部とが前記溝部において電気的に接続しないように、半田が挿入されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明におけるプリント基板は、電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有し、前記溝部には、半田が挿入されており、前記半田には、前記入力配線部と前記出力配線部とが前記半田により電気的に接続しないように、間仕切りが挿入されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明における電子部品実装品製造方法は、電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、前記入れられた半田を溶融する工程と、前記電子部品のリード配線を前記スルーホール部に挿入し、前記リード配線と前記スルーホールとを半田付けする工程と、前記溝部で溶融した半田が冷却して固まった後に、前記間仕切りを取り除く工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明におけるプリント基板製造方法は、電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、前記入れられた半田を溶融する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、電子部品が異常発熱により壊れることを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を上方から観た図である。
【図2】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図3】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図4】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を上方から観た図である。
【図5】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図6】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図7】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の断面構成例である。
【図8】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る電子部品実装品の構成例を示す図である。
【図10】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図11】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図12】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図13】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【図14】本発明の実施形態に係る電子部品実装品を製造する工程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
<電子部品実装品100の構成例>
図1〜図3を参照しながら、本発明の実施形態に係る電子部品実装品100の構成例について説明する。図1は、電子部品実装品100の構成例を上方から観た図である。図2は、図1に示す電子部品実装品100の断面構成例(図1のX−Xの断面構成例)を示す図である。図3は、図1に示す電子部品実装品100の断面構成例(図1のY−Yの断面構成例)を示す図である。
【0015】
本実施形態に係る電子部品実装品100は、電子部品110と、プリント基板120と、を有して構成される。
【0016】
電子部品110は、発熱する電子部品である。電子部品110は、例えば、コイルやFET(Field Effect Transistor)、ダイオードなどである。電子部品110は、リード配線部111を有している。
【0017】
リード配線部111は、プリント基板120のスルーホール部123に挿入され、このスルーホール部123に半田付けされる。電子部品110は、このように、リード配線部111をスルーホール部123に半田付けすることにより、プリント基板120に実装される。
【0018】
プリント基板120は、入力配線部121と、出力配線部122と、スルーホール部123と、溝部124と、を有して構成される。
【0019】
入力配線部121は、プリント基板120にプリントされた配線であり、他の部分から流れてきた電流をスルーホール部123まで流す。つまり、入力配線部121は、他の部分から流れてきた電流をスルーホール部123に実装された電子部品110まで流す。
【0020】
出力配線部122は、プリント基板120にプリントされた配線であり、スルーホール部123からの電流を他の部分に流す。つまり、出力配線部122は、スルーホール部123に実装された電子部品110からの電流を他の部分に流す。
【0021】
入力配線部122と出力配線部123とは、例えば、銅箔により構成される。
【0022】
スルーホール部123は、電子部品110のリード配線部111が挿入される、プリント基板120の穴である。上述したように、リード配線部111をこのスルーホール部123に挿入し、半田付けすることにより、電子部品110は、プリント基板120に実装される。
【0023】
溝部124は、プリント基板120に設けられた溝である。溝部124は、図1に示すように、電子部品110の下を通り、入力配線部分121と出力配線部分122とを結ぶように設けられている。
【0024】
溝部124の一部分には、半田125が挿入されている。この半田125は、入力配線部121や出力配線部122に接するように挿入されている。
【0025】
通常時、つまり、電子部品110が異常発熱を起こしていないときは、図1、図2に示すように、入力配線部121に接するように挿入された半田125と、出力配線部123に接するように挿入された半田125と、は接してはおらず、入力配線部121と出力配線部122とは、この溝部124において電気的に接続はされてはいない。よって、この状態では、他の部分から入力配線部121に入力される電流のすべてが、電子部品120を通過する。
【0026】
<本実施形態に係る電子部品実装品100の作用・効果>
