電極およびゲートシステム
【課題】電界伝達媒体を介して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極において、放射される電界を所定の対象に収束させる。
【解決手段】送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバ5に接続される電極11、12であって、信号電極12と、グランド電極11とを有し、前記信号電極12は、当該信号電極12から放射される電界を収束させる、曲面形状である。
【解決手段】送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバ5に接続される電極11、12であって、信号電極12と、グランド電極11とを有し、前記信号電極12は、当該信号電極12から放射される電界を収束させる、曲面形状である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の小型化および高性能化によりウェアラブルコンピュータが注目されているが、図10はこのようなウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示している。同図に示すように、ウェアラブルコンピュータ7はそれぞれトランシーバ9を介して人間の腕、肩、胴体などに装着されて互いにデータの送受信を行うとともに、更に手足の先端で触れられるよう壁や床に設けられたトランシーバ9a、9bとケーブルとを介して外部に設けられたコンピュータ8と通信を行っている。
【0003】
ここで、このようなウェアラブルコンピュータ7間、およびウェアラブルコンピュータ7とコンピュータ8間とのデータ通信に使用されるトランシーバ9は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うものである。なお、トランシーバ9については、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−352298号公報
【特許文献2】特開2006−081111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上記のような携帯端末を携帯したユーザが、例えば床に設けられた電極に接触することなどにより、当該電極に接続されたトランシーバを介して、携帯端末とコンピュータとが通信する。このトランシーバに接続される電極から、電極面に対して垂直に電界が放射され、また放射された電界は広がりをもつ。そのため、大型の電極を床に設置した場合、当該電極から放射される電界は、広範囲に広がり、対象とするユーザ以外の近傍の他ユーザに不要な電界が放射され、意図しない電界カップリング(静電結合)により、誤認識および誤動作が発生する場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極において、放射される電界を所定の対象に収束させ、誤認識および誤動作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、信号電極と、グランド電極とを有し、前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、曲面形状である。
【0008】
また、本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、信号電極と、グランド電極とを有し、前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、円柱面形状である。
【0009】
また、本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、信号電極と、グランド電極とを有し、前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、尖形である。
【0010】
また、発明は、ユーザが携帯する携帯端末と電界通信を行うゲートシステムであって、一対のゲートの内の一方のゲートに設置され、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される第1の電極と、一対のゲートの内の他方のゲートに設置され、電位固定された第2の電極とを有し、前記第1の電極が備える信号電極およびグランド電極は、当該信号電極から放射される電界を前記一対のゲートの間を通過するユーザに収束させる、曲面形状、円柱面形状、および尖形のいずれかである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極において、放射される電界を所定の対象に、より収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の一対のゲートをそれぞれ横から見た側面図である。
【図3】曲面形状の電極を示す図である。
【図4】トランシーバの構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図8】第4の実施形態のゲートを横から見た側面図である。
【図9】円柱面形状の電極を示す図である。
【図10】トランシーバを介してウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態である電界通信を用いたゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステムを上からみた上面図である。図示するゲートシステムは、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極(グランド電極11および信号電極12)と、第2の電極(グランド電極)21と、トランシーバ5に接続されるコンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。第1の電極11、12は、一対のゲートA、Bの内の一方のゲートAに設置され、第2の電極21は、他方のゲートBに設置される。
【0015】
図2は、一対のゲートのそれぞれを横から見た側面図である。図2(a)は、一方のゲートAの側面図であり、グランド電極11と信号電極12とが埋め込まれている。図2(b)は、他方のゲートBの側面図であり、グランド電極21が埋め込まれている。また、本実施形態の各電極11、12、21は、平らな平面ではなく、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した、曲面形状(例えば、球の一部の球面形状、半球の球面形状、凹面形状、お椀型など)の電極である。図3は、曲面形状の信号電極12およびグランド電極11、21の一例を立体的に示した斜視図である。
