説明

電極、および電極形成方法

【課題】本発明の課題は、リチウム二次電池などの充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させることができる電極を提供することにある。
【解決手段】本発明にかかる電極100は、集電体300と、活物質層200とを備える。活物質層200は、活物質粒子210と、多孔質性のポリイミド樹脂220とを有する。この活物質層200は、集電体300上に形成される。また、活物質層200は、厚さが0μm超10μm未満である。活物質粒子210は、平均粒子径が0μm超10μm未満である。ポリイミド樹脂220は、活物質粒子210同士を結着する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電極、および電極形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
過去に「リチウム二次電池などの負極を形成するスラリーに添加するバインダーとして、モノマー型ポリイミド前駆体を利用すること」が提案されている(例えば、特開2008−034352号公報等参照)。このモノマー型ポリイミド前駆体は、主に、テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミン化合物とからなり、例えば、加熱されることによりイミド化して高分子量化しながら多孔質構造を形成し、活物質粒子を包含する強固な鋳型(MOLD)を形成する。活物質粒子はその孔内で強力に結着されているため、活物質粒子が激しい膨張収縮を繰り返してもその多孔質構造は崩壊することなく維持され、リチウム二次電池等の充放電サイクルが飛躍的に向上される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−034352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、リチウム二次電池などの充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させることができる電極を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)
本発明にかかる電極は、集電体と、活物質層とを備える。活物質層は、活物質粒子と、多孔質性のポリイミド樹脂とを有する。この活物質層は、集電体上に形成される。また、活物質層は、厚さが0μm超10μm未満である。活物質粒子は、平均粒子径が0μm超10μm未満である。ポリイミド樹脂は、活物質粒子同士を結着する。
【0006】
本願発明者の鋭意検討の結果、この電極は、従前の電極よりもリチウム二次電池などの充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させると共に、リチウム二次電池などの放電容量を増大させることが明らかとなった。
【0007】
(2)
本発明にかかる電極形成方法は、第1塗布工程と、第1加熱工程とを備える。第1塗布工程では、スラリーを集電体に塗布する。スラリーは、活物質粒子と、テトラカルボン酸エステル化合物と、ジアミン化合物と、第1溶剤とを少なくとも含有する。活物質粒子の平均粒子径は、0μm超10μm未満である。第1溶剤は、テトラカルボン酸エステル化合物およびジアミン化合物を溶解する。第1加熱工程では、集電体に塗布されたスラリーを加熱して活物質層を形成する。活物質層の厚さは、0μm超10μm未満である。
【0008】
本願発明者の鋭意検討の結果、この電極形成方法によって得られた電極は、従前の電極よりもリチウム二次電池などの充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させると共に、リチウム二次電池などの放電容量を増大させることが明らかとなった。
【0009】
(3)
上述(2)の電極形成方法は、アンダーコート層形成工程をさらに備える。アンダーコート層形成工程では、集電体にアンダーコート層を形成する。第1塗布工程では、スラリーをアンダーコート層上に塗布する。集電体上にアンダーコート層が形成される場合、アンダーコート層形成用の「導電性フィラー入りポリイミド樹脂溶液」を50℃から100℃の間の温度で数十分間加熱した後に、上述の合剤スラリーを塗布するのが好ましい。このようにすれば、アンダーコート層が完全に固化されない状態で合剤スラリーが塗布されることになるので、アンダーコート層と活物質層とが良好に接着することになる。
【0010】
本願発明者の鋭意検討の結果、このアンダーコート層は、活物質層の集電体に対する接着性を向上させることが明らかとなった。
【0011】
(4)
上述(3)の電極形成方法では、アンダーコート層形成工程は、第2塗布工程と、第2加熱工程とを有する。第2塗布工程では、コーティング溶液を集電体に塗布する。コーティング溶液は、導電性フィラーと、ポリイミド前駆体と、第2溶剤とを含有する。第2溶剤は、ポリイミド前駆体を溶解する。第2加熱工程では、集電体に塗布されたコーティング溶液を加熱して、アンダーコート層を形成する。
【0012】
本願発明者の鋭意検討の結果、このアンダーコート層は、活物質層の集電体に対する接着性を向上させることが明らかとなった。
【0013】
(5)
上述(4)の電極形成方法では、コーティング溶液のポリイミド前駆体は、ポリアミック酸であることが好ましい。ポリアミック酸は、例えば、加熱されることによりイミド化してポリイミド樹脂となるものである。
【0014】
このポリアミック酸を含有するコーティング溶液は、モノマー型ポリイミド前駆体を含有するコーティング溶液に比べて、良好な塗工性を有する。なお、モノマー型ポリイミド前駆体は、主に、テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミン化合物とからなり、例えば、加熱されることによりイミド化して高分子量化してポリイミド樹脂となるものである。
【0015】
(6)
上述(4)または(5)の電極形成方法では、第2塗布工程では、アンダーコート層の厚さが集電体表面の凹凸を平坦化させる厚さとなるように、コーティング溶液を集電体に塗布することが好ましい。
【0016】
アンダーコート層は、集電体表面の凹凸を平坦化させることによって、活物質層の集電体に対する接着性をより向上させ、かつ、アンダーコート層上に設けられる活物質層の製造精度を向上させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る電極は、従前の電極よりもリチウム二次電池などの充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させると共に、リチウム二次電池などの放電容量を増大させる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態に係る電極の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態の変形例(A)に係る電極の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<負極>
図1に示されるように、本発明の一実施形態にかかる電極である負極100は、活物質層200と、集電体300とを備える。この負極100は、リチウム二次電池などに用いられる。活物質層200は、集電体300上に形成される。以下、活物質層200および集電体300について、それぞれ詳しく説明する。
【0020】
<活物質層>
活物質層200は、活物質粒子210と、ポリイミド樹脂220とを有する。活物質層200の厚さは、0μm超10μm未満であり、0μm超8μm未満であることが好ましく、0μm超6μm未満であることがより好ましく、0μm超4μm未満であることがさらに好ましく、0μm超2μm未満であることが最も好ましい。
【0021】
活物質粒子210の平均粒子径は、0μm超10μm未満であり、0μm超8μm未満であることが好ましく、0μm超6μm未満であることがより好ましく、0μm超4μm未満であることがさらに好ましく、0μm超2μm未満であることが最も好ましい。なお、ここにいう平均粒子径は、粒径分布測定装置マイクロトラックMT3100II(日機装株式会社製)を用いてレーザ回折・散乱法により測定される。リチウム二次電池などでは、活物質粒子210の平均粒子径が小さいほど、良好なサイクル特性が得られる傾向にある。平均粒子径が小さい活物質粒子210を用いると、リチウム二次電池などの充放電反応でのリチウムの吸蔵・放出に伴う活物質粒子210の体積の膨張・収縮の絶対量が小さくなる。そのため、充放電反応時の負極100内での活物質粒子210間の歪みの絶対量も小さくなる。したがって、ポリイミド樹脂220製の鋳型の破壊が生じず、負極100内の集電性の低下を抑制することができ、良好な充放電特性を得ることができる。
