電子部品実装機
【課題】装置交換が容易で、電子部品の装着精度が高い電子部品実装機を提供することを課題とする。
【解決手段】電子部品実装機1は、下段収容部20と、下段収容部20の上方に配置される上段収容部21と、下段収容部20と上段収容部21との間に介在する中段補強部22と、を有するベース2と、下段収容部20に交換可能に収容、固定される下段モジュール3と、上段収容部21に交換可能に収容、固定され、ロボット部40と、ロボット部用アクチュエータ41、42と、装着ヘッド43と、を有する上段モジュール4と、を備える。
【解決手段】電子部品実装機1は、下段収容部20と、下段収容部20の上方に配置される上段収容部21と、下段収容部20と上段収容部21との間に介在する中段補強部22と、を有するベース2と、下段収容部20に交換可能に収容、固定される下段モジュール3と、上段収容部21に交換可能に収容、固定され、ロボット部40と、ロボット部用アクチュエータ41、42と、装着ヘッド43と、を有する上段モジュール4と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に装着する電子部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
図11に、従来の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図を示す。図11に示すように、生産ライン106には、複数の電子部品実装機105が一列に並んで配置されている。電子部品実装機105は、ベース101と、モジュール102と、を備えている。モジュール102は、ベース101に対して交換可能である。モジュール102の交換は、台車103を用いて行われる。ベース101は、制御部を備えている。モジュール102は、ロボット部、装着ヘッド、搬送部、バックアップ部などを備えている。
【0003】
複数の電子部品実装機105は、一枚の基板に、段階的に電子部品を装着する。任意の電子部品実装機105において、電子部品を基板に装着する場合は、まず、搬送部により、基板を搬入する。次に、バックアップ部により、基板を固定する。続いて、ロボット部、装着ヘッドを動かすことにより、電子部品を基板の所定の座標に装着する。所定数の電子部品を基板に装着したら、バックアップ部により、基板の固定を解除する。最後に、搬送部により、基板を搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−186500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子部品実装機105の場合、モジュール102内の一部の装置を交換する場合であっても、モジュール102全体を交換する必要があった。例えば、単一の基板搬送路を有するシングルレーンタイプの搬送部を、二つの基板搬送路を有するダブルレーンタイプの搬送部に、交換する場合、搬送部のみならず、モジュール102全体を交換する必要があった。また、ボールねじにより駆動されるロボット部を、リニアモータにより駆動されるロボット部に、交換する場合、ロボット部のみならず、モジュール102全体を交換する必要があった。このように、従来の電子部品実装機105によると、モジュール102単位でしか装置の交換をすることができず、モジュール102より小さい単位での装置交換ができなかった。
【0006】
また、従来の電子部品実装機105の場合、ベース101の上面に、モジュール102の下面が固定されていた。すなわち、モジュール102の固定面は、一面だけだった。このため、例えば基板に電子部品を装着する際のロボット部、装着ヘッドの動作により、モジュール102が振動する場合があった。したがって、基板の座標に対する電子部品の装着精度が低下していた。
【0007】
なお、特許文献1には、上下方向に積み重ねられた二台の部品搭載機を備える部品実装装置が開示されている。基板は、二台の部品搭載機間をエレベータ機構により上下方向に搬送される。同文献によると、生産ラインを短くすることができる。同文献には、部品搭載機の一部の装置の交換に関する記載はない。また、同文献には、電子部品の装着精度に関する記載はない。
【0008】
本発明の電子部品実装機は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、装置交換が容易で、電子部品の装着精度が高い電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、下段収容部と、該下段収容部の上方に配置される上段収容部と、該下段収容部と該上段収容部との間に介在する中段補強部と、を有するベースと、該下段収容部に交換可能に収容、固定される下段モジュールと、該上段収容部に交換可能に収容、固定され、ロボット部と、該ロボット部を駆動するロボット部用アクチュエータと、該ロボット部に配置され電子部品を基板に装着する装着ヘッドと、を有する上段モジュールと、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の電子部品実装機は、ベースと、下段モジュールと、上段モジュールと、を備えている。ベースは、上段収容部と、下段収容部と、中段補強部と、を備えている。下段モジュールは、下段収容部に、交換可能に収容、固定されている。上段モジュールは、上段収容部に、交換可能に収容、固定されている。
【0011】
本発明の電子部品実装機によると、下段モジュール、上段モジュール単位で、装置交換を行うことができる。このため、装置交換が容易である。また、本発明の電子部品実装機は、中段補強部を備えている。このため、電子部品実装機が振動しにくい。したがって、電子部品の装着精度が高い。
【0012】
また、下段モジュールは、下段収容部に収容された状態で、ベースに固定されている。同様に、上段モジュールは、上段収容部に収容された状態で、ベースに固定されている。すなわち、下段モジュールおよび上段モジュールは、ベースと、疑似的に一体化されている。このため、見かけ上のマス(mass)が大きくなる。したがって、この点においても、電子部品実装機が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高い。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記上段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部を有し、前記下段モジュールは、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する構成とする方がよい。
【0014】
上段モジュールは、ロボット部と、ロボット部用アクチュエータと、装着ヘッドと、ロボット部用制御部と、を備えている。つまり、電子部品を基板に装着するための装着機能を有する装置一式が、上段モジュールに配置されている。
【0015】
下段モジュールは、搬送部と、搬送部用アクチュエータと、搬送部用制御部と、を備えている。つまり、基板を搬送するための搬送機能を有する装置一式が、下段モジュールに配置されている。
【0016】
本構成によると、共通する機能を有する複数の装置が、単一のモジュール(上段モジュールまたは下段モジュール)に、まとめて配置されている。装置交換は、機能単位で行われる場合が多い。この点、本構成によると、例えば装着機能を向上させたい場合は、下段モジュールは交換せずに、上段モジュールだけを交換すればよい。また、例えば搬送機能を向上させたい場合は、上段モジュールは交換せずに、下段モジュールだけを交換すればよい。このように、本構成によると、機能単位で装置交換を行うことができる。
【0017】
(3)好ましくは、上記(1)の構成において、前記中段補強部には、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、が搭載され、前記下段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部と、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する構成とする方がよい。
【0018】
下段モジュールは、ロボット部用制御部と、搬送部用制御部と、を備えている。つまり、制御機能を有する装置一式が、下段モジュールに配置されている。中段補強部には、搬送部と、搬送部用アクチュエータと、が搭載されている。つまり、搬送機能を有する装置が、中段補強部に搭載されている。
【0019】
本構成によると、中段補強部を介して、上段モジュールと下段モジュールとの間で、電子部品を基板に装着する必要がない。このため、中段補強部の強度を上げやすい。したがって、電子部品実装機が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高い。
【0020】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記ベースに配置される冷却部を備える構成とする方がよい。本構成によると、上段モジュールおよび下段モジュールを収容するベースに、冷却部が配置されている。このため、上段モジュールおよび下段モジュールを、容易に冷却することができる。したがって、熱により電子部品の装着精度が低下するのを、抑制することができる。
【0021】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記冷却部は、前記上段収容部に近接して配置される構成とする方がよい。上段収容部には、上段モジュールが収容されている。上段モジュールは、ロボット部用アクチュエータを備えている。ロボット部用アクチュエータは、他の装置と比較して発熱しやすい。この点、本構成によると、冷却部が上段収容部に近接して配置されている。このため、発熱しやすいロボット部用アクチュエータを、重点的に冷却することができる。
【0022】
(5−1)好ましくは、上記(5)の構成において、前記ロボット部用アクチュエータは、リニアモータである構成とする方がよい。上段モジュールにリニアモータを配置すると、電子部品の装着作業を高速化、高精度化することができる。一方、リニアモータは、特に発熱しやすい。この点、本構成によると、リニアモータを重点的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、装置交換が容易で、電子部品の装着精度が高い電子部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図である。
【図2】同電子部品実装機の透過斜視図である。
【図3】同電子部品実装機の分解斜視図である。
【図4】同電子部品実装機のベースの透過斜視図である。
【図5】同電子部品実装機の下段モジュールの透過斜視図である。
【図6】同下段モジュールのブロック図である。
【図7】同電子部品実装機の上段モジュールの透過斜視図である。
【図8】同上段モジュールのブロック図である。
【図9】図4の枠IX内の透過拡大図である。
【図10】(a)は下段下面クランプ装置の解放状態における断面図である。(b)は下段下面クランプ装置の係合状態における断面図である。
【図11】従来の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明する。
【0026】
<電子部品実装機の構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。以降の図において、左側は、回路基板の搬送方向上流側に相当する。右側は、回路基板の搬送方向下流側に相当する。