【0016】
ユーザ4が携帯する携帯端末3は、コンピュータと、トランシーバとを備える。携帯端末3のコンピュータは、メモリなどの記憶手段に記憶されたIDなどを、トランシーバを用いて送信する。携帯端末3のトランシーバは、ユーザ4の人体を電界伝達媒体として、トランシーバ5と電界通信を行う。
【0017】
ユーザ4は、携帯端末3を携帯し、例えば駅の改札や所定のエリアに入場するための通路に設けられたゲートA、Bの間を通過する。携帯端末3を携帯したユーザ4がゲートA、Bを通過することにより、携帯端末3のトランシーバ、ユーザ4の人体、ゲートAに設置された第1の電極11、12およびトランシーバ5の間で通信路が形成される。この通信路を介して、携帯端末3のコンピュータと、コンピュータ6との間で通信が可能となる。これにより、例えば携帯端末3のコンピュータが前記通信路を介してID等の認証情報をコンピュータ6に送信し、コンピュータ6がユーザ認証等を行い、認証結果に応じてゲートA、Bに付属された扉(不図示)の開閉を行うことが考えられる。
【0018】
なお、本実施形態では、ユーザ4は第1の電極11、12に接触することなく、第1の電極11、12から放射される電界がユーザ4の人体にカップリング(静電結合)することにより、前記通信路が確立される。
【0019】
トランシーバ5は、電界信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うものである。トランシーバ5は、例えば、図4に示す構成をしており、コンピュータ6からの送信データを入出力(I/O)回路901を介して受け取ると、この送信データを送信部902を介して信号電極12に供給し、当該信号電極12を介して電界伝達媒体に電界を誘起させ、この電界を電界伝達媒体の他の部位に伝達させる。また、トランシーバ5は、電界伝達媒体に誘起されて伝達されてくる電界を信号電極12で検出し、この電界を電界検出部905に結合して電気信号に変換する。そして、この電気信号は、信号処理回路906で増幅、ノイズ除去などの信号処理を施され、更に波形整形回路907で波形整形がなされ、入出力回路901を介してコンピュータ6に出力するようになっている。
【0020】
第1の電極の信号電極12は、前述のように、トランシーバ5から供給された送信データの電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、電界伝達媒体に誘起された電界を検出する。信号電極12は、人体などの電界伝達媒体と対向する通路側に配置される。
【0021】
第1の電極のグランド電極11は、人体などの電界伝達媒体と接しないように、電界伝達媒体の逆側に配置され、トランシーバ5の基準電位となる位置(例えばグランド、マイナス電源、プラス電源など)に接続されている。
【0022】
また、他方のゲートBに設置された第2の電極は、グランド電極11であって、グランドなどに接続され、電位固定されている。
【0023】
携帯端末3が備えるトランシーバについても、上記説明したトランシーバ5と同様であり、信号電極およびグランド電極を有する。
【0024】
次に、本実施形態の第1の電極11、12について説明する。
【0025】
トランシーバ5に接続される第1の電極は、図1および図2に示すように、一方のゲートAに埋め込まれ、ゲートA、Bの間を通過するユーザ4の側面に設置される。そして、信号電極12およびグランド電極11は、図3に示すように、曲面形状(例えば、球の一部の球面形状、半球の球面形状、凹面形状、お椀型など)の電極である。信号電極12は、ゲートの内側(ユーザ4側)に配置され、グランド電極11は、信号電極12より大きな曲面形状で、信号電極12を覆うように配置されている。
【0026】
信号電極12から大気に放射される放射電界は、信号電極面に対して垂直に放射される。したがって、信号電極に平らな平板を用いた場合、平面の信号電極面に対して垂直に電界が放射され、また、放射された電界は広がりをもつ。このため、平面の信号電極では、信号電極の面積(大きさ)に比例して、広範囲に電界が放射されてしまい、特に大型の電極を電界通信に用いる場合、対象とするユーザ4以外の近傍の他ユーザに不要な電界が放射され、意図しないカップリング(静電結合)により、誤認識および誤動作が発生する場合がある。
【0027】
そのため、本実施形態では、信号電極12を曲面形状にすることにより、信号電極12から放射される電界は曲面の中心へ向かって収束し、ゲートA、Bの間を通過するユーザ4の人体に収束・局所化する。具体的には、信号電極12から放射される電界は、図1および図2の矢印121で示すように、ユーザ4に向かって局所化し、収束する。例えば、信号電極12がユーザ4に対して開口した曲面形状の場合、当該信号電極12から放射される電界は、球の中心に向かって収束する。例えば、ゲートA、Bの中間位置(焦点)に収束するように曲面の曲率を設計する。
【0028】
グランド電極11は、信号電極12からリークした電界122が、一方のゲートAを通過して、当該ゲートAの外に放射されるのを防止する。これにより、一方のゲートAの外側に、本実施形態のゲートシステムと同様の他のゲートシステムが並列して設置されている場合であっても、信号電極12からリークした電界122が他のゲートシステムを通過するユーザに伝達されない。
【0029】
次に、本実施形態の第2の電極21について説明する。
【0030】
他方のゲートBに設置された第2の電極であるグランド電極21は、一方のゲートAのグランド電極11または信号電極12と同様に、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した曲面形状(図3参照)の電極であって、グランドなどに接続され、電位固定されている。
【0031】
ゲートAに対向する他方のゲートBにグランド電極21を設けることにより、図1に示すように、信号電極12から放射され、ユーザ4に収束された電界121が、その後、他方のゲートBの外部まで放射されるのを防止する。これにより、他方のゲートBの外側に、本実施形態のゲートシステムと同様の他のゲートシステムが並列して設置されている場合であっても、信号電極12から放射された電界121が他のゲートシステムを通過するユーザに伝達されるのを防止することができる。
