説明

電子部品搭載基板用ケース

【課題】 治具を必要とせず、ケースに収めた基板に電子部品を確実に接続することができる電子部品搭載基板用ケースを提供することにある。
【解決手段】 電子部品搭載基板用ケース2は、基板を固定する底部4と、その外周から立ち上がる側壁部6と、そこから内方に突出するガイド部8とを備えている。ガイド部8には、上下方向及び突出方向に開口する複数のガイド孔8aが設けられている。底部4に基板が固定されると、ガイド部8が基板上のソケットに対面する。この電子部品搭載基板用ケース2においては、基板を収めた後、ガイド孔8aにリード端子をソケットに接続しながら電子部品を基板に搭載することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多数のリード端子が設けられている液晶表示装置等の電子部品を接続するソケットが設けられている基板を収める電子部品搭載基板用ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品や基板等をまとめてユニット化することで取り扱い及び組み立てを容易にすることが進められている。通常、電子部品や基板等を収めるケースは、予め電子部品を接続して搭載した基板を収めるだけのものであった。このため、多数のリード端子が設けられている電子部品をソケットに接続する基板を収める場合、ガイド孔を複数備えた基板装着治具(例えば、特許文献1参照)を用いて電子部品を基板に接続した後、ケースに収めていた。
【特許文献1】実開平7−3200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術においては、予め専用の治具を用意して基板に電子部品を搭載した後、ケースに収めることが必要であったため、手間がかかるという問題があった。また、電子部品を搭載して大きくなり且つより注意深く取り扱わなければならない状態になった基板をケースに収めることが必要となり、慎重で確実な作業が求められていた。
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、上記従来技術の問題点を解決し、治具を必要とせず、ケースに収めた基板に電子部品を確実に接続することができる電子部品搭載基板用ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の電子部品搭載基板用ケースは、複数のリード端子を有する電子部品が接続されるソケットを有する基板を収める電子部品搭載基板用ケースであって、前記基板を固定する底部と、該底部外周から立ち上がる側壁部と、該側壁部から内方に突出し、前記複数のリード端子をガイドすると共に前記底部に固定した前記基板のソケットに対面し且つ上下方向及び突出方向に開口する複数のガイド孔を有するガイド部と、を備えるものである。この電子部品搭載基板用ケースにおける前記底部は、前記基板に対面する底板部と、該底板部から突出し且つ前記基板を固定する突出部とからなる。また、前記ガイド部は、前記底部に固定された前記基板のソケットとほぼ同じ高さに形成されている。また、前記複数のリード端子は、前記ガイド部のガイド孔に挿入されることによりガイドされ、前記底部に固定された前記基板のソケットに挿入されて接続される。
【発明の効果】
【0006】
本発明の電子部品搭載基板用ケースにおいては、その側壁部から内方に突出するガイド部が設けられており、このガイド部によって電子部品のリード端子をガイドすることができるように構成している。このため、基板をケースに収めた後、治具を使用することなく電子部品を基板に接続して取り付けることができる。これにより、電子部品を取り付ける前に基板をケースに収めることができ、ケースに収める作業がし易く、電子部品の取り扱いも容易になる。
【0007】
また、ケースの底部は底板部とそこから突出する突出部とから構成され、その突出部にに基板を固定しているので、基板の裏面側に突出する部品を底板部と基板との間に収めることができ、これにより基板を平らに固定するすることができる。その結果、ガイド孔とソケットの位置を正確に合わせることができる。
【0008】
また、ガイド部をソケットの高さとほぼ同じ高さに形成しているので、ガイド部の下にソケットが適合し、基板とソケットが上下方向に移動しないように仮止めすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の電子部品搭載基板用ケースは、基板を固定する底部と、その外周から立ち上がる側壁部と、そこから内方に突出するガイド部とを備えている。ガイド部には、上下方向及び突出方向に開口する複数のガイド孔が設けられている。底部に基板が固定されると、ガイド部が基板上のソケットに対面する。この電子部品搭載基板用ケースにおいては、基板を収めた後、ガイド部のガイド孔に電子部品のリード端子を挿入して複数のリード端子をソケットに接続しながら電子部品を基板に搭載することができる。
【実施例】
【0010】
図1は本発明の一実施例に係る電子部品搭載基板用ケースを示す斜視図、図2(a),(b)は図1に示すガイド部の平面図とそのA−A断面図、図3はソケットが取り付けられた基板を示す斜視図、図4は複数のリード端子を有する電子部品を示す斜視図である。
【0011】
2は電子部品搭載基板用ケースであり、底部4と、その外周から立ち上がる側壁部6と、その上部に設けられたガイド部8とから構成されている。
【0012】
底部4は、基板10に対面すると共に基板10の外形よりわずかに大きい略相似形をなす底板部4bと、この底板部4bから上方に突出する数個の略円筒状の突出部4aとから構成されている。この突出部4aは、基板10をネジ止め等により固定するためのものであり、基板10の裏面側に突出する部品の突出する丈に見合った高さに設定されている。
【0013】
側壁部6は、底部4に固定された基板10の周囲を囲うように設けられており、本実施例では、固定された基板10に設けられたソケット12よりもわずかに高くなるように高さが設定されている。
【0014】
ガイド部8は、側壁部6の上部に設けられている。本実施例においては、底部4と側壁部6とガイド部8がプラスチック等の一体成形により形成されている。このガイド部8は、側壁部6の上部内面からケース内方に突出しており、底部4に固定される基板10のソケット12の上に被さるように配置されている。このガイド部8の突出方向の先端部分には、上下方向及び突出方向に開口する複数のガイド孔8aが設けられている。このガイド孔8aは、上方の径が大きく下方の径が小さいすり鉢状をなすもので、下方の径の幅で突出方向に開口するものとなっている。また、ガイド孔8aは、その下方の開口位置が、底部4に固定された基板10のソケット12の挿入孔12aに対面するように、位置付けられている。