図4は、電子部品110の異常発熱時での本実施形態に係る電子部品実装品100を上方から観た図であり、図5は、図4のX−Xの断面を示す図である。
【0027】
本実施形態に係る電子部品実装品100では、電子部品110により発生した熱は、プリント基板120を通して半田125に伝わる。また、電子部品110により発生した熱は、電子部品110が放射する熱を通しても半田125に伝わる。
【0028】
電子部品110が異常発熱したときには、この半田125に伝わる熱は、半田125の融点にも達する。よって、電子部品110が異常発熱したときには、溝部124に挿入された半田125が溶融し、半田125が溝部124に全体に行き渡り、入力配線部121と出力配線部122とが、半田125により電気的に接続する。
【0029】
このような状態では、入力配線部121に入力して出力配線部122から出力する大部分の電流は、抵抗値の大きい電子部品110を通過せず、抵抗値の小さい半田125を通過する。半田125は、ほぼ無抵抗である。よって、電子部品110への電流がほぼ遮断される。このため、半田125が溶融した後は、電子部品110の温度がさらに上昇することがなくなる。
【0030】
よって、本実施形態により、電子部品110が壊れるまでの温度に上昇する前に、電子部品120への電流を遮断し、電子部品110の温度上昇を止めることができ、電子部品120が異常発熱により壊れることを防ぐことが可能になる。
【0031】
なお、入力配線部121と出力配線部122の銅箔は、例えば、図6に示すように、溝部124の底に達するまで伸ばすようにすると良い。このようにすることにより、半田125が溶融した際にも、半田125と、入力配線部121と出力配線部122と、が接した状態を保てるようになる。また、例えば、図7のように、半田125が溝部124から盛り上がるようにしても良い。このようにした場合も、同様に、半田125が溶融した際にも、半田125と、入力配線部121と出力配線部122と、が接した状態を保てるようになる。
【0032】
また、溝部124に挿入する半田125は、融点の低い半田にすると良い。このようにすることにより、より低い温度で、半田125が溶融し、大部分の電流が半田125を通過するようになる。よって、より低い温度で、電子部品120への電流が遮断されることになるため、より低い温度で、電子部品120の温度上昇を止めることができ、電子部品120が異常発熱により壊れることをより防げるようになる。
【0033】
また、図1では、3つの溝部124が設けられた例を示しているが、本実施形態に係る電子部品実装品100の溝部124は、1つでも良いし、図1のように複数でも良い。電子部品120が部分的に発熱するような場合には、その発熱する部分の下に溝部124が配置されるようにすると良い。このようにすることにより、より半田125に熱が伝わりやすくなり、電子部品120の温度上昇を早い段階で止めることができるようになり、電子部品120が異常発熱により壊れることをより防げるようになる。電子部品120での電流の流れ方の違いにより、電子部品120の発熱する部分が変化するような場合には、その発熱する部分すべての下に溝部124が配置されるように、図1に示すように、複数の溝部124をプリント基板120に設けるようにすると良い。このようにすることにより、電子部品120の発熱する部分が変化するような場合にも、電子部品120が異常発熱により壊れることを防ぐことが可能になる。
【0034】
また、電子部品110のなかには、図8に示すように、プリント基板120から浮いた状態で実装されるものがある。このような電子部品110であっても、異常発熱時には、リード配線部111を通じて、プリント基板120を熱し、プリント基板120を通じて半田125に熱が伝わる。また、リード配線部111を通じて、リード配線部111を半田付けする半田にも熱が伝わる。このため、リード配線部111を半田付けする半田も溶融し、電子部品110の自重により、図9に示すように、電子部品110がプリント基板120に近づく。よって、異常発熱時には、図8に示すように、プリント基板120から浮いた状態で実装される電子部品120であっても、電子部品120から放射される熱が溝部124の半田125に伝わりやすくなる。
【0035】
<電子部品実装品100の製造方法>
図10〜図13を参照しながら、本発明の実施形態に係る電子部品実装品100の製造方法を説明する。
【0036】
(工程1)まず、図10に示すように、プリント基板110の溝部124に間仕切り126を配置する。間仕切り126は、図10に示すように、1つの溝部124に1つの間仕切り126を配置するようにしても良いし、図11に示すように、1つの溝部124に2つの間仕切り126を配置するようにしても良い。
【0037】
(工程2)次に、図12に示すように、間仕切り126と入力配線部121との間と、間仕切り126と出力配線部122との間のそれぞれに半田125を入れる。
【0038】
(工程3)そして、図13に示すように、半田125を熱し、半田125を溶かし、半田125が、間仕切り126と入力配線部121との間と、間仕切り126と出力配線部122との間と、のそれぞれを満たすようにする。
【0039】
(工程4)そして、図14に示すように、プリント基板120に電子部品110を実装する。つまり、電子部品110のリード配線部111をプリント基板120のスルーホール部123に通し、リード配線部111とスルーホール部123とを半田付けする。
【0040】
(工程5)そして、最後に、半田125が冷却して固まった後に、間仕切り126を取り除くことにより、図1に示すような本実施形態に係る電子部品実装品100が得られる。
【0041】
なお、(工程4)の電子部品110のリード配線111をスルーホール部123に挿入する工程と、(工程2)と、を同時に行い、(工程3)において、半田125を熱するとともに、リード配線部111をスルーホール部123とを半田付けする半田も熱すようにしても良い。
【0042】
以上、本発明の好適な実施の形態により本発明を説明した。ここでは特定の具体例を示して本発明を説明したが、特許請求の範囲に定義された本発明の広範囲な趣旨および範囲から逸脱することなく、これら具体例に様々な修正および変更が可能である。
【0043】
また、本発明における電子部品実装品は、前記溝部に挿入された半田には、前記入力配線部と接続した半田と、前記出力配線部と接続した半田と、があり、前記入力配線部と接続した半田と前記出力配線部と接続した半田とは接続していないようにしても良い。
【符号の説明】
【0044】
100 電子部品実装品
110 電子部品