【0032】
以上説明した本実施形態の信号電極12は、ユーザ4に対して開口した曲面形状であるため、当該信号電極12から放射される電界を、ユーザに収束させることができる。これにより、本実施形態では、信号電極12から放射される電界が意図しない他ユーザに放射され、当該他ユーザと携帯端末3を携帯するユーザ4とがカップリング(静電結合)することに起因するトランシーバ5およびコンピュータ6で発生する誤認識および誤動作を、効果的に防止することができる。すなわち、携帯端末を持たない他ユーザを介して携帯端末3が送信する信号がトランシーバ5およびコンピュータ6に送信され、コンピュータが誤ってゲートの扉を開けてしまう誤動作(共連れなど)を防止することができる。
【0033】
また、本実施形態では、第1の電極のグランド電極11を、信号電極12より大きな曲面形状で、信号電極12を覆うように配置した。これにより、信号電極12からリークした電界122が、ゲートAの外部に広がるのを防止することができる。
【0034】
また、本実施形態では、他方のゲートBに、ユーザ4に対して開口した曲面形状のグランド電極21(第2の電極)を配置した。これにより、信号電極12から放射される電界121が、他方のゲートBの外部に広がるのを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態では、ユーザ4は、電界通信可能な携帯端末3を携帯し、ゲートA、Bを通過するだけで、第1の電極11、12に接触することなく、携帯端末3とコンピュータ6との間でトランシーバ5を介した通信路が形成されるため、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、信号電極12だけでなく、グランド電極11、21についても曲面形状としたが、グランド電極11、21は、曲面形状に限定されず、例えば各ゲートA、Bと同じ大きさ(面積)の平面電極としてもよい。この場合においても、ゲートA、Bの外に電界が放射されるのを防止することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態のゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステム全体を横からみた側面図である。本実施形態のゲートシステムでは、第1の実施形態のゲートシステム(図1参照)においてユーザが通過する通路の左右側面に配置された各ゲートA、Bを、床および天井に配置したものである。
【0038】
具体的には、本実施形態のゲートシステムは、第1の実施形態と同様に、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極11、12と、第2の電極21と、コンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。また、本実施形態の各電極11、12、21は、第1の実施形態と同様に、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した曲面形状の電極である(図3参照)。
【0039】
そして、図5に示す本実施形態では、第1の電極11、12が埋め込まれる一方のゲート5Aが床に設置され、第2の電極21が埋め込まれる他方のゲート5Bが天井に設置されている点において、第1の実施形態と異なり、その他については第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態の信号電極12も、ユーザ4に対して開口した曲面形状であるため、第1の実施形態と同様に、当該信号電極12から放射される電界をユーザ4に収束させることができる。
【0041】
また、本実施形態においても、第1の電極のグランド電極11を、信号電極12の曲面形状より大きな曲面形状で、信号電極12を覆うように配置したことにより、信号電極12からリークした電界122が、ゲートAの外部に広がるのを防止することができる。
【0042】
また、本実施形態においても、他方のゲート5Bに、ユーザ4に対して開口した曲面形状のグランド電極21(第2の電極)を配置したことにより、信号電極12から放射される電界121が、他方のゲート5Bの外部に広がるのを防止することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、信号電極12だけでなく、グランド電極11、21についても曲面形状としたが、グランド電極11、21は、曲面形状に限定されず、例えば各ゲートA、Bと同じ大きさ(面積)の平面電極としてもよい。この場合においても、ゲートA、Bの外に電界が放射されるのを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態では、床に設置されるゲート5Aに第1の電極11、12を埋め込み、天井に設置されるゲート5Bに第2の電極21を埋め込んだが、天井に設置されるゲート5Bに第1の電極11、12を埋め込み、床に設置されるゲート5Aに第2の電極21を埋め込むこととしてもよい。
【0045】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態のゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステムを上からみた上面図である。本実施形態のゲートシステムでは、第1の実施形態のゲートシステム(図1参照)の第1の電極および第2の電極を、尖形(先端が尖った形状)にしたものである。
【0046】
すなわち、本実施形態のゲートシステムは、第1の実施形態と同様に、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極11、12と、第2の電極21と、コンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。図6に示す本実施形態では、各電極11、12、21の形状が第1の実施形態と異なり、その他については第1の実施形態と同様である。
【0047】
ゲート6Aに設置される本実施形態の第1の電極の信号電極12は、図6に示すように、ゲートを通過するユーザ4に向けて、尖形の電極である。信号電極12から放射される電界123は、信号電極12の尖った先端部分からユーザ4に向けて局所化して放射される。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、信号電極12から放射される電界をユーザ4に収束させることができる。なお、尖形の信号電極12は、例えば、平板を三角柱や円錐の形状に折り曲げることにより作製することができる。
【0048】
また、本実施形態の第1の電極のグランド電極11は、例えば三角柱や円錐の形状であって、尖った信号電極12の先端部の下に配置されている。これにより、信号電極12からリークした電界が、ゲート6Aの外部に広がるのを防止することができる。
【0049】
また、他方のゲート6Bに配置される本実施形態の第2の電極(グランド電極21)は、本実施形態の第1の電極のグランド電極11と同様の形状であって、ユーザ4に対して尖形の電極である。これにより、信号電極12から放射される電界が、他方のゲート6Bの外部に広がるのを防止することができる。
【0050】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態のゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステムを上からみた上面図である。本実施形態のゲートシステムでは、第1の電極および第2の電極を円柱面形状(例えば、かまぼこ型の形状)としたものである。
【0051】
すなわち、本実施形態のゲートシステムは、第1の実施形態と同様に、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極11、12と、第2の電極21と、コンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。図7に示す本実施形態では、各電極11、12、21の形状が第1の実施形態と異なり、その他については第1の実施形態と同様である。
【0052】
図8は、一方のゲート7Aを横から見た側面図である。一方のゲート7Aには、グランド電極11と信号電極12とが埋め込まれている。図示しないが、他方のゲート7Bには、グランド電極21が埋め込まれている。本実施形態の各電極11、12、21は、平らな平面ではなく、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した、円柱面形状の電極である。図9は、円柱面の各電極11、12、21の一例を立体的に示した斜視図である。
【0053】
ゲート7Aに設置される本実施形態の第1の電極の信号電極12は、図7、図8に示すように、ゲートを通過するユーザ4に向けて開口した円柱面形状の電極である。これにより、信号電極12から放射される電界を、ゲート7A、7Bの間を通過するユーザ4の人体に収束させることができる。具体的には、信号電極12から放射される電界は、図7および図8の矢印122で示すようにユーザ4に向かって局所化し、収束する。例えば、ゲート7A、7Bの中間位置(焦点)に収束するように円柱面の曲率を設計する。
【0054】
また、本実施形態の第1の電極のグランド電極11は、信号電極12より大きな円柱面形状で、信号電極12を覆うように配置されている。これにより、信号電極12からリークした電界122が、ゲート7Aの外部に広がるのを防止することができる。
【0055】
また、他方のゲート5Bに設置される本実施形態の第2の電極のグランド電極21は、、ユーザ4に対して開口した円柱面形状の電極21である。これにより、信号電極12から放射される電界121が、他方のゲート7Bの外部に広がるのを防止することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、信号電極12だけでなく、グランド電極11、21についても円柱面形状としたが、グランド電極11、21は、円柱面形状に限定されず、例えば各ゲートA、Bと同じ大きさ(面積)の平面電極としてもよい。この場合においても、ゲートA、Bの外に電界が放射されるのを防止することができる。
【0057】
なお、本発明は上記第1から第4の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第1の電極および第2の電極を、ゲートシステムの各ゲートに設置し、コンピュータが携帯端末からの信号に応じてゲートの扉の開閉を行うことを例として説明したが、本発明は、ゲートシステムに限定されるものではなく、様々な用途のシステムで適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
A、B ゲート
11 グランド電極
12 信号電極
21 グランド電極
3 携帯端末
4 ユーザ
5 トランシーバ
6 コンピュータ
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の小型化および高性能化によりウェアラブルコンピュータが注目されているが、図10はこのようなウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示している。同図に示すように、ウェアラブルコンピュータ7はそれぞれトランシーバ9を介して人間の腕、肩、胴体などに装着されて互いにデータの送受信を行うとともに、更に手足の先端で触れられるよう壁や床に設けられたトランシーバ9a、9bとケーブルとを介して外部に設けられたコンピュータ8と通信を行っている。
【0003】
ここで、このようなウェアラブルコンピュータ7間、およびウェアラブルコンピュータ7とコンピュータ8間とのデータ通信に使用されるトランシーバ9は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体である生体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うものである。なお、トランシーバ9については、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−352298号公報