【0027】
図1に、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図を示す。図1に示すように、生産ライン9には、複数の電子部品実装機1が、左右方向に一列に並んで配置されている。
【0028】
図2に、本実施形態の電子部品実装機の透過斜視図を示す。図3に、同電子部品実装機の分解斜視図を示す。図2、図3に示すように、電子部品実装機1は、ベース2と、2個の下段モジュール3と、2個の上段モジュール4と、冷却部5と、を備えている。
【0029】
[ベース2]
図4に、本実施形態の電子部品実装機のベースの透過斜視図を示す。図2〜図4に示すように、ベース2は、ベース本体28と、下段収容部20と、上段収容部21と、中段補強部22と、8個の上段上面クランプ装置23U(図4参照)と、4個の上段側面クランプ装置23M(図4参照)と、2個の上段下面クランプ装置23D(図4参照)と、4個の下段上面クランプ装置24U(図4参照)と、4個の下段側面クランプ装置24M(図4参照)と、8個の下段下面クランプ装置24D(図4参照)と、2個の基板搬送口25と、2対の上段ガイドレール26(図3参照)と、2対の下段ガイドレール27と、を備えている。
【0030】
ベース本体28は、直方体箱状を呈している。下段収容部20は、ベース本体28の下側に配置されている。下段収容部20の内部空間は、上下方向に薄い直方体状を呈している。下段収容部20は、前方に開口している。下段収容部20には、2個の下段モジュール3が左右方向に並んで配置されている。上段収容部21は、ベース本体28の上側に配置されている。上段収容部21の内部空間は、上下方向に薄い直方体状を呈している。上段収容部21は、前方に開口している。上段収容部21には、2個の上段モジュール4が左右方向に並んで配置されている。中段補強部22は、下段収容部20と上段収容部21との間に配置されている。中段補強部22は、長方形枠状を呈している。このため、下段収容部20と上段収容部21とは、上下方向に連通している。
【0031】
8個の上段上面クランプ装置23Uは、ベース本体28の上壁に埋設されている。8個の上段上面クランプ装置23Uは、上段収容部21の上底面に露出している。8個の上段上面クランプ装置23Uは、4個ずつ左右に分かれて配置されている。
【0032】
4個の上段側面クランプ装置23Mは、ベース本体28の左右両壁に埋設されている。4個の上段側面クランプ装置23Mのうち、2個の上段側面クランプ装置23Mは、上段収容部21の左面に露出している。残りの2個の上段側面クランプ装置23Mは、上段収容部21の右面に露出している。
【0033】
2個の上段下面クランプ装置23Dは、中段補強部22の左右両縁に埋設されている。2個の上段下面クランプ装置23Dのうち、一方の上段下面クランプ装置23Dは、上段収容部21の左下に露出している。他方の上段下面クランプ装置23Dは、上段収容部21の右下に露出している。
【0034】
4個の下段上面クランプ装置24Uは、中段補強部22の前後両縁に埋設されている。4個の下段上面クランプ装置24Uのうち、2個の下段上面クランプ装置24Uは、下段収容部20の左前、右前に露出している。残りの2個の下段上面クランプ装置24Uは、下段収容部20の左後、右後に露出している。
【0035】
4個の下段側面クランプ装置24Mは、ベース本体28の左右両壁に埋設されている。4個の下段側面クランプ装置24Mのうち、2個の下段側面クランプ装置24Mは、下段収容部20の左面に露出している。残りの2個の下段側面クランプ装置24Mは、下段収容部20の右面に露出している。
【0036】
8個の下段下面クランプ装置24Dは、ベース本体28の下壁に埋設されている。8個の下段下面クランプ装置24Dは、下段収容部20の底面に露出している。8個の下段下面クランプ装置24Dは、4個ずつ左右に分かれて配置されている。
【0037】
クランプ装置(上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23D、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24D)の構成は、同一である。クランプ装置の構成については、後で詳しく説明する。
【0038】
2対の上段ガイドレール26は、ベース本体28の上壁下面に配置されている。上段ガイドレール26は、前後方向に延在している。上段ガイドレール26は、上段収容部21に露出している。
【0039】
2対の下段ガイドレール27は、ベース本体28の下壁上面に配置されている。下段ガイドレール27は、前後方向に延在している。下段ガイドレール27は、下段収容部20に露出している。
【0040】
2個の基板搬送口25は、ベース本体28の左右両壁に開設されている。2個の基板搬送口25は、下段収容部20の左右両側に配置されている。
【0041】
[冷却部5]
図2に示すように、冷却部5は、冷却通路50と、供給口51と、排出口52と、を備えている。供給口51、排出口52は、ベース本体28の上壁上面に開設されている。冷却通路50は、ベース本体28の上壁の内部に区画されている。冷却通路50は、供給口51と排出口52とをジグザグに連通している。冷却液は、供給口51を介して、外部から冷却通路50に供給される。また、冷却液は、排出口52を介して、冷却通路50から外部に排出される。
【0042】
[下段モジュール3]
図3に示すように、2個の下段モジュール3は、ベース2の下段収容部20に、前方から交換可能に収容されている。図5に、本実施形態の電子部品実装機の下段モジュールの透過斜視図を示す。図6に、同下段モジュールのブロック図を示す。
【0043】
図5、図6に示すように、下段モジュール3は、モジュール本体39と、搬送部30と、1対のベルトモータ31f、31rと、バックアップ部32と、パーツカメラ34と、搬送部用制御部35と、1対の下段被ガイド溝36と、を備えている。1対のベルトモータ31f、31rは、本発明の「搬送部用アクチュエータ」の概念に含まれる。
【0044】
モジュール本体39は、上方に開口する箱状を呈している。モジュール本体39は、2個の上面被係合孔390Uと、4個の側面被係合孔390Mと、4個の下面被係合孔390Dと、を備えている。
【0045】
2個の上面被係合孔390Uは、モジュール本体39の前後両壁の上面に凹設されている。2個の上面被係合孔390Uには、図4に示す下段上面クランプ装置24Uが係合、離脱可能である。
【0046】
4個の側面被係合孔390Mは、モジュール本体39の左壁左面、右壁右面に、2個ずつ凹設されている。4個の側面被係合孔390Mのうち、2個の側面被係合孔390M(図2に示す左方の下段モジュール3の場合は、左方の2個の側面被係合孔390M。右方の下段モジュール3の場合は、右方の2個の側面被係合孔390M。)には、図4に示す下段側面クランプ装置24Mが係合、離脱可能である。
【0047】
4個の下面被係合孔390Dは、モジュール本体39の下壁下面に凹設されている。4個の下面被係合孔390Dには、図4に示す下段下面クランプ装置24Dが係合、離脱可能である。
【0048】
1対の下段被ガイド溝36は、モジュール本体39の下壁下面に凹設されている。下段被ガイド溝36は、前後方向に延在している。図3、図4に示すように、1対の下段被ガイド溝36は、左右2対の下段ガイドレール27のうち、いずれか一方の1対の下段ガイドレール27に、前後方向に移動可能に係合している。
【0049】
搬送部30は、固定壁300と、第一可動壁301と、第二可動壁302と、1対のガイドレール303と、2対のコンベアベルト304f、304rと、を備えている。1対のガイドレール303は、モジュール本体39の下壁上面に配置されている。ガイドレール303は、前後方向に延在している。
【0050】
固定壁300は、モジュール本体39の下壁上面に立設されている。固定壁300は、左右方向に延在している。固定壁300は、1対のガイドレール303の前方に配置されている。
【0051】
第一可動壁301は、固定壁300の後方に配置されている。第一可動壁301は、左右方向に延在している。第一可動壁301は、1対のガイドレール303に、前後方向に移動可能に係合している。
【0052】
第二可動壁302は、第一可動壁301の後方に配置されている。第二可動壁302は、左右方向に延在している。第二可動壁302は、1対のガイドレール303に、前後方向に移動可能に係合している。
【0053】
1対のコンベアベルト304fのうち、一方は、固定壁300の後面に配置されている。他方は、第一可動壁301の前面に配置されている。1対のコンベアベルト304fには、基板Bfが架設されている。このように、固定壁300と第一可動壁301との間には、基板Bfを搬送する第一レーンが区画されている。第一可動壁301を前後方向に移動させることにより、第一レーンの搬送幅を拡縮することができる。
【0054】
1対のコンベアベルト304rのうち、一方は、第一可動壁301の後面に配置されている。他方は、第二可動壁302の前面に配置されている。1対のコンベアベルト304rには、基板Brが架設されている。このように、第一可動壁301と第二可動壁302との間には、基板Brを搬送する第二レーンが区画されている。第一可動壁301および第二可動壁302のうち、少なくとも一方を、前後方向に移動させることにより、第二レーンの搬送幅を拡縮することができる。
【0055】
1対のベルトモータ31f、31rのうち、ベルトモータ31fは、1対のコンベアベルト304fを左右方向に回転駆動する。つまり、基板Bfを移動させる。ベルトモータ31rは、1対のコンベアベルト304rを左右方向に回転駆動する。つまり、基板Brを移動させる。パーツカメラ34は、固定壁300の前方に、上向きに配置されている。パーツカメラ34の撮像エリアは上方である。
【0056】
バックアップ部32は、1対のZ軸(上下方向に対応)モータ320f、320rと、1対のバックアップテーブル321f、321rと、多数のバックアップピン322と、を備えている。バックアップテーブル321fは、長方形板状を呈している。バックアップテーブル321fは、固定壁300と第一可動壁301との間(つまり第一レーン)に配置されている。多数のバックアップピン322は、バックアップテーブル321fの上面に配置されている。Z軸モータ320fは、バックアップテーブル321fを上下方向に移動可能である。このため、多数のバックアップピン322は、基板Bfを下方から支持可能である。バックアップテーブル321rは、長方形板状を呈している。バックアップテーブル321rは、第一可動壁301と第二可動壁302との間(つまり第二レーン)に配置されている。多数のバックアップピン322は、バックアップテーブル321rの上面に配置されている。Z軸モータ320rは、バックアップテーブル321rを上下方向に移動可能である。このため、多数のバックアップピン322は、基板Brを下方から支持可能である。
【0057】
搬送部用制御部35は、モジュール本体39に配置されている。搬送部用制御部35は、コンピュータ350と、入出力インターフェイス351と、多数の駆動回路352と、を備えている。多数の駆動回路352には、ベルトモータ31f、31r、Z軸モータ320f、320r、パーツカメラ34が接続されている。搬送部用制御部35は、下段モジュール3に配置された装置(搬送部30、バックアップ部32など)を制御している。
【0058】
[上段モジュール4]
