説明

電子音響装置連携装置及びプログラム

【課題】音楽コンテンツ及び/又は機能実行プログラムを利用可能状態に自動更新する。
【解決手段】電子音響装置連携装置は、音楽コンテンツ及び/又は機能実行プログラムを記憶部STdに記憶し、連携する電子音響装置から、制御情報Csが重畳された音声信号Asを受信し(7;DM)、制御情報Csが所定の条件を満たすと、記憶部STdに記憶されているコンテンツ及び/又は機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する(DC)。制御情報(譜めくり信号)Csから抽出したコンテンツ特定情報Siに対応する音楽コンテンツを記憶部STdから読み出す(CTd)ように構成することができ、制御情報(機種ID信号)Csから抽出した装置の機種特定情報Kiに応じた音楽コンテンツ及び/又は機能実行プログラムについてのみ利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する(DC)ように構成することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電子音響装置と連携する音楽コンテンツ表示装置に楽譜データ等の音楽コンテンツを表示する音楽コンテンツ表示システムのように、電子音響装置と連携する電子音響装置連携装置を備えた電子音響装置連携システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、楽譜データ等の音楽コンテンツを利用する装置が知られている。例えば、特許文献1の電子音楽装置では、電子楽譜データを含む電子音楽情報(コンテンツ)をコンテンツ販売サイトからダウンロードすることができ、自装置の機器IDと同じ許諾機器IDが埋め込まれたコンテンツのみ利用することができるようになっている。つまり、自装置の記憶媒体内のコンテンツのリストを表示し、ユーザが利用したいコンテンツを選択すると、選択されたコンテンツに埋め込まれた許諾機器IDの中に自装置の機器IDに一致するものがあるかないかを判定し、一致するものがあれば、選択されたコンテンツを記憶媒体から読み出して利用する。一方、一致する機器IDがなかった場合には、記憶媒体から読み出さず、このコンテンツが自装置では利用できない旨のメッセージを表示する。
【0003】
従来技術では、このように、利用許諾のないコンテンツも選択時にリストに表示されてしまうので、利用することができないのにユーザに選択されてしまい無駄な操作をさせる可能性がある。また、利用されるコンテンツには利用許諾IDが埋め込まれていなくてはならない。さらに、自装置の買替えなどで機器IDが変わってしまった場合などには、買替え前までは利用可能であったコンテンツを利用することができなくなり、コンテンツ販売サイトから再びダウンロードする等の作業や費用が発生する。
【0004】
また、機能を実行するためのプログラム等につき機能を拡張して利用することができる装置も知られている。例えば、特許文献2の自動演奏装置では、ユーザ操作により各種プラグインプログラムが外部記憶媒体からインストールされ、簡単に機能を拡張することができる。また、特許文献3の曲データ再生装置では、再生対象の演奏データと購入情報がセットになっており、演奏データ内に再生制限イベントデータが含まれる曲データが、サーバから入手可能であり、再生装置側で曲データを再生する際に購入情報が「試聴版」の場合には、演奏データ内に含まれる再生制限イベントデータを読み出して再生機能(楽譜表示など)に制限をかけることができる(図4)。
【0005】
さらに、特許文献4の情報処理装置では、管理プログラムにより、異なる機能を提供する複数の部分プログラム(プラグインモジュール等)の実行を管理し、コンフィグレーションファイルにより、管理プログラムの実行に際し選択の対象となる複数の楽器の各々と複数の部分プログラムのうち1以上の部分プログラムとが対応付られており、管理プログラムを実行することによって、利用者が選択した楽器に対応する1以上の部分プログラムを同ファイルに基づいて特定し実行することができる。
【0006】
しかしながら、機能拡張を行うためには、ユーザが選択操作や設定操作など何らかの作業を行わなければならない。また、コンテンツに制限情報がある場合には、購入手続きなどを行って制限を外す必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−271766号公報
【特許文献2】特許第3614061号公報
【特許文献3】特許第4029735号公報
【特許文献4】特開2004−213177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、このような事情に鑑み、電子音響装置から受信した信号が所定の条件を満たすときに、自装置(電子音響装置連携装置)ユーザが当該電子音響装置の購入者であるとみなし、自装置が保持している音楽コンテンツ及び/又は機能実行プログラムを、連携すべき電子音響装置に対応したものとして利用可能状態に自動的に更新することができる電子音響装置連携システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の第1の特徴に従うと、音楽コンテンツ〔楽譜表示データ、ガイド用イラストデータ、歌詞表示データ、コードネーム表示データ、コード進行指示データ(非表示データ)、伴奏スタイルデータ(非表示データ)、付属情報、コメントデータ、対応MIDIデータなどの曲対応データ〕を記憶するコンテンツ記憶手段(4;STd)と、連携する電子音響装置(EM)からの信号(As)を受信する信号受信手段(7;DM)と、信号受信手段(7;DM)により受信された信号(As)が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断手段(DM,DC;S5〜S8)と、信号判断手段(DM,DC;S5〜S8)により所定の条件を満たすと判断された場合に(S8=YES)、コンテンツ記憶手段(4;STd)に記憶された音楽コンテンツ(曲対応データ)について利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新手段〔DC;S10(P2)〕とを具備する電子音響装置連携装置(DS)〔請求項1〕、並びに、音楽コンテンツ(曲対応データ)を記憶するコンテンツ記憶手段(4;STd)を具備し、電子音響装置連携装置として機能するコンピュータ(DS)に、連携する電子音響装置(EM)からの信号(As)を受信する信号受信ステップ(DM)と、信号受信ステップ(DM)で受信された信号(As)が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断ステップ(DM,DC;S5〜S8)と、信号判断ステップ(DM,DC;S5〜S8)で所定の条件を満たすと判断された場合に(S8=YES)、コンテンツ記憶手段(4;STd)に記憶された音楽コンテンツ(曲対応データ)について利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新ステップ〔DC;S10(P2)〕とから成る手順を実行させる電子音響装置連携プログラム〔請求項2〕が提供される。なお、括弧書きは、理解の便のために付記した実施例の参照記号や用語等であり、以下においても同様である。
【0010】
この発明の第1の特徴による電子音響装置連携プログラムにおいて、信号受信ステップ(DM)で受信される信号(As)は、情報(Cs)が重畳された音声信号であり、信号判断ステップ(DM,DC;S5〜S8)では、信号受信ステップ(DM)で受信された音声信号(As)に重畳された情報(Cs)を抽出し、所定の条件を満たすかどうかを判断する〔請求項3〕ように構成することができる。
【0011】
この電子音響装置連携プログラムでは、信号判断ステップ(DM,DC;S5〜S8)において判断の対象となる音声信号(As)に重畳された情報(Cs=Cs1)には、少なくとも、音楽コンテンツを特定することができるコンテンツ特定情報(Si)が含まれている〔請求項4〕ように構成することができる。
【0012】
また、この電子音響装置連携プログラムにおいて、手順は、さらに、信号受信ステップ(DM)で受信された音声信号(As)に重畳された情報(Cs)からコンテンツ特定情報(Si)を抽出するコンテンツ特定情報抽出ステップ(EX;S11)と、コンテンツ特定情報抽出ステップ(EX;S11)で抽出されたコンテンツ特定情報(Si)に対応する音楽コンテンツ(曲対応データ)をコンテンツ記憶手段(4;STd)から読み出すコンテンツ読出しステップ〔CTd;S15(Q1〜Q4),S18(R1〜R5)〕とを含む〔請求項5〕ように構成することができる。
【0013】
この発明の第2の特徴に従うと、機能(レイアウト切替え、印刷、ズーム切替えなど)を実行するための機能実行プログラムを記憶するプログラム記憶手段(4;STd)と、連携する電子音響装置(EM)からの信号(As)を受信する信号受信手段(7;DM)と、信号受信手段(7;DM)により受信された信号(As)が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断手段(DM,DC;S5〜S8,T5)と、信号判断手段(DM,DC;S5〜S8,T5)により所定の条件を満たすと判断された場合に(S8=YES,T5=YES)、プログラム記憶手段(4;STd)に記憶された機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新手段〔DC;S19,T6(Y5〜Y8)〕とを具備する電子音響装置連携装置(DS)〔請求項6〕、並びに、機能(レイアウト切替え、印刷、ズーム切替えなど)を実行するための機能実行プログラムを記憶するプログラム記憶手段(4;STd)を具備し、電子音響装置連携装置として機能するコンピュータ(DS)に、連携する電子音響装置からの信号(As)を受信する信号受信ステップ(DM)と、信号受信ステップ(DM)で受信された信号(As)が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断ステップ(DM,DC;S5〜S8,T5)と、信号判断ステップ(DM,DC;S5〜S8,T5)で所定の条件を満たすと判断された場合に(S8=YES,T5=YES)、プログラム記憶手段(4;STd)に記憶された機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新ステップ〔DC;S19,T6(Y5〜Y8)〕とから成る手順を実行させる電子音響装置連携プログラム〔請求項7〕が提供される。
【0014】
この発明の第2の特徴による電子音響装置連携プログラムにおいて、信号受信ステップ(DM)で受信される信号(As)は、情報(Cs)が重畳された音声信号であり、信号判断ステップ(DM,DC;S5〜S8,T5)では、信号受信ステップ(DM)で受信された音声信号(As)に重畳された情報(Cs)を抽出し、所定の条件を満たすかどうかを判断する〔請求項8〕ように構成することができる。
【0015】
この電子音響装置連携プログラムにおいて、信号判断ステップ(DM,DC;T5)において判断の対象となる音声信号(As)に重畳された情報(Cs=Cs2)には、少なくとも、連携する電子音響装置(EM)の機種を特定することができる機種特定情報(Ki)が含まれている〔請求項9〕ように構成することができる。
【0016】
また、この電子音響装置連携プログラムにおいて、プログラム記憶手段(4;STd)には、1乃至複数種類の機能実行プログラムが記憶されており、手順は、さらに、信号受信ステップ(DM)で受信された音声信号(As)に重畳された情報(Cs)から機種特定情報(機種IDを抽出する機種特定情報抽出ステップ〔EX;T6(Y1)〕を含み、状態更新ステップ〔DC;T6(Y5〜Y8)〕では、機種特定情報抽出ステップ〔EX;T6(Y1)〕で抽出された機種特定情報(Ki)に応じた種類の機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する(Y7)〔請求項10〕ように構成することができる。
【0017】
この電子音響装置連携プログラムにおいて、コンピュータ(DS)は、1乃至複数種類の音楽コンテンツ(曲対応データ)を記憶するコンテンツ記憶手段(4;STd)を具備し、手順は、さらに、信号受信ステップ(DM)で受信された音声信号(As)に重畳された情報(Cs)から機種特定情報(Ki)を抽出する機種特定情報抽出ステップ〔EX;T6(Y1)〕を含み、状態更新ステップ〔DC;T6(Y5〜Y8)〕では、機種特定情報抽出ステップ(EX)で抽出された機種特定情報(Ki)に応じた種類の音楽コンテンツ(曲対応データ)について利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する(Y6)〔請求項11〕ように構成することができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明の第1の特徴による電子音響装置連携システムでは(請求項1,2)、所定の電子音響装置(EM)に従属し連携して動作する電子音響装置連携装置(DS)は、電子音響装置(EM)に対応する追加的な音楽コンテンツ(楽譜表示データ、ガイド用イラストデータ、歌詞表示データ、コードネーム表示データ、付属情報、コメントデータ、コード進行指示データ、伴奏スタイルデータ、対応MIDIデータなどの曲対応データ)を記憶するコンテンツ記憶手段(4;STd)を備える。この電子音響装置連携装置(DS)が従属し連携する対象である特定の電子音響装置(EM)から発信された信号(As)を受信すると(DM)、受信された信号(As)が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する(DM,DC;S5〜S8)。所定の条件とは、例えば、所定の種類の信号(Cs)を初めて受信した、合計して乃至連続して10回目の受信である、或いは、合計した乃至連続した信号受信の間隔が1秒以内である、などである。このような所定の条件を満たす信号(As)は、従属対象(連携元)の電子音響装置(EM)から発信することができる。この信号判断の結果、所定の条件を満たす信号(As)であった場合は(S8=YES)、コンテンツ記憶手段(4;STd)に記憶されている音楽コンテンツ(曲対応データ)のうち、利用不可能状態である全ての音楽コンテンツ(曲対応データ)を利用可能状態に更新する〔DC;S10(P2)〕。
