説明

電子部品

【課題】電子部品の巻線端末の配線構造を単純にすること。
【解決手段】開口凹部25を有する外装ケース12Aと、外装ケース12Aの開口凹部25に配置されると共に、巻線33,43が巻回されている複数の電子部品素子31,41と、外装ケース12Aの側縁部に配設される複数の端子16Aと、を有し、複数の端子16Aは、基板に実装される実装部161a,162aと、巻線33,43の端末が絡げられる絡げ部161c,162e,162fと、を有し、複数の端子16Aのうち少なくとも1つは、1つの実装部161a,162aに対して、複数の絡げ部161c,162e,162fを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機器およびネットワーク接続機器等において信号を伝送するための電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、通信機器用、またはネットワーク接続機器用として、チョークコイルとパルストランスとを備える電子部品が存在する(特許文献1を参照)。このタイプの電子部品においては、トロイダルコアに巻線を巻回したパルストランスもしくはチョークコイル等の電子部品素子をケース内に格納し、該電子部品素子から巻線の端末を引き出している。そして、この端末を、ケースから露出する実装部を備えた端子に絡げている。
【0003】
【特許文献1】特開2005−93784号公報(要約書)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されている電子部品では、ケース内に格納されている合計4個の電子部品素子から巻線の端末が引き出され、該端末が端子に絡げられている。その結果、この特許文献1では、これら端子に絡げられた巻線端末の配線構造が複雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、巻線端末の配線構造を単純にすることが可能な電子部品を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、開口凹部を有する外装ケースと、外装ケースの開口凹部に配置されると共に、巻線が巻回されている複数の電子部品素子と、外装ケースの側縁部に配設される複数の端子と、を有し、複数の端子は、基板に実装される実装部と、巻線の端末が絡げられる絡げ部と、を有し、複数の端子のうち少なくとも1つは、1つの実装部に対して、複数の絡げ部を有するものである。
【0007】
このように構成した場合には、少なくとも1つの端子は、1つの実装部につき複数の絡げ部を有している。このため、電子部品素子に巻回された巻線の端末を絡げる箇所の自由度が拡がる。その結果、端末の配線構造を単純にすることが可能となる。また、1つの実装部に対して複数の端末を接続しなければならない場合、絡げ作業が容易となる。
【0008】
また、他の発明は、上述の発明に加えて更に、外装ケースの側縁部は、一対の対向する周壁部を有しており、絡げ部を、周壁部の長手方向に複数設けたものである。このように構成した場合には、周壁部の長手方向のスペースを有効活用して絡げ部を設けることが可能となる。その結果、電子部品が大型化することなく絡げ部の数を増やすことが可能となる。
【0009】
さらに、他の発明は、上述の発明に加えて更に、複数の端子のうち、複数の絡げ部を有しないものの配列の間に間隔を設けると共に、この間隔に複数の絡げ部を有する端子を配設したものである。このように構成した場合には、電子部品を基板に実装する際、実装部が基板に形成された配線パターンと接触するのを防止できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、電子部品における巻線端末の配線構造を単純にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品10Aについて、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明(各実施の形態に共通)において、図1〜図12に示す矢示X1方向を前、矢示X2方向を後、矢示Y1方向を左、矢示Y2方向を右、矢示Z1方向を上および矢示Z2方向を下とそれぞれ規定する。
【0012】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品10Aのケース体12Aの構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。図2は、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品10Aのケース体12Aの構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。図3は、本発明の第1の実施の形態に係る電子部品10Aの平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【0013】