図3に示すように、2個の上段モジュール4は、ベース2の上段収容部21に、前方から交換可能に収容されている。図7に、本実施形態の電子部品実装機の上段モジュールの透過斜視図を示す。図8に、同上段モジュールのブロック図を示す。
【0059】
図7、図8に示すように、上段モジュール4は、モジュール本体49と、ロボット部40と、X軸(左右方向に対応)モータ41と、Y軸(前後方向に対応)モータ42と、装着ヘッド43と、吸着ノズル44と、マークカメラ45と、ロボット部用制御部46と、1対の上段被ガイド溝47と、を備えている。X軸モータ41、Y軸モータ42は、本発明の「ロボット部用アクチュエータ」の概念に含まれる。
【0060】
モジュール本体49は、前方および下方に開口する箱状を呈している。モジュール本体49は、4個の上面被係合孔490Uと、4個の側面被係合孔490Mと、2個の下面被係合孔490Dと、を備えている。
【0061】
4個の上面被係合孔490Uは、モジュール本体49の上壁上面に凹設されている。4個の上面被係合孔490Uには、図4に示す上段上面クランプ装置23Uが係合、離脱可能である。
【0062】
4個の側面被係合孔490Mは、モジュール本体49の左壁左面、右壁右面に、2個ずつ凹設されている。4個の側面被係合孔490Mのうち、2個の側面被係合孔490M(図2に示す左方の上段モジュール4の場合は、左方の2個の側面被係合孔490M。右方の上段モジュール4の場合は、右方の2個の側面被係合孔490M。)には、図4に示す上段側面クランプ装置23Mが係合、離脱可能である。
【0063】
2個の下面被係合孔490Dは、モジュール本体49の左右両壁の下面に凹設されている。2個の下面被係合孔490Dのうち、片方の下面被係合孔490D(図2に示す左方の上段モジュール4の場合は、左方の下面被係合孔490D。右方の上段モジュール4の場合は、右方の下面被係合孔490D。)には、図4に示す上段下面クランプ装置23Dが係合、離脱可能である。
【0064】
1対の上段被ガイド溝47は、モジュール本体49の上壁上面に凹設されている。上段被ガイド溝47は、前後方向に延在している。図3に示すように、1対の上段被ガイド溝47は、左右2対の上段ガイドレール26のうち、いずれか一方の1対の上段ガイドレール26に、前後方向に移動可能に係合している。
【0065】
ロボット部40は、X軸スライド400と、Y軸スライド401と、1対のX軸下スライド402と、1対のY軸下スライド403と、を備えている。1対のY軸下スライド403は、モジュール本体49の上壁下面に配置されている。Y軸下スライド403は、前後方向に延在している。Y軸スライド401は、左右方向に長い直方体ブロック状を呈している。Y軸スライド401は、1対のY軸下スライド403に、前後方向に移動可能に係合している。1対のX軸下スライド402は、Y軸スライド401の前面に配置されている。X軸下スライド402は、左右方向に延在している。X軸スライド400は、長方形板状を呈している。X軸スライド400は、1対のX軸下スライド402に、左右方向に移動可能に係合している。
【0066】
装着ヘッド43は、直方体箱状を呈している。装着ヘッド43は、X軸スライド400の前面に取り付けられている。装着ヘッド43は、Z軸モータ430と、θ軸(水平面内における回転方向に対応)モータ431と、を備えている。
【0067】
吸着ノズル44は、装着ヘッド43のホルダ(図略)に、交換可能に取り付けられている。吸着ノズル44には、負圧、正圧が、切替可能に供給される。このため、吸着ノズル44は、電子部品を、吸着、解放可能である。
【0068】
X軸モータ41は、X軸スライド400を、左右方向に駆動する。Y軸モータ42は、Y軸スライド401を、前後方向に駆動する。Z軸モータ430は、吸着ノズル44を、上下方向に駆動する。θ軸モータ431は、吸着ノズル44を、軸周りに回転駆動する。このため、吸着ノズル44は、前後、左右、上下、回転方向に、自在に移動することができる。マークカメラ45は、X軸スライド400に、下向きに配置されている。マークカメラ45の撮像エリアは下方である。
【0069】
ロボット部用制御部46は、モジュール本体49に配置されている。ロボット部用制御部46は、コンピュータ460と、入出力インターフェイス461と、多数の駆動回路462と、を備えている。多数の駆動回路462には、X軸モータ41、Y軸モータ42、Z軸モータ430、θ軸モータ431、マークカメラ45が接続されている。ロボット部用制御部46は、上段モジュール4に配置された装置(ロボット部40、装着ヘッド43、吸着ノズル44など)を制御している。
【0070】
[クランプ装置]
次に、クランプ装置(上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23D、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24D)の構成および動作について説明する。
【0071】
まず、クランプ装置の構成について説明する。クランプ装置の構成は同一である。ここでは、代表して、図4の枠IX内の下段下面クランプ装置24Dの構成について説明する。
【0072】
図9に、図4の枠IX内の透過拡大図を示す。図9に示すように、下段下面クランプ装置24Dは、ベース本体28の下壁に埋設されている。下段下面クランプ装置24Dは、シリンダ揺動軸240Dと、シリンダ241Dと、ピストン242Dと、ピン243Dと、ピン揺動軸244Dと、を備えている。
【0073】
シリンダ揺動軸240Dは、ベース本体28の下壁の下面に配置されている。シリンダ241Dの前端は、シリンダ揺動軸240Dに、揺動可能に取り付けられている。ピストン242Dは、シリンダ241Dの後端から、後方に向かって伸縮可能である。
【0074】
ピン揺動軸244Dは、ベース本体28の下壁の下面に配置されている。ピン243Dの中央部は、ピン揺動軸244Dに、揺動可能に取り付けられている。また、ピン243Dの前端は、ピストン242Dの後端に、揺動可能に取り付けられている。
【0075】
次に、クランプ装置の動作について説明する。図10(a)に、下段下面クランプ装置の解放状態における断面図を示す。図10(b)に、下段下面クランプ装置の係合状態における断面図を示す。
【0076】
図10(a)に示すように、解放状態においては、ピン243Dの後端は、ベース本体28の下壁に開設されたピン挿通孔289の内部に没入している。このため、ピン243Dは、下段モジュール3の下面被係合孔390Dに係合していない。したがって、下段モジュール3は、下段収容部20に出し入れ可能である。
【0077】
図10(a)に示す解放状態から図10(b)に示す係合状態に切り替える場合は、シリンダ241Dから、ピストン242Dを、後方に向かって突出させる。そして、ピン243Dを、ピン揺動軸244Dを中心に、図における反時計回り方向に揺動させる。すなわち、ピン243Dをピン挿通孔289から突出させる。
【0078】
図10(b)に示すように、係合状態においては、ピン243Dの後端は、ベース本体28の下壁に開設されたピン挿通孔289から上方に突出している。このため、ピン243Dは、下段モジュール3の下面被係合孔390Dに係合している。したがって、下段モジュール3は、下段収容部20に固定されている。
【0079】
なお、下段下面クランプ装置24Dのピン243Dと下段モジュール3の下面被係合孔390Dとは、図2に示すように、下段モジュール3の全体が下段収容部20に収容され下段モジュール3の後壁後面が下段収容部20の後壁前面に当接した状態で、位置が合うように設定されている。
【0080】
<電子部品実装機の電子部品実装時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機の電子部品実装時の動きについて説明する。図1に示すように、生産ライン9には、複数の電子部品実装機1が、左右方向に一列に並んで配置されている。複数の電子部品実装機1は、生産ライン9を流れる基板Bf(第一レーン)、Br(第二レーン)に対して、段階的に電子部品を実装する。
【0081】
図6に示すように、基板Bf、Brは、搬送部30により、電子部品実装機1の所定位置に搬入される。搬入された基板Bf、Brは、バックアップ部32により、持ち上げられ、所定の高度に固定される。電子部品実装機1の前方には、部品供給装置(図略)が取り付けられている。図7に示すように、部品供給装置の電子部品は、上段モジュール4の前方開口を介して、吸着ノズル44により取り出される。取り出された電子部品は、図4に示す中段補強部22の枠内空間を通過して、吸着ノズル44により、図6に示す基板Bf、Brの座標に装着される。電子部品装着後の基板Bf、Brは、バックアップ部32により搬送部30まで降ろされ、搬送部30により電子部品実装機1から搬出される。
【0082】
なお、基板Bf、Brの位置ずれは、図7に示すマークカメラ45で基板Bf、Brの基準マーク(図略)を撮像することにより、検査される。電子部品の吸着状態は、図5に示すパーツカメラ34で吸着ノズル44に吸着された電子部品を撮像することにより、検査される。
【0083】
<電子部品実装機のモジュール交換時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機のモジュール交換時の動きについて説明する。下段モジュール3交換時の動きと、上段モジュール4交換時の動きと、は同一である。ここでは、代表して、下段モジュール3交換時の動きについて説明する。
【0084】
下段モジュール3を交換する場合は、まず、図4に示す下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24Dと、図5に示す上面被係合孔390U、側面被係合孔390M、下面被係合孔390Dと、の係合を解除する。すなわち、下段収容部20から下段モジュール3を解放する。
【0085】
次に、図3に示す下段ガイドレール27と、図5に示す下段被ガイド溝36と、が係合した状態で、下段収容部20から、下段モジュール3を前方に引き出す。それから、交換用の別の下段モジュール3を、図3に示す下段ガイドレール27と、図5に示す下段被ガイド溝36と、が係合した状態で、下段モジュール3の後壁後面が下段収容部20の後壁前面に当接するまで、下段収容部20に押し込む。
【0086】
最後に、図4に示す下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24Dと、図5に示す上面被係合孔390U、側面被係合孔390M、下面被係合孔390Dと、を係合させる。すなわち、下段収容部20に下段モジュール3を固定する。
【0087】
<作用効果>
次に、本実施形態の電子部品実装機の作用効果について説明する。図3に示すように、本実施形態の電子部品実装機1によると、下段モジュール3、上段モジュール4単位で、装置交換を行うことができる。このため、装置交換が容易である。
【0088】
また、図4に示すように、本実施形態の電子部品実装機1のベース2は、中段補強部22を備えている。このため、電子部品実装機1が振動しにくい。したがって、電子部品の装着精度が高い。
【0089】