【特許文献2】特開2006−081111号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、上記のような携帯端末を携帯したユーザが、例えば床に設けられた電極に接触することなどにより、当該電極に接続されたトランシーバを介して、携帯端末とコンピュータとが通信する。このトランシーバに接続される電極から、電極面に対して垂直に電界が放射され、また放射された電界は広がりをもつ。そのため、大型の電極を床に設置した場合、当該電極から放射される電界は、広範囲に広がり、対象とするユーザ以外の近傍の他ユーザに不要な電界が放射され、意図しない電界カップリング(静電結合)により、誤認識および誤動作が発生する場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極において、放射される電界を所定の対象に収束させ、誤認識および誤動作を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、信号電極と、グランド電極とを有し、前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、曲面形状である。
【0008】
また、本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、信号電極と、グランド電極とを有し、前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、円柱面形状である。
【0009】
また、本発明は、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、信号電極と、グランド電極とを有し、前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、尖形である。
【0010】
また、発明は、ユーザが携帯する携帯端末と電界通信を行うゲートシステムであって、一対のゲートの内の一方のゲートに設置され、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される第1の電極と、一対のゲートの内の他方のゲートに設置され、電位固定された第2の電極とを有し、前記第1の電極が備える信号電極およびグランド電極は、当該信号電極から放射される電界を前記一対のゲートの間を通過するユーザに収束させる、曲面形状、円柱面形状、および尖形のいずれかである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電界伝達媒体を介して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極において、放射される電界を所定の対象に、より収束させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図2】第1の実施形態の一対のゲートをそれぞれ横から見た側面図である。
【図3】曲面形状の電極を示す図である。
【図4】トランシーバの構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るゲートシステムの全体構成図である。
【図8】第4の実施形態のゲートを横から見た側面図である。
【図9】円柱面形状の電極を示す図である。
【図10】トランシーバを介してウェアラブルコンピュータを人間に装着して使用する場合の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[第1の実施形態]
以下、本発明の第1の実施形態を、図面を用いて説明する。
【0014】
図1は、本発明の第1の実施形態である電界通信を用いたゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステムを上からみた上面図である。図示するゲートシステムは、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極(グランド電極11および信号電極12)と、第2の電極(グランド電極)21と、トランシーバ5に接続されるコンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。第1の電極11、12は、一対のゲートA、Bの内の一方のゲートAに設置され、第2の電極21は、他方のゲートBに設置される。
【0015】
図2は、一対のゲートのそれぞれを横から見た側面図である。図2(a)は、一方のゲートAの側面図であり、グランド電極11と信号電極12とが埋め込まれている。図2(b)は、他方のゲートBの側面図であり、グランド電極21が埋め込まれている。また、本実施形態の各電極11、12、21は、平らな平面ではなく、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した、曲面形状(例えば、球の一部の球面形状、半球の球面形状、凹面形状、お椀型など)の電極である。図3は、曲面形状の信号電極12およびグランド電極11、21の一例を立体的に示した斜視図である。
【0016】
ユーザ4が携帯する携帯端末3は、コンピュータと、トランシーバとを備える。携帯端末3のコンピュータは、メモリなどの記憶手段に記憶されたIDなどを、トランシーバを用いて送信する。携帯端末3のトランシーバは、ユーザ4の人体を電界伝達媒体として、トランシーバ5と電界通信を行う。
【0017】
ユーザ4は、携帯端末3を携帯し、例えば駅の改札や所定のエリアに入場するための通路に設けられたゲートA、Bの間を通過する。携帯端末3を携帯したユーザ4がゲートA、Bを通過することにより、携帯端末3のトランシーバ、ユーザ4の人体、ゲートAに設置された第1の電極11、12およびトランシーバ5の間で通信路が形成される。この通信路を介して、携帯端末3のコンピュータと、コンピュータ6との間で通信が可能となる。これにより、例えば携帯端末3のコンピュータが前記通信路を介してID等の認証情報をコンピュータ6に送信し、コンピュータ6がユーザ認証等を行い、認証結果に応じてゲートA、Bに付属された扉(不図示)の開閉を行うことが考えられる。
【0018】
なお、本実施形態では、ユーザ4は第1の電極11、12に接触することなく、第1の電極11、12から放射される電界がユーザ4の人体にカップリング(静電結合)することにより、前記通信路が確立される。
【0019】