電子部品10Aは、図3に示すように、ケース体12Aの内部に電子部品素子となるパルストランス31,31およびチョークコイル41,41とを配置することにより構成される。ケース体12Aは、図1および図2に示すように、一方が開口した略長方形の箱型形状を呈している。該ケース体12Aは、箱状のケース部14と、該ケース部14の側方に設けられた端子部16Aと、から主に構成されている。
【0014】
図1および図2に示すように、ケース部14は、例えば実装基板に実装される側の全面が開放している箱型形状に設けられており、その箱型形状を構成する構成要素として、周壁部22と、底壁部23とを有している。これらのうち、周壁部22は、長手方向の両端側(前後)に位置する短尺周壁部22Aと、これら一対の短尺周壁部22Aの間に位置しケース部14の長手に沿う一対の長尺周壁部22Bとを有している。そして、これら短尺周壁部22Aと、長尺周壁部22Bにより、周壁部22は、その外観が四角形のリング状の形態に設けられている。なお、短尺周壁部22Aは、長尺周壁部22Bよりも長さ寸法が短く設けられている。また、短尺周壁部22Aには、端子部16Aを埋設する必要がないため、当該短尺周壁部22Aの厚み寸法は、長尺周壁部22Bよりも小さく設けられている。
【0015】
また、一対の短尺周壁部22Aの間には、底壁部23が架け渡されている。この底壁部23は、その上面が短尺周壁部22Aの上端よりも上方に位置すると共に、その下面が短尺周壁部22Aの上端よりも下方に位置するように設けられている。また、底壁部23の幅寸法(短手方向の寸法)は、一対の長尺周壁部22Bの内壁間の寸法よりも小さい。加えて、この底壁部23と、周壁部22との中心線が一致するように設けられている。そのため、長尺周壁部22Bと底壁部23との間には、長手方向に細長い、一対の貫通溝24が設けられている。
【0016】
また、ケース部14は、耐熱性に優れた樹脂からなっている。このような樹脂として、例えば、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー、液晶ポリエステル等が挙げられる。しかしながら、ケース部14の素材はこれらの樹脂に限定されるものではない。
【0017】
図1および図2に示すように、長尺周壁部22Bには、前方から後方に向かって、それぞれ複数(本実施の形態では、合計6つ)の端子部16Aが埋設されている。端子部16Aには、第1の端子161、および第2の端子162が存在する。これらのうち、第1の端子161は、実装部161aと、立ち上がり部161bとを備えている。実装部161aは、実装基板に実装時に接触する部位であり、長尺周壁部22Bの法線方向に沿って、周壁部22から離間する側に向かって所定だけ延伸している。また、立ち上がり部161bは、実装部161aの根元から上方に向かって立ち上がる部位であり、長尺周壁部22Bの高さ寸法よりも大きな長さ寸法を有している。そして、これら実装部161aと立ち上がり部161bとにより、第1の端子161の側方から見た外観形状は、略L字状となっている。
【0018】
また、立ち上がり部161bは、その多くの部分が長尺周壁部22Bに埋設されているが、当該立ち上がり部161bのうち、上端側は、長尺周壁部22Bの上端から露出している。そして、この露出部分に、後述する端末を絡げている。なお、以下の説明においては、この露出部分を、絡げ部161cと称呼する。
【0019】
また、第2の端子162は、上述の実装部161a、立ち上がり部161bと同様の実装部162a、立ち上がり部162bをそれぞれ有している。それに加えて、第2の端子162は、略L字状であって、寸法の小さな端子部分が立ち上がり部162bの中途部に取り付けられる形状に設けられている。この略L字状の端子部分は、側方延出部162cと、小立ち上がり部162dとから構成されている。これらのうち、側方延出部162cは、立ち上がり部162bの上下方向略中央から、当該立ち上がり部162bの幅方向に沿って延出している。また、小立ち上がり部162dは、側方延出部162cの先端から、上方に向かって延伸している。
【0020】
なお、本実施の形態では、小立上がり部162dの上端位置は、立ち上がり部162bの上端位置と高さ位置が略等しく設けられている。また、小立ち上がり部162dの上端側も、長尺周壁部22Bの上端から露出しており、以下の説明においては、この露出部分を、絡げ部162eと称呼する。また、立ち上がり部162bのうち、長尺周壁部22Bの上端から露出している部分を、絡げ部162fと称呼する。また、上記のように、第2の端子162は、立ち上がり部162bと小立ち上がり部162dを有するため、上方側から8つの端子部分が露出すると共に、下方側から6つの端子部分が露出する形状に設けられている。
【0021】
また、図1に示すように、第2の端子162は、それぞれの長尺周壁部22B内に、2つずつ、合計4つ設けられている。ここで、2つの第2の端子162は、長尺周壁部22Bのうち、短手方向の中心を挟み、対称形状に設けられている。そのため、これら2つの第2の端子162を特に区別する必要がある場合、前側の第2の端子162を第2の端子162A、後側の第2の端子162を第2の端子162Bと称呼する。
【0022】
なお、第1の端子161、および第2の端子162は、立ち上がり部161b、立ち上がり部162bおよび小立ち上がり部162dの間隔が概ね等しくなるように配置されている。