また、図10(a)、図10(b)に示すように、下段モジュール3は、下段収容部20に収容された状態で、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24Dにより、ベース2に固定されている。つまり、下段モジュール3は、上下、左右方向から、ベース2に固定されている。同様に、上段モジュール4は、上段収容部21に収容された状態で、上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23Dにより、ベース2に固定されている。つまり、上段モジュール4は、上下、左右方向から、ベース2に固定されている。このように、下段モジュール3および上段モジュール4は、ベース2と、疑似的に一体化されている。このため、見かけ上のマス(mass)が大きくなる。したがって、この点においても、電子部品実装機1が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高い。
【0090】
また、図7、図8に示すように、上段モジュール4は、ロボット部40と、X軸モータ41と、Y軸モータ42と、装着ヘッド43と、吸着ノズル44と、マークカメラ45と、ロボット部用制御部46と、を備えている。つまり、電子部品を基板Bf、Brに装着するための装着機能を有する装置一式が、上段モジュール4に配置されている。
【0091】
また、図5、図6に示すように、下段モジュール3は、搬送部30と、1対のベルトモータ31f、31rと、バックアップ部32と、パーツカメラ34と、搬送部用制御部35と、を備えている。つまり、基板Bf、Brを搬送するための搬送機能を有する装置一式が、下段モジュール3に配置されている。
【0092】
このように、本実施形態の電子部品実装機1によると、共通する機能を有する複数の装置が、単一のモジュール(上段モジュール4または下段モジュール3)に、まとめて配置されている。装置交換は、機能単位で行われる場合が多い。この点、本実施形態の電子部品実装機1によると、例えば装着機能を向上させたい場合は、下段モジュール3は交換せずに、上段モジュール4だけを交換すればよい。また、例えば搬送機能を向上させたい場合は、上段モジュール4は交換せずに、下段モジュール3だけを交換すればよい。このように、本実施形態の電子部品実装機1によると、機能単位で装置交換を行うことができる。
【0093】
また、図2に示すように、本実施形態の電子部品実装機1は、冷却部5を備えている。冷却通路50は、上段収容部21つまり上段モジュール4に近接して配置されている。上段モジュール4は、X軸モータ41、Y軸モータ42を備えている。X軸モータ41、Y軸モータ42は、他の装置と比較して発熱しやすい。この点、本実施形態の電子部品実装機1によると、冷却部5により、X軸モータ41、Y軸モータ42を、重点的に冷却することができる。このため、装着精度が高くなる。また、X軸モータ41、Y軸モータ42が所定の推力を発揮しやすくなる。
【0094】
また、図1に示すように、電子部品実装機1は脚部を有していない。すなわち、ベース2は、直接、工場の床面に当接している。このため、脚部を有している場合と比較して、電子部品実装機1が振動しにくい。
【0095】
<その他>
以上、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0096】
上段モジュール4、下段モジュール3に配置する装置の種類は特に限定しない。例えば、上段モジュール4に、ロボット部40、X軸モータ41、Y軸モータ42、装着ヘッド43、吸着ノズル44、マークカメラ45を配置してもよい。また、下段モジュール3に、ロボット部用制御部46、搬送部用制御部35を配置してもよい。また、枠状ではなく板状の中段補強部22の上面に、搬送部30、1対のベルトモータ31f、31r、バックアップ部32、パーツカメラ34を配置してもよい。こうすると、中段補強部22が板状のため、中段補強部22の強度が高くなる。このため、電子部品実装機1が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高くなる。
【0097】
また、上段モジュール4に、ロボット部40、X軸モータ41、Y軸モータ42、装着ヘッド43、吸着ノズル44、マークカメラ45を配置してもよい。また、下段モジュール3に、ロボット部用制御部46、搬送部用制御部35を配置してもよい。また、ベース2の上段収容部21と下段収容部20との間に中段収容部を区画し、当該中段収容部に新たに中段モジュールを配置してもよい。この場合、中段モジュールに、搬送部30、1対のベルトモータ31f、31r、バックアップ部32、パーツカメラ34を配置してもよい。
【0098】
上段モジュール4、下段モジュール3に配置する装置は、機能(搬送機能、装着機能など)ごとに分類してもよい。また、役割(制御部、センサ、アクチュエータ)ごとに分類してもよい。
【0099】
上記実施形態においては、ベース2に上段モジュール4、下段モジュール3を固定する際に、クランプ装置(上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23D、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24D)を用いた。しかしながら、ボルト−ナット装置、トグルクランプ装置などにより、ベース2に上段モジュール4、下段モジュール3を固定してもよい。固定機構、固定位置、固定点数は特に限定しない。
【0100】
上記実施形態においては、ロボット部用アクチュエータとしてX軸モータ41、Y軸モータ42を、搬送部用アクチュエータとしてベルトモータ31f、31rを、それぞれ用いた。モータの種類は特に限定しない。ステッピングモータ、サーボモータ、リニアモータなどを用いてもよい。
【0101】
特に、ロボット部用アクチュエータとしてリニアモータを用いると、電子部品の装着作業を高速化、高精度化することができる。また、発熱しやすいリニアモータを、冷却部5により、重点的に冷却することができる。
【0102】
冷却部5の構成は特に限定しない。熱交換面積を広くするために、上段収容部21に表出するように、複数の放熱フィンを配置してもよい。冷蔵庫のように、冷気を上段収容部21に放出してもよい。熱移動の方式は、熱放射(輻射)、熱伝導、熱伝達、いずれでもよい。
【0103】
冷却部5の冷却通路50は、ベース本体28の上壁のみならず、左右両側壁、中段補強部22、後壁、下壁などに配置してもよい。こうすると、下段モジュール3、上段モジュール4を外周から効率的に冷却することができる。
【0104】
上記実施形態においては、ベース2の収容部(下段収容部20、上段収容部21)に、各々、2個のモジュール(下段モジュール3、上段モジュール4)分のスペースを確保した。しかしながら、収容部に、各々1個のモジュール分のスペースを確保してもよい。
【0105】
また、下段収容部20にだけ下段モジュール3を配置し、上段収容部21に上段モジュール4を配置しなくてもよい。こうすると、基板Bf、Brの搬送だけを行うことができる。
【0106】
また、ベース2を左右中央(2個の下段モジュール3間および2個の上段モジュール4間)で分割可能にしてもよい。こうすると、下段収容部20、上段収容部21に「空きスペース」が発生する場合、生産ライン9に、ベース2の分割体を配置することができる。すなわち、当該ベース2の分割体と、左右方向に隣接する別のベース2と、を連結することにより、「空きスペース」を解消することができる。
【0107】
また、ベース2に脚部を配置してもよい。また、図11に示すようなレベリングボルト110を脚部に配置してもよい。こうすると、脚部長を調整することができる。
【0108】
また、図1に示す生産ライン9の隣り合うベース本体28同士は、互いにボルトや図9、図10に示すクランプ装置などで連結されており、電子部品実装機1などの生産ライン構成機器の配置数の増減が可能である。このため、生産能力に応じたフレキシブルな生産ライン9の構築が可能である。
【0109】
上記実施形態においては、上段モジュール4に単一のロボット部40を配置したが、複数、例えば二つのロボット部40を配置してもよい。二つのロボット部40を配置する場合、下段モジュール3の第一レーン(基板Bf)に一方のロボット部40を、第二レーン(基板Br)に他方のロボット部40を、各々対応させてもよい。また、二つのロボット部40を、各々、第一レーンおよび第二レーンの双方に対応させてもよい。
【0110】
また、ベース2とモジュール(下段モジュール3、上段モジュール4)との連結は、図9、図10に示すクランプ装置やボルトなどを用いて行うことができるが、着脱の嵌め合い公差は、管理されている方がよい。ベース2とモジュールとの接触面積が広いほど、減衰性の向上が望めるからである。
【符号の説明】
【0111】
1:電子部品実装機、2:ベース、3:下段モジュール、4:上段モジュール、5:冷却部、9:生産ライン。
20:下段収容部、21:上段収容部、22:中段補強部、23D:上段下面クランプ装置、23M:上段側面クランプ装置、23U:上段上面クランプ装置、24D:下段下面クランプ装置、24M:下段側面クランプ装置、24U:下段上面クランプ装置、25:基板搬送口、26:上段ガイドレール、27:下段ガイドレール、28:ベース本体、30:搬送部、31f:ベルトモータ(搬送部用アクチュエータ)、31r:ベルトモータ(搬送部用アクチュエータ)、32:バックアップ部、34:パーツカメラ、35:搬送部用制御部、36:下段被ガイド溝、39:モジュール本体、40:ロボット部、41:X軸モータ(ロボット部用アクチュエータ)、42:Y軸モータ(ロボット部用アクチュエータ)、43:装着ヘッド、44:吸着ノズル、45:マークカメラ、46:ロボット部用制御部、47:上段被ガイド溝、49:モジュール本体、50:冷却通路、51:供給口、52:排出口。
240D:シリンダ揺動軸、241D:シリンダ、242D:ピストン、243D:ピン、244D:ピン揺動軸、289:ピン挿通孔、300:固定壁、301:第一可動壁、302:第二可動壁、303:ガイドレール、304f:コンベアベルト、304r:コンベアベルト、320f:Z軸モータ、320r:Z軸モータ、321f:バックアップテーブル、321r:バックアップテーブル、322:バックアップピン、350:コンピュータ、351:入出力インターフェイス、352:駆動回路、390D:下面被係合孔、390M:側面被係合孔、390U:上面被係合孔、400:X軸スライド、401:Y軸スライド、402:X軸下スライド、403:Y軸下スライド、430:Z軸モータ、431:θ軸モータ、460:コンピュータ、461:入出力インターフェイス、462:駆動回路、490D:下面被係合孔、490M:側面被係合孔、490U:上面被係合孔。
Bf:基板、Br:基板。
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品を基板に装着する電子部品実装機に関する。
【背景技術】
【0002】
図11に、従来の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図を示す。図11に示すように、生産ライン106には、複数の電子部品実装機105が一列に並んで配置されている。電子部品実装機105は、ベース101と、モジュール102と、を備えている。モジュール102は、ベース101に対して交換可能である。モジュール102の交換は、台車103を用いて行われる。ベース101は、制御部を備えている。モジュール102は、ロボット部、装着ヘッド、搬送部、バックアップ部などを備えている。
【0003】
