説明

電子重量計および傾斜検知方法

【課題】設置面の全体的な傾斜方向や局所的な凹凸形状などの傾斜状態をユーザが知得することのできる電子重量計を提供する。
【解決手段】電子重量計10は、被計量物が載置される天板部材12と、天板部材12の下方に分散して配置された三式以上の重量センサ20と、を備える。そして、電子重量計10は、平坦かつ傾斜状態が既知の基準面に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される重量に関する基準データを記憶した記憶部30と、傾斜した設置面に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される重量に関する測定データと基準データとに基づいて設置面の傾斜状態を算出する演算部40と、算出された傾斜状態を示す傾斜データを出力する出力部50と、をさらに備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三式以上の重量センサを備える電子重量計、および電子重量計の設置面の傾斜状態を検知する傾斜検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術に関し、下記特許文献1には、ストレインゲージが取り付けられた起歪体の正規姿勢からの傾斜角度を測定し、傾斜角度に基づいて測定荷重の補正を行う電子重量計の発明が記載されている。また、この発明では、起歪体の傾斜角度が許容最大傾斜角度を越えている場合に警報動作が行われるため、電子重量計の設置面が所定以上に大きく傾いていることをユーザは知得することができる。
【0003】
【特許文献1】特開2001−255216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の電子重量計には以下の問題があった。まず、起歪体の傾斜角度が許容値以上であることが報知された場合であっても、ユーザにとっては設置面の傾斜方向が不明であるため、電子重量計をどちらの向きに再設置すべきであるかを正確に知ることはできない。
また、設置面の局所的や凹凸形状に起因して、いずれかの脚部に浮き上がりが生じた場合など、設置面全体の傾斜以外の計量誤差の要因については対処することができない。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、設置面の全体的な傾斜方向や局所的な凹凸形状などの傾斜状態をユーザが知得することのできる電子重量計、およびかかる傾斜状態を検知する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の電子重量計は、被計量物が載置される天板部材と、前記天板部材の下方に分散して配置された三式以上の重量センサと、を備える電子重量計であって、
平坦かつ傾斜状態が既知の基準面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する基準データを記憶した記憶部と、
傾斜した設置面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する測定データと、前記基準データとに基づいて、前記設置面の傾斜状態を算出する演算部と、
算出された前記傾斜状態を示す傾斜データを出力する出力部と、
をさらに備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の電子重量計においては、より具体的な態様として、出力される前記傾斜データが、前記設置面の傾斜方向および傾斜角度を含んでもよい。
【0008】
また、本発明の電子重量計においては、より具体的な態様として、前記出力部が、前記設置面の前記傾斜方向および前記傾斜角度を表示する表示装置を含んでもよい。
【0009】
また、本発明の電子重量計においては、より具体的な態様として、前記記憶部が、予め設定された許容角度を記憶しており、前記傾斜角度が前記許容角度以上であること報知する警告部をさらに備えてもよい。
【0010】
また、本発明の電子重量計においては、より具体的な態様として、出力される前記傾斜データが、前記設置面の凹凸を示す凹凸情報を含んでもよい。
【0011】
また、本発明の電子重量計においては、より具体的な態様として、前記演算部が、前記設置面に設置された前記電子重量計の前記天板部材に載置されて前記重量センサで重量が測定された前記被計量物の計量データと、前記傾斜データとに基づいて、表示出力値を演算してもよい。
【0012】
また、本発明の電子重量計においては、より具体的な態様として、前記表示出力値が、測定された前記計量データと前記傾斜データとに基づいて演算された、水平な前記基準面に設置された前記電子重量計で測定される前記被計量物の重量データであってもよい。
【0013】
本発明の傾斜検知方法は、被計量物が載置される天板部材と、前記天板部材の下方に分散して配置された三式以上の重量センサと、を備える電子重量計を用いて、前記電子重量計が設置された設置面の傾斜状態を検知する方法であって、
平坦かつ傾斜状態が既知の基準面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する基準データを取得する予備取得工程と、
前記設置面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する測定データを取得する測定工程と、
前記測定データおよび前記基準データに基づいて、前記設置面の傾斜状態を算出する傾斜演算工程と、
算出された前記傾斜状態を示す傾斜データを出力する出力工程と、
を含む。
【0014】
また、本発明の傾斜検知方法においては、より具体的な態様として、前記設置面に設置された前記電子重量計の前記天板部材に載置された被計量物の重量に関する計量データを取得する計量工程と、
算出された前記傾斜データと、取得された前記計量データとに基づいて、表示出力値を演算する換算工程と、
を更に含んでもよい。
【0015】
上記発明において、被計量物とは人もしくは物、またはその両方である。
また、設置面の傾斜状態とは、設置面の全体が均一に傾斜している場合の傾斜方向およびその大きさのほか、設置面が部分的に傾斜している場合の凹凸形状、およびこれらの組み合わせを含む。
【0016】
また、本発明の各種の構成要素は、その機能を実現するように形成されていればよく、例えば、所定の機能を発揮する専用のハードウェア、所定の機能がコンピュータプログラムにより付与されたデータ処理装置、コンピュータプログラムによりデータ処理装置に実現された所定の機能、これらの任意の組み合わせ、等として実現することができる。
また、本発明の各種の構成要素は、個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、等でよい。
【0017】
また、本発明の傾斜検知方法は、複数の工程を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の工程を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の傾斜検知方法を実施するときには、その複数の工程の順番は内容的に支障しない範囲で変更することができる。
さらに、本発明の傾斜検知方法は、複数の工程が個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある工程の実行中に他の工程が発生すること、ある工程の実行タイミングと他の工程の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、等でもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明の電子重量計および傾斜検知方法によれば、設置面の傾斜状態を示す傾斜データが出力される。これによりユーザは、設置面の傾斜状態を知ることができるとともに、かかる傾斜状態を回避して電子重量計を再設置するなどの対処が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0020】