【0019】
つまり、この発明では、電子音響装置連携装置(DS)は、連携元の電子音響装置(EM)と通信可能であることを認識することができたときに、電子音響装置連携装置のユーザが連携すべき電子音響装置(EM)の購入者であるとみなし、コンテンツ記憶手段(4;STd)に元々記憶されており当該電子音響装置(EM)に対応するが利用不可能な状態に設定されている音楽コンテンツ(曲対応データ)を自動的に利用可能な状態に更新する(DC)。なお、完全に自動でなくとも、「更新」のメッセージが一度表示されたときにボタンを1つ押すだけで済ませることができる。また、音楽コンテンツ(曲対応データ)側には利用許諾ID情報が不要であり、機種情報を埋め込む必要がない。
【0020】
従って、この発明によれば、電子音響装置連携装置において利用可能な音楽コンテンツ(曲対応データ)を容易に取得することができ、ユーザの操作負担(例えば、登録や音楽コンテンツ購入などといった作業)を軽減することができる。また、ユーザが不具合やバージョンアップなどで電子音響装置連携プログラムを再インストールしたり或いは電子音響装置連携装置自体を買い替えた場合にも、一度、電子音響装置と通信状態にして所定の信号を受信すれば、直ちに、再インストール前或いは買替え前の状態(利用可能な音楽コンテンツ)にすることができる。さらに、ユーザの作業が軽減されるだけでなく、連携元の電子音響装置の購入者であることが自動的に分り、ユーザが正規に所持する電子音響装置に内蔵される曲データ等の音楽コンテンツに対応する追加的な音楽コンテンツに対してセキュリティが考慮されたものになる。更に、自動的に利用可能な状態になった音楽コンテンツは、連携すべき電子音響装置に必ず対応したものになる。
【0021】
この発明の第1の特徴による電子音響装置連携システムでは、受信される信号(As)が、情報(Cs)が重畳された音声信号(As)であり、受信された音声信号(As)に重畳された情報(Cs)を抽出して所定の条件を満たすかどうかを判断する(DM,DC;S5〜S8)ようにしている(請求項3)。従って、この発明によれば、電子音響装置連携装置と所定の電子音響装置を接続することなく、それぞれ、電源を入れて近くにおくだけで、必要な利用可能音楽コンテンツを追加することができる。
【0022】
この電子音響装置連携システムでは、所定の条件を満たすかどうかの判断(DM,DC;S5〜S8)の対象となる音声信号(As)に重畳された情報(Cs=Cs1)には、少なくとも、音楽コンテンツを特定することができるコンテンツ特定情報(Si)を含むようにしている(請求項4)。従って、この発明によれば、音声信号に重畳された情報に含まれるコンテンツ特定情報を利用して、電子音響装置に対応する楽譜データ等の所望音楽コンテンツを特定することができる。
【0023】
この電子音響装置連携システムでは、さらに、受信した音声信号(As)に重畳されている情報(Cs)からコンテンツ特定情報(Si)を抽出し(EX)、抽出したコンテンツ特定情報(Si)に対応する音楽コンテンツ(曲対応データ)をコンテンツ記憶手段(4;STd)から読み出す(CTd)ようにしている(請求項5)。従って、この発明によれば、音声信号に重畳された情報に含まれるコンテンツ特定情報を利用して、電子音響装置に対応する所望の音楽コンテンツをコンテンツ記憶手段から読み出すことができる。
【0024】
この発明の第2の特徴による電子音響装置連携システムでは(請求項6,7)、所定の電子音響装置(EM)に従属し連携して動作する電子音響装置連携装置(DS)は、電子音響装置(EM)に対応する追加的な機能実行プログラム(例えば、電子音響装置連携装置が音楽コンテンツ表示装置の場合、レイアウト切替え機能、印刷機能、ズーム切替え機能などの機能を実行するためのプログラム)を記憶するプログラム記憶手段(4;STd)を備える。この電子音響装置連携装置(DS)が従属し連携する対象である特定の電子音響装置(EM)から発信された信号(As)を受信すると(DM)、受信された信号(As)が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する(DM,DC;S5〜S8,T5)。所定の条件とは、例えば、所定の種類の信号(Cs)を初めて受信した、合計して乃至連続して10回目の受信である、或いは、合計した乃至連続した信号受信の間隔が1秒以内である、などである。このような所定の条件を満たす信号(As)は、従属対象(連携元)の電子音響装置(EM)から発信することができる。この信号判断の結果、所定の条件を満たす信号(As)であった場合は(S8=YES,T5=YES)、プログラム記憶手段(4;STd)に記憶されている機能実行プログラムのうち、利用不可能状態である全ての機能実行プログラムを利用可能状態に更新する〔DC;S19,T6(Y5〜Y8)〕。
【0025】
つまり、この発明では、電子音響装置連携装置(DS)は、連携元の電子音響装置(EM)と通信可能であることを認識することができたときに、電子音響装置連携装置のユーザが連携すべき電子音響装置の購入者であるとみなし、プログラム記憶手段(4;STd)に元々記憶されており当該電子音響装置(EM)に対応するが利用不可能な状態に設定されていた機能実行プログラムを自動的に利用可能な状態に設定する(DC)。なお、完全に自動でなくとも、「更新」のメッセージが一度表示されたときにボタンを1つ押すだけで済ませることができる。また、機能実行プログラム側には利用許諾ID情報が不要であり、機種情報を埋め込む必要がない。
【0026】
従って、この発明によれば、機能についても、音楽コンテンツと同様に、電子音響装置連携装置において利用可能な機能実行プログラムを容易に取得することができ、ユーザの操作の負担(例えば、選択やインストールなどといった作業)を軽減することができる。また、ユーザが不具合やバージョンアップなどで電子音響装置連携プログラムを再インストールしたり或いは電子音響装置連携装置自体を買い替えた場合にも、一度、電子音響装置と通信状態にして所定の信号を受信すれば、直ちに、再インストール前或いは買替え前の状態(利用可能な機能実行プログラム)にすることができる。さらに、ユーザの作業が軽減されるだけでなく、連携元の電子音響装置の購入者であることが自動的に分り、ユーザが正規に所持する電子音響装置に対応する追加的な機能実行プログラムに対してセキュリティが考慮されたものになる。更に、自動的に利用可能な状態になった機能実行プログラムは、連携すべき電子音響装置に必ず対応したものになる。
【0027】
この発明の第2の特徴による電子音響装置連携システムでは、受信される信号(As)が、情報(Cs)が重畳された音声信号(As)であり、受信された音声信号(As)に重畳された情報(Cs)を抽出して所定の条件を満たすかどうかを判断する(DM,DC;S5〜S8,T5)ようにしている(請求項8)。従って、この発明によれば、電子音響装置連携装置と所定の電子音響装置を接続することなく、それぞれ、電源を入れて近くにおくだけで、必要な利用可能機能実行プログラムを追加することができる。
【0028】
この電子音響装置連携システムでは、所定の条件を満たすかどうかの判断(DM,DC;T5)の対象となる音声信号(As)に重畳された情報(Cs=Cs2)には、少なくとも、連携する電子音響装置(EM)の機種を特定することができる機種特定情報(Ki)を含むようにしている(請求項9)。従って、この発明によれば、音声信号に重畳された情報に含まれる機種特定情報を利用して、連携する電子音響装置の機種に対応する所望の機能実行プログラムを特定することができる。
【0029】
この電子音響装置連携システムでは、プログラム記憶手段(4;STd)には1乃至複数種類の機能実行プログラムが記憶されており、受信した音声信号(As)に重畳された情報(Cs)から機種特定情報(Ki)を抽出し〔EX;T6(Y1)〕、抽出した機種特定情報(Ki)に応じた種類の機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する(DC)ようにしている(請求項10)。従って、この発明によれば、音声信号に重畳された情報に含まれる機種特定情報を利用して、プログラム記憶手段に記憶された1乃至複数種類の機能実行プログラムのうち電子音響装置の機種に応じた所望種類の機能実行プログラムのみを利用可能状態に更新することができる。
【0030】
この電子音響装置連携システムでは、1乃至複数種類の音楽コンテンツ(曲対応データ)がコンテンツ記憶手段(4;STd)に記憶されており、受信音声信号(As)に重畳された情報(Cs)から機種特定情報(Ki)を抽出〔EX;T6(Y1)〕し、抽出した機種特定情報(Ki)に応じた種類の音楽コンテンツ(曲対応データ)について利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する(DC)ようにしている(請求項11)。従って、この発明によれば、音声信号に重畳された情報に含まれる機種特定情報を利用して、コンテンツ記憶手段に記憶された1乃至複数種類の音楽コンテンツのうち電子音響装置の機種に応じた所望種類の音楽コンテンツのみを利用可能状態に更新することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】この発明の一実施例による電子音響装置連携システム(音楽コンテンツ表示システム)の構成例を示す。
【図2】この発明の一実施例における電子音響装置(電子楽器などの電子音楽装置)の機能ブロック図である。
【図3】この発明の一実施例における制御信号のフォーマット例を示す。
【図4】この発明の一実施例における電子音響装置連携装置(楽譜表示装置などの音楽コンテンツ表示装置)の第1機能を表わすブロック図である。
【図5】この発明の一実施例における電子音響装置連携装置(楽譜表示装置などの音楽コンテンツ表示装置)の第2機能を表わすブロック図である。
【図6】この発明の一実施例における表示画面の構成例を示す。
【図7】この発明の一実施例による電子音響装置連携処理(音楽コンテンツ表示処理)のフローチャートの一部を示す。
【図8】この発明の一実施例による電子音響装置連携処理(音楽コンテンツ表示処理)のフローチャートの他部を示す。
【図9】この発明の一実施例によるコンテンツ追加処理のフローチャートを示す。
【図10】この発明の一実施例によるコンテンツ読出し表示処理のフローチャートを示す。
【図11】この発明の一実施例による目次からの表示処理のフローチャートを示す。
【図12】この発明の一実施例における機能及びコンテンツ対応テーブルの例を示す。
【図13】この発明の一実施例による別の電子音響装置連携処理のフローチャートを示す。
【図14】この発明の一実施例によるコンテンツ及び機能追加処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0032】
この発明による電子音響装置連携システムは、電子音響装置と、電子音響装置と連携する電子音響装置連携装置とにより構成される。まず、楽音などの音響信号を出力する電子音響装置として電子楽器などの電子音楽装置が用いられ、電子音響装置と連携して動作する電子音響装置連携装置として楽譜表示装置などの音楽コンテンツ表示装置が用いられ、両装置から成る音楽コンテンツ表示システムが電子音響装置連携システムとして機能する場合について、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。
【0033】
〔システム構成及びハードウエア構成の例〕
図1は、この発明の一実施例による電子音響装置連携システム(音楽コンテンツ表示システム)の構成例を示す。この発明の一実施例による電子音響装置連携システムは、電子音響装置連携装置(楽譜表示装置などの音楽コンテンツ表示装置)DSと、電子音響装置連携装置DSが連携する所定の電子音響装置(電子楽器などの電子音楽装置)EMとから成り、好ましくは、電子音響装置連携装置DSにはタブレット(タッチパネル)型のモバイル情報処理装置が用いられる。電子音響装置連携装置(以下、音楽コンテンツ表示装置という)DSは、ハードウエア構成として、中央処理装置(CPU)1、ランダムアクセスメモリ(RAM)2、読出専用メモリ(ROM)3、記憶装置4、入力操作部5、表示部6、音声入力部7、通信インターフェース(通信I/F)8、印刷出力部(図示せず)などの要素を備え、これら要素1〜8はバス9を介して互いに接続される。
【0034】
音楽コンテンツ表示装置DS全体を制御するCPU1は、電子音響装置連携処理プログラムを含む各種制御プログラムに従って各種処理を実行するデータ処理部を構成し、各種制御プログラムに従い種々の処理を実行する。RAM2は、これらの処理に際して必要な各種データを記憶しておいたり一時的に保持するのに用いられる。例えば、電子音響装置連携処理プログラムに基づく電子音響装置連携処理の際は、制御信号(Cs)の受信回数(受信カウントという)をカウントする制御信号の受信カウンタや、所定の受信条件を満足したときにセットされる機能フラグが設けられる。ROM3には、所定の制御プログラムや制御用データが記憶される。