【0022】
活物質粒子210の粒度分布は、できる限り狭いことが好ましい。粒度分布の幅が広いと、粒度の大きく異なる活物質粒子210間において、リチウムの吸蔵・放出に伴う体積の膨張・収縮の絶対量に大きな差が存在することになる。そのため、活物質層200内に歪みが生じ、ポリイミド樹脂220製の鋳型が破壊されるおそれが高くなる。
【0023】
活物質粒子210として、例えば、ケイ素(Si)粒子、酸化ケイ素(SiO)粒子、ケイ素合金粒子、錫(Sn)粒子などが用いられる。ケイ素合金として、ケイ素と他の1種以上の元素との固溶体、ケイ素と他の1種以上の元素との金属間化合物、ケイ素と他の1種以上の元素との共晶合金などが用いられる。なお、活物質粒子210には、リチウムと合金化する材料からなる粒子が含まれていてもよい。そのような材料として、例えば、ゲルマニウム、錫、鉛、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、アルミニウム、ガリウム、インジウム、およびこれらの合金などが挙げられる。
【0024】
ケイ素合金の作製方法として、例えば、アーク溶解法、液体急冷法、メカニカルアロイング法、スパッタリング法、化学気相成長法、焼成法などが用いられる。特に、液体急冷法として、単ロール急冷法、双ロール急冷法、およびガスアトマイズ法、水アトマイズ法、ディスクアトマイズ法などの各種アトマイズ法が用いられる。
【0025】
なお、活物質粒子210は、上述のケイ素(Si)粒子、酸化ケイ素(SiO)粒子、ケイ素合金粒子、錫(Sn)粒子などを、金属などで被覆したコアシェル型の活物質粒子であってもよい。このコアシェル型の活物質粒子は、無電解めっき法、電解めっき法、化学還元法、蒸着法、スパッタリング法、化学気相成長法などによって製造される。シェル部分は、集電体300を形成する金属と同じ金属で形成されることが好ましい。コアシェル型の活物質粒子と集電体300との結合性が大きく向上し、優れた充放電サイクル特性を得ることができる。なお、シェル部分は、金属に代えて、シランカップリング剤で形成されてもよい。活物質粒子210をシランカップリング剤で表面処理すれば、後述するスラリー中に活物質粒子210を良好に分散させることができると共に、ポリイミド樹脂220に対する活物質粒子210の結着性を高めることができる。
【0026】
ポリイミド樹脂220は、活物質層200において、多孔質構造を有し、活物質粒子210を包含する鋳型材料として機能し、その孔内の活物質粒子210を結着させると共に、集電体300と活物質粒子210とを結着させる役目を担っている。なお、このとき、ポリイミド樹脂220は、通常、20体積部から40体積部の範囲程度の多孔質度を有する。このポリイミド樹脂220は、多孔質性であり、主に、テトラカルボン酸由来単位とジアミン由来単位とから形成されている。
【0027】
ポリイミド樹脂220は、アニオン性基を有することが好ましい。このアニオン性基は、ポリイミド樹脂220のジアミン由来単位に結合されている。
【0028】
ポリイミド樹脂220には、導電性フィラーが含有されることが好ましい。導電性フィラーは、導電助剤として機能する。この導電性フィラーとして、例えば、カーボンブラック(オイルファーネスブラック、チャンネルブラック、ランプブラック、サーマルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック)、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、フラーレン、カーボンマイクロコイル、グラファイト(天然グラファイト、人造グラファイト)カーボンブラック、カーボンファイバー短繊維(PAN系カーボン短繊維、ピッチ系カーボン短繊維)などが用いられる。これら導電性フィラーは、単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよい。
【0029】
活物質層200は、スラリーを加熱することによって得られる。スラリーは、主に、テトラカルボン酸エステル化合物、ジアミン化合物、第1溶媒および活物質粒子210を含有する。スラリー中の活物質粒子210は、テトラカルボン酸エステル化合物、ジアミン化合物および第1溶媒からなるポリイミド前駆体ワニス中に分散された状態で存在する。
【0030】
テトラカルボン酸エステル化合物とジアミン化合物とのモル比は、通常、55:45から45:55の範囲内である。なお、テトラカルボン酸エステル化合物とジアミン化合物とのモル比は、本発明の趣旨を損なわない限り、上記以外の比に適宜変更可能である。
【0031】
テトラカルボン酸エステル化合物は、芳香族テトラカルボン酸エステル化合物であることが好ましい。また、テトラカルボン酸エステル化合物は、テトラカルボン酸ジエステル化合物であることが好ましい。テトラカルボン酸エステル化合物は、対応するテトラカルボン酸二無水物をアルコールでエステル化することにより極めて簡単に得られる。テトラカルボン酸二無水物のエステル化は、50℃以上150℃以下の温度で行うのが好ましい。
【0032】
テトラカルボン酸エステル化合物を誘導形成するためのテトラカルボン酸二無水物として、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、2,2’,3,3’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、2,2−ビス[3,4−(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BPADA)、4,4’−(ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフタル酸無水物、オキシジフタル酸無水物(ODPA)、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホキシド二無水物、チオジフタル酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−アントラセンテトラカルボン酸二無水物、1,2,7,8−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9−ビス[4−(3,4’−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1−シクロヘキシルコハク酸二無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸二無水物などが用いられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独で用いられてもよいし、混合されて用いられてもよい。
【0033】
テトラカルボン酸エステル化合物を誘導形成するためのアルコールとして、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール、3−メチル−2−ブタノール、2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、シクロヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−(メトキシメトキシ)エタノール、2−イソプロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、フェノール、1−ヒドロキシ−2−プロパノン、4−ヒドロキシ−2−ブタノン、3−ヒドロキシ−2−ブタノン、1−ヒドロキシ−2−ブタノン、2−フェニルエタノール、1−フェニル−1−ヒドロキシエタン、2−フェノキシエタノールなどが用いられる。さらに、テトラカルボン酸エステル化合物を誘導形成するためのアルコールとして、1,2−エタンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、グリセロール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、2,2’−ジヒドロキシジエチルエーテル、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、3,6−ジオキサオクタン−1,8−ジオール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコールが用いられる。これらのアルコールは、単独で用いられてもよいし、混合されて用いられてもよい。
【0034】
上記のテトラカルボン酸二無水物とアルコールとからなるテトラカルボン酸エステル化合物の中でも、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジエステルが特に好ましい。なお、テトラカルボン酸エステル化合物は、他の方法、例えばテトラカルボン酸を直接エステル化することによっても製造することができる。
【0035】
ジアミン化合物は、芳香族ジアミン化合物であることが好ましい。アニオン性基を有するポリイミド樹脂220を製造するために、ジアミン化合物は、アニオン性基を有することが好ましい。アニオン性基として、例えば、カルボキシル基、硫酸エステル基、スルホン酸基、リン酸基、リン酸エステル基などが用いられる。これらのアニオン性基の中でもカルボキシル基が特に好ましい。アニオン性基を有するジアミン化合物として、例えば、3,4−ジアミノ安息香酸、3,5−ジアミノ安息香酸、メタフェニレンジアミン4−スルホン酸などが用いられる。
【0036】
アニオン性基を有しないジアミン化合物として、例えば、パラフェニレンジアミン(PPD)、メタフェニレンジアミン(MPDA)、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン(MDA)、2,2−ビス−(4−アミノフェニル)プロパン、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン(33DDS)、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン(44DDS)、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(34ODA)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン(133APB)、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン(134APB)、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPSM)、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン(BAPS)、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン(BAPP)、2,2−ビス(3−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレンなどが用いられる。これらのジアミン化合物は、単独で用いられてもよいし、混合されて用いられてもよい。
【0037】
なお、アニオン性基を有するジアミン化合物と、アニオン性基を有しないジアミン化合物とを混合させて用いてもよい。この場合、アニオン性基を有するジアミン化合物は、全ジアミン化合物の30モル%以上を占めることが好ましく、全ジアミン化合物の40モル%以上を占めることがより好ましく、60モル%以上を占めることがさらに好ましく、80モル%モル以上を占めることがさらに好ましく、90モル%以上を占めることがさらに好ましく、95モル%以上を占めることがさらに好ましい。
【0038】
第1溶媒は、テトラカルボン酸エステル化合物およびジアミン化合物を溶解する。第1溶媒として、例えば、上述のテトラカルボン酸エステルを誘導形成するためのアルコール類が好ましく用いられる。具体的に、アルコール類として、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等の低級アルコールが好ましく用いられる。なお、第1溶媒には、アルコール類以外にN−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド、芳香族炭化水素などが添加されていてもよい。
【0039】
スラリーには、上記の導電性フィラーが含有されることが好ましい。また、スラリーには、分散剤などが含有されることが好ましい。スラリーに添加された分散剤は、スラリー中の活物質粒子210を均一に分散させる。分散剤として、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、N,N−ジメチルラウリルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N−ヤシアルキル−1,3−ジアミノプロパン等が用いられる。これら分散剤は、単独で用いられてもよいし、組み合わせて用いられてもよい。
【0040】
活物質層200中のポリイミド樹脂220の含有量は、活物質層200の総重量の5重量%以上50重量%以下であるのが好ましく、10重量%以上30重量%以下であるのがより好ましく、12重量%以上20重量%以下であることがさらに好ましい。活物質層200中のポリイミド樹脂220が5重量%未満であると、活物質粒子210同士の密着性、活物質粒子210と集電体300との密着性が不十分となるおそれがある。活物質層200におけるポリイミド樹脂220が50重量%超であると、負極100内の抵抗が増加し、初期の充電が困難となるおそれがある。
【0041】
<集電体>
集電体300は、導電性金属箔であることが好ましい。この導電性金属箔は、例えば、銅、ニッケル、鉄、チタン、コバルト等の金属、または、これらの金属を組み合わせて得られるステンレス等の合金から形成される。
【0042】
集電体300の表面は、活物質層200との結着性を向上させるために、粗面化されることが好ましい。集電体300の粗面化は、集電体300の表面に電解銅または電解銅合金を設けることによって行う。
【0043】
なお、集電体300の粗面化は、集電体300の表面に粗面化処理を施すことによって行ってもよい。粗面化処理としては、例えば、気相成長法、エッチング法、研磨法などが挙げられる。気相成長法としては、スパッタリング法、CVD法、蒸着法などが挙げられる。エッチング法としては、物理的エッチング、または化学的エッチングによる方法が挙げられる。研磨法としては、サンドペーパーによる研磨、またはブラスト法による研磨などが挙げられる。
【0044】
<電極形成方法>
スラリーは、第1混合工程および第2混合工程を順に経て作製される。第1混合工程では、モノマー型ポリイミド前駆体溶液に、実質的にせん断応力が加えられることなくカーボンブラックが混合されて、カーボンブラック添加ポリイミド前駆体溶液が調製される。ここにいう「実質的にせん断応力を加えることなく」とは、カーボンブラックの組織が破壊されない程度のせん断応力は許容されることを意味する。また、モノマー型ポリイミド前駆体溶液には、テトラカルボン酸エステル化合物、アニオン性基を有するジアミン化合物および第1溶媒が含有される。なお、第1溶媒には、テトラカルボン酸エステル化合物およびジアミン化合物が溶解されている。
【0045】
第2混合工程では、カーボンブラック添加ポリイミド前駆体溶液に、活物質粒子が混合されてスラリーが調製される。なお、活物質粒子210を100重量部とした場合、モノマー型ポリイミド前駆体溶液の固形分は、5重量部から11重量部の範囲であるのが好ましい。このため、このスラリー製造方法を利用すれば、カーボンブラックの組織が破壊されることなく、カーボンブラックがモノマー型ポリイミド前駆体溶液に分散される。したがって、このスラリー製造方法を利用すれば、スラリーから得られる活物質層200の導電性を良好なものとすることができる。
【0046】
次に、負極100は、第1塗布工程、第1加熱工程を順に経て形成される。第1塗布工程では、上記のスラリーを集電体300に塗布する。
【0047】
第1加熱工程では、集電体300に塗布されたスラリーが加熱されて、厚さが0μm超10μm未満である活物質層200が形成される。スラリーの加熱は、例えば、真空下・窒素雰囲気下・アルゴン雰囲気下などの非酸化性雰囲気下、または水素雰囲気などの還元性雰囲気下で行なわれることが好ましい。
【0048】
加熱方法として、例えば、通常の恒温炉を使用する方法や、放電プラズマ焼結法、ホットプレス法などが用いられる。集電体300上に活物質層200が形成されることにより、活物質層200において、多孔質性のポリイミド樹脂220により活物質粒子210同士のみならず活物質粒子210と集電体300とが強固に結着される。
【0049】