<第一実施形態>
図1は、本発明の第一の実施形態にかかる電子重量計10の一例を示す平面模式図である。
図2は、電子重量計10を平坦かつ水平な基準面100に設置した場合の立面図であり、図3はその斜視図である。
【0021】
図4は、電子重量計10の重心位置Gを示す平面模式図である。出力部50は図示を省略している。同図の上下方向を電子重量計10の前後方向、同図の左右方向を電子重量計10の左右方向とする。したがって、図2は電子重量計10を後方向からみた立面図である。
【0022】
電子重量計10の重心位置Gの平面視位置は、前後方向については、前方の二式の重量センサ20(重量センサ20aおよび20b)からの距離がL、後方の二式の重量センサ20(重量センサ20cおよび20d)からの距離がLである。また、左右方向の重心位置Gの位置については、左方の二式の重量センサ20(重量センサ20aおよび20d)からの距離がL、右方の二式の重量センサ20(重量センサ20bおよび20c)からの距離がLである。
【0023】
図5は、電子重量計10を任意に傾斜した平坦な設置面110に設置した状態を後方向からみた立面図である。
同図に示すように、各重量センサ20の設置高さは共通である。そして、電子重量計10の重心位置Gの高さは、重量センサ20の検知高さよりも距離hだけ上方である。
【0024】
はじめに、本実施形態の電子重量計10の概要について、図1〜5を用いて説明する。
電子重量計10は、被計量物が載置される天板部材12と、天板部材12の下方に分散して配置された三式以上の重量センサ20と、を備える。
そして、電子重量計10は、平坦かつ傾斜状態が既知の基準面100に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される重量に関する基準データfLVを記憶した記憶部30と、傾斜した設置面110に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される重量に関する測定データfSLと基準データfLVとに基づいて設置面110の傾斜状態を算出する演算部40と、算出された傾斜状態を示す傾斜データDSLを出力する出力部50と、をさらに備える。
【0025】
次に、本実施形態の電子重量計10について詳細に説明する。
電子重量計10は、天板部材12を支持する三式以上の脚部22を有している。脚部22は電子重量計10の下面側に突出して設けられている。そして、本実施形態では、重量センサ20は脚部22にそれぞれ取り付けられ、脚部22に負荷される荷重を検知する。
また、本実施形態の電子重量計10としては、四式の脚部22(22a〜22d)によって接地する、いわゆる四点式秤を例示する。ただし、脚部22の数はこれに限られず、三式、または五式以上でもよい。
【0026】
本実施形態の天板部材12としては、四隅で脚部22に下方から支持された、平面視矩形状のものを例示する。
各脚部22には、図2に模式的に示すように重量センサ20が取り付けられている。
重量センサ20には、電子重量計10のうち、天板部材12など、重量センサ20に自重を負荷する部材または部分(上部部材)の合計重量が分散して負荷される。以下、便宜上、かかる上部部材の合計重量を、電子重量計10の自重という。
また、天板部材12に被計量物が搭載された場合には、当該被計量物の重量と電子重量計10の自重とが、複数の重量センサ20に分散して負荷される。
【0027】
重量センサ20としては、いわゆる起歪体の起歪部に複数の歪ゲージ(ストレインゲージ)を貼り付けたロードセルユニットのほか、静電容量式、圧電式など各種を用いることができる。
個々の重量センサ20で計測された荷重を合計することで、電子重量計10と被計量物の合計重量が求められる。
電子重量計10では、その自重に相当する既知の荷重値が記憶部30に予め記憶されている。そして、重量センサ20で測定された荷重値の合計から電子重量計10の自重に相当する荷重値を減算する、いわゆるゼロ点調整をすることにより、被計量物の重量が求められる。かかる演算は、演算部40でおこなわれる。
記憶部30および演算部40は、電源部(図示せず)とともに天板部材12の裏面側に取り付けられている。
【0028】
記憶部30は半導体記憶装置である。また、演算部40は、重量センサ20からの測定荷重を受け取り、また、記憶部30よりデータを読み取って演算処理をおこなう中央処理装置(CPU:Central Processing Unit)を備えている。
【0029】
出力部50は、天板部材12に設けられて設置面110の傾斜方向(方位角φ:図7を参照)および傾斜角度θを表示する第一表示装置52を含んでいる。
【0030】
出力される傾斜データDSLは、設置面110の傾斜方向(方位角φ)および傾斜角度θを含んでいる。
【0031】
図1に示すように、本実施形態の電子重量計10は、傾斜データDSLを出力する出力部50として、天板部材12の上面に第一表示装置52および第二表示装置56が設けられている。本実施形態の第一表示装置52は液晶表示装置からなり、傾斜データDSLを水準器のごとく表示出力する。
すなわち、第一表示装置52は、表示位置が可変の気泡表示部53と、固定表示される目盛部54とを含んでいる。気泡表示部53は水準器の気泡のごとく円形に表示され、目盛部54は目盛つきの十字状に表示される。目盛部54は、原点55を中心として前後方向および左右方向に伸びて形成されており、傾斜角度θに対応する数値(図示せず)が表示されている。
【0032】
そして、後記の方法により算出された傾斜角度θおよび方位角φに基づいて、気泡表示部53の表示位置を変動させることにより、ユーザは電子重量計10が設置された設置面110の傾斜方向(方位角φ)および傾斜角度θを知得することができる。
【0033】
また、第二表示装置56では、載置された被計量物の重量データのほか、設置面110に対して非接地である脚部22の報知出力を行う。
【0034】
(設置面の傾斜状態の算出方法)
図6は、本実施形態の電子重量計10の機能ブロック図である。
電子重量計10は、重量センサ20(20a〜20d)で検出された測定データfSLと、記憶部30に予め記憶された基準データfLVとの差分データδfに基づいて、設置面110の傾斜角度θを含む傾斜状態を演算部40で算出し、その結果である傾斜データDSLを出力部50で出力する。また、算出された傾斜角度θが許容角度θ以上である場合には、演算部40は警告部60より報知出力を行う。
【0035】
本実施形態の電子重量計10は、図2に示すように平坦かつ傾斜状態が既知の基準面100に設置された工場出荷前の状態における各重量センサ20の負荷荷重値が、基準データfLV(fLVa〜fLVd)として記憶部30に記憶されている。基準面100としては、平坦かつ水平な定盤を用いることが一般的である。以下、簡単のため、本実施形態で用いる基準面100は平坦かつ水平であるとする。ただし、本発明においては、後述する第二実施形態のように、既知の傾斜角度で傾斜した基準面に載置された電子重量計10より基準データfLVを取得してもよい。
【0036】
そして、図5に示すようにユーザの使用環境である任意に傾斜した設置面110に電子重量計10が設置された使用状態における測定データfSL(fSLa〜fSLd)と、記憶部30に記憶された基準データfLVとから、設置面110の傾斜状態を算出する。
