説明

電気かみそり

【課題】 ネット状の外刃が長手方向に沿って外方に凸となるように湾曲形成された電気かみそりを、頬等の平らな個所にも良好にフィットし、且つ窪み部分においても引っ掛かりを生じることのないものとして提供する。
【解決手段】 上記課題を解決するために本発明を、長手方向Yに沿って外方に凸となるように湾曲形成されたネット状の外刃4と、外刃4の内面に接触する内刃20と、外刃4に対して内刃20を摺動させる駆動機構とを具備する電気かみそりにおいて、上記外刃4が、長手方向Yにおいて区分される中央部分4aを該中央部分4aと隣接する両側部分4b,4bよりも大きな曲率半径に形成したものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外刃と内刃を具備する電気かみそりに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、ネット状の外刃と、外刃の内面に接触する内刃と、外刃に対して内刃を摺動させる駆動機構とを具備して成る電気かみそりが知られている。上記内刃は内刃基台に複数の内刃ブレードを取付けたものであり、内刃ブレードの刃先を外刃の内面に押圧させた状態で内刃基台を駆動することで、外刃の刃孔から導入した髭等の体毛を内刃ブレードにより切断するようになっている。上記電気かみそりの外刃としては、その外面が短手方向に沿って外方に凸となるように湾曲形成し、且つ長手方向に沿っては一直線状に形成した構成のものが一般的であるが、このような電気かみそりを用いた場合には、例えば顎下等の窪み部分に対して外刃をフィットさせ難いという問題があった。
【0003】
そこで、図18に示すように、ネット状の外刃50をその短手方向だけでなく長手方向に沿っても外方に凸となるように湾曲形成した構成の電気かみそりが提案されている(特許文献1参照)。この構成の電気かみそりにあっては、顎下等の窪み部分に対しても外刃50をフィットさせ易くなるという利点がある。しかし、上記電気かみそりは、外刃50の長手方向における曲率半径が一定なものであり、したがって頬等の平らな個所に対するフィット性を向上させるべく外刃50の曲率半径を大きく設定すれば、その中央部分におけるフィット性は向上するものの、長手方向の両端部分においては肌に引っかかり易くなるという問題が生じ、これに対して両端部分の肌への引っ掛かりを改善すべく曲率半径を小さく設定すれば今度は中央部分が頬等の平らな個所にフィットし難くなってしまうという問題が生じるものであった。
【特許文献1】特開昭49−133151号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記問題点に鑑みて発明したものであって、ネット状の外刃が長手方向に沿って外方に凸となるように湾曲形成された電気かみそりを、頬等の平らな個所にも良好にフィットし、且つ窪み部分においても引っ掛かりを生じることのないものとして提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明を、長手方向Yに沿って外方に凸となるように湾曲形成されたネット状の外刃4と、外刃4の内面に接触する内刃20と、外刃4に対して内刃20を摺動させる駆動機構とを具備する電気かみそりにおいて、上記外刃4が、長手方向Yにおいて区分される各部分毎の曲率半径を隣接する部分と相違させたものとする。上記構成の電気かみそりとすることで、外刃4の各部分毎に最適な曲率半径を設定することができ、したがって肌へのフィット性に大きく関与するものには大きな曲率半径を設定し、肌への引っ掛かりに大きく関与するものには小さな曲率半径を設定することで、頬等の平らな個所にも良好にフィットし、且つ窪み部分においても引っ掛かりを生じることのない電気かみそりを提供することができる。
【0006】
具体的には、上記外刃4が、長手方向Yにおいて区分される中央部分4aを該中央部分4aと隣接する両側部分4b,4bよりも大きな曲率半径に形成したものとすることが好適である。これにより、頬等の平らな個所にも良好にフィットし、且つ窪み部分においても引っ掛かりを生じることのない電気かみそりを提供することが容易である。
【0007】
また、上記外刃4の長手方向Yにおいて区分される中央部分4aが、長手方向Yにおける曲率半径無限大の直線状部分となることも好適であり、この場合には、肌の平らな個所へのフィット性が向上するとともに、外刃40の製造コストが抑制されるものである。そして、上記外刃4の直線状部分が、長手方向Yにおいて該直線状部分と隣接する両側部分4b,4bの接線上に形成されているものであれば、外刃4が滑らかに形成されるので更に肌当りが向上する。
【0008】