【0023】
なお、第1の端子161、および第2の端子162の材料としては、銅、ステンレス、鉄またはアルミニウム等のような導電性に優れた金属を採用するのが好ましい。各端子161,162は、ケース部14と一体成形されている。しかしながら、各端子161,162は、ケース部14と一体成形することに限定されず、周壁部22に予め設けられた差し込み用の孔に差し込んで、ケース部14に取り付けるようにしても良い。
【0024】
図3に示すように、ケース体12Aの開口凹部25には、電子部品素子となる2つのパルストランス31と、2つのチョークコイル41が配置されている。パルストランス31は、リング状のトロイダルコア32のそれぞれに巻線33を巻回することによって形成されている。また、チョークコイル41もリング状のトロイダルコア42のそれぞれに巻線43を巻回することによって形成されている。パルストランス31には、大きなインダクタンス値が要求される。そのため、トロイダルコア32の大きさは、トロイダルコア42よりも大きくなっている。
【0025】
パルストランス31は前後に並ぶように配置されており、チョークコイル41は、左右に並ぶように配置されている。すなわち、パルストランス31およびチョークコイル41は、開口凹部25内に略菱形状に配置されている。パルストランス31およびチョークコイル41は、開口凹部25内に接着剤を用いて固定されている。なお、トロイダルコア32,42の材料として、例えば、フェライト、パーマロイ、センダスト、鉄またはカルボニル等の磁性材が挙げられる。しかしながら、トロイダルコア32,42の材料は、これらの磁性材に限定されるものではない。また、巻線33,43の材料としては、銅、ステンレス、鉄またはアルミニウム等の導電性に優れた金属が挙げられる。しかしながら、巻線33,43の材料は、これらの金属に限定されるものではない。
【0026】
図3に示すように、パルストランス31およびチョークコイル41からは、合計12本の端末が引き出され、端子部16Aに接続されている。各端末は、ケース体12Aの内部から貫通溝24を介して外側に引き出され、端子部16Aに接続されている。具体的には、パルストランス31からは、4本の端末が引き出されている。その内3本は、一方の貫通溝24を介してケース体12Aの外側に引き出され、長手方向の一端部の絡げ部161cに1本、それと隣り合う絡げ部161cに1本、さらに隣の絡げ部162fにもう1本が、それぞれ絡げられている。残りの1本は、他方の貫通溝24を介してケース体12Aの外側に引き出され、長手方向の一端部の絡げ部161cに絡げられている。
【0027】
また、チョークコイル41からは、2本の端末が、上述の残りの1本の端末が引き出されている貫通溝24と同一の貫通溝24を介してケース体12Aの外側に引き出されている。そして、このチョークコイル41の端末は、上述の残りの1本が絡げられている絡げ部161cと隣り合う絡げ部161cと、これと隣り合う第2の端子162における絡げ部162eとに、それぞれ絡げられている。また、パルストランス31とチョークコイル41間は、2本の配線によって互いに接続されている。なお、絡げ部162fに絡げられている、パルストランス31から引き出された端末を、適宜、同じ第2の端子162の絡げ部162eに接続することも可能である。また、チョークコイル41から引き出され絡げ部162eに絡げられている端末を、適宜、絡げ部162fに絡げることも可能である。
【0028】
なお、2つのパルストランス31、および2つのチョークコイル41は、長手方向の中心、および短手方向の中心を挟んで、それぞれ対称となるように配置されている。また、2つのパルストランス31の端末、および2つのチョークコイル41の端末は、長手方向の中心、および短手方向の中心を挟んで、それぞれ対称となるように絡げられている。また、各端末と各絡げ部161c,162e,162fとの間の電気的な接続は、それぞれの端末を、各絡げ部161c,162e,162fに絡げた後、半田付けすることにより行われる。
【0029】
以上のように構成された電子部品10Aでは、第1の端子161、および第2の端子162のそれぞれには、絡げ部161c、絡げ部162eおよび絡げ部162fがそれぞれ形成されている。そのため、第2の端子162には、1つの実装部162aに対して、それぞれ2つの絡げ部162e,162fが設けられている状態となる。したがって、パルストランス31およびチョークコイル41のそれぞれに巻回された巻線33,43の端末を絡げる箇所の自由度が拡がる。それにより、端末をより絡げやすい位置に絡げることが可能となる。例えば、本実施の形態では、チョークコイル41の端末を、当該チョークコイル41から最も近い絡げ部である絡げ部162eに絡げることが可能となる。その結果、端末の配線構造を単純にすることが可能となる。また、端末の配線構造が単純となるため、端末の端子部16Aへの絡げ作業が容易となる。
【0030】