複数の電子部品実装機105は、一枚の基板に、段階的に電子部品を装着する。任意の電子部品実装機105において、電子部品を基板に装着する場合は、まず、搬送部により、基板を搬入する。次に、バックアップ部により、基板を固定する。続いて、ロボット部、装着ヘッドを動かすことにより、電子部品を基板の所定の座標に装着する。所定数の電子部品を基板に装着したら、バックアップ部により、基板の固定を解除する。最後に、搬送部により、基板を搬出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−186500号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の電子部品実装機105の場合、モジュール102内の一部の装置を交換する場合であっても、モジュール102全体を交換する必要があった。例えば、単一の基板搬送路を有するシングルレーンタイプの搬送部を、二つの基板搬送路を有するダブルレーンタイプの搬送部に、交換する場合、搬送部のみならず、モジュール102全体を交換する必要があった。また、ボールねじにより駆動されるロボット部を、リニアモータにより駆動されるロボット部に、交換する場合、ロボット部のみならず、モジュール102全体を交換する必要があった。このように、従来の電子部品実装機105によると、モジュール102単位でしか装置の交換をすることができず、モジュール102より小さい単位での装置交換ができなかった。
【0006】
また、従来の電子部品実装機105の場合、ベース101の上面に、モジュール102の下面が固定されていた。すなわち、モジュール102の固定面は、一面だけだった。このため、例えば基板に電子部品を装着する際のロボット部、装着ヘッドの動作により、モジュール102が振動する場合があった。したがって、基板の座標に対する電子部品の装着精度が低下していた。
【0007】
なお、特許文献1には、上下方向に積み重ねられた二台の部品搭載機を備える部品実装装置が開示されている。基板は、二台の部品搭載機間をエレベータ機構により上下方向に搬送される。同文献によると、生産ラインを短くすることができる。同文献には、部品搭載機の一部の装置の交換に関する記載はない。また、同文献には、電子部品の装着精度に関する記載はない。
【0008】
本発明の電子部品実装機は、上記課題に鑑みて完成されたものである。本発明は、装置交換が容易で、電子部品の装着精度が高い電子部品実装機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)上記課題を解決するため、本発明の電子部品実装機は、下段収容部と、該下段収容部の上方に配置される上段収容部と、該下段収容部と該上段収容部との間に介在する中段補強部と、を有するベースと、該下段収容部に交換可能に収容、固定される下段モジュールと、該上段収容部に交換可能に収容、固定され、ロボット部と、該ロボット部を駆動するロボット部用アクチュエータと、該ロボット部に配置され電子部品を基板に装着する装着ヘッドと、を有する上段モジュールと、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の電子部品実装機は、ベースと、下段モジュールと、上段モジュールと、を備えている。ベースは、上段収容部と、下段収容部と、中段補強部と、を備えている。下段モジュールは、下段収容部に、交換可能に収容、固定されている。上段モジュールは、上段収容部に、交換可能に収容、固定されている。
【0011】
本発明の電子部品実装機によると、下段モジュール、上段モジュール単位で、装置交換を行うことができる。このため、装置交換が容易である。また、本発明の電子部品実装機は、中段補強部を備えている。このため、電子部品実装機が振動しにくい。したがって、電子部品の装着精度が高い。
【0012】
また、下段モジュールは、下段収容部に収容された状態で、ベースに固定されている。同様に、上段モジュールは、上段収容部に収容された状態で、ベースに固定されている。すなわち、下段モジュールおよび上段モジュールは、ベースと、疑似的に一体化されている。このため、見かけ上のマス(mass)が大きくなる。したがって、この点においても、電子部品実装機が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高い。
【0013】
(2)好ましくは、上記(1)の構成において、前記上段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部を有し、前記下段モジュールは、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する構成とする方がよい。
【0014】
上段モジュールは、ロボット部と、ロボット部用アクチュエータと、装着ヘッドと、ロボット部用制御部と、を備えている。つまり、電子部品を基板に装着するための装着機能を有する装置一式が、上段モジュールに配置されている。
【0015】
下段モジュールは、搬送部と、搬送部用アクチュエータと、搬送部用制御部と、を備えている。つまり、基板を搬送するための搬送機能を有する装置一式が、下段モジュールに配置されている。
【0016】
本構成によると、共通する機能を有する複数の装置が、単一のモジュール(上段モジュールまたは下段モジュール)に、まとめて配置されている。装置交換は、機能単位で行われる場合が多い。この点、本構成によると、例えば装着機能を向上させたい場合は、下段モジュールは交換せずに、上段モジュールだけを交換すればよい。また、例えば搬送機能を向上させたい場合は、上段モジュールは交換せずに、下段モジュールだけを交換すればよい。このように、本構成によると、機能単位で装置交換を行うことができる。
【0017】
(3)好ましくは、上記(1)の構成において、前記中段補強部には、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、が搭載され、前記下段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部と、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する構成とする方がよい。
【0018】
下段モジュールは、ロボット部用制御部と、搬送部用制御部と、を備えている。つまり、制御機能を有する装置一式が、下段モジュールに配置されている。中段補強部には、搬送部と、搬送部用アクチュエータと、が搭載されている。つまり、搬送機能を有する装置が、中段補強部に搭載されている。
【0019】
本構成によると、中段補強部を介して、上段モジュールと下段モジュールとの間で、電子部品を基板に装着する必要がない。このため、中段補強部の強度を上げやすい。したがって、電子部品実装機が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高い。
【0020】
(4)好ましくは、上記(1)ないし(3)のいずれかの構成において、前記ベースに配置される冷却部を備える構成とする方がよい。本構成によると、上段モジュールおよび下段モジュールを収容するベースに、冷却部が配置されている。このため、上段モジュールおよび下段モジュールを、容易に冷却することができる。したがって、熱により電子部品の装着精度が低下するのを、抑制することができる。
【0021】
(5)好ましくは、上記(4)の構成において、前記冷却部は、前記上段収容部に近接して配置される構成とする方がよい。上段収容部には、上段モジュールが収容されている。上段モジュールは、ロボット部用アクチュエータを備えている。ロボット部用アクチュエータは、他の装置と比較して発熱しやすい。この点、本構成によると、冷却部が上段収容部に近接して配置されている。このため、発熱しやすいロボット部用アクチュエータを、重点的に冷却することができる。
【0022】
(5−1)好ましくは、上記(5)の構成において、前記ロボット部用アクチュエータは、リニアモータである構成とする方がよい。上段モジュールにリニアモータを配置すると、電子部品の装着作業を高速化、高精度化することができる。一方、リニアモータは、特に発熱しやすい。この点、本構成によると、リニアモータを重点的に冷却することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、装置交換が容易で、電子部品の装着精度が高い電子部品実装機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図である。
【図2】同電子部品実装機の透過斜視図である。
【図3】同電子部品実装機の分解斜視図である。
【図4】同電子部品実装機のベースの透過斜視図である。
【図5】同電子部品実装機の下段モジュールの透過斜視図である。
【図6】同下段モジュールのブロック図である。
【図7】同電子部品実装機の上段モジュールの透過斜視図である。
【図8】同上段モジュールのブロック図である。
【図9】図4の枠IX内の透過拡大図である。
【図10】(a)は下段下面クランプ装置の解放状態における断面図である。(b)は下段下面クランプ装置の係合状態における断面図である。
【図11】従来の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明する。
【0026】
<電子部品実装機の構成>
まず、本実施形態の電子部品実装機の構成について説明する。以降の図において、左側は、回路基板の搬送方向上流側に相当する。右側は、回路基板の搬送方向下流側に相当する。
【0027】
図1に、本実施形態の電子部品実装機が配置された生産ラインの斜視図を示す。図1に示すように、生産ライン9には、複数の電子部品実装機1が、左右方向に一列に並んで配置されている。
【0028】
図2に、本実施形態の電子部品実装機の透過斜視図を示す。図3に、同電子部品実装機の分解斜視図を示す。図2、図3に示すように、電子部品実装機1は、ベース2と、2個の下段モジュール3と、2個の上段モジュール4と、冷却部5と、を備えている。
【0029】
[ベース2]
図4に、本実施形態の電子部品実装機のベースの透過斜視図を示す。図2〜図4に示すように、ベース2は、ベース本体28と、下段収容部20と、上段収容部21と、中段補強部22と、8個の上段上面クランプ装置23U(図4参照)と、4個の上段側面クランプ装置23M(図4参照)と、2個の上段下面クランプ装置23D(図4参照)と、4個の下段上面クランプ装置24U(図4参照)と、4個の下段側面クランプ装置24M(図4参照)と、8個の下段下面クランプ装置24D(図4参照)と、2個の基板搬送口25と、2対の上段ガイドレール26(図3参照)と、2対の下段ガイドレール27と、を備えている。
【0030】
ベース本体28は、直方体箱状を呈している。下段収容部20は、ベース本体28の下側に配置されている。下段収容部20の内部空間は、上下方向に薄い直方体状を呈している。下段収容部20は、前方に開口している。下段収容部20には、2個の下段モジュール3が左右方向に並んで配置されている。上段収容部21は、ベース本体28の上側に配置されている。上段収容部21の内部空間は、上下方向に薄い直方体状を呈している。上段収容部21は、前方に開口している。上段収容部21には、2個の上段モジュール4が左右方向に並んで配置されている。中段補強部22は、下段収容部20と上段収容部21との間に配置されている。中段補強部22は、長方形枠状を呈している。このため、下段収容部20と上段収容部21とは、上下方向に連通している。
【0031】
8個の上段上面クランプ装置23Uは、ベース本体28の上壁に埋設されている。8個の上段上面クランプ装置23Uは、上段収容部21の上底面に露出している。8個の上段上面クランプ装置23Uは、4個ずつ左右に分かれて配置されている。
【0032】