【0037】
図3に示すように、基準面100(同図では図示せず)に設置された電子重量計10では、その自重が各脚部22に分散して負荷される。脚部22a〜22dの重量センサ20a〜20dで測定される負荷荷重を基準データfLVとよび、それぞれfLVa〜fLVdと表記する。
電子重量計10の重心位置Gが左右方向の中央にある場合、すなわち距離L=Lの場合、荷重fLVaと荷重fLVbは互いに等しくなり、また、荷重fLVcと荷重fLVdは互いに等しくなる。
【0038】
図7は、設置面110(同図では図示せず)に設置された電子重量計10の傾斜方向の一例を示す図である。出力部50は図示を省略している。
傾斜方向D1は、電子重量計10が全体に左下がりに傾斜した状態であり、図5の設置態様に相当している。
傾斜方向D3は、電子重量計10が全体に右前方から左後方に向かって下がり傾斜した状態である。
傾斜方向D5は、電子重量計10が全体に後下がりに傾斜した状態である。
そして、傾斜方向D2は傾斜方向D1とD3との間であり、傾斜方向D4は傾斜方向D3とD5との間である。
なお、傾斜方向D1を基準として、設置面110の任意の傾斜方向までの反時計回りの方位角をφとする。
【0039】
なお、図7では説明の便宜のため傾斜方向D1(方位角φ=0度)からD5(方位角φ=90度)までを図示しているが、本実施形態においては、方位角φを0〜360度まで考慮して設置面110の傾斜状態を算出する。方位角φが90〜360度の場合については、以下の説明に基づいて当業者であれば容易に実施することができる。
【0040】
図5に示すように、設置面110が平坦な左下がりに傾斜している場合、重量センサ20a〜20dに負荷される荷重は、基準面100に設置された場合に対して、重力方向の下側にあたる同図左側のセンサ(重量センサ20a,20d)において大きくなり、同図右側のセンサ(重量センサ20b,20c)において小さくなる。
【0041】
電子重量計10が任意の設置面110に設置された場合に、脚部22a〜22dの重量センサ20a〜20dで測定される負荷荷重を測定データfSLとよび、それぞれfSLa〜fSLdと表記する。
そして、測定データfSLと基準データfLVとの差分を、差分データδfとよび、それぞれδf〜δfと表記する。
【0042】
したがって、図5に示すように、平坦な設置面110が全体に傾斜方向D1に傾いている場合、
δf≒δf>0>δf≒δf (i)
となる。
【0043】
また、設置面110の傾斜方向がD3の場合、
δf>0、δf<0、δf≒δf≒0 (ii)
となる。
そして、設置面110の傾斜方向がD5の場合、
δf≒δf>0>δf≒δf (iii)
となる。
【0044】
また、設置面110の傾斜方向がD2の場合は、
δf>δf>0>δf>δf (iv)
となる。
そして、設置面110の傾斜方向がD4の場合は、
δf>δf>0>δf>δf (v)
となる。
【0045】
一方、設置面が水平であっても全体に平坦ではなく、局所的に凹凸がある場合、脚部22にはいずれかに浮き上がりが発生する。本実施形態の電子重量計10は、かかる凹凸の有無およびその位置を検知する。
【0046】
例えば、水平な設置面のうち電子重量計10の左後方位置に凹部が存在した場合、脚部22dは設置面に対して接地不十分または非接地となる。この場合、電子重量計10の自重は三式の重量センサ20a,20b,20cに分散されることとなるため、
δf≒δf≒δf>0>δf (vi)
となる。
一方、設置面に局所的な凸部が存在した場合には、当該凸部に乗り上げた脚部22と、重心位置Gを挟んでこれに対向する脚部22において、電子重量計10の自重負荷が大きくなる。
【0047】
図8(a)は、面内に局所的な凸部122を有する設置面に電子重量計10が載置された状態を示す平面図である。出力部50は図示を省略している。
同図(b)は、同図(a)を矢印(LOS)方向からみた立面図である。具体的には、電子重量計10の脚部22dの直下に凸部122が位置している状態を例示的に示している。
そして、同図(b)に示す設置面120は、凸部122を除いて平坦に形成されている。
【0048】
図8(c)もまた、同図(a)を矢印(LOS)方向からみた立面図である。ただし、同図(c)は、面内に局所的な凸部122を有しかつ全体に傾斜した設置面130に電子重量計10が載置された状態を示している。図8(a)に矢印にて示すように、設置面130は傾斜角度θにて、全体に傾斜方向D3に傾斜している。
【0049】
図8(b)のように脚部22dの接地位置に水平な設置面120の凸部122が存在する場合、重量センサ20dと、電子重量計10の重心位置Gを挟んでこれに対向する重量センサ20bへの自重負荷が大きくなる。このうち、全体に傾斜した電子重量計10における重力方向の下方側に位置する重量センサ20bへの自重負荷が最大となる。
すなわち、
δf>δf>0 (vii)
となり、重量センサ20dおよび20bにおいて電子重量計10の自重負荷を支えることとなる。
【0050】
一方、図8(c)のように、傾斜した設置面130の凸部122が脚部22dの接地位置に存在する場合、凸部122の高さの大小によって、電子重量計10の傾斜方向は変動する。
具体的には、同図に示すように設置面130の傾斜角度θに比して凸部122が十分に高い場合は、電子重量計10は設置面130と傾斜方向D3と逆向きに、すなわち図中右下がりに傾斜する。
また、凸部122の高さがこれよりも低い場合、電子重量計10は水平となるか、または傾斜方向D3と同一方向に傾斜することとなる。
【0051】
図8(c)のように電子重量計10が設置面130と逆方向に傾斜した場合、重量センサ20bおよび20dにおける差分データδfは、上式(vii)と共通となる。
また、傾斜した設置面130に設置した電子重量計10が水平となった場合、
δf=δf>0 (viii)
となる。
そして、傾斜した設置面130に設置した電子重量計10が、設置面130と同一方向に傾斜した場合、
δf>δf>0 (ix)
となる。
【0052】
また、凸部122に乗り上げた脚部22dに隣接する脚部22aおよび脚部22cについては、脚部22bおよび22dを支軸とする、いわゆるシーソー状態となる。
すなわち、凸部122に乗り上げた脚部22dと、設置面130の平坦部に接地した脚部22bとを結ぶ線分上に電子重量計10の重心位置Gがある場合は、脚部22aおよび脚部22cはシーソー状態が釣り合い、
0>>δf≒δf (x)
となる。
【0053】
一方、電子重量計10の重心位置Gが上記線分よりも脚部22aに寄っている場合、脚部22aは接地して、
0>δf>>δf (xi)
となる。
そして、電子重量計10の重心位置Gが上記線分よりも脚部22cに寄っている場合、脚部22cが接地して、
0>δf>>δf (xii)となる。
【0054】
なお、凸部122の高さが所定以下であって、脚部22a〜22dに浮き上がりまでは生じない場合についても、上式(i)から(xii)はそのまま成立する。
【0055】
また、電子重量計10が備える重量センサ20および脚部22が三式の場合についても、設置面が凹凸を有することにより、もっぱら二式の脚部22によって電子重量計10が支持され、一式の脚部22に浮き上がりが生じることがある。したがって、重量センサ20が三式である電子重量計10においても、設置面の傾斜データとして凹凸情報を求めることが可能である。
【0056】
本実施形態の電子重量計10では、上述のように、測定データfSLと基準データfLVとに基づく差分データδfを各重量センサ20について算出する。これにより、電子重量計10が設置された設置面の傾斜状態として、平坦かつ傾斜した設置面110の全体的な傾斜方向および傾斜角度、水平または傾斜した設置面120,130に存在する局所的な凹凸を検出することができる。