トランシーバ5は、電界信号検出技術を利用していて、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させ、この誘起した電界を用いて情報の送受信を行うものである。トランシーバ5は、例えば、図4に示す構成をしており、コンピュータ6からの送信データを入出力(I/O)回路901を介して受け取ると、この送信データを送信部902を介して信号電極12に供給し、当該信号電極12を介して電界伝達媒体に電界を誘起させ、この電界を電界伝達媒体の他の部位に伝達させる。また、トランシーバ5は、電界伝達媒体に誘起されて伝達されてくる電界を信号電極12で検出し、この電界を電界検出部905に結合して電気信号に変換する。そして、この電気信号は、信号処理回路906で増幅、ノイズ除去などの信号処理を施され、更に波形整形回路907で波形整形がなされ、入出力回路901を介してコンピュータ6に出力するようになっている。
【0020】
第1の電極の信号電極12は、前述のように、トランシーバ5から供給された送信データの電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、電界伝達媒体に誘起された電界を検出する。信号電極12は、人体などの電界伝達媒体と対向する通路側に配置される。
【0021】
第1の電極のグランド電極11は、人体などの電界伝達媒体と接しないように、電界伝達媒体の逆側に配置され、トランシーバ5の基準電位となる位置(例えばグランド、マイナス電源、プラス電源など)に接続されている。
【0022】
また、他方のゲートBに設置された第2の電極は、グランド電極11であって、グランドなどに接続され、電位固定されている。
【0023】
携帯端末3が備えるトランシーバについても、上記説明したトランシーバ5と同様であり、信号電極およびグランド電極を有する。
【0024】
次に、本実施形態の第1の電極11、12について説明する。
【0025】
トランシーバ5に接続される第1の電極は、図1および図2に示すように、一方のゲートAに埋め込まれ、ゲートA、Bの間を通過するユーザ4の側面に設置される。そして、信号電極12およびグランド電極11は、図3に示すように、曲面形状(例えば、球の一部の球面形状、半球の球面形状、凹面形状、お椀型など)の電極である。信号電極12は、ゲートの内側(ユーザ4側)に配置され、グランド電極11は、信号電極12より大きな曲面形状で、信号電極12を覆うように配置されている。
【0026】
信号電極12から大気に放射される放射電界は、信号電極面に対して垂直に放射される。したがって、信号電極に平らな平板を用いた場合、平面の信号電極面に対して垂直に電界が放射され、また、放射された電界は広がりをもつ。このため、平面の信号電極では、信号電極の面積(大きさ)に比例して、広範囲に電界が放射されてしまい、特に大型の電極を電界通信に用いる場合、対象とするユーザ4以外の近傍の他ユーザに不要な電界が放射され、意図しないカップリング(静電結合)により、誤認識および誤動作が発生する場合がある。
【0027】
そのため、本実施形態では、信号電極12を曲面形状にすることにより、信号電極12から放射される電界は曲面の中心へ向かって収束し、ゲートA、Bの間を通過するユーザ4の人体に収束・局所化する。具体的には、信号電極12から放射される電界は、図1および図2の矢印121で示すように、ユーザ4に向かって局所化し、収束する。例えば、信号電極12がユーザ4に対して開口した曲面形状の場合、当該信号電極12から放射される電界は、球の中心に向かって収束する。例えば、ゲートA、Bの中間位置(焦点)に収束するように曲面の曲率を設計する。
【0028】
グランド電極11は、信号電極12からリークした電界122が、一方のゲートAを通過して、当該ゲートAの外に放射されるのを防止する。これにより、一方のゲートAの外側に、本実施形態のゲートシステムと同様の他のゲートシステムが並列して設置されている場合であっても、信号電極12からリークした電界122が他のゲートシステムを通過するユーザに伝達されない。
【0029】
次に、本実施形態の第2の電極21について説明する。
【0030】
他方のゲートBに設置された第2の電極であるグランド電極21は、一方のゲートAのグランド電極11または信号電極12と同様に、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した曲面形状(図3参照)の電極であって、グランドなどに接続され、電位固定されている。
【0031】
ゲートAに対向する他方のゲートBにグランド電極21を設けることにより、図1に示すように、信号電極12から放射され、ユーザ4に収束された電界121が、その後、他方のゲートBの外部まで放射されるのを防止する。これにより、他方のゲートBの外側に、本実施形態のゲートシステムと同様の他のゲートシステムが並列して設置されている場合であっても、信号電極12から放射された電界121が他のゲートシステムを通過するユーザに伝達されるのを防止することができる。
【0032】
以上説明した本実施形態の信号電極12は、ユーザ4に対して開口した曲面形状であるため、当該信号電極12から放射される電界を、ユーザに収束させることができる。これにより、本実施形態では、信号電極12から放射される電界が意図しない他ユーザに放射され、当該他ユーザと携帯端末3を携帯するユーザ4とがカップリング(静電結合)することに起因するトランシーバ5およびコンピュータ6で発生する誤認識および誤動作を、効果的に防止することができる。すなわち、携帯端末を持たない他ユーザを介して携帯端末3が送信する信号がトランシーバ5およびコンピュータ6に送信され、コンピュータが誤ってゲートの扉を開けてしまう誤動作(共連れなど)を防止することができる。
【0033】
また、本実施形態では、第1の電極のグランド電極11を、信号電極12より大きな曲面形状で、信号電極12を覆うように配置した。これにより、信号電極12からリークした電界122が、ゲートAの外部に広がるのを防止することができる。
【0034】
また、本実施形態では、他方のゲートBに、ユーザ4に対して開口した曲面形状のグランド電極21(第2の電極)を配置した。これにより、信号電極12から放射される電界121が、他方のゲートBの外部に広がるのを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態では、ユーザ4は、電界通信可能な携帯端末3を携帯し、ゲートA、Bを通過するだけで、第1の電極11、12に接触することなく、携帯端末3とコンピュータ6との間でトランシーバ5を介した通信路が形成されるため、ユーザの利便性をより向上させることができる。
【0036】
なお、本実施形態では、信号電極12だけでなく、グランド電極11、21についても曲面形状としたが、グランド電極11、21は、曲面形状に限定されず、例えば各ゲートA、Bと同じ大きさ(面積)の平面電極としてもよい。この場合においても、ゲートA、Bの外に電界が放射されるのを防止することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