4個の上段側面クランプ装置23Mは、ベース本体28の左右両壁に埋設されている。4個の上段側面クランプ装置23Mのうち、2個の上段側面クランプ装置23Mは、上段収容部21の左面に露出している。残りの2個の上段側面クランプ装置23Mは、上段収容部21の右面に露出している。
【0033】
2個の上段下面クランプ装置23Dは、中段補強部22の左右両縁に埋設されている。2個の上段下面クランプ装置23Dのうち、一方の上段下面クランプ装置23Dは、上段収容部21の左下に露出している。他方の上段下面クランプ装置23Dは、上段収容部21の右下に露出している。
【0034】
4個の下段上面クランプ装置24Uは、中段補強部22の前後両縁に埋設されている。4個の下段上面クランプ装置24Uのうち、2個の下段上面クランプ装置24Uは、下段収容部20の左前、右前に露出している。残りの2個の下段上面クランプ装置24Uは、下段収容部20の左後、右後に露出している。
【0035】
4個の下段側面クランプ装置24Mは、ベース本体28の左右両壁に埋設されている。4個の下段側面クランプ装置24Mのうち、2個の下段側面クランプ装置24Mは、下段収容部20の左面に露出している。残りの2個の下段側面クランプ装置24Mは、下段収容部20の右面に露出している。
【0036】
8個の下段下面クランプ装置24Dは、ベース本体28の下壁に埋設されている。8個の下段下面クランプ装置24Dは、下段収容部20の底面に露出している。8個の下段下面クランプ装置24Dは、4個ずつ左右に分かれて配置されている。
【0037】
クランプ装置(上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23D、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24D)の構成は、同一である。クランプ装置の構成については、後で詳しく説明する。
【0038】
2対の上段ガイドレール26は、ベース本体28の上壁下面に配置されている。上段ガイドレール26は、前後方向に延在している。上段ガイドレール26は、上段収容部21に露出している。
【0039】
2対の下段ガイドレール27は、ベース本体28の下壁上面に配置されている。下段ガイドレール27は、前後方向に延在している。下段ガイドレール27は、下段収容部20に露出している。
【0040】
2個の基板搬送口25は、ベース本体28の左右両壁に開設されている。2個の基板搬送口25は、下段収容部20の左右両側に配置されている。
【0041】
[冷却部5]
図2に示すように、冷却部5は、冷却通路50と、供給口51と、排出口52と、を備えている。供給口51、排出口52は、ベース本体28の上壁上面に開設されている。冷却通路50は、ベース本体28の上壁の内部に区画されている。冷却通路50は、供給口51と排出口52とをジグザグに連通している。冷却液は、供給口51を介して、外部から冷却通路50に供給される。また、冷却液は、排出口52を介して、冷却通路50から外部に排出される。
【0042】
[下段モジュール3]
図3に示すように、2個の下段モジュール3は、ベース2の下段収容部20に、前方から交換可能に収容されている。図5に、本実施形態の電子部品実装機の下段モジュールの透過斜視図を示す。図6に、同下段モジュールのブロック図を示す。
【0043】
図5、図6に示すように、下段モジュール3は、モジュール本体39と、搬送部30と、1対のベルトモータ31f、31rと、バックアップ部32と、パーツカメラ34と、搬送部用制御部35と、1対の下段被ガイド溝36と、を備えている。1対のベルトモータ31f、31rは、本発明の「搬送部用アクチュエータ」の概念に含まれる。
【0044】
モジュール本体39は、上方に開口する箱状を呈している。モジュール本体39は、2個の上面被係合孔390Uと、4個の側面被係合孔390Mと、4個の下面被係合孔390Dと、を備えている。
【0045】
2個の上面被係合孔390Uは、モジュール本体39の前後両壁の上面に凹設されている。2個の上面被係合孔390Uには、図4に示す下段上面クランプ装置24Uが係合、離脱可能である。
【0046】
4個の側面被係合孔390Mは、モジュール本体39の左壁左面、右壁右面に、2個ずつ凹設されている。4個の側面被係合孔390Mのうち、2個の側面被係合孔390M(図2に示す左方の下段モジュール3の場合は、左方の2個の側面被係合孔390M。右方の下段モジュール3の場合は、右方の2個の側面被係合孔390M。)には、図4に示す下段側面クランプ装置24Mが係合、離脱可能である。
【0047】
4個の下面被係合孔390Dは、モジュール本体39の下壁下面に凹設されている。4個の下面被係合孔390Dには、図4に示す下段下面クランプ装置24Dが係合、離脱可能である。
【0048】
1対の下段被ガイド溝36は、モジュール本体39の下壁下面に凹設されている。下段被ガイド溝36は、前後方向に延在している。図3、図4に示すように、1対の下段被ガイド溝36は、左右2対の下段ガイドレール27のうち、いずれか一方の1対の下段ガイドレール27に、前後方向に移動可能に係合している。
【0049】
搬送部30は、固定壁300と、第一可動壁301と、第二可動壁302と、1対のガイドレール303と、2対のコンベアベルト304f、304rと、を備えている。1対のガイドレール303は、モジュール本体39の下壁上面に配置されている。ガイドレール303は、前後方向に延在している。
【0050】
固定壁300は、モジュール本体39の下壁上面に立設されている。固定壁300は、左右方向に延在している。固定壁300は、1対のガイドレール303の前方に配置されている。
【0051】
第一可動壁301は、固定壁300の後方に配置されている。第一可動壁301は、左右方向に延在している。第一可動壁301は、1対のガイドレール303に、前後方向に移動可能に係合している。
【0052】
第二可動壁302は、第一可動壁301の後方に配置されている。第二可動壁302は、左右方向に延在している。第二可動壁302は、1対のガイドレール303に、前後方向に移動可能に係合している。
【0053】
1対のコンベアベルト304fのうち、一方は、固定壁300の後面に配置されている。他方は、第一可動壁301の前面に配置されている。1対のコンベアベルト304fには、基板Bfが架設されている。このように、固定壁300と第一可動壁301との間には、基板Bfを搬送する第一レーンが区画されている。第一可動壁301を前後方向に移動させることにより、第一レーンの搬送幅を拡縮することができる。
【0054】
1対のコンベアベルト304rのうち、一方は、第一可動壁301の後面に配置されている。他方は、第二可動壁302の前面に配置されている。1対のコンベアベルト304rには、基板Brが架設されている。このように、第一可動壁301と第二可動壁302との間には、基板Brを搬送する第二レーンが区画されている。第一可動壁301および第二可動壁302のうち、少なくとも一方を、前後方向に移動させることにより、第二レーンの搬送幅を拡縮することができる。
【0055】
1対のベルトモータ31f、31rのうち、ベルトモータ31fは、1対のコンベアベルト304fを左右方向に回転駆動する。つまり、基板Bfを移動させる。ベルトモータ31rは、1対のコンベアベルト304rを左右方向に回転駆動する。つまり、基板Brを移動させる。パーツカメラ34は、固定壁300の前方に、上向きに配置されている。パーツカメラ34の撮像エリアは上方である。
【0056】
バックアップ部32は、1対のZ軸(上下方向に対応)モータ320f、320rと、1対のバックアップテーブル321f、321rと、多数のバックアップピン322と、を備えている。バックアップテーブル321fは、長方形板状を呈している。バックアップテーブル321fは、固定壁300と第一可動壁301との間(つまり第一レーン)に配置されている。多数のバックアップピン322は、バックアップテーブル321fの上面に配置されている。Z軸モータ320fは、バックアップテーブル321fを上下方向に移動可能である。このため、多数のバックアップピン322は、基板Bfを下方から支持可能である。バックアップテーブル321rは、長方形板状を呈している。バックアップテーブル321rは、第一可動壁301と第二可動壁302との間(つまり第二レーン)に配置されている。多数のバックアップピン322は、バックアップテーブル321rの上面に配置されている。Z軸モータ320rは、バックアップテーブル321rを上下方向に移動可能である。このため、多数のバックアップピン322は、基板Brを下方から支持可能である。
【0057】
搬送部用制御部35は、モジュール本体39に配置されている。搬送部用制御部35は、コンピュータ350と、入出力インターフェイス351と、多数の駆動回路352と、を備えている。多数の駆動回路352には、ベルトモータ31f、31r、Z軸モータ320f、320r、パーツカメラ34が接続されている。搬送部用制御部35は、下段モジュール3に配置された装置(搬送部30、バックアップ部32など)を制御している。
【0058】
[上段モジュール4]
図3に示すように、2個の上段モジュール4は、ベース2の上段収容部21に、前方から交換可能に収容されている。図7に、本実施形態の電子部品実装機の上段モジュールの透過斜視図を示す。図8に、同上段モジュールのブロック図を示す。
【0059】
図7、図8に示すように、上段モジュール4は、モジュール本体49と、ロボット部40と、X軸(左右方向に対応)モータ41と、Y軸(前後方向に対応)モータ42と、装着ヘッド43と、吸着ノズル44と、マークカメラ45と、ロボット部用制御部46と、1対の上段被ガイド溝47と、を備えている。X軸モータ41、Y軸モータ42は、本発明の「ロボット部用アクチュエータ」の概念に含まれる。
【0060】
モジュール本体49は、前方および下方に開口する箱状を呈している。モジュール本体49は、4個の上面被係合孔490Uと、4個の側面被係合孔490Mと、2個の下面被係合孔490Dと、を備えている。
【0061】
4個の上面被係合孔490Uは、モジュール本体49の上壁上面に凹設されている。4個の上面被係合孔490Uには、図4に示す上段上面クランプ装置23Uが係合、離脱可能である。
【0062】
4個の側面被係合孔490Mは、モジュール本体49の左壁左面、右壁右面に、2個ずつ凹設されている。4個の側面被係合孔490Mのうち、2個の側面被係合孔490M(図2に示す左方の上段モジュール4の場合は、左方の2個の側面被係合孔490M。右方の上段モジュール4の場合は、右方の2個の側面被係合孔490M。)には、図4に示す上段側面クランプ装置23Mが係合、離脱可能である。
【0063】
2個の下面被係合孔490Dは、モジュール本体49の左右両壁の下面に凹設されている。2個の下面被係合孔490Dのうち、片方の下面被係合孔490D(図2に示す左方の上段モジュール4の場合は、左方の下面被係合孔490D。右方の上段モジュール4の場合は、右方の下面被係合孔490D。)には、図4に示す上段下面クランプ装置23Dが係合、離脱可能である。
【0064】
1対の上段被ガイド溝47は、モジュール本体49の上壁上面に凹設されている。上段被ガイド溝47は、前後方向に延在している。図3に示すように、1対の上段被ガイド溝47は、左右2対の上段ガイドレール26のうち、いずれか一方の1対の上段ガイドレール26に、前後方向に移動可能に係合している。
【0065】