スラリーの加熱前に、集電体300に塗布したスラリー(以下、「塗膜」という)を集電体300とともに圧延してもよいし、圧延しなくてもよいが、ポリイミド樹脂220製の鋳型の破壊を防止する観点から、圧延しない方が好ましい。塗膜を集電体300とともに圧延すれば、「塗膜中の活物質粒子210の充填密度」、「活物質粒子210間の密着性」および「活物質粒子210と集電体300との密着性」が上がりすぎてサイクル寿命が低下する。圧延しないことで集電体300およびポリイミド樹脂220製の鋳型の破壊を防ぎ、結果良好な充放電サイクル特性が得ることができる。
【0050】
加熱温度は、スラリー中のモノマー型ポリイミド前駆体がイミド化し、十分に高分子量体になる温度以上であり、かつ、集電体300および活物質粒子210の融点以下であるのが好ましい。モノマー型ポリイミド前駆体は、主に、テトラカルボン酸ジエステル化合物とジアミン化合物とからなり、例えば、加熱されることによりイミド化して高分子量化してポリイミド樹脂となるものである。スラリーの推奨加熱温度は、100℃から400℃までの間の温度である。なお、このスラリーの焼成温度は、150℃から400℃の間の温度であることがより好ましく、200℃から400℃の間の温度であることがさらに好ましい。これは、熱による集電体300の劣化を防ぎ、ポリイミド樹脂220の架橋構造を保つためである。
【0051】
特に、集電体300として銅箔が用いられる場合、その銅箔を300℃超の温度で加熱すると、その強度(抗張力)が低下する。しかし、この電極形成方法を利用すれば、集電体300が銅箔とされる場合であっても、その銅箔の強度(抗張力)が低下することを抑制することができる。また、さらに、集電体300としてステンレス等の合金箔や銅合金箔を用いる場合は、300℃超えの温度で加熱しても強度を維持できるため、スラリーの推奨加熱温度の範囲内で使用することが可能である。
【0052】
この電極形成方法では、スラリーが比較的低温で加熱される。このため、この電極形成方法を利用すれば、ポリイミド樹脂220を比較的柔らかいものとすることができる。したがって、この電極形成方法を利用すれば、ポリイミド樹脂220が活物質粒子210の膨張に追随しやすくなり、ポリイミド樹脂220から活物質粒子210が脱落することを抑制することができる。
【0053】
<正極>
正極として、公知のリチウム二次電池用の正極などが用いられるが、活物質粒子および集電層の材料を適宜変更した以外、上記の負極100と同じ構成の電極が用いられてもよい。その場合、正極用の活物質粒子として、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、マンガン酸リチウム(LiMn)などのリチウム含有遷移金属酸化物を用いることができる。正極用の集電層として、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、チタンなどを用いることができる。
【0054】
<本実施形態における効果>
本願発明者の鋭意検討の結果、この負極100は、従前の負極よりもリチウム二次電池などの充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させると共に、リチウム二次電池などの放電容量を増大させることが明らかとなった。
【0055】
本願発明者の鋭意検討の結果、この電極形成方法によって得られた負極100は、従前の負極よりもリチウム二次電池などの充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させると共に、リチウム二次電池などの放電容量を増大させることが明らかとなった。
【0056】
<変形例>
(A)
図2に示されるように、負極100aでは、活物質層200と集電体300との間にアンダーコート層400が形成されていてもよい。アンダーコート層400は、コーティング溶液を加熱することによって得られ、活物質層200と集電体300との結着性を向上させる。このアンダーコート層400は、ポリイミド樹脂220と良好に接着することができる樹脂と、アンダーコート層400に導電性を付与する導電性フィラーとから形成される。
【0057】
コーティング溶液は、導電性フィラーと、ポリイミド前駆体と、第2溶剤とを含有する。コーティング溶液の導電性フィラーとして、上記のスラリーの導電性フィラーとして用いることのできるものを用いることができる。コーティング溶液の導電性フィラーは、スラリーの導電性フィラーと同じものであってもよいし、スラリーの導電性フィラーと異なるものであってもよい。第2溶剤は、ポリイミド前駆体を溶解する。第2溶剤の材料として、上記の第1溶剤の材料として用いることのできるものを用いることができる。また、第2溶剤の材料は、第1溶剤の材料と同じものであってもよいし、第1溶剤の材料と異なるものであってもよい。
【0058】
ポリイミド前駆体として、ポリアミック酸が用いられることが好ましい。ポリアミック酸は、例えば、加熱されることによりイミド化してポリイミド樹脂となるものである。
【0059】
このポリアミック酸を含有するコーティング溶液は、モノマー型ポリイミド前駆体を含有するコーティング溶液に比べて、良好な塗工性を有する。
【0060】
負極100aは、集電体300上にアンダーコート層400を形成した後、スラリーをアンダーコート層400上に塗布し、スラリーを加熱することで得られる。具体的に、負極100aは、アンダーコート層成形工程、第1塗布工程、第1加熱工程を順に経て形成される。アンダーコート層成形工程は、第2塗布工程と、第2加熱工程とを有する。第2塗布工程では、コーティング溶液を集電体300に塗布する。第2加熱工程では、集電体300に塗布されたコーティング溶液を加熱して、アンダーコート層400を形成する。第1塗布工程では、スラリーがアンダーコート層400上に塗布される。
【0061】
第2塗布工程では、アンダーコート層400の厚さが集電体300表面の凹凸を平坦化させる厚さとなるように、コーティング溶液を集電体300に塗布することが好ましい。アンダーコート層400の厚さは、薄ければ薄いほどよく、例えば、0.5μm以上2μm以下で形成される。
【0062】
本願発明者の鋭意検討の結果、このアンダーコート層400は、活物質層200の集電体300に対する接着性を向上させることが明らかとなった。
【0063】
アンダーコート層400は、集電体300表面の凹凸を平坦化させることによって、活物質層200の集電体300に対する接着性をより向上させ、かつ、アンダーコート層400上に設けられる活物質層200の製造精度を向上させる。
【実施例】
【0064】
次に、本発明の負極100に係る実施例および比較例について説明する。なお、実施例によって本発明は何ら限定されるものではない。
【0065】
(実施例1)
<リチウム二次電池の作製>
1.モノマー型ポリイミド前駆体溶液の調製
200mLの3つ口フラスコに、ポリテトラフルオロエチレン製の攪拌羽を取り付けた攪拌棒を取り付けて合成容器とした。この合成容器に、ポリイミド前駆体溶液の固形分が28重量%となるように10.19g(0.032mol)の3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)(ダイセル化学工業株式会社製)と、2.91g(0.063mol)のエタノール(上野化学工業株式会社製)とを投入した後、合成容器中の内容物を90℃で加熱しながら1時間攪拌してBTDAジエステル溶液を調製した。
【0066】
BTDAジエステル溶液を45℃以下に冷却した後、BTDAジエステル溶液に4.81g(0.032mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)(東京化成工業株式会社製)を添加し、再び50℃に加熱しながら1時間攪拌してモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製した。また、このモノマー型ポリイミド前駆体溶液から作製したフィルムのガラス転移点(Tg)は339℃であった。
【0067】
2.負極の作製
上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液7.3gに、平均粒子径2.1μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)39.0gと、一次粒子径39.5nmのケッチェンブラック(福田金属箔粉工業株式会社製)2.4gとを添加した後に遊星式(自公転式)ミキサー(株式会社シンキー製)によりよく混ぜ合わせて、負極合剤スラリーを調製した。
【0068】
この負極合剤スラリーを、集電体である粗面粗さ(算術平均粗さ)Rzが4.0μmである電解銅箔(厚み35μm)の片面(粗面)に、乾燥後の厚みが19μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、300℃で1時間熱処理(焼成)し、焼結して負極を作製した。
【0069】
3.対極
対極は、厚み0.5mmのリチウム金属箔をφ13mmの円形状に切り抜いて作製した。
【0070】
4.非水電解液の調製
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを体積比1:1で調合した溶媒に対し、LiPFが1モル/LとなるようにLiPFを溶解した非水電解液を用いた。
【0071】
5.リチウム二次電池の作製
上述のようにして作製された負極、対極および非水電解液をCR2032型SUS製コインセル内部に組みリチウム二次電池を作製した。なお、正極と対極とは、ポリプロピレン製セパレータ(Celgard2400:セルガード社製)をガラス繊維布帛で補強したものを介して対向するように配置された。
【0072】
<リチウム二次電池の充放電サイクル試験>
上述のようにして得られたリチウム二次電池の充放電サイクル試験を行った。充放電サイクル試験は、環境温度を30℃とし、充放電速度を0.1Cとし、カットオフ電圧を充電時0.0V、放電時1.0Vとし、充放電サイクルを50回として行い、1サイクル毎に放電容量を(mAh/g)を計測した。また、維持率として、「第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比」および「第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比」を求めた。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.32mAh/cmであった(表1参照)。
【0073】
その結果、第1サイクルの放電容量が4176.3mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3592.3mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3247.0mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2815.4mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は90.39%(=3247.0/3592.3×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は78.37%(=2815.4/3592.3×100)であった(表1参照)。
【0074】
(実施例2)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.07mAh/cmであった(表1参照)。
【0075】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4448.6mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3820.2mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3448.6mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2975.5mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は90.27%(=3448.6/3820.2×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は77.89%(=2975.5/3820.2×100)であった(表1参照)。
【0076】
(実施例3)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが2μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.25mAh/cmであった(表1参照)。
【0077】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4323.9mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3692.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3321.9mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2867.4mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は89.97%(=3321.9/3692.1×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は77.66%(=2867.4/3692.1×100)であった(表1参照)。
【0078】
(実施例4)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.02mAh/cmであった(表1参照)。
【0079】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4689.5mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が4074.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3720.4mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が3173.9mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は91.32%(=3720.4/4074.1×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は77.90%(=3173.9/4074.1×100)であった(表1参照)。
【0080】
(実施例5)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.87mAh/cmであった(表1参照)。
【0081】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が5258.3mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が4539.7mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が4153.2mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が3552.8mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は91.49%(=4153.2/4539.7×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は78.26%(=3552.8/4539.7×100)であった(表1参照)。
【0082】
(実施例6)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.00mAh/cmであった(表1参照)。
【0083】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4850.2mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が4186.4mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3777.2mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が3307.7mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は90.22%(=3777.2/4186.4×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は79.01%(=3307.7/4186.4×100)であった(表1参照)。
【0084】
【表1】

【0085】
(実施例7)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.82mAh/cmであった(表2参照)。
【0086】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4425.8mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3843.5mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3364.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が3021.8mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は87.54%(=3364.5/3843.5×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は78.62%(=3021.8/3843.5×100)であった(表2参照)。
【0087】
(実施例8)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.12mAh/cmであった(表2参照)。
【0088】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が3541.5mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3076.5mAh/gであり、第10サイクルの放電容量が3026.4mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2803.4mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2424.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比(維持率)は98.37%(=3026.4/3076.5×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は91.12%(=2803.4/3076.5×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は78.81%(=2424.6/3076.5×100)であった(表2参照)。
【0089】
(実施例9)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.69mAh/cmであった(表2参照)。
【0090】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4700.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が4124.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3401.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2955.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は82.46%(=3401.5/4124.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は71.65%(=2955.6/4124.8×100)であった(表2参照)。
【0091】
(実施例10)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.00mAh/cmであった(表2参照)。
【0092】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が3898.5mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3384.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2997.9mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2559.5mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は88.57%(=2997.9/3384.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は75.62%(=2559.5/3384.8×100)であった(表2参照)。
【0093】
(実施例11)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.77mAh/cmであった(表2参照)。
【0094】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4282.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3748.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3113.2mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2704.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は83.05%(=3113.2/3748.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は72.15%(=2704.6/3748.8×100)であった(表2参照)。
【0095】
(実施例12)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.95mAh/cmであった(表2参照)。
【0096】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が3714.4mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3231.6mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2835.7mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2405.2mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は87.75%(=2835.7/3231.6×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は74.43%(=2405.2/3231.6×100)であった(表2参照)。
【0097】
(実施例13)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、400℃で1時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.69mAh/cmであった(表2参照)。
【0098】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4424.0mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3873.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3226.9mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2686.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は83.32%(=3226.9/3873.1×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は69.36%(=2686.3/3873.1×100)であった(表2参照)。
【0099】
(実施例14)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが1μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、400℃で1時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.87mAh/cmであった(表2参照)。
【0100】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が3870.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3391.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2977.3mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2524.6mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の比(維持率)は87.78%(=2977.3/3391.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の比(維持率)は74.43%(=2524.6/3391.8×100)であった(表2参照)。
【0101】
(実施例15)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.67mAh/cmであった(表2参照)。
【0102】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が3736.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3195.2mAh/gであり、第10サイクルの放電容量が3083.1mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比(維持率)は96.49%(=3083.1/3195.2×100)であった(表2参照)。
【0103】
(実施例16)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)を用いた。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、200℃で10時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.49mAh/cmであった(表2参照)。
【0104】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4022.2mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3490.8mAh/gであり、第10サイクルの放電容量が3441.9mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第10サイクルの放電容量の比(維持率)は98.60%(=3441.9/3490.8×100)であった(表2参照)。
【0105】
【表2】

【0106】
(比較例1)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが19μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.62mAh/cmであった(表3参照)。
【0107】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4309.6mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3584.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3115.0mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2689.8mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は86.89%(=3115.0/3584.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は75.03%(=2689.8/3584.8×100)であった(表3参照)。
【0108】
(比較例2)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが14μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.70mAh/cmであった(表3参照)。
【0109】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4194.7mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3470.1mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3026.7mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2614.1mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は87.22%(=3026.7/3470.1×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は75.33%(=2614.1/3470.1×100)であった(表3参照)。
【0110】
(比較例3)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが23μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.75mAh/cmであった(表3参照)。
【0111】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4238.8mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3500.8mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3014.6mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2601.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は86.11%(=3014.6/3500.8×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は74.31%(=2601.3/3500.8×100)であった(表3参照)。
【0112】
(比較例4)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが16μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.80mAh/cmであった(表3参照)。
【0113】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4121.4mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3414.3mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2945.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2544.7mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は86.27%(=2945.5/3414.3×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は74.53%(=2544.7/3414.3×100)であった(表3参照)。
【0114】
(比較例5)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが15μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。また、負極中間体をφ11の円形状に切り抜き、窒素雰囲気下、350℃で4時間加熱して負極100を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、4.90mAh/cmであった(表3参照)。
【0115】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4144.9mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3412.6mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2959.5mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2531.3mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は86.72%(=2959.5/3412.6×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は74.18%(=2531.3/3412.6×100)であった(表3参照)。
【0116】
【表3】

【0117】
(実施例17)
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池を得た。2.3732g(0.0156mol)の3,5−ジアミノ安息香酸(3,5−DABA)を、m−フェニレンジアミン(m−PDA)に置き換えてモノマー型ポリイミド前駆体溶液を調製した。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが6μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、2.02mAh/cmであった(表4参照)。
【0118】
下記以外については実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。充放電サイクル試験は、環境温度を25℃とし、充放電速度を0.1Cとし、カットオフ電圧を充電時0.0V、放電時1.0Vとした充放電サイクルを100回行った。その結果、第1サイクルの放電容量が3994.1mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3408.6mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2573.4mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2133.0mAh/gであり、第100サイクルの放電容量が1565.5mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は75.50%(=2573.4/3408.6×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は62.58%(=2133.0/3408.6×100)であった(表4参照)。
【0119】
(実施例18)
下記以外については実施例17と同様にして、リチウム二次電池を得た。上述のモノマー型ポリイミド前駆体溶液2.3gに、平均粒子径0.9μmのケイ素粉末(純度99.9%)(福田金属箔粉工業株式会社製)12.4gと、一次粒子径39.5nmのケッチェンブラック(福田金属箔粉工業株式会社製)0.8gとを添加した後に遊星式(自公転式)ミキサー(株式会社シンキー製)によりよく混ぜ合わせて、負極合剤スラリーを調製した。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが3μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、1.62mAh/cmであった(表4参照)。
【0120】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が4225.8mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3670.2mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が3082.8mAh/gであり、第50サイクルの放電容量が2645.7mAh/gあり、第100サイクルの放電容量が2011.2mAh/gであった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は84.00%(=3082.8/3670.2×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は72.08%(=2645.7/3670.2×100)であった(表4参照)。
【0121】
(比較例6)
下記以外については実施例17と同様にして、リチウム二次電池を得た。負極合剤スラリーを集電体300の片面に、乾燥後の厚みが21μmとなるように塗布した後に乾燥させて負極中間体を作製した。なお、このリチウム二次電池の電極面積あたりの容量密度は、5.46mAh/cmであった(表4参照)。
【0122】
実施例1と同様にして、リチウム二次電池の充放電サイクル特性を測定した。その結果、第1サイクルの放電容量が3925.4mAh/gであり、第2サイクルの放電容量が3208.3mAh/gであり、第30サイクルの放電容量が2333.4mAh/gあり、第50サイクルの放電容量が1957.9mAh/gであり、第100サイクルの放電容量が1234.5mAh/gであり、であった。また、第2サイクルの放電容量に対する第30サイクルの放電容量の割合(維持率)は72.73%(=2333.4/3208.3×100)であり、第2サイクルの放電容量に対する第50サイクルの放電容量の割合(維持率)は61.03%(=1957.9/3208.3×100)であった(表4参照)。
【0123】
【表4】

【0124】
上述の結果より、本発明に係る負極100は、従前の負極よりもリチウム二次電池の充放電サイクルをさらに飛躍的に向上させると共に、リチウム二次電池の放電容量を増大させることが明らかとなった。
【符号の説明】
【0125】
100、100a 電極(負極)
200 活物質層
210 活物質粒子
220 ポリイミド樹脂
300 集電体
400 アンダーコート層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
集電体と、
平均粒子径が0μm超10μm未満である活物質粒子と、前記活物質粒子同士を結着する多孔質性のポリイミド樹脂とを有し、前記集電体上に形成される活物質層とを備え、
前記活物質層は、厚さが0μm超10μm未満である電極。
【請求項2】
平均粒子径が0μm超10μm未満である活物質粒子と、テトラカルボン酸エステル化合物と、ジアミン化合物と、前記テトラカルボン酸エステル化合物および前記ジアミン化合物を溶解する第1溶剤とを少なくとも含有するスラリーを集電体に塗布する第1塗布工程と、
前記集電体に塗布された前記スラリーを加熱して、厚さが0μm超10μm未満である活物質層を形成する第1加熱工程とを備える電極形成方法。
【請求項3】
前記集電体にアンダーコート層を形成するアンダーコート層形成工程をさらに備え、
前記第1塗布工程では、前記スラリーを前記アンダーコート層上に塗布する請求項2に記載の電極形成方法。
【請求項4】
前記アンダーコート層形成工程は、導電性フィラーと、ポリイミド前駆体と、前記ポリイミド前駆体を溶解する第2溶剤とを含有するコーティング溶液を前記集電体に塗布する第2塗布工程と、
前記集電体に塗布された前記コーティング溶液を加熱して、前記アンダーコート層を形成する第2加熱工程とを有する請求項3に記載の電極形成方法。
【請求項5】
前記コーティング溶液の前記ポリイミド前駆体は、ポリアミック酸である請求項4に記載の電極形成方法。
【請求項6】
前記第2塗布工程では、前記アンダーコート層の厚さが前記集電体表面の凹凸を平坦化させる厚さとなるように、前記コーティング溶液を前記集電体に塗布する請求項4または5に記載の電極形成方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−204181(P2012−204181A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68596(P2011−68596)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成22年度、経済産業省、地域イノベーション創出研究開発事業「次世代リチウムイオン電池を実現するバインダおよびセパレータ」、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(301021533)独立行政法人産業技術総合研究所 (6,529)
【出願人】(391059399)株式会社アイ.エス.テイ (102)
【Fターム(参考)】