また、上記課題を解決するために本発明を、長手方向Yに沿って外方に凸となるように湾曲形成されたネット状の外刃4と、外刃4の内面に接触する内刃20と、外刃4に対して内刃20を摺動させる駆動機構とを具備する電気かみそりにおいて、上記外刃4が、長手方向Yにおいて複数の直線状部分に区分されるとともに、長手方向Yの端側に近い直線状部分となる程にその傾斜が大きくなるように形成されたものとしてもよい。上記構成の電気かみそりとすることで、頬等の平らな個所にも良好にフィットし、且つ窪み部分においても引っ掛かりを生じることのない電気かみそりを提供することができる。
【0009】
ここで、上記各電気かみそりの駆動機構は、外刃4の長手方向Yに伸びる回転中心軸Aを中心に内刃20を回転駆動させるものであり、且つ上記内刃20が、外刃4の長手方向Yに伸びるように刃先24を形成した内刃ブレード22を有するものであってもよいし、或いは、外刃4の長手方向Yに沿って内刃20を往復動させるものであり、且つ上記内刃20が、外刃4の短手方向Xに伸びるように刃先43を形成した複数の内刃ブレード42を外刃4の長手方向Yに沿って植設したものであってもよい。
【0010】
内刃20が回転中心軸Aを中心に回転駆動される構成の電気かみそりにおいては、上記内刃20が、外刃4の長手方向Yに区分された中央部分4a及び該中央部分4aと隣接する両側部分4b,4bに対して内刃ブレード22を接触させるものであり、且つ該内刃ブレード22が、その刃先24から回転中心軸Aまでの距離を各部分4a,4bに対応して変化させたものであることが好適である。これにより、外刃4の広範な範囲で髭等の体毛を剃ることができるとともに、このようにするために内刃ブレード22の刃先24の形状を外刃4の形状と合致させるだけでよいので簡単な構造で済むものである。
【0011】
また、上記内刃20が、外刃4の長手方向Yに区分される中央部分4aに対してのみ内刃ブレード22,42を接触させるものである場合には、内刃ブレード22の刃先24の形状を外刃4の中央部分4aの形状と合致させるだけでよく、したがって簡単な構造で安価に提供することが可能なものである。
【0012】
また、上記内刃20が、外刃4の長手方向Yにおいて区分される各部分に対応して長手方向Yに複数連設されたものである場合には、外刃4の広範な範囲で髭等の体毛を剃ることができ、しかも簡単な構造で安価に提供することが可能なものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、ネット状の外刃が長手方向に沿って外方に凸となるように湾曲形成された電気かみそりを、頬等の平らな個所にも良好にフィットし、且つ窪み部分においても引っ掛かりを生じることのないものとして提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。図4には、本発明の実施の形態における第1例の電気かみそりの外観を示している。後述の制御回路1や駆動部2を内蔵する本体部3は把手部をも兼ねるものであり、該本体部3の先端には、ネット状の外刃4を保持する刃フレーム5を備えたシェーバヘッド6を着脱自在に装着させている。本体部3の構造は図3に示すようなものであり、外殻を成す本体ハウジング7の側面には操作スイッチ8をスライド自在に突出させている。本体ハウジング7内の制御回路1には、上記操作スイッチ8や、本体ハウジング7の底面側から露出させた外部電源接続端子9や、駆動部2を構成する駆動モータ10をリード線11により接続させており、また、充電池12を充電可能に接続させて設けている。
【0015】
本体ハウジング7内の駆動部2は、駆動モータ10と、駆動モータ10のモータ軸13に固定してあるギア14と、本体ハウジング7内に設けてある回転軸15を中心に回転自在であり且つその歯面が前記ギア14と噛合うように配される伝達ギア16とで構成され、本体ハウジング7のシェーバヘッド6との連結側である先端面から伝達ギア16の一部を突出させてその歯面を露出させている。また図中の符号17は、本体ハウジング7の先端面の両端部分から突設されて先端に凸状の係止体を有するフック部である。
【0016】
シェーバヘッド6の構造は図1や図4に示すようなものであり、平面視略矩形状の枠体である刃フレーム5の、略矩形状に開口する先端開口部に外刃4を取付け、この外刃4の内面と接触するように、刃フレーム5内に内刃20を回転自在に配した構造である。外刃4は、多数の刃孔を有する薄板状の部材であって、該外刃4の短手方向(以下、これを短手方向Xとする)に沿って外側に凸となり、且つ該外刃4の長手方向(以下、これを長手方向Yとする)に沿っても外側に凸となり、更にその短手方向Xの曲率半径が長手方向Yにおける中央部分から端側に近付くほどに漸次小さくなるように湾曲形成したものである。
【0017】
外刃4は更に、長手方向Yにおいて複数の部分に区分されるものであり、本例においては中央部分4aと、該中央部分4aと長手方向Yに連続する両側部分4b,4bに区分されている。中央部分4aの曲率半径は該中央部分4aと隣接する両端部分4b,4bよりも大きく設定してある。
