説明

電極用マウント、発光管、低圧水銀放電ランプ、電球形蛍光ランプ及び発光管の製造方法

【課題】本発明は、より小形の電球形等の蛍光ランプを具現化できる電極用マウント等を提供することを目的とする。
【解決手段】 電極用マウント61は、フィラメントコイル41と、前記フィラメントコイル41を一端で架持する一対のリード線43,45と、前記一対のリード線43,45を保持するビーズガラス47とを備える。発光管は、ガラス管を湾曲させてなる発光管本体31と、発光管本体31の端部3aに封着された電極33とを有する。電極33は、上記電極用マウント61が利用される。この電極用マウント61の発光管本体31の端部3aへの封止は、リード線43,45におけるフィラメントコイル41とビーズガラス47との間の領域で行われ、ビーズガラス47は発光管本体31の外部に位置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低圧水銀放電ランプに利用される電極用マウントの構成、当該マウントを利用した電極を有する発光管、当該発光管を備える低圧水銀放電ランプ及び電球形蛍光ランプ、前記発光管の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
省エネルギー時代を迎えて、照明分野においても低効率の一般電球を代替する省エネ光源として低圧水銀放電ランプ、特に電球形蛍光ランプの普及が進められている。
電球形蛍光ランプは、発光管と、発光管を保持するホルダと、発光管を点灯させ且つホルダに装着された電子安定器と、電子安定器を収納するようにホルダに装着されたケースと、前記発光管を覆い且つケースに固着されたグローブとを備える。なお、電球形蛍光ランプの中には、グローブを備えないタイプ(所謂、「D」形である。)もある。
【0003】
上記発光管は、ガラス管から構成され、ガラス管の両端部に封着された電極を備える。電極は、電子放射物質が充填されたフィラメントコイルと、フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、一対のリード線を保持するガラス体とを備える。なお、ガラス管の端部に封着されたものを電極といい、封着前であって電極と同構成のものをマウントという。
【0004】
ガラス体は、例えば、ビーズガラス(ビーズガラスを用いた電極は、所謂「ビーズガラスタイプ」であり、特許文献1の図2を参照。)や、フレア(フレアを用いた電極は、所謂「フレアタイプ」であり、特許文献1の図3を参照。)が用いられる。
近年の発光管の小型化の要請によるガラス管の小径化に伴って、構造が簡単で小型化を図りやすいビーズガラスタイプの電極が主に利用されている。
【0005】
ビーズガラスタイプのマウントのガラス管の端部への封着は、ビーズガラスがガラス管内に位置するように、フィラメントコイルをガラス管内に挿入して、一対のリード線におけるビーズガラスからフィラメントコイルと反対側に延出する部分に相当するガラス管の端部を圧潰して(所謂、「ピンチ封止」である。)行われる。
このようなビーズガラスタイプのマウントでは、フィラメントコイルが細いリード線により架持されているため、フィラメントコイルが揺れやすいが、ビーズガラスによって揺れを抑制できる。これにより、マウント(電極)をガラス管の端部に効率よく封止できる。
【0006】
一方、ガラス体を備えない電極(マウント)も提案されている(特許文献の図1参照)。ガラス体を備えない電極(マウント)では、ガラス管内への挿入長さを短くできる。つまり、フィラメントコイルとガラス管端部との距離を短くできる(発光管を小型化できる)という効果がある。
【特許文献1】特開平01−163958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来から発光管に対して低コスト・小型化が要請されている。しかしながら、上記のガラス体を有さない電極(マウント)では、発光管の小型化を図ることができるが、一対のリード線間が離れるなどすると、フィラメントコイルがリード線から外れてしまうこともあり、その取り扱いが難しいため効率よくガラス管の端部に封着することができない。
本発明は、上記のような課題を解決する新規有用な電極用マウント、発光管、低圧水銀放電ランプ、電球形蛍光ランプ及び発光管の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る電極用マウントは、ガラス管の端部にピンチ封着される電極用マウントであって、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、前記保持体は、前記一対のリード線におけるピンチ封着予定部位に対して、前記フィラメントコイルと反対側に設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、前記フィラメントコイルにおけるコイル部の中心軸と、前記保持体におけるフィラメントコイル側の端との距離が、ガラス管の端部に電極用マウントを封着した場合、ガラス管の端部に取着された細管を避けるように設定されていることを特徴としている。