また、電子部品10Aでは、長尺周壁部22Bの長手方向のスペース(図3における間隔A)を有効活用して、絡げ部162eを追加的に設けている。その結果、当該長手方向のスペースを活用しない場合と比較すると、絡げ部162eを追加的に設けることを起因として、電子部品10Aが大型化するのを防止できる。また、電子部品10Aの下方においては、第2の端子162の実装部162aの間には、間隔Aが形成されている(図3を参照)。したがって、電子部品10Aを基板に実装する際、端子部16Aが基板に形成された配線パターンと接触することを防止できる。
【0031】
(第2の実施の形態)
以下、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品10Bについて、図面を参照しながら説明する。なお、第2の実施の形態に係る電子部品10Bにおいて、第1の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0032】
図4は、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品10Bのケース体12Bの構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。図5は、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品10Bのケース体12Bの構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。図6は、本発明の第2の実施の形態に係る電子部品10Bの平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【0033】
本実施の形態におけるケース体12Bは、図4および図5に示すように、上述の第1の実施の形態におけるのと同様のケース部14と、端子部16Bと、から主に構成されている。端子部16Bは、第1の実施の形態におけるのと同様の第1の端子161と、第3の端子163とから構成されている。また、電子部品10Bは、図6に示すように、ケース体12Bの内部に、上述の第1の実施の形態におけるのと同様のパルストランス31およびチョークコイル41を配置することにより構成される。
【0034】
図4および図5に示すように、長尺周壁部22Bには、前方から後方に向かって、端子部16Bを構成する合計6つの端子161,163が埋設されている。これらのうちの5本は、上述した第1の端子161であり、残りの1本が第3の端子163である。
【0035】
また、第3の端子163は、上述の実装部161a,162aと同様の実装部163aを有すると共に、上述の実装部161b,162bと同様の立ち上がり部163bを有している。それに加えて、第3の端子163は、略F字状であって、寸法の小さな端子部分が、当該F字形状の根元から立ち上がり部163bの中途部に取り付けられる形状に設けられている。この略F字状の端子部分は、側方延出部163cと、2つの小立ち上がり部163d,163eとから構成されている。
【0036】
これらのうち、側方延出部163cは、立ち上がり部163bの上下方向略中央から、当該立ち上がり部163bの幅方向に沿って延出している。なお、この側方延出部163cは、上述の第1の実施の形態における側方延出部162cよりも、長さ寸法が長く設けられている。また、小立ち上がり部163dは、側方延出部162cの中途部分から、上方に向かって延伸している。さらに、小立ち上がり部163eは、側方延出部163eの先端から、上方に向かって延伸している。ここで、立ち上がり部163bと小立ち上がり部163dの間の間隔、および2つの小立ち上がり部163d,163eの間の間隔は、等しく設けられている。
【0037】
また、本実施の形態では、小立上がり部163d,163eの上端位置は、立ち上がり部163bの上端位置と高さ位置が略等しく設けられている。また、小立ち上がり部163d,163eの上端側も、長尺周壁部22Bの上端から露出しており、以下の説明においては、この露出部分を、それぞれ絡げ部163f,163gと称呼する。また、立ち上がり部163bのうち、長尺周壁部22Bの上端から露出している部分を、絡げ部163hと称呼する。また、上記のように、第3の端子163は、立ち上がり部163bと小立ち上がり部163d,163eを有するため、上方側から8つの端子部分が露出すると共に、下方側から6つの端子部分が露出する形状に設けられている。
【0038】
また、図4等に示すように、第3の端子163は、それぞれの長尺周壁部22B内に、1つずつ、合計2つ設けられている。ここで、長尺周壁部22Bにおいては、その長手方向の一端側から見ると、第1の端子161が3つ並んだ後の位置に第3の端子163が設けられている。逆側の長手方向の他端側から見ると、第1の端子161が2つ並んだ後の位置に第3の端子163が設けられている。ここで、立ち上がり部163bは、第1の端子161が2つ並んだ後に存在するように配置されている。換言すれば、小立ち上がり部163eは、他端側から見ると、第1の端子161が3つ並んだ後に存在するように配置されている。
【0039】
なお、第1の端子161、および第3の端子163は、立ち上がり部161b、立ち上がり部163b、および小立ち上がり部163d,163eの間隔が概ね等しくなるように配置されている。