【0035】
記憶装置4は、フラッシュメモリ等の記憶媒体とその駆動装置を含み、制御プログラムや種々のデータを任意の記憶媒体に記憶することができる。記憶媒体は、着脱可能であってもよいし、この音楽コンテンツ表示装置DSに内蔵されていてもよい。また、記憶装置4には、音楽コンテンツ表示プログラムなどのアプリケーションを楽譜データなどの音楽コンテンツと共に記憶しておくことができ、特に、楽譜データなどの音楽コンテンツを記憶したり、音楽コンテンツ表示プログラム(楽譜表示プログラム)などの電子音響装置連携処理プログラムを記憶するための記憶部(STd)が設けられ、この記憶部(STd)には、現在対応可能な電子音響装置EMの機種ランクを示す変数(STATE)を格納することができる。なお、記憶部(STd)に記憶される電子音響装置連携処理プログラムは、種々の機能を実行するための追加的なプログラムを含んでおり、このプログラムは、この明細書では「機能実行プログラム」と呼ばれる。
【0036】
入力操作部(設定操作部ともいう)5は、スイッチ等の設定操作子による設定操作を検出し、対応する各種設定情報をデータ処理部に導入する。表示部6は、LCD等のディスプレイ(表示器)の表示内容をCPU1からの指令に従って制御し、各種設定操作に対する表示援助を行う。なお、以下の説明では、タッチパネルを使用して設定操作子及び表示器の機能が一体化されたものとする。音声入力部7は、マイクロフォン(以下マイクという)及び音声信号入力部を備え、電子音楽装置EMからマイクを通じて入力される音声信号を音声信号入力部を通じてデータ処理部に導入することができる。
【0037】
通信I/F8は、MIDI等の音楽用有線I/F、USB等の汎用ネットワークI/F或いは無線Lan等の汎用近距離無線I/F等を含み、ネットワークCNを通じてサーバSVと交信することができる。例えば、サーバSVからは、楽譜データや曲ガイド用イラストデータ等の音楽コンテンツや、音楽コンテンツ表示に関する所定の機能を実行するための機能実行プログラムなどを取得し、記憶装置4の記憶部(STd)に記憶しておくことができる。また、印刷出力部(図示せず)には、有線或いは無線でプリンタ(図示せず)を通信可能に接続することができる。
【0038】
音楽コンテンツ表示装置即ち電子音響装置連携装置DSに対して音声信号を発信する電子音響装置(以下、電子音楽装置という)EMのハードウエアも、音楽コンテンツ表示装置DSと同様の要素で構成されるが(但し、音声入力部は無くてもよい)、さらに、鍵盤などの演奏操作子による演奏操作を検出する演奏操作部11、楽音信号や制御信号を含む音声信号を生成する音声信号生成部12、生成された音声信号をスピーカから音波で出力する音声出力部13などを備える。
【0039】
〔電子音楽装置(電子音響装置)EMの機能〕
この発明の一実施例による電子音響装置連携システム(音楽コンテンツ表示システム)において、電子音楽装置は、上述のように電子楽器の機能を備えると共に、音楽コンテンツ表示装置に音声信号を発信して所要の音楽コンテンツ(楽譜データや曲ガイド用イラストデータ等の表示用曲対応データ)を用意させたり表示させる機能を備える電子音響装置である。図2は、この発明の一実施例における電子音楽装置の機能ブロック図である。この電子音楽装置EMの記憶装置にはデータ記憶部STeが構築され、データ記憶部STeには、予め、MIDIデータやオーディオデータ等の再生用音楽データ(曲データ)が利用可能な音楽コンテンツとして多数格納されると共に、この電子音楽装置EMの機種に関する機種情報が記憶されている。各音楽コンテンツには、実体データとなる曲データMdの外に、曲名や演奏者名などの曲情報及び曲ID情報Siが含まれている。曲ID情報Siは、当該音楽コンテンツを特定する特有の情報であり、曲ID、ID情報或いは曲番号とも呼ばれ、音楽コンテンツ表示装置DSにおいて、表示に利用される音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)を特定するための「音楽コンテンツ特定情報」としても機能する。
【0040】
なお、この音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)は曲ID情報Siを付属情報として持っていてもよいし、各種音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)と曲ID情報Siとの対応テーブル或いはプログラムを音楽コンテンツ表示装置DS内に持っていてもよい。また、電子音楽装置EM内で、曲ID情報Siを予めテーブル等で音楽コンテンツ表示装置DSにおけるコンテンツ識別情報に変換しておき、変換されたコンテンツ識別情報から音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)を直接特定することができるようにしてもよい。
【0041】
この電子音楽装置EMは、機能ブロックとして、上述したデータ記憶部STeの外に、設定操作部SN、制御部CTe、再生部RP及び重畳部SPを備える。設定操作部SNは、曲選択スイッチや曲再生スイッチ、制御信号出力のオン/オフを切り替える制御ボタン等のスイッチを有し、これらスイッチの操作による曲の選択や再生の指示、制御信号出力のオン/オフなどの設定操作を検出して制御部CTeに入力する。なお、制御ボタンをなくし、例えば、曲選択スイッチや曲再生スイッチのオン/オフに合わせて制御信号の出力もオン/オフするような仕組みであってもよい。
【0042】
制御部CTeは、主としてCPUにより実現される機能ブロックであり、曲データ取得部MA、曲ID取得部SA及び機種ID取得部KAを備える。曲データ取得部MAは、設定操作部SNで検出された曲選択操作により指示される曲に対応した音楽コンテンツをデータ記憶部STeから読み出し、読み出した音楽コンテンツ中の曲データ(MIDIデータやオーディオデータ等)Mdを再生部RPに出力する。また、曲ID取得部SAは、読み出された音楽コンテンツから曲ID情報Siを取得し、取得した曲ID情報Siを重畳部SPに出力する。更に、機種ID取得部KAは、この電子音楽装置EMの機種を表わす機種ID情報Kiをデータ記憶部STeの機種情報から取得して重畳部SPに出力する。
【0043】
再生部RP及び重畳部SPは、主として音声信号生成部12により実現される機能ブロックである。再生部RPは、設定操作部SNの曲再生スイッチがオンされていると、制御部CTeの曲データ取得部MAからの曲データMdを再生して楽音信号を生成し、演奏操作部11からの演奏操作があると、演奏操作に基づく演奏データPdを再生して楽音信号を生成することができ、生成された楽音信号Rsは重畳部SPに出力される。この楽音生成については、曲データの再生に合わせて演奏操作部11で演奏する(曲データMd及び演奏データPdを再生する)場合、曲データMdのみを再生する場合、曲データMdを再生しないで演奏操作部11で演奏する(演奏データPdのみを再生する)場合などがある。また、再生部RPでは、曲データMdを再生している場合には、現在再生中の曲進行上の位置を表わす位置情報Bnが生成され、重畳部SPに出力される。位置情報Bnには、例えば、現在再生されている楽音が位置する小節の番号を表わす小節番号(小節位置ともいう)や、再生される曲データMdに対応する楽譜が複数ページにわたって表示される場合において、現在再生されている楽音が位置するページの番号を表わすページ番号(ページ位置ともいう)など、楽譜上の任意の範囲を用いることができるが、以下の例では小節番号が用いられる。
【0044】
なお、位置情報Bnについては、破線で示すように、曲データMdを再生部Rpで読み出す際に、制御部CTeで直接生成し或いは曲データMdから取得して、重畳部SPに出力するようにしてもよい。例えば、曲データMdにマスタートラック情報的なタイミングデータがある場合、曲データMdの読出しに同期して、このタイミングデータをそのまま位置情報Bnとして読み出せばよい。
【0045】
重畳部SPは、制御信号Csを生成する制御信号生成部SP1及び楽音信号Rsと制御信号Csを重畳する信号重畳部SP2から成り、制御信号Csには、少なくとも曲ID情報を持ち「譜めくり信号」と呼ばれる制御信号Cs1、或いは、少なくとも機種ID情報を持ち「機種ID信号」と呼ばれる制御信号Cs2が用いられる。制御信号生成部SP1の譜めくり信号生成機能又は機種ID信号生成機能は、設定操作部SNの譜めくり制御ボタン又は機種ID送信ボタンがオンされると(なお、かかるなボタンのオン/オフは、「曲選択」或いは「曲再生」の指示/解除などを受け付けたことに替えてもよい)能動化し、制御部CTeからの曲ID情報Si及び再生部RPからの位置情報Bn又は制御部CTeからの機種ID情報Kiに基づいて、制御信号Cs:Cs1,Cs2を所定の時間間隔で(例えば、0.5秒毎に)生成する。また、制御ボタン或いは送信ボタンがオフされると、重畳部SPは動作を停止し、制御信号Cs:Cs1,Cs2は生成されない。但し、他の種類の制御信号(例えば、テンポ情報など)は生成することがあるかも知れない。
【0046】
図3は、この発明の一実施例における制御信号Csのフォーマット例を示す。制御信号Csには譜めくり信号Cs1及び機種ID信号Cs2があり、譜めくり信号Cs1は、図3〔1〕に示されるように、実体データとして曲ID情報Si及び位置情報(小節番号)Bnを含む制御データ(「譜めくり信号情報」と呼ばれる)Cdを有し、この制御データCdにより音楽コンテンツ表示装置DSにおける音楽コンテンツの表示を制御することができる。機種ID信号Cs2は、図3〔2〕に示されるように、実体データとして機種ID情報Kiを含む制御データ(「機種ID信号情報」と呼ばれる)Cdを有し、この制御データCdにより音楽コンテンツ表示装置DSにおける機能実行プログラムの機能(乃至表示する音楽コンテンツの種類)を制御することができる。これらの制御信号Csつまり譜めくり信号Cs1乃至機種ID信号Cs2は、図3のフォーマット例では、ヘッダー情報Hd(1byte程度)、制御データCd(2byte程度)及びフッター情報Ft(1byte程度)で構成され、ヘッダー情報Hdは、この信号が制御信号Csであることを示す情報や制御データCdの長さが識別できる情報などを含み、制御データCdは、曲ID情報Si(8 bit程度)及び位置情報Bn(8 bit程度)乃至機種ID情報Ki(8 bit程度)から成り、フッター情報Ftは、制御データCdの終りを示す情報などを含む。
【0047】
信号重畳部SP2は、制御信号生成部SP1からの制御信号Csを変調して再生部RPからの楽音信号に重畳し、楽音信号に制御信号Csの変調成分が重畳された音声信号Asを音声出力部13に出力し、音声出力部13はスピーカを通じてこの音声信号Asを放音する。これにより、制御信号Csは、18kHzほどの高い周波数帯域で送信される。なお、制御信号Csを送信する周波数帯域については、この周波数帯域に限らず、人に通常聴こえないような帯域であればよい。なお、制御信号Csを含まない音声信号As(例えば、通常の演奏音など)が出力されることもある。
【0048】
〔音楽コンテンツ表示装置(電子音響装置連携装置)の機能〕
この発明の一実施例による電子音響装置連携システム(音楽コンテンツ表示システム)において、音楽コンテンツ表示装置(電子音響装置連携装置)は、電子音楽装置(電子音響装置)からの制御信号を受信して所要の音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)を用意したり表示する機能を備えている。図4及び図5は、この発明の一実施例における音楽コンテンツ表示装置の第1及び第2機能を表わすブロック図である。
【0049】
この音楽コンテンツ表示装置(電子音響装置連携装置)DSの記憶装置4に構築された記憶部STdの音楽コンテンツ格納部には音楽コンテンツとして表示用曲対応データが格納され、プログラム格納部には、レイアウト切替え機能、印刷機能、ズーム切替え機能など、所定の機能を実行するための機能実行プログラムが格納される。なお、音楽コンテンツには、電子音楽装置(電子音響装置)EMで利用される音楽コンテンツ(再生用曲データ)に対応して作成された楽譜データや曲ガイド用イラストデータ(曲の進行に対応してガイド用のイラストが紙芝居的に切り替えられるように作成されたもの)等、曲の進行に対応して画像が切り替えられていくような任意の表示用曲対応データを用いることができるが、以下の例では、楽譜データを用いる場合について説明する。
【0050】
各音楽コンテンツ(楽譜データ)には、実体データとなる楽譜データの外に、曲名や作曲者名などの曲情報及び当該音楽コンテンツに特有のコンテンツ(楽譜)識別情報が含まれており、コンテンツ識別情報は、電子音楽装置EMからの制御信号に含まれる曲ID情報(音楽コンテンツ特定情報)Siに対応付けられている。また、記憶部STdに予め格納された利用可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)は、電子音楽装置EMに予め用意された利用可能な音楽コンテンツ(曲データ)のうち一部の音楽コンテンツ(曲データ)に対応したものである。なお、記憶部STdには、例えば、格納された各音楽コンテンツ(楽譜データ)について、曲名(曲目)、コンテンツ識別情報、対応する曲ID(Si)〔別に対応テーブルやプログラムが用意されている場合は不要〕及び利用可能性(利用可能/不可能)のレコードが格納情報として記憶されており、目次ボタンを操作すると、格納情報を参照して、そのときに格納されている利用可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)の曲名(曲IDを付けてもよい)を曲名(曲目)リストで一覧表示することができる。
【0051】
また、音楽コンテンツ表示装置DSは、復調部DM、判断部DC、情報抽出部EX及び表示制御部CTdを備え、これらの機能ブロックは主としてCPU1により実現される。音声入力部7は、電子音楽装置EMのスピーカから発信された音声信号Asをマイクを通じて受信し、受信した音声信号Asを復調部DMに入力する。復調部DMは、入力された音声信号Asから変調成分を取り出して制御信号Csに復調し、復調した制御信号Csを情報抽出部EX及び判断部DCに出力する。ただし、制御信号Csが含まれない場合もあり、その場合は復調部DMからの出力はない。制御信号Cs:Cs1,Cs2は、前述したように、電子音楽装置EMで譜めくり制御ボタン或いは機種ID送信ボタンをオンしている間に(或いは、これに代わって、曲選択乃至曲再生スイッチなどのオン後、再生している間に)常時(0.5秒に一度)18kHzほどの高い周波数帯域で送信されてくるディジタル信号であり(なお、機種ID信号Cs2は、常時送信されていなくてもよい)、譜めくり信号Cs1は、特に、楽譜をめくるように楽譜表示を自動的に切り替えるのに用いられる。
【0052】
情報抽出部EXは、復調部DMで復調された制御信号Csが譜めくり信号Cs1の場合に、譜めくり信号Cs1から制御データCd即ち曲ID情報Si及び位置情報(小節番号)Bnを抽出し、表示制御部CTdに出力する。情報抽出部EXは、また、制御信号Csが機種ID信号Cs2の場合には、機種ID信号Cs2から制御データCd即ち機種ID情報Kiを抽出し、判断部DCに出力することができる。表示制御部CTdは、判断部DCから機能の利用可能状態化が指示されると、記憶部STdから所要の機能実行プログラムを読み出し、読み出した機能実行プログラムに基づき実行可能な機能のうち、入力操作部5の操作で選択された機能を実行すると共に、曲ID情報Siに対応付けられた楽譜識別情報を参照することによって、曲ID情報Siに対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)を特定し、特定した音楽コンテンツ(楽譜データ)を記憶部STdから読み出し、さらに、位置情報(小節番号)Bnに対応して表示すべき当該音楽コンテンツ(楽譜データ)の楽譜ページを決定し、決定された楽譜ページのデータを表示部6に送る。そして、表示部6は、表示制御部CTdから送られて来るデータが示す楽譜ページをディスプレイに表示する。
【0053】
なお、情報抽出部EXの機能を復調部DMの機能に含め、復調部DM内で、譜めくり信号Cs1から曲ID情報Si及び位置情報Bnを抽出し、機種ID信号Cs2から機種ID情報Kiを抽出するように、或いは、情報抽出部EXの機能を表示制御部CTdの機能に含め、表示制御部CTd内で、譜めくり信号Cs1から曲ID情報Si及び位置情報Bnを抽出し、機種ID信号Cs2から機種ID情報Kiを抽出するようにしてもよい。
【0054】
図6は、この発明の一実施例における表示画面の構成例を示し、この表示画面SCは、タッチパネルで構成される。表示画面SCの表示機能については、画面上部に位置する帯状のタイトルバー表示域には曲名(曲目)などが表示され、タイトルバー表示域の下に位置する帯状のツールバー表示域には、機能ボタンが配置される。例えば、ツールバー表示域の左端近傍に目次ボタンtaが表示され、続いて、レイアウトボタンytや印刷ボタンprが配置され、右端近傍にはヘルプボタンhpが表示される。図示の例では、レイアウトボタンytや印刷ボタンprは、その機能が利用不可能な状態にあり、ダーク表示されて操作不能であることをユーザに知らせているが、機種ID信号Cs2の受信により、利用可能状態に変化してハイライト表示され操作可能となる。なお、目次ボタンtaやヘルプボタンhpは、電子音楽装置EMからの信号受信に拘わらず利用可能である。画面中央の主表示領域は、楽譜データに基づく所要の楽譜が表示される楽譜表示領域に割り当てられる。また、画面下部には、楽譜表示領域に現在表示されている楽譜のページ番号pg(図6では「10」ページ)が中央に表示され、その右端近傍に制御信号ランプstが表示される。例えば、ページ番号pgにタッチするとスライダーが表示され、該当するページにジャンブすることができる。また、制御信号ランプstは、制御信号Cs(譜めくり信号Cs1や機種ID信号Cs2)を受信する度に点灯して当該制御信号Csの受信状況を示す。操作機能については、ヘルプボタンhpをタッチ操作すると、ヘルプやバージョン情報などが主表示領域の一部又は全部に表示され、目次ボタンtaをタッチ操作すると、記憶部STdに格納されている利用可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)の目次〔曲名(曲目)リスト〕が主表示領域に表示される。
【0055】
なお、目次から所望の曲名を選択的に指示するタッチ操作を行うと、目次モードに移行し、対応する楽譜が表示される。目次モードでは、図示はしていないが、表示画面への所定のタッチ操作によって譜めくり動作を行うことができ、例えば、ページ番号pgの右側へのタッチ操作で次ページの楽譜或いは左側へのタッチ操作で前ページの楽譜が表示される。従って、目次モードでは、ユーザは、電子音楽装置EMにおける音楽コンテンツ(再生用曲データ)の再生状況に拘わらず、音楽コンテンツ表示装置DSのディスプレイ画面(表示画面)SCに楽譜を表示させ、表示された楽譜を見ながら、電子音楽装置EMの演奏操作部11の演奏操作で演奏を行うことができる。
【0056】
この表示画面例ではツールバー上に各機能のボタンを配置したが、メニューバーで実現してもよい。メニューバーの場合、機能をグループ分けした項目を選択すると、機能を選択するためのプルダウンメニューが表示されるように構成しておくことにより、ユーザ操作に応じて、利用可能な機能の項目を選択し実行することができる。
【0057】
さて、判断部DCは、まず、復調部DMで復調された制御信号Csから、音声入力部7で受信された信号が所定の受信条件を満たすものであるかどうかを判断する。この受信条件には、(1)制御信号Csを所定回数N受信した、(2)複数回にわたる制御信号Csの受信の間隔が1秒以内である、等々、この音楽コンテンツ表示装置DSが従属する対象となる電子音楽装置EMと通信可能な状態(制御信号Csを受けることができる状態)であることを確認することができる任意の条件を定めることができるが、以下に説明する例では、(1)の受信条件を採用する。この場合、例えば、N=1に設定すると、制御信号Csを初めて受信したときに受信条件が満たされ、N=10に設定すると、制御信号Csを合計して或いは連続して10回受信したときに受信条件が満たされることになる。なお、制御信号Csを受信したことは、復調部DMにおける制御信号Csの出力状態を監視すればよいが、図4及び図5に括弧書きで示すように、情報抽出部EXにおけるヘッダー情報Hdの抽出状態を監視するようにしてもよい。
【0058】
そして、この受信条件が満足されると、音楽コンテンツ表示装置DSは、コンテンツ追加処理を行うと共に、判断部DCから表示制御部CTdを通じて、記憶部STdに記憶された機能実行プログラムにつき利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する。この音楽コンテンツ表示装置DSは、音楽コンテンツ表示プログラムを音楽コンテンツ(楽譜データ)と共に情報処理装置にインストールすることにより、音楽コンテンツ表示装置としての機能を実現するものであるが、このコンテンツ追加処理は、記憶部STdにおける音楽コンテンツ(楽譜データ)の当初の格納状態の違いに応じて、次のような第1機能或いは第2機能を実行する。
(1)第1機能:電子音楽装置EMに予め用意された利用可能な音楽コンテンツ(再生用曲データ)に対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)であるにも拘わらず、音楽コンテンツ表示装置DSの記憶部STdに予め格納されていない音楽コンテンツ(楽譜データ)については、「追加の音楽コンテンツ」としてサーバSVから取得し、利用可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)を記憶部STdに追加する。
(2)第2機能:電子音楽装置EMに予め用意された利用可能な音楽コンテンツ(再生用曲データ)に対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)であり、音楽コンテンツ表示装置DSの記憶部STdに予め格納されているにも拘わらず、「利用不可能状態」である音楽コンテンツ(楽譜データ)については、「利用可能状態」に更新して「追加の音楽コンテンツ」とし、利用可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)を追加する。
【0059】
<音楽コンテンツ表示装置の第1機能>
この音楽コンテンツ表示装置DSは、第1機能を実行する場合、図4に示すように、さらに追加取得部AD及び通信部CMを備え、追加取得部ADは主としてCPU1により実現され、通信部CMは主として通信I/F8によって実現される。
【0060】
第1機能が実行される場合、電子音楽装置EMのデータ記憶部STeには、p個の利用(再生)可能な音楽コンテンツ(再生用曲データ)が予め用意されているのに対して、音楽コンテンツ表示装置DSの記憶部STdには、プリセット音楽コンテンツ(楽譜データ)として、p個より少ないr個(p>r≧0)の利用(表示)可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)しか予め用意されていない。ここで、電子音楽装置EM側から、音楽コンテンツ(曲データ)の再生に従って、制御信号Csを含む音声信号Asが音楽コンテンツ表示装置DSに発信されると、音楽コンテンツ表示装置DSは、判断部DCで、受信した音声信号Asについて受信条件を調べ、電子音楽装置EMから制御信号Csを受信可能な状態であることを確認すると、コンテンツ追加処理Aを行う。コンテンツ追加処理Aでは、追加取得部ADにより、電子音楽装置EMに予め用意された利用可能な音楽コンテンツ(曲データ)に対応する利用可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)であって、プリセット音楽コンテンツ(楽譜データ)ではない「p−r」個の利用(表示)可能な音楽コンテンツ(楽譜データ)が、サーバSVから通信部CMを介して取得され、記憶部STdに追加される。このように記憶部STdに追加される「p−r」個の音楽コンテンツ(楽譜データ)が「追加の音楽コンテンツ(楽譜データ)」と呼ばれる。
【0061】
つまり、判断部DCは、音楽コンテンツ追加取得が可能かの判断を行い、前述の受信条件が満足されたことを確認したときは、追加取得部ADに対して、上述した追加の音楽コンテンツをサーバSVから取得することを許可し、これを指示する。追加取得部ADは、これに応じて、取得指示された追加の音楽コンテンツ(楽譜データ)を、サーバSVから通信部CMを通じて取得し、記憶部STdに追加記憶する。
【0062】
このような音楽コンテンツ表示装置(電子音響装置連携装置)の第1機能を要約すれば次のとおりである:音楽コンテンツ表示装置DSは、電子音楽装置(電子音響装置)EMが音楽コンテンツ(曲データ)を再生するのに従属して楽譜データを表示するが、当初は、電子音楽装置EMに予め用意されたp個の音楽コンテンツ(再生用曲データ)よりも少ないr個(p>r≧0)のプリセット音楽コンテンツ(楽譜データ)しか用意されていない。この音楽コンテンツ表示装置DSは、電子音楽装置EMからの音声信号Asを受信し(7,DM)、受信した音声信号Asに含まれる制御信号Csを受信可能な状態である(受信条件を満たす)ことを確認すると、電子音楽装置EMに用意されているp個の音楽コンテンツ(再生用曲データ)に対応しているがプリセット音楽コンテンツ(楽譜データ)ではない音楽コンテンツ(楽譜データ)を「追加の音楽コンテンツ」とし、その取得を許可する(DC)。これに応じて、許可された追加の音楽コンテンツ(楽譜データ)をサーバSVから取得し、記憶部STdに追加記憶する(AD)。また、制御信号Csとして譜めくり信号Cs1を用いた場合、当該譜めくり信号Cs1から抽出された曲ID情報Si及び位置情報(小節番号)Bnを参照し(EX)、曲ID情報Siに対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)を記憶部STdから読み出し、位置情報(小節番号)Bnに対応する楽譜をディスプレイ画面SCに表示することができる(CTd,6)。
【0063】
<音楽コンテンツ表示装置の第2機能>
この音楽コンテンツ表示装置DSは、第2機能を実行する場合、図5の機能ブロック図に示すように、判断部DCによりコンテンツ追加処理Bを行い、記憶部STdに当初から格納されている音楽コンテンツ(楽譜データ)の状態を更新する。
【0064】