【0015】
次に、上記構成からなる電子部品搭載基板用ケース2に基板10を収め、その基板10のソケット12に電子部品14のリード端子16を接続するときの状態を説明する。はじめに、本実施例にて使用する基板10と電子部品14の概略構成を説明する。図3に示す基板10には、その表面又は裏面に多くの導電パターン(図示省略)と部品(図示省略)が設けられており、その隅に図4に示す電子部品14を接続するためのソケット12が2個固着されている。このソケット12は直方体をなし、その上面に接続用の挿入孔12aが一列に複数設けられている。図4に示す電子部品14は、本実施例においては液晶表示装置からなり、ガラス基板14aの端部から複数のリード端子16が下方に引き出されている。また、この電子部品14のフレーム14bの端部下方には、基板10に取り付けるための係合部14c等が設けられており、この係合部14cを基板10に設けた凹部、孔等(図示省略)に嵌め込んで係合させることにより基板10に取り付けられるものとなっている。
【0016】
上記のような基板10は、電子部品搭載基板用ケース2における底部4の突出部4a上に基板10を載置する。このときに図5及び図6に示すように、ソケット12はガイド部8の下に入り込み、また、基板10の裏面に取り付けられた部品18が基板10と底板部4bとの間に収められる。これにより、図6及び図7に示すように、基板10は突出部4a上に平らな状態になると共に、ソケット12がガイド部8の下に嵌まって上下に動かないように保持されて仮止めされる。ここで、ネジ等を用いて基板10を突出部4aに固定する。
【0017】
上記のように突出部4aに基板10が固定されると、ソケット12の挿入孔12aがガイド部8のガイド孔8aの真下に位置することになる。ここで、図8に示すように、電子部品14のリード端子16をガイド孔8aに上方から挿入する。このときに、リード端子16の先端がソケット12の挿入孔12aの位置から多少ずれていても、上方の開口が広がっているガイド孔8aには容易に挿入することができる。このようにガイド孔8aに挿入されたリード端子16は、ガイド孔8aによってソケット12の挿入孔12aに導かれて、図9に示すように挿入孔12aに挿入される。尚、このときに本実施例における電子部品14は、その係合部14cが基板10に係合することで基板10に固定される。
【0018】
上記のように、電子部品搭載基板用ケース2を使用すると、電子部品14のリード端子16を簡単に基板10のソケット12に接続することができる。特に、電子部品搭載基板用ケース2内に基板10を収めた後、基板10に電子部品14を簡単に接続しながら取り付けることができ、基板10と電子部品14の取付の自由度を高めることができる。
【0019】
尚、ガイド部8を側壁部6とは別体の部品、例えば金属製の部品等で形成して側壁部6に取り付けることも可能であり、このように構成すれば、ソケット12や挿入孔12aの数や位置の変更にも、ガイド部8のみを交換するだけで対応することが可能である。
【0020】
また、本実施例における電子部品搭載基板用ケース2は、上方が開口しており、基板10及び電子部品14を取り付けた後、その開口側を窓孔等が設けられた外装や他の製品に取り付けるものとなっている。また、この他、窓孔等が設けられた上ケースをその開口部分に取り付けてユニット化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例に係る電子部品搭載基板用ケースを示す斜視図である。
【図2】(a),(b)は図1に示すガイド部の平面図とそのA−A断面図である。
【図3】ソケットが取り付けられた基板を示す斜視図である。
【図4】複数のリード端子を有する電子部品を示す斜視図である。
【図5】底部に基板を取り付けるときの状態を示す要部断面図である。
【図6】底部に基板を取り付けた状態を示す要部断面図である。
【図7】底部に基板を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図8】ガイド孔にリード端子を挿入するときの状態を示す要部断面図である。
【図9】ガイド孔にリード端子を挿入した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
2 電子部品搭載基板用ケース
4 底部
6 側壁部
8 ガイド部
4a 突出部
4b 底板部
8a ガイド孔
10 基板
12 ソケット
12a 挿入孔
14 電子部品
14a ガラス基板
14b フレーム
14c 係合部
16 リード端子
18 部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリード端子を有する電子部品が接続されるソケットを有する基板を収める電子部品搭載基板用ケースであって、
前記基板を固定する底部と、
該底部外周から立ち上がる側壁部と、
該側壁部から内方に突出し、前記複数のリード端子をガイドすると共に前記底部に固定した前記基板のソケットに対面し且つ上下方向及び突出方向に開口する複数のガイド孔を有するガイド部と、
を備えることを特徴とする電子部品搭載基板用ケース。
【請求項2】
前記底部は、前記基板に対面する底板部と、該底板部から突出し且つ前記基板を固定する突出部とからなることを特徴とする請求項1記載の電子部品搭載基板用ケース。
【請求項3】
前記ガイド部は、前記底部に固定された前記基板のソケットとほぼ同じ高さに形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の電子部品搭載基板用ケース。
【請求項4】
前記複数のリード端子は、前記ガイド部のガイド孔に挿入されることによりガイドされ、前記底部に固定された前記基板のソケットに挿入されて接続されることを特徴とする請求項1乃至3の一つに記載の電子部品搭載基板用ケース。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−111254(P2009−111254A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−283704(P2007−283704)
【出願日】平成19年10月31日(2007.10.31)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】