111 リード配線部
120 プリント基板
121 入力配線部
122 出力配線部
123 スルーホール部
124 溝部
125 半田
126 間仕切り
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板に電子部品が実装された電子部品実装品であって、
他の部分からの電流を前記電子部品に伝える入力配線部と、
前記電子部品からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、
前記電子部品の下を通り、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶように、前記プリント基板に設けられた溝である溝部と、を有し、
前記溝部には、
前記入力配線部と前記出力配線部とが前記溝部において電気的に接続しないように、半田が挿入されていることを特徴とする電子部品実装品。
【請求項2】
前記溝部に挿入された半田には、
前記入力配線部と接続した半田と、前記出力配線部と接続した半田と、があり、
前記入力配線部と接続した半田と前記出力配線部と接続した半田とは接続していないことを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装品。
【請求項3】
電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、
他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、
前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、
前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有し、
前記溝部には、
半田が挿入されており、
前記半田には、前記入力配線部と前記出力配線部とが前記半田により電気的に接続しないように、間仕切りが挿入されていることを特徴とするプリント基板。
【請求項4】
電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、
前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、
前記入れられた半田を溶融する工程と、
前記電子部品のリード配線を前記スルーホール部に挿入し、前記リード配線と前記スルーホールとを半田付けする工程と、
前記溝部で溶融した半田が冷却して固まった後に、前記間仕切りを取り除く工程と、を有することを特徴とするプリント基板製造方法。
【請求項5】
電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、
前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、
前記入れられた半田を溶融する工程と、を有することを特徴とするプリント基板製造方法。
【請求項1】
プリント基板に電子部品が実装された電子部品実装品であって、
他の部分からの電流を前記電子部品に伝える入力配線部と、
前記電子部品からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、
前記電子部品の下を通り、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶように、前記プリント基板に設けられた溝である溝部と、を有し、
前記溝部には、
前記入力配線部と前記出力配線部とが前記溝部において電気的に接続しないように、半田が挿入されていることを特徴とする電子部品実装品。
【請求項2】
前記溝部に挿入された半田には、
前記入力配線部と接続した半田と、前記出力配線部と接続した半田と、があり、
前記入力配線部と接続した半田と前記出力配線部と接続した半田とは接続していないことを特徴とする請求項1に記載の電子部品実装品。
【請求項3】
電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、
他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、
前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、
前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有し、
前記溝部には、
半田が挿入されており、
前記半田には、前記入力配線部と前記出力配線部とが前記半田により電気的に接続しないように、間仕切りが挿入されていることを特徴とするプリント基板。
【請求項4】
電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、
前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、
前記入れられた半田を溶融する工程と、
前記電子部品のリード配線を前記スルーホール部に挿入し、前記リード配線と前記スルーホールとを半田付けする工程と、
前記溝部で溶融した半田が冷却して固まった後に、前記間仕切りを取り除く工程と、を有することを特徴とするプリント基板製造方法。
【請求項5】
電子部品のリード配線が挿入されるスルーホール部と、他の部分からの電流を前記スルーホール部に伝える入力配線部と、前記スルーホール部からの電流を他の部分に伝える出力配線部と、前記入力配線部と前記出力配線部と結ぶ溝である溝部と、を有するプリント基板の前記溝部に間仕切りを配置する工程と、
前記配置された間仕切りと前記入力配線部との間と、前記配置された間仕切りと前記出力配線部との間と、に半田を入れる工程と、
前記入れられた半田を溶融する工程と、を有することを特徴とするプリント基板製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2011−222565(P2011−222565A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86481(P2010−86481)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(302069930)NECパーソナルプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】
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