さらに、前記ガラス管の端部は湾曲し、前記一対のリード線のうち、前記保持体と前記フィラメントコイルとの間であって前記ガラス管内に配置予定部分が、前記ガラス管の端部の形状に合わせて、湾曲していることを特徴とし、或いは、前記保持体は、ガラス材料で構成されていることを特徴としている。
【0010】
上記目的を達成するために、本発明に係る発光管は、ガラス管の端部にピンチ封着された電極を備える発光管であって、前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、前記保持体が、前記ガラス管の外部に位置することを特徴としている。
また、上記目的を達成するために、本発明に係る低圧水銀放電ランプは、ガラス管の端部にピンチ封着された電極を有する発光管と、前記発光管に電力を供給する口金とを備える低圧水銀放電ランプにおいて、前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、前記保持体が、前記ガラス管の外部に位置することを特徴としている。
【0011】
さらに、上記目的を達成するために、本発明に係る電球形蛍光ランプは、ガラス管の端部にピンチ封着された電極を有する発光管と、前記発光管を点灯させる電子安定器と、口金を有し、前記電子安定器を収納すると共に前記発光管を保持するケースとを備える電球形蛍光ランプにおいて、前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、前記保持体が、前記ガラス管の外部に位置することを特徴としている。
【0012】
一方、上記目的を達成するために、本発明に係る発光管の製造方法は、ガラス管の端部に電極用マウントをピンチ封止する封止工程を含む発光管の製造方法において、前記電極用マウントは、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、前記封止工程では、前記一対のリード線における前記フィラメントコイルと前記保持体との間で前記電極用マウントがピンチ封止されることを特徴としている。
【0013】
また、前記封止工程は、前記ガラス管を2重螺旋形状に形成する工程の後に行われる
ことを特徴とし、さらに、前記封止工程の後に、前記保持体を電極用マウントから取り除く工程を行うことを特徴としている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るマウントは、保持体を備えているので、一対のリード線により架持されているフィラメントコイルの揺れを抑制できる。このため、マウントをガラス管の端部に封着する際にも、例えば、保持体を有しないマウントに比べて、フィラメントコイルを安定した状態(揺れのない状態)でガラス管内に挿入することができ、取り扱いもし易いので効率良く封着することができる。
【0015】
さらに、一対のリード線におけるフィラメントコイルと保持体の間で、ガラス管の端部に封止すると、ガラス管の端部とフィラメントコイルとの距離を短くでき、結果的にガラス管の全長を短くできる。
また、本発明に係る発光管は、一対のリード線を保持する保持体をガラス管の外部に備えているので、フィラメントコイルとガラス管の端部との距離を短くでき結果的にガラス管の全長を短くできる。
【0016】
一方、本発明に係る低圧水銀放電ランプ及び電球形蛍光ランプは、一対のリード線を保持する保持体をガラス管の外部に有する発光管を備えているので、フィラメントコイルとガラス管の端部との距離を短くでき、ガラス管の全長を短くできる。これにより、結果的にランプ全体を小型化できる。
一方、本発明に係る発光管の製造方法では、一対のリード線が保持体により保持されているので、フィラメントコイルの揺れを抑制できる。したがって、電極用マウントをガラス管の端部に封着する際にも、例えば、保持体を有しない電極用マウントに比べて、フィラメントコイルを安定した状態(揺れのない状態)でガラス管内に挿入することができ、取り扱いもし易いので効率良く封着することができる。
【0017】
さらに、一対のリード線におけるフィラメントコイルと保持体の間で、ガラス管の端部に封止すると、ガラス管の端部とフィラメントコイルとの距離を短くでき、結果的にガラス管の全長を短くでき、発光管のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を、低圧水銀放電ランプの1つである電球形蛍光ランプに適用した実施の形態について図を用いて説明する。