【0018】
内刃20は、長手方向Yに一直線状に伸びる回転中心軸Aを中心として刃フレーム5に回転自在に支持される支持軸部18に接続固定される円筒状の内刃基台21と、この内刃基台21の外側周面上の周方向に一定間隔を隔てた各個所に支持される複数の内刃ブレード22とで主体を成している。内刃基台21は、長手方向Yに一直線状に貫通する貫通穴23内に支持軸部18が嵌入固定されるものであり、支持軸部18と一体に回転中心軸Aを中心として駆動されるようになっている。また内刃ブレード22は、内刃基台21と同様に長手方向Yをその長手方向とする薄板状の部材であり、その外方を向く端縁部分に、長手方向Yに伸びる刃先24を形成している。また、内刃ブレード22の長手方向Yの両端部分には、刃先24の尖端方向とは逆方向に向けて取付部25を延設してあり、各取付部25には、刃先24の尖端方向に長尺の長穴19をそれぞれ形成している(図2参照)。上記長穴19は、内刃基台21の外側周面の長手方向Y両端部分に凹設される取付凹部26の側壁から突設される取付軸27が嵌入されるものであり、上記長穴19と取付軸27とが刃先24の尖端方向にスライド自在に嵌合することで、内刃ブレード22は上記尖端方向(換言すると内刃基台21の径方向)に向けてスライド自在に取付けられている。取付軸27の先端は該取付軸27が長穴19から抜けないようにかしめてあり、したがって内刃ブレード22の内刃基台21からの脱落は防止されている。
【0019】
各内刃ブレード22の内方を向く(即ち刃先24を形成してある側と逆側の)端縁部分と、内刃基台21の外側周面との間には、内刃基台21の径方向に圧縮された状態の付勢ばね28を配しており、上記付勢ばね28を、内刃ブレード22にその刃先24の尖鋭方向に向けての付勢力を与える付勢手段として機能させている。上記付勢力により内刃ブレード22は外刃4の中央部分4aの内面に押圧されるが、各内刃ブレード22はその刃面24を長手方向Yに沿って外方に凸となるように湾曲形成したものであり、しかも外刃4の中央部分4aと内刃ブレード22の刃先24とでその曲率半径を一致させているので、外刃4の中央部分4aと内刃ブレード22の刃先24とは長手方向Yのいずれの個所においても良好な密着状態で接触するものである。また、支持軸部18には該支持軸18と一体に回転するようにギア29が固定されており、更に刃フレーム5内にはこのギア29と噛合うように伝達ギア30が回転自在に支持されている。
【0020】
上記構成のシェーバヘッド6を本体部3の先端側に被せると、本体部3から突設したフック部17の先端に形成してある係止体が、シェーバヘッド6の刃フレーム5の長手方向Y両端の内側面に凹設した被係止部31に嵌合して係止され、これによりシェーバヘッド6が本体部3に着脱自在に装着される。そして、上記装着状態において、本体ハウジング7の先端面から一部突出した伝達ギア16の歯面と、刃フレーム5内に設けてある伝達ギア30の歯面とが噛合うことで、本体部3内の駆動部2から両伝達ギア29,30を介して内刃20にまで駆動力を伝達して該内刃20を回転中心軸Aを中心に回転駆動させる駆動機構が形成されるものである。
【0021】
しかして、上記の装着状態で操作スイッチ8を操作し、制御回路1により駆動モータ10を回転駆動させると、本体部3内にてギア14及び伝達ギア16を介して駆動力が伝達され、更にシェーバヘッド6内にて伝達ギア30及びギア29を介して伝達された駆動力により支持軸部18が回転中心軸Aを中心として回転駆動される。このとき内刃20を構成する内刃基台21は支持軸部18と一体に回転駆動され、したがって内刃基台21に支持される複数の内刃ブレード22も回転中心軸Aを中心に回転駆動されることとなる。ここで、内刃20はその刃面24の曲率半径を外刃4の中央部分4aの曲率半径と一致させ、該刃先24から回転中心軸Aまでの距離を、長手方向Yにおける中央部分から両端側に近付くほど短くなるように形成したものであるとともに、付勢ばね28によりこの刃先24側を外刃4の中央部分4a内面に押圧させているので、内刃ブレード22はその刃先24を良好な密接状態で外刃4の中央部分4a内面に押圧させながら回転中心軸Aを中心に円滑に回転駆動されるようになっている。そして、外刃4の中央部分4aの刃孔から導入された髭等が該中央部分4a内面に対して円周方向に摺動する内刃ブレード22の刃先24により円滑に切断されるものである。
【0022】
外刃4の中央部分4aの長手方向Yにおける曲率半径は150〜350mm程度に設定しておくことが肌当りの面で好ましく、髭剃り時に頬等の平らな個所にも良好にフィットするものとなる。また、両側部分4b,4bの長手方向Yにおける曲率半径は10〜100mm程度とすることが好ましく、このように設定しておくことで髭剃り時に顎下等の窪み部分においても外刃4が引っ掛かりを生じることは防止されるものである。なお、両側部分4b,4bは、その長手方向Yにおける断面円弧形状が中央部分4aの断面円弧形状の内接円となるように、中央部分4aと円滑に連続していることが好適であり、この場合には肌当りが更に良好なものとなる。