【0057】
[平坦な設置面の傾斜検知]
以下、測定データfSLおよび基準データfLVから設置面110の傾斜状態を算出する具体例について、さらに詳細に説明する。
説明の便宜のため、図5に示すように設置面110の傾斜方向はD1とし、かつ設置面110は平坦であるとする。設置面110の傾斜角度をθとする。
【0058】
ここで、電子重量計10の自重をM、重力加速度をgとすると、fSL1=fSLa+fSLdおよびfSL2=fSLb+fSLcには、以下の関係式(1),(2)が成り立つ。
【0059】
【数1】

【0060】
【数2】

【0061】
また、図2に示すように電子重量計10が基準面100に設置された場合に重量センサ20で測定される基準データfLVについては、fLV1=fLVa+fLVdおよびfLV2=fLVb+fLVcに関して以下の関係式(3),(4)が成り立つ。
【0062】
【数3】

【0063】
【数4】

【0064】
上式(1)から(4)より、差分データδfについては、δf=fSL1−fLV1およびδf=fSL2−fLV2に関して以下の関係式(5),(6)が成り立つ。
【0065】
【数5】

【0066】
【数6】

【0067】
電子重量計10では、重量センサ20a〜20dによる測定データfSL(fSLa〜fSLd)と、記憶部30に記憶されたfLV(fLVa〜fLVd)との差分データδf(δf〜δf)を求める。これにより、上式(5)および(6)、ならびに既知の高さh、距離LおよびL、自重M、重力加速度gに基づいて、設置面110の傾斜角度θを求めることができる。
【0068】
なお、上記説明においては、設置面110が傾斜方向D1に傾いている場合、換言すると図7に示す方位角φがゼロの場合を例に挙げている。これに対し、方位角φが非ゼロの場合に関しては、上式(5),(6)に代えて、各重量センサ20における差分データδf(δf〜δf)につき傾斜角度θおよび方位角φを変数とする力の釣り合いの式を立式すればよい。
かかる釣り合い式には、重心位置Gの前後方向位置を示す定数としての距離L,Lが含まれることとなる。距離L,Lは予め記憶部30に記憶されている。
そして、かかる釣り合い式を解析的に演算することにより、傾斜角度θと方位角φを求めることができる。
【0069】
なお、上記説明では釣り合い式の解析的な演算により傾斜角度θと方位角φを求めているが、本発明はこれに限られない。
例えば、典型ケースである傾斜方向D1からD5に関して、それぞれ単位角度だけ傾斜した場合の差分モデルデータを、各重量センサ20に関して予め記憶部30に記憶しておいてもよい。そして、設置面110に設置された状態での実測データである測定データfSLから求めた差分データδfを上記の差分モデルデータと照合および倍率計算して、方位角φと傾斜角度θを算出することができる。
【0070】
具体的には、各重量センサ20に関する差分データδfの大小関係に関する傾向を差分モデルデータと照合することで方位角φが求められる。このとき、差分モデルデータを内挿計算することで、有限個の差分モデルデータに基づいて方位角φを高い精度で計算することができる。
より具体的には、有限個の差分モデルデータより、方位角φを所定角度(例えば1度)ごとに変化させた内挿データに対して更に所定倍率を乗じた対照データを生成する。そして、所定角度と所定倍率を変化させつつ、測定データfSLに基づく差分データδfに対して最小二乗法などの検定法を用いて対比する。これにより、方位角φおよび傾斜角度θを求めることができる。
【0071】
[水平な設置面の凹凸検知]
図8(b)に示すように水平かつ局所的な凹凸(凸部122)を有する設置面120に電子重量計10が載置された場合に関しては、上述の検定法による相関係数がいずれも所定値以下であった場合に、対照データに対して測定データfSLが不一致であるとして、いずれかの脚部22に非接地が発生していることが判定される。これにより、設置面120は平坦で傾斜しているのではなく、局所的な凹凸を有していることが検知される。
【0072】
ここで、いずれの脚部22に非接地が発生したかを判定するにあたっては、種々の方法を採ることができる。
例えば、上記の差分モデルデータに加えて、各脚部22が個別に非接地となった場合における、傾斜方向D1からD5にそれぞれ単位角度だけ傾斜した場合の重量センサ20a〜20dの負荷荷重値である凹凸モデルデータを、記憶部30に予め記憶しておいてもよい。
そして、差分モデルデータと差分データδfとの対比と同様に、凹凸モデルデータと差分データδfとを検定することにより、もっともよく一致する方位角φ、傾斜角度θおよび非接地である脚部22を求めることができる。
【0073】
具体的には、重量センサ20からの測定データfSLから演算した差分データδfにより、上式(x)から(xii)のいずれかが検出された場合、脚部22aまたは脚部22cに浮き上がりが生じたこと、すなわち脚部22bまたは脚部22dの直下に凸部122が存在することが検知できる。また、これと合わせて、上式(vii)から(ix)のいずれが検知されるかによって、脚部22bまたは脚部22dのいずれが凸部122に乗り上げているかが特定される。
【0074】
[傾斜した設置面の凹凸検知]
図8(c)に示すように局所的な凹凸(凸部122)を有する傾斜した設置面130に電子重量計10が載置された場合とは、平坦かつ傾斜した設置面110における上述の相関係数、および、水平かつ凹凸を有する設置面120における上述の相関係数がいずれも所定値以下であった場合に相当する。
例えば、脚部22aおよび脚部22dの両方が、それぞれ高さの異なる凸部122に乗り上げた場合などがこれに相当する。例えば、脚部22aの乗り上げ高さの方が脚部22dの乗り上げ高さよりも小さい場合については、脚部22a,22b,22cにより張られる平面を設置面130の平坦部と仮想し、これに対して脚部22dが浮き上がっている突出高さを算出する。これにより、脚部22a〜22dの相対的な高さの関係が検知されることとなる。
【0075】
具体的な算出方法の一例としては、まず、各脚部22が個別に非接地となった場合における重量センサ20a〜20dの負荷荷重値である凹凸モデルデータと、設置面が全体に単位角度だけ傾斜した場合の差分モデルデータとを記憶部30に予め記憶しておく。そして、両モデルデータの線形結合値と測定データfSLとが所定以上の相関係数をもって一致するか否かを判定すればよい。
【0076】
本実施形態の電子重量計10においては、出力部50で出力される傾斜データDSLは、設置面110の全体的な傾斜方向である方位角φおよび傾斜角度θに関する全体情報に加えて、設置面120,130に局所的に形成された凹凸を示す凹凸情報を含んでいる。傾斜データDSLは、出力部50を構成する第一表示装置52または第二表示装置56で表示出力される。
【0077】
本実施形態の場合、傾斜した設置面110,130の方位角φおよび傾斜角度θは、第一表示装置52における気泡表示部53の表示位置として出力される。具体的には、図7に示すように傾斜方向D1からの方位角φがゼロの場合、すなわち電子重量計10が左下がり(右上がり)に設置されている場合、気泡表示部53は、原点55より右方に延在する目盛部54(便宜上、X軸という)上に表示出力される。
そして、方位角φがゼロ以外の所定値である場合については、X軸より角度φだけ反時計回りの位置に気泡表示部53は表示出力される。
【0078】
そして気泡表示部53は、傾斜角度θが大きい場合は原点55よりも離間して、また傾斜角度θが小さい場合は原点55の近傍に表示出力される。
これにより、第一表示装置52を目視したユーザは、気泡表示部53の表示方向により電子重量計10の傾斜方向を知得し、気泡表示部53と原点55との距離により傾斜角度の大小を知得することができる。
【0079】
また、凹凸を有する設置面120,130の凹凸情報として、電子重量計10は、脚部22の接地位置のいずれかに凹凸が存在する旨のアラーム表示を出力する。例えば、脚部22のいずれかにおいて設置面120,130に対する接地不十分または非接地が生じている旨のメッセージを第二表示装置56に表示出力することができる。
【0080】
本実施形態の記憶部30は、予め設定された許容角度θを記憶している。そして警告部60は、傾斜角度θが許容角度θ以上であることを報知する。
許容角度θとしては、計量誤差が感量(一目盛り)を超える恐れの生じる角度を設定するとよい。具体的には、1.5度を例示することができる。かかる許容角度θ以上に急傾斜した設置面110では、天板部材12に載置された被計量物の自重荷重のうち、重量センサ20に横荷重として負荷される比率が無視できなくなり、被計量物の重量が正確に測定できなくなる恐れがあるためである。
【0081】
警告部60による具体的な報知態様は特に限定されない。演算部40で算出された傾斜角度θが1.5度以上の場合に音声出力するスピーカを電子重量計10に設けてもよい。または、第二表示装置56にて、傾斜角度θが許容角度θ以上であることをメッセージ出力してもよい。または、第一表示装置52にて、傾斜角度θが許容角度θ以上である場合に気泡表示部53の表示態様を変化させてもよい。
【0082】
また、本実施形態の電子重量計10では、傾斜角度θが許容角度θ以上である場合に加えて、いずれかの脚部22に非接地が発生した場合にも、警告部60による報知出力をしてもよい。
【0083】
(傾斜検知方法)
以下、本実施形態の電子重量計10を用いて行う傾斜検知方法について説明する。
本実施形態の傾斜検知方法(以下、本方法という場合がある。)の概要について説明する。
本方法は、天板部材12を支持する三式以上の脚部22と、脚部22にそれぞれ取り付けられて脚部22に負荷される荷重を検知する重量センサ20と、を備える電子重量計10を用いて、電子重量計10が設置された設置面110,120,130の傾斜状態を検知する方法であり、以下の予備取得工程、測定工程、傾斜演算工程および出力工程を含んでいる。
予備取得工程では、平坦かつ傾斜状態が既知の基準面100に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される電子重量計10の自重に関する基準データを取得する。
測定工程では、設置面110,120,130に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される電子重量計10の自重に関する測定データを取得する。
傾斜演算工程では、測定データおよび基準データに基づいて、設置面110,120,130の傾斜状態を算出する。
出力工程では、算出された傾斜状態を示す傾斜データを出力する。
【0084】
図9は、本方法に関するフローチャートである。同図を用いて本方法をさらに詳しく説明する。
電子重量計10の電源スイッチ(図示せず)をOFFからONに切り換えると(ステップS100)、演算部40は、電子重量計10が初期設定済みであるか否かを判定する(ステップS101)。具体的には、演算部40は、記憶部30に基準データfLVが格納されているか否かを判定する。
【0085】
これが否定された場合(ステップS101:No)、電子重量計10は初期設定モードに移行して予備取得工程を行う。予備取得工程は、工場出荷前に、電子重量計10を水平かつ平坦な基準面100に載置した状態でおこなう。
【0086】
予備取得工程において演算部40は、各重量センサ20から電子重量計10の自重に関する測定データを受け付ける(ステップS107)。
演算部40は、受け付けた測定データを、基準データfLVとして記憶部30に格納する(ステップS108)。
【0087】
そして、電子重量計10では、傾斜データDSLとして、基準面100の傾斜角度θがゼロ度であることを第一表示装置52および第二表示装置56にて表示する(ステップS105)。これにより、電子重量計10におけるゼロ点調整が完了する。
【0088】
次に、ユーザが任意の設置面110,120,130に電子重量計10を設置した状態で電源スイッチをOFFからONに切り換えると(ステップS100)、演算部40は、電子重量計10が初期設定済みであるか否かを判定する(ステップS101)。
記憶部30に基準データfLVが記憶されていることを演算部40が確認すると(ステップS101:Yes)、演算部40は測定工程を行う。
測定工程では、演算部40は各重量センサ20より測定データfSLを受け付ける(ステップS102)。
【0089】
続けて、演算部40は傾斜演算工程を行う。
傾斜演算工程にて演算部40は、取得した測定データfSLと、記憶部30に記憶された基準データfLVとの差分データδfを算出するとともに、これを同じく記憶部30に記憶された差分モデルデータと比較することにより、設置面110,120,130の傾斜状態を算出する(ステップS103)。
傾斜状態としては、設置面110,130の全体的な傾斜方向である方位角φおよび傾斜角度θに関する全体情報と、設置面120,130に局所的に形成された凹凸を示す凹凸情報を算出する。
【0090】
そして、演算部40は、算出された傾斜角度θと許容角度θとを大小比較する(ステップS104)。
傾斜角度θが許容角度θ未満であった場合(ステップS104:Yes)、演算部40は出力工程を行う。
【0091】
以上により、本実施形態の傾斜演算工程においては、第一判定として、電子重量計10の設置面が、平坦かつ傾斜した設置面110であるか否かを判定する。
ここで、差分データδfと差分モデルデータとが所定の相関係数を満足しない場合、演算部40は設置面が平坦ではないと判定する。
かかる場合、演算部40は、第二判定として、電子重量計10の設置面が、水平かつ凹凸を有する設置面120であるか否かを判定する。
そして、演算部40は、差分データδfから算出される電子重量計10の設置面が水平ではないと判定された場合、さらに第三判定として、電子重量計10の設置面が、凹凸を有しかつ傾斜した設置面130であるか否かを判定する。
なお、第二判定は、上述のように上式(i)から(xii)と差分データδfとを対比して行う。そして、第三判定は、差分データδfと、凹凸モデルデータおよび差分モデルデータとに基づいて行う。
【0092】
ここで、第三判定においても所定以上の相関係数をもって設置面130の傾斜状態が特定されない場合、演算部40はエラー警告を第一表示装置52または第二表示装置56より出力させる。
また、本実施形態の傾斜演算工程においては、第一から第三判定の後に、測定データfSLと基準データfLVとを照合して、設置面が平坦かつ水平であるか否かを再度判定してもよい。これにより、第一判定において、設置面が水平、すなわち傾斜角度θがゼロである場合に、差分データδfが差分モデルデータのいずれとも不一致であると演算部40に判定された場合にも、設置面の傾斜状態を正しく出力することができる。
【0093】
出力工程では、電子重量計10は、傾斜データDSLとして、設置面の傾斜角度θを第二表示装置56にて数値として表示出力するとともに、第一表示装置52では、傾斜角度θおよび方位角φに基づいて演算された表示位置に気泡表示部53を表示出力する(ステップS105)。
また、上記第二または第三判定において、設置面に凹凸があると判定された場合、電子重量計10は、当該凹凸に乗り上げている脚部22を第二表示装置56に表示出力する。
【0094】
一方、傾斜角度θが許容角度θ以上であった場合(ステップS104:No)、設置面110の傾斜が許容値以上であることのメッセージを表示して警告を行う(ステップS106)。このとき、第一表示装置52では、傾斜角度θおよび方位角φに基づいて演算された表示位置に気泡表示部53を表示出力してもよい。
【0095】
上記本実施形態の電子重量計10およびこれを用いて行う傾斜検知方法の作用効果について説明する。
本実施形態の電子重量計10は、平坦かつ傾斜状態が既知の基準面100に設置された状態で三式以上の重量センサ20にそれぞれ負荷される自重に関する基準データfLVと、傾斜した設置面110に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される自重に関する測定データfSLとに基づいて設置面110の傾斜状態を算出する。
また、本実施形態の傾斜検知方法は、基準面100に設置された状態で三式以上の重量センサ20にそれぞれ負荷される自重に関する基準データfLVを取得する予備取得工程と、傾斜した設置面110に設置された状態で重量センサ20にそれぞれ負荷される自重に関する測定データfSLを取得する測定工程と、基準データfLVおよび測定データfSLに基づいて設置面110の傾斜状態を算出する傾斜演算工程と、算出された傾斜データDSLを出力する出力工程とを含んでいる。
これにより、ユーザは、分散して配置された三式以上の重量センサ20により張られる面の傾斜状態を検知することができるため、電子重量計10を水準器として用い、これが設置された任意の設置面110の傾斜状態を知得することができる。
【0096】
また本実施形態では、出力される傾斜データDSLが設置面110の傾斜方向(方位角φ)および傾斜角度θを含んでいるため、ユーザは設置面110の傾斜状態をより具体的に知得できる。このため、水準器を別途設けることなく、傾斜がより小さく精度よい計量が可能な設置面110上の位置に電子重量計10を容易に再設置することができる。
【0097】
また本実施形態では、出力部50が、天板部材12に設けられて設置面110の傾斜方向(方位角φ)および傾斜角度θを表示する第一表示装置52を含んでいる。これにより、設置面110の傾斜状態を容易に視認することができる。
【0098】
また本実施形態では、記憶部30が予め設定された許容角度θを記憶しており、傾斜角度θが許容角度θ以上であることを警告部60が報知する。これにより、ユーザは、電子重量計10が載置された設置面110が被計量物の計量には不適な程度に傾斜していることを知得することができる。
【0099】
また本実施形態では、出力部50で出力される傾斜データDSLが、設置面120,130に局所的に形成された凹凸を示す凹凸情報を含んでいる。これにより、ユーザは設置面110の全体的な傾斜方向のみならず、局所的な凹凸により脚部22の一部に浮き上がりが生じているか否かについても知得することができ、計量誤差の発生をさらに防止することができる。
【0100】
<第二実施形態>
以下、本発明の第二実施形態について説明する。
本実施形態の電子重量計10は、被計量物の重量を計量するにあたり、設置面110の傾斜データDSLに基づいて重量センサ20の測定値を補正して表示出力する。
【0101】
すなわち、本実施形態の演算部40は、設置面110に設置された電子重量計10の天板部材12に載置されて重量センサ20で重量が測定された被計量物の計量データと、傾斜データDSLとに基づいて、表示出力値を演算する。
【0102】
電子重量計10は、任意の設置面110に設置された状態で、まず電子重量計10の自重に関する測定データfSLと、平坦かつ傾斜状態が既知の基準面100に電子重量計10が設置された場合における基準データfLVとを用いて、当該設置面110の傾斜状態を算出する。そして、当該設置面110に設置されたままの状態で天板部材12に被計量物が載置されることにより、基準データfLVと測定データfSLとの関係を用いて被計量物の計量データを補正演算し、被計量物の真の重量を表示出力値として算出することができる。
【0103】
本実施形態の電子重量計10で出力部50により出力される表示出力値は、測定された計量データと傾斜データDSLとに基づいて演算された、水平な基準面100に設置された電子重量計10で測定される被計量物の重量データである。
【0104】
かかる補正演算は種々の方法により行うことができるが、一例として、各重量センサ20による計量データの合計値を、設置面110の傾斜状態として算出された傾斜角度θの余弦(cosθ)で除するとよい。
【0105】
すなわち、図5に示すように傾斜角度θで傾斜した設置面110においては、電子重量計10の自重(Mg)に対し、傾斜角度θの余弦(cosθ)を乗じた値が設置面110に対する垂直抗力として重量センサ20により測定される。
そして、当該設置面110に設置された電子重量計10の天板部材12に載置された被計量物の重量に関しても、同じく傾斜角度θの余弦(cosθ)を乗じた値が計量データとして重量センサ20により計量される。
したがって、各重量センサ20による計量データの合計値をcosθで除することで、被計量物の真の重量により近い値が算出される。
【0106】
以下、本実施形態の電子重量計10を用いて行う傾斜検知方法の第二実施形態について説明する。本実施形態の傾斜検知方法(以下、本方法という場合がある。)では、天板部材12に載置された被計量物の重量を計量する。
【0107】
本方法は、天板部材12を支持する三式以上の脚部22と、脚部22にそれぞれ取り付けられて脚部22に負荷される荷重を検知する重量センサ20と、を備える電子重量計10を用いて、電子重量計10が設置された設置面110の傾斜状態を検知する方法であり、上述の予備取得工程、測定工程、傾斜演算工程および出力工程に加え、計量工程と換算工程を更に含んでいる。
計量工程では、設置面110に設置された電子重量計10の天板部材12に載置された被計量物の重量に関する計量データを取得する。
換算工程では、算出された傾斜データDSLと、取得された計量データとに基づいて、表示出力値を演算する。
【0108】
図10は、本方法に関するフローチャートである。同図を用いて本方法をさらに詳しく説明する。
電子重量計10の電源スイッチ(図示せず)をOFFからONに切り換えると(ステップS100)、演算部40は、電子重量計10が初期設定済みであるか否かを判定する(ステップS101)。
これが否定された場合(ステップS101:No)は初期設定モードに移行して予備取得工程を行う。
【0109】
予備取得工程は、工場出荷前に、許容角度θで傾斜した基準面100に電子重量計10を設置した状態で行う。すなわち、本実施形態においては、許容角度θで傾斜した基準面100に設置された状態における各重量センサ20での電子重量計10の自重に関する測定データを基準データfLVとして受け付ける(ステップS107)。ここで、基準データfLVは、基準面100の傾斜方向の方位角φ(図7を参照)を0〜360度まで所定の角度間隔ごとに変化させて取得する。
【0110】
角度間隔は特に限定されないが、例えば1度とすることができる。取得する基準データfLVの角度間隔を小さくすることにより、後述する換算工程における測定データfSLと基準データfLVとの照合に際して、基準データfLVの内挿計算が不要となる。
【0111】
基準データfLVは、種々の態様にて記憶部30に記憶することができる。本実施形態では、重量センサ20ごとに、基準面100の傾斜方向の方位角φと基準データfLV(fLVa〜fLVd)とを関連づけたテーブル形式にて記憶する。かかる基準データを、以下、傾斜基準データという。
また、本実施形態の電子重量計10では、基準データfLVとして、基準面100が平坦かつ水平である場合における電子重量計10の自重に関する測定データを重量センサ20ごとにあわせて取得しておく。かかる測定データを、以下、水平基準データという。
【0112】
このほか、重量センサ20ごとに、基準データfLV(fLVa〜fLVd)を方位角φの関数として記憶してもよい。または、各重量センサ20に関し、方位角φを0〜360度まで変化させた場合の最大値および最小値として記憶してもよい。
【0113】
なお、本方法では、許容角度θとして1.5度以上の値、具体的には3度、5度または10度などの値を任意で設定することができる。
本実施形態の電子重量計10は、第一実施形態と異なり、設置面110の傾斜角度θに基づいて被計量物の真の重量を補正演算することができるため、該実施形態よりも大きな許容角度θを設定することが可能である。
【0114】
演算部40は、重量センサ20より取得した基準データfLVを記憶部30に格納して(ステップS108)、一連の処理を終了する(ステップS114)。
【0115】
次に、ユーザが任意の設置面110に電子重量計10を設置した状態で電源スイッチをOFFからONに切り換えると(ステップS100)、演算部40は、電子重量計10が初期設定済みであるか否かを判定する(ステップS101)。これが肯定されると(ステップS101:Yes)、演算部40は測定工程を行う。
測定工程では、演算部40は各重量センサ20より電子重量計10の自重に関する測定データfSLを受け付ける(ステップS102)。
【0116】
続けて、演算部40は傾斜演算工程を行う。傾斜演算工程では、まず演算部40は、各重量センサ20より受け付けた測定データfSLと記憶部30に記憶された基準データfLVとの差分データδfを算出する。そして、演算部40は、差分データδfを、同じく記憶部30に記憶された差分モデルデータや凹凸モデルデータと比較する(ステップS103)。これにより、演算部40は、水平基準データ以上かつ傾斜基準データ以下となるような方位角φを存在するか否かを判定する。かかる判定は重量センサ20a〜20dごとに行う。
そして、所定の方位角φにて、各重量センサ20の測定データfSL(fSLa〜fSLd)がそれぞれ当該重量センサ20に関する水平基準データ以上かつ傾斜基準データ以下であることを同時に満足した場合、設置面110の傾斜角度θは、許容角度θ以下であると判定される(ステップS104:Yes)。
【0117】
一方、各重量センサ20に関する水平基準データと傾斜基準データの方位角φを0〜360度まで変化させたいずれの場合にも、当該重量センサ20の測定データfSL(fSLa〜fSLd)がその間に同時に収まらない場合は、設置面110の傾斜角度θが許容角度θを超えるものと判定する(ステップS104:No)。
かかる場合、第二表示装置56にてその旨のメッセージを表示して警告を行う(ステップS106)。
【0118】
次に、設置面110の傾斜角度θが許容角度θ以下と判定された場合(ステップS104:Yes)、演算部40は、測定データfSLに1以下の所定の倍率を乗じるとともに、最小二乗法などの検定法を用いてこれを記憶部30に記憶された傾斜基準データと対比する。
【0119】
そして、上記倍率および傾斜基準データの方位角φを適宜変化させながら、測定データfSLと傾斜基準データとを照合し、両者がもっともよく一致する傾斜角度θおよび方位角φを求める(ステップS109)。これにより、設置面110の傾斜状態が算出される。
【0120】
なお、本方法においては、所定の許容誤差値以下の精度にて測定データfSLと傾斜基準データとが一致しなかった場合、傾斜基準データを方位角φに関して内挿計算を行った上で、測定データfSLと再度の照合を行ってもよい。また、所定の許容誤差値以下の精度にて測定データfSLと傾斜基準データとが一致しなかった場合は、いずれかの脚部22に関して設置面110との間に非接地または接地不良が生じているものと判定してもよい。
【0121】
ステップS109で算出された傾斜角度θおよび方位角φは、記憶部30に記憶される(ステップS110)。
【0122】
次に、電子重量計10では天板部材12に載置された被計量物の重量に関する計量データを取得する計量工程を行う。演算部40は、各重量センサ20より、計量データを受け付ける(ステップS111)。
【0123】
そして、電子重量計10では換算工程をおこなう。まず、各重量センサ20から受け付けた計量データの合計値より、電子重量計10の自重に関する測定データfSLを減算する。
次に、演算部40は、減算された計量データの合計値を、記憶部30に記憶された傾斜角度θの余弦(cosθ)で除算する。
これにより、被計量物の重量に関する表示出力値が求まる(ステップS112)。
【0124】
電子重量計10では、上記で算出された設置面110の傾斜角度θおよび方位角φ、ならびに被計量物の表示出力値を表示する。
被計量物の表示出力値は、第二表示装置56にて数値として表示される(ステップS113)。設置面110の傾斜角度θおよび方位角φは、第一表示装置52にて気泡表示部53の表示位置をもってこれを出力する。
【0125】
ただし、傾斜角度θおよび方位角φの表示出力は、計量工程の前に行ってもよい。
また、本実施形態の電子重量計10に関しては、設置面110の傾斜角度θおよび方位角φを行わず、被計量物の表示出力値のみを表示してもよい。
【0126】
以上により、本方法の一連の処理が終了する(ステップS114)。
【0127】
上記本実施形態の電子重量計10およびこれを用いて行う傾斜検知方法の作用効果について説明する。
本実施形態の電子重量計10では、演算部40が、設置面110に設置された電子重量計10の天板部材12に載置されて重量センサ20で重量が測定された被計量物の計量データと、傾斜データDSLとに基づいて、表示出力値を演算する。
また、本実施形態の傾斜検知方法は、設置面110に設置された電子重量計10の天板部材12に載置された被計量物の重量に関する計量データを取得する計量工程と、算出された傾斜データDSLと取得された計量データとに基づいて表示出力値を演算する換算工程とを含んでいる。
これにより、ユーザは、設置面110の傾斜状態を把握するだけでなく、補正演算された被計量物の計量データを知得することができる。
【0128】
なお、本方法に関しても、設置面の傾斜状態として、全体的な傾斜角度θのみならず、設置面が有する局所的な凹凸を検知してもよい。そして、かかる凹凸により電子重量計10が全体に斜めに傾斜している場合は、その傾斜角度を算出したうえで、上記換算工程にて被計量物の重量に関する表示出力値を求めてもよい。
【0129】
本実施形態では、出力部50により出力される表示出力値は、測定された計量データと傾斜データDSLとに基づいて演算された、水平な基準面100に設置された電子重量計10で測定される被計量物の重量データである。これにより、従来の電子重量計では計量誤差が感量(一目盛り)を超える程度に大きな傾斜角度θを有する設置面110上においても、本実施形態の電子重量計10であれば被計量物の重量を正確に計量することができる。
【0130】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成される限りにおける種々の変形、改良等の態様も含む。
【0131】
例えば、平坦かつ傾斜状態が既知の基準面100に設置された電子重量計10の自重に関する基準データfLVを各重量センサ20から取得する予備取得工程(図9,10におけるステップS107)は、工場出荷前のみならず、ユーザによっても実行可能としてもよい。
【0132】
なお、上記実施形態の脚部22は、それぞれその下端が設置面110,120,130に直接に当接し、かつ個々の脚部22に対して重量センサ20が個別に設けられている。これにより、各脚部22は、設置面120,130の局所的な凹凸形状に応じた測定データfSLに関しても好適に重量センサ20で検知することができるため、凹凸情報を高い精度で検知することができる。
ただし、本発明の電子重量計10は上記実施形態に限られない。
例えば、脚部22と重量センサ20との間にベース部材などの他の部材を介在させてもよい。
【0133】
図11は、かかる変形例に関する電子重量計10の部分縦断面模式図である。
本変形例の電子重量計10は、天板部材12の下面側に、これと対向するベース部材14を備えている。
ベース部材14の下面には複数の脚部22が突出して設けられて設置面110,120,130と接地する。
また、ベース部材14の上面には複数の重量センサ20が搭載され、天板部材12の受け部16と当接している。
【0134】
重量センサ20はゴムなどの柔軟弾性体28、および接着層29によってベース部材14に固定されている。
重量センサ20は、起歪部27が設けられた固定部23と、起歪部27に接合された歪ゲージ24とを備えている。
起歪部27の上面には凸状の加重部26が形成されている。加重部26には、天板部材12および被搭載物の重量(重力荷重)が受け部16より下方に負荷される。かかる荷重により起歪部27および歪ゲージ24は変形し、歪ゲージ24の抵抗が変化したことがリード線25より出力される。
【0135】
本変形例の場合、十分な曲げ剛性を有するベース部材14を用いることにより、脚部22と重量センサ20とをベース部材14の面内にオフセットさせることができる。また、脚部22と重量センサ20とを1:1で対応させず、両者の式数を相違させてもよい。すなわち、電子重量計10と被搭載物の重量は、例えば三式の重量センサ20を経由して、四式の脚部22で支持することもできる。
【0136】
かかる変形例の場合も、三式以上の重量センサ20からの出力荷重に関する基準データfLVと測定データfSLとを対比することで、ベース部材14に生じている傾斜状態を検知することができる。また、本変形例において、さらに脚部22を除き、ベース部材14を設置面110,120に載置する構成としてもよい。
【0137】
上記変形例にかかる電子重量計10の場合、ベース部材14の剛性により、各重量センサ20では設置面120,130の局所的な凹凸形状に応じた測定データfSLを取得することは困難となるものの、設置面110の全体的な傾斜方向(方位角φ)および傾斜角度θの測定精度が向上する。これは、設置面120,130の局所的な凹凸情報が、全体的な傾斜の傾向を示す全体情報に対する誤差データとして測定されることが防止されるためである。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる電子重量計の一例を示す平面模式図である。
【図2】電子重量計を平坦かつ水平な基準面に設置した場合の立面図である。
【図3】図2の斜視図である。
【図4】電子重量計の重心位置を示す平面模式図である。
【図5】電子重量計を傾斜した設置面に設置した状態を後方向からみた立面図である。
【図6】本実施形態の電子重量計の機能ブロック図である。
【図7】設置面に設置された電子重量計の傾斜方向の一例を示す図である。
【図8】(a)は水平な面内に局所的な凸部を有する設置面に電子重量計が載置された状態を示す平面図であり、(b)は立面図である。
【図9】本実施形態の傾斜検知方法に関するフローチャートである。
【図10】本発明の第二実施形態の傾斜検知方法に関するフローチャートである。
【図11】変形例に関する電子重量計の部分縦断面模式図である。
【符号の説明】
【0139】
10 電子重量計
12 天板部材
20 重量センサ
22 脚部
30 記憶部
40 演算部
50 出力部
52 第一表示装置
56 第二表示装置
60 警告部
100 基準面
110,120,130 設置面
θ 傾斜角度
θ 許容角度
φ 方位角
SL 傾斜データ
〜D 傾斜方向
LV 基準データ
SL 測定データ
δf 差分データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物が載置される天板部材と、前記天板部材の下方に分散して配置された三式以上の重量センサと、を備える電子重量計であって、
平坦かつ傾斜状態が既知の基準面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する基準データを記憶した記憶部と、
傾斜した設置面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する測定データと、前記基準データとに基づいて、前記設置面の傾斜状態を算出する演算部と、
算出された前記傾斜状態を示す傾斜データを出力する出力部と、
をさらに備えることを特徴とする電子重量計。
【請求項2】
出力される前記傾斜データが、前記設置面の傾斜方向および傾斜角度を含む請求項1に記載の電子重量計。
【請求項3】
前記出力部が、前記設置面の前記傾斜方向および前記傾斜角度を表示する表示装置を含む請求項2に記載の電子重量計。
【請求項4】
前記記憶部が、予め設定された許容角度を記憶している請求項2または3に記載の電子重量計であって、
前記傾斜角度が前記許容角度以上であること報知する警告部をさらに備える電子重量計。
【請求項5】
出力される前記傾斜データが、前記設置面の凹凸を示す凹凸情報を含む請求項1から4のいずれかに記載の電子重量計。
【請求項6】
前記演算部が、前記設置面に設置された前記電子重量計の前記天板部材に載置されて前記重量センサで重量が測定された前記被計量物の計量データと、前記傾斜データとに基づいて、表示出力値を演算することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の電子重量計。
【請求項7】
前記表示出力値が、測定された前記計量データと前記傾斜データとに基づいて演算された、水平な前記基準面に設置された前記電子重量計で測定される前記被計量物の重量データである請求項6に記載の電子重量計。
【請求項8】
被計量物が載置される天板部材と、前記天板部材の下方に分散して配置された三式以上の重量センサと、を備える電子重量計を用いて、前記電子重量計が設置された設置面の傾斜状態を検知する方法であって、
平坦かつ傾斜状態が既知の基準面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する基準データを取得する予備取得工程と、
前記設置面に設置された状態で前記重量センサにそれぞれ負荷される重量に関する測定データを取得する測定工程と、
前記測定データおよび前記基準データに基づいて、前記設置面の傾斜状態を算出する傾斜演算工程と、
算出された前記傾斜状態を示す傾斜データを出力する出力工程と、
を含む傾斜検知方法。
【請求項9】
前記設置面に設置された前記電子重量計の前記天板部材に載置された被計量物の重量に関する計量データを取得する計量工程と、
算出された前記傾斜データと、取得された前記計量データとに基づいて、表示出力値を演算する換算工程と、
を更に含む請求項8に記載の傾斜検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−78439(P2010−78439A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−246628(P2008−246628)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(000133179)株式会社タニタ (303)