【0040】
なお、図6に示すように、ケース体12Bの開口凹部25にも、2つのパルストランス31と、2つのチョークコイル41とが配置されている。これらパルストランス31およびチョークコイル41からは、合計12本の端末が引き出され、端子部16Bに接続されている。これらの端末のうち、パルストランス31から引き出される4本の端末のうち3本は、一方の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出され、長手方向の一端部に存在する、3つの絡げ部161cにそれぞれ絡げられている。残りの1本は、他方の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出され、長手方向の一端部の絡げ部161cに絡げられている。
【0041】
また、チョークコイル41からは、2本の端末が、同一の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出されている。そして、このチョークコイル41の端末は、パルストランス31の3本の端末とは逆側に存在する、残りの1本の端末と隣り合う絡げ部161cに絡げられると共に、絡げ部163fとにそれぞれ絡げられている。なお、絡げ部163fに絡げられている、チョークコイル41から引き出された端末を、適宜、同じ第3の端子163の絡げ部163gまたは絡げ部163hに接続することも可能である。また、パルストランス31とチョークコイル41間の配線として、第3の端子163を用いるようにしても良い。
【0042】
以上のように構成された電子部品10Bでは、第3の端子163は3つの絡げ部163f,163g,163hを有する。したがって、パルストランス31およびチョークコイル41のそれぞれに巻回された巻線33,43の端末を絡げる箇所の自由度が拡がる。そのため、端末をより絡げやすい位置に絡げることが可能となる。例えば、本実施の形態では、チョークコイル41の端末を、当該チョークコイル41から最も近い絡げ部である絡げ部163fに絡げることが可能となる。その結果、端末の配線構造を単純にすることが可能となる。また、端末の配線構造が単純となるため、端末の端子部16Bへの絡げ作業が容易となる。
【0043】
また、電子部品10Bでは、長尺周壁部22Bの長手方向のスペース(図6における間隔B)を有効活用して、絡げ部163f,163gを追加的に設けている。その結果、当該長手方向のスペースを活用しない場合と比較すると、絡げ部163f,163gを追加的に設けることを起因として、電子部品10Bが大型化するのを防止できる。また、電子部品10Bの下方においては、第3の端子163の実装部163aの間には、間隔Bが形成されている(図6を参照)。したがって、電子部品10Bを基板に実装する際、端子部16Bが基板に形成された配線パターンと接触することを防止できる。
【0044】
(第3の実施の形態)
以下、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品10Cについて、図面を参照しながら説明する。なお、第3の実施の形態に係る電子部品10Cにおいて、第1および第2の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0045】
図7は、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品10Cのケース体12Cの構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。図8は、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品10Cのケース体12Cの構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。図9は、本発明の第3の実施の形態に係る電子部品10Cの平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【0046】
本実施の形態におけるケース体12Cは、図7および図8に示すように、上述の第1の実施の形態におけるのと同様のケース部14と、端子部16Cと、から主に構成されている。端子部16Cは、第1の実施の形態におけるのと同様の第1の端子161と、第4の端子164とから構成されている。また、電子部品10Cは、図9に示すように、ケース体12Bの内部に、上述の第1の実施の形態におけるのと同様のパルストランス31およびチョークコイル41を配置することにより構成される。
【0047】
図7および図8に示すように、長尺周壁部22Bには、前方から後方に向かって、端子部16Cを構成する合計6つの端子161,164が埋設されている。これらのうちの4本は、上述した第1の端子161であり、残りの2本が第4の端子164である。
【0048】