【0023】
即ち、本例の電気かみそりにあっては、上記のように長手方向Yに沿って外方に凸となるように湾曲形成されたネット状の外刃4を更に長手方向において区分し、その中央部分4aを該中央部分4aと隣接する両側部分4b,4bよりも大きな曲率半径に形成したことで、頬等の平らな個所にも中央部分4aが良好にフィットし、且つ窪み部分においても両側部分4b,4bが引っ掛かりを生じることのないものになっている。また、内刃20の製造に際しては、複数個ある内刃ブレード22の長手方向Yに伸びる刃先24を外刃4の中央部分4aと同様の曲率半径となるように湾曲形成しておくだけでよいので、加工コストも抑制されるものである。
【0024】
なお、本例においては駆動機構として上記各ギア14,16,29,30から構成されるものを用いているが、これに限定されず駆動軸部18を回転駆動させる機構であれば他の構造であっても構わない。
【0025】
次に、本発明の実施の形態における第2例の電気かみそりについて、図5に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第1例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の外刃4は、長手方向Yに区分される各部分毎の曲率半径を互いに隣接する部分と相違させている点では第1例と同様であるが、中央部分4aと隣接する両側部分4b,4bをそれぞれ長手方向Yに沿って更に複数(図示例では4c,4d,4eの三つ)の部分に区分し、中央部分4aから長手方向Yの両端側に近い部分となる程にその曲率半径が小さくなるように形成している点で第1例と相違している。内刃20の内刃ブレード22の刃先24は、外刃4の中央部分4aに加えて隣接する複数の部分(図示例では4c,4dの部分)にまで接触するものであり、刃先24の曲率半径についても接触する各部分4a,4c,4dの曲率半径と一致するように(即ち、刃先24を長手方向Yに沿って複数の部分に区分し、両端側に近い部分となる程にその曲率半径が小さくなるように)変化させている。したがって刃先24はその全体に亘って外刃4の内面と良好に密着するようになっている。
【0026】
次に、本発明の実施の形態における第3例の電気かみそりについて、図6に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第1例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の外刃4は、第1例のように外刃4の中央部分4aにのみ接触する内刃ブレード22に加えて、中央部分4aと隣接する側部分4bにのみ接触する小型の内刃ブレード22′を内刃基台21に取付け、このように各部分4a,4bに対応させた両内刃ブレード22,22′を長手方向Yに連設させている。上記小型の内刃ブレード22′の刃先24′の曲率半径は、外刃4の側部分4bの曲率半径と一致させており、また小型の内刃ブレード22′と内刃基台21との間には付勢ばね28′を配しているので、内刃20の全ての内刃ブレード22,22′の刃先24,24′がその全体に亘って外刃4の内面と良好に密着するようになっている。本例の電気かみそりによれば、外刃4の中央部分4aに加えて側部分4bをも含む広範な範囲で髭を剃ることができる。なお、本例のように内刃ブレード22,22′を長手方向Yに連設させる場合、図示例のように内刃基台21の周方向に間隔を隔てた別の個所と比べて内刃ブレード22,22′の長手方向Yの配置をずらしておくことが好ましい。
【0027】
次に、本発明の実施の形態における第4例の電気かみそりについて、図7に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第1例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の外刃4は、中央部分4aの長手方向Yにおける曲率半径を無限大に設定したものである。即ち、本例の外刃4は、その中央部分4aが長手方向Yにおいて直線状に形成されたもの(以下、これを直線状部分という)となっており、この直線状部分に接触する内刃ブレード22はその刃面24が長手方向Yに一直線状に形成されている。つまり、本例においては内刃ブレード22の刃先24を簡単に形成することができ、コストダウンが可能となる。なお、外刃4の中央部分4aである直線状部分は、長手方向Yにおける両側部分4b,4bの接線上に形成されていることが好ましく、このような形状とすることで中央部分4aと両側部分4b、4bとが円滑に連続するので剃り心地が向上する。