ロボット部40は、X軸スライド400と、Y軸スライド401と、1対のX軸下スライド402と、1対のY軸下スライド403と、を備えている。1対のY軸下スライド403は、モジュール本体49の上壁下面に配置されている。Y軸下スライド403は、前後方向に延在している。Y軸スライド401は、左右方向に長い直方体ブロック状を呈している。Y軸スライド401は、1対のY軸下スライド403に、前後方向に移動可能に係合している。1対のX軸下スライド402は、Y軸スライド401の前面に配置されている。X軸下スライド402は、左右方向に延在している。X軸スライド400は、長方形板状を呈している。X軸スライド400は、1対のX軸下スライド402に、左右方向に移動可能に係合している。
【0066】
装着ヘッド43は、直方体箱状を呈している。装着ヘッド43は、X軸スライド400の前面に取り付けられている。装着ヘッド43は、Z軸モータ430と、θ軸(水平面内における回転方向に対応)モータ431と、を備えている。
【0067】
吸着ノズル44は、装着ヘッド43のホルダ(図略)に、交換可能に取り付けられている。吸着ノズル44には、負圧、正圧が、切替可能に供給される。このため、吸着ノズル44は、電子部品を、吸着、解放可能である。
【0068】
X軸モータ41は、X軸スライド400を、左右方向に駆動する。Y軸モータ42は、Y軸スライド401を、前後方向に駆動する。Z軸モータ430は、吸着ノズル44を、上下方向に駆動する。θ軸モータ431は、吸着ノズル44を、軸周りに回転駆動する。このため、吸着ノズル44は、前後、左右、上下、回転方向に、自在に移動することができる。マークカメラ45は、X軸スライド400に、下向きに配置されている。マークカメラ45の撮像エリアは下方である。
【0069】
ロボット部用制御部46は、モジュール本体49に配置されている。ロボット部用制御部46は、コンピュータ460と、入出力インターフェイス461と、多数の駆動回路462と、を備えている。多数の駆動回路462には、X軸モータ41、Y軸モータ42、Z軸モータ430、θ軸モータ431、マークカメラ45が接続されている。ロボット部用制御部46は、上段モジュール4に配置された装置(ロボット部40、装着ヘッド43、吸着ノズル44など)を制御している。
【0070】
[クランプ装置]
次に、クランプ装置(上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23D、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24D)の構成および動作について説明する。
【0071】
まず、クランプ装置の構成について説明する。クランプ装置の構成は同一である。ここでは、代表して、図4の枠IX内の下段下面クランプ装置24Dの構成について説明する。
【0072】
図9に、図4の枠IX内の透過拡大図を示す。図9に示すように、下段下面クランプ装置24Dは、ベース本体28の下壁に埋設されている。下段下面クランプ装置24Dは、シリンダ揺動軸240Dと、シリンダ241Dと、ピストン242Dと、ピン243Dと、ピン揺動軸244Dと、を備えている。
【0073】
シリンダ揺動軸240Dは、ベース本体28の下壁の下面に配置されている。シリンダ241Dの前端は、シリンダ揺動軸240Dに、揺動可能に取り付けられている。ピストン242Dは、シリンダ241Dの後端から、後方に向かって伸縮可能である。
【0074】
ピン揺動軸244Dは、ベース本体28の下壁の下面に配置されている。ピン243Dの中央部は、ピン揺動軸244Dに、揺動可能に取り付けられている。また、ピン243Dの前端は、ピストン242Dの後端に、揺動可能に取り付けられている。
【0075】
次に、クランプ装置の動作について説明する。図10(a)に、下段下面クランプ装置の解放状態における断面図を示す。図10(b)に、下段下面クランプ装置の係合状態における断面図を示す。
【0076】
図10(a)に示すように、解放状態においては、ピン243Dの後端は、ベース本体28の下壁に開設されたピン挿通孔289の内部に没入している。このため、ピン243Dは、下段モジュール3の下面被係合孔390Dに係合していない。したがって、下段モジュール3は、下段収容部20に出し入れ可能である。
【0077】
図10(a)に示す解放状態から図10(b)に示す係合状態に切り替える場合は、シリンダ241Dから、ピストン242Dを、後方に向かって突出させる。そして、ピン243Dを、ピン揺動軸244Dを中心に、図における反時計回り方向に揺動させる。すなわち、ピン243Dをピン挿通孔289から突出させる。
【0078】
図10(b)に示すように、係合状態においては、ピン243Dの後端は、ベース本体28の下壁に開設されたピン挿通孔289から上方に突出している。このため、ピン243Dは、下段モジュール3の下面被係合孔390Dに係合している。したがって、下段モジュール3は、下段収容部20に固定されている。
【0079】
なお、下段下面クランプ装置24Dのピン243Dと下段モジュール3の下面被係合孔390Dとは、図2に示すように、下段モジュール3の全体が下段収容部20に収容され下段モジュール3の後壁後面が下段収容部20の後壁前面に当接した状態で、位置が合うように設定されている。
【0080】
<電子部品実装機の電子部品実装時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機の電子部品実装時の動きについて説明する。図1に示すように、生産ライン9には、複数の電子部品実装機1が、左右方向に一列に並んで配置されている。複数の電子部品実装機1は、生産ライン9を流れる基板Bf(第一レーン)、Br(第二レーン)に対して、段階的に電子部品を実装する。
【0081】
図6に示すように、基板Bf、Brは、搬送部30により、電子部品実装機1の所定位置に搬入される。搬入された基板Bf、Brは、バックアップ部32により、持ち上げられ、所定の高度に固定される。電子部品実装機1の前方には、部品供給装置(図略)が取り付けられている。図7に示すように、部品供給装置の電子部品は、上段モジュール4の前方開口を介して、吸着ノズル44により取り出される。取り出された電子部品は、図4に示す中段補強部22の枠内空間を通過して、吸着ノズル44により、図6に示す基板Bf、Brの座標に装着される。電子部品装着後の基板Bf、Brは、バックアップ部32により搬送部30まで降ろされ、搬送部30により電子部品実装機1から搬出される。
【0082】
なお、基板Bf、Brの位置ずれは、図7に示すマークカメラ45で基板Bf、Brの基準マーク(図略)を撮像することにより、検査される。電子部品の吸着状態は、図5に示すパーツカメラ34で吸着ノズル44に吸着された電子部品を撮像することにより、検査される。
【0083】
<電子部品実装機のモジュール交換時の動き>
次に、本実施形態の電子部品実装機のモジュール交換時の動きについて説明する。下段モジュール3交換時の動きと、上段モジュール4交換時の動きと、は同一である。ここでは、代表して、下段モジュール3交換時の動きについて説明する。
【0084】
下段モジュール3を交換する場合は、まず、図4に示す下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24Dと、図5に示す上面被係合孔390U、側面被係合孔390M、下面被係合孔390Dと、の係合を解除する。すなわち、下段収容部20から下段モジュール3を解放する。
【0085】
次に、図3に示す下段ガイドレール27と、図5に示す下段被ガイド溝36と、が係合した状態で、下段収容部20から、下段モジュール3を前方に引き出す。それから、交換用の別の下段モジュール3を、図3に示す下段ガイドレール27と、図5に示す下段被ガイド溝36と、が係合した状態で、下段モジュール3の後壁後面が下段収容部20の後壁前面に当接するまで、下段収容部20に押し込む。
【0086】
最後に、図4に示す下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24Dと、図5に示す上面被係合孔390U、側面被係合孔390M、下面被係合孔390Dと、を係合させる。すなわち、下段収容部20に下段モジュール3を固定する。
【0087】
<作用効果>
次に、本実施形態の電子部品実装機の作用効果について説明する。図3に示すように、本実施形態の電子部品実装機1によると、下段モジュール3、上段モジュール4単位で、装置交換を行うことができる。このため、装置交換が容易である。
【0088】
また、図4に示すように、本実施形態の電子部品実装機1のベース2は、中段補強部22を備えている。このため、電子部品実装機1が振動しにくい。したがって、電子部品の装着精度が高い。
【0089】
また、図10(a)、図10(b)に示すように、下段モジュール3は、下段収容部20に収容された状態で、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24Dにより、ベース2に固定されている。つまり、下段モジュール3は、上下、左右方向から、ベース2に固定されている。同様に、上段モジュール4は、上段収容部21に収容された状態で、上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23Dにより、ベース2に固定されている。つまり、上段モジュール4は、上下、左右方向から、ベース2に固定されている。このように、下段モジュール3および上段モジュール4は、ベース2と、疑似的に一体化されている。このため、見かけ上のマス(mass)が大きくなる。したがって、この点においても、電子部品実装機1が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高い。
【0090】
また、図7、図8に示すように、上段モジュール4は、ロボット部40と、X軸モータ41と、Y軸モータ42と、装着ヘッド43と、吸着ノズル44と、マークカメラ45と、ロボット部用制御部46と、を備えている。つまり、電子部品を基板Bf、Brに装着するための装着機能を有する装置一式が、上段モジュール4に配置されている。
【0091】
また、図5、図6に示すように、下段モジュール3は、搬送部30と、1対のベルトモータ31f、31rと、バックアップ部32と、パーツカメラ34と、搬送部用制御部35と、を備えている。つまり、基板Bf、Brを搬送するための搬送機能を有する装置一式が、下段モジュール3に配置されている。
【0092】
このように、本実施形態の電子部品実装機1によると、共通する機能を有する複数の装置が、単一のモジュール(上段モジュール4または下段モジュール3)に、まとめて配置されている。装置交換は、機能単位で行われる場合が多い。この点、本実施形態の電子部品実装機1によると、例えば装着機能を向上させたい場合は、下段モジュール3は交換せずに、上段モジュール4だけを交換すればよい。また、例えば搬送機能を向上させたい場合は、上段モジュール4は交換せずに、下段モジュール3だけを交換すればよい。このように、本実施形態の電子部品実装機1によると、機能単位で装置交換を行うことができる。
【0093】
また、図2に示すように、本実施形態の電子部品実装機1は、冷却部5を備えている。冷却通路50は、上段収容部21つまり上段モジュール4に近接して配置されている。上段モジュール4は、X軸モータ41、Y軸モータ42を備えている。X軸モータ41、Y軸モータ42は、他の装置と比較して発熱しやすい。この点、本実施形態の電子部品実装機1によると、冷却部5により、X軸モータ41、Y軸モータ42を、重点的に冷却することができる。このため、装着精度が高くなる。また、X軸モータ41、Y軸モータ42が所定の推力を発揮しやすくなる。
【0094】