第4の端子164は、それ自体を平面視すると、略H字形状を有している。加えて、この第4の端子164は、それ自体を側面視すると、略L字形状をなすような折り曲げ形状に設けられている。なお、この折り曲げ形状のうち一方は実装部164a,164aとなっている。また、この折り曲げ形状のうち他方は、上方に向かって立ち上がる立ち上がり部164b,164bとなっている。また、側方延出部164cが、2つの立ち上がり部164b,164bにおける中途部分を幅方向に沿って連接している。
【0049】
また、本実施の形態では、立ち上がり部164b,164bの上端位置は、共に等しい高さとなっている。また、立ち上がり部164b,164bの上端側も、長尺周壁部22Bの上端から露出しており、以下の説明においては、この露出部分を、それぞれ絡げ部164d,164dと称呼する。また、上記のように、第4の端子164は、立ち上がり部164b,164bを有するため、上方側から8つの端子部分が露出すると共に、下方側から8つの端子部分が露出する形状に設けられている。
【0050】
また、図7等に示すように、第4の端子164は、それぞれの長尺周壁部22B内に、2つずつ、合計4つ設けられている。ここで、長尺周壁部22Bにおいては、その長手方向の一端側から見ると、第1の端子161が2つ並んだ後の位置に第4の端子164が2つ並んで設けられている。また、逆側の長手方向の他端側から見ると、第1の端子161が2つ並んだ後の位置に第4の端子164が2つ並んで設けられている。
【0051】
なお、第1の端子161および第4の端子164は、立ち上がり部161b、立ち上がり部164b,164bの間隔が概ね等しくなるように配置されている。
【0052】
なお、図9に示すように、ケース体12Bの開口凹部25にも、2つのパルストランス31と、2つのチョークコイル41とが配置されている。これらパルストランス31およびチョークコイル41からは、合計12本の端末が引き出され、端子部16Cに接続されている。これらの端末のうち、パルストランス31から引き出される4本の端末のうち3本は、一方の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出され、長手方向の一端部に存在する、2つの絡げ部161cおよび絡げ部164dにそれぞれ絡げられている。残りの1本は、他方の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出され、長手方向の一端部の絡げ部161cに絡げられている。
【0053】
また、チョークコイル41からは、2本の端末が、同一の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出されている。そして、このチョークコイル41の端末は、パルストランス31の3本の端末とは逆側に存在する、残りの1本の端末と隣り合う絡げ部161cに絡げられると共に、前方側の絡げ部164dとにそれぞれ絡げられている。なお、前方側の絡げ部164dに絡げられている、チョークコイル41から引き出された端末を、適宜、同じ第4の端子164の後方側の絡げ部164dに接続することも可能である。また、パルストランス31とチョークコイル41間の配線として、第4の端子164を用いるようにしても良い。
【0054】
以上のように構成された電子部品10Cでは、第4の端子164は2つの絡げ部164d,164dを有する。したがって、パルストランス31およびチョークコイル41のそれぞれに巻回された巻線33,43の端末を絡げる箇所の自由度が拡がる。そのため、端末をより絡げやすい位置に絡げることが可能となる。例えば、本実施の形態では、チョークコイル41の端末を、当該チョークコイル41から最も近い絡げ部である後方側の絡げ部164dに絡げることが可能となる。その結果、端末の配線構造を単純にすることが可能となる。また、端末の配線構造が単純となるため、端末の端子部16Cへの絡げ作業が容易となる。
【0055】
(第4の実施の形態)
以下、本発明の第4の実施の形態に係る電子部品80について、図面を参照しながら説明する。なお、第4の実施の形態に係る電子部品80において、第1から第3の実施の形態と共通する部分については、同一の符号を付すと共にその説明を省略または簡略化する。
【0056】
図10は、本発明の第4の実施の形態に係る電子部品10Dのケース体12Dの構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。図11は、本発明の第4の実施の形態に係る電子部品10Dのケース体12Dの構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。図12は、本発明の第4の実施の形態に係る電子部品10Dの平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【0057】
本実施の形態におけるケース体12Dは、図10および図11に示すように、上述の第1の実施の形態におけるのと同様のケース部14と、端子部16Dと、から主に構成されている。端子部16Dは、第1の実施の形態におけるのと同様の第1の端子161と、第5の端子165とから構成されている。また、電子部品10Dは、図12に示すように、ケース体12Bの内部に、上述の第1の実施の形態におけるのと同様のパルストランス31およびチョークコイル41を配置することにより構成される。
【0058】