【0028】
次に、本発明の実施の形態における第5例の電気かみそりについて、図8に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第4例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第4例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の電気かみそりは、内刃ブレード22の刃先24が、外刃4の直線状部分である中央部分4aに加えて両側部分4b,4bにまで接触するように設けたものである。内刃ブレード22の刃先24は長手方向Yに沿って複数の部分(図示例では三つの部分)に区分されるものであり、中央部分4aと接触する部分においては長手方向Yに一直線状に形成され、両側部分4b,4bと接触する部分においては該両側部分4b,4bの曲率半径と一致するように湾曲形成されている。
【0029】
次に、本発明の実施の形態における第6例の電気かみそりについて、図9に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第4例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第4例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の外刃4は、中央部分4aが曲率半径無限大の直線状部分であるだけでなく、この中央部分4aと隣接する両側部分4b,4bも直線状部分となっている点が第4例と相違している。即ち、本例の外刃4は、その全体が長手方向Yにおいて複数の直線状部分に区分されるものであり、これら直線状部分のうち長手方向Yの端側に近いもの(図示例においては中央部分4に対する両側部分4b,4b)となる程にその傾斜が大きくなるように形成している。また、内刃ブレード22の刃先24は長手方向Yに沿って複数の部分(図示例では三つの部分)に区分されるものであり、中央部分4aと接触する部分において長手方向Yに一直線状に形成され、両側部分4b,4bと接触する部分においては長手方向Yの端側に近付く程に回転中心軸Aに接近するように一直線状に傾斜して形成されている。
【0030】
次に、本発明の実施の形態における第7例の電気かみそりについて、図10〜図12に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第1例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第1例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の電気かみそりの駆動機構は、内刃20を外刃4の長手方向Yに沿って往復動させるものであり、本体部3内に配される駆動モータ10と、駆動モータ10のモータ軸13に連結される偏心カム機構部40と、偏心カム機構部40と連結されて長手方向Yに往復駆動されるとともにその先端部を本体ハウジング7の先端面から突出させてある駆動子41とで主体を構成している。また、外刃4は、第1例と同様にその中央部分4aの曲率半径を両端部分4b,4bよりも大きく設定したものであるが、外刃40の短手方向Xの曲率半径については、長手方向Yに沿って相違させず均一に保持させている。
【0031】
本例の内刃20は、短手方向Xに伸びるように刃先43を形成した複数の内刃ブレード42を、長手方向Yに沿って内刃基台44上に植設したものである。内刃基台44は、駆動子41に直接取付けられて往復駆動される主基台44aと、この主基台44aの長手方向Y両側方に連結される副基台44bとで構成され、主基台44a側の内刃ブレード42の刃先43が外刃4の中央部分4aと接触し、副基台44b側の内刃ブレード42の刃先43が対応する側部分4bと接触するように設けている。主基台44aは、駆動子41に配してある付勢ばね45により該主基台44a側に植設される内刃ブレード42の刃先43の尖端方向に付勢力を付与されており、更に主基台44aと撓み変形自在な薄肉ヒンジ部45を介して連結される副基台44bは、主基台44aとの間に配される付勢ばね46を介して該副基台44b側に植設される内刃ブレード42の刃先43の尖鋭方向に付勢力を付与されている。
【0032】
しかして、本例の電気かみそりにおいて操作スイッチ8を操作して駆動モータ10を回転駆動させると、駆動機構を介して内刃基台44全体(即ち、主基台44a及び両側の副基台44b,44b)が長手方向Yに往復動され、主基台44aの内刃ブレード42の刃先43が外刃4の中央部分4aの内面を長手方向Yに往復摺動するとともに、両側の副基台44b,44bの内刃ブレード42の刃先43が外刃4の両側部分4b,4bの内面を長手方向Yに往復摺動する。そして、外刃4の中央部分4a及び両側部分4b,4bの刃孔から導入された髭等の体毛が内刃ブレード42の刃先43で円滑に切断されるようになっている。