<電球形蛍光ランプ>
図1は、本実施の形態に係る電球形蛍光ランプの概略図である。なお、図1では、ランプ内部の様子が分かるように、グローブ、ケース等の一部を切り欠いている。
【0019】
電球形蛍光ランプ1は、図1に示すように、発光管3と、発光管3を保持する保持部材5と、保持部材5における発光管3が位置する側と反対側に装着され且つ発光管3を発光(点灯)させるための電子安定器7と、電子安定器7を内部に収納するように保持部材5に取着されているケース9と、発光管3を内部に収納するようにその開口部分が保持部材5或いはケース9に固着されているグローブ11とを備える。
【0020】
発光管3は、後述するが、2重螺旋形状に湾曲形成されたガラス管13の両端部に電極が封着され、また両端部が(封着により)封止されたガラス管13の内部に放電空間が形成されている。
保持部材5は、周壁15と、その一端を塞ぐ端壁17とを備え、一端が塞がった筒状をしている。端壁17には、発光管3の端部3a,3bを保持部材5の内部に受け入れるための受入口が形成されている。
【0021】
発光管3の保持は、保持部材5の受入口から発光管3の端部3a,3bを内部に受け入れ、この状態で、発光管3の端部3a,3bが固着剤(例えばシリコーン)19により保持部材5の内面に固着されることで行われる。
電子安定器7は、コンデンサ、チョークコイル等の複数の電気部品から構成されたシリーズインバータ方式であって、これらの電気部品を実装する基板21が保持部材5の他端側に取着されている。
【0022】
基板21の保持部材5への取着は、ここでは周壁15の開口縁から、保持部材5の軸心と平行な方向に延出する複数の係止腕15aが基板21の周縁に係合することで行われる。なお、係止腕15aは、ここでは、周壁15の周方向に等間隔をおいて複数個、例えば2個設けられている。
ケース9は、例えばコーン状をしており、大径筒部9aと、当該大径筒部9aよりも径の小さい小径筒部9bと、大径筒部9aと小径筒部9bとを連結する傾斜筒部9cとを備える。ケース9の小径筒部9bには、ねじ込み型の口金23、例えば、E17型が被着されている。
【0023】
ケース9と保持部材5との取着は、保持部材5の周壁15の外面に形成された係合突部15bが、ケース9の内周面に形成された係止凹部9dに係合することで行われる。なお、係合突部15b及び係止凹部9dは、ケース9或いは保持部材5にその周方向に等間隔を置いて複数個、例えば4個形成され、ケース或いは保持部材の少なくともどちらか一方に設けられておれば良い。
【0024】
なお、本発明の「ケース」は、本実施の形態での保持部材5とケース9とを指し、保持部材5とケース9とが、一体になったものでも良いし、別体になったものでも良い。
グローブ11は、ここでは、例えばA形のものが利用され、グローブ11の開口側の端部11aが、上記のケース9と保持部材5との間の隙間に挿入された状態で、当該隙間に充填されている固着剤25、例えば、シリコーンによりケース9及び保持部材5に固着されている。
【0025】
グローブ11の底(図1では下端部)11bには、発光管3の先端部(この先端部は点灯時に最冷点箇所となる部分である。)3cと熱的に連結する熱連結部材27が設けられている。この熱連結部材27は、発光管3が点灯した際に発光管3の熱をグローブ11に伝えて、発光管3の温度を下げるためのものである。
なお、グローブ11の内表面には、例えば炭酸カルシウムを主成分とする拡散膜が塗布されている。
【0026】
<発光管>
図2は、本実施の形態に係る発光管の概略図である。なお、発光管3の内部の様子が分かるように、ガラス管13の一部を切り欠いている。
発光管3は、ガラス管13を湾曲させてなる発光管本体31と、この発光管本体31の端部3a,3bに封着された電極33とを備える。本明細書では、電極33は発光管本体31の端部3a,3bに封着するとして説明するが、電極33が発光管本体31を構成するガラス管13の端部に封着すると同義である。
【0027】
なお、図2では、発光管3の一方の端部3aの電極33だけが現れているが、発光管3の他方の端部3bにも同構成の電極が封着されている。また、発光管本体31の端部、ガラス管13の端部は、発光管3の端部3a,3bでもあり、これら端部の符号に「3a、3b」を用いる。
発光管本体31は、旋回軸Aを中心として、ガラス管13がその廻りを2重にB方向に旋回する2重螺旋形状をしている。なお、旋回軸Aの周りを旋回する旋回数は、ランプの仕様(定格電力等)により決定される。発光管本体31の端部3a,3bに近い部分に相当するガラス管13は、旋回軸Aの延伸する方向に隣合うガラス管13との隙間が広くなるように旋回している。