図10および図11に示すように、長尺周壁部22Bには、前方から後方に向かって、端子部16Dを構成する合計6つの端子161,165が埋設されている。これらのうちの5本は、上述した第1の端子161であり、残りの1本が第5の端子165である。
【0059】
第5の端子165は、実装部165aと立ち上がり部165bとからなる略L字状の形態を有する端子を前後方向に3つ並べ、各立ち上がり部165bの中途部分を前後方向に延伸する延出部165cによって連接した形態を有している。
【0060】
また、本実施の形態では、立ち上がり部165b,165b,165bの上端位置は、共に等しい高さとなっている。また、立ち上がり部165b,165b,165bの上端側も、長尺周壁部22Bの上端から露出しており、以下の説明においては、この露出部分を、それぞれ絡げ部165d,165d,165dと称呼する。また、上記のように、第5の端子165は、立ち上がり部165b,165b,165bを有するため、上方側から8つの端子部分が露出すると共に、下方側から8つの端子部分が露出する形状に設けられている。
【0061】
また、図10等に示すように、第5の端子165は、それぞれの長尺周壁部22B内に、1つずつ、合計2つ設けられている。ここで、左側の長尺周壁部22Bにおいては、その長手方向の一端側から見ると、第1の端子161が3つ並んだ後の位置に第5の端子165が設けられている。逆側の長手方向の他端側から見ると、第1の端子161が2つ並んだ後の位置に第5の端子165が設けられている。また、右側の長尺周壁部22Bにおいては、その長手方向の一端側から見ると、第1の端子161が2つ並んだ後の位置に第5の端子165が設けられている。逆側の長手方向の他端側から見ると、第1の端子161が3つ並んだ後の位置に第5の端子165が設けられている。
【0062】
なお、第1の端子161、および第5の端子165は、立ち上がり部161b、立ち上がり部165b,165b,165bの間隔が概ね等しくなるように配置されている。
【0063】
なお、図12に示すように、ケース体12Bの開口凹部25にも、2つのパルストランス31と、2つのチョークコイル41とが配置されている。これらパルストランス31およびチョークコイル41からは、合計12本の端末が引き出され、端子部16Dに接続されている。これらの端末のうち、パルストランス31から引き出される4本の端末のうち3本は、一方の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出され、長手方向の一端部に存在する、3つの絡げ部161cにそれぞれ絡げられている。残りの1本は、他方の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出され、長手方向の一端部の絡げ部161cに絡げられている。
【0064】
また、チョークコイル41からは、2本の端末が、同一の貫通溝24を介してケース体12Bの外側に引き出されている。そして、このチョークコイル41の端末は、パルストランス31の3本の端末とは逆側に存在する、残りの1本の端末と隣り合う絡げ部161cに絡げられると共に、第5の端子165における前後方向中央の絡げ部165dとにそれぞれ絡げられている。なお、前後方向中央の絡げ部165dに絡げられている、チョークコイル41から引き出された端末を、適宜、同じ第5の端子165における他の絡げ部165dに接続することも可能である。また、パルストランス31とチョークコイル41間の配線として、第5の端子165を用いるようにしても良い。
【0065】
以上のように構成された電子部品10Dでは、第5の端子165は3つの絡げ部165d,165d,165dを有する。したがって、パルストランス31およびチョークコイル41のそれぞれに巻回された巻線33,43の端末を絡げる箇所の自由度が拡がる。そのため、端末をより絡げやすい位置に絡げることが可能となる。例えば、本実施の形態では、チョークコイル41の端末を、当該チョークコイル41から最も近い絡げ部である前後方向中央の絡げ部165dに絡げることが可能となる。その結果、端末の配線構造を単純にすることが可能となる。また、端末の配線構造が単純となるため、端末の端子部16Dへの絡げ作業が容易となる。
【0066】
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明は上述の形態に限定されることなく、種々変形した形態にて実施可能である。
【0067】
上述の各実施の形態では、端子部16D,16B,16C,16Dのそれぞれを構成する端子の数は、それぞれ6つであるが、端子部16D,16B,16C,16Dのそれぞれの数は6つに限定されるものではなく、5つ以下にしても良いし、7つ以上としても良い。
【0068】
また、上述の第1の実施の形態では、基板に実装されない側に絡げ部161c,162c,162eを設けているが、絡げ部161c,162e,162fを設ける位置はこの位置に限定されるものではなく、例えば、絡げ部161c,162e,162fを基板に実装される側に設けるようにしても良い。第2〜第3の実施の形態においても絡げ部を基板に実装される側等の他の位置に設けるようにしても良い。この場合、貫通溝24を設けないようにしても良い。