【0033】
なお、上記のような主基台44aと副基台44bとに分割されて成る内刃基台44を用いずとも、例えば図13に示すような薄肉であって刃先48の尖鋭方向に弾性変形可能な弾性内刃ブレード47を用いることや、または図14に示すような長手方向Yに沿って外方に凸に湾曲するように(図中の点線部分を参照)弾性変形自在な弾性内刃基台49を用いることでも、本例のように長手方向Yに沿って曲率半径を変化させた外刃4に対して往復摺動可能な内刃20を構成することは可能である。また、本例においては駆動機構として上記偏心カム機構40等から成るものを用いているが、これに限定されず内刃基台44を長手方向Yに往復動させる機構であれば他の構造であっても構わない。
【0034】
次に、本発明の実施の形態における第8例の電気かみそりについて、図15に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第7例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第7例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の外刃4は、図7に示した第4例と同様に、中央部分4aの長手方向Yにおける曲率半径を無限大に設定したものである。即ち、本例の外刃4は、その中央部分4aが長手方向Yにおいて直線状に形成された直線状部分となっており、第7例における主基台44aのみから構成される内刃基台44は該内刃基台44に植設される内刃ブレード42がこの直線状部分とのみ接触する構造になっている。本例においては内刃ブレード42の刃先43は長手方向Yに一直線状に揃っていればよく、したがって製造コストが抑制されるものである。
【0035】
次に、本発明の実施の形態における第9例の電気かみそりについて、図16に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第7例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第7例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の外刃4は、第4例や第8例と同様に、中央部分4aを曲率半径が無限大の直線状部分にしたものであり、主基台44a側の内刃ブレード42の刃先43が中央部分4aに対して往復摺動し、副基台44b側の内刃ブレード42の刃先43が湾曲した両側部分4b,4bに対して往復摺動するように設けている。本例においては主基台44a側の内刃ブレード42の刃先43は長手方向Yに一直線状に揃っていればよく、したがって製造コストが抑制されるものである。
【0036】
次に、本発明の実施の形態における第10例の電気かみそりについて、図17に基づいて説明する。なお、本例の構成のうち第7例と同様の構成については同一符号を付して詳しい説明を省略し、第7例と相違する構成についてのみ以下に詳述する。本例の外刃4は、図9に示した第8例と同様に、中央部分4aが曲率半径無限大の直線状部分であることに加えて、この中央部分4aと隣接する両側部分4b,4bも直線状部分となっている。即ち、本例の外刃4は、長手方向Yにおいて複数の直線状部分に区分されるとともに、これら直線状部分のうち中央のもの(図示例では中央部分4a)を水平とした場合に、長手方向Yの端側に近い側のもの(図示例では両側部分4b,4b)が下方に向けて傾斜するように形成されている。本例においては、主基台44a側及び副基台44b側の内刃ブレード42の刃先43は長手方向Yに一直線状に揃っていればよく、したがって製造コストが抑制されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態における第1例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図2】同上の電気かみそりの内刃の構造を示す説明図である。
【図3】同上の電気かみそりの本体部を示す断面図である。
【図4】同上の電気かみそり全体を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態における第2例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態における第3例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図7】本発明の実施の形態における第4例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図8】本発明の実施の形態における第5例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図9】本発明の実施の形態における第6例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図10】本発明の実施の形態における第7例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図11】同上の電気かみそりの本体部を示す断面図である。