【0028】
この発光管本体31(ガラス管13)の内面には蛍光体層35が形成されている。この蛍光体層35は、1又は複数種類の蛍光体、例えば希土類の蛍光体を含んでいる。また、発光管本体31の内部には、発光物質である水銀や、緩衝ガスとして希ガス等が封入されている。
<電極>
図3は、発光管の端部に封着された電極を示し、(a)はフィラメントコイルの中心軸が延伸する方向から電極を見た図であり、(b)はフィラメントコイルの中心軸と直交する方向から電極を見た図である。なお、ここでは、電極33について説明する。
【0029】
電極33は、図2及び図3に示すように、フィラメントコイル41と、このフィラメントコイル41をそれぞれ一方の端部で架持する(架設した状態に保持する)一対のリード線43,45とからなり、一対のリード線43,45がガラス材料から構成されたビーズガラス(本発明の「保持体」に相当する。)47により架設して保持(ビーズガラスタイプ)されている。
【0030】
上記ビーズガラス47は、一対のリード線43,45におけるピンチ封着予定部位に対してフィラメントコイル41と反対側に設けられている。すなわち、後述の通り、一対のリード線43,45は、フィラメントコイル41を発光管本体31の内部に位置させた状態で、発光管本体31の端部3a,3bにピンチ封着される。そして、このリード線43,45における前記ピンチ封着される予定部位(本願発明の「ピンチ封着予定部位」である。)に対して、フィラメントコイル41とは反対側の位置に、ビーズガラス47が、一対のリード線43,45に架設される。
【0031】
フィラメントコイル41は、例えばタングステン製の素線を複次巻き(コイル状)にしたもの(このコイル状になった部分を「コイル部」といい、符号「41a」で示す。)からなり、最終次巻きの旋回数が略1回となっている。なお、フィラメントコイル41には電子放射物質が充填されている。
一対のリード線43,45は、ビーズガラス47からフィラメントコイル41側に延出している端部で、図3の(a)に示すように、フィラメントコイル41の端部を挟むように折り返されている。これによりフィラメントコイル41がリード線43,45のそれぞれの一方の端部に架持される。
【0032】
一対のリード線43,45は、図3の(b)に示すように、互いに略平行に配されている。この一対のリード線43,45は、図3から分かるように、後述の発光管3内部に形成される放電空間49に位置する放電空間部分43a,45aと、発光管本体31の端部3aに封着される封着部分43b,45bと、発光管本体31(ガラス管13)の外部に位置する外部部分43c,45cの3つの部分に大別される。
【0033】
リード線43,45の放電空間部分43a,45aには、リード線43,45の形状が発光管本体31の端部3aの形状に沿うように、1又は複数、ここでは1つの屈曲部43d,45dが形成されている。なお、リード線43,45が発光管3内に挿入されていない状態では、上記のリード線43,45の放電空間部分43a,45aは、リード線43,45の発光管本体31内への配置予定部分である。
【0034】
放電空間部分43a,45aに屈曲部43d,45dを設けるのは、発光管本体31の端部3aにフィラメントコイル41を挿入する際にフィラメントコイル41が発光管本体31の内面に接触するのを防止するためである。
また、電極のうち、細管51と共に発光管本体31の端部3aに封着される電極33におけるリード線43,45の外部部分43c,45cには、図3の(a)に示すように、細管51を避けて、ビーズガラス47が細管51の外側に位置するように、1又は複数、ここでは2つの屈曲部43e,43f,45e,45fが形成されている。
【0035】
電極33は、一対のリード線43,45のうち、ビーズガラス47とフィラメントコイル41との間の一部分で、発光管本体31の端部3aがピンチ封止されることにより、発光管本体31に封着されている。
発光管本体31の端部3aを封止(正確には、後述の細管51が封止された時である。)することで、その内部に放電空間49が形成される。
【0036】
発光管本体31の端部3aには、電極33が封着された後の発光管本体31内を真空にしたり、水銀、緩衝ガス等を封入したりする際に使用する細管51が電極33と共に封着される。この細管51は、発光管本体31の内部を排気し、さらに水銀、緩衝ガスを封入した後に、例えば、チップオフ方式で封止される。
<発光管の製造方法>