また、図1に示すように、電子部品実装機1は脚部を有していない。すなわち、ベース2は、直接、工場の床面に当接している。このため、脚部を有している場合と比較して、電子部品実装機1が振動しにくい。
【0095】
<その他>
以上、本発明の電子部品実装機の実施の形態について説明した。しかしながら、実施の形態は上記形態に特に限定されるものではない。当業者が行いうる種々の変形的形態、改良的形態で実施することも可能である。
【0096】
上段モジュール4、下段モジュール3に配置する装置の種類は特に限定しない。例えば、上段モジュール4に、ロボット部40、X軸モータ41、Y軸モータ42、装着ヘッド43、吸着ノズル44、マークカメラ45を配置してもよい。また、下段モジュール3に、ロボット部用制御部46、搬送部用制御部35を配置してもよい。また、枠状ではなく板状の中段補強部22の上面に、搬送部30、1対のベルトモータ31f、31r、バックアップ部32、パーツカメラ34を配置してもよい。こうすると、中段補強部22が板状のため、中段補強部22の強度が高くなる。このため、電子部品実装機1が振動しにくい。よって、電子部品の装着精度が高くなる。
【0097】
また、上段モジュール4に、ロボット部40、X軸モータ41、Y軸モータ42、装着ヘッド43、吸着ノズル44、マークカメラ45を配置してもよい。また、下段モジュール3に、ロボット部用制御部46、搬送部用制御部35を配置してもよい。また、ベース2の上段収容部21と下段収容部20との間に中段収容部を区画し、当該中段収容部に新たに中段モジュールを配置してもよい。この場合、中段モジュールに、搬送部30、1対のベルトモータ31f、31r、バックアップ部32、パーツカメラ34を配置してもよい。
【0098】
上段モジュール4、下段モジュール3に配置する装置は、機能(搬送機能、装着機能など)ごとに分類してもよい。また、役割(制御部、センサ、アクチュエータ)ごとに分類してもよい。
【0099】
上記実施形態においては、ベース2に上段モジュール4、下段モジュール3を固定する際に、クランプ装置(上段上面クランプ装置23U、上段側面クランプ装置23M、上段下面クランプ装置23D、下段上面クランプ装置24U、下段側面クランプ装置24M、下段下面クランプ装置24D)を用いた。しかしながら、ボルト−ナット装置、トグルクランプ装置などにより、ベース2に上段モジュール4、下段モジュール3を固定してもよい。固定機構、固定位置、固定点数は特に限定しない。
【0100】
上記実施形態においては、ロボット部用アクチュエータとしてX軸モータ41、Y軸モータ42を、搬送部用アクチュエータとしてベルトモータ31f、31rを、それぞれ用いた。モータの種類は特に限定しない。ステッピングモータ、サーボモータ、リニアモータなどを用いてもよい。
【0101】
特に、ロボット部用アクチュエータとしてリニアモータを用いると、電子部品の装着作業を高速化、高精度化することができる。また、発熱しやすいリニアモータを、冷却部5により、重点的に冷却することができる。
【0102】
冷却部5の構成は特に限定しない。熱交換面積を広くするために、上段収容部21に表出するように、複数の放熱フィンを配置してもよい。冷蔵庫のように、冷気を上段収容部21に放出してもよい。熱移動の方式は、熱放射(輻射)、熱伝導、熱伝達、いずれでもよい。
【0103】
冷却部5の冷却通路50は、ベース本体28の上壁のみならず、左右両側壁、中段補強部22、後壁、下壁などに配置してもよい。こうすると、下段モジュール3、上段モジュール4を外周から効率的に冷却することができる。
【0104】
上記実施形態においては、ベース2の収容部(下段収容部20、上段収容部21)に、各々、2個のモジュール(下段モジュール3、上段モジュール4)分のスペースを確保した。しかしながら、収容部に、各々1個のモジュール分のスペースを確保してもよい。
【0105】
また、下段収容部20にだけ下段モジュール3を配置し、上段収容部21に上段モジュール4を配置しなくてもよい。こうすると、基板Bf、Brの搬送だけを行うことができる。
【0106】
また、ベース2を左右中央(2個の下段モジュール3間および2個の上段モジュール4間)で分割可能にしてもよい。こうすると、下段収容部20、上段収容部21に「空きスペース」が発生する場合、生産ライン9に、ベース2の分割体を配置することができる。すなわち、当該ベース2の分割体と、左右方向に隣接する別のベース2と、を連結することにより、「空きスペース」を解消することができる。
【0107】
また、ベース2に脚部を配置してもよい。また、図11に示すようなレベリングボルト110を脚部に配置してもよい。こうすると、脚部長を調整することができる。
【0108】
また、図1に示す生産ライン9の隣り合うベース本体28同士は、互いにボルトや図9、図10に示すクランプ装置などで連結されており、電子部品実装機1などの生産ライン構成機器の配置数の増減が可能である。このため、生産能力に応じたフレキシブルな生産ライン9の構築が可能である。
【0109】
上記実施形態においては、上段モジュール4に単一のロボット部40を配置したが、複数、例えば二つのロボット部40を配置してもよい。二つのロボット部40を配置する場合、下段モジュール3の第一レーン(基板Bf)に一方のロボット部40を、第二レーン(基板Br)に他方のロボット部40を、各々対応させてもよい。また、二つのロボット部40を、各々、第一レーンおよび第二レーンの双方に対応させてもよい。
【0110】
また、ベース2とモジュール(下段モジュール3、上段モジュール4)との連結は、図9、図10に示すクランプ装置やボルトなどを用いて行うことができるが、着脱の嵌め合い公差は、管理されている方がよい。ベース2とモジュールとの接触面積が広いほど、減衰性の向上が望めるからである。
【符号の説明】
【0111】
1:電子部品実装機、2:ベース、3:下段モジュール、4:上段モジュール、5:冷却部、9:生産ライン。
20:下段収容部、21:上段収容部、22:中段補強部、23D:上段下面クランプ装置、23M:上段側面クランプ装置、23U:上段上面クランプ装置、24D:下段下面クランプ装置、24M:下段側面クランプ装置、24U:下段上面クランプ装置、25:基板搬送口、26:上段ガイドレール、27:下段ガイドレール、28:ベース本体、30:搬送部、31f:ベルトモータ(搬送部用アクチュエータ)、31r:ベルトモータ(搬送部用アクチュエータ)、32:バックアップ部、34:パーツカメラ、35:搬送部用制御部、36:下段被ガイド溝、39:モジュール本体、40:ロボット部、41:X軸モータ(ロボット部用アクチュエータ)、42:Y軸モータ(ロボット部用アクチュエータ)、43:装着ヘッド、44:吸着ノズル、45:マークカメラ、46:ロボット部用制御部、47:上段被ガイド溝、49:モジュール本体、50:冷却通路、51:供給口、52:排出口。
240D:シリンダ揺動軸、241D:シリンダ、242D:ピストン、243D:ピン、244D:ピン揺動軸、289:ピン挿通孔、300:固定壁、301:第一可動壁、302:第二可動壁、303:ガイドレール、304f:コンベアベルト、304r:コンベアベルト、320f:Z軸モータ、320r:Z軸モータ、321f:バックアップテーブル、321r:バックアップテーブル、322:バックアップピン、350:コンピュータ、351:入出力インターフェイス、352:駆動回路、390D:下面被係合孔、390M:側面被係合孔、390U:上面被係合孔、400:X軸スライド、401:Y軸スライド、402:X軸下スライド、403:Y軸下スライド、430:Z軸モータ、431:θ軸モータ、460:コンピュータ、461:入出力インターフェイス、462:駆動回路、490D:下面被係合孔、490M:側面被係合孔、490U:上面被係合孔。
Bf:基板、Br:基板。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下段収容部と、該下段収容部の上方に配置される上段収容部と、該下段収容部と該上段収容部との間に介在する中段補強部と、を有するベースと、
該下段収容部に交換可能に収容、固定される下段モジュールと、
該上段収容部に交換可能に収容、固定され、ロボット部と、該ロボット部を駆動するロボット部用アクチュエータと、該ロボット部に配置され電子部品を基板に装着する装着ヘッドと、を有する上段モジュールと、
を備える電子部品実装機。
【請求項2】
前記上段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部を有し、
前記下段モジュールは、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する請求項1に記載の電子部品実装機。
【請求項3】
前記中段補強部には、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、が搭載され、
前記下段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部と、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する請求項1に記載の電子部品実装機。
【請求項4】
前記ベースに配置される冷却部を備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品実装機。
【請求項5】
前記冷却部は、前記上段収容部に近接して配置される請求項4に記載の電子部品実装機。
【請求項1】
下段収容部と、該下段収容部の上方に配置される上段収容部と、該下段収容部と該上段収容部との間に介在する中段補強部と、を有するベースと、
該下段収容部に交換可能に収容、固定される下段モジュールと、
該上段収容部に交換可能に収容、固定され、ロボット部と、該ロボット部を駆動するロボット部用アクチュエータと、該ロボット部に配置され電子部品を基板に装着する装着ヘッドと、を有する上段モジュールと、
を備える電子部品実装機。
【請求項2】
前記上段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部を有し、
前記下段モジュールは、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する請求項1に記載の電子部品実装機。
【請求項3】
前記中段補強部には、前記基板を搬送する搬送部と、該搬送部を駆動する搬送部用アクチュエータと、が搭載され、
前記下段モジュールは、前記ロボット部用アクチュエータを制御するロボット部用制御部と、該搬送部用アクチュエータを制御する搬送部用制御部と、を有する請求項1に記載の電子部品実装機。
【請求項4】
前記ベースに配置される冷却部を備える請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電子部品実装機。
【請求項5】
前記冷却部は、前記上段収容部に近接して配置される請求項4に記載の電子部品実装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−62444(P2013−62444A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201145(P2011−201145)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000237271)富士機械製造株式会社 (775)
【Fターム(参考)】
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