説明

電極間放電(アーク放電)による光ファイバー先端の加工方法

【課題】光ファイバーの端面からの出射光の直進光遮断、拡散させる加工方法において、半球形状の曲率半径まで加工調整ができ、出射光のばらつきが生じにくい加工方法を提供する。
【解決手段】酸化チタンと白色練り歯磨き剤(市販品)を光ファイバー先端に塗布し、電極間放電(アーク放電)により、光ファイバー先端を熱で熔融し、表面張力の作用により半球形状のレンズを作る。電極の電流値、放電時間を変えることににより、球の曲率半径、出射光の拡散度を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー光を導く光ファイバーの出射光の直進光を遮り、出射光の拡散度が調整できる加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医療の分野では、生体組織の目標部位にレーザー光を照射させて、組織を蒸散させ治療することが行われている。本先端加工方法で光ファイバーの先端を加工すると、レーザー装置から導光されたレーザー光の直進光は遮られ、側方からの拡散光を得ることができる。
この拡散光で目標部位の組織のみを蒸散させることができ、直進光による目標部位以外の組織に損傷を与えることはない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
光ファイバーの端面からの出射光の直進光遮断、拡散させる加工方法は、従来は、光ファイバーをレーザー装置に接続して、そのレーザー装置から導光されたレーザー光を使用していた。しかし、光ファイバーを大量の本数、加工する場合は、出射光の拡散度にばらつきが生じていた。これはレーザー出力は、電気に比べ変動し安定しないものだからである。また加工に使用するレーザー光は、先端加工するファイバーそのものから導光されているので、加工部であるファイバー端面の半球形状の曲率半径までは、加工調整できない。
本発明のアーク放電による加工であれば、半球形状の曲率半径まで加工調整ができ、出射光のばらつきは生じにくい。
【課題を解決するための手段】
【0004】
酸化チタンと白色練り歯磨き剤(市販品)を混ぜ合わせたものを光ファイバー先端に塗布し、電極間放電(アーク放電)により、光ファイバー先端を反応させ、半球形状のレンズを作る。
球形状のレンズが形成される原理は、電極間放電(アーク放電)による熱で熔融し、表面張力の作用により、半球形状のレンズができ上がる。
球の曲率半径と熱源温度と加熱時間は、相関関係にあるので、球の曲率半径は、電極の電流値、放電時間を変えることにより、調整できる。出射光の拡散度を調整できる。
電極間放電(アーク放電)による加工であれば、光ファイバーを大量の本数、加工する場合でも、出射光の拡散度のばらつきは生じにくい。
その理由は、電流値はレーザー光出力に比べ安定するものであるからである。
放電の距離、角度、時間を固定すれば、光ファイバーの先端を加熱するエネルギーは、レーザー光を使用する場合より安定する。よって混合物の反応度、半球レンズの曲率半径も固定される。電流値は精巧に調整できるものなので、曲率半径も精巧に調整できる。
【発明の効果】
【0005】
大量の本数の光ファイバーについて、出射光拡散度にばらつきを無くすことができる。
出射光拡散度を知った上で、使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】混合物の塗布箇所
【図2】加工方法及び加工後完成例
【図3】加工後の形状例(a)〜(d)
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0008】
光ファイバー先端側面のクラッドを除去し、「酸化チタンと白色練り歯磨き剤」の混合物を光ファイバー先端面に塗布する。
混合物の分量比は、「酸化チタン」:「白色練り歯磨き剤」=6:4
【0009】
光ファイバー先端を交流電源の電極間放電(アーク放電)により、ファイバー先端を混合物で反応させ、熔融させ、自然冷却させる。
【0010】
球形状のレンズが形成される原理は、電極間放電(アーク放電)による熱で熔融し、表面張力の作用により、半球形状のレンズができ上がる。
球の曲率半径と熱源温度と加熱時間は、相関関係にあるので、球の曲率半径は、電極の電流値、放電時間を変えることにより、調整できる。(出射光の拡散度を調整できる)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタンと白色練り歯磨き剤(市販品)を混ぜ合わせたものを光ファイバー先端に塗布し、電極間放電(アーク放電)により、光ファイバー先端を反応させ、半球形状のレンズを作る。
球の曲率半径と熱源温度と加熱時間は、相関関係にあるので、球の曲率半径は、電極の電流値、放電時間を変えることにより、調整できる。出射光の拡散度を調整できる。
電極間放電(アーク放電)による加工であれば、光ファイバーを大量の本数、加工する場合でも、出射光の拡散度のばらつきは生じにくい。
放電の距離、角度、時間を固定すれば、光ファイバーの先端を加熱するエネルギーは、レーザー光を使用する場合より安定する。よって混合物の反応度、半球レンズの曲率半径も固定される。電流値は精巧に調整できるものなので、曲率半径も精巧に調整できる。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−97366(P2013−97366A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249105(P2011−249105)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(511276954)
【Fターム(参考)】