発光管3の製造方法、特に、発光管本体31の封止工程について説明する。なお、ここでもマウント(本発明の「電極用マウント」である。)は、発光管本体に封着される前の電極に対応するものであり、フィラメントコイル41と、一対のリード線43,45と、ビーズガラス47(保持体)とを備える。
【0037】
図4は、マウントの封止工程の説明図である。
まず、上記の2重螺旋形状に形成された発光管本体31、電極用のマウント61及び細管63を準備する。なお、ここでの発光管本体31は、内周面に蛍光体が塗布されたものである。
マウント61は、公知技術であるビーズガラスマウント方式の電極の構造と基本的に同じであるが、ビーズガラス47がリード線43、45に従来よりもフィラメントコイル41から離れた位置で取着されている点が異なる。
【0038】
なお、ここでの発光管本体31の封止の説明は、細管63と一緒に発光管本体31の一方の端部13aに封着されるマウント61について行うが、発光管本体31の他方の端部13bの封止も同様に行われマウントが封着される。
次に、発光管本体31をその旋回軸を回転中心として回動自在に保持する。そして、当該発光管本体31が回動した際に、ちょうどフィラメントコイル41が発光管本体31(ガラス管13)の端から内部に進入するように、マウント61を保持する。
【0039】
このとき、フィラメントコイル41を架持する一対のリード線43,45が、フィラメントコイル41から所定距離離れたビーズガラス47で保持されているため、フィラメントコイル41が揺れたり、一対のリード線43,45の先端の間隔が広がってフィラメントコイル41が切断したりするのを抑制できる。したがって、発光管本体31に挿入する際にマウント61を効率良く取り扱うことができる。
【0040】
次に、図4の(b)に示すように、発光管本体31をマウント61に近づく方向に回動させる。これにより、フィラメントコイル41が発光管本体31の端部3aからその内部へと進入していく。そして、細管63の端部及びフィラメントコイル41が、発光管本体31の端面からの所定長さ進入すると、発光管本体31の回動動作を停止させる。この状態が図4の(b)である。
【0041】
この際、マウント61のビーズガラス47が発光管本体31の外部に位置するので、フィラメントコイル41と発光管本体31の端面との距離を短くすることができる。このため、例えば、曲率半径が小さい2重螺旋形状の発光管本体31の端部3aにマウント61を封着する際も、フィラメントコイル41が発光管本体31の内面に接触するのを防ぐことができる。
【0042】
また、ビーズガラス(47)が発光管本体(31)の内部に位置にする従来のマウントを用いた場合に比べて、マウントの発光管本体31への進入量を少なくできため、フィラメントコイル41を発光管本体31の内部に容易に進入させることができる。
なお、フィラメントコイル41が例えば発光管本体31の内面に接触すると、ランプ点灯時の電極(フィラメントコイル41)33の温度が低下して、短寿命等をもたらす。
【0043】
次に、発光管本体31の端部3aを、例えば、ガスバーナで加熱して、ピンチブロックを用いて圧潰する。これにより、マウント61のリード線43,45における封着部分43b,45bと細管63とが、発光管本体31の端部3aに溶着されることになる。この状態が図4の(c)である。
なお、発光管本体31の他方の端部3bへのマウント(61)の封着も、上記マウント61と同様に実施することができる。また、細管63は、その後、当該細管63を介して水銀や希ガス等を発光管本体31内に充填した後、その端部がチップオフ封止され、発光管3が完成する。
【0044】
このように、本発明に係るマウント61では、発光管本体31の内部へのフィラメントコイル41の進入量を少なく、つまり、発光管本体31の内部に進入したリード線43,45の長さを短くすることができるので、結果的にガラス管13の全長を短くでき、コンパクトな発光管3を得ることができる。
<ランプの製造方法>
ランプ1は、上記方法により製造された発光管3を保持部材5に組み付ける発光管組付工程、電子安定器7を構成する電子部品が実装された基板21を保持部材5に装着する安定器装着工程、電子安定器7を装着した保持部材5にケース9を被着するケース被着工程、グローブ11をケース9及び保持部材5に装着するグローブ装着工程とを経て製造される。
【0045】
発光管3を上記の構成とすることで、発光管3の端部3a,3bから外部に延出する一対のリード線43,45がビーズガラス47で保持された状態となるので、発光管3を保持部材5に組み付ける際に、リード線43,45同士が絡むことが少なくなり、容易に発光管3を保持部材5に組み付けることができる。