【図12】同上の電気かみそり全体を示す斜視図である。
【図13】弾性内刃ブレードの説明図である。
【図14】弾性内刃基台の説明図である。
【図15】本発明の実施の形態における第8例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態における第9例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図17】本発明の実施の形態における第10例の電気かみそりのシェーバヘッドを示す断面図である。
【図18】従来の電気かみそりの主要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0038】
4 外刃
4a 中央部分
4b 側部分
20 内刃
21 内刃基台
22 内刃ブレード
24 刃先
42 内刃ブレード
43 刃先
44 内刃基台
A 回転中心軸
X 短手方向
Y 長手方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に沿って外方に凸となるように湾曲形成されたネット状の外刃と、外刃の内面に接触する内刃と、外刃に対して内刃を摺動させる駆動機構とを具備する電気かみそりにおいて、上記外刃が、長手方向において区分される各部分毎の曲率半径を隣接する部分と相違させたものであることを特徴とする電気かみそり。
【請求項2】
上記外刃が、長手方向において区分される中央部分を該中央部分と隣接する両側部分よりも大きな曲率半径に形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の電気かみそり。
【請求項3】
上記外刃の長手方向において区分される中央部分が、長手方向における曲率半径無限大の直線状部分であることを特徴とする請求項2に記載の電気かみそり。
【請求項4】
上記外刃の直線状部分が、長手方向において該直線状部分と隣接する両側部分の接線上に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の電気かみそり。
【請求項5】
長手方向に沿って外方に凸となるように湾曲形成されたネット状の外刃と、外刃の内面に接触する内刃と、外刃に対して内刃を摺動させる駆動機構とを具備する電気かみそりにおいて、上記外刃が、長手方向において複数の直線状部分に区分されるとともに、長手方向の端側に近い直線状部分となる程にその傾斜が大きくなるように形成されたものであることを特徴とする電気かみそり。
【請求項6】
上記駆動機構が、外刃の長手方向に伸びる回転中心軸を中心に内刃を回転駆動させるものであり、且つ上記内刃が、外刃の長手方向に伸びるように刃先を形成した内刃ブレードを有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気かみそり。
【請求項7】
上記駆動機構が、外刃の長手方向に沿って内刃を往復動させるものであり、且つ上記内刃が、外刃の短手方向に伸びるように刃先を形成した複数の内刃ブレードを外刃の長手方向に沿って植設したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気かみそり。
【請求項8】
上記内刃が、外刃の長手方向に区分された中央部分及び該中央部分と隣接する両側部分に対して内刃ブレードを接触させるものであり、且つ該内刃ブレードが、その刃先から回転中心軸までの距離を各部分に対応して変化させたものであることを特徴とする請求項6に記載の電気かみそり。
【請求項9】
上記内刃が、外刃の長手方向に区分される中央部分に対してのみ内刃ブレードを接触させるものであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の電気かみそり。
【請求項10】
上記内刃が、外刃の長手方向において区分される各部分に対応して、長手方向に複数連設されたものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気かみそり。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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