図5は、第2の実施形態のゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステム全体を横からみた側面図である。本実施形態のゲートシステムでは、第1の実施形態のゲートシステム(図1参照)においてユーザが通過する通路の左右側面に配置された各ゲートA、Bを、床および天井に配置したものである。
【0038】
具体的には、本実施形態のゲートシステムは、第1の実施形態と同様に、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極11、12と、第2の電極21と、コンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。また、本実施形態の各電極11、12、21は、第1の実施形態と同様に、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した曲面形状の電極である(図3参照)。
【0039】
そして、図5に示す本実施形態では、第1の電極11、12が埋め込まれる一方のゲート5Aが床に設置され、第2の電極21が埋め込まれる他方のゲート5Bが天井に設置されている点において、第1の実施形態と異なり、その他については第1の実施形態と同様である。
【0040】
本実施形態の信号電極12も、ユーザ4に対して開口した曲面形状であるため、第1の実施形態と同様に、当該信号電極12から放射される電界をユーザ4に収束させることができる。
【0041】
また、本実施形態においても、第1の電極のグランド電極11を、信号電極12の曲面形状より大きな曲面形状で、信号電極12を覆うように配置したことにより、信号電極12からリークした電界122が、ゲートAの外部に広がるのを防止することができる。
【0042】
また、本実施形態においても、他方のゲート5Bに、ユーザ4に対して開口した曲面形状のグランド電極21(第2の電極)を配置したことにより、信号電極12から放射される電界121が、他方のゲート5Bの外部に広がるのを防止することができる。
【0043】
なお、本実施形態では、信号電極12だけでなく、グランド電極11、21についても曲面形状としたが、グランド電極11、21は、曲面形状に限定されず、例えば各ゲートA、Bと同じ大きさ(面積)の平面電極としてもよい。この場合においても、ゲートA、Bの外に電界が放射されるのを防止することができる。
【0044】
また、本実施形態では、床に設置されるゲート5Aに第1の電極11、12を埋め込み、天井に設置されるゲート5Bに第2の電極21を埋め込んだが、天井に設置されるゲート5Bに第1の電極11、12を埋め込み、床に設置されるゲート5Aに第2の電極21を埋め込むこととしてもよい。
【0045】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態のゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステムを上からみた上面図である。本実施形態のゲートシステムでは、第1の実施形態のゲートシステム(図1参照)の第1の電極および第2の電極を、尖形(先端が尖った形状)にしたものである。
【0046】
すなわち、本実施形態のゲートシステムは、第1の実施形態と同様に、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極11、12と、第2の電極21と、コンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。図6に示す本実施形態では、各電極11、12、21の形状が第1の実施形態と異なり、その他については第1の実施形態と同様である。
【0047】
ゲート6Aに設置される本実施形態の第1の電極の信号電極12は、図6に示すように、ゲートを通過するユーザ4に向けて、尖形の電極である。信号電極12から放射される電界123は、信号電極12の尖った先端部分からユーザ4に向けて局所化して放射される。これにより、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、信号電極12から放射される電界をユーザ4に収束させることができる。なお、尖形の信号電極12は、例えば、平板を三角柱や円錐の形状に折り曲げることにより作製することができる。
【0048】
また、本実施形態の第1の電極のグランド電極11は、例えば三角柱や円錐の形状であって、尖った信号電極12の先端部の下に配置されている。これにより、信号電極12からリークした電界が、ゲート6Aの外部に広がるのを防止することができる。
【0049】
また、他方のゲート6Bに配置される本実施形態の第2の電極(グランド電極21)は、本実施形態の第1の電極のグランド電極11と同様の形状であって、ユーザ4に対して尖形の電極である。これにより、信号電極12から放射される電界が、他方のゲート6Bの外部に広がるのを防止することができる。
【0050】
[第4の実施形態]
図7は、第4の実施形態のゲートシステムを説明するための説明図であって、当該ゲートシステムを上からみた上面図である。本実施形態のゲートシステムでは、第1の電極および第2の電極を円柱面形状(例えば、かまぼこ型の形状)としたものである。
【0051】
すなわち、本実施形態のゲートシステムは、第1の実施形態と同様に、電界通信を行うトランシーバ5と、トランシーバ5に接続される第1の電極11、12と、第2の電極21と、コンピュータ6と、ユーザ4が携帯する携帯端末3と、を有する。図7に示す本実施形態では、各電極11、12、21の形状が第1の実施形態と異なり、その他については第1の実施形態と同様である。
【0052】
図8は、一方のゲート7Aを横から見た側面図である。一方のゲート7Aには、グランド電極11と信号電極12とが埋め込まれている。図示しないが、他方のゲート7Bには、グランド電極21が埋め込まれている。本実施形態の各電極11、12、21は、平らな平面ではなく、ゲートを通過するユーザ4に対して開口した、円柱面形状の電極である。図9は、円柱面の各電極11、12、21の一例を立体的に示した斜視図である。
【0053】