特に近年のランプ1においては、ランプ全体が小型化されており、当然ケース9内に収納される電子安定器7を構成する電気部品が密集することになり、発光管3の端部3a,3bから延出しているリード線43,45も互いに或いは他の電気部品と接触して短絡しやすい傾向にある(結果的にランプの品質を低下させることにつながる)。しかしながら、一対のリード線43,45が所定の間隔をおいた状態(平行な状態)でビーズガラス47により保持されているので、両リード線43,45同士が接触するのを防ぐことができ、品質向上及びランプの信頼性を向上させることができる。
【0046】
<実施例>
上記実施の形態に係る発光管の実施例について説明する。
(1)電極用のマウント
まず、マウント61について説明する。フィラメントコイル41として、線径が0.036(mm)のタングステン製素線が、一対のリード線43,45として、線径が0.35(mm)の鉄・ニッケル・クロムの合金がそれぞれ用いられている。
【0047】
フィラメントコイル41のコイル部41a(図3の(b)参照)には、ジルコニウム又は酸化ジルコニウムを含むアルカリ土類金属Ba-Sr-Caの複合炭酸塩の形態で塗布されて、その後に、所謂分解処理により複合酸化物へと変成された電子放射物質が充填されている。
ビーズガラス47は、図3に示すように、楕円球状をしており、その長径が4.2(mm)、短径が3.0(mm)である。ビーズガラス47は、フィラメントコイル41の中心軸から他端側に約21(mm)移った位置(図3の(b)の「L1」である。)で一対のリード線43,45に跨るように取着されている。
【0048】
また、一対のリード線43,45の間隔は、フィラメントコイル41の設置箇所で3.5(mm)、ビーズガラスの設置箇所で3.0(mm)としている。
さらに、一対のリード線43,45は、2重螺旋形状の発光管本体31内に挿入しやすくするために、螺旋形状のガラス管13の曲率(形状)に合わせて、発光管本体31の内部に位置する部分(リード線43,45における放電空間部分43a,45a)の1箇所で屈曲部43d,45dを有する。
【0049】
屈曲部43d,45dの位置は、ここでは、フィラメントコイル41の中心軸からビーズガラス47側に約4.7(mm)移った位置であり、2方向(図3の(a)と(b)でリード線43,45が異なる2方向)に屈曲している。
屈曲する1つ目の方向は、図3の(a)で「A1」として示すように、フィラメントコイル41の中心軸が延伸する方向から電極33を見たときに、29(度)の角度をなし、2つ目の方向は、図3の(b)で「A2」で示すように、フィラメントコイル41の中心軸と直交する方向から電極33を見たときに、その位置で17(度)の角度をなしている。
【0050】
また、リード線43,45のうち、細管51と同時に発光管本体31の端部3aに封着されている封着部分43b,45b及び発光管本体31の外部に位置する外部部分43c,45cは、ビーズガラス47と細管51とが干渉しないように避けて、2つの屈曲部43e,43f,45e,45fを有する。
屈曲部43e,45eの位置は、フィラメントコイル41からの距離が、14(mm)の位置(図3の(a)の「L2」である。)であり、ビーズガラス47が細管51の(軸心よりも)外側に位置するように屈曲し、さらに、屈曲部43f,45fの位置はフィラメントコイル41からの距離が19(mm)の位置(図3の(a)の「L3」である。)でそれ以降(ビーズガラス47がある部分)のリード線が細管51と平行なるように屈曲している。また、ビーズガラス47は屈曲部43f,45fの位置から10(mm)以内に取り付けられている。
(2)発光管本体
発光管本体31を構成するガラス管13は、鉛フリーガラス材料で構成され、図2に示すように、その内径D1が5.5(mm)、外径D2が7.5(mm)であり、ガラス管13の中心軸が、旋回軸Aの周りを半径が約12.8(mm)で、旋回軸Aが延伸する方向のピッチが18(mm)で旋回している。これにより、外周径D3が約33(mm)の2重螺旋形状の発光管本体31が得られる。
【0051】
発光管本体31を構成するガラス管13の内面に形成される蛍光体層35には、例えば、赤(Y:Eu)、緑(LaPO:Ce、Tb)及び青(BaMgAl1627:Eu、Mn)発光の3種類の希土類系の蛍光体を用いている。
発光管本体31に封入される水銀は、1(mg)であり、希ガスには、アルゴン、クリプトンの混合ガスが用いられ、550(Pa)で封入されている。
【0052】
発光管本体31の端部3a,3bにマウント61が封着されて完成した発光管3では、そのリード線43,45が、放電空間49での長さが5(mm)となり、また、ビーズガラス47は、発光管本体31の端部3a,3bから約10(mm)移った位置にある。
なお、従来のビーズガラスを内部に有する発光管では、そのリード線における放電空間で長さが10(mm)であるので、本発明を適用した発光管では、従来に比べて発光管を構成するガラス管の長さを一つの電極に対して5(mm)短くすることができる(全長で10(mm)となる。)。
【0053】
なお、放電空間内における両フィラメントコイルの中心軸間距離、所謂電極間距離は、400(mm)である。
上記発光管を備えるランプは、ランプ入力が12(W)で一般白熱電球60Wと同じ810(lm)の初期光束を得ることができることを確認している。
本実施の形態である典型的構成による電極33を用いたランプ1は、発光管3内に気密封着されている電極33のリード線43,45(放電空間部分43a,45a)の全長が約5(mm)であり、従来の約10(mm)と比べ、約50(%)減少できる。
【0054】
そのため、従来の発光管の外周径が36(mm)に対して、本実施の形態に係る発光管3の外周径が33(mm)とコンパクト化でき、しかも、ガラス管13の内径D1が例えば7(mm)以下と比較的細いものも使用できるため、小形の2重螺旋形の発光管3に適用できる。
また、ランプ寿命末期には、フィラメントコイル41が発した熱が、リード線43,45を介して、電極33を封着している封着部もしくは当該封着部近傍のガラス管13等に伝わり、その熱より封着部もしくは当該封着部近傍のガラス管13等が溶融し、発光管3内に外気が流入することにより、ランプ1の動作停止を実現することができる。
【0055】
<変形例>
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明したが、本発明の内容が、上記の実施の形態に示された具体例に限定されないことは勿論であり、例えば、以下のような変形例を実施することができる。
1.ランプ及び発光管
本発明による電極あるいはマウントは、近年省エネ光源として電球形蛍光ランプと
共に普及されているコンパクト形蛍光ランプにも適用できるものである。なお、コンパクト形蛍光ランプは、発光管と、当該発光管を保持するケース(実施の形態での保持部材とケースとを指し、保持部材とケースと一体・別体は問わない)と、当該ケースに取着され且つ発光管に電力を供給する片口金(例えば、G10形等)とを有する。
【0056】
更に基本的に種々の一般照明用の蛍光ランプ、例えば、直管状の蛍光ランプ、環状の蛍光ランプ等や、その他に液晶バックライト用の小形蛍光ランプにも適用できるものである。
つまり、上記の各種ランプを含んだ低圧水銀放電ランプに適用できるのである。
上記実施の形態及び変形例では、螺旋形状の発光管本体に適用した例について説明したが、電極用のマウントが封着されるガラス管の端部が湾曲して、フィラメントコイルの発光管本体への進入(挿入)が困難な形状の発光管にも適用できる。
【0057】
なお、ガラス管の端部の形状が屈曲していない直管状の発光管にも当然本発明に係るマウントを利用することができる。
2.ビーズガラス(保持体)
上記実施の形態では、発光管本体31の外部に位置していたビーズガラス(47)がランプとして組立てた後も残存していたが、例えば、当該ビーズガラスは、封止工程の後、すなわち、封止工程の直後はもちろん発光管を保持部材に装着後、あるいは、発光管のリード線と基板とを電気的に接続した後等、封止後であれば、いつ取り除いても良い。なお、封止工程後にビーズガラスを除去した場合における電極は、フィラメントコイルと一対のリード線から構成されることになる。
【0058】
また、取り除く際には、ビーズガラスを、加熱により溶融させたり、割ったり、砕いたりすることで実施できる。この場合、リード線におけるビーズガラスが取着されていた部分は、ビーズガラスが取着されていなかった部分と色が異なっている。
さらに、ビーズガラスの形状は、実施の形態では楕円球であったが、他の形状、例えば、球状、多角柱状、多角錐状をしていても良い。
【0059】
3.保持体について
上記実施の形態では、保持体として、ガラス材料からなるビーズガラスを用いたが、他の材料を用いても良い。
他の材料としては、例えば、セラミック材料、樹脂材料等があるが、リード線を介してフィラメントコイルに電流が供給されることを考慮すると、他の材料は絶縁材料である方が好ましい。なお、リード線に絶縁膜を形成する等の絶縁加工を施せば、保持体の材料に導電性材料も利用できる。また、フィラメントコイルの点灯中の温度を考慮すると、耐熱性の高い材料を保持体に利用する方が好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る電極用マウントは発光管を小型化するのに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本実施の形態に係る電球形蛍光ランプの概略図である。
【図2】本実施の形態に係る発光管の概略図である。
【図3】発光管本体の端部に封着された電極を示しており、(a)はフィラメントコイルの中心軸が延伸する方向から電極を見た図であり、(b)はフィラメントコイルの中心軸と直交する方向から電極を見た図である。
【図4】マウントの封止工程の説明図である。
【符号の説明】
【0062】
1 電球形蛍光ランプ
3 発光管
33 電極
41 フィラメントコイル
43,45 リード線
47 ビーズガラス
61 マウント

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス管の端部にピンチ封着される電極用マウントであって、
フィラメントコイルと、
前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、
前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、
前記保持体は、前記一対のリード線におけるピンチ封着予定部位に対して、前記フィラメントコイルと反対側に設けられている
ことを特徴とする電極用マウント。
【請求項2】
前記フィラメントコイルにおけるコイル部の中心軸と、前記保持体におけるフィラメントコイル側の端との距離が、ガラス管の端部に電極用マウントを封着した場合、ガラス管の端部に取着された細管を避けるように設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電極用マウント。
【請求項3】
前記ガラス管の端部は湾曲し、
前記一対のリード線のうち、前記保持体と前記フィラメントコイルとの間であって前記ガラス管内に配置予定部分が、前記ガラス管の端部の形状に合わせて、湾曲している
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の電極用マウント。
【請求項4】
前記保持体は、ガラス材料で構成されている
ことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の電極用マウント。
【請求項5】
ガラス管の端部にピンチ封着された電極を備える発光管であって、
前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、
前記保持体が、前記ガラス管の外部に位置する
ことを特徴とする発光管。
【請求項6】
ガラス管の端部にピンチ封着された電極を有する発光管と、前記発光管に電力を供給する口金とを備える低圧水銀放電ランプにおいて、
前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、
前記保持体が、前記ガラス管の外部に位置する
ことを特徴とする特徴とする低圧水銀放電ランプ。
【請求項7】
ガラス管の端部にピンチ封着された電極を有する発光管と、前記発光管を点灯させる電子安定器と、口金を有し、前記電子安定器を収納すると共に前記発光管を保持するケースとを備える電球形蛍光ランプにおいて、
前記電極は、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、
前記保持体が、前記ガラス管の外部に位置する
ことを特徴とする電球形蛍光ランプ。
【請求項8】
ガラス管の端部に電極用マウントをピンチ封止する封止工程を含む発光管の製造方法において、
前記電極用マウントは、フィラメントコイルと、前記フィラメントコイルを架持する一対のリード線と、前記一対のリード線を保持する保持体とを備え、
前記封止工程では、前記一対のリード線における前記フィラメントコイルと前記保持体との間で前記電極用マウントがピンチ封止される
ことを特徴とする発光管の製造方法。
【請求項9】
前記封止工程は、前記ガラス管を2重螺旋形状に形成する工程の後に行われる
ことを特徴とする請求項8に記載の発光管の製造方法。
【請求項10】
前記封止工程の後に、
前記保持体を電極用マウントから取り除く工程を行う
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の発光管の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−66286(P2008−66286A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178491(P2007−178491)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】