第2機能が実行される場合、電子音楽装置EMのデータ記憶部STeに予め用意されているp個の利用(再生)可能な音楽コンテンツ(再生用曲データ)に対応して、この音楽コンテンツ表示装置DSの記憶部STdにもp個の音楽コンテンツ(楽譜データ)が用意され、用意されたp個の音楽コンテンツ(楽譜データ)のうちs個(p>s≧0)の音楽コンテンツ(楽譜データ)は音楽コンテンツ表示装置DSで利用(表示)可能に設定されているが、残りの「p−s」個の音楽コンテンツ(楽譜データ)は利用(表示)不可能に設定されている。ここで、電子音楽装置EM側から、音楽コンテンツ(再生用曲データ)の再生に従い、制御信号Csを含む音声信号Asが音楽コンテンツ表示装置DSに発信されると、音楽コンテンツ表示装置DSは、判断部DCで、受信した音声信号Asについて受信条件を調べ、電子音楽装置EMから制御信号Csを受信可能な状態であることを確認すると、コンテンツ追加処理Bを行う。コンテンツ追加処理Bでは、判断部DCにより、記憶部STdに記憶されている音楽コンテンツ(楽譜データ)が利用可能状態か利用不可能状態かを判別し、利用不可能状態であることが確認された「p−s」個全ての音楽コンテンツ(楽譜データ)を利用(表示)可能状態に更新する。このように利用可能状態に更新された「p−s」個の音楽コンテンツ(楽譜データ)は、利用可能な「追加の音楽コンテンツ(楽譜データ)」ということができる。
【0065】
つまり、判断部DCは、利用可能化ができるかの判断を行い、前述の受信条件が満足されたことを確認したときは、記憶部STdに記憶されている音楽コンテンツ(楽譜データ)が利用可能状態か利用不可能状態かを判別し、利用不可能状態であると確認した全ての音楽コンテンツ(楽譜データ)を利用可能状態に更新する。これにより、新たに利用(表示)可能になった音楽コンテンツ(楽譜データ)が記憶部STdに追加される。
【0066】
このような音楽コンテンツ表示装置の第2機能を要約すれば次のとおりである:音楽コンテンツ表示装置(電子音響装置連携装置)DSは、電子音楽装置(電子音響装置)EMが音楽コンテンツ(曲データ)を再生するのに従属して楽譜データを表示するために、対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)が記憶部STdに用意されているが、当初は、電子音楽装置EMに予め用意されたp個の音楽コンテンツ(再生用曲データ)よりも少ないs個(p>s≧0)の音楽コンテンツ(楽譜データ)が利用可能に設定されており、残りの「p−s」個の音楽コンテンツ(楽譜データ)は利用不可能に設定されている。この音楽コンテンツ表示装置DSは、電子音楽装置EMから音声信号Asを受信し(7,DM)、受信した音声信号Asに含まれる制御信号Csを受信可能な状態である(受信条件を満たす)ことを確認すると、残りの「p−s」個の音楽コンテンツ(楽譜データ)を全て利用不可能から利用可能の状態に更新する(DC)。また、制御信号Csが譜めくり信号Cs1の場合、譜めくり信号Cs1から抽出された曲ID情報Si及び位置情報(小節番号)Bnを参照し(EX)、曲ID情報Siに対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)を記憶部STdから読み出し、位置情報(小節番号)Bnに対応する楽譜をディスプレイ画面SCに表示することができる(CTd,6)。
【0067】
なお、判断部DCは、記憶部STd内の全音楽コンテンツを利用可能状態に更新する指示を出すようにしてもよい。或いは、情報抽出部EXにおいて機種ID信号Cs2から機種ID情報Kiが抽出された場合、記憶部STd内のコンテンツのうち、この機種ID情報Kiに対応するコンテンツを利用可能状態に更新する指示を出すようにしてもよい。
【0068】
〔電子音響装置連携処理(音楽コンテンツ表示処理)の動作例〕
図7〜図11は、この発明の一実施例による電子音響装置連携処理(音楽コンテンツ表示処理)のフローチャートを示す。この電子音響装置連携処理(音楽コンテンツ表示処理)では、制御信号Csとして専ら譜めくり信号Cs1が用いられる。なお、図9のステップP1ブロック内右上の「※1」は、第2機能を実行する場合は省略可能であることを示し、図9のステップP2及び図10のステップQ3,Q5のブロック内右上の「※2」は、第1機能を実行する場合は省略可能であることを示す。
【0069】
図7において、この音楽コンテンツ表示装置DSの電源をオンするか或いは音楽コンテンツ表示プログラム(電子音響装置連携処理プログラム)を起動し、音楽コンテンツ表示処理がスタートすると、CPU1は、まず、ステップS1で、(1)予め定められた所定の初期画面、或いは、(2)デフォルト曲か前回の音楽コンテンツ表示処理で最後に表示していた曲の楽譜(音楽コンテンツ)をディスプレイ画面SCに表示する。次のステップS2では、変数「現在の曲ID」の値を、(1)予め定められた所定の値(曲ID情報Siに存在しない値、例えば「−」:初期画面表示の場合)、或いは、(2)表示されている楽譜に対応する曲の曲ID情報Siとし、更に次のステップS3で初期設定を行う。ここで、電子音楽装置EMに用意されている音楽コンテンツ(曲データ)の曲IDと、これに対応する記憶部STd内の音楽コンテンツ(楽譜データ)の曲IDとが異なる場合、どちらの曲IDを使って表示制御を行ってもよい。「現在の曲ID」は、表示すべき楽譜を示す変数である。また、ステップS3の初期設定では、例えば、譜めくり信号受信カウントを「0」に設定し、目次モードをオフに設定し、機能フラグをリセットする。
【0070】
次のステップS4では、終了操作があったか否かを判定し、終了操作がないときは(S4=NO)ステップS5に進んで、譜めくり信号Csを受信したか否かを判定する。
【0071】
ステップS5で譜めくり信号Csを受信したと判定したときは(S5=YES)、ステップS6に進み、追加の音楽コンテンツを取得済みか否か乃至機能を利用可能化済みか否かを判定する。この場合、追加の音楽コンテンツを取得したときに(S10:図8)コンテンツ取得済みフラグを立てるようにしておき、このフラグを参照することによりこの取得済み判定を行うことができる。或いは、記憶部STdの格納状態を参照して判定する方法でもよい。また、機能の利用可能化済は機能フラグのセット状態で判定する。ここで、追加の音楽コンテンツを取得済みでないとき或いは機能を利用可能化済みでないときは(S6=NO)、ステップS7に進み、譜めくり信号受信カウントの値を1プラスし、更にステップS8で、譜めくり信号受信カウントは所定回数N(N:1以上の整数)以上であるか否かを判定する。ステップS7,S8におけるカウント値の加算及び判定は、譜めくり信号Csを所定回数N受信すると追加取得を行う判定ルールを設定した場合に行われ、他の判定ルールを設定した場合は、設定された判定ルールに則した処理が行われる〔判定ルールの設定:S19(図8)〕。ここで、該カウントが回数N以上のときは(S8=YES)、受信条件を満たしたものと判断し、ステップS9で機能フラグをセットした上、ステップS10(図8)に進み、図9に示される「コンテンツ追加処理」を行う。
【0072】
このコンテンツ追加処理(図9参照)では、第1機能のみを実行する場合、譜めくり信号受信カウントが回数N以上と判定したときに(S8=YES)サーバSVからの追加の音楽コンテンツの取得を許可(決定)し、ステップP1のコンテンツ追加処理Aを行い、ステップP2をスルーする。つまり、ステップP1の第1ステップP1aで、サーバSVに対し追加取得指示を送信し、第2ステップP1bで、サーバSVから追加の音楽コンテンツをダウンロードし、第3ステップP1cで、ダウンロードした追加の音楽コンテンツを記憶部STdに保存する。
【0073】
一方、第2機能のみを実行する場合は、ステップP1をスルーし、ステップP2に進んで、コンテンツ追加処理Bとして、ステップP2a,P2b,P2cの何れかの処理を行う〔どの処理(組合せも有り)を行うかは、初期設定で決まっていてもよいし、設定変更可能であってもよい〕。つまり、ステップP2aにおける第1のコンテンツ追加処理Bでは、記憶部STd内の全ての音楽コンテンツを利用可能状態に更新し、ステップP2bにおける第2のコンテンツ追加処理Bでは、まず、<1>記憶部STdの各音楽コンテンツについて利用可能状態であるか否かを調べ、次に、<2>利用不可能状態であれば利用可能状態に更新する。また、ステップP2cにおける第3のコンテンツ追加処理Bでは、機種ID信号Cs2を受信済みの場合、機種ID信号Cs2に重畳された機種ID情報Kiに応じた音楽コンテンツを記憶部STdから探し出して利用可能状態に更新する。この場合、機種ID情報Kiと音楽コンテンツの対応情報が別に記憶されていれば、これを参照する。また、音楽コンテンツ側に対応機種ID情報が記憶されている場合は、記憶部STd内の各音楽コンテンツについて機種IDに対応する音楽コンテンツかどうか調べ、対応する音楽コンテンツであれば利用可能状態に更新する。
【0074】
そして、ステップP1乃至ステップP2の処理を終えると、追加の音楽コンテンツが取得済みか否かの判定(S6:図7)をフラグの参照で行う場合はコンテンツ取得済みフラグをオンにした上で、そうでない場合(フラグの参照でない方法の場合)は直ちに、このコンテンツ追加処理を終了し、コンテンツ表示処理フロー(図8)のステップS11にリターンする。
【0075】
さて、ステップS6(図7)で追加の音楽コンテンツを取得済み乃至機能を利用可能化済みであると判定したとき(S6=YES)、ステップS8で譜めくり信号受信カウントの値が回数N未満であると判定したとき(S8=NO)、或いは、ステップS10のコンテンツ追加処理(図8)を終えたときは、ステップS11〜S12に進む。まず、ステップS11では譜めくり信号Csから曲ID情報Siを抽出し、次のステップS12では譜めくり信号Csから位置情報Bnを抽出する。ここで、位置情報Bnには、例えば、小節番号やページなどが使用される。位置情報Bnを抽出した後はステップS13に進む。
【0076】
ステップS13では、目次モードはオフに設定されているか否かを判定し、オフに設定されているときは(S13=YES)、ステップS14において、ステップS11で抽出された曲ID情報Siの値が現在の曲IDと一致するか否かを判定する。ここで、曲ID情報Siが現在の曲IDに一致しないときは(S14=NO)ステップS15に進んで、図10に示される「コンテンツ読出し表示処理」を行う。
【0077】
このコンテンツ読出し表示処理(図10参照)では、最初のステップQ1で、記憶部STdから、ステップS11(図8)で抽出された曲ID情報Siに対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)を検索し、次のステップQ2で、対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)が格納されているか否かを判定する。ここで、対応する音楽コンテンツが格納されているときは(Q2=YES)、ステップQ3で、対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)は利用可能状態であるか否かを判定する。ここで、利用可能状態であるときは(Q3=YES)、ステップQ4にて、同音楽コンテンツ(楽譜データ)を読み出し、ステップS12(図8)で抽出された位置情報Bnに合わせて楽譜を画面SCに表示すると共に、現在の曲IDを、当該音楽コンテンツ(楽譜データ)に対応する曲IDとする。また、利用不可能状態であるときは(Q3=NO)、ステップQ5にて、同音楽コンテンツ(楽譜データ)は利用することができない旨のメッセージを画面SCに表示する。
【0078】
なお、第1機能のみを実行する場合は、ステップQ3をスルーして直ちにステップQ4に進み、ステップQ5の処理は行わない。すなわち、対応する音楽コンテンツが格納されているときには(Q2=YES)、直ちに、ステップQ4の動作をする。また、ステップQ2で、対応する音楽コンテンツが格納されていないときは(Q2=NO)、ステップQ6に進み、対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)が用意されていない(見つからなかった)旨のメッセージを画面SCに表示する。そして、ステップQ4〜Q6の何れかの処理を終えると、このコンテンツ読出し表示処理を終了し、コンテンツ表示処理フロー(図8)のステップS17(図8)にリターンする。
【0079】
図8に戻り、ステップS14において、ステップS11で抽出された曲ID情報Siが現在の曲IDに一致していると判定したときは(S14=YES)、ステップS16に進み、画面SCに表示されている楽譜を、ステップS12で抽出された位置情報Bnに応じた表示に更新する。そして、ステップS5(図7)で譜めくり信号Csを受信していないと判定したとき(S5=NO)、ステップS13で目次モードがオンに設定されていると判定したとき(S13=NO)、或いは、ステップS15,S16の何れかの処理を終えたときは、ステップS17に進む。ステップS17では、目次表示の指示〔例えば、目次ボタンta(図6)による〕を受け付けたか否かを判定し、受け付けたときは(S17=YES)、ステップS18に進み、図11に示される「目次からの表示処理」を行う。
【0080】
この目次からの表示処理(図11参照)では、最初のステップR1で目次(曲名リスト)をディスプレイ画面SCに表示し、次のステップR2で、目次に表示された複数の曲名から所望の曲名を選択し指示する曲名選択指示を受け付けたか否かを判定する。ここで、曲名選択指示を受け付けたときは(R2=YES)、ステップR3で目次モードをオン(譜めくり信号とは独立した楽譜表示)に設定して目次の表示を閉じて、ステップR4に進み、選択された曲名の音楽コンテンツ(楽譜データ)に対応する曲ID(選択曲の曲IDという)が現在の曲IDと一致するか否かを判定する。ここで、選択曲の曲IDが現在の曲IDに一致しないときは(R4=NO)、ステップR5で、記憶部STdから、曲IDに対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)を検索し読み出してその楽譜を表示すると共に、現在の曲IDを選択曲の曲IDとし、その後、この目次からの表示処理を終え、コンテンツ表示処理フローのステップS19(図8)にリターンする。
【0081】
一方、選択曲の曲IDが現在の曲IDに一致したときは(R4=YES)、曲IDに対応する音楽コンテンツ(楽譜データ)による楽譜は既に表示されているので、そのまま、この目次からの表示処理を終え、コンテンツ表示処理フロー(図8)のステップS19(図8)にリターンする。また、ステップR2で、曲名選択指示を受け付けなかったときは(R2=NO)、ステップR6で、目次を閉じる指示を受け付けたか否かを判定し、目次を閉じる指示を受け付けなかったときは(R6=NO)、ステップR2に戻って曲名選択指示の受付けを待つ。ここで、曲名選択指示を受け付けたときは(R2=YES)、前述したステップR3〜R5の処理を行うが、曲名選択指示の受付けがなく、目次を閉じる指示を受け付けたときは(R6=YES)、ステップR7で目次モードをオフにして目次を閉じ、その後、この目次からの表示処理を終え、コンテンツ表示処理フローのステップS19(図8)にリターンする。
【0082】
再び図8に戻って、ステップS17で目次表示指示の受付けはないと判定したとき(S17=NO)、或いは、ステップS18の目次からの表示処理を終えたときは、ステップS19でその他の処理を行う。その他の処理では、目次モードのオン/オフ設定切替え(例えば、目次モードをオンにして目次から選んだ楽譜を表示している状態から、目次モードをオフにし、目次を表示せずに譜めくり信号による楽譜表示に切り替えたいときなど)や、表示画面SCの調整、ステップS7,S8における受信条件判定ルールの設定などを行う。また、「機能フラグ」がセットされていれば、機能実行プログラムによる各機能が利用可能な状態になったと判断し、利用可能状態となった各機能につき、ユーザ操作による選択を受け付けて実行される。つまり、図6の表示画面SCの例では、印刷ボタンpr及びレイアウトボタンytがハイライト表示され、これまで利用不可能状態であった「印刷」及び「レイアウト」機能が利用可能となる。これにより、例えば、印刷ボタンprが操作された場合は、印刷ダイアログを表示し、これに対してユーザ操作があると、印刷出力部に接続されたプリンタにユーザ操作に対応した楽譜を印刷させ、レイアウトボタンytが操作された場合は、ページ数ダイアログを表示し、これに対してユーザの選択操作があると、選択されたページ数の楽譜を表示画面SCに同時に表示する。
【0083】
ステップS19でその他の処理を終えると、ステップS4に戻り、上述したステップS4〜S19の処理を繰り返す。そして、ステップS4で終了操作があったと判定したときに(S4=YES)、この音楽コンテンツ表示処理を終了する。
【0084】
以上説明した電子音響装置連携処理(音楽コンテンツ表示処理)では、ステップS5,S7,S8で受信条件を判断するための制御信号Csとして譜めくり信号Cs1を用いたが、譜めくり信号Cs1を利用した音楽コンテンツの読出し表示(ステップS11〜S16)を行わない場合は、制御信号Csとして機種ID信号Cs2を用いて受信条件を判断するようにしてもよい。
【0085】
〔音楽コンテンツの表示に関する種々の実施態様及び補足事項〕
以上、図面を参照しつつ、この発明による電子音響装置連携システムの一実施例として音楽コンテンツ表示システムについて説明したが、これに限らず、種々の変更が可能であり、種々の利便性が得られる。例えば、楽譜データの音楽コンテンツについては、1つの曲乃至曲データに対して複数種類(例えば、電子音楽装置ユーザの演奏レベルに対応したもの)用意されていてもよい。音楽コンテンツの楽譜データは、楽譜論理データや楽譜画像データなどの形式があり、楽譜論理データの場合は、表示の際に楽譜論理データを元に楽譜表示データを生成する。
【0086】
電子音楽装置から受信する音声信号に重畳される制御信号(Cs)には、最低限、曲IDのように、表示する音楽コンテンツを特定することができる情報が入っていれば表示することができる。また、制御信号が重畳されている音声信号は、既述のように、電子音楽装置(電子楽器)のスピーカから18kHz程度のデジタル信号であり、音楽コンテンツ表示装置の内蔵マイクで受信するが、周波数帯域については、人に通常聴こえなければよく、調整可能であってもよい。
【0087】
ユーザが、音楽コンテンツ(再生用曲データ)が用意された電子音楽装置(電子楽器)を、音楽コンテンツ表示プログラム及び一部が利用不可能状態の音楽コンテンツ(楽譜データや曲ガイド用イラストデータ等の表示用曲対応データ)と共に購入した場合、音楽コンテンツ表示装置側で、電子音楽装置で再生される音楽コンテンツ(曲データ)に対応する利用不可能状態の音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)を追加で利用可能状態に更新することで、ユーザが購入した電子音楽装置に内蔵される全ての音楽コンテンツ(曲データ)に対応する音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)を表示させることができるという付加価値を向上させることができる。また、音楽コンテンツ(楽譜データなどの表示用曲対応データ)のセキュリティも保証される。
【0088】
実施例では、譜めくり信号に含まれる音楽コンテンツを特定する曲ID情報が示す音楽コンテンツ(楽譜)を表示することができる。また、音楽コンテンツ表示装置上におけるユーザの選択操作により選択された音楽コンテンツ(楽譜)を表示することもできる。
【0089】
音楽コンテンツ表示装置が利用不可能状態の音楽コンテンツを利用可能状態に更新するのは、譜めくり信号を最初に受信したときでもよいが、譜めくり信号の送信側である電子音楽装置としばらく通信状態であることが最初に確認できたとき(例えば、秒数などの時間や信号の受信回数など)でもよい。
【0090】
記憶される各音楽コンテンツ(楽譜データ)がそれぞれ利用可能状態か判別するためには、各音楽コンテンツに利用可能状態フラグ情報を持たせるのがよい。或いは、拡張子を利用可能状態かどうかによって変えて記憶していてもよい。または、表示されない(ユーザに見えない)テーブルを持ち、各音楽コンテンツについて利用可能状態かどうかの情報を記録しておいてもよい。若しくは、初期状態で利用不可能状態となる音楽コンテンツは全て暗号化されており、電子音楽装置からの制御信号(譜めくり信号)の受信により自動的に復号化され記憶されるようにしてもよい。単純に初期状態で利用不可能な音楽コンテンツをあるフォルダにまとめておき、電子音楽装置からの信号の受信により、音楽コンテンツをフォルダから適切な位置に移動させるようにしてもよい。
【0091】
電子音楽装置から受信する信号は、制御信号が重畳された音声信号であると説明したが、例えば、電子音楽装置に内蔵されるデモ曲の再生出力を数小節分受信して分析し、音楽コンテンツ表示装置側でデモ曲であることが認識できたときに、利用不可能状態の音楽コンテンツを利用可能に更新するようにしてもよい。
【0092】
第1機能のみを実行する場合及び第2機能のみを実行する場合について具体的に説明したが、各場合の手法を併用することにより、第1機能及び第2機能を併せて実行することができる。例えば、電子音楽装置には、p個の利用可能な音楽コンテンツ(再生用曲データ)が予め用意されているのに対して、音楽コンテンツ表示装置には、p個より少ないq個(p>q)の音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)が予め用意されており、q個のうち、s個が利用可能状態に、残りの「q−s」個が利用不可能状態に設定されている場合は、電子音楽装置との通信可能状態を確認したとき、音楽コンテンツ表示装置に予め用意されていない「p−q」個の利用可能な音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)をサーバから取得すると共に、利用不可能状態に設定されている「q−s」個の音楽コンテンツ(表示用曲対応データ)を利用可能状態に更新する。
【0093】
〔別の電子音響装置連携処理〕
この発明の一実施例による別の電子音響装置連携処理では、機種ID信号の受信により所定の音楽コンテンツ及び機能を利用可能とすることができる。図12〜図14は、この発明の一実施例による別の電子音響装置連携処理を説明するための図である。この発明の一実施例による電子音響装置連携装置DSは、別の電子音響装置連携処理を実行する場合、受信条件を判断するための制御信号Csとして機種ID信号Cs2を用い、受信条件が成立したと判断すると、機種ID信号Cs2が示す機種ID情報Kiに対応する音楽コンテンツ及び機能を利用可能とする。これにより、例えば、上級モデルなどの電子音響装置EMの機種のランクに応じて段階的に音楽コンテンツや機能を利用可能状態にしたり、電子音響装置EMから特定の機種ID情報Kiを受信したときに、この電子音響装置EMに固有の音楽コンテンツや機能を利用可能状態にすることができる。
【0094】
別の電子音響装置連携処理においては、連携する電子音響装置EMの機種ランクを示すための変数:STATEが利用され、電子音響装置連携装置DSの記憶装置4の記憶部STdには、現在のSTATE値が電子音響装置EMの種別〔機種ID或いは系列(シリーズともいう)〕に対応付けて保存され、電子音響装置連携プログラムのインストール時はSTATE値=「0」である。また、記憶部STdには、電子音響装置EMの機種ランク(STATE)と機能及び音楽コンテンツとを対応付けた「機能及びコンテンツ対応テーブルTk」が電子音響装置EMの系列(シリーズ)毎に記憶される。プログラム実行時には、この対応テーブルTkに従って、保存されたSTATE値に対応する音楽コンテンツ及び機能を利用することができ、その際、電子音響装置EMから機種ID信号Cs2を受信すると、機種ID信号Cs2から抽出された機種ID情報Kiにより電子音響装置EMの機種ランクが認識されたときに、認識された機種ランクに相当するSTATE値に対応した音楽コンテンツ及び機能を利用可能とすることができる。プログラム終了時は、当該電子音響装置EMの機種ランクに相当するSTATE値が、電子音響装置EMの種別に対応付けて保存される。そして、次のプログラム実行時には、保存されたSTATE値に対応する音楽コンテンツ及び機能を利用することができ、上位機種の電子音響装置EMから機種ID信号Cs2を受信すると、対応するSTATE値に更新される。
【0095】
図12は、A系列の電子音響装置EMの機種ランクに関する機能及びコンテンツ対応テーブルTkの例を示す。ここで、A系列(Aシリーズ)の電子音響装置EMには、機種ID値=「XXX01」の普及モデルと機種ID値=「XXX02」の上級モデルがあるものとする(Xは数値)。図12の機能及びコンテンツ対応テーブルTkには3段階の機種ランクがあり、第1ランクの最上欄は、未だ機種ID信号Cs2を受信していないプログラムインストール時の初期状態〔機種ID=「−」(データ無し)〕を示しており、STATE値は「0」である。そして、STATE=「0」では、表示画面SC(図6参照)において「目次」及び「ヘルプ」ボタンta,hpの機能が利用可能であり、コンテンツ記号:「A−001」〜「A−010」の音楽コンテンツが利用可能である。
【0096】
第2ランクの中欄は、その後、普及モデルの電子音響装置EMの機種レベルに対応する状態を示しており、機種ID値は「XXX01」、STATE値は「1」である。STATE=「1」では、表示画面SCにおいて、「目次」、「ヘルプ」、「印刷」及び「レイアウト」ボタンta,hp,pr,ytの機能が利用可能であるが、「レイアウト」については、表示画面SCの楽譜表示領域に同時に表示するページ数を1ページ/2ページの2段階に切り替える機能が利用可能状態になり、コンテンツ記号:「A−011」〜「A−100」の音楽コンテンツが利用可能である。
【0097】
第3ランクの最下欄は、さらに、上級モデルの電子音響装置EMの機種レベルに対応する状態を示しており、機種ID=「XXX02」、STATE=「2」であり、表示画面SCにおいては、「目次」乃至「レイアウト」ボタンta〜ytの機能がフルに利用可能であり(「レイアウト」については同時表示ページ数を1ページ/2ページ/4ページの3段階に切り替える機能が利用可能)、コンテンツ記号:「A’−011」〜「A’−100」を持つ新バージョンの音楽コンテンツが利用可能である。
【0098】
図12のような機能及びコンテンツ対応テーブルTkは、同様に、他の系列の電子音響装置についても用意される。なお、機能及びコンテンツ対応テーブルTkの機種ランクについては、機種IDの上位桁「XXX」だけを識別してA系列の電子音響装置EMと判断し、A系列の電子音響装置EM用の音楽コンテンツと機能(図12最下欄)が全て利用可能状態になるように、2段階の機種ランク(最上欄と最下欄)を構成してもよいし、機種ランクを3段階以上にし、STATE値が、「0」,「1」,「2」,「3」,…の何れかに設定されるように構成してもよい。
【0099】
図13及び図14は、この発明の一実施例による別の電子音響装置連携処理のフローチャートを示す。なお、このフローチャートでは、動作説明を簡単にするために、譜めくり信号Cs1の受信による動作が省略されている。図13において、この電子音響装置連携装置DSの電源をオンするか或いは「別の電子音響装置連携処理プログラム」を起動し、「別の電子音響装置連携処理」がスタートすると、CPU1は、最初のステップT1で、初期画面、或いは、デフォルト曲又は最後に表示していた曲の音楽コンテンツ(楽譜)を、表示部6の表示画面SC(図6参照)上に表示する。この画面では、ツールバー上の「目次」ボタンta及び「ヘルプ」ボタンhpは、選択可能を示す表示態様で表示され、「印刷」ボタンpr及び「レイアウト」ボタンytは、選択不可能を示す表示態様で表示される。また、現在のSTATE値は、「0」,「1」,「2」の何れかに設定され、STATEは、電子音響装置EMの種別〔機種ID或いは系列(シリーズ)〕に対応付けて記憶部STdに記憶されている。
【0100】
次のステップT2では、現在のSTATE値が「0」であるか否かを判定し、STATE値が「0」でないときは(T2=NO)、ステップT3で、表示画面SCのツールバー上に位置する「印刷」ボタンpr及び「レイアウト」ボタンytを、選択可能を示す表示態様に変更する。STATE値=「0」のとき(T2=YES)或いはステップT3の表示態様変更処理の後は、ステップT4に進んで、終了操作があったか否かを判定し、終了操作がないときは(T4=NO)ステップT5に進む。ステップT5では、機種ID信号Cs2を、所定の受信条件を満足しつつ(図7:S5=YES→S7→S8=YESと同様)、受信したか否かを判定し、所定の受信条件で受信したときは(T5=YES)、ステップT6に進み、図14に示される「コンテンツ及び機能追加処理」を行う。
【0101】
このコンテンツ及び機能追加処理(図14参照)では、最初のステップY1において、機種ID信号Cs2から機種ID情報Kiを抽出し、次のステップY2で、この電子音響装置連携装置DSが、抽出した機種ID情報Kiに該当する電子音響装置EMに対応しているか否か、つまり、当該電子音響装置EMに対応した機能及びコンテンツ対応テーブルTkが用意されているか否かを判定し、該当する機能及びコンテンツ対応テーブルTkが用意されていないときは(Y2=NO)、このコンテンツ及び機能追加処理を直ちに終了し、別の電子音響装置連携処理(図13)のステップT7にリターンする。
【0102】
一方、該当する機能及びコンテンツ対応テーブルTkが用意されているときは(Y2=YES)、ステップY3に進み、抽出した機種ID情報Kiが、現在のSTATEに対応付けられている電子音響装置EMの種別に含まれるか否かを判定し、含まれるときは(Y3=YES)、ステップY4で、抽出した機種ID情報Kiに基づくSTATE値が現在のSTATE値より大きいか否かを判定する。ここで、機種ID情報Kiに基づくSTATE値が現在のSTATE値以下のときは(Y4=NO)、このコンテンツ及び機能追加処理を終了し、別の電子音響装置連携処理(図13)のステップT7にリターンする。
【0103】
ステップY3で、抽出した機種ID情報Kiが、現在のSTATEに対応付けられている電子音響装置EMの種別に含まれないと判定したとき(Y3=NO)、或いは、ステップY4で、機種ID情報Kiに基づくSTATE値が現在のSTATE値を超えると判定したときには(Y4=YES)、ステップY5〜Y8に順次に進む。まず、ステップY5では、現在のSTATEを、機種ID情報Kiに対応するSTATEに更新し、次のステップY6で、機能及びコンテンツ対応テーブルTkに従って、記憶部STdに記憶されている音楽コンテンツの中で、抽出した機種ID情報に対応する音楽コンテンツを利用可能状態に更新する。なお、仕様によっては、STATE値が大きくなった場合、既に利用可能状態になっていたバージョン違いの音楽コンテンツ(「A−011」など)を利用不可能状態にしてもよい(「A’−011」などのA’系を利用可能状態にする)。更に次のステップY7では、機種ID情報Kiに対応する各機能の表示画面SC上のボタンを選択可能を示す表示態様に更新し、続いて、ステップY8において、表示画面SC上で機種ID情報Kiに対応しない機能のボタンが、選択可能を示す表示態様になっていた場合は、選択不可能を示す表示態様に更新する。そして、このコンテンツ及び機能追加処理を終了し、別の電子音響装置連携処理(図13)のステップT7にリターンする。
【0104】
ステップT6のコンテンツ及び機能追加処理を終了すると、ステップT7に進んで、各機能を実行すべき旨の指示を受け付けたか否かを判定し、各機能の実行指示を受け付けたときは(T7=YES)、ステップT8で、指示を受け付けた機能(利用可能状態のみ)について実行する。例えば、「目次」ボタンtaが操作されたときは、目次を表示し、次に表示させる楽譜を選択させ、「ヘルプ」ボタンhpが操作されたときはヘルプを表示し、「印刷」ボタンが操作されたときは、印刷用のダイアログを表示し、ユーザ操作に応じて印刷させ、「レイアウト」ボタンytが操作されたときは、STATEのレベルに応じて、同時に表示するページ数のリストを表示し、選択させ、表示レイアウトを切り替え、ページ番号pg近傍のタッチ操作に応じて譜めくり(表示更新)を指示する。
【0105】
このようにして、或る機種を示す機種ID情報Kiを受信した場合、デフォルトで利用可能な機能:「目次」及び「ヘルプ」に追加して新たな機能:「印刷」及び「レイアウト」が利用可能になる。同じ系列(シリーズ)の機種でも初級者レベルの機種情報であると判断された場合、「レイアウト」機能については、例えば、1ページと2ページの切替え表示が可能であるが、中級以上のレベルの機種情報であると判断された場合には、「レイアウト」機能は、1ページと2ページの切替えに加えて4ページの切替え表示も可能になるように、同じ種類の機能でも実行可能な機能の細かさに差があるようにする。また、表示画面上では機種ID情報Kiを受信したと判断されるまでは、例えば、図6の目次ボタンtaの横に並ぶ印刷ボタンpr及びレイアウトボタンytが、選択不可能を示す表示態様で表示される(実際に選択乃至実行することはできない)。機能の対象となる機種ID情報Kiの受信により、印刷ボタンpr及びレイアウトボタンytは、選択可能を示す表示態様に変わり、ユーザによる選択操作の受付けを可能とする利用可能状態になる。逆に、機種ID情報Kiにより、その機種に対応しない機能のボタンが選択可能を示す表示態様になっていた場合には、該当するボタンを、選択不可能を示す表示態様に変更し、選択乃至実行することができない(利用不可能)状態に変更するように構成してもよい。
【0106】
さて、ステップT7で機能実行指示の受付けがないと判定したとき(T7=NO)、或いは、ステップT8の機能実行の後は、ステップT4に戻り、上述したステップT4〜T8の処理を繰り返す。そして、ステップT4で終了操作があったと判定したときに(T4=YES)、この別の電子音響装置連携処理を終了する。
【0107】
なお、コンテンツ及び機能追加処理(図14)のステップY6では、単に「利用不可能状態になっている音楽コンテンツ」を利用可能状態に更新するようにしてもよく、ステップY7でも、単に「選択不可能状態になっているボタン」を選択可能状態の表示態様に更新するようにしてもよく、ステップY8の処理は省略してもよい。
【0108】
別の電子音響装置連携システムは、記憶部STdに記憶される音楽コンテンツや機能実行プログラムについて、例えば、ユーザの習熟レベルや連携対象の電子音響装置EMの想定するユーザレベルに応じて複数種類用意しておき、音楽コンテンツや機能実行プログラムがレベルなどにより数段階に分かれて利用可能状態になるような仕組みを提供しているということができる。つまり、図5の機能ブロックを流用して説明すると、電子音響装置EMの機種ID(機種のバージョンを含む)のように、電子音響装置EMの機種を特定することができる機種特定情報Kiを制御信号Cs=機種ID信号Cs2に含ませ、判断部DCによって、受信条件を満足した場合(図13:T5=YES)、さらに、情報抽出部EXにて抽出した機種ID(図14:Y1)からレベルを判定し(Y4)、判定したレベルに応じた種類に属する1乃至複数の音楽コンテンツ及び/又は機能を利用可能状態に更新する(Y5〜Y8)。これにより、例えば、初級者レベルと判定した際は、初級者レベルに対応する種類の音楽コンテンツや機能実行プログラムを一斉に利用可能状態にすることができる。
【0109】
受信条件を満足した場合、機能実行プログラムのみについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新するようにしてもよいし、記憶部STdに記憶された音楽コンテンツについても利用可能状態に更新するようにしてもよい。ここで、音楽コンテンツが利用可能状態であると、ユーザは電子音響装置連携装置DS上で利用可能状態の音楽コンテンツを選択し、例えば、表示や印刷などの機能の実行対象とすることができる。また、機能が利用可能状態であると、ユーザは電子音響装置連携装置DS上で利用可能状態の機能を選択して実行乃至起動することができる。
【0110】
〔コンテンツ及び/又は機能実行プログラムの利用可能化に関するまとめ〕
この発明の一実施形態による電子音響装置連携システムにおいては、電子音響装置から受信する音声信号に重畳されている情報には、前述した実施例のように曲IDといった音楽コンテンツを特定することができるコンテンツ特定情報Siが入っているか、或いは、音声信号の送信元の電子音響装置の機種を特定することができる機種IDなどの機種特定情報が最低限入っていればよい。また、両方の情報が1つの信号に入っていてもよい。
【0111】
電子音響装置連携装置DS側で、連携対象の電子音響装置EMに対応して用意されたコンテンツや機能実行プログラムを追加で利用可能状態に更新することにより、ユーザが購入した連携対象の電子音響装置EMの付加価値を向上させることができる。
【0112】
以上説明したように、この発明の一実施形態による電子音響装置連携システムでは、電子音響装置連携装置DSは、記憶装置4内に、音楽コンテンツ、及び/又は、機能を実行するための機能実行プログラムを記憶する記憶部(STd)を備え、連携する電子音響装置EMから、制御情報Cs2が重畳された音声信号Asを受信すると(7;DM)、受信した音声信号Asに重畳された制御情報Csが所定の条件〔(1)(2)等〕を満たすものであるかどうかを判断し(DM,DC;S5〜S8,T5)、所定の受信条件を満たすと判断された場合に(S8=YES,T5=YES)、記憶部STdに記憶された音楽コンテンツ及び/又は機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する〔DC;S19,T6(Y5〜Y8)〕。ここで、制御情報Cs=譜めくり信号Cs1には、少なくとも、音楽コンテンツを特定することができるコンテンツ特定情報Siが含ませ、制御情報Csからコンテンツ特定情報Siを抽出すると(EX;S11)、抽出したコンテンツ特定情報Siに対応する音楽コンテンツを記憶部STdから読み出す(CTd;S15)ように構成することができる。また、記憶部STdに1乃至複数種類の音楽コンテンツ及び/又は機能実行プログラムを用意しておき、少なくとも、連携する電子音響装置EMの機種を特定することができる機種特定情報(機種ID情報)Kiを制御情報Cs=機種ID信号Cs2に含ませ、受信条件を満たすと(T5=YES)、制御情報Cs2から機種特定情報Kiを抽出し〔EX;T6(Y1)〕、抽出した機種特定情報Kiに応じた種類の音楽コンテンツ及び/又は機能についてのみ利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する〔DC:T6(Y5〜Y8)〕ように構成することができる。
【0113】
〔種々の実施態様及び補足事項〕
以上、この発明に関する電子音響装置連携システムの一実施形態について説明したが、これに限らず、種々の変更が可能である。例えば、電子音響装置連携システムにおいて、連携対象となる電子音響装置(EM)には、実施例のような電子楽器などの電子音楽装置の外に、音響信号を出力するAV機器、PA機器、テレビなどがあり、電子音響装置連携装置(DS)には、実施例のような音楽コンテンツ表示装置(楽譜表示装置)の外に、録音装置、ゲーム装置、教習装置、曲データ編集装置、自動伴奏装置などがある。
【0114】
実施例では、音楽コンテンツとして、楽譜データ(楽譜表示データ)や曲ガイド用イラストデータ等の表示用曲対応データを取り扱うと説明したが、この外に、歌詞データ(歌詞表示データ)、コードネーム表示データ、付属情報、コメントデータなどの表示用曲対応データや、コード進行[列]指示データ、伴奏スタイルデータ、対応MIDIデータなどの非表示の曲対応データを音楽コンテンツとして取り扱うようにしてもよい。例えば、付属情報は、該当する音楽コンテンツの作成日時や作成者、名前、カテゴリ(ジャンル)などであり、コメントデータは、該当する音楽コンテンツの解説や注意事項などがテキストやHTMLなどで作成され、音楽コンテンツ表示装置で取り扱うことができる。また、ゲーム装置において利用可能状態になる音楽コンテンツには、BGMデータや背景の画像データなどがあり、教習装置では、上述した曲ガイド用イラストデータや付属情報、コメントデータなどがある。さらに、曲データ編集装置では、上述した歌詞データやコードネーム表示データ、対応MIDIデータなどがあり、自動伴奏装置では、上述した伴奏スタイルデータやコード進行列指示データなどがある。
【0115】
実施例では、機能実行プログラムで利用可能状態になる機能の例として、電子音響装置連携装置(DS)を楽譜表示装置として機能させるための楽譜表示プログラムにおいて、レイアウト切替え機能や印刷機能、ズーム切替え機能などがあると説明したが、電子音響装置連携装置を録音装置として機能させるための録音プログラムにおいては、録音波形データの表示乃至編集機能や保存機能などがある。また、電子音響装置連携装置をゲーム装置として機能させるためのゲームプログラムにおいては、当該ゲームプログラム上で起動可能な各種ゲーム機能があり、電子音響装置連携装置を教習装置として機能させる教習プログラムにおいては、演奏テンポ変更機能や採点機能などがある。更に、電子音響装置連携装置を曲データ編集装置として機能させるための曲データ編集プログラムにおいては、編集機能や保存機能、クオンタイズ機能、トランスポーズ機能などがあり、電子音響装置連携装置を自動伴奏装置として機能させるための自動伴奏プログラムにおいては、伴奏スタイル・セクション選択機能や各伴奏パートの再生ON/OFF切替え機能などがある。
【0116】
電子音響装置連携装置(DS)が音楽コンテンツ表示装置(楽譜表示装置)や教習装置などの場合には、実施例のように、音楽コンテンツを特定することができるコンテンツ特定情報(Si)だけでなく、音楽コンテンツの小節位置などの時間情報(Bn)をも受信することができるように構成すれば、表示や教習などに活用することができる。このとき、コンテンツ特定情報と音楽コンテンツにおける時間情報は、実施例のようにセットで1つの音声信号に重畳されていてもよいし、別々の音声信号に重畳されていてもよい。
【0117】
利用可能状態への更新は自動的に更新されてもよいし、更新可能になったことのみユーザに通知し更新の指示をユーザに操作させるようにしてもよい。その場合は、例えば更新ボタンを表示し、ユーザが押したときに更新を行う。
【0118】
音楽コンテンツを利用可能状態にする、或いは、機能を実行するプログラムを実行可能状態にする判定を行うトリガにできるのであれば、音声信号に重畳される情報は、音楽コンテンツを特定することのできる情報や機種を特定することのできる情報以外の情報でもよい。
【0119】
実施例では、音声信号に重畳されている制御信号は、具体的に、電子音響装置(EM)から所定の時間間隔で(例えば、0.5秒毎に)出力される譜めくり信号であるとした場合、実際の譜めくりを機能させるためだけでなく、利用不可能状態にある音楽コンテンツ(楽譜データなど)の利用可能化にも使用されている。
【0120】
電子音響装置連携装置本体及び電子音響装置連携プログラムは、電子音響装置(EM)の非購入者でも入手することができる場合に対処して、当該電子音響装置連携プログラムには、電子音響装置連携装置(DS)に元々記憶されている音楽コンテンツのうち最小限の音楽コンテンツ及び機能のみが利用可能とされる。この場合、例えば、電子音響装置(EM)が電子楽器の場合、電子楽器提供者にとっては、電子楽器(EM)の購入者には、電子楽器(EM)に内蔵曲として収録されている音楽コンテンツ(再生用曲データ)に対応する音楽コンテンツ(楽譜などの曲対応データ)は、電子楽器(EM)の価値の一部として全て使って欲しいので、電子楽器(EM)からの制御信号(Cs)を受信することが(1回以上)できたときに、電子音響装置連携装置(DS)を操作しているユーザが電子楽器(EM)の購入者とみなされて、電子音響装置連携装置(DS)に元々記憶されているが利用不可能状態になっている残りの(追加の)全ての音楽コンテンツ(曲対応データ)及び機能が自動的に利用可能状態に更新される。
【0121】
また、電子音響装置連携装置が提供可能な各機能が利用可能状態かを判別するためには、表示されない(ユーザに見えない)テーブルを持ち、各機能について利用可能状態かどうかの情報を記録しておくとよい。或いは、機能ごとにフラグを用意しておき利用可能状態かどうかを判別するように構成することもできる。
【0122】
記憶部(STd)に記憶される全音楽コンテンツ及び/又は全機能が利用可能状態であるか(信号受信の条件をクリアしたか)を判別するためのフラグを1つ用意し、更新するようにしてもよい。所定の信号受信により全ての音楽コンテンツと機能実行プログラムが利用可能状態となる場合、フラグの状態はセット/リセットの2種類でよいが、連携する電子音響装置(EM)のユーザ乃至購入機種のレベルで段階的に音楽コンテンツや機能が利用可能状態になるような場合には、どの段階(どの音楽コンテンツ群と機能群)が利用可能状態であるかの状態を表わす変数を1つ用意し、更新するようにしてもよい。
【0123】
ユーザが連携対象の電子音響装置(EM)を複数種類購入していた場合には、購入した複数の電子音響装置それぞれに対応する音楽コンテンツ及び機能が全て利用可能状態になっていてもよいし、実際にその時通信状態にある電子音響装置に対応する音楽コンテンツと機能のみが利用可能状態になるように利用可能状態の音楽コンテンツや機能実行プログラムの組合わせが変化してもよい。また、所定の信号を受信したかどうかの状態を示す変数(実施例ではSTATE)に対応付けて、電子音響装置(EM)の機種ID情報や機種のシリーズ情報、レベルなどの情報を管理しておくとよい。
【0124】
更に、複数種類の電子音響装置と通信する場合に備えて、通信した電子音響装置の機種ID情報の履歴を記録しておくようにすると、夫々の電子音響装置に対応した適切な音楽コンテンツ及び機能実行プログラムが利用可能状態となり、使い易いものとなる。また、各機種に特有の音楽コンテンツや機能実行プログラムを利用することが可能になる。
【0125】
実施例では、電子音響装置(EM)から、制御情報(Cs)が重畳された音声信号(As)を受信するようにしているが、電子音響装置に内蔵される音楽コンテンツ(デモ曲など)の再生出力を数小節分受信して分析し、電子音響装置連携装置(DS)側で連携対象の電子音響装置(EM)に内蔵された音楽コンテンツであることを認識することができたときに、電子音響装置連携装置(DS)内に記憶される全音楽コンテンツ及び全機能実行プログラムを利用可能状態に更新するように構成してもよい。
【0126】
電子音響装置(EM)から送信された信号により電子音響装置連携装置(DS)に記憶される音楽コンテンツや機能実行プログラムが利用可能状態に更新されたときに、何れかの音楽コンテンツ或いは機能実行プログラムが自動的に選択されて実行される(選択されたのが音楽コンテンツの場合は、更に何れかの機能が選択されて実行される)ような仕組みになっていてもよい。例えば、電子音響装置連携装置(DS)が音楽コンテンツ表示装置の場合、自動的に利用可能状態になった音楽コンテンツのうち、最初の(つまりID値が最小の)音楽コンテンツ(楽譜表示データ)がデフォルトで選択され表示される。また、電子音響装置連携装置(DS)がゲーム装置の場合は、自動的に、利用可能状態になったゲームの中でデフォルトの1つが選択され起動するように構成してもよい。デフォルトは、電子音響装置連携装置(DS)内で、例えば、ID値が最小のものや作成日時が最新のものなどで決められていてもよいし、ユーザにより決定条件を設定することができるようにしてもよい。
【0127】
機能実行プログラムが利用可能状態に更新されるということは、電子音響装置連携装置DS上で利用可能状態に更新された機能が、ユーザ操作により選択及び実行することができるようになる、ということである。或いは、例えば、実施例のように、電子音響装置連携装置DSが音楽コンテンツ表示装置(楽譜表示装置)の場合、音楽コンテンツ(楽譜)を表示する際に、表示自体は電子音響装置EMからの制御信号Csの受信に係わらず行われるが、制御信号Csの受信後は、音楽コンテンツを表示する際に、1ページ分の楽譜をユーザが画面スクロールしなくてすむように自動的に縮小して表示する、というようにユーザI/F上に現れてこない内部的な機能(或る機能の一部)が実行されるようになっていてもよい。こうした場合には、例えば、内部的にフラグなどの情報で機能のON/OFFを管理する。
【符号の説明】
【0128】
EM 電子音響装置(電子楽器などの電子音楽装置)、
DS 電子音響装置連携装置(楽譜表示装置などの音楽コンテンツ表示装置)、
As 音声信号、
Cs:Cs1,Cs2 制御信号(譜めくり信号及び機種ID信号)、
Si,Bn 音楽コンテンツ特定情報(曲ID情報)及び位置情報(小節番号)、
Ki 機種特定情報(機種ID情報)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音楽コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段と、
連携する電子音響装置からの信号を受信する信号受信手段と、
信号受信手段により受信された信号が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断手段と、
信号判断手段により所定の条件を満たすと判断された場合に、コンテンツ記憶手段に記憶された音楽コンテンツについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新手段と
を具備することを特徴とする電子音響装置連携装置。
【請求項2】
音楽コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段を具備し、電子音響装置連携装置として機能するコンピュータに、
連携する電子音響装置からの信号を受信する信号受信ステップと、
信号受信ステップで受信された信号が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断ステップと、
信号判断ステップで所定の条件を満たすと判断された場合に、コンテンツ記憶手段に記憶された音楽コンテンツについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新ステップと
から成る手順を実行させる電子音響装置連携プログラム。
【請求項3】
前記信号受信ステップで受信される信号は、情報が重畳された音声信号であり、
前記信号判断ステップでは、前記信号受信ステップで受信された音声信号に重畳された情報を抽出し、所定の条件を満たすかどうかを判断する
請求項2に記載の電子音響装置連携プログラム。
【請求項4】
前記信号判断ステップにおいて判断の対象となる音声信号に重畳された情報には、少なくとも、音楽コンテンツを特定することができるコンテンツ特定情報が含まれている請求項3に記載の電子音響装置連携プログラム。
【請求項5】
前記手順は、さらに、
前記信号受信ステップで受信された音声信号に重畳された情報からコンテンツ特定情報を抽出するコンテンツ特定情報抽出ステップと、
コンテンツ特定情報抽出ステップで抽出されたコンテンツ特定情報に対応する音楽コンテンツを前記コンテンツ記憶手段から読み出すコンテンツ読出しステップと
を含む請求項4に記載の電子音響装置連携プログラム。
【請求項6】
機能を実行するための機能実行プログラムを記憶するプログラム記憶手段と、
連携する電子音響装置からの信号を受信する信号受信手段と、
信号受信手段により受信された信号が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断手段と、
信号判断手段により所定の条件を満たすと判断された場合に、プログラム記憶手段に記憶された機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新手段と
を具備することを特徴とする電子音響装置連携装置。
【請求項7】
機能を実行するための機能実行プログラムを記憶するプログラム記憶手段を具備し、電子音響装置連携装置として機能するコンピュータに、
連携する電子音響装置からの信号を受信する信号受信ステップと、
信号受信ステップで受信された信号が所定の条件を満たすものであるかどうかを判断する信号判断ステップと、
信号判断ステップで所定の条件を満たすと判断された場合に、プログラム記憶手段に記憶された機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する状態更新ステップと
から成る手順を実行させる電子音響装置連携プログラム。
【請求項8】
前記信号受信ステップで受信される信号は、情報が重畳された音声信号であり、
前記信号判断ステップでは、前記信号受信ステップで受信された音声信号に重畳された情報を抽出し、所定の条件を満たすかどうかを判断する
請求項7に記載の電子音響装置連携プログラム。
【請求項9】
前記信号判断ステップにおいて判断の対象となる音声信号に重畳された情報には、少なくとも、連携する電子音響装置の機種を特定することができる機種特定情報が含まれている請求項8に記載の電子音響装置連携プログラム。
【請求項10】
前記プログラム記憶手段には1乃至複数種類の機能実行プログラムが記憶されており、
前記手順は、さらに、前記信号受信ステップで受信された音声信号に重畳された情報から機種特定情報を抽出する機種特定情報抽出ステップを含み、
前記状態更新ステップでは、機種特定情報抽出ステップで抽出された機種特定情報に応じた種類の機能実行プログラムについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する
請求項9に記載の電子音響装置連携プログラム。
【請求項11】
前記コンピュータは、1乃至複数種類の音楽コンテンツを記憶するコンテンツ記憶手段を具備し、
前記手順は、さらに、前記信号受信ステップで受信された音声信号に重畳された情報から機種特定情報を抽出する機種特定情報抽出ステップを含み、
前記状態更新ステップでは、機種特定情報抽出ステップで抽出された機種特定情報に応じた種類の音楽コンテンツについて利用不可能状態のものを利用可能状態に更新する
請求項9に記載の電子音響装置連携プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−80205(P2013−80205A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−157935(P2012−157935)
【出願日】平成24年7月13日(2012.7.13)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】