ゲート7Aに設置される本実施形態の第1の電極の信号電極12は、図7、図8に示すように、ゲートを通過するユーザ4に向けて開口した円柱面形状の電極である。これにより、信号電極12から放射される電界を、ゲート7A、7Bの間を通過するユーザ4の人体に収束させることができる。具体的には、信号電極12から放射される電界は、図7および図8の矢印122で示すようにユーザ4に向かって局所化し、収束する。例えば、ゲート7A、7Bの中間位置(焦点)に収束するように円柱面の曲率を設計する。
【0054】
また、本実施形態の第1の電極のグランド電極11は、信号電極12より大きな円柱面形状で、信号電極12を覆うように配置されている。これにより、信号電極12からリークした電界122が、ゲート7Aの外部に広がるのを防止することができる。
【0055】
また、他方のゲート5Bに設置される本実施形態の第2の電極のグランド電極21は、、ユーザ4に対して開口した円柱面形状の電極21である。これにより、信号電極12から放射される電界121が、他方のゲート7Bの外部に広がるのを防止することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、信号電極12だけでなく、グランド電極11、21についても円柱面形状としたが、グランド電極11、21は、円柱面形状に限定されず、例えば各ゲートA、Bと同じ大きさ(面積)の平面電極としてもよい。この場合においても、ゲートA、Bの外に電界が放射されるのを防止することができる。
【0057】
なお、本発明は上記第1から第4の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、第1の電極および第2の電極を、ゲートシステムの各ゲートに設置し、コンピュータが携帯端末からの信号に応じてゲートの扉の開閉を行うことを例として説明したが、本発明は、ゲートシステムに限定されるものではなく、様々な用途のシステムで適用することができる。
【符号の説明】
【0058】
A、B ゲート
11 グランド電極
12 信号電極
21 グランド電極
3 携帯端末
4 ユーザ
5 トランシーバ
6 コンピュータ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、
信号電極と、グランド電極とを有し、
前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、曲面形状であること
を特徴とする電極。
【請求項2】
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、
信号電極と、グランド電極とを有し、
前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、円柱面形状であること
を特徴とする電極。
【請求項3】
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、
信号電極と、グランド電極とを有し、
前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、尖形であること
を特徴とする電極。
【請求項4】
ユーザが携帯する携帯端末と電界通信を行うゲートシステムであって、
一対のゲートの内の一方のゲートに設置され、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される第1の電極と、
一対のゲートの内の他方のゲートに設置され、電位固定された第2の電極とを有し、
前記第1の電極が備える信号電極およびグランド電極は、当該信号電極から放射される電界を前記一対のゲートの間を通過するユーザに収束させる、曲面形状、円柱面形状、および尖形のいずれかであること
を特徴とするゲートシステム。
【請求項5】
前記第2の電極が備えるグランド電極は、前記第1の電極と同一形状であること
を特徴とする請求項4に記載のゲートシステム。
【請求項1】
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、
信号電極と、グランド電極とを有し、
前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、曲面形状であること
を特徴とする電極。
【請求項2】
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、
信号電極と、グランド電極とを有し、
前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、円柱面形状であること
を特徴とする電極。
【請求項3】
送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される電極であって、
信号電極と、グランド電極とを有し、
前記信号電極は、当該信号電極から放射される電界を収束させる、尖形であること
を特徴とする電極。
【請求項4】
ユーザが携帯する携帯端末と電界通信を行うゲートシステムであって、
一対のゲートの内の一方のゲートに設置され、送信すべき情報に基づく電界を電界伝達媒体に誘起させるとともに、この誘起した電界を検出して情報の送受信を行うトランシーバに接続される第1の電極と、
一対のゲートの内の他方のゲートに設置され、電位固定された第2の電極とを有し、
前記第1の電極が備える信号電極およびグランド電極は、当該信号電極から放射される電界を前記一対のゲートの間を通過するユーザに収束させる、曲面形状、円柱面形状、および尖形のいずれかであること
を特徴とするゲートシステム。
【請求項5】
前記第2の電極が備えるグランド電極は、前記第1の電極と同一形状であること
を特徴とする請求項4に記載のゲートシステム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−199472(P2011−199472A)
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−62507(P2010−62507)
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年10月6日(2011.10.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】
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