【0069】
また、上述の第1の実施の形態では、絡げ部161c,162e,162fは鉛直上方に突出する形態を有しているが、図13に示すように、それらの上端部に外側に向かって延出する延出部90を設けるようにしても良い。また、第2〜第3の実施の形態においても、同様に、延出部90を設けるようにしても良い。
【0070】
また、上述の各実施の形態では、ケース体12の内部には、パルストランス31およびチョークコイル41は、2個ずつ配置されているが、パルストランスおよびチョークコイルの個数は、これらの数に限定されるものではなく、例えば、3個ずつ配置するようにしても良いし、1個ずつ配置するようにしても良い。
【0071】
また、上述の第3の実施の形態では、第4の端子164,164間には、実装基板における配線パターンを跨いで配置するための間隔が設けられていないが、第4の端子164,164間に間隔を設けるために、第1の端子161および第4の端子164を前後にずらして配置するようにしても良い。また、第4の実施の形態においてもケース体12の前後方向略中央には、実装基板における配線パターンを跨いで配置するための間隔が設けられていないが、第5の端子165における前後方向中央の実装部165aをなくして、配線パターンに対応するための間隔を設けるようにしても良い。
【0072】
また、本出願では、上述の各実施の形態において、パルストランス31およびチョークコイル41をケース体12A,12B,12C,12Dの内部に格納した電子部品10A,10B,10C,10Dを記載したが、内部に配置されるコイル部品は、これらの組み合わせに限定されるものではなく、例えば、複数のパルストランスのみ、あるいは複数のチョークコイルのみでもよく、種々のコイル部品を組み合わせたものを適用しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の電子部品は、携帯電話、パソコン、テレビ等の各種電子機器において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態に係る電子部品の平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係る電子部品の平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図7】本発明の第3の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。
【図9】本発明の第3の実施の形態に係る電子部品の平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図10】本発明の第4の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図11】本発明の第4の実施の形態に係る電子部品のケース体の構成を示す斜視図であり、面実装される面を上方にした状態を示す図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態に係る電子部品の平面図であり、面実装されない面を上方にした状態を示す図である。
【図13】本発明の変形例を示す図であり、絡げ部の上端部に延出部を設けた場合のケース体の斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
10A、10B,10C,10D…電子部品
12A,12B,12C,12D…ケース体(外装ケース)
31…パルストランス(電子部品素子の一部)
41…チョークコイル(電子部品素子の一部)
16A,16B,16C,16D…端子部(端子)
22…周壁部
25…開口凹部
33,43…巻線
161a,162a,163a,164a,165a…実装部
161c,162e,162f,163f,163g,163h,164d,165d…絡げ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口凹部を有する外装ケースと、
上記外装ケースの上記開口凹部に配置されると共に、巻線が巻回されている複数の電子部品素子と、
上記外装ケースの側縁部に配設される複数の端子と、
を有し、
上記複数の端子は、基板に実装される実装部と、上記巻線の端末が絡げられる絡げ部と、を有し、上記複数の端子のうち少なくとも1つは、1つの上記実装部に対して、複数の上記絡げ部を有することを特徴とする電子部品。
【請求項2】
前記外装ケースの前記側縁部は、一対の対向する周壁部を有しており、前記絡げ部は、上記周壁部の長手方向に複数設けられていることを特徴とする請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記複数の端子のうち、前記複数の前記絡げ部を有しないものの配列の間に間隔を設けると共に、この間隔に前記複数の前記絡げ部を有する前記端子を配設することを特徴とする請求項1または2記載の電子部品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate