説明

電子鍵盤楽器

【課題】 電源を収納することのできる脚部を具えた電子鍵盤楽器の提供。
【解決手段】 楽器本体部を所定の高さに支持する複数の脚部のうち少なくとも1本の脚部について、互いに対向する面を有する形状に形成する。互いに対向する面を有する形状に形成すると、該対向する2面間において所定幅の空間部が形成されるので、該空間部に対して楽器本体部に対して電力を供給する電源を収納する。このように、複数の白鍵と黒鍵とを含んでなる鍵盤を有し、各鍵に対する押鍵動作に応じて各鍵毎に所定の信号を電気的に出力するために必要な電力を楽器本体部に対して供給する電源を、楽器本体部から離れた位置にある脚部に内蔵する。これにより、電源の交換が容易となるだけでなく、楽器本体部内に配置された他の部品に対して悪影響を与えて誤作動又は故障させてしまうことを防止でき、さらに楽器本体部内における各部品の配置などを適宜に設計できるようになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ピアノや電子オルガンあるいは電子キーボード等の電子鍵盤楽器に関し、特に楽器本体を支持する脚部に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、自然楽器であるアコースティックピアノやオルガン等にかわって、自然楽器と同様の複数の白鍵と黒鍵とを含む鍵盤型の演奏操作子を具え、これら各鍵に対する押鍵動作を検出することによって所定の演奏信号を生成して電気的に楽音を発音する、所謂電子ピアノや電子オルガンあるいは電子キーボードなどの電子鍵盤楽器が広く普及してきている。従来、こうした電子鍵盤楽器においては、鍵盤、電源、音源回路、アンプ、スピーカ等の多数の部品をその内部に含んでなる楽器本体部を複数の脚部で支持するように構成されており、前記複数の脚部を楽器本体部あるいは楽器本体部を囲む外装部材などの複数箇所にそれぞれ複数のボルト等を用いて固定することで、電子鍵盤楽器を組み立てるようにしている。これに関連するものとして、例えば下記に示す特許文献1に記載の電子鍵盤楽器などがある。この特許文献1に記載の電子鍵盤楽器においては、ステー部材で連結された一対の脚体(脚部)に対して、鍵盤を有する楽器本体部を左右2箇所でのボルト止めにより略水平に固定することで、楽器本体部を所定の高さに支持するようにしている。
【特許文献1】特開平5-297865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述したように、従来の電子鍵盤楽器では全ての部品、つまり鍵盤や電源の他、楽音発生制御のために必要な音源回路、アンプ、スピーカ等を脚部により間接的にあるいは直接的に支持されている楽器本体部内に収納し、該楽器本体部を脚部により支持するようにしていた。しかし、電源については配置のための大きなスペースが楽器本体部内に必要とされ、また電源はその動作時に熱を発生するので、これにより楽器本体部内に配置された他の部品に対して悪影響を与えて誤作動又は故障させてしまう恐れなどがある。したがって、電源については楽器本体部内において他の部品との兼ね合いからその配置位置が限られ、また他の部品から極力離すようにして配置しなければならず、そのために各部品の配置位置の変更や部品の新規追加など楽器本体部内における設計上の自由度があまりない、楽器本体部をより一層薄型でかつ奥ゆきのないコンパクトであってスタイリッシュなものとすることが難しい、などの問題点があった。さらに、電子鍵盤楽器を海外などの仕向け地先で使用できるようにする場合、あるいは電源が故障したような場合には、仕向け地先毎に異なる電圧・電流にあわせた仕様の電源や正常な電源等に交換しなければならないが、電源を楽器本体部内に収納していたのでそうした交換が非常に面倒であった。
【0004】
本発明は上述の点に鑑みてなされたもので、内部に電源を収納することのできる、楽器本体部を支持する脚部を具えた電子鍵盤楽器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る電子鍵盤楽器は、複数の白鍵と黒鍵とを含んでなる鍵盤を有し、前記各鍵に対する押鍵動作に応じて各鍵毎に所定の信号を電気的に出力する楽器本体部と、前記楽器本体部を所定の高さに支持する複数の脚部と、前記楽器本体部に対して電力を供給する電源とを具え、前記複数の脚部のうち少なくとも1本の脚部は、互いに対向する面を有する形状に形成されてなり、該対向する2面間において確保される所定幅の空洞部に前記電源を収納することを特徴とする。
【0006】
この発明によると、楽器本体部を所定の高さに支持する複数の脚部のうち少なくとも1本の脚部について、互いに対向する面を有する形状に形成する構造とする。互いに対向する面を有する形状に脚部を形成すると、該対向する2面間において所定幅の空洞部が形成されることとなり、該形成された空洞部に楽器本体部に対して電力を供給する電源を収納することができる。すなわち、複数の白鍵と黒鍵とを含んでなる鍵盤を有し、前記各鍵に対する押鍵動作に応じて各鍵毎に所定の信号を電気的に出力するために必要な電力を楽器本体部に対して供給する電源を、楽器本体部から離れた位置にある脚部に内蔵する。これにより、電源の交換が容易となるだけでなく、楽器本体部内に配置された他の部品に対して悪影響を与えて誤作動又は故障させてしまうことを防止でき、さらには楽器本体部内における各部品の配置などを適宜自由に設計することができるようになる。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、簡易な構造で楽器本体部を支持する複数の脚部のうち少なくとも1本の脚部の内部に電源を収納できるようにし、これにより楽器本体部から離れた位置に電源を配置するようにしたので、電源の交換が容易になるだけでなく、楽器本体部内に配置された他の部品に対して悪影響を与えて誤作動又は故障させてしまうことを防止でき、さらに楽器本体部内における設計上の自由度が高まる、という優れた効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながらこの発明を詳細に説明する。
【0009】
本発明に係る電子鍵盤楽器について、図1及び図2を用いて説明する。図1は、本発明に係る電子鍵盤楽器の全体構造の一実施例を示した図である。図1(a)は外観斜視図、図1(b)は正面図、図1(c)は側面図である。この実施例に示す電子鍵盤楽器は、鍵盤Kを含み電子鍵盤楽器の心臓部である楽器制御部Gと、互いに組み合わされることで1つの楽器筐体(楽器本体部)を形成する樹脂素材等からなる上筐体U(上ケース)及び下筐体D(下ケース)と、前記上筐体Uと下筐体Dの間に挟み込まれるようにして取付けられる補強部材LTと、楽器筐体底面において左右手前(又は左右奥でもよい)に配置される一対の脚部P及び中央奥(又は中央手前でもよい)に配置される脚部PMとに大きく分けることができる。
【0010】
上筐体U及び下筐体Dはプラスチックなどの樹脂等を素材にしてそれぞれ成型される上下別体のケースであって、これら上下2つの筐体を互いに組み合わせると、鍵盤Kのみを表面上に露出させる一方でその他の部分については覆うようにして楽器制御部Gを収納する、楽器筐体(所謂楽器ボディ)を形成することができる。この楽器筐体を形成する際に、上筐体Uと下筐体Dとの間に挟み込まれるようにして取付けられる補助部材LTは、樹脂部材からなる上筐体U及び下筐体Dよりも強度のある硬い素材からなる、例えば強度があり、錆びることなく、加工のし易いステンレスなどの金属部材を薄く枠状に形成したものである。この補強部材LTは単に外見上のデザインのためだけでなく、外力によって楽器筐体に対して相当に強い変形圧力がかかったとしても各筐体の変形を規制し、各筐体に破損が生じるほどの無理な変形が生じることのないように楽器筐体の強度を補強するためのものである。これらにより形成される楽器筐体(楽器本体部)内には、鍵盤Kの他に図示しない音源回路、アンプ、スピーカ等を有する楽器制御部G、図示しない発音制御用のプリント回路基板などの電子部品等を適宜の位置に固定することのできるようになっている。
【0011】
楽器制御部G、プリント回路基板などの電子鍵盤楽器を構成する楽音発生制御に関わる各部品の全て(ただし、後述するように電源以外の部品)をその内部に収納する、上筐体Uと下筐体Dとを互いに組み合わせてなる楽器筐体(楽器本体部)に対しては、例えば下筐体Dの底板に設けられている螺子孔(図示せず)を介して、螺子等により一対の脚部P及び1本の脚部PMの計3本の脚を取り付けることで、当該楽器筐体を所定の高さ(詳しくは鍵盤Kの高さ位置)に支持するようにして電子鍵盤楽器を組立てできるようになっている。すなわち、脚部P及び脚部PMは、安定的かつ鍵盤Kが所定高さで略水平に保たれるようにして楽器筐体を支持するように、楽器筐体の下部を形成する下筐体Dの底板に着脱可能に接続又は固着される。この際に、楽器筐体底面において左右手前に配置される一対の脚部Pは下筐体Dの底板に対して垂直に、他方中央奥に配置される脚部PMは垂直にではなく演奏者とは反対側前方に向けてやや傾斜するようにして下筐体Dの底板に取付けられる。
【0012】
脚部PMについては、例えば幅広な面状のステンレス板を略L字形状に加工したものを2枚組み合わせ、その上端部を下筐体Dの底板に取付ける一方で下端部を接地させることで、楽器筐体下部において脚部PMを立設させるようにしている。例えば、脚部PMは予め略L字形状に形成された2枚のステンレス板PM1及びPM2を、接地面から所定の区間まで(詳しくはY字形状の分岐点まで)において、それぞれの幅広の平面部分が対向するようにして組み合わせ、それらをステー部材R(後述する図2参照)で溶接するなどして、前記所定区間内における断面が略コの字状になるようにして形成する。こうすることによって、組立て後の電子鍵盤楽器を安定させた状態で直立させることができる。さらに、脚部PMを略L字形状に形成し互いに対向する面を有するように配置することで、脚部PMにおいて接地面となる下方先端部分がペダル取付部PN(後述する図2参照)を兼ね、演奏者が足で踏み込み動作することで楽音を制御するためのフットペダルユニットFPを着脱可能に設置することのできるようにしている。こうした脚部PMの詳細な構造について、図2を参照しながら説明する。
【0013】
図2は、図1に示した電子鍵盤楽器において中央奥に配置された脚部PMの全体構造の一実施例を示す拡大図である。図2(a)は外観斜視図、図2(b)は側面図、図2(c)は裏面図である。ただし、ここでは説明を理解し易くするために、図2(a)ではフットペダルユニットFPを取り外した状態を示し、図2(b)では脚部PMを構成する手前側のステンレス板PM2を取り外した状態を示している。
【0014】
脚部PMは、側面から見た場合には図2(a)又は(b)に示すように略L字形状に形成される一方で、裏面(又は正面)から見た場合には図2(a)又は図2(c)に示すように略Y字(又は略T字)の形状に形成されている。脚部PMの上端には、下筐体D(図1参照)の底面と並行するように水平方向に延びた所定長さの下筐体接続部PSが形成されており、下筐体Dに対して当該脚部PMを接続するための螺子孔Hが複数設けられている。この例では、4つの各下筐体接続部PS毎に2個の螺子孔Hがそれぞれ設けられている。こうした脚部PSを下筐体Dに取付ける際には、この下筐体接続部PSを下筐体Dの底面に接した上で前記螺子孔Hを介して下方からねじを通して下筐体Dの底面にねじ止めする。このように、脚部PMを略L字形状とすることで前後の安定性を図り、また略Y字形状とすることで左右の安定性を図った上で強度を確保することで、楽器筐体をその直下において安定的かつ確実に保持するようにしている。
【0015】
脚部PMにおいて、ステンレス板PM1及びPM2を互いに対向するように配置しておき、これらをその状態を保ったままステー部材Rにより溶接すると、断面を略コの字状に形成することができ、当該略コの字状に形成される箇所(図中においては直線状であって幅がある脚の太い箇所)は所定の空間からなる空洞部(スペース)を脚部PM内に確保することとなる。この確保された空洞部には、当該電子鍵盤楽器を駆動するための、つまり楽器制御部Gにおける各部品及びフットペダルユニットFP(図2(b)において斜線を施した箇所)に対してそれぞれその駆動に必要な電力(電圧・電流)を供給する電源Eを設置することができるようになっている(図2(b)又は図2(c)参照)。電源Eの取付け方法としては、例えば磁石や螺子などあるいは係止部材に係止させるなど、当該空洞部に固定的に電源Eを取付けできる方法であれば、適宜のどのような方法であってもよい。このように、図1に示す電子鍵盤楽器において、脚部PMは単に楽器本体部Gを支持する支持脚であるだけでなく、電源Eを楽器本体部Gから離れた位置に収納するための電源内蔵脚を兼ねる。
【0016】
脚部PMの内壁部には、前記電源を設置することが可能な空洞部から脚部PMに沿って上方及び下方に延びる凹状のコード類収納溝CMが形成される(図2(a)又は図2(b)参照)。このコード類収納溝CMは、脚部PMに設置された電源回路Eから楽器制御部Gにおける各部品及びフットペダルユニットFPに対して電力を供給するためのコード(例えば電源コード)や、楽器制御部GとフットペダルユニットFPとの間で各種制御信号を送受信するためのコード(例えば信号線などのケーブル類)などを収納するものである。つまり、外部の電源コードCを脚部PMの下方から電源Eに引き込み、電源EからのコードCを脚部PMの上方に位置する楽器本体部Gに向けるようにして、脚部PM内においてコードCを這い回すようにしている。言いかえれば、当該コード類収納溝CMは、コードCを入れ込むことによって脚部PM内から外部へとコードCがはみ出さないよう、コードCを整然と収納するためのものである。
【0017】
略L字形状の脚部PMの下方先端部分には、演奏者が足で操作することで楽音を制御する信号を発生する、センサ部S付きのカートリッジ式のフットペダルユニットFPを着脱可能に設置できるように、凸状のペダル取付部PNが演奏者側に向けて形成されている。すなわち、ペダル取付部PNは垂直方向に立ち上がるようにして凸形状に形成された左右それぞれの壁面を有してなり、この凸部にフットペダルユニットFPのうちの板状のフットペダルFSの底面に設けられた凹状の長方形孔(図示せず)を引っ掛けるようにして、かつペダル取付部PNにおける垂直方向に立ち上がる前記左右両壁面の間に、フットペダルユニットFPのうちの箱状の検知部CTを挟み込むようにして、当該位置にフットペダルユニットFPを設置することができるようになっている。当該位置に設置可能なフットパダルユニットFPは、ラバー又はアルミなど素材からなり演奏者の足による踏み込み動作に合わせて演奏者側を支点として上下に揺動するフットペダルFSと、前記フットペダルFSの揺動量を検知して所定の楽音制御信号を出力するセンサ部S等を含んでなる箱状の検知部CTとからなる。検知部CTは、互いに向き合うようにしてステー部材Rにより溶接された2枚のステンレス板PM1とPM2との間隔とほぼ同じだけの幅を持つように、またペダル取付部PNの両壁面の高さとほぼ同じだけの高さを持つように形成される。前記壁部は、フットペダルFSの踏み込み方向に対してストッパーを兼ねる。すなわち、フットペダルユニットFPの検知部CTを壁部間に挟み込むようにして取り付けると、壁部上端が検知部CT上部に配置されたフットペダルFSを踏み込んだ際にある程度以上の踏み込みを止めるストッパーとなるので、このストッパーで止まる踏み込み量を基準として踏み込み量に応じた楽音制御信号を出力するように、センサ部Sを正しく調節することなどができるようになる。
【0018】
なお、ペダル取付部PNにおける凸状の壁部は予め脚部PMと一体に形成されているものに限らず、この壁部を螺子や溶接で脚部PMに後から固定するようにしたものであってもよい。ただし、脚部PMと一体成型されていると、強度がたかく、造形上も形成がしっかりするものとなるので、フットペダルFSを激しく踏み込み操作しても破損する虞が少なく有利である。
【0019】
上記フットペダルユニットFPから楽器制御部Gに各種信号を伝えるコードは電源Eからの電源コードなどと同じく、脚部PMの内壁面に設けられたコード類収納溝CMを通して脚部PM内部を這い回される。すなわち、フットペダルユニットFPからの配線は、脚部PM内を通って楽器制御部Gに繋がっている。フットペダルユニットFPからのコードを脚部PMの内部に通すことにより、見た目が悪くなることがなく、コードの断線などもおきにくくなる。
【0020】
以上のように、この実施例に示す電子鍵盤楽器においては、楽器筐体を支持する脚部PMの支柱となる脚の太い箇所に電源Eを着脱可能に配置できるようにしたので、他の部品と比べて嵩張る大きさの電源Eを収まりよく収納できるだけでなく、メンテナンスや取替え時における電源Eの交換が容易となり、さらに重量のある電源Eを従来に比べて比較的低い位置に配置することになるので、電子鍵盤楽器自体の安定性が増してよい。また、電源Eを楽器本体部Gから離した位置に収納することから、楽器本体部G内に電源配置のためのスペースを設ける必要がなくなり、楽器本体部G内における各部品の配置など設計上の自由度がます。しかも、放熱効果が得られ、楽器本体部G内の各種部品に対する電源の動作に伴う悪影響を考える必要もなく、楽器本体部G内において適宜の位置に各部品を配置することができるようになる。コードの這いまわしも、脚部PM内を通るようにしたので、すっきりして見た目もよくなる。
【0021】
また、フットペダルユニットFPを必要とする場合においては、上述したように、脚部PM下部にフットペダルユニットFPを挟み込むといった簡易な構造によって容易に着脱可能に設置できるようにすることで、フットペダルユニットFPを設置するために新たに設けるべき部品点数の増加を従来と比べて最小限とすることができ、また脚部PMにフットペダルユニットFPを設置するようにしたことで、楽器としてのデザインをシンプルかつスタイリッシュなものとすることができる。さらに、脚部PM内部にフットペダルユニットFPからのコードを這い回すようにしたので、コードが邪魔にならずにユーザの足が引っ掛かる虞がほとんどない。
【0022】
なお、上述した実施例においては、略L字形状に形成された2枚のステンレス板をステー部材Rで溶接した脚部PMを例に示したがこれに限らず、1枚のステンレス板を接地面から所定の区間までにおける断面が略コの字状になるよう、少なくとも互いに対向する面を有するように曲げ加工などして形成し、接地面となる下端部に対して予め別に用意されている所定形状の板部材(図2に示すようなペダル取付部PNを形成する部材)を新たに溶接することによって、全体が略L字形状となるように脚部PMを形成するようにしてもよい。あるいは、1枚のステンレス板を略L字形状からなるステンレス板PM1及びPM2を2つ組み合わせた形で型抜きし、これを略コの字状に曲げ加工することによって、脚部PMを形成するようにしてもよい。いずれにおいても、こうした脚部PMの構造は従来に比べて簡易な構造である。
なお、本発明にかかる電子鍵盤装置において、脚部P及び脚部PMは上述したようなステンレス板に限らず、強度があり軽く、また熱伝導率が高く放熱効果が得られ、さらには形状が自由に決められるほど加工のし易い素材でできているものであれば、どのような素材であってもよい。
【0023】
なお、上述した実施例においては、脚部PMを形成する2枚のステンレス板PM1及びPM2を左右方向に配置した例を示したが、これに限らず前後方向に配置するようにして脚部PMを形成するようにしてもよい。ただし、その場合には演奏者側に配置されるステンレス板の背面に、図2(a)に示すような形状のペダル取付部PNを配置することになる。
なお、脚部PMが略T字形状に構成されているものも、この明細書においては略L字形状に含むものとする。また、脚部Pについても略L字形状に形成し、より電子鍵盤楽器の安定性を図るようにしてもよい
【0024】
なお、脚部PMの裏面には、カバーを取り付けできるようにするとよい。電源Eの収納後においてカバーをしておくと、該カバーにより脚部PM自体の強度を補強することができるだけでなく、脚部PM内に配置される電源Eや脚部PM内部を通しているコードなどを埃や汚れあるいは水濡れなどから保護することができるようになるし、また外部からコードが見えないので見た目にもすっきりしてよい。さらに、こうしたカバーを回動可能に脚部PMの裏面に取付けておき、該カバーの脚部PM内部側の面に電源Eを取付けるようにするとよい。こうした場合には、回動可能なカバーにより脚部PMの裏面を適宜に開閉することができ、それによりカバーを開けるだけで脚部PM内に収納されている電源Eを簡単に取り出すことができるようになり非常に便利である。
【0025】
なお、脚部Pを下筐体Dの裏面に接続する際には、脚部Pの上端部を補強部材LTに当接または近接するような位置に配置するようにして接続するとよい。こうすると、脚部Pが下筐体Dを下から支えることに加えて、脚部Pの上端面の一部が下筐体Dよりも硬い部材からなる補強部材LTを補助的に下から支えるような形になるので、より安全に楽器筐体を支持することができるようになる。
なお、インテリア性を重視するためには、コードやケーブル類を極力排除するのが望ましく、そのための1つの方法として例えば電源Eを電池駆動としてもよい。また、インテリア性を重視する観点から、楽器筐体をよりスタイリッシュに形成するためには厚みを薄くすることが不可欠であり、そのために電子鍵盤楽器を構成する各部品を下筐体D内に収納することなく、音源回路、アンプ、スピーカ等の一部の部品を別装置で構成しておき、楽器制御部Gからは無線によりMIDI信号を前記別装置へと送信して、別装置側で楽音形成〜放音をするように構成するようにしてもよい。このようにすると、楽音発生時における楽器制御部Gでの消費電力を下げることもでき、電池によっても楽器制御部Gを長時間駆動することができるようになるので、そういった面からも有利である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係る電子鍵盤楽器の全体構造の一実施例を示した図であり、図1(a)は外観斜視図、図1(b)は正面図、図1(c)は側面図である。
【図2】図1に示した電子鍵盤楽器において中央奥に配置された脚部の全体構造を示す拡大図であり、図2(a)は外観斜視図、図2(b)は側面図、図2(c)は裏面図である。
【符号の説明】
【0027】
P(PM)…脚部、U…上筐体(上ケース)、D…下筐体(下ケース)、G…楽器制御部、K…鍵盤、LT…補強部材、FP…フットペダルユニット、S…センサ部、E…電源回路、C…コード、R…ステー部材、PS…下筐体接続部、PN…ペダル取付部、CM…コード類収納溝、FS…フットペダル、H…螺子孔、CT…検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の白鍵と黒鍵とを含んでなる鍵盤を有し、前記各鍵に対する押鍵動作に応じて各鍵毎に所定の信号を電気的に出力する楽器本体部と、
前記楽器本体部を所定の高さに支持する複数の脚部と、
前記楽器本体部に対して電力を供給する電源と
を具え、
前記複数の脚部のうち少なくとも1本の脚部は、互いに対向する面を有する形状に形成されてなり、該対向する2面間において確保される所定幅の空洞部に前記電源を収納することを特徴とする電子鍵盤楽器。
【請求項2】
前記複数の脚部のうち少なくとも1本の脚部は、互いに対向する面のうち少なくともいずれか一方の面に、前記空洞部に収納された電源に接続されるコードを収納する所定深さの凹状に形成された溝部を具えることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子鍵盤楽器。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−25445(P2007−25445A)
【公開日】平成19年2月1日(2007.2.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−209816(P2005−209816)
【出願日】平成17年7月20日(